血液検査で50種類以上のがんを検出

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/04/28

 

 何種類ものがんの有無を一度に調べることができる血液検査の開発に向けた研究で、大きな前進が見られた。米マッケッソン・スペシャリティ・ヘルスおよびUSオンコロジー・リサーチのMichael Seiden氏らは、50種類以上のがんを高精度で検出でき、その部位も同定できるという血液検査法について報告した。特に、危険性が高いにもかかわらず、目下のところ有効なスクリーニング法がない種類のがんの早期発見において、重要な役割を果たす可能性が期待できるという。Seiden氏は「今回の研究結果が今後の研究であらためて確認されれば、この検査法を一般に導入して、多くのがんを一度にスクリーニングすることも視野に入ってくるのではないか」と話している。研究結果の詳細は「Annals of Oncology」3月30日オンライン版に掲載された。

 この検査は、次世代シークエンス解析と機械学習とを組み合わせて、死滅した細胞から血液中に放出されたDNAのメチル化パターンを読み取り、がんの種類や部位を同定するというもの。DNAメチル化は、細胞の分化や遺伝子発現などに重要な役割を果たすが、がん細胞ではDNAメチル化パターンに異常が見られることが知られている。

 Seiden氏らはがん患者2,482人とがんではない4,207人の計6,689人から血液サンプルを採取。患者が罹患しているがんは、乳がん、大腸がん、食道がん、膀胱がん、胃がん、肺がんなど50種類以上に及んだ。得られたサンプルをトレーニング群と検証群に分類し、このうち、解析可能な4,316人(トレーニング群3,052人、検証群1,264人)についての分析結果を検証した。

 その結果、トレーニング群と検証群の両群において、一貫した診断精度が得られた。検査の特異度は、それぞれ99.8%、99.3%であった。これは、偽陽性率(がんではないのに誤ってがんと判定する率)がいずれも1%未満であったことを意味する。ちなみに、現行の乳がんスクリーニング検査では、偽陽性率は約10%である。また、感度(がん患者を正しくがんであると判定する率)はそれぞれ55.2%、54.9%であった。

 さらに、検証群では、がんがあると判定された人の96%でがんの部位がほぼ推測でき、実際にその推測が正しかった割合は93%であった。

 一方、米国におけるがん死亡のおよそ63%を占める肺・膵臓・大腸・卵巣がんなど12種類のがん(ステージI、II、IIIのいずれか)だけに絞ると、トレーニング群では69.8%、検証群では67.3%の感度で検出することができた。検証群でのこれら12種類のがんに対する感度は、ステージIで39%、IIで69%、IIIで83%、IVで92%と、ステージが進むほど高くなった。

 こうした結果を受けてSeiden氏は、「血液中のDNAのメチル化パターンを指標にしたこの検査により、転移の有無にも関係なく、多様ながんを検出できることが示された。得られた特異度および感度の高さは、一般集団を対象に行われるスクリーニングに必要とされるレベルに近い」と話している。

 この報告を受けて、米国がん協会(ACS)の副チーフ・メディカル・オフィサーを務めるLen Lichtenfeld氏は、「がんの中でも、特に現時点で有効なスクリーニング検査法がないがんに対し、血液を使って高精度で実施できるスクリーニング法の開発は、長年の悲願だ」と説明。その上で、「今回の研究結果は有望ではあるが、血液検査によるがんのスクリーニングが広く実施されるようになるのは、まだだいぶ先のことだろう」との見方を示している。

[2020年3月31日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら