内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:74

ワクチン接種はかかりつけ医に相談を/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は10月2日、定例会見を開催した。会見では、松本会長が先日発足した石破 茂内閣誕生に言及し、医師会は地域を支える重要な医療インフラとして政権と一体となって政策を推進すること、防災省の提案もあるように医師会も災害対策を重要な事項と考えていること、医療・介護業界が物価高騰を上回る賃上げが実現できることなどを要望し、今後も諸政策で連携していくことを語った。また、先般発生した能登半島豪雨への支援金について10月末まで医師会員、一般からの寄付を募っていることを説明した。

やりがい?ワークライフバランス?若手医師が専攻領域を選んだ理由・変更した理由

 医師の総数は増加をしている中、外科などの一部診療科の増加が乏しいことに対して、どのような対策が考えられるか。9月20日に開催された厚生労働省の「第6回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、これらの課題を考えるうえでの参考資料として、厚生労働科学特別研究「日本専門医機構における医師専門研修シーリングによる医師偏在対策の効果検証」から、「現在の基本領域を選択した理由」や「希望していた基本領域を選択しなかった理由」について聞いた専攻医へのアンケート結果が示された。本稿では、その内容の一部を紹介する。

慢性不眠症の長期寛解のために最初に選ぶべき治療選択は

 東京大学の古川 由己氏らは、慢性不眠症の成人を対象に、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)、薬物療法、CBT-Iと薬物療法の併用療法の長期的および短期的な有効性、安全性を比較することを目的に、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年8月26日号の報告。  2023年12月27日までに公表された研究を、複数のデータベースより検索した。未治療の慢性不眠症患者を対象に、CBT-I、薬物療法、CBT-Iと薬物療法の併用療法の少なくとも2つを比較した試験を対象に含めた。エビデンスの信頼性の評価には、CINeMAを用いた。主要アウトカムは、長期寛解とした。副次的アウトカムは、長期または短期間のすべての原因による脱落、自己報告による睡眠継続性とした。頻度論的(frequentist)ランダム効果モデルネットワークメタ解析を実施した。

眼圧が基準範囲内でも高ければ高血圧発症の危険性が高くなる

 眼圧と高血圧リスクとの関連性を示すデータが報告された。眼圧は基準範囲内と判定されていても、高い場合はその後の高血圧発症リスクが高く、この関係は交絡因子を調整後にも有意だという。札幌医科大学循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座の古橋眞人氏と田中希尚氏、佐藤達也氏、同眼科学講座の大黒浩氏と梅津新矢氏らの共同研究によるもので、詳細は「Circulation Journal」に7月24日掲載された。  眼圧が高いことは緑内障のリスク因子であり、21mmHg以上の場合に「高眼圧」と判定され緑内障の精査が行われる。一方、これまでの横断研究から、高血圧患者は眼圧が高いことが知られている。ただし縦断研究のエビデンスは少なく、現状において眼圧の高さは高血圧のリスク因子と見なされていない。そのため眼圧は短時間で非侵襲的に評価できるにもかかわらず、もっぱら緑内障の診断や管理という眼科領域でのみ測定されている。この状況を背景として古橋氏らの研究チームは、健診受診者の大規模データを用いた後方視的縦断研究によって、眼圧と高血圧リスクとの関連を検討した。

糖尿病は脳を老化させるが生活習慣次第で抑制も可能

 脳MRIに基づく新たな研究により、糖尿病が脳を老化させる可能性のあることが分かった。特に、血糖コントロールが良くない場合には、実際の年齢に比べて平均4歳、脳の老化が進んでいた。一方、健康的なライフスタイルにより、脳の若さを保つことができることも示唆された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のAbigail Dove氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に8月28日掲載された。  論文の筆頭著者であるDove氏は、「画像所見上、糖尿病患者の脳が実年齢に比べて高齢に見えるということは、通常の加齢プロセスからの逸脱を意味しており、認知症の早期警告サインと見なせる可能性がある」と述べている。同氏の指摘どおり、以前から2型糖尿病は認知症のリスク因子の一つとして認識されてきた。しかし、認知症発症前の人の脳に、糖尿病や前糖尿病がどのような影響を与えているのかという詳細については、不明点が少なくない。

日本人女性におけるチーズの摂取と認知機能との関連

 多くの研究で、認知機能低下と食習慣との関連が報告されているが、チーズの摂取との関連は、これまであまり注目されていなかった。国立長寿医療研究センターの鈴木 隆雄氏らは、65歳以上の地域在住の日本人女性1,035人を対象に、チーズの摂取量や種類と認知機能との関連を調査するため、疫学研究を実施した。Nutrients誌2024年8月22日号の報告。  身体測定、機能的能力、チーズを含む食品の摂取頻度を評価した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用い、スコアが20〜26の場合、軽度認知機能低下と定義した。

末梢動脈疾患でがんリスク増、とくに注意すべき患者は?

 下肢末梢動脈疾患(PAD)に関連したがんリスクの増加が報告されているが、喫煙などの重要な交絡因子が考慮されておらず、追跡期間も10年未満と短い。今回、米国・ジョンズ・ホプキンス大学/久留米大学の野原 正一郎氏らは、ARIC(atherosclerosis risk in communities)研究の参加者を対象に、長期にわたってPADとがん発症の独立した関連を検討した。その結果、症候性PAD・無症候性PADとも交絡因子調整後もがんリスクと有意に関連し、とくに喫煙経験者ではがんリスクが1.4倍、肺がんリスクは2倍以上だった。International Journal of Cardiology誌オンライン版2024年9月19日号に掲載。

厳しい寒さは心筋梗塞リスクを高める

 厳しい寒さは短期的に心筋梗塞(MI)リスクを高めることが、新たな研究で明らかになった。低い気温や寒波がMI発症に与える短期的な影響について検討した、米ハーバード大学のWenli Ni氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2024、8月30日~9月2日、英ロンドン)で発表されるとともに、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月1日掲載された。Ni氏は、「寒冷ストレスがかかっている間は特に、急性MIが生じやすい可能性がある」と述べている。  研究グループによると、過去の研究では、外気温が心血管に及ぼす負荷は、高温よりも低温の方が大きいことが明らかにされている。今回、Ni氏らは、より寒冷な地域において低温と寒波が心血管に及ぼす影響を検討するために、スウェーデンのSWEDEHEART登録者12万380人の転帰を追跡した。対象者は、2005年から2019年の寒冷期(10〜3月)にMIにより入院していた。機械学習を用いて1km2単位での日平均気温を推定し、同じ自治体に住む人が経験した日々の気温のパーセンタイルに基づいて、それぞれの自治体ごとの寒さに対する適応度を評価した。寒波は、各自治体の気温分布の10パーセンタイル以下の日平均気温が2日以上続く期間として定義された。低温と寒波の影響は、ラグ(低温や寒波の発生からその影響が現れるまでの時間差)0〜1日(即時)とラグ2〜6日(遅延)に分けて検討した。  その結果、低温になってから2〜6日後に外気温パーセンタイルが1単位低下すると、MI、非ST上昇型MI(NSTEMI)、およびST上昇型MI(STEMI)のリスクがそれぞれ有意に増加し、そのオッズ比は同順で、1.099(95%信頼区間1.057〜1.142)、1.110(同1.060〜1.164)、1.076(同1.004〜1.153)であると推定された。また、到来から2〜6日後の寒波もMI、NSTEMI、STEMIの有意なリスク増加と関連し、オッズ比は同順で1.077(同1.037〜1.120)、1.069(同1.020〜1.119)、1.095(同1.023〜1.172)であった。一方、ラグ0〜1日の低温と寒波は、MIのリスク低下と関連していた。これらの結果は、初発のMIであったかや、MIの既往歴の有無を考慮しても変わらなかった。  Ni氏らは、寒くなってすぐの時点ではMIの発生が減少していた理由について、「気温が下がり始めた当初は、人々が用心して屋内で過ごそうとしたためかもしれない。しかし、そのような行動を持続するのは難しく、数日のうちに外出して極寒の気温に身をさらし、それがMIリスクの上昇を招いたのではないか」との見方を示す。  本論文の付随論評を執筆した、米イェール大学公衆衛生大学院疫学分野のKai Chen氏と米ヒューストン・メソジスト病院心臓病学のKhurram Nasir氏は、気候変動により気温は極端に高くなったり低くなったりし続けていることを踏まえ、「医療システムが心血管の健康に対するこれらの課題を管理し、緩和するのに十分な備えを整えるには、両極端の気温に対処する必要がある」と述べている。

セマグルチドがHFpEF患者の心不全イベントを抑制/Lancet

 駆出率が軽度低下または保たれた心不全(HFpEF)患者の治療において、プラセボと比較してGLP-1受容体作動薬セマグルチドは、心血管死に対する効果は有意ではないものの、心血管死または心不全増悪イベントの複合エンドポイントと心不全増悪イベント単独のリスクを減少させ、忍容性も良好で重篤な有害事象の発現率は相対的に低いことが、米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMikhail N. Kosiborod氏らSELECT, FLOW, STEP-HFpEF, and STEP-HFpEF DM Trial Committees and Investigatorsの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年9月7日号で報告された。

薬剤耐性に起因する死者数、2050年までに3900万人以上に/Lancet

 微生物に対して抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性(antimicrobial resistance;AMR)が健康上にもたらす脅威が増大している。こうした中、AMRに対する措置を早急に講じない限り、今後25年の間にAMRに起因する世界の死者数が3900万人に上るとの予測が示された。AMRに関するグローバル研究(GRAM)プロジェクトによるこの研究結果は、「The Lancet」に9月16日掲載された。  AMRは、すでに世界規模の健康問題として広く認識されており、その影響は今後数十年でさらに大きくなると予想されている。しかし、これまでAMRの歴史的傾向を評価し、AMRが今後、世界に与える影響を詳細に予測する研究は実施されていなかった。