日本語でわかる最新の海外医学論文|page:723

スタチン療法 vs.非スタチン療法、心血管リスク低減は同等/JAMA

 LDL受容体の発現増加を介して低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値を低下させるスタチン療法と非スタチン療法の比較において、LDL-C値低下当たりの主要血管イベントの相対リスクは同等であることが明らかとなった。LDL-C値の低下が、主要冠動脈イベント発生率の低下と関連することも確認された。これまで、非スタチン療法によるLDL-C低下の臨床的な有益性はよくわかっていなかったが、米国・ハーバード大学医学大学院のMichael G. Silverman氏らが、LDL-C低下と相対的心血管リスク減少との関連を、スタチン療法 vs.非スタチン療法で検討するシステマティックレビューとメタ解析を行い報告した。JAMA誌2016年9月27日号掲載の報告。

アンチセンスオリゴヌクレオチド、リポ蛋白(a)濃度低下を第II相で確認/Lancet

 低比重リポ蛋白(LDL)にアポリポ蛋白(a)(apo[a])が結合したリポ蛋白(a)(Lp[a])の増加は、心血管疾患および石灰化大動脈弁狭窄症の遺伝的リスク因子であることが知られている。現在、apo(a)を標的としたオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)Rxと、肝細胞に高度かつ選択的に取り込まれるようデザインされたリガンド結合アンチセンスオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)-LRxが開発中であるが、とくに後者がLp(a)濃度を低下させる有効かつ忍容性のある新しい治療薬として有望であることが明らかとなった。米国・Ionis PharmaceuticalsのNicholas J Viney氏らが、IONIS-APO(a)Rxの第II相試験とIONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相試験の2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IONIS-APO(a)Rxの健常成人を対象とした第I相試験では、用量依存的に血漿Lp(a)濃度が減少することが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2016年9月21日号掲載の報告。

統合失調症患者に対するアドバイスは届いているのか

 医師からの推奨は、医療の意思決定を行う際、不可欠な要素である。しかし、意思決定プロセスのどの時点で行うことが最も良いのか、患者に悪影響を与えないかについては不明なままである。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJohannes Hamann氏らは、これらの疑問に対し、統合失調症患者を対象とした検討を行った。BMJ open誌2016年9月16日号の報告。

がん登録データ活用し、がん患者の人口動態変化を予測~神奈川県

 団塊の世代の高齢化に伴い、がん患者の人口動態も大きく変わることが予想されており、それに対応できる専門医の配置などを含めた医療体制を整えていくことが求められている。とくに、首都圏近郊にはおよそ200万人の団塊の世代が居住しているといわれており、がん患者の地域分布は大きく変化していく可能性があると考えられている中で、乳がん患者データから将来のがん患者の人口動態変化を予測した、神奈川県立がんセンターの片山 佳代子氏らによる研究結果がPLOS ONE誌2016年8月17日号に発表された。

脳梗塞の血栓除去療法、7.3時間以内がアウトカム良好/JAMA

 米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L. Saver氏らが、これまでに発表された無作為化試験についてメタ解析を行った結果、大血管虚血性脳卒中の患者に対し、血栓除去療法と薬物療法を早期に行うことで、薬物療法のみを行った場合に比べて、3ヵ月後の障害の程度は有意に低かった。また、血栓除去療法は、症状発症から7.3時間以内に行うことで3ヵ月後のアウトカムがより良好となり、7.3時間以降に実施した場合は、アウトカムについて有意差は認められなかった。第2世代デバイスを用いた血栓除去術の有益性は認められているが、施術時間に関するアウトカムについて詳細は示されていなかった。JAMA誌2016年9月27日号掲載の報告。

NSAIDs27種の心不全入院リスクとの関連を検証/BMJ

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)服用の心不全による入院リスクについて調べた結果、現在(2週間以内)服用者は半年超(183日)前に服用していた人に比べ2割程度リスクが高いことが明らかにされた。また、ジクロフェナク、etoricoxib、インドメタシン、ピロキシカム、rofecoxibについて1日量の2倍以上を服用している場合、同リスクは2倍に増大していた。イタリア、ミラノ・ビコッカ大学のAndrea Arfe氏らが、オランダ、イタリアなどの欧州4ヵ国の医療データベースを基に行った、コホート内ケース・コントロール試験の結果、示された。BMJ誌2016年9月28日号掲載の報告。

統合失調症患者の口腔ケア、その重要性は:東医大

 統合失調症患者は抗精神病薬で治療されるが、多くの場合、抗不安薬の併用が行われている。東京医科大学の岡本 彩子氏らは、定型、非定型抗精神病薬、抗不安薬、非向精神薬を服用中の統合失調症患者における口腔内乾燥症を評価するため、口腔水分計を用いて調査を行った。Journal of clinical pharmacy and therapeutics誌オンライン版2016年9月24日号の報告。

最も近い眼科まで車で何分?

 米国・ワシントン大学のCecilia S. Lee氏らは、人口調査をベースとしたアプローチを用いて、走行ルートと走行時間を計算して、“近場の眼科”を定量化する検討を行った。結果、地域によって差はあるが、概して、米国のメディケア受給者集団の90%以上が、眼科医まで車で30分、検眼士まで15分以内のところに住んでいることが明らかになったという。Ophthalmology誌オンライン版2016年9月12日号掲載の報告。

肥満遺伝子は減量介入の効果に影響するのか/BMJ

 脂肪量および肥満関連(fat mass and obesity associated:FTO)遺伝子のマイナーアレルは、生活様式の変容や薬剤による減量介入の効果に影響を及ぼさないことが、英国・ニューカッスル大学のKatherine M Livingstone氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2016年9月20日号に掲載された。肥満は公的医療の主要な負担であり、有病率は世界的に増加している。FTO遺伝子ホモ接合体(rs9939609)のマイナーアレルは、肥満のリスク増加と関連することが報告されている。

地中海ダイエットは認知症予防に効果があるのか

 地中海ダイエット(MD)が認知機能低下や認知症を予防することを示唆するエビデンスが増加している。多くの疫学研究やいくつかの無作為化比較試験(RCT)において、認知機能に対するMDの正の効果が確認されているが、調査結果に一貫性はない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのSara Danuta Petersson氏らは、認知機能、認知機能障害、アルツハイマー病(AD)、すべてのタイプの認知症に対するMDの影響について、現時点の情報をアップデートするためシステマティックレビューを行った。Advances in nutrition誌2016年9月号の報告。

アルバイトをしている医師は約半数―医師1,000人へのアンケート

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中でアルバイト代について尋ねたところ、「(アルバイト代が)不明」と回答した33人を除く967人のうち、54%の医師が「アルバイトはしていない」と回答した。アルバイト代を回答した医師のうち、最も多かった金額帯は200万円未満(全体の16%)であった。

食事・身体活動を監視する装着型デバイス、減量効果は?/JAMA

 肥満者の減量法として、標準的な生活様式への行動療法的介入に、食事や身体活動を監視してフィードバックを提供する装着型デバイス(wearable device)を加えても、減量効果はむしろ低下することが、米国・ピッツバーグ大学のJohn M Jakicic氏らが行ったIDEA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年9月20日号に掲載された。食事療法や身体活動を強化する介入の短期的な減量効果が確認され、この効果の長期的な維持が課題とされる。標準的な介入への装着型デバイスの追加により、長期的な減量効果が改善する可能性が示唆されている。

70歳以上高齢者に対する帯状疱疹サブユニットワクチンの有効性(解説:小金丸 博 氏)-596

帯状疱疹の罹患率や、その合併症である帯状疱疹後神経痛の発生率は、年齢とともに増加することが知られている。帯状疱疹を発症した場合、抗ウイルス薬の投与によって罹病期間を短縮することはできるが、帯状疱疹後神経痛の減少効果は示されておらず、ワクチンによる予防効果が期待されてきた。日本や米国では、50歳以上の成人に対して帯状疱疹の予防に生ワクチンが認可されているが、帯状疱疹の予防効果は50%程度とそれほど高くなく、さらに年齢とともに有効性が低下することが指摘されていた。

ADHD児の家庭学習パフォーマンス向上のために

 注意欠如・多動症(ADHD)児は、急性で長期的な学習障害や家庭学習の明らかな困難さを含む成績不振を示す。Brittany M Merrill氏らは、家庭学習完遂の問題に対し、行動療法や精神刺激薬による治療、それらの併用治療の効果が、長期的な学業成績を予測するかを検討した。Journal of consulting and clinical psychology誌オンライン版2016年9月12日号の報告。

抗TNF薬で効果不十分の関節リウマチ、生物学的製剤が優れる/JAMA

 抗TNF薬の効果が不十分な関節リウマチ患者の治療では、TNF以外を標的とする生物学的製剤のほうが、他のTNF薬による治療よりも有効性が高いことが、フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが行ったROC試験で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2016年9月20日号に掲載された。腫瘍壊死因子α(TNF-α)阻害薬は、メトトレキサートの効果が十分でない関節リウマチ患者のQOLを改善するが、約3分の1の患者は疾患活動性が持続し、効果は不十分とされる。これらの患者の治療選択肢の指針は確立されていない。

乳児期の卵・ピーナッツ摂取でアレルギーのリスク低下/JAMA

 乳児食として、早期に卵およびピーナッツを導入すると、これらのアレルゲン食品によるアレルギー性疾患のリスクが低減することが、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDespo Ierodiakonou氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年9月20日号に掲載された。アレルゲン食品の導入時期が、アレルギー性疾患や自己免疫疾患のリスクに及ぼす影響への関心が高まっている。乳児食のガイドラインは、両親にアレルゲン食品の導入を遅らせることを推奨しなくなっているが、多くの場合、早期の導入を勧めてもおらず、最近の6つのアレルゲン食品の早期導入の無作為化試験(EAT試験)では、いずれの食品でも予防効果は認められていない。