膵臓がんのスクリーニングを推奨せず、米国予防医学専門委員会声明

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HealthDay News

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 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は2019年8月6日、膵臓がんのスクリーニングに関する有益性と有害性をレビューした結果、症状のない成人に対する膵臓がんのスクリーニングを推奨しないとする声明を発表した。

 USPSTFは予防とエビデンスに基づく医学の有志の専門家から成る独立した組織であり、今回のレビューは、2004年に発表された膵臓がんのスクリーニングに関する勧告を更新する目的で実施された。

 膵臓がんは、がんとしてはまれだが、生命に影響を及ぼす深刻な疾患で、米国では10万人年当たり12.9人が発症し、がんの部位別の死亡率では第3位である。予後は悪く、5年生存率は全体では9.3%と報告されている。やっかいなのは、膵臓の腫瘍は、発見されたときにはすでに末期の状態であるケースが多いことである。そのため、このがんは「サイレントキラー」と呼ばれている。米国がん協会(ACS)は、2019年には5万6,770人の米国人が膵臓がんと診断され、4万5,750人が死亡すると予測している。

 今回、USPSTFは、システマティックレビューにより得られた膵臓がんのスクリーニング検査の有益性と有害性、診断精度、スクリーニングにより検出された膵臓がんや無症候性の膵臓がんに対する治療の有効性と安全性に関する新たなエビデンスの再検討を行った。

 その結果、スクリーニングにより患者の罹患率や死亡率、全死亡率が改善したエビデンスはなかったことが分かった。また、症状のない成人に対してスクリーニングを行うことの有益性は小さく、膵臓がんのスクリーニングおよびスクリーニングにより発見されたがんの治療の有害性は少なくとも中等度であることも分かった。さらに、スクリーニングによっては侵襲的であり、痛みを伴う上に不正確である可能性もあり、膵臓を傷つけてしまうこともあるという。

 この結果についてUSPSTFのメンバーであるChyke Doubeni氏は「現時点では、無症状の成人に対する膵臓がんのスクリーニングの潜在的な有益性は、潜在的な有害性を上回るものではないとする前回の結論が改めて確認された」と結論づけている。

 また、別のメンバーであるChien-Wen Tseng氏は、「臨床医にとって、治療可能な早期の段階で膵臓のがんを発見できることが重要だ。USPSTFは、がんを早期に発見でき、患者に与える害が少ない、より有効で正確なスクリーニングを求めている」と述べている。

 一方、USPSTFのメンバーではない、米フォックスチェイスがんセンターのSanjay Reddy氏は、「早期発見という点では、バイオマーカーの持つ役割、つまりある種の血液検査が最も有望だ」と話す。だが、現段階では、この検査の有効性を検証する良い方法がないとし、「早期にがんを発見するための最善の選択肢が、膵臓がんの高リスク患者だけでなく全ての患者にスクリーニングを行うことであることに変わりはなない」と話している。なお、USPSTFは、膵臓がんのスクリーニングは、このがんの高リスク患者には依然として必要であることを強調している。

[2019年8月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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