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EGFR変異肺がんへのオシメルチニブのアジュバント、CNS含む再発を有意に減少(ADAURA)/ESMO2020

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。・対象:EGFR変異陽性(Ex19del/L858R)のStage IB/II/IIIA非扁平上皮NSCLC完全切除患者682例(術後化学療法は許容)、PS 0〜1・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間投与・対照群:プラセボ・評価項目:[主要評価項目]主治医判定によるStage II/IIIA患者のDFS(想定HR=0.70)[副次評価項目]全集団のDFS、2/3/4/5年時のDFS率、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL今回の発表は、CNS転移を含む再発のパターンに関する探索的検討のデータである。 主な結果は以下のとおり。・DFSイベントの発生率はオシメルチニブ群で11%、プラセボ群で46%あった。・再発の内訳は、オシメルチニブ群では遠隔転移38%、局所再発62%、プラセボ群では遠隔転移61%、局所再発39%であった。・CNS転移の発生率は、オシメルチニブ群で1%(4例)、プラセボ群で10%(33例)であった。・CNS転移発生をイベントとしたCNS-DFSでは、HR:0.18、95%CI:0.10~0.33、p<0.0001で、2年DFS率は、オシメルチニブ群で98%、プラセボ群で85%であった。坪井氏は「アジュバント・オシメルチニブは、Stage IB/II/IIIAのEGFR変異陽性NSCLC患者の臨床治療を変更し得るような有効な治療法である」と結論付けている。 試験結果は、ESMO発表の同日(2020年9月19日)、NEJMにも公開された。

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HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。左室駆出率が40%以下に低下した3,730例を対象にプラセボ対照無作為化試験 試験は、慢性心不全(NYHA機能分類II、III、IV)で左室駆出率が40%以下に低下した18歳以上の成人患者3,730例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に割り付け、推奨治療に加えてエンパグリフロジン(10mg 1日1回、1,863例)またはプラセボ(1,867例)を投与し追跡した。 主要アウトカムは、心血管死・心不全増悪による入院の複合であった。DM有無を問わず、心血管死・心不全増悪による入院のリスクを有意に低下 中央値16ヵ月の追跡期間中に、主要アウトカムのイベントは、エンパグリフロジン群では361/1,863例(19.4%)に、プラセボ群では462/1,867例(24.7%)に発生した(心血管死・心不全増悪による入院のハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.65~0.86、p<0.001)。主要アウトカムへのエンパグリフロジンの効果は、2型糖尿病の有無を問わず認められた。 また、階層的検定手順で規定した副次アウトカムである、心不全による入院の総発生件数について、プラセボ群と比べてエンパグリフロジン群で有意に低下したことが(HR:0.70、95%CI:0.58~0.85、p<0.001)、同様に推定糸球体濾過率(eGFR)の年率低下についても有意に遅延させたことが(-0.55 vs.-2.28mL/分/体表面積1.73m2/年、p<0.001)示された。 そのほか、事前に規定されていた解析において、エンパグリフロジン治療を受けた患者は、重篤な腎アウトカムのリスクが低いことも示された(HR:0.50、95%CI:0.32~0.77)。なお、合併症のない性器感染症発生の報告頻度が、エンパグリフロジン群で高かった。

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EGFR変異陽性肺がんアファチニブ→オシメルチニブのシークエンシャル最終解析(GioTag)/ベーリンガー

 ベーリンガーインゲルハイムは、2020年9月2日、GioTagアップデート研究の最終解析結果を発表した。同研究は、T790M変異を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおいて、アファチニブの初回治療後にオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールド、レトロスペクティブ観察研究。 結果、解析患者203例におけるアファチニブからオシメルチニブへのシークエンシャル治療の全生存期間(OS)中央値は37.6ヵ月、治療成功期間(TTF)は27.7ヵ月に達した。  Del19変異陽性患者のOS中央値は41.6ヵ月、TTF中央値は37.1ヵ月であった。アジア人患者のOSは44.8ヵ月、TTFは37.1ヵ月。Del19陽性アジア人患者のOSは45.7ヵ月、TTFは40.0ヵ月となった。 また、安定した脳転移を有する患者群ではOS 31ヵ月、TTF 22.2ヵ月。65歳以上の患者群ではOS 36.9ヵ月、TTF 27.3ヵ月、ECOG PS2以上の患者群ではOS 32ヵ月、TTF 22.2ヵ月であった。

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奇跡を軌跡に。日本初の患者提案型医師主導治験:KISEKI trial【肺がんインタビュー】 第51回

第51回 奇跡を軌跡に。日本初の患者提案型医師主導治験:KISEKI trial出演:近畿大学医学部内科学 腫瘍内科部門 武田 真幸氏西日本がん研究機構(WJOG)と肺がん患者の会ワンステップが実現した日本初の患者提案型医師主導治験「KISEKI trial(WJOG12819L)」。このT790M変異を問わないEGFR変異陽性肺がん2次治療におけるオシメルチニブの第II相試験について、研究事務局の近畿大学の武田真幸氏に実施にいたる背景や試験デザインについて聞いた。

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FDA、がん種横断的遺伝子検査にリキッドバイオプシー承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年8月7日、Guardant HealthのGuardant360 CDxを、同年8月26日、Foundation MedicineのFoundationOne Liquid CDxを、固形がん患者に対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP)用のリキッドバイオプシー検査として承認した。 Guardant360 CDxは、EGFR変異非小細胞肺がん患者におけるオシメルチニブのコンパニオン診断としても承認されていた。FoundationOne Liquid CDxについては、今回、プロファイリング検査に加え、BRCA1/2変異陽性去勢抵抗性前立腺がん患者におけるrucaparibを含む4種のPARP阻害薬、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん1次治療における3つのEGFR-TKIのコンパニオン診断薬としても承認された。

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肺がんNGSコンパニオン診断、有効活用に向けた実臨床での分析【肺がんインタビュー】 第50回

第50回 肺がんNGSコンパニオン診断、有効活用に向けた実臨床での分析肺がんでは、次世代シーケンス(NGS)によるコンパニオン診断が承認され、治療初期からの網羅的な遺伝子診断が可能となった。しかし、実臨床における活用状況や、その成績は明らかになっていない。「西日本がん研究機構(WJOG)」では、これらの現状を明らかにするWJOG13019Lを実施している。研究代表医師である北九州市立医療センター 大坪 孝平氏に聞いた。明らかになっていない、NGSによる肺がん初期遺伝子診断の実態―この試験を実施する背景について教えていただけますか。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する肺がんには複数のドライバー遺伝子変異があります。なかでもEGFR、ALK、ROS1、BRAFなどの遺伝子変異/転座は分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)が高い有効性を示すため、肺がんでは、初期診断の段階で複数のドライバー遺伝子を同時に測定することが推奨されます。そのような中、46種類遺伝子を同時に検索できる次世代シークエンス(NGS)を用いたコンパニオン診断システム「オンコマインDx Target Test マルチCDxシステム(以下、オンコマインDxTT)」が、2019年6月に保険収載され、上記4つの変異測定に使用できるようになりました。 従来の検査法では、ドライバー遺伝子ごとに別のコンパニオン診断薬が必要でした。その結果、複数の遺伝子変異を同時に測定するためには、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本が 、最大で30枚程度必要になります。実臨床でそれだけの組織を採取することは容易ではありません。実際、23.4%の患者さんが検体不足により4つのドライバー遺伝子測定を完遂できなかったとの報告もあります。オンコマインDxTTを用いると、10枚程度の標本で遺伝子変異が測定可能となり、こういった課題も解消されると想定されました。 しかし、実臨床ではオンコマインDxTTを利用しても、検体量不足や検体の質の問題で、測定不能と判定されることがあります。NGSを用いた遺伝子変異測定の成功率はどの程度か、また、どういう採取方法で、どれくらいの検体を採り、どういう病理学的処理をすれば、きちんと遺伝子変異を測定できるのか。当試験は、全国の肺がん治療医が持っている、このような疑問を明らかにするために計画されました。 実臨床での遺伝子変異の実態を明らかにし、治療開始の遅れをなくす―WJOG13019L試験の概要について教えていただけますか。この試験の略称は「DETECT-LC」で、WJOGの若手グループ「WING」が主体となり、サーモフィッシャー社の資金援助を受け、大阪市立大学をデータセンターとして実施しています。 対象は、WINGの施設を主体とした19施設において、2019年6月1日~20年1月31日に、オコマインDxTTによる遺伝子検査が行われた非小細胞肺がんです。登録後、検体情報と臨床情報を収集して、後ろ向きに解析します。主要評価項目は、遺伝子変異測定成功割合(EGFR、ALK、ROS1、BRAFすべての測定が成功した割合)、副次評価項目は検体条件(検体採取方法、腫瘍細胞含有率、固定条件、マイクロダイセクションの有無)による遺伝子変異測定成功割合、測定成功症例における遺伝子変異陽性率(46種類)、検体提出から結果判明までの期間です。わが国の実臨床で、NGSでの各遺伝子の検出頻度や、検体条件による測定成功率の違いなどは明らかになっていなかったので、注目する医師は多いと思います。2020年4月から開始した登録は、同年6月末終了し、2020年7月1日現在、目標の500例を超える533例が集まっています。今後、解析を行い、学会および論文で発表する予定です。―この試験の結果は、臨床にどのように影響を与えるでしょうか。EGFRやALKなど治療ターゲットとなるドライバー遺伝子が「測定不能」として返ってきた場合、別のコンパニオン診断薬を使って測定し直すという時間のロスを生じます。この試験の結果が、非小細胞肺がんの患者さんに対する治療導入の遅れを減らすことにつながれば、大きなメリットになると考えています。また、前述の4つの遺伝子や、KRASなど今後治療ターゲットとなりえるドライバー遺伝子の変異/転座の割合が明らかになることで、今後の治療薬開発につながっていく可能性もあり、非常に重要だと思っています。

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EGFR陽性肺がんに対する抗HER3ADC「U3-1402」とオシメルチニブ併用、臨床試験実施へ/第一三共

 第一三共は、2020年8月7日、U3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体)とEGFR‐TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)との併用療法を評価する臨床試験の実施に関する契約をアストラゼネカと締結したと発表。 本契約に基づき、同社は、EGFR遺伝子変異を有する進行および転移を有する非小細胞肺がん患者を対象とした、両剤併用のグローバル第I相臨床試験を実施する。 本試験は2つのパートからなり、パート1(用量漸増パート)では、同剤とオシメルチニブの異なる投与量の組み合わせによる安全性と忍容性を評価し、推奨用量を決定する。パート2(用量展開パート)では、両剤併用の推奨用量での有効性と安全性を評価する。 用量漸増パートの主要評価項目は安全性と忍容性で、用量展開パートの主要評価項目は客観的奏効率など。北米、欧州、日本を含むアジアにおいて最大258名の患者を登録する予定。

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FDA、オシメルチニブのEGFR陽性肺がん術後補助療法をブレークスルーセラピー指定/アストラゼネカ

 2020年7月31日、米国食品医薬品局(FDA)は、第3世代EFGR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)による完全切除後の早期(Stage IB~IIIA)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)への術後補助療法をブレークスルーセラピーに指定した。 この指定は、米国臨床腫瘍学会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表された第III相ADAURA試験のデータに基づくもの。この試験では、オシメルチニブによる術後補助療法は、統計的に有意で臨床的に意味のある無病生存率(DFS)の改善を示した(HR:0.21、95% CI:0.16~0.28; p

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ダパグリフロジン、2型DM合併問わずCKD患者に有益/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)は、同社が行ったダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の第III相DAPA-CKD試験の結果を発表した。プラセボと比較し主要評価項目で腎保護を達成 慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患。最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、重篤な状態になると腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする末期腎不全(ESKD)となる。全世界で約7億人の患者が推定されている。 今回結果が報告されたDAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無を問わず、CKDのステージ2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例のCKD患者を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による効果と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。 発表によるとダパグリフロジンは、成人CKD患者における、腎機能の悪化または死亡に関する主要複合評価項目(推定糸球体ろ過量[eGFR]の50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡のいずれかの発生と定義)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある効果を示し、2型糖尿病合併の有無にかかわらずCKD患者において、すべての副次的評価項目も達成した。 なお、安全性および忍容性プロファイルは、本剤の確立された安全性プロファイルと一貫。ダパグリフロジンの概要 ダパグリフロジンは、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有している。2型糖尿病患者を対象とする“DECARE-TIMI58心血管アウトカム試験”では、標準治療への追加療法で、プラセボと比較し、心不全による入院または心血管死の複合評価項目におけるリスクを低下した。 さらに、2020年5月、ダパグロフロジンは、米国において2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した(HFrEF)、成人心不全患者(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得した。 なお、わが国で承認されているダパグロフロジンの適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」。2020年8月現在で慢性腎臓病の適応を取得している国および地域はない。 現在、心不全患者を対象とした“DELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)”および“DETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)”も進行中であり、同社では、「本試験は2型糖尿病合併の有無にかかわらず、慢性腎臓病患者において生存期間の改善を含む試験開始当初の想定をはるかに上回る有効性を示した最初の試験。この結果を今後、世界の科学コミュニティや保健当局と共有してきたい」と期待を寄せている。

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免疫チェックポイント阻害薬の未来―がん免疫療法の耐性とその克服【そこからですか!?のがん免疫講座】最終回

はじめに「がん免疫の基礎を…」ということで始まったこのシリーズは、当初5回くらいで終わる予定でしたが、いろいろ盛り込んで増えてしまい、計7回になりました。まだまだトピックスはありますが、込み入った話はあまりせず、がん免疫療法の将来像を「個人的」な想像(妄想?)も交えてお話しすることで、終わりにしたいと思います(あくまで「個人的」な見解であり、承認されていない薬剤や使用方法についても記載がありますが、ご容赦ください)。ICIはどんどん早い段階で使われるように現在、臨床応用されている免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、抗PD-1/PD-L1抗体と抗CTLA-4抗体です。ご存じのように、これらは当初の適応がん種であった悪性黒色腫や肺がんだけでなく、さまざまながんで効果が証明され、使用が広がっています。免疫応答ががん細胞に対してしっかり起きていれば(とくにT細胞がしっかり攻撃できれば)、がん種に関係なく効く、というわけなのです。「ネオ抗原を反映する体細胞変異数が重要」という話をバイオマーカーの話題の回で紹介しましたが、体細胞変異数が多いMSI highというくくりや、最近では体細胞変異数が多いがんというくくりにおいても、ICIの効果が証明されつつあります。今まで臓器別で承認されてきた抗がん剤ですが、ここに来てがん種横断的な承認・使用ができるようになってきています。似たようなことはゲノム医療が進む分子標的薬の世界でも広がっていますね。そして、遅いラインでの使用よりもファーストラインでの使用、さらには早期がんでの周術期、というように、ICIはどんどん早い段階で使用する方向に向かっています。患者さんの検体を解析していて感じますが、やはり早期の小さいがんほど「(俗っぽい表現ですが)免疫状態がよく」、がん免疫療法もそういった小さな、早期のものほど効く可能性が高いと感じます。マウスの実験でも、小さい腫瘍のほうが明らかによく効きます(図1)1)。とくに最近の術前補助化学療法としてICIを使う効果は特筆すべきものがあり2)、今後「術前ICI」という治療が、いろいろながん種で臨床に入ってくるかもしれません。画像を拡大する今後を占うのは、ICIの「3つの耐性機序」今までの分子標的薬治療の開発史においても、耐性機序を解明することによって次の治療が登場してきました。たとえば、第1世代EGFR-TKIに耐性を示すEGFR T790M変異が見つかったことで第3世代EGFR-TKIが開発されたわけです。ICIについても今後の治療開発には耐性機序が非常に重要ですので、ここでも少し触れたいと思います。今までのデータを見ると、ICIの耐性機序はEGFRのT790M変異のような特定の機序というよりは、さまざまな耐性機序が複雑に絡み合っていると考えられます。このシリーズでは耳にタコができるくらい繰り返しご紹介してきましたが、ICIはT細胞を活性化させる治療ですので、代表的な耐性機序をT細胞活性化の7つのステップに準じてA~Cの3つにまとめました(図2)3)。画像を拡大する A がん抗原の認識に関わる耐性:T細胞活性化は抗原の認識から始まります。たとえば、ネオ抗原がない(≒体細胞変異が少ない)とT細胞も強く活性化できず、ICIは耐性となります。ほかにも、がん抗原を乗せるお皿であるMHCに異常があって抗原を提示することができない場合は、T細胞ががん細胞を認識しようがありませんので、耐性化してしまいます4)。 B T細胞の遊走・浸潤に関わる耐性:活性化したT細胞ががん細胞を攻撃するためには、がん細胞のいる攻撃の場へ遊走・浸潤していく必要があります。しかし、遊走・浸潤に関わるケモカインという物質などが妨害されてしまうと耐性化する、とされます。これはさまざまな機序で起きているとされており、たとえば、がん化に寄与する重要ながん側の因子がケモカイン産生を低下させていることが報告されています5)。 C 細胞傷害に関わる耐性:活性化したT細胞ががん細胞を攻撃する最終段階において、がん細胞を傷害できずに耐性化してしまうこともあります。たとえば、PD-1やCTLA-4以外の免疫チェックポイント分子がT細胞を強く抑制している場合や、免疫を抑制してしまう細胞が関与することなどが報告されています6)。耐性克服のカギはPrecision Medicineこれらの耐性を克服するために抗がん剤や放射線治療との併用や、ほかの免疫チェックポイントに作用する薬剤との併用などが試みられています。とくに、抗がん剤併用は肺がんでは効果が証明され、すでに臨床応用されています7)。また、承認済みのPD-1/PD-L1やCTLA-4を組み合わせるだけでなく、ほかの免疫チェックポイント分子を標的にした抗LAG-3抗体や抗TIGIT抗体などとの併用療法が現在開発されており、その結果が待たれます。しかしながら、開発中のものにはあまり生物学的な根拠がないものもあります。個人的には、もう少し耐性機序を考慮したうえで個々の組み合わせを考えることが必要だと考えています。がん免疫療法もゲノム医療のようにPrecision Medicineに進むべきです。がん細胞に対してT細胞がまったく攻撃している気配がない患者さん(「砂漠」と表現されます)には、どんなに併用をしようともICIの効果は出ないのではないか?ともいわれています。たとえば、MHCの異常で抗原が提示できない場合には、病理学的にもT細胞がまったく見られず(まさに「砂漠」)4)、どんなにT細胞を活性化させようとも、攻撃するT細胞がそこに存在せず、かつ、がん細胞を認識すらできませんので治療効果は期待できません。「砂漠」にも可能性を感じる細胞療法前回は、CAR-T細胞療法の話題を取り上げました8)。まだ血液腫瘍だけではありますが、このような治療が有効というのは非常に興味深く、示唆に富んだ結果だと思っています。「砂漠」に近い患者さんに対しても、外から攻撃するT細胞を入れることで効果が期待できるかもしれません。実際に、前回紹介したTIL療法はICIが効かないような例でも効果が報告されています9)。似たような発想で、がん細胞の表面に出ている分子を認識する抗体と、T細胞を活性化させる刺激抗体をくっつけたBispecific抗体というものがあります。抗体の片方はがん細胞にくっついて、もう片方がT細胞を活性化させます。つまり表現が少し悪いかもしれませんが、「無理やりにでもT細胞をがん細胞に対して攻撃するように仕向ける」ことができるわけです。おわりに2012年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)でのICIの報告から8年が経ち、がん免疫療法はここまで臨床に広がりました。ICI登場まで、(私も含めて)がん免疫を「うさんくさい」と思っていた方が多いかもしれません。ご存じのようにPD-1は日本で見つかり研究が進んだもので10)、こういった基礎研究の成果がここまで臨床応用されていることに非常に感銘を受け、「うさんくさい」と思っていた自分を恥じました。しかしながら、その有効性は不十分で、まだまだ不明な点が多いのも事実です。マウスで進んできた研究ですが、ヒトでの証明が不十分なものも多いのです。今後の新しい治療開発のためにも、実際の患者さんの検体での解析がますます重要になってくるでしょう。こうした成果を積み重ねれば、将来的には進行がんでも「完治」に近い状態を実現できるのではないかと思います。ややこしい内容も多い中、最終回までお付き合いいただき、ありがとうございました。ケアネット編集部の方には理解しにくい部分をいろいろご指摘いただいて、何とか読める内容になったと思います。そして、私にがん免疫の「いろは」をご教授くださった国立がん研究センター/名古屋大学の西川先生にも、併せて深謝申し上げて本シリーズを終わりにしたいと思います。1)Umemoto K,et al.Int Immunol.2020;32:273-281.2)Forde PM, et al. N Engl J Med. 2018;378:1976-1986.3)冨樫庸介.実験医学増刊.2020;38.4)Inozume T, et al. J Invest Dermatol. 2019;139:1490-1496.5)Sugiyama E, et al. Sci Immunol. 2020;5:eaav3937.6)Togashi Y, et al. Nat Rev Clin Oncol. 2019;16:356-371.7)Gandhi L, et al. N Engl J Med. 2018;378:2078-2092.8)Singh AK, et al. Lancet Oncol. 2020;21:e168-e178.9)Zacharakis N, et al. Nat Med. 2018;24:724-730.10)Ishida Y, et al. EMBO J. 1992;11:3887-3895.

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日本初の試み「患者提案型医師主導治験」がスタート

 患者が要望し、医師が主導するという新たな形態の臨床試験がスタートする。7月9日に行われたWebセミナー「今ある薬を、使えるようにするために―Wanna Be a part of History ?―」では、日本初となるこの「患者提案型医師主導治験」の実現までの道筋や背景が説明された。 今回の治験「WJOG12819L」は、非小細胞肺がん(NSCLC)に対するオシメルチニブの適応拡大を目指す目的で行われる第II相試験。オシメルチニブの添付文書では「他のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療歴を有し、病勢進行が確認されている患者では、EGFR T790M変異が確認された患者に投与すること」とされている。そのため、既に第1、2世代EGFR-TKIを投与されている患者で全身増悪したケースや投与中に脳転移のみが起きたケースでは、T790M変異陰性の場合にはオシメルチニブを投与することができない。T790M変異陽性の患者は全体のおよそ半数で、開発時の臨床試験におけるオシメルチニブの奏効割合は約70%。一方で、陰性患者に対する奏効割合も約20%あるとされ、該当する患者からは「この条件に納得できない」という声が上がっていた。 「置き去りにされた、という思いでした」と語るのは、今回の治験の発端となった日本肺がん患者連絡会 理事長の長谷川 一男氏だ。長谷川氏はT790M変異陰性患者を含めた適応拡大には治験をするしかないと考え、講演会で知り合った近畿大学腫瘍内科 教授/西日本がん研究機構(WJOG)理事の中川 和彦氏と連携し、製薬メーカーへの協力依頼と資金集めを2年越しで行い、協力を取り付けることに成功した。 中川氏は「従来、医薬品の承認や適応拡大を目的とし、厚労省の治験ルールであるGCPに則り、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に届けを出して行う治験は、医師主導か製薬メーカー主導かの2択だった。今回はそこに『患者提案型医師主導治験』という新たな選択肢が加わったわけで、その意義は大きい」と語る。薬剤承認に関わる治験には厳密性が求められ、通常は数億円規模の予算が必要となる。一般の治験においては、治験運営資金は製薬メーカーまたは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)などの公的資金で賄うことが多いが、今回の患者提案型医師主導治験では費用の一部に患者会の寄付をあてる予定だ。「米国では患者会が大きな資金力と発言力を持っており、患者提案型治験が多く実施されている。日本でもその一歩が踏み出せた」(中川氏)。 続いて、本試験のデザインが、近畿大学医学部内科学講座腫瘍内科部門 ゲノム医療センターの武田 真幸氏から発表された。・対象はEGFR-TKI治療後、脳転移単独増悪となったT790M変異陰性/不明の患者と腫瘍増悪で引き続きプラチナ化学療法を受けたT790M変異陰性の患者。・主要評価項目は、画像中央判定による腫瘍に対する奏効割合。・脳転移増悪群17例、全身腫瘍増悪群53例の計70例を目標に2020年8月に登録を開始。3年で登録、1年で解析を目指し、早期に患者が集まれば解析を前倒しする。・患者募集は、近畿大学病院を中心に全国15施設で行う。 本治験の通称は「KISEKI試験」。適応拡大に向けた奇跡が起きることと、患者提案型治験の軌跡になりたいとの意味を掛け合わせた、という。

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高尿酸血症はCKDの発症や進行の危険因子ではあっても主たる原因とはならないか(解説:浦信行氏)-1256

 従来、高尿酸血症はCKD発症や進行の有意な危険因子であり、血圧や肥満度などの各種関連因子を調整しても依然として有意な危険因子であるとする報告は数多く見られる。このような研究報告はわが国でも多数見られ、代表的なものにIseki K.らの沖縄での研究、久山町研究、聖路加病院における研究などがあり、いずれも大規模な前向き研究である。また、腎組織との関連についてもKohagura K.らは167例の腎生検組織の血管病変の程度と血清尿酸値が有意に関連すると報告している。血清尿酸値の低下がCKDの臨床像を改善するか否かは、今まで大規模な研究がほとんどない。アロプリノールの効果を評価したRCTはいずれも小規模でSiu YP.らは54例、Goicoechea M.らは113例であり、いずれもCKDの進行抑制を報告している。Kanji T.らは19のRCTの992例のメタ解析の結果を報告しているが、研究期間が最長6ヵ月といずれも短期間であり、蛋白尿の低減効果を報告するにとどまっている。 このたび、NEJMからアロプリノールのCKD進行抑制効果に関する成績が報告された。その結果は、CKD進行抑制効果は認めなかったと報告された。高尿酸血症はCKD発症や進行の危険因子ではあっても主たる原因ではないのか。しかし、この研究には複数の限界がある。(1)目標症例は620例であったが登録の遅れで369例にとどまった。しかも治療中断例がアロプリノール群で54例、対照群で45例であり、大幅な統計学的パワーの喪失は無視できないと考える。(2)ベースラインの平均eGFRが31.7mL/min/1.73m2と、CKD 4程度のすでにかなり進行した例である。おそらく組織的にも糸球体血管病変が高度であると推測され、従来報告されている軽症~中等症例は別に検討する必要がある。(3)アロプリノールは100~300mg投与であるが投与のタイミングの記載がない。アロプリノールやその活性代謝産物は必ずしも半減期は長くない。血清尿酸値は生成酵素のXORが夜間に活性が高くなることから夜間から早朝にかけて上昇する。24時間にわたりXORを抑制する状況であったらどうであったか、など。これらをクリアーしたより統計学的なパワーの大きな研究が待たれる。

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NSCLC術後補助療法、ペメトレキセド+シスプラチンの有効性は?/JCO

 完全切除のStageII~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後補助療法としてのペメトレキセド+シスプラチンの有効性について、ビノレルビン+シスプラチンと比較した第III相無作為化非盲検試験の結果が示された。静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏らによる報告で、ペメトレキセド+シスプラチンの優越性は示されなかったが、補助化学療法として忍容性は良好であることが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月14日号の掲載報告。 試験は、日本国内7つの臨床試験グループに属する50施設で行われた。被験者は、病理学的に完全切除が確認されたStageII~IIIA(TNM 7th editionに基づく)の非扁平上皮NSCLC患者で、ペメトレキセド(500mg/m2、day1)+シスプラチン(75mg/m2、day1)またはビノレルビン(25mg/m2、day1およびday8)+シスプラチン(80mg/m2、day1)のいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。年齢、性別、病理学的ステージ、EGFR変異、試験地で層別化も行った。 割付治療は、3週間ごと4サイクルで計画。主要評価項目は、修正intent-to-treat集団(非適格患者を除外)において評価した無再発生存(RFS)であった。 主な結果は以下のとおり。・2012年3月~2016年8月に、804例が登録された(ペメトレキセド+シスプラチン群402例、ビノレルビン+シスプラチン群402例)。・適格患者は784例で、410例(52%)がStageIIIAで、192例(24%)がEGFR変異陽性であった。・追跡期間中央値45.2ヵ月時点で、RFS期間中央値はビノレルビン+シスプラチン群37.3ヵ月に対し、ペメトレキセド+シスプラチン群38.9ヵ月であった(ハザード比:0.98、95%信頼区間[CI]:0.81~1.20、片側検定のp=0.474)。・ビノレルビン+シスプラチン群のほうがペメトレキセド+シスプラチン群よりも、Grade3/4毒性(11.6% vs.0.3%)、および貧血(9.3% vs.2.8%)について報告頻度が高かった。・治療に関連した死亡は、各群1例ずつ報告された。

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アロプリノールはCKDの進行を抑制するか?/NEJM

 進行リスクが高い慢性腎臓病(CKD)患者において、アロプリノールによる尿酸低下療法はプラセボと比較し、推定糸球体濾過量(eGFR)の低下を遅らせることはなかった。オーストラリア・St. George HospitalのSunil V. Badve氏らが、アロプリノールによる尿酸低下療法の有効性を検証した研究者主導の無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Controlled Trial of Slowing of Kidney Disease Progression from the Inhibition of Xanthine Oxidase:CKD-FIX」の結果を報告した。血清尿酸値の上昇はCKDの進行と関連している。しかし、アロプリノールを用いた尿酸低下療法が進行リスクの高いCKD患者のeGFR低下を抑制できるかどうかは不明であった。NEJM誌2020年6月25日号掲載の報告。2年間のeGFRの変化を、プラセボと比較し評価 研究グループは、2014年3月~2016年12月の期間に、オーストラリアおよびニュージーランドの31施設において、尿中アルブミン(mg)/クレアチニン(g)比が265以上または前年からのeGFR低下が3.0mL/分/1.73m2で、痛風の既往がない、ステージ3または4の成人CKD患者を、アロプリノール(100~300mg/日)群またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、CKD-EPI(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)式を用いて算出した、無作為化から104週(2年)までのeGFRの変化であった。eGFRの変化はプラセボと有意差なし 目標症例は620例であったが、登録の遅れのため369例(目標の60%)がアロプリノール群(185例)またはプラセボ群(184例)に割り付けられた時点で登録中止となった。無作為化直後に各群3例が同意を撤回し、363例が主要評価項目の解析対象となった。363例のベースラインにおけるeGFR平均値は31.7mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は716.9、平均血清尿酸値は8.2mg/dLであった。 主要評価項目であるeGFR変化量は、アロプリノール群が-3.33mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:-4.11~-2.55)、プラセボ群が-3.23mL/分/1.73m2/年(95%CI:-3.98~-2.47)であり、両群に有意差は認められなかった(平均群間差:-0.10mL/分/1.73m2/年、95%CI:-1.18~0.97、p=0.85)。 重篤な有害事象は、アロプリノール群で182例中84例(46%)、プラセボ群で181例中79例(44%)に認められた。 なお、著者は、登録が完全ではなかったこと、治療を中断した患者の割合が高かったこと、代替エンドポイントを使用したことなどを研究の限界として挙げている。

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アドヒアランス不良でアセトアミノフェン分3から変更提案した薬剤は?【うまくいく!処方提案プラクティス】第23回

 今回は、アセトアミノフェンの複数回投与が開始になったものの、アドヒアランス不良のため疼痛コントロールが困難であった症例です。良好な疼痛コントロールとアドヒアランスを得るために提案した代替薬とその根拠を紹介します。患者情報93歳、男性(在宅)基礎疾患:うっ血性心不全、右被殻出血(左麻痺あり)、前立腺肥大症、高尿酸血症訪問診療の間隔:2週間に1回服薬管理:お薬カレンダーで管理し、ヘルパーによる毎日の訪問介護時に服薬処方内容1.タムスロシン塩酸塩錠0.2mg 1錠 分1 夕食後2.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 夕食後3.トリクロルメチアジド錠1mg 1錠 分1 夕食後4.フェブキソスタット錠10mg 1錠 分1 夕食後5.センノシド錠12mg 2錠 分1 夕食後6.クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 2錠 分1 夕食後7.アセトアミノフェン錠200mg 6錠 分3 朝昼夕食後8.ピコスルファート内用液0.75% 便秘時 就寝前7〜8滴本症例のポイントこの患者さんは、脳出血後の左麻痺によって手先の不自由さがあり、ほぼベッド上で生活していました。そのため、服薬回数をすべて1日1回で統一して一包化し、毎日夕方の訪問介護の時間に服薬していました。ところが先日、トイレへ移動する際に転倒して受傷し、睡眠時や排泄時の疼痛のため、アセトアミノフェン錠200mg 6錠 分3 毎食後が開始となりました。朝・昼のアセトアミノフェンは、ヘルパーさんが夕方の訪問介護時にベッド近くに置いておいて、患者さんご自身で服薬することになりました。しかし、2回分を重複して服用したり服薬を忘れてしまったりと服薬アドヒアランスが維持できず、疼痛が管理できないという問題がありました。同じタイミングでケアマネジャーから、薬をなんとか1回にまとめられないものかと相談があり、アセトアミノフェンの変更提案を検討することにしました。1日1回の服用に適したNSAIDsを検討1日複数回服用することで重複投薬のリスクがあり、飲み忘れによって疼痛コントロールも不十分であるため、ほかの定期薬に合わせて服用できる鎮痛薬を検討しました。ここで候補に挙がったのは長時間作用型NSAIDsのメロキシカムです。長時間作用型という性質上、1日1回で疼痛コントロールできることに加え、服薬回数の負担も軽減できることから当該患者さんの処方薬として妥当だと考えました。半減期が長いため、高齢者や腎・肝機能が低下している場合は注意が必要ですが、この患者さんは心不全の状態が安定していて、直近の検査結果からも腎機能は年齢相応(Scr:0.78mg/dL、eGFR:57.8mL/min/1.73m2)で大きな悪化もないことから薬物有害事象の懸念は少ないと考えました。処方提案と経過医師に上記内容をトレーシングレポートで相談したところ、疼痛コントロールもしっかり行う必要があるが、誤薬のリスクを下げるためにも変更しようと了承いただきました。提案当日に変更対応となり、アセトアミノフェン錠の回収とメロキシカム錠10mgを夕食後投与としてカレンダーにセットしました。そして、患者さんとヘルパーさんへ鎮痛薬の変更があることを説明し、今後は朝・昼の薬はなくなることをお伝えしました。患者さんも複数回の服薬や飲み忘れ、重複投薬のことを気にしていたので、今回の変更を受けて安心していました。その後、患者さんは疼痛コントロールも良好で、疼痛による苦痛も有害事象もなく生活を続けています。

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ASCO2020レポート 肺がん

レポーター紹介2020年のASCO、とくに肺がん領域は、比較的おとなしいエビデンスの報告が主体であった昨年に比べ、新たな知見が数多く報告された。その中でも、JCOG1205/1206試験の釼持先生、NEJ026試験の前門戸先生、NivoCUP試験の谷崎先生など、日本人演者のOral presentationが数多く報告されたことは特筆に値する。肺がん全体では、ADAURA試験などの初めての報告、さらには、CheckMate 9LA、CTONG1104試験、CASPIAN試験、CheckMate227試験、KEYNOTE-189試験など重要な試験のフォローアップの報告に注目が集まった。今回はその中から、とくに注目すべき演題について概観したい。JCOG1205/1206試験JCOG肺がん外科グループ、肺がん内科グループのインターグループ試験として実施された、完全切除後の、肺の高悪性度神経内分泌腫瘍(HGNEC)を対象として、標準治療としてのシスプラチン+エトポシド、試験治療としてのシスプラチン+イリノテカンを比較する第III相試験の結果を、研究事務局の釼持先生が報告された。本試験では、完全切除後の肺HGNEC、病理病期StageI~IIIA、221例が1:1にランダム化され、無再発生存割合を主要評価項目として実施された。HGNECは小細胞肺がん、大細胞神経内分泌がんなどを含み、完全切除例は非常にまれである。当初全生存期間が主要評価項目とされていたが、想定よりも予後が良好であったことから無再発生存期間に変更されている。本試験は、残念ながら中間解析で主要評価項目である無再発生存期間での有効性を示すことができる可能性が低いことが判明し、無効中止とされ、現在は全生存期間のフォローアップを行っている。今回報告された無再発生存に関するデータでは、両群のハザード比が1.076、95%信頼区間0.666~1.738、3年の無再発生存割合が標準治療群で65.4%、試験治療群で69.0%という結果であり、無再発生存期間中央値は両群とも到達していない。全生存期間についても、結果が報告されているものの、両群で明らかな違いは認められなかった。有害事象に関しては、すでに知られているシスプラチン+エトポシド、シスプラチン+イリノテカンの毒性プロファイルが再現されていた。肺がんの中でも希少フラクションに該当する完全切除後のHGNECに対して、第III相試験が実施されたことは世界で初めての快挙であり、これまで観察研究や単群試験の結果に基づいて実施されてきたHGNECの術後療法に、明確なエビデンスが確立された重要な試験である。全生存期間についてのフォローアップは継続中であり、そちらの結果も注目されている。CASPIAN試験進展型小細胞肺がんを対象に、プラチナ+エトポシドを標準治療とし、デュルバルマブの追加、デュルバルマブ+tremelimumabの追加をそれぞれ評価する第III相試験がCASPIAN試験である。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目に無増悪生存期間、奏効割合などが設定されている。すでにデュルバルマブの追加が、有意に生存を延長するという結果が報告されており、IMpower133試験の結果で承認されたアテゾリズマブに続き、近い将来デュルバルマブが進展型小細胞肺がんの初回治療において使用可能となる見込みである。今回の発表では、本試験のうち、デュルバルマブ+tremelimumabを使用する群に関する結果が示されている。主要評価項目の全生存期間において、ハザード比0.82、95%信頼区間0.66~1.00であり、これは事前に設定された有意水準をわずかに下回っており、デュルバルマブ+tremelimumabについては主要評価項目を達成できなかった。また、アップデートされたデュルバルマブを単独で追加する群も含めた3本の生存曲線の解析結果も示されており、免疫チェックポイント阻害剤の追加により全生存期間の利益が得られることは明確であったが、デュルバルマブに加えてtremelimumabまで追加することの意義は生存曲線から見ても明らかではなかった。今後、進展型小細胞肺がんの1次治療においても、複数の免疫チェックポイント阻害剤、具体的にはアテゾリズマブ、デュルバルマブの使い分けについての議論を行う必要がある。KEYNOTE-604試験進展型小細胞肺がんを対象として、標準治療としてのプラチナ+エトポシド療法に対して、ペムブロリズマブを追加することの意義を検証するために実施された第III相試験である。主要評価項目としては、無増悪生存期間、全生存期間がCo-primaryとして設定されており、無増悪生存期間にはα0.0048、全生存期間にはα0.0128がそれぞれ割り振られている。無増悪生存期間については、ハザード比0.75、95%信頼区間0.61~0.91であり、p値は0.0023と当初予定された有意水準を達成している。一方、全生存期間については、ハザード比が0.80、95%信頼区間0.64~0.98であり、p値は0.0164と一見すると有意であるように見えるものの、事前に設定された有意水準には到達しておらず、全生存期間については有効性を統計学的には示すことができなかった。この結果をどのように判断し、各国の規制当局がペムブロリズマブを承認するか否かは今後の情報を待ちたい。一方、無増悪生存、全生存の生存曲線を確認すると、いずれもIMpower133、CASPIANで示されたものと類似した形態を示しており、小細胞肺がんと非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害剤の挙動の違いが明瞭に示される結果であり、興味深い。CTONG1104試験EGFR遺伝子変異陽性、完全切除後のN1-2非小細胞肺がん患者を対象に、ゲフィチニブを試験治療(24ヵ月)、シスプラチン+ビノレルビンを標準治療(4サイクル)として実施する第III相試験が、CTONG1104試験である。ADJUVANT試験とも呼ばれ、222例が登録されている。無病生存期間を主要評価項目とした本試験の結果は、すでに報告されている。今回アップデートされた無病生存期間の報告では、5年の無病生存割合が、ゲフィチニブ群で22.6%、シスプラチン+ビノレルビン群で23.2%であった。生存曲線を見ると、当初ゲフィチニブ群の無病生存が明らかに良い傾向であったが、最終的に生存曲線は重なり、ハザード比は0.56、95%信頼区間0.40~0.79という結果であった。今回報告された全生存期間については、生存曲線は当初ゲフィチニブ群がやや上回る傾向があったものの全体ではほぼ一致しており、ハザード比は0.92、95%信頼区間0.62~1.36という結果であった。5年生存割合は、ゲフィチニブ群で53.2%、シスプラチン+ビノレルビン群で51.2%であり、全生存期間においてゲフィチニブを術後療法として使用することの明確な意義は示されなかった。その背景として、シスプラチン+ビノレルビン群で再発した患者のうち、51.5%がゲフィチニブなどEGFR-TKIの治療を受けていることが指摘されている。ADAURA試験の結果が初めて報告される中、本試験の意義は大きい。とくに、無病生存期間でハザード比では明らかにゲフィチニブの有効性が示されながらも、5年無病生存割合ではシスプラチン+ビノレルビン群に追いつかれており、さらに、全生存期間でも両群に差がなかったことは注目すべき点である。これは、ゲフィチニブは無病生存期間を延長することにつながっているが、術後患者における根治率の向上には貢献していないあるいは、貢献していたとしても本試験の規模では検出できない程度のインパクトであることが示している。IV期非小細胞肺がんにおいてゲフィチニブに無増悪生存期間、全生存期間ともに勝利したオシメルチニブにより、異なる結果が得られるのか、ADAURA試験の結果とフォローアップデータに注目が集まる。ADAURA試験EGFR遺伝子変異陽性、完全切除後のStageIB、II、IIIA非小細胞肺がんを対象として、オシメルチニブを試験治療(36ヵ月)、プラセボと比較した第III相試験がADAURA試験である。プラチナ併用療法による標準的な術後療法を受けていない患者の登録も許容されており、両群とも約半数が術後療法を受けている。682例の患者が1:1で両群に割り付けられた、EGFR-TKIを用いた試験としては大規模な試験である。主要評価項目はII期、IIIA期の患者における無病生存割合、副次評価項目として全患者集団での無病生存期間、全生存期間などが設定されている。久しぶりにASCOのPlenaryで発表された本試験の無病生存期間は、ハザード比0.17、95%信頼区間0.12~0.23という驚異的な結果であり、36ヵ月時点でのオシメルチニブ群の無病生存割合が80%、プラセボ群の無病生存割合が28%という明らかな違いが示されている。IB期も含む全集団においても、オシメルチニブの無病生存割合は79%と変化しなかったが、プラセボ群では41%とIB期が入った分良好な結果が示されている。サブセット解析においても一様にハザード比の点推定値はオシメルチニブの有効性を示しており、IB期212例の結果もハザード比0.50、95%信頼区間0.25~0.96と、1をまたいでいないことは注目に値する。この点はステージ別の無病生存曲線でも詳細に示されており、最も大きな恩恵を得るのはIIIA期など、より進行した集団であった。幸いなことに、オシメルチニブ群において治療関連死が報告されていないことも重要である。全生存期間については、示された生存曲線は24ヵ月前後の部分でオシメルチニブ群がやや良好な傾向を示しており、ハザード比は0.40、95%信頼区間0.18~0.90と報告されているが、現時点でのイベントは全体で5%程度までしか到達しておらず、今後大きく変動しうる。本結果については、発表当初からASCOのVirtual meetingのコメント欄、さらにはSNSで多数の議論を呼んでおり、オシメルチニブを標準治療としてEGFR遺伝子変異陽性、完全切除後の集団における術後アジュバントに使用するべきという意見と、全生存期間の結果を待つべきとする意見がともに提示されている。前述のCTONG1104試験が222例の試験で、無病生存の生存曲線が最終的には重なり、全生存期間でも明らかな違いを示すことができなかったのに対し、ADAURA試験は700例弱の十分な検出力を持った試験である。この試験規模の違いにより、CTONG1104試験では示されなかった全生存期間でのベネフィットが、ADAURAで示されるのか、肺がんの専門家が固唾をのんで見守っている。NEJ026試験EGFR遺伝子変異陽性、根治放射線治療不能のIIIB期、IV期非小細胞肺がんを対象として、エルロチニブを標準治療に、エルロチニブ+ベバシズマブを評価した第III相試験がNEJ026試験である。同じレジメンを第II相試験で評価したJO25567試験は、無増悪生存期間で良好な結果を示したものの、当初予定されていなかった全生存期間の評価では、一部再同意の取得ができなかった患者のフォローアップができなかったなどの理由から、全生存に関しては満足できる評価が行われておらず、当初から全生存期間の評価を予定していたNEJ026試験の結果に注目が集まっていた。今回報告された全生存期間において、ハザード比は1.007、95%信頼区間0.681~1.490であり、生存曲線もほぼ重なっており、ベバシズマブを追加する明確な意義は示されなかった。サブグループ解析では、とくに無増悪生存期間の報告の際から注目されていた、EGFR遺伝子変異のタイプ別、具体的にはL858RとExon19delにおける効果の違いがOSで示されるのかが注目されたが、結果的にはいずれの変異でも全生存期間に明らかな違いは認められなかった。昨年初めて報告されたRELAY試験において、もう一つの血管新生阻害剤であるラムシルマブとエルロチニブの併用療法について、さらに大きなサンプルサイズでの検証が進められており、こちらの結果が今後の血管新生阻害剤とEGFR-TKI併用の評価を分ける重要な試験となる。さらに、血管新生阻害剤とオシメルチニブの併用療法についても、Phase III含めいくつもの試験が開始されており、TKIの違いにより異なる結果が得られうるのか、注目されている。CheckMate 9LA試験IV期あるいは再発のEGFR陰性、ALK陰性の非小細胞肺がんを対象として、初回治療におけるプラチナ併用療法とニボルマブ+イピリムマブの有効性を、標準治療としてのプラチナ併用療法と比較する第III相試験がCheckMate 9LA試験である。主要評価項目は全生存期間とされており、副次評価項目に無増悪生存期間などが設定されており、719例が登録され、全生存期間について最短でも12.7ヵ月のフォローアップがされた時点での結果が報告されている。ニボルマブ+イピリムマブのみでも化学療法に勝る結果がCheckMate227試験で報告されている中、プラチナ併用療法を2サイクル追加することにより、治療開始直後の生存曲線の落ち込み、すなわち、早期にPDとなり免疫チェックポイント阻害剤の恩恵を受けられない可能性がある患者集団を意識したレジメンとなっている。全生存期間における目標ハザード比0.75を、α0.05(両側)、検出力81%で検定し、全生存期間が統計学的に有意と示された場合はヒエラルキカルに無増悪生存期間、奏効割合の検定に進むという、ほかのニボルマブ+イピリムマブ関連の試験に比べるとシンプルな試験設定が採用されている。アップデートされた全生存期間では、生存曲線もきれいに分かれ、打ち切りを多数認めるものの、いわゆるTail plateauのような雰囲気が示されている。ハザード比は0.66、95%信頼区間0.55~0.80であり、12ヵ月時点での生存割合が試験治療群で63%、標準治療群で47%と全生存期間での試験治療の意義が確認された。この結果は、組織型、PD-L1の発現割合別のそれぞれのサブセットでもほぼ再現されており、とくにPD-L1陰性の集団においても、全生存期間での明確なベネフィットが示されている。ニボルマブ+イピリムマブということで、有害事象にも注目が集まり、やはり免疫関連有害事象の頻度は多いものの、ほかの免疫チェックポイント阻害剤と比較して根本的に異なる結果ではなかった。ただ、今回の報告では比較的有害事象に関する内容はシンプルであり、今後の追加報告に期待したい。また、別途報告されたCheckMate227試験の3年フォローアップ結果とも併せて、とくにPD-L1のサブセットによらない有効性という点でニボルマブ+イピリムマブの特性が示されている。今後本試験レジメン、ニボルマブ+イピリムマブが初回治療の選択肢として加わった場合の使い分けについて、今後さらに議論が続くものと思われる。KEYNOTE-189ポスター発表ではあるものの、KEYNOTE-189試験の“Final analysis”が報告されている。PD-L1発現レベルによらず、進行期、非扁平上皮非小細胞肺がんを対象として、プラチナ+ペメトレキセドに対して、ペムブロリズマブの上乗せを検証した第III相試験である。すでに試験内容については各所で報告されている。今回のアップデートでは、全生存期間についてフォローアップ期間が延長された結果が示されている。とくに注目されたのは、いわゆるTail plateauと呼ばれる、ペムブロリズマブにより長期の効果が得られる患者集団が存在することによる効果が、プラチナ+ペメトレキセドの上乗せによりさらに強化されるのか、それともペムブロリズマブ単剤と大きく異ならないのかという点であった。今回の発表において、PD-L1 50%以上の集団においては、生存曲線の後半が平坦になる雰囲気が出現しているものの、そのほかのサブセットではその気配はまだ認められていない。さらに、PD-L1 50%以上のサブセットにおいて、フォローアップ後半戦の生存割合、すなわちtailの高さに着目すると、ペムブロリズマブ単剤のKEYNOTE-024試験(全体集団)とはほぼ同等であり、KEYNOTE-042試験(PD-L1 50%以上のサブセット)よりは良い結果が得られている。試験に参加した患者集団が異なるため、試験間の比較は意味を持たないとはわかりつつも、KEYNOTE-189試験の長期フォローの結果は、とくにPD-L1高発現の患者において、免疫チェックポイント阻害剤にプラチナ併用療法を加える意義があるか否かについての議論で、注目され続けるものと考えられる。NivoCUP試験肺がんの話題から少し離れるものの、NivoCUP試験については本稿でも触れておきたい。本試験は、原発不明がんの患者を対象としたPhase II、医師主導治験であり、研究事務局の近畿大学の谷崎 潤子先生が報告されている。原発不明がんの精査のために、十分な組織診断、画像診断に加え、各診療科の診察を受けることが規定され、その結果をもって原発不明がんと診断された55例の患者が登録されている。無治療でも登録可能ではあるが、統計学的設定は既治療例を対象に組まれており、主要評価項目である奏効割合の期待値が20%、閾値が5%、α0.025(片側)、検出力80%で、38例の登録を目指し、実際は45例が登録された。この既治療45例での奏効割合は22.2%、95%信頼区間は11.2~37.1、CR 4.4%、PR 17.8%、SD 31.1%という結果であり、主要評価項目を達成している。同集団における無増悪生存期間は4.0ヵ月、全生存期間は15.9ヵ月であった。原発不明がんという治療選択肢が限定され、治療開発の対象となりにくい集団において、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を示した試験の価値は高く、本試験の結果に基づき国内でニボルマブが原発不明がんにおいて保険診療で使用可能となることが期待される。企業の治療開発の対象となりにくい希少フラクションを対象として、患者に近い研究者が医師主導治験を実施し、Unmet needsを解消しようとする非常に良い事例である。さいごに残念ながら完全にVirtual開催となったASCOであるが、報告された知見には肺がんの日常診療を刷新させうる内容が含まれていた。Virtual meetingのシステムもおおむね安定しており、情報を得るという意味ではこの開催方法も一定の評価を受けるものと思われるが、発表者、また多数のエキスパートが一堂に会する中で、目の前で報告される新たなエビデンスについて議論する場として、Virtualな会議室はまだまだ不十分な点が多いと感じたことも確かであった。昨今の状況が一刻も早く解決され、会場に集えない方がVirtualで、また、会場に集える場合は現地で、同じように最新のエビデンスを体感できる時代が来ることを祈念している。

