乳がん生存者の疲労軽減に「自己指圧」が有望

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HealthDay News

乳がん生存者の疲労軽減に「自己指圧」が有望のイメージ

 乳がん生存者を苦しめるがん治療の後遺症は、自分でできる自己指圧(self-acupressure)で解消できる可能性があることが、米ミシガン大学のSuzanna Zick氏らの研究で示された。疲労を訴える生存者が自己指圧を行ったところ、通常ケアを受けた女性に比べて慢性疼痛や不安、抑うつ、不眠などの症状が改善したことが分かった。この研究結果は「JNCI Cancer Spectrum」1月16日オンライン版に発表された。

 Zick氏によれば、乳がん生存者では、同年齢の乳がんを経験していない健康な女性と比べて疲労やそれに伴うさまざまな症状がみられる確率が2~4倍に上るという。同氏は「自己指圧は、実際に脳内の神経伝達物質を変化させると考えている。しかも、この技法は簡単に習得できる」と説明する。

 指圧(中国式指圧)は、鍼治療と同じ原理に基づいた伝統的な中国医学の技法の一つで、さまざまな症状に関連すると考えられる身体の特定の部位に、針を刺入する代わりに圧力を加える治療法を指す。Zick氏らは以前、指圧によって乳がん生存者の疲労が軽減したとする研究結果を報告していた。

 今回の研究では、疲労に加えて抑うつや不安、疼痛、不眠などの症状がみられる288人の患者を(1)睡眠指導を行う通常ケア群、(2)緩やかな指圧(relaxing acupressure)を自分で施す群、(3)刺激の強い指圧(stimulating acupressure)を自分で施す群の3つの群に分けて比較検討した。

 なお、2つの指圧群では、刺激する身体の部位が異なっていた。このうち緩やかな指圧群では、指先や親指、消しゴムを、身体の5つの部位の表面に円を描くように動かしながらしっかり押し付けるように指導した。5つの部位は、眉間や耳の後ろ、手首の内側、足首の内側、足の甲とした。

 6週間後、緩やかな指圧群では、残る2つの群と比べて著明な症状の改善が認められた。抑うつ症状は、刺激の強い指圧群では25%、通常ケア群でも7.7%改善したが、緩やかな指圧群では41.5%の改善がみられた。また、通常ケア群と比べて2つの指圧群では不安症状が改善したが、疼痛の軽減がみられたのは緩やかな指圧群のみであった。

 この研究には関与していない、米クリスティアナ・ケア・ヘルスシステム支持療法・緩和ケアプログラムのRoshni Guerry氏は、自己指圧は1日10分程度と短い時間で行えるほか、副作用の可能性も低いと評価する。さらに、「複数の症状を改善できる点も、コンプライアンスの向上につながりやすい」として期待を示している。一方で、同氏は「指圧の教育者や、教育者の指導に当たる資格を有した鍼師が限られていることが、自己指圧の普及を阻む要因となりそうだ」と指摘している。

[2019年1月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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