糖尿病は脳卒中後の認知機能に影響を及ぼす

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/07/13

 

 糖尿病患者は脳卒中の発症リスクが高い。しかし、新たに報告された研究によると、糖尿病の影響は脳卒中発症後にも及び、糖尿病のない人に比べて認知機能が大きく低下する可能性があるという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のJessica Lo氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」5月14日オンライン版に掲載された。

 Lo氏らは、脳卒中後の認知機能について各国から報告された7件の観察研究データを統合して解析し、糖尿病の影響を調べた。対象患者数は合計1,601人、平均年齢は66.0歳で、63%が男性、アジア人が70%、白人が26%、アフリカ系アメリカ人が2.6%。

 糖尿病の有無は空腹時血糖値を基に、36%が糖尿病(主に2型糖尿病)、12%が空腹時血糖異常(糖尿病前症)であり、52%は正常耐糖能と判定された。脳卒中の発症後3~6カ月の間に認知機能検査を施行した。なお、脳卒中のタイプは、14人の出血性脳卒中を除き全てが虚血性脳卒中だった。

 認知機能に影響する可能性のある因子(年齢、性別、BMI、喫煙、民族、教育歴、病変部位、脳卒中の既往、高血圧、心房細動)で調整後に、正常耐糖能者を基準として比較すると、糖尿病患者は認知機能の指標が59%有意に低く、注意・情報処理速度、記憶、言語スキル、知覚運動スキル、実行機能などにも有意差が見られた。一方で、糖尿病前症該当者はいずれの認知機能についても、正常耐糖能者と有意な差がなかった。

 米国心臓協会(AHA)のスポークスマンで米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の心臓病予防部門長であるJorge Plutzky氏は、この研究には関与していないが、「糖尿病のある脳卒中患者を糖尿病のない患者と同様に扱うべきでない、という考え方を補強するエビデンスだ」としている。また、この研究では糖尿病前症でのリスク上昇が認められなかったが、血糖値が正常より高いことは要注意だとし、「心血管イベントに関しては、血糖値がやや高い状態もリスクになることが、多くの研究から示されている」と語っている。

 米レノックス・ヒル病院の内分泌専門医であるMinisha Sood氏も、糖尿病前症を軽視すべきでないとする一人だ。同氏は「この研究結果は、糖尿病前症から糖尿病への進行を避けることの重要性を示している。しかし、できれば糖尿病前症も回避すべきであることも強調されるべきだ」と述べている。

 なお、糖尿病患者の認知機能が脳卒中後に低下する理由については、3氏それぞれが以下のような機序を解説。まずLo氏は高血糖に伴う炎症の影響を挙げ、Plutzky氏は、糖尿病患者でよく見られる微小血管障害の影響を挙げている。脳卒中で失われた脳組織周囲への血液供給に必要な細かい血管が、糖尿病のために障害されている場合、必要な血液を供給できなくなる。Sood氏は、糖尿病患者では、脳内の老廃物を除去する力が低下している可能性を指摘している。

 では、どのような対策をとれば良いのだろうか。Lo氏によると、「糖尿病患者が脳卒中後に健康状態が悪化したとしても、その状態に応じた生活スタイルに変えることが可能であり、そのような考え方をすることが重要だ」と述べている。ただし、「理想的には脳卒中が起きる前に、生活習慣を改善(健康的な食事の摂取、減量、定期的な運動)すべきであり、その変更は糖尿病前症の段階から始めるべき」と付け加えている。

[2020年5月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら