COVID-19の影響は知的発達障害者の間で特に深刻

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/10

 

 自宅やグループホームでケアを受けている知的発達障害(IDD)のある人たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を特に受けやすいことが、米SUNYアップステート医科大学のMargaret Turk氏らの研究で示唆された。とりわけ、IDDのある若年者でその傾向が強かったという。この研究結果は「Disability and Health Journal」5月24日オンライン版に発表された。

 専門家の一人で、今回の研究には関与していない米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のMichelle Ballan氏は、特に危険性が高いのはグループホームの環境だと指摘する。同氏は「居住施設に住んでいるIDD患者たちは、COVID-19による‘最悪の事態’に直面したのだと思う。IDD患者は、誰かに身の回りの世話をしてもらうことが多いため、ソーシャルディスタンスを保つのが難しく、感染リスクも高い。また、リスクに曝されているのは、IDD患者だけではない。こうした患者を支援する介護者たちもまた、体調が優れないときは自宅にとどまるべきか、自分を必要とする人たちを支援すべきか、二者択一を迫られる」と話す。

 IDDには、ダウン症候群や脳性麻痺などによる障害も含まれる。Turk氏の説明によると、IDDのある人たちは、学習やコミュニケーション、言語、行動など、さまざまな面で機能に制限がある。こうした障害は小児期の早い段階で診断されることが多く、多くの場合、それが生涯にわたって続く。IDDのある人の一部は、さまざまな程度の在宅ケアを受けながら自宅で家族と一緒に暮らしているが、IDD患者のためのグループホームに住んでいる人たちもいる。

 Turk氏らは今回、IDDがCOVID-19感染後の予後にどのような影響を与えているのかを明らかにするために、42カ所の医療機関から提供された、2020年1月20日から5月14日の間にCOVID-19と診断された3万282人の患者のデータを調べた。このうち474人にIDD〔33%に知的障害、56%に広汎性および特異的発達障害、18%に脳性麻痺、21%に染色体異常(うち5%はダウン症候群)〕があった。

 全体として、COVID-19患者のうち、IDDのある人はIDDがない人と比べて、COVID-19の転帰不良に影響する栄養障害や内分泌および代謝性の疾患(糖尿病など)、循環器/心疾患の有病率が高いことが明らかになった。また、IDDのある人とない人との間で、COVID-19感染後の致死率に年齢による違いがある可能性も示された。すなわち、75歳以上では、IDDがある人とない人の間で、致死率に差は認められなかったが(21.1%対20.7%)、18~75歳ではIDDのある人の致死率の方が著しく高くなり(4.5%対2.7%)、18歳未満では違いはさらに顕著だった(1.6%対0.1%未満)。

 Ballan氏は、「COVID-19は、社会的に不利な状況に置かれた人たちに強い負の影響を及ぼすことが知られており、IDD患者もそこに含まれる」と話す。そして、その理由の一つとして、IDDのある人はCOVID-19の重症化リスクを高める糖尿病や喘息、肥満、呼吸器疾患、心疾患などの合併率が高いにもかかわらず、多くの場合、高品質の医療を受ける機会に恵まれていないことを挙げている。

 また、Ballan氏は、各州がIDD患者に自宅待機を要請した当初、介護者が適切な感染防護具を支給されないまま働かざるを得なかった状況にも言及。データの裏付けはないが、複数の場所でIDDのある人たちの食事や入浴、着替えの介助をすることで、多くの人にCOVID-19を感染させてしまった可能性もあるとの見方を示している。

[2020年6月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら