脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

脳梗塞入院時の口腔状態が3カ月後の生活自立度と有意に関連

 脳梗塞で入院した時点の歯や歯肉、舌などの口腔状態が良くないほど、入院中に肺炎を発症したり、退院後に自立した生活が妨げられたりしやすいことを示すデータが報告された。広島大学大学院医系科学研究科脳神経内科学の江藤太氏、祢津智久氏らが、同大学病院の患者を対象に行った研究の結果であり、詳細は「Clinical Oral Investigations」に7月19日掲載された。  全身性疾患の予防や治療における口腔衛生の重要性に関するエビデンスが蓄積され、急性期病院の多くで入院中に口腔ケアが行われるようになってきた。ただし、脳梗塞発症時点の口腔状態と機能的転帰や院内肺炎リスクとの関連については不明点が残されていることから、祢津氏らはこれらの点について詳細な検討を行った。

アルツハイマー病患者における第2世代抗精神病薬関連有害事象

 アルツハイマー病(AD)は、記憶障害、認知機能障害、神経精神症状などを引き起こす神経変性疾患である。ADの神経精神症状のマネジメントでは、第2世代抗精神病薬(SGA)が頻繁に使用されるが、AD患者に対するSGAの安全性プロファイルについては、詳しく調査する必要がある。中国・福建医科大学のJianxing Zhou氏らは、米国FDAの有害事象報告システム(FAERS)のデータベースより、薬物有害反応(ADR)を分析し、AD患者におけるSGAの安全性を評価した。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2024年8月20日号の報告。  2014~23年のFAERSデータを包括的に分析し、リスペリドン、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、アリピプラゾールなどのSGAで治療されたAD患者のADRに焦点を当て評価を行った。Bayesian confidence propagation neural network(BCPNN)、ワイブル分析、PBPKモデルを用いて、記述的、不均衡性、時間、用量について分析を実施した。

新たな「血小板スコア」で脳卒中や心筋梗塞リスクを予測

 実験段階にある遺伝子検査によって、命に関わることもある血栓症のリスクを予測できる可能性のあることが、米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医科大学院心血管疾患予防センターのJeffrey Berger氏らの研究で示された。この新たな検査でスコアが高かった末梢動脈疾患(PAD)患者は、下肢血行再建術(足の閉塞した動脈を広げて血流を取り戻す治療)後の心筋梗塞や脳卒中、下肢切断のリスクが2倍以上であることが示されたという。この研究結果は、「Nature Communications」に8月20日掲載された。

緑内障による認知機能障害や認知症リスク~メタ解析

 緑内障と認知症に関して、病理学的メカニズムおよび病因的因子が共通していることを裏付ける十分なエビデンスが報告されている。しかし、緑内障、認知症、認知機能障害の関連性は十分に解明されていない。中国・河南中医薬大学のXiaoran Wang氏らは、緑内障が認知症または認知機能障害のリスク上昇に及ぼす影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Aging Clinical and Experimental Research誌2024年8月20日号の報告。

急性期脳梗塞、抗凝固薬または抗血小板薬の補助療法は有益か/NEJM

 発症後3時間以内に静脈内血栓溶解療法を受けた急性期脳梗塞患者において、アルガトロバン(抗凝固薬)またはeptifibatide(抗血小板薬)の静脈内投与による補助療法は、脳梗塞後の障害を減少させず、死亡の増加と関連することが、米国・セントルイス・ワシントン大学のOpeolu Adeoye氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。静脈内血栓溶解療法は急性期脳梗塞の標準治療であるが、アルガトロバンまたはeptifibatideと併用した場合の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2024年9月5日号掲載の報告。

SB623、外傷性脳損傷による慢性期運動機能障害の第II相試験で良好な結果/サンバイオ

 サンバイオは2024年9月5日、2016~19年に実施した外傷性脳損傷に起因する慢性期運動機能障害を有する患者を対象に、ヒト(同種)骨髄由来加工間葉系幹細胞SB623の有効性および安全性を検討する第II相多施設共同無作為化二重盲検比較試験(STEMTRA試験)の48週(最終)までの結果がNeurology誌に掲載されたと発表した。  STEMTRA試験では、適格患者63例がSB623低用量群(2.5×106個群)、中用量群(5.0×10個群)、高用量群(10.0×106個群)および偽手術群に1:1:1:1で無作為化され、46例にSB623が投与され15例が対照群として偽手術を受けた。

大手術の周術期管理、ACE阻害薬やARBは継続していい?/ESC2024

 周術期管理における薬剤の継続・中止戦略は不明なことが多く、レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI:ACE阻害薬またはARB)もその1つである。RASI継続が術中の血圧低下、術後の心血管イベントや急性腎障害につながる可能性もあるが、Stop-or-Not Trialのメンバーの1人である米国・カルフォルニア大学サンフランシスコ校のMatthieu Legrand氏は、心臓以外の大手術を受けた患者において、術前のRASI継続が中止と比較して術後合併症の発生率の高さに関連しないことを示唆した。この報告は8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のホットラインセッションで報告され、同時にJAMA誌オンライン版2024年8月30日号に掲載された。

メマンチン+ドネペジル併用療法の有害事象プロファイル~FDAデータ解析

 中等度~高度な認知症に対し、ドネペジルとメマンチンの併用療法は、臨床的に広く用いられている。しかし、ドネペジルとメマンチン併用による長期安全性に関するデータは、不十分であり、報告にばらつきがある。中国・福建中医薬大学のYihan Yang氏らは、米国FDAの有害事象報告システム(FAERS)のデータを用いて、ドネペジルとメマンチンの併用による有害事象を分析し、併用療法の安全性モニタリングに関するエビデンスの作成を目指した。Frontiers in Pharmacology誌2024年7月17日号の報告。  2004~23年に報告されたドネペジルとメマンチンの併用に関連する有害事象をFAERSデータベースより抽出し、レトロスペクティブに分析した。併用療法と有害事象との関連性を評価するため、4つの不均衡分析法(報告オッズ比、比例報告比、BCPNN[Bayesian confidence propagation neural network]、MGPS[multi-item gamma Poisson shrinker])を用いた。潜在的な安全性をさらに評価するため、性別による発生時期と発生率の違い、年齢による発生率の違いも分析した。

BPSDに対する第2世代抗精神病薬5剤の比較~ネットワークメタ解析

 認知症患者で頻繁にみられる認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療において、第2世代抗精神病薬(SGA)がよく用いられるが、その相対的な有効性および忍容性は明らかになっていない。中国・四川大学のWenqi Lu氏らは、BPSDに対する5つのSGAの有効性、許容性、忍容性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。BMJ Mental Health誌2024年7月30日号の報告。  標準平均差(SMD)を用いて、連続アウトカムの固定効果をプールした。カテゴリ変数に対応したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。有効性の定義は、標準化された尺度によるスコア改善とした。許容性は、すべての原因による脱落率とし、忍容性は、有害事象による中止率と定義した。相対的な治療順位は、SUCRAにより評価した。有害事象アウトカムには、死亡率、脳血管有害事象、転倒、過鎮静、錐体外路症状、排尿症状を含めた。

コーヒーや紅茶の摂取と認知症リスク~メタ解析

 コーヒー、紅茶、カフェイン摂取と認知症およびアルツハイマー病リスクとの関連性は、限定的で相反する結果が示されている。中国・汕頭大学のFengjuan Li氏らは、これらの関連性を明らかにするため、潜在的な用量反応関係を定量化することを目指し、メタ解析を実施した。Food & Function誌2024年8月12日号の報告。  2024年6月11日までの公表されたコホート研究を、PubMed、EMBASE、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、プールされた相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。用量反応関係の評価には、制限付き3次スプラインを用いた。バイアスリスクの評価には、GRADE(Grading of Recommendations Assessment Development and Evaluation)ツールを用いた。