全身性エリテマトーデスの新薬に大きな希望

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/01/15

 

 自己免疫疾患の一種である全身性エリテマトーデス(SLE)に苦しむ患者が新たな治療選択肢を手にする日は近いかもしれない―。体の免疫反応を活性化させるI型インターフェロン受容体を阻害する抗体であるanifrolumabを投与したSLE患者では、プラセボを投与したSLE患者と比べて症状が有意に改善したとする臨床試験の結果が、「New England Journal of Medicine」12月18日オンライン版に発表された。

 SLEは免疫系が自分の体を攻撃することで炎症や疼痛が引き起こされる疾患である。米国のSLE患者数は約150万人、世界では500万人超と推定されており、患者の10人中9人は女性である。米国ループス財団によると、高頻度に見られるSLEの症状は、発疹や関節痛、関節の腫れ、頭痛、重度の倦怠感、貧血などの他、手足が熱を帯びたり腫れたりすることもある。また、SLEを発症すると内臓に持続的な炎症が見られ、SLEと診断された患者の約10%が10年以内に死亡するという。

 今回報告されたのは、モナシュ大学(オーストラリア)のEric Morand氏らが3年にわたって実施した国際共同臨床試験の結果である。研究チームは、362人のSLE患者のうち、180人を4週間ごとに48週間にわたりanifrolumab 300mgを静注投与する群に、182人をプラセボ投与群に、それぞれランダムに割り付けた。

 その結果、52週後にSLE症状の改善が認められた割合は、プラセボ群の31.5%に対してanifrolumab群では47.8%と有意に高く、anifrolumabを投与した患者の多くでSLEによる発疹が消失するなど、試験の主要な評価項目を達成することができた。また、anifrolumab群では症状のコントロールに必要なステロイド薬の用量が減り、症状が再燃する頻度も低下した。副作用のためにanifrolumabの使用を中止しなくてはならない患者もいなかった。ただし、7.2%に帯状疱疹、12.2%に気管支炎が認められ、肺炎による死亡例が1例あった。

 こうした結果を受けてMorand氏は、「SLE患者の約80%でI型インターフェロン遺伝子が過剰に発現していることは以前から分かっていた。anifrolumabはI型インターフェロン受容体を阻害するという作用のみを有するが、今回の試験では、患者アウトカムの劇的な改善に関連しており、I型インターフェロン遺伝子の過剰発現がSLEにおいて主要な役割を担っていることが示された」と結論付けている。

 さらに、Morand氏は「これまで長い間、SLEの領域では良い報告がなかった」とし、「この試験結果によって、どうすれば治療を向上させられるのかが明らかになりつつある。この数年以内にさらに多くのSLE治療薬の開発が成功することを願っている」と話している。

 なお、今回の試験はアストラゼネカ社の助成を受けて実施された。今回の試験とこれまでの同薬の試験の結果に基づき、anifrolumabの権利を保有するアストラゼネカ社は、2020年の上半期に米食品医薬品局(FDA)に対して同薬の承認申請を行う予定だとしている。

[2019年12月19日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら