中年期の立ちくらみは認知症のサイン?

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HealthDay News

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 立ちくらみは「起立性低血圧」とも呼ばれ、高齢者では珍しくない症状だが、中年期の人でみられたら注意した方が良いかもしれない。米ジョンズ・ホプキンス大学神経学教授のRebecca Gottesman氏らの研究から、中年期に起立性低血圧があった人では、そうでない人と比べて25年以内に認知症を発症するリスクが約1.5倍であることが分かった。この研究結果は「Neurology」7月25日オンライン版に発表された。

 立ちくらみなどの起立性低血圧の症状は、立ち上がったり、起き上がったりしたときに、急に血圧が下がることで引き起こされる。特に高齢者で多くみられ、70歳以上では有病率は約30%に上ることが報告されている。

 Gottesman氏らは今回、前向きコホート研究であるAtherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC)研究のデータを用いて、起立性低血圧と認知症および認知機能の低下との関連について検討した。対象は、1987~1989年の研究開始時に40歳代または50歳代だった冠動脈疾患や脳卒中の既往歴がない男女1万1,709人で、2011~2013年まで追跡した。対象者は研究開始時に臥位および立位で血圧を測定し、起立性低血圧の有無を評価した。なお、起立性低血圧は立ち上がった後に収縮期血圧値が20mmHg以上低下または拡張期血圧値が10mmHg以上低下した場合と定義した。

 その結果、対象者の約5%に起立性低血圧が認められた。解析の結果、追跡開始から25年以内の認知症の発症率は、起立性低血圧がなかった人では9%だったのに対して、起立性低血圧がみられた人では12.5%と、認知症リスクは1.54倍に上昇していた。起立性低血圧がみられた人は、そうでない人と比べて年齢が高く、高血圧や糖尿病の有病率が高かったが、これらの要因で調整後も起立性低血圧と認知症との関連が認められたという。

 Gottesman氏は「中年期に起立性低血圧があると、その後の認知症リスクが高まる理由は明らかではない」とした上で、「高血圧や糖尿病があると認知症リスクが高まることが知られているが、この理由は、これらの疾患で脳への血流が障害されるためではないかと考えられている。そのため、起立性低血圧でも脳への血流が一時的に低下することで認知症リスクが高まる可能性がある」と説明している。また、「比較的若い人で起立性低血圧が起こるのには、全般的な健康状態が悪く、降圧薬などを使う頻度が高いことが背景にある可能性も考えられる」と付け加えている。

 この研究報告を受け、米アルツハイマー病センター所長のAnil Nair氏は「心血管の健康状態が認知症リスクに影響するという新たなエビデンスが加わった」と話している。また、今回の対象者の3分の2には高血圧があり、降圧薬を使用していた人が多かったことを指摘し、「降圧薬は起立性低血圧の原因となり得るため、服用中の人は立ちくらみなどの起立性低血圧が疑われる症状を経験したら、早めに医師に相談してほしい」とアドバイスしている。

[2018年7月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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