日本語でわかる最新の海外医学論文|page:940

高温多湿の国における腰痛の疫学

 腰痛は、患者の受診理由のうち頻度の高い疾患の一つだが、カタール・ワイルコーネル医科大学のAbdulbari Bener氏らは、高温多湿の国カタールでのプライマリ・ケアにおける腰痛の疫学を調査した。その結果、有病率は男性よりも女性のほうが高く、高齢者および肥満者に多いことを報告した。Journal of Primary Care & Community Health誌2013年7月1日号(オンライン版2013年2月19日号)の掲載報告。

【ご案内】杉本真樹氏『医療者・研究者のための人を動かすプレゼンテーション』出版キックオフイベントのお知らせ

 最先端医療の研究開発を通じ、プレゼンテーションとコミュニケーションの新たなアプローチを提唱している神戸大学消化器内科の杉本真樹氏が、著書『医療者・研究者のための人を動かすプレゼンテーション』を出版するのを記念し、7月28日、東京都内にて出版キックオフイベント~プレゼンテーション思考でメディカルとメディアの交差点へ~が開催されます。

医療の一環としてプラセボ治療を行うことに患者は好意的/BMJ

 医療の一環としてプラセボ治療を行うことに対して、多くの患者は好意的な考えを持っていることが、米国・国立衛生研究所(NIH)のSara Chandros Hull氏らによる電話サーベイの結果、報告された。米国では近年、臨床においてプラセボ治療が行われていることが調査によって明らかにされたという(たとえば内科とリウマチ医の調査で半数がプラセボを処方していることが判明したなど)。こうした動向に対しHull氏らは、他国で行われたプラセボ治療についての調査で、患者自身は特定の状況下であればプラセボ治療に寛容であることが示されたという報告を受けて、米国患者のプラセボ治療の使用に対する考え方を調査した。BMJ誌オンライン版2013年7月2日号掲載の報告より。

在宅歩行運動療法、PAD患者の身体機能を改善/JAMA

 集団認知行動療法による患者の動機づけに基づく在宅歩行運動療法が、末梢動脈疾患(PAD)患者の身体機能の改善に有用なことが、米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校のMary M McDermott氏らが実施したGOALS試験で示された。下肢PAD患者の身体機能障害の治療法はほとんどなく、監視下トレッドミル運動療法はその有効性が確認されているものの、通常は医療保険の対象外であったり、施設へ通う必要があるなどの問題がある。在宅歩行運動療法も有望視されているが、最近の無作為化試験の結果は一貫性がなく、現行のACC/AHA(米国心臓病学会/米国心臓協会)やTASC(Trans-Atlantic. Inter-Society Consensus)の診療ガイドラインはこれを推奨するエビデンスは十分でないとしている。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

急性期脳内出血に対する迅速降圧治療(<140mmHg)は、死亡や重度身体障害を減らすことはないが、機能的転帰の改善をもたらす(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(112)より-

 INTERACT2(Intensive Blood Pressure Reduction in Acute Cerebral Hemorrhage Trial 2)は、脳内出血患者に対する迅速な積極的降圧治療の有効性と安全性を評価することを目的に、多施設共同前向き無作為化非盲検試験として行われた。被験者は、発症6時間以内の脳内出血患者2,839例(平均年齢63.5歳、男性62.9%)で、積極的降圧群(1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHg、1,403例)またはガイドライン推奨群(1時間以内の収縮期血圧目標値<180mmHg、1,436例)に割り付けられた。主要転帰は90日後の死亡と重度身体障害[modified Rankin scale (mRS)で定義されるスコア3~6(死亡)]とされた。

高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは?

 順天堂大学医学部附属病院練馬病院・先任准教授の八田 耕太郎氏らは、一般病院入院中にせん妄を発症した高齢者を対象に1年間の前向き観察研究を実施し、抗精神病薬による有害事象の発現状況を検討した。その結果、重篤な有害事象の発現頻度は0.2%であり、死亡例もなく、リスクは低いことを報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年6月25日号の掲載報告。

妻と死別や離婚した男性、未婚の男性は自殺リスクが高い~国内前向きコホート研究

 婚姻状況(未婚、既婚、死別または離婚)は自殺の予測因子の一つである。東北大学の福地 成氏らは、国内の大規模な集団によるコホートを用いて(宮城県コホート研究)、自殺リスクに対する婚姻状況の影響を男女別に検討した。その結果、妻と死別または離婚した男性や未婚の男性は既婚男性より自殺のリスクが高い一方、女性ではそのような傾向はないことが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月4日号に報告。

ネットワーク・メタ解析も従来のメタ解析並みの評価が必要だろう(コメンテーター:折笠 秀樹 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(111)より-

 「メタ解析」はご存じの方も多いだろうと思うが、「ネットワーク・メタ解析」とはその中の特殊なタイプである。2002年に総説論文(Lumley T. Stat Med. 2002; 21: 2313-2324.)が出ているので、方法論に関心ある方は一読してみて欲しい。

青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

 青年期の統合失調症に対するアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)の症状改善は、服用開始後早期にみられ、寛解を予測する時期は服用開始3週時点が最も適切であることが、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の事後解析の結果、明らかにされた。Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry誌2013年7月号(オンライン版2013年6月5日号)の掲載報告。

日焼け止めの効果はSPFよりも塗り方?

 モナコのLancaster-Coty社国際研究開発センターのMarc Pissavini氏らは、強い日差しの下で長時間過ごす人について、SPF(紫外線防御指数)15とSPF30の日焼け止め製品(サンスクリーン剤)を皮膚に塗布使用した場合の、サンバーン(sunburn)の頻度と程度を推定するためのシミュレーション研究を行った。その結果、サンバーンのリスクを最小限にしたいのであればSPF15よりもSPF30の製品の使用が薦められることを報告した。Photodermatology, Photoimmunology & Photomedicine誌2013年6月号の掲載報告。

COPDとCOPD・喘息のオーバーラップはバイオマーカーで鑑別できるのか?

 気管支喘息を合併したCOPD(オーバーラップ症候群)ではCOPD単独の患者と比べて、誘発喀痰中の好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)が高いことが、広島大学・分子内科学の岩本 博志氏らにより報告された。The European respiratory journal誌オンライン版2013年6月21日号の掲載報告。

BNPスクリーニング+共同ケア、左室機能障害を予防/JAMA

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)によるスクリーニングプログラムに、プライマリ・ケア医と心血管専門医による共同ケアを組み合わせるアプローチが、高リスク集団における左室機能障害や心不全の予防に有用なことが、アイルランド・セントビンセント医療グループ/セントマイケル病院のMark Ledwidge氏らが行ったSTOP-HF試験で示された。リスク因子への介入を中心とする現在の心不全予防戦略は、期待されたほど効果的ではないとの指摘があるという。一方、初発心不全リスクが最も高い集団の同定には、リスク因子とBNP検査を組み合わせて対象をさらに限定するサーベイランス(targeted surveillance)がより効果的である可能性が示唆されている。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

ネットワークメタ解析は最良治療決定の根拠となるのか?/BMJ

 これまでに発表されたネットワークメタ解析論文の多くでは、系統的レビューに必須とされる方法論関連事項の記述に不足があり、最良の治療法の決定の論拠とするには疑問があることが、フランス・国立保健医学研究所(INSERM)のAida Bafeta氏らの検討で示された。この数年で医療介入の比較研究へのネットワークメタ解析(multiple treatmentsメタ解析、mixed treatment comparisonメタ解析とも呼ばれる)の導入が進んでいる。このメタ解析法では、系統的レビューを行う際の方法論に関する規定を遵守すべきとされるが、解析の方法が複雑なことから、同等の方法論関連リスクを負う標準的なpairwise法による系統的レビューに比べ、これらのリスクの影響をより受けやすい可能性があるという。BMJ誌オンライン版2013年7月1日号掲載の報告。

統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

 前頭前野は、ワーキングメモリのような基本的な認知機能に関連する。一方で吻側野は、認知機能と現実社会の活動性とを統合する機能を有する。東京大学の小池 進介氏らは、統合失調症患者における、ワーキングメモリタスク中の血流変化を測定し検討した。その結果、統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。

患者自身による「きめ細やかな基礎インスリンの用量調節」がカギ!

 2013年7月9日(火)、サノフィ株式会社による「2型糖尿病の最適な血糖コントロール」をテーマとしたメディアセミナーが開催された。演者の東京医科大学内科学第三講座 主任教授の小田原 雅人氏は、6月21日~25日に米国シカゴで開催された米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会において発表されたATLAS(Asian Treat to target Lantus Study)の意義について語り、「血糖コントロールが不十分な患者自身が基礎インスリンの用量調節を行った場合でも、良好な血糖コントロールが得られることが明らかになった」と述べた。

テレモニタリング+薬剤師による管理で血圧改善/JAMA

 患者の自宅からの家庭血圧テレモニタリングと薬剤師による血圧管理を組み合わせた降圧治療の有用性が、米国・HealthPartners Institute for Education and Research(ミネアポリス市)のKaren L Margolis氏らが行ったHyperLink試験で確認された。多くの有効な治療薬が開発されているにもかかわらず、米国では血圧が推奨値以下に管理されている成人高血圧患者は約半数にとどまる。最近の系統的レビューは、血圧の改善には診療体制を再編し、医師以外の医療従事者の主導で降圧治療の調整を行う必要があると結論づけており、遠隔治療と看護師、薬剤師主導のチーム医療を組み合わせた介入の有効性を示唆する研究結果もあるという。JAMA誌2013年7月3日号掲載の報告。

高齢者の高額医療費、外来サービス充実による医療費削減には限界がある/JAMA

 米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが、米国高齢者向け公的医療保険メディケアの高額医療費受給者について、予防可能な急性期医療サービスにかかる費用の占める割合を調べたところ、病院救急部門医療費では約4割、入院医療費では約1割と推定された。そのため著者は「外来医療サービスを充実しても、高齢者の高額医療費を削減するには限界があるようだ」と述べている。JAMA誌2013年6月26日号掲載の報告より。

複合性局所疼痛症候群患者では広範痛についても評価が必要

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者では、10%を超える患者が広範痛(widespread pain)を有していることが明らかとなった。英国・エンツリー大学病院のThomas Birley氏らによる後ろ向き研究からの報告で、結果を踏まえて著者は、「CRPS患者の臨床評価においては日常的に、さらなる痛みについて問診をすることが支持される」とまとめている。Pain Practice誌オンライン版2013年6月24日号の掲載報告。

アルツハイマー病の進行抑制に関わる脳内分子を特定

 カナダ・ダルハウジ大学のAutumn R. Meek氏らは、ヒト脳内に存在する内因性分子の特定を試み、それらのβ-アミロイド領域への親和性ならびにβ-アミロイド凝集抑制作用を検討した。その結果、L-PSと3-HAAという2種類の内因性脳内分子を特定し、それらがβ-アミロイド領域に結合し、凝集を抑制することを報告した。Journal of Psychiatry & Neuroscience誌2013年7月号の掲載報告。