クラミジア検査で骨盤内炎症性疾患の予防は可能か

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ケアネット

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クラミジア感染症スクリーニングの実施で、PID(骨盤内炎症性疾患)の発病率を減らすことができるのか。ロンドン大学セント・ジョージア校地域保健科学部門のPippa Oakeshott氏らが無作為化試験を行い、BMJ誌2010年4月24日号(オンライン版2010年4月8日号)で報告している。クラミジア感染症は欧米で最も多い性感染症で、毎年新規患者は300万人以上。しかし症状に乏しいため放置され、PID発病を招くケースが少なくない。その医療コストは米国で年間20億ドル以上と推計されているという。

迅速検査治療群と対照群とに無作為化し1年間のPID発病率を追跡




試験は、ロンドンにある大学で女子学生2,529例を対象に実施された。被験者の平均年齢は21歳(範囲:16~27歳)。

学生に質問票に回答してもらうと同時に、自己採取による検体(膣の分泌液を綿棒で採取)を提出してもらい、クラミジア感染症の迅速検査と治療を行う群(スクリーニング群)と、1年保管した後解析する群(対照群)とに無作為化され、追跡された。

主要評価項目は12ヵ月間にわたるPID発病率。追跡調査を完了したのは94%(2,377/2,529例)だった。

検査の実施はPID発病予防に効果あり、ただし……




基線でのクラミジア感染症有病率は、スクリーニング群5.4%(68/1,254例)、対照群5.9%(75/1,265例)だった。

12ヵ月間のPID発病率は、両群計38例で、スクリーニング群1.3%(15/1,191例)、対照群1.9%(23/1,186例)、スクリーニング群の相対リスクは0.65(95%信頼区間:0.34~1.22)だった。

基線でクラミジア感染症陽性だった人のうち、12ヵ月間でPIDを発病したのは、対照群は74例のうち7例、発病率は9.5%(95%信頼区間:4.7%~18.3%)だった。一方、スクリーニング群の発病率は1.6%(1/63例)で、スクリーニング群の相対リスクは、0.17(同:0.03~1.01)だった。

しかしPIDを発病した38例のうちの大半(30例、79%)は、基線でクラミジア感染症陰性の人だった。

なお試験中、両群計22%(527/2,377例)の被験者が、クラミジア感染症スクリーニングを別途改めて受けていた。

Oakeshott氏は、「クラミジア感染症のスクリーニングの実施が、PID発病の抑制に結びつくことが示唆された。特に、基線で陽性だった人には効果があるようだが、陽性だった人についてPID予防のためのクラミジア検査を、その後12ヵ月間で1回受ければ効果があるということについては議論の余地が残る」と結論している。

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