日本語でわかる最新の海外医学論文|page:673

1型糖尿病の低血糖リスク、デグルデク vs.グラルギン/JAMA

 1型糖尿病患者において、低血糖は良好な血糖コントロールの大きな障壁であり、重大な低血糖は昏睡や死亡につながるおそれがある。米国・Mountain Diabetes and Endocrine CenterのWendy Lane氏らは、1型糖尿病患者における症候性低血糖の発現について、インスリン デグルデク(以下、デグルデク)とインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)を比較した無作為化試験「SWITCH 1」で、デグルデクによる32週間の治療はグラルギンと比較して、症候性低血糖の発現を低下させることを明らかにした。JAMA誌2017年7月4日号掲載の報告。

多くのがん種で開発中、ペムブロリズマブの最新トピックス

 2017年7月4日、MSD株式会社はメディアラウンドテーブルを開催し、同社グローバル研究開発本部オンコロジーサイエンスユニット統括部長の嶋本 隆司氏が、ASCO2017の発表データを中心にキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の最新トピックスを解説するとともに、併用療法を含めた今後の開発戦略について語った。

職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか

 「職場ストレイン」は、職場での高い仕事の要求度と低いコントロールの組み合わせで表される。その職場ストレインにより特徴付けられる、心理社会学的に好ましくない職場環境は、従業員の抑うつ症状リスクの上昇と関連しているが、臨床的にうつ病と診断されたエビデンスは少ない。デンマーク・National Research Centre for the Working EnvironmentのI. E. H. Madsen氏らは、職場ストレインと臨床的なうつ病のリスク因子との関連を検討した。Psychological medicine誌2017年6月号の報告。

ACC/AHAガイドラインの費用対効果を他ガイドラインと比較

 2013年改訂の米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)の脂質異常症管理ガイドラインでは、アテローム性心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用の推奨が拡大されたが、その費用対効果について他のガイドラインとの比較はなされていない。今回、米国・マウントサイナイ医科大学のDavid J. Heller氏らが費用対効果を比較したところ、ACC/AHAガイドラインは、集団レベルでは男女共により多くの人々を治療し、より多くの命を救い、費用はATP IIIガイドラインより削減されると推計された。個人レベルではスタチンの長期使用から恩恵を受けるかどうかは、心血管リスクの程度よりも錠剤数の負担(pill burden)による負の効用(disutility)に大きく左右されるという。Circulation誌オンライン版2017年7月7日号に掲載。

血友病患者の高齢化で新たな対応へ

 2017年6月27日、都内においてバイオベラティブ・ジャパン株式会社は、血友病患者啓発ツール“Graphemophilia”の発刊に合わせ、「血友病治療の進歩と今後の課題」をテーマにプレスセミナーを開催した。セミナーでは、血友病治療の現在の状況のほか、高齢の血友病患者への対応など、現下の問題や今後について解説する講演も行われた。

コントロール不良の喘息にあの抗菌薬が有用?/Lancet

 中~高用量の吸入ステロイド+長時間作用型気管支拡張薬服用ではコントロール不良の喘息成人患者に対し、マクロライド系抗菌薬の経口アジスロマイシンの追加投与は、喘息増悪リスクを約4割減少し、喘息関連QOLも改善することが示された。オーストラリア・Hunter Medical Research InstituteのPeter G. Gibson氏らが、420例を対象に行った48週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、著者は「アジスロマイシンは喘息コントロールの追加療法として有用と思われる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年7月4日号掲載の報告。

新生児低酸素脳症、低体温療法は従来の方法で/JAMA

 新生児の低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法は、現行で推奨されている33.5度・72時間のプロトコルを、より低温にしたり、時間を延長しても、その後の死亡・障害発生リスクは変わらないことが示された。米国・ウェイン州立大学のSeetha Shankaran氏らが、低酸素性虚血性脳症の新生児364例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。なお、結果について著者は「試験の検出力が不足していたが、時間延長および温度低下において相互作用が認められ、今回の試験では、現行の33.5度・72時間の手技を支持する結果が得られた」と結論している。JAMA誌2017年7月4日号掲載の報告。

統合失調症に対するメマンチン補助療法に関するメタ解析

 NMDA受容体機能不全は、統合失調症の病態生理に関与する。中国・The Affiliated Brain Hospital of Guangzhou Medical UniversityのW. Zheng氏らは、統合失調症治療における非競合的NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンの有効性、安全性を調査するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。

ピロリ除菌療法、エソメプラゾール vs.ラベプラゾール

 CYP2C19代謝活性は、PPIを含むHelicobacter pylori除菌療法の有効性に影響する。弘前大学の下山 克氏らは、異なるCYP2C19遺伝子型を有する日本人において、CYP2C19による代謝を受けないラベプラゾールあるいはエソメプラゾールを用いた3剤併用1次除菌の有効性を比較する無作為化試験を実施した。その結果、除菌率は共に80%未満であったが、各CYP2C19遺伝子型群において同等に有効であることが示された。Internal Medicine誌オンライン版に2017年7月1日に掲載。

インフルエンザワクチン、遺伝子組換え vs.不活化/NEJM

 従来の不活化インフルエンザワクチンと比べて、遺伝子組み換えインフルエンザワクチンが優れた防御能を示したことが、米国・Protein Sciences社のLisa M. Dunkle氏らが行った第III-IV相の多施設共同無作為化二重盲検試験の結果、報告された。検討されたのは遺伝子組み換え4価インフルエンザワクチン(RIV4)で、試験は2014~15年のインフルエンザシーズンに、50歳以上の成人を対象に実施された。標準用量の鶏卵培養4価不活化インフルエンザワクチン(IIV4)接種群よりも、確認されたインフルエンザ様疾患の確率が30%低かったという。なお、同時期のインフルエンザはA/H3N2型が主流で、ワクチン株の抗原性との不一致により多くの認可ワクチンについて効果の低下がみられたシーズンであった。NEJM誌2017年6月22日号掲載の報告。

認知症の家族による終末期ケア、初期段階でやっておくべきこと

 認知症は、機能低下や認知機能低下を特徴とする進行性の神経変性疾患である。英国において、認知症者への終末期ケアの質は良くないといわれている。認知症者へのケアに関して、たとえば合併症のマネジメントのために、終末期においていくつかの困難な決断が生じることがある。英国・ロンドン大学のKethakie Lamahewa氏らは、認知症者の終末期における医師や家族の介護者による意思決定の困難さについて検討を行った。Health expectations誌オンライン版2017年6月22日号の報告。

レーベル遺伝性視神経症、遺伝子治療が有望

 レーベル遺伝性視神経症(LHON)患者を対象とした低~中用量のAAV2(Y444,500,730F)-P1ND4v2単回硝子体内注射の安全性および有効性を検討する非盲検臨床試験が行われ、LHONに対する遺伝子治療は安全で外側網膜神経線維層に悪影響を及ぼさないことが認められた。検討を行った米国・マイアミ大学ミラー医学校のJohn Guy氏らは、「本剤の高用量での臨床試験への道が開かれた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年6月21日号掲載の報告。

PD-L1高発現NSCLCの初回治療はペムブロリズマブ?KEYNOTE-024のPFS2データ/ASCO2017

 PD-L1高発現(TPS50%以上)SageIV非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペムブロリズマブ単剤と化学療法を比較したKEYNOTE-024試験。初回解析で、無増悪生存期間(PFS)のハザードレシオ(HR)は0.50(p<0.001)、全生存期間(OS)のHRは0.60(p=0.005)と、ペムブロリズマブの優越性が示された。ASCO2017では、その後の追跡によるPFS2と、アップデートされたOSについて、米国The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie Brahmer氏が発表した。

BRCA1変異女性の乳がんリスク、80歳で72%/JAMA

 BRCA1またはBRCA2遺伝子変異の保因状況は、乳がん、卵巣がん、対側乳がんのリスクを予測し、リスク評価では家族歴および変異位置が重要となる可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のKaroline B. Kuchenbaecker氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年6月20日号に掲載された。これまでに行われた後ろ向き研究では、BRCA1変異保因女性が70歳までに乳がんを発症するリスクは40~87%、BRCA2変異保因女性は27~84%であり、卵巣がんのリスクはそれぞれ16~68%、11~30%と報告されている。このような大きなばらつきが生じる原因として、サンプリング法、対象集団や遺伝子変異の特性、分析法の違いなどが挙げられ、後ろ向き研究におけるバイアスの可能性が指摘されており、これらの問題を回避する前向き研究の実施が望まれてきた。

HER2陰性乳がん術前化学療法後のカペシタビン術後補助療法は生存率を改善する-CREATE-X(JBCRG-04)(解説:矢形 寛 氏)-698

これは、サン・アントニオ乳がんシンポジウム2015で報告された日韓合同第III相臨床試験の結果が論文化されたものである。本学会時には、あまり大きな話題として取り上げられなかったように思われる。それは過去のカペシタビン追加の臨床試験でその有効性が示されてこなかったことと、アジア人のみの報告だったからであろうか。今回正式に論文化されたことで、より注目を浴びてくる可能性はある。 そもそも過去の報告とは根本的に異なる試験であり、適格基準が異なる、トリプルネガティブ乳がんの割合が30%と高い、タキサンなどとの同時併用ではなく逐次投与である、カペシタビンの標準投与量が使われ、6から8サイクルと十分量の投与が行われている、といったことが挙げられる。この結果は今までの標準治療を変えるものである。

高力価スタチンで糖尿病発症リスク2.6倍

 脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。BMJ open誌2017年6月30日号に掲載。

統合失調症患者のワーキングメモリ改善のために

 口頭による指示に従う能力は、日々の機能において重要であるが、統合失調症患者ではほとんど研究されていない。最近の研究によると、行動ベースのプロセスは、主にワーキングメモリに依存する指示に従う能力を促進する可能性が示唆されている。中国・Castle Peak HospitalのSimon S. Y. Lui氏らは、統合失調症患者が指示に従うことで行動ベースの利点を得るかを検証した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年5月22日号の報告。

パッチ式インフルエンザワクチンは有用か/Lancet

 溶解型マイクロニードルパッチを活用したインフルエンザワクチン接種は、忍容性に優れ確固たる免疫獲得をもたらすことが報告された。米国・エモリー大学のNadine G. Rouphael氏らによる検討で、Lancet誌オンライン版2017年6月27日号で発表された。報告は、従来の注射器に代わる予防接種法の検討として初となる、第I相の無作為化プラセボ対照試験「TIV-MNP 2015」の結果である。