3回目までと比較した4回目コロナワクチンの安全性/CDC

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/11

 

 2回目の追加接種(4回目接種)の安全性については、限られたデータしか報告されていない。今回、4回目接種としてファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンを接種した50歳以上の約29万例についての安全性モニタリングデータを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)7月29日号に報告した。

 米国では、2022年3月29日に50歳以上および中程度から重度の免疫不全を有する12歳以上で、3回目接種後4ヵ月以上経過した人に対しmRNA ワクチンの4回目接種が承認された。7月10日までに、50歳以上の約1,680万例が4回目接種を受けている。今回、同期間中の4回目接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された有害事象および健康影響評価のレビューが行われた。なお、接種回数ごとの有害反応と健康影響の比較は、4回とも同じメーカー製ワクチンを接種した人(以下、同種接種者)に限定して実施された。

 主な結果は以下の通り。

・2022年3月29日から7月10日に、50歳以上のv-safe登録者のうち、合計28万6,380人が4回目のワクチン接種(同種または異種)を受けたと報告した。登録者の年齢中央値は67歳、17万3,525例(60.6%)が女性で、24万8,887例(86.9%)が同種接種者であった。
・このうち、4回目としてファイザー社ワクチン接種者は14万8,921例、モデルナ社ワクチン接種者は13万7,459例だった。
・4回目接種後1週間での局所反応は、ファイザー社49.1% vs.モデルナ社62.1%で報告され、最も多かったのは注射部位の痛み(45.8% vs.57.2%)だった。
・4回目接種後1週間での全身反応は、ファイザー社44.2% vs.モデルナ社51.5%で報告され、多かったのは倦怠感(31.0% vs.37.8%)、頭痛(21.3% vs.26.4%)、筋肉痛(20.9% vs.27.2%)だった。
・局所反応、全身反応ともに軽度から中等度がほとんどで、接種翌日に最も多く報告された。
・同種接種者において接種回数ごとの比較をみると、局所反応の報告は、4回目接種後がこれまでのどの接種回後よりも少なく(p<0.001)、全身反応の報告は、4回目接種後が2および3回目接種後よりも少なかった(p<0.001)。
・上記期間中、VAERSに8,515件の有害事象が報告された。年齢中央値は68歳で、62.9%が女性だった。
・94.8%が非重篤であり、ワクチン接種ミス(有効期限切れ、製品保管ミスなど)35.8%、COVID-19が26.1%、ワクチンおよびCOVID-19に関連する局所・全身反応(倦怠感15.3%、頭痛13.0%、発熱12.1%)などが報告されている。
・全体で12件の心筋炎が報告された(非重篤6件、重篤6件)。1件はCDCによる心筋炎の症例定義に合致したが、本レポート作成時点で回復を続けている。
・重篤な有害事象報告442件(5.2%)のうち,死亡は52件であり,死亡者の年齢中央値は84歳であった。死亡診断書に記載された死因は、うっ血性心不全、大動脈解離、けいれん、重度認知症、冠動脈疾患に伴う心停止などだった。なお、報告された重篤な事象のうち、19.0%はCOVID-19であった。

 著者らは、50歳以上の同種接種による4回目接種後の局所および全身反応の頻度は3回目接種後より低く、重篤な有害事象の発生は稀であるが、接種後に局所的および全身的な反応が予想されることは認識しておく必要があるとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)