消化器疾患へのプロバイオティクスの効果は限定的、米学会が新指針

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/13

 

 ほとんどの消化器疾患の治療において、プロバイオティクスの使用が有用であることを裏付ける十分な科学的根拠はない―。米国消化器病学会(AGA)は、このような見解を示した新たなガイドラインを「Gastroenterology」6月9日オンライン版に発表した。

 AGAによると、プロバイオティクスとは、食品や栄養補助食品に含まれる細菌や酵母などの身体に良い影響を与える微生物のことを指す。米国では390万人もの成人がプロバイオティクスを使用しており、その多くは消化器系の健康を改善することが目的だと見られている。

 そこでAGAは今回、消化器疾患の治療におけるプロバイオティクスの有用性を検討したこれまでの研究のレビューを実施。その結果、クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)、過敏性腸症候群(IBS)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の治療に、プロバイオティクスの使用を推奨する十分な科学的根拠はないと結論づけた。

 ガイドライン作成委員会委員長を務めた米ミシガン大学消化器病学教授のGrace Su氏は「CDやUC、IBSの治療のためにプロバイオティクスを使用している患者は、中止を検討する必要がある」と述べている。その上で、同氏は「プロバイオティクスのサプリメントには高価なものが多い一方で、有益性や有害ではないことを裏付けるエビデンスに乏しい。使用を検討している人は、まずは主治医に相談してほしい」と呼び掛けている。

 このAGAの新たなガイドラインでは、小児の急性感染性胃腸炎の治療においても、プロバイオティクスの使用を否定している。ただし、1)抗菌薬を服用中の成人と小児におけるC. difficile感染症の予防、2)早産の低体重児における壊死性腸炎の予防、3)炎症性腸疾患の合併症である回腸嚢炎の管理―といった目的であれば、特定の種類のプロバイオティクス使用を支持するとの見解が示されている。

 Su氏は「今回のガイドラインでは、プロバイオティクスの使用が勧められるケースも一部取り上げている。ただ、それよりも重要なことは、一般の人たちが信じているプロバイオティクスの有用性を裏付ける十分なエビデンスは見つかっていないという点だ。また、これまで報告されている研究に使われたプロバイオティクス製品は多様で、研究結果のばらつきも大きい」と説明している。

 AGAは、ガイドラインをより洗練されたものにし、ガイドラインで取り上げた疾患以外の臨床症状に対するプロバイオティクスの効果を検討するためには、「綿密に設計された臨床試験の実施が不可欠である」と指摘。また、消化器専門医は、有益性が明らかな場合に限ってプロバイオティクスを勧めるべきだと呼び掛けている。さらに「プロバイオティクスの効果が得られるのは、特定の菌株に限られることも知っておくべきだ」とAGAは付け加えている。

[2020年6月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら