治安の悪い地域に住む小児の喘息管理は家族関係が鍵?

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HealthDay News

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 治安の悪い地域に住む喘息持ちの小児では、家族関係が良好であれば喘息の症状が緩和される可能性があることが、新たな研究で明らかにされた。論文の筆頭著者である米ノースウェスタン大学ウェインバーグ総合学院心理学教授のEdith Chen氏は、「近隣環境と家族関係の質との間には有意な相互作用が認められ、これにより小児喘息患者の臨床転帰を予測できることが分かった」と述べている。研究の詳細は、「Pediatrics」7月18日オンライン版に掲載された。

 汚染物質やアレルゲンなど近隣の環境因子が、喘息を持つ小児の喘鳴や呼吸に影響を与えることは以前から知られていたが、家族関係などの社会的条件が与える影響については、これまであまり分かっていなかった。

 そこで、Chen氏らは、シカゴのさまざまな地区に住む、9~17歳の小児喘息患者308人を対象に、近隣環境が悪い地域に住む小児の喘息に良好な家族関係が及ぼす影響を調べた。同氏らはGoogleストリートビューを使ってそれぞれ住環境の状況を調べ、落書き、捨てられた車、鉄格子の付いた窓やドア、廃屋や板を打ち付けた家などを治安の悪さや危険の指標とした。

 その結果、近隣環境と家族関係との間には有意な相互作用が認められ、危険が多い地域や治安の悪い地域に小児が住んでいる場合、家族関係が良好であるほど、小児の喘息の症状や活動制限が少なく、肺機能も良好であることが明らかになった。一方、危険が少ない地域や秩序の保たれた地域に小児が住んでいる場合では、喘息症状、活動制限および肺機能は概して良好であり、家族関係による影響はほとんどみられなかった。

 Chen氏は、環境の悪い地域から出ていくことができない家庭が多いことを考えると、小児科医にとってこの結果は重要だと考えている。そして「家族が直面していると思われる住環境を現実問題として認識し、子どもの喘息管理に家族の支えがいかに有効であるかについて小児科医が家族に助言を与えることができれば、家族の役に立つだろう」と話す。

 なぜ、良好な家族関係が、治安が悪い地域に住む小児の喘息の症状を軽減するのか。今回の研究では明確な理由は示されていないが、Chen氏らは、「親からのサポートを十分に受けていれば、子どもは自分の喘息の管理を優先することができるのかもしれない。喘息の管理の妨げとなるものが最小限に抑えられるよう、家族が地域のストレス要因から子どもを守っているのではないか」と可能性を説明している。ただし、同氏は、これが現時点では推測にすぎないことを認めており、「今後の研究でこの考えが正しいか検証していく必要がある」としている。

 なお、米疾病対策センター(CDC)によると、米国では8%を超える小児が喘息を抱えているという。

[2019年7月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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