「添加糖分」表示で心疾患や糖尿病が大幅減の可能性

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HealthDay News

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 米食品医薬品局(FDA)は2016年、包装された全ての食品や飲料の栄養成分表示に「添加糖分(added sugar)」を加えることを義務づける改正案を発表した。その効果を米タフツ大学栄養科学政策学部のRenata Micha氏らが試算したところ、この改正により、2018年から2037年にかけて35万件以上の心血管疾患と約60万件の2型糖尿病を予防できる可能性が示された。研究の詳細は「Circulation」4月15日オンライン版に発表された。

 Micha氏らによると、米国成人の添加糖分の摂取量は1日当たりの総カロリー摂取量の15%以上を占め、推奨レベルの10%未満を上回るとされている。FDAが改正した栄養成分表示では、「総炭水化物」の欄に食品そのものに含まれる糖分に加えて、加工の過程で添加される糖分を明示することとされた。新たな表示では、消費者に分かりやすいように、さまざまな糖類の添加糖分の合計グラム数と平均的な1日の総カロリー摂取量に占める比率が記載される。

 Micha氏らは、今回、人口統計学的因子やリスク因子、食習慣、既往症などさまざまな情報を考慮に入れた、検証済みのコンピューターモデルを用いて、栄養成分表示の改正が、消費者の食品の選択や長期的な健康に及ぼす影響、さらに、心血管疾患や2型糖尿病の予防効果などを試算した。

 分析の結果、この栄養成分表示の改正が実施されれば、消費者の食品の選び方に変化が生じ、今後20年間で35万4,400件の心血管疾患と59万9,300件の2型糖尿病の予防につながる可能性があると推計された。

 また、この改正により、米国では医療費が310億ドル(約3兆4000億円)、生産性やその他の社会的コストが619億ドル(約6兆9000億円)の削減につながる可能性も示された。さらに、改正を受けて、たとえ一部であっても食品業界が添加する砂糖の量を削減すると、今後20年間で70万8,800件の心血管疾患と約120万件の2型糖尿病を予防できると試算された。こうした企業努力が加わると、改正による健康面や財政的なベネフィットは倍増する可能性が見込まれるという。

 先行研究では、栄養成分表示を見直すと、消費者が賢く食品を選ぶようになることが報告されている。例えば、トランス脂肪酸の成分表示が義務付けられた後には、トランス脂肪酸を多く含む食品の売り上げは減少し、食品業界も使用を控えるようになったという。

 この研究には関与していない、米マウントサイナイ医科大学で体重・代謝管理プログラムのディレクターを務めるReshmi Srinath氏は、消費者が添加糖分に関して詳しい情報を得られるようになれば、トランス脂肪酸と同様の動きが起こるだろうと予想している。

 また、Micha氏によると、新しい食品成分表示に対応して食品業界が添加糖類の削減に動けば、より大きなベネフィットが得られることを示した今回の研究結果は注目に値するという。同氏は「問題解決を図るには業界を巻き込むことが必要だ」と指摘している。しかし、FDAはこの新表示の導入を2020年まで見送ることを公表しており、同氏は「一刻も早い導入が望まれる」と話している。

[2019年4月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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