脳梗塞とがん併存患者に特異的な遺伝子発現を同定、米研究

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HealthDay News

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 脳梗塞の原因は、高血圧や喫煙など明確なものばかりではなく、「潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)」と呼ばれる原因不明なものも多い。米ワイルコーネル医科大学のBabak Navi氏らは今回、脳梗塞とがんが併存する患者で特異的に発現する遺伝子を同定。塞栓源が不明な脳梗塞の一部は、がんが引き金となって発症する可能性があるという研究結果を「Stroke」9月12日オンライン版に発表した。同氏らは「今回の研究結果は、がんの早期診断につながる可能性がある」と期待を寄せている。

 今回の研究は遺伝子解析に焦点を当てたもの。血液サンプルを用いて1万2,000個以上の遺伝子を調べた結果、がんを併存する脳梗塞患者で特異的に発現する438個の遺伝子を発見した。Navi氏は「これまで、がん患者と脳梗塞患者、あるいはこれらを併発した患者間の遺伝子発現の違いを調べた研究はほとんどなかった」と説明している。

 複数の疾患を持つ患者の遺伝子の変化を調べた画期的な研究結果は、新たな診断法や治療法の開発につながると期待されるという。今回の研究は、対象者数が40人と小規模なものだったが、Navi氏は「がんを併存する脳梗塞患者は、明らかに特異的な遺伝子発現プロファイルを持つことが示された」と研究の意義を強調。その上で、「血液検査は、CT検査やPET(陽電子放射断層撮影)検査よりも簡単かつ安全で、さらに安価だ」と同氏は付け加えている。

 今回の研究には関与していない、米サウスカロライナ医科大学臨床脳卒中サービスの医長を務めるChristine Holmstedt氏は、「今回の研究結果は、がんの早期発見につながる可能性がある。これは素晴らしいことだ」と研究を高く評価する。同氏によれば、がんと診断された患者は、遺伝子検査で将来の脳卒中リスクを予測できることも考えられるという。「過剰な血栓形成を起こしやすいがん患者を早めに見つけて対処すれば、脳卒中を予防できる可能性がある」としている。

 米国では、がんは死亡原因の第2位を占め、脳卒中は第5位で手足の麻痺や言語障害といった後遺症の主な原因にもなっている。また、脳梗塞患者の4人に1人は原因が明らかではない潜因性脳卒中だとされている。

 Navi氏らは今回、2009~2018年の間に3カ所の施設で前向きに登録した、計40人のがん患者または脳梗塞患者、がんと脳梗塞が併存した患者を対象に血液サンプルを採取。「メッセンジャーRNA」と呼ばれる分子について解析し、これらの患者における遺伝子発現の違いを調べた。

 その結果、がんを併発した脳梗塞患者で特異的に発現する438個の遺伝子が同定された。加えて、このような患者が発症した脳梗塞の約半分は原因不明で、一般的な脳卒中のリスク因子によって引き起こされたものではないことも分かった。

 今回の研究で分子解析を行った米カリフォルニア大学デービス校医学部神経学のBoryana Stamova氏は「脳卒中患者の10%はもともとがんに罹患しており、4%は脳卒中発症から数年以内にがんと診断されることからも、これらの疾患は強く関連することは明らかだ」と指摘。今回の研究については、「がんと脳卒中の関係について、その一端が示されたに過ぎない」と話している。一方、Navi氏は今後、大規模な研究で検証する必要があるとしているが、今回の分析結果が治療を向上させる一助になるものと期待を示している。

[2019年9月12日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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