家族性高コレステロール血症は心疾患患者に多い可能性

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/03

 

 家族性高コレステロール血症(FH)は、生まれつき血中コレステロール値が高い遺伝性疾患で、患者数は世界で約2500万人に上ると推定されている。そんな中、米国心臓協会(AHA)が発行する「Circulation」6月2日号に掲載された新たな研究で、特に、心血管疾患患者でFHの有病者が多いことが明らかになった。この論文の著者の一人で英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の臨床研究フェローであるAntonio J. Vallejo-Vaz氏は、「FHの早期発見に向けたスクリーニングプログラムの必要性が強く示された」としている。

 Vallejo-Vaz氏らは今回、一般人口と動脈硬化性心血管疾患患者におけるFHの有病率について報告した欧州や米国の研究データを用いて、何百万人もの人を対象に解析を行った。その結果、一般人口では311人当たり1人がFHであることが明らかになった。

 この研究には関与していない米スタンフォード・ヘルスケアの臨床看護の専門家でシニア・スカラーのMary Ann Champagne氏は、「この論文がFHの有病者数をはっきりと示しているのは確かだ」と指摘。その上で、「私がこの領域に携わるようになった当時、FHの有病率は500人当たり1人と推定されていた」と振り返る。

 また、FHの頻度は、心筋梗塞などの心血管疾患の患者では17人当たり1人にまで上昇し、その頻度は一般人口と比べて18倍高いことも示された。その一方で、FHであるのに、医師によってFHと診断されている人の割合は10%未満に過ぎないと推定された。

 FHでは“悪玉コレステロール”であるLDL-コレステロール(LDL-C)値が上昇し、血管にプラークが蓄積することで徐々に血管の内径が狭くなる。米国心臓病学会(ACC)とAHAの脂質管理ガイドラインによると、LDL-C値が100mg/dL以下の人は心疾患や脳卒中の発症率が低く、「LDL-C値は低ければ低いほど良い」とする考えを支持する結果が研究で示されているという。

 FHを未治療のまま放置すると、LDL-C値が上昇し、その値は成人で190mg/dL以上、小児では160mg/dL以上になる可能性がある。こうした状態は、心疾患の早期発症をもたらしかねない。また、FHがある小児では、FHが遺伝しなかったきょうだいと比べて、10歳を迎えるまでに大動脈に病変を有する頻度や頸動脈の肥厚が生じる頻度が高い。さらに、FHがある青少年の約4人中1人にプラークが認められる。

 FHに関する世界規模のレジストリである、欧州アテローム性動脈硬化症学会(EAS)のFH共同研究のコーディネーターも務めているVallejo-Vaz氏は、FHを「公衆衛生上の問題」とみなし、特に若年層においてFHが心血管疾患を引き起こす要因となり得ることを、医師たちは認識しておくべきだと呼び掛けている。

 Champagne氏は「心筋梗塞を起こした患者には、もっと遺伝子検査を行うことを検討すると良いかもしれない。ただ、自分自身あるいは自分の子どもに遺伝性疾患の可能性があると考えることに抵抗がある人は多い」と指摘する。

 Champagne氏は、FHに関する世界規模の研究は、米国内のFHの状況をより詳細に理解することにもつながるのではないかと期待を寄せている。「米国は、FHの発見と治療で大きな課題を抱えている。しかし、この状況が改善されれば、多大な恩恵が得られる可能性がある」と話している。

[2020年5月29日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.