COVID-19罹患女性の胎盤に異常が認められる

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/03

 

 妊娠中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した女性を対象とした研究から、COVID-19の合併症として胎盤の損傷が生じる可能性が示唆された。一方で、胎盤の損傷を除けば妊娠中の問題は見られず、ほとんどの女性は正期産だったという。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のJeffrey Goldstein氏らが実施したこの研究の詳細は、「American Journal of Clinical Pathology」5月22日オンライン版に発表された。

 この研究で対象となったのは、COVID-19に罹患した女性16人。女性たちのCOVID-19の症状はさまざまで、無症状の女性が6人いたほか、4人には分娩の3~4週間前にインフルエンザに似た症状が、それ以外の女性たちには分娩時に症状が現れた。16人のうち、14人は正期産で、新生児の出生体重も正常範囲だったが、1人は早産、1人は妊娠16週で子宮内胎児死亡となった。Goldstein氏らは、出産直後の女性たちの胎盤を調べた。

 その結果、対象者のうち生児出産となった15人の女性の胎盤には、2種類の異常が認められた。一つは母体から胎児に酸素や栄養素を送るための母体の血管に異常が生じる母体血管灌流障害(maternal vascular malperfusion)と呼ばれる状態(15例中12例)であり、もう一つは胎盤の中に血栓ができる絨毛間血栓(15例中6例)である。母体血管灌流障害は通常、妊娠高血圧腎症または高血圧で見られるが、今回の研究対象者で高血圧が認められたのは一人だけだった。

 こうした結果を受けてGoldstein氏は、「新型コロナウイルスが胎盤での血栓形成に何らかの役割を果たしていて、それが胎盤で起こっている可能性があることを示唆するもの」と説明。その上で、「われわれの限られたデータに基づけば、現時点ではCOVID-19による胎盤の損傷が出生児のアウトカムに悪影響を与えているとは考えられない。しかし、COVID-19に罹患した女性に対しては、特に注意して経過を観察していくべきだと考えられる」と述べている。なお、流産となった女性については、COVID-19に感染していたものの無症状であったため、Goldstein氏は「ウイルスが原因で流産したのかどうかは不明」としている。

 一方、共著者の一人で同大学のEmily Miller氏は、「ほとんどの女性は健康状態が良好で、正期産となり、出生児も極めて正常であった。しかし、今回の研究では、大量の血流が遮断され、多くの女性で胎盤が通常よりも小さいことが示唆された」と指摘する。同氏によると、胎盤には、強度の負荷がかかっても胎児に適切な栄養を供給する機能が備わっている。そのため、たいていの場合、胎児に問題は起こらない。しかし、中には障害を受ける例もあるという。そのため、同氏は「胎盤から胎児への酸素の供給能を評価したり、胎児の発育を確認したりするノンストレステスト(NST)などで、注意深く妊婦を経過観察していくべきだ」と主張している。

 今回のGoldstein氏らの報告を受けて、米ハンチントン病院の産婦人科医であるMitchell Kramer氏は「胎盤に認められた炎症や血栓の形成は、新型コロナウイルスが原因なのかもしれない」とした上で、「さらなる研究が必要ではあるが、それでも、現段階ではCOVID-19に感染した女性から生まれた子どもに悪影響は及ばないものと考えられる」と指摘。「妊婦は過度に恐れるべきではない」と呼び掛けている。

(7月6日 記事内容を一部修正いたしました)

[2020年5月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら