日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1014

わが国の乾癬治療における生物学的製剤の費用対効果 3剤比較

わが国では、この数年のうちに、中等症から重症の乾癬に対して生物学的治療が導入されるようになった。NTT東日本関東病院の五十嵐氏らは、日本の医療環境におけるアダリムマブ、インフリキシマブ、ウステキヌマブによる治療の費用対効果を評価すべく、本試験を実施。「日本の乾癬治療の現場においても、ウステキヌマブはアダリムマブやインフリキシマブと比較して費用対効果のよい生物学的製剤である」と結論づけている。Journal of Dermatological Treatment誌オンライン版2012年5月28日掲載の報告。

福島の医療現場から見えてきたもの

南相馬市立総合病院 神経内科小鷹 昌明 2012年6月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 2012年3月5日の福島県は、朝から雪だった。震災から1年が経とうとするこの日は、私が大学病院・准教授を退職してから初めて勤務する、市立病院への挨拶の日であった。

タダ(無料)ほど高い物はない~医療の無駄について~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年6月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 福島県が独自に18歳以下の子供の医療費を無料にするという。これについて全国保険医団体連合会や著名人たちが中心となって福島の子供たちの医療費をタダにすべしと国にも訴えている。大変言いにくいが反対である。一見聞こえのいいスローガンだが、タダほど高い物はない。結局子供たちのためにならない。ただには多くの無駄がもれなくセットで付いてくる。これから先、福島原発に関連してお金は果てしなく掛かる。貴重な財源は本当に必要な時に必要な人に届くような制度設計にしなくていけない。

CKD診療ガイド改訂 -慢性腎臓病(CKD)は原疾患、腎機能と尿所見でリスク評価を-

日本慢性腎臓病対策協議会(東京都文京区、理事長:槇野博史、J-CKDI)は、1日、CKD診療に関して、かかりつけ医の標準化と腎臓専門医の連携を目的とした「CKD診療ガイド2012」を発行した。「CKD診療ガイド」は、2009年以来3年ぶりの改訂となる。本ガイド改訂委員長の今井圓裕氏は、今回の最も大きな改訂点として、CKDの重症度分類が腎機能だけでなく、原疾患、尿所見を評価した分類に変更されたことを挙げ、その他、血圧管理、貧血管理が臨床上に影響を及ぼす点として掲げた。

認知症患者の興奮症状に対するメマンチンの効果を検討

アルツハイマー型認知症(AD)で多くみられる興奮症状は、患者の生活の質や介護者の負担に影響を与える。Fox氏らは中等度~重度のAD患者への有効性が示されているメマンチンの興奮症状に対する効果をプラセボ対照二重盲検比較試験にて検討した。本結果はPLoS One誌オンライン版に2012年5月2日掲載された。

妊婦への新型インフルエンザワクチン接種、胎児死亡との関連認められず

妊婦への不活化新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種に関して、胎児死亡リスク増大のエビデンスは見つからなかったことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのBjorn Pasternak氏らによる約5.5万人の妊婦を被験者とするデンマーク全国登録コホート研究の結果、示された。2009パンデミック当時、新型インフルエンザに罹患した妊婦の罹病率、死亡率が増大し、妊娠アウトカムが不良となることが認められたことから、その後、多くの国で、新型インフルエンザワクチン接種キャンペーンのターゲットに妊婦を含んでいる。Pasternak氏らは、ワクチン接種が胎児死亡と関連しないかを国民ベースで検証した。BMJ誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載報告より。

10代うつ病患者の治療はファンタジーゲームで?

うつ病の認知行動療法のパソコン用ソフトとして開発された「SPARX(Smart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughts)」は、ファンタジーゲーム様式が特徴で、4~7週間にわたって提供される7つのモジュールを克服していくというものである。その治療効果について、ニュージーランド・オークランド大学のSally N Merry氏らによる12~19歳のティーンエイジャーを対象とした多施設無作為化非劣性試験の結果、プライマリ・ケアにおいて対面カウンセリングといった通常ケアの代替療法となり得るものであることが示された。Merry氏らは、「治療が必要にもかかわらず介入が行われていない患者を対象に適用していくことができるだろう」とまとめている。これまでパソコンソフトを活用した認知行動療法は成人についてはその効果が認められていたが、ティーンエイジャーにおける効果は明らかではなかった。BMJ誌2012年4月19日号より。

「今後の透析医療を考える」プレスセミナーレポート

2012年5月31日、「今後の透析医療を考える」と題したプレスセミナー(バイエル薬品株式会社主催)が開催された。第1部として、秋澤忠男氏(昭和大学医学部 腎臓内科教授)が、「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインによって変わる透析医療」を、第2部として、宮本高宏氏(全国腎臓病協議会 会長)が、「透析患者の治療における実態とガイドライン改訂への期待」を講演した。その内容をレポートする。

関節リウマチ治療薬への新たな期待 【アバタセプト全例調査 中間解析結果】

2012年4月に開催された第56回日本リウマチ学会総会・学術集会(JCR2012)において、アバタセプト(商品名:オレンシア)の使用成績調査(全例調査)の中間解析結果が報告された。これを受けて2012年5月25日、ブリストル・マイヤーズ株式会社による記者発表会が開催され、産業医科大学第1内科学講座の田中良哉氏によって講演が行われた。

低侵襲食道切除術、切除可能食道がんの術後合併症を低減

切除可能な食道がんの治療では、低侵襲食道切除術が開胸食道切除術に比べ術後の肺感染症の頻度が低く、短期的なベネフィットをもたらすことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのSurya S A Y Biere氏らの検討で示された。切除可能な食道がんの唯一の根治的治療は食道切除術とされるが、開胸食道切除術では患者の半数以上に術後の呼吸器合併症の発現がみられる。胸腔鏡と腹腔鏡を用いた低侵襲食道切除術は、術後の肺感染症の合併が少ないため在院日数が短縮することが知られているが、これまで無作為化試験による評価は行われていなかったという。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月1日号)掲載の報告。

パゾパニブ、転移性軟部肉腫の無増悪生存期間を有意に延長

マルチターゲットの経口チロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブは、化学療法施行後に病態が進行した非脂肪細胞性の転移性軟部肉腫の新たな治療選択肢となることが、オランダ・Radboud大学医療センターのWinette T A van der Graaf氏らが実施したPALETTE試験で示された。軟部肉腫は成人のがんの1%ほどのまれな間葉腫瘍で、米国では年間約1万1,280人が罹患、約3,900人が死亡し、欧州では年間に10万人当たり5人の割合で発症しているという。パゾパニブは非脂肪細胞性の進行軟部肉腫に対する抗腫瘍効果が確認されている。Lancet誌2012年5月19日号(オンライン版2012年5月16日号)掲載の報告。

抗悪性腫瘍剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」新発売

ファイザーは29日、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC:Non-Small Cell Lung Cancer)の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」(一般名:クリゾチニブ、以下:ザーコリ)を発売した。また、同日付で薬価収載もされた。

双極性障害患者に対するオランザピン単剤 or 併用の忍容性

リリー・リサーチ・ラボラトリーズの片桐氏らは日本人双極性障害患者に対しオランザピンを単剤または気分安定薬との併用にて18週間投与し、長期の安全性および有効性を検討した。その結果、「日本人でも欧米と同様、良好な結果が得られた」として、Curr Med Res Opin誌2012年5月号(オンライン版4月10日号)にて報告した。

コーヒー摂取と原因別死亡との関連

 米国立衛生研究所(NIH)のNeal D. Freedman氏らによる、50~71歳の男女約40万人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた結果、逆相関の関連が認められたことが報告された。ただし、その結果がコーヒー摂取によるものなのかどうか、あるいはコーヒー摂取が関連しているのかどうかは今回のデータからは判然としなかったと補足しまとめている。コーヒーは広く消費されている飲料の1つであり、抗酸化作用や生理活性作用の源となる物質を豊富に含むことが知られているが、死亡リスクとの関連は明らかとなっていない。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。

抗菌薬と心血管死リスクとの関連

抗菌薬と心血管死リスクとの関連について、米国・ヴァンダービルト医科大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、治療1~5日目において、マクロライド系のアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)使用患者は、ニューキノロン系のシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンほか)より有意に増加したがレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)とは有意差は認められなかったことが明らかにされた。Ray氏らは「5日間の治療中、アジスロマイシン服用者の心血管死亡の絶対数増加はわずかであるが、基線での心血管疾患リスクが高い患者では顕著に増加した」と結論している。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。

抗精神病薬を処方された患者は本当に薬を服用しているのか?

Stephenson氏らは経口第二世代抗精神病薬を服用している患者について、医師が認識しているアドヒアランスと患者による薬局への薬剤請求から判定した実際のアドヒアランスを比較し、「医師が思っているよりも患者のアドヒアランスは良好でないため、再発予防も見据え適切な介入を行うことが重要である 」と結論づけた。本報告はInt J Clin Pract誌6月号(オンライン版5月11日号)に掲載された。