切除不能な膵臓がん、余命延長を予測する3つの因子とは?

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HealthDay News

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 切除不能な膵臓がん患者において、化学療法に関連した3つの因子が余命延長の予測に有用な可能性があることが、米メイヨー・クリニックの腫瘍外科医Mark Truty氏らが実施した研究で分かった。同氏らによれば、放射線治療や外科手術に進む前に、これら3つの因子に焦点を当てた化学療法を行った後に、適切に放射線治療と外科手術を組み合わせることで同患者の生存期間は延長できるという。研究の詳細は「Annals of Surgery」4月2日オンライン版に発表された。

 Truty氏によれば、膵臓がん患者の約35%は、主要な臓器への転移は認められないが、診断時にはがんは膵臓の外にまで広がり、周囲の重要な血管の多くに浸潤が認められるという。こうした膵臓がんは外科的に切除しても取り切れない確率が高く、患者には従来、「がんは切除不能で余命は12~18カ月」と告知されてきた。同氏らは今回、こうした患者でも、化学療法の組み合わせを改良することで予後は改善するのではないかと考えたという。

 Truty氏らは今回、同クリニックで化学療法を受けた後、放射線治療と外科手術を受けた患者194人を対象に、7年以上にわたり追跡した。このうち約半数は別の施設で手術はできないと告げられ、治療を求めて同氏のもとを訪れた患者だった。対象患者の全生存期間は平均58.8カ月であった。

 その結果、化学療法に関連する以下の3つの因子を有する患者では、余命が延長したことが分かった。「切除不能とされる膵臓がん患者の平均余命は2年以内とされるが、これら3つの因子を持つ患者では約5年に延びていた」とTruty氏は説明している。3つの因子は以下の通り。

(1)手術前に受けた化学療法のサイクル数が多いこと。
(2)膵臓がん細胞から放出される「CA19-9」と呼ばれる腫瘍マーカーの血中濃度が、化学療法後に正常値まで低下していること。
(3)手術で腫瘍を切除する際、その腫瘍がすでに化学療法によって完全に、あるいはほとんど死滅していること。

 対象患者のうち、これら3つの因子を全て有していた患者は全体の約29%だった。これらの患者の半数以上が現在も生存しているため、生存期間の中央値は算出できなかったが、2つの因子を有する患者(全体の29%)ではこの期間は58.6カ月、1つの因子を有する患者(同31%)では29.7カ月と、保有する因子の数が多いほど余命は延長した。なお、これらの因子を1つも持たない患者(全体の11%)では生存期間の中央値は18.5カ月だった。

 さらに、この研究では、化学療法により腫瘍が死滅したかどうかを判定するには、陽電子放出断層撮影(PET)検査が適することも示された。Truty氏は「放射線治療や外科手術に進む前に、CA19-9腫瘍マーカー値が正常になり、PET検査で腫瘍が死滅したことが確認されるまで化学療法を繰り返すことが重要だ」とし、化学療法の治療効果の判定にCA19-9測定とPET検査を考慮する必要があると述べている。

 一方、専門家の一人で米フォックス・チェイスがんセンター准教授のIgor Astsaturov氏は、こうした治療戦略を高く評価した上で、「どの病院でも受けられる治療ではない」と指摘している。その上で、「この種の手術には卓越したスキルとともに、さまざまな領域の専門家によるサポートが不可欠だ。それには手術症例数が多く、学術レベルの高い施設で治療を受ける必要がある」と話している。

[2019年4月2日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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