1型糖尿病は幼少期からの脳の発達に影響する可能性

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HealthDay News

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 幼少期に1型糖尿病と診断された小児では、1型糖尿病のない小児に比べて、軽度認知障害に関連する脳内部位の発達に遅れがみられることが、米ネマーズ小児ヘルスシステムのNelly Mauras氏らの研究で示された。このような脳の発達遅延は不十分な血糖コントロールと関連することも分かったという。研究の詳細は、米国糖尿病学会(ADA 2019、6月7~11日、米サンフランシスコ)で発表された。

 この研究は、米国の5施設から登録した1型糖尿病の小児患者138人と年齢をマッチさせた糖尿病のない小児66人を対象としたもの。1型糖尿病の患児が診断を受けたのは4~7歳のときで、試験開始時の年齢(中央値)は7歳、罹病期間は平均2.4年だった。MRI検査を試験開始時、18カ月後および約3年後の計3回施行して複数の関心領域の白質および灰白質の容積を評価。HbA1c値などの医療記録を収集し、思考力と記憶力の検査も実施した。

 その結果、いずれの時点においても、1型糖尿病患児群と糖尿病のない対照群では脳全体や局所の白質および灰白質の発達に、軽度だが有意な差が認められた。また、このような脳の発達遅延はHbA1c高値と関連することも分かった。ただし、Mauras氏によれば、良好な血糖コントロールを行ってもこのような差が生じるかどうかは明らかになっていないという。

 また、思考力と記憶力(認知機能)の検査を行ったところ、1型糖尿病の有無でIQスコアには5~7ポイントの差が認められた。中でも、言語性IQと語彙において明確な差が生じていた。

 これらの結果から、Mauras氏は「認知機能に関連する複数の脳内部位の容積には、臨床的に意味があり、かつ一貫した差が認められた。また、このような発達の遅れは脳全体に及んでいることも分かった」と説明している。

 一方、Mauras氏は「1型糖尿病を患っていても優秀な子どもは多い。今回の研究に参加した子どもの多くは学校内外で良い成績を収めていた」と強調する。しかし、同氏は「今回の結果や先行研究からは、現行の血糖管理では、脳に生じる糖尿病合併症を予防するには不十分である可能性が示された」としている。

 この研究には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルス小児糖尿病センター長のMary Pat Gallagher氏は「幼い1型糖尿病の子どもを持つ親は、低血糖ばかりを心配しがちだが、Mauras氏らの研究で、幼少期であってもより厳格な血糖コントロールを達成すべきとする最近の勧告を裏付ける結果が得られた」と述べている。同氏によれば、小児の1型糖尿病患者ではこれまで低血糖が最大の課題とされてきたが、ADAは近年、小児期は脳の発達にとっても重要な時期であることから、厳格な血糖コントロールを重視する方針をとっているという。

[2019年6月13日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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