日本語でわかる最新の海外医学論文|page:741

関節リウマチに対してリツキシマブはTNF阻害薬と効果は同等(非劣性)で費用対効果はむしろ高い(解説:金子 開知 氏)-554

リツキシマブは、CD20(成熟B細胞の表面抗原)を標的としたキメラ型モノクローナル抗体であり、TNF阻害薬やIL-6阻害薬とは異なる作用点を有する生物学的製剤である。リツキシマブの投与により自己抗体産生が低下し、自己免疫性疾患の治療効果が期待されている。わが国では、関節リウマチ(RA)に対するリツキシマブの保険適用はないが、欧米ではTNF阻害薬に抵抗性のRAに対して認可されている。これまでRA治療の生物学的製剤導入療法として、リツキシマブとTNF阻害薬の有効性、安全性、費用対効果などを直接比較した臨床研究はなかった。

パリペリドン持効性注射剤、国内市販後の死亡例分析結果

 統合失調症治療薬であるパリペリドンパルミチン酸エステル月1回注射剤(PP1M)は、日本や諸外国で承認されている。日本の市販直後調査(EPPV)期間の6ヵ月間に、死亡例が32例報告された。米国・ヤンセンファーマのPhillip Pierce氏らは、PP1M治療患者における致死的な転帰への潜在的な要因を検討した。Current medical research and opinion誌オンライン版2016年6月5日号の報告。

DPP-4阻害薬は糖尿病網膜症の進行を抑制する!?

 DPP-4阻害薬による糖尿病治療は、糖尿病網膜症の進行に対し血糖コントロールの改善とは独立した防御因子であることを、韓国・亜洲大学校のYoo-Ri Chung氏らが報告した。DPP-4阻害薬の糖尿病網膜症に対する有用性を示した最初の研究であり、著者らは「DPP-4阻害薬の糖尿病網膜症の進行に対する有効性について、無作為化二重盲検プラセボ比較試験によりさらなる評価を行うことを促す予備的データである」とまとめている。Retina誌オンライン版2016年6月9日号の掲載の報告。

過去10年で米国女性の肥満率が上昇/JAMA

 米国成人の年齢補正後肥満の有病率は、2013~14年男性35.0%、女性40.4%であり、女性の全肥満(BMI≧30)と3度肥満(BMI≧40)の有病率は2005~2014年の間に有意な右肩上がりの上昇が認められたことを、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine M. Flegal氏らが報告した。同期間中、男性については有意な傾向はみられなかったという。これまでの調査研究では、1980~2000年の米国成人の肥満の有病率は男女ともに有意な上昇が認められ、その後2003~04年まで、男性については有意な上昇がみられたが女性ではみられなかった。著者は、「さらなる研究を行い、今回の調査で認められた傾向の要因を調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。

BMJは権威ある“一流”雑誌?〜大規模試験の意義を考える〜(解説:西垣 和彦 氏)-553

『ありがとう、センテンス・スプリング…』。今年前半にはやった“ゲスの極み”と化した大衆雑誌に掲載された記事であるが、これが信じられないほど売れた。この記事からは、何ら自身の生産性を上げるものでも、何ら知識欲を満たすものでもなく、単に時間を浪費させるだけのものに過ぎないことは明白であるが、現実として、とにもかくにもこの雑誌の当該号は売れたのである。

アスピリンの脳卒中早期再発予防効果(解説:内山 真一郎 氏)-552

一過性脳虚血発作や急性虚血性脳卒中に対するアスピリンの長期再発予防効果は有意ではあるものの、わずかであるが、TIAやAISは早期の再発リスクが大きいことが知られている。そこで、オックスフォード大学のRothwell教授らは、これまでに行われたアスピリンのプラセボ対照比較試験の対象となった症例の生データを用いて、TIAやAISにおけるアスピリンの早期再発予防効果を発症後の期間別にメタ解析した。また、同様な解析をアスピリンとジピリダモールの併用療法についても行った。

広汎性発達障害に日本で使用されている薬剤は:東北大学

 日本において、広汎性発達障害(PDD)に適応を有する薬剤は、ピモジドだけである。いくつかの抗精神病薬は、日本でも適応外で使用されているが、これら薬剤の処方および使用に関する詳細は不明な点が多い。東北大学の佐藤 倫広氏らは、日本のPDD児における薬物治療の実態を明らかにするため調査を行った。World journal of pediatrics誌オンライン版2016年6月10日号の報告。

上海の小児の8.5%がアトピー性皮膚炎、そのリスク因子とは

 中国・上海の3~6歳児のうち、8.5%がアトピー性皮膚炎(AD)を有しており、そのリスク因子として、家の改築/改装、新調した家具や室内のカビ、都心の住宅、遺伝的素因、食物アレルギーが考えられることを、復旦大学のFeng Xu氏らが報告した。アンケート断面調査の結果であるという。上海の就学前小児においてADの頻度が高いことは知られていたが、研究グループは今回、発症のリスク因子を特定することを目的に本調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2016年5月27日号の掲載の報告。

未成年者の肥満、過去20年の動向/JAMA

 米国の小児・思春期青少年(2~19歳)の肥満の有病率は、2011~14年は17.0%であり、極度の肥満(extreme obesity:年齢性特異的BMI値が95パーセンタイル以上の120%以上)の割合は5.8%であることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のCynthia L. Ogden氏らにより報告された。1988~94年から2013~14年の動向を調査した結果で、肥満の有病率は、2~5歳児では2003~04年までは上昇、以降は減少したことや、6~11歳児では2007~08年までは上昇し、以降は横ばい、12~19歳では調査期間中は上昇していたという。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。

中枢神経系作用薬による高齢者入院リスクは

 認知障害に対する中枢神経系(CNS)作用薬の効果を評価したほとんどの研究は、個々の薬剤使用に焦点を当ててきた。他のCNS作用薬を追加した際の認知機能への影響は、よくわかっていない。南オーストラリア大学のLisa M Kalisch Ellett氏らは、CNS作用薬の併用薬剤数および標準用量(1日用量)の増加と高齢患者における錯乱、せん妄、認知症による入院リスクとの関連を検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2016年6月1日号の報告。

ESS留置後のDAPT、6ヵ月と12ヵ月の比較

 薬剤溶出ステント(DES)留置後は、ステント血栓症を防ぐため、12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が推奨されている。近年の無作為化試験では、新世代のDES留置後のDAPTの3~6ヵ月投与は12ヵ月投与と同等の成績が得られることが報告されており、また新世代DESの死亡、心筋梗塞、ステント血栓症のリスクがベアメタルステントや第1世代のDESと比べて低いことも示唆されている。しかし、新世代のエベロリムス溶出ステント留置後のDAPTの最適な投与期間について、適切に計画、実施された試験は少ない。

米国医師の年収格差、男女間で1千万円強/BMJ

 米国医師の年収について、男性医師では人種間(白人と黒人)に有意な格差がみられる一方、女性医師では人種間に有意差はみられないが、全体的に男性医師よりも有意に低いことが、米国ハーバード・メディカル・スクールのDan P Ly氏らによる断面サーベイ調査の結果、明らかにされた。結果について著者は、「さらなる検討を行い、これらの格差が、就業機会の格差によって生じているのかを調べる必要がある」と提言している。米国社会では、黒人と白人の経済格差がみられるが、医師に関する人種間格差については限定的な推察にとどまっていたという。BMJ誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。

未成年者への抗うつ薬は有益か?14薬剤のメタ解析/Lancet

 大うつ病急性期治療における抗うつ薬のリスク・ベネフィットを考えた場合、小児および思春期青少年には明らかな利点はないようだとの見解を、英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らが、ネットワークメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「薬物治療が必要な場合のベスト選択肢は、おそらくfluoxetineだろう」と述べている。大うつ病は、小児・思春期青少年において最もよくみられる精神疾患であるが、同集団に薬物治療による介入を行うべきかどうか、どのような薬物を処方すべきかは、なお議論の的となっている。研究グループは、プラセボとの比較による抗うつ薬のランク付けを意図し本検討を行った。Lancet誌オンライン版2016年6月7日号掲載の報告より。

乾癬とうつ病はどう関連する?

 乾癬は、うつ病のリスク因子である。うつ病もまた、乾癬のトリガーや悪化要因となる可能性があるが、乾癬とうつ病との関係は、いまだ完全には明らかにされていない。そこで米国・ニューヨーク大学のCohen BE氏らでは、米国民における乾癬と大うつ病の関係性を調査した。JAMA Dermatology誌2016年1月号に掲載の報告。