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細胞療法の成功例、CAR-T細胞療法の仕組みに迫る!【そこからですか!?のがん免疫講座】第6回

はじめに前回までは、がん免疫療法における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の話が多かったのですが、最近登場してきた細胞療法のことにも触れておきたいと思い、全5回の連載予定をオーバーしていますが、もう少しお付き合いください。ICIは間接攻撃、細胞療法は直接攻撃ICIは、元々われわれの身体にある免疫細胞(とくにT細胞)を活性化させる治療であり、抗CTLA-4抗体や抗PD-1/PD-L1抗体がその代表です。つまり、ICIは「元々備わっている免疫を介して間接的にがんを攻撃している治療」だといえます。一方で、細胞療法は、「外からがん細胞を攻撃する細胞を入れる治療」です。利用している細胞が免疫細胞なので、「免疫療法」のくくりに入れる場合が多いです。細胞療法は、間接的なICIに比べて直接的な治療であり、その攻撃の仕方にはいろいろな免疫の要素が含まれます。「外から細胞を入れるなんて」と抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、実はこの方法、かなり昔から取り組まれていたんです1)。抗体でT細胞を活性化させる「CAR-T細胞」細胞療法の中で、代表的な成功例がCAR-T細胞療法です2)。CARとは「キメラ抗原受容体:Chimeric Antigen Receptor」の略です。「キメラ」なので何かを「融合」させているのですが、「何を」「何のために」わざわざ融合させているのか、少し詳しく述べてみたいと思います。これまで、「T細胞ががん免疫の主役である!!」と繰り返し、しつこいくらいに述べてきました。少し思い出してほしいのですが、T細胞はその受容体であるTCRを介して、MHCというお皿の上に乗った抗原を認識して活性化し、がん細胞を攻撃していました(図1)。このTCRの替わりに「抗体」を使おう、というのがCARの発想です。画像を拡大する抗体とは、B細胞というリンパ球が産生し血中などに放出しているものです(正確には形質細胞ですが、これは元をたどるとB細胞なので、ややこしいのでここではB細胞とします)。繰り返しになりますが、がん細胞を含む異常細胞を攻撃・排除するための免疫を「細胞性免疫」と呼んでおり、T細胞が主役でした。一方、B細胞から産生され血中などに放出された抗体は、細胞の外にある異物を抗原として認識・結合して免疫反応を起こし、防御機構が働きます。血液で起きるということで、抗体が主につかさどる免疫を「液性免疫」と呼んでいます。抗体の由来はB細胞抗原受容体(BCR)です。BCRはTCRと同じように非常に多くのレパートリーを持つことで、さまざまな抗原を認識できます。治療にも用いられる抗EGFR抗体はEGFRを認識する抗体ですし、これまでにも散々登場した抗PD-1抗体はPD-1を認識する抗体です。抗体がTCRと大きく違うのは「MHCのお皿が必要ない」という点です。MHCは実はかなりの個人差があって、そのタイプに合わないとTCRが認識できないのですが、抗体はMHCとは無関係に抗原を認識することができます。T細胞ががん細胞を攻撃するためには、がん細胞を認識することが重要です。この認識の過程にTCRではなく抗体を使ってあげよう、というのがCARの発想です。人工的に合成した「抗体の抗原を認識する部分」をT細胞に導入することで、がん細胞の表面に出ている抗原であれば、MHCとは関係なくT細胞が認識できるようになります。しかし、単に認識するだけでは、がん細胞を攻撃できません。認識してさらにT細胞を活性化する必要があります。そこでT細胞に活性化シグナルを伝えるためのCD3という分子の一部分を抗体の抗原認識部分とキメラ化し、導入したものがCAR-T細胞です(図2)。画像を拡大するCD3はT細胞マーカーでもあり、同じ部分はT細胞の活性化にも重要です(図1)。単純な表現にすると「TCRの替わりに抗体を使ってT細胞を活性化させているものがCAR-T細胞」なのです。最近では、さらに活性化シグナルが入るように活性化共刺激分子であるCD28や4-1BBもキメラ化して導入したものが、すでに臨床で使われています(図2)。CAR-T細胞療法における成功例は、CD19という分子に対するものです。ある種の血液腫瘍にはCD19が非常に特異的に細胞表面に発現しており、これに対するCAR-T細胞療法は劇的な効果が報告され、臨床にも応用されています3)。ほかにも骨髄腫などで有望なものが報告されています。CAR-T細胞療法、ほかのがんへの応用は?ここまでの話で、「じゃあ、がん細胞表面の抗原とそれに対する抗体さえあれば、どんながんにも応用できるのでは?」と思われた方もおられるかもしれません。その発想は間違っていないのですが、いくつか問題点があります。一番の問題は、その細胞傷害効果が強力過ぎる、という点です。正常細胞にも発現している抗原を認識して傷害すると、大変な副作用が出る可能性が指摘されています。免疫を活性化させる物質であるサイトカインが体中で大量に放出され、ショック状態になってしまう「サイトカイン放出症候群」(これは正しく対処すればそこまで問題はないようです)や、中枢神経系に障害を起こす有害事象も報告されています。したがって、CD19のようにがん細胞表面に非常に特異的でないと開発が難しく、血液腫瘍以外への開発はなかなか進んでいません。そのほかの細胞療法CAR-T細胞療法の成功例を紹介しましたが、「わざわざ面倒なキメラなんて作らなくてもいいのでは?」と思った方もいるかと思います。そうですね、「TCRを直接使ってあげればいいんじゃない?」というのはより単純な発想で、実はこちらも以前から取り組まれており、TCR-T細胞療法と呼ばれています。紆余曲折はあるのですが、特定のがん抗原に対して有望なものも報告され、本邦でも開発が進んでいます。ただし、CARと異なり、TCRはMHCのタイプによっては認識できないため、特定のMHCを持つ患者さんにしか使用できない、という別の問題点もあります。患者さん由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を体外で培養・増殖させて、がんを攻撃するT細胞を増やし、体内に戻すTIL療法も効果が報告されています1,4)。本邦ではなかなか手間の問題でできていませんが、海外ではベンチャーもできており、大々的に治験が行われています。TIL療法は悪性黒色腫に対して古くから効果が報告されていましたが、最近ではそれ以外の腫瘍でも効果が報告され、注目を集めています。人工的に細胞を作ることに関して、「えっ」と思う方もおられるかもしれませんが、実は以前から実験室レベルで細胞の遺伝子操作をすることは、比較的簡単にできるようになっています。私も大学院時代の初期に教えてもらいました。CAR-T細胞療法は本邦ではこれから広がる治療ですが、そういった技術面の進歩もあり、今後もこれまでなかったような治療が次々に登場してくるかもしれません。次回はそんな将来像に少し触れ、締めにしたいと思います。1)Rosenberg SA, et al. Science. 2015;348:62-68.2)Singh AK, et al. Lancet Oncol. 2020;21:e168-e178.3)June CH, et al. N Engl J Med. 2018;379:64-73.4)Zacharakis N,et al. Nat Med. 2018;24:724-730.

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EGFR陽性肺がんに対するゲフィチニブのアジュバント(CTONG1104試験)/ASCO2020

 病理病期II~IIIAで、完全切除を受けたEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての、標準的なプラチナ併用化学療法とゲフィチニブの比較試験の全生存期間(OS)に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏より発表された。 本試験は中国国内で実施された多施設共同オープンラベルの第III相無作為化比較試験であり、無病生存期間(主要評価項目)の有意な改善に関する報告は2017年のASCOで既になされている。今回の発表はOSの最終解析報告である。・対象:病理病期II~IIIA(N1-N2)で完全切除を受けたEGFR変異陽性のNSCLC症例・試験群:ゲフィチニブ250mg/日 2年間(Gef群)・対照群:ビノレルビン25mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75/m2(day1)3週ごと4サイクル(VP群)・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目] OS、5年OS率、3年および5年DFS率、安全性、QOLなど 主な結果は以下のとおり。・2011年9月〜2014年4月にGef群111例、VP群111例の計222例が登録された(ITT集団)。そのうちGef群106例、VP群87例が薬剤投与を受けた(per protocol[PP]集団)。・データカットオフ時(2020年4月)の追跡期間中央値は80.0ヵ月であった。・ITT集団、PP集団共に両群間に患者背景の偏りはなかった。・ITT集団におけるOS中央値は、Gef群75.5ヵ月、VP群62.8ヵ月で、ハザード比(HR)は0.92(95%CI:0.62~1.36)、p=0.674であった。5年時OS率はGef群53.2%、VP群51.2%であった。PP集団におけるOS中央値、5年時OS率も、ほぼ同様の数値であった。・年齢、性別、リンパ節転移状況などのサブグループ解析においても、両群間に有意な差はなかった。・ITT集団における3年時DFSはGef群39.6%、VP群32.5%、5年時DFSはGef群22.6%、VP群23.2%であった。また、PP集団における3年時DFSおよび5年時DFS率もほぼ同様であった。・ゲフィチニブの服用期間別にOSをみた事後解析では、18ヵ月以上のゲフィチニブの内服がある集団では、そのOS中央値は未到達、18ヵ月未満のゲフィチニブの内服集団では、OS中央値は35.7ヵ月でHR0.38(95%CI:0.22~0.66)、p

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ASCO2020レポート 消化器がん(肝細胞がん)

レポーター紹介2020年のASCOは、COVID-19の影響でVirtual meetingとなり、2020年5月29日からWebで開催された。これまでのASCOの歴史の中でも初めてである。かれこれ10年以上、毎年この時期はシカゴに出掛けてASCOに参加している私にとって、何となく寂しさを感じずにはいられなかった。また、今年は自分の演題がPoster discussionに採択されていただけに、ぜひ、ASCOのマコーミックプレイスで皆と一緒にDiscussionしたかったなあとしみじみ感じました。ASCOの期間中に行われる製薬企業とのミーティングもWeb開催となり、海外の先生方や製薬企業の方々とパソコンの画面越しにdiscussionすることとなり寂しいものがあった。でも逆にVirtual meetingになったことで、毎年1週間ASCOのために診療を休んでいたが、今年は診療を休まなくて済み、外来が滞りなく進められた。また、今回参加費は無料で、ASCOの年会費だけで閲覧でき、旅費もかからないため数十万円の費用が浮いた。そういう意味では、非常に経済的なASCOであり、今後の学会の在り方を考えさせられるところもあった。しかし、やはりFace to Faceには代え難いものもあり、来年はCOVID-19が落ち着いて、皆で顔を見ながら、会話したいものである。さて、本題に移りたい。今年は、肝細胞がん領域では、Oral presentationが3演題、Poster discussionが2演題、計5演題が取り上げられており、例年より多くの演題が取り上げられていた。光栄なことに、この5演題のうち、私の発表が1演題、共著者が2演題であり、中国の演題以外には参画することができたことは誇らしかった。Poster発表でも、肝細胞がんは23演題と、膵がんの28演題に次いで多かった。最近、新規薬剤で立て続けにPositiveな結果が出ているためか、肝細胞がんの演題が急に増えてきた印象である。Oral Presentation切除不能肝細胞がんの1次治療例に対するdonafenib vs.ソラフェニブ 1)1次治療例に対するdonafenibとソラフェニブを比較した第II/III相試験が中国から報告された。donafenibは、ソラフェニブの重水素化誘導体であり、構造的にもよく似ているマルチキナーゼ阻害剤である。切除不能肝細胞がんの患者668例がdonafenib群とソラフェニブ群に1:1にランダム割付された。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効割合(ORR)、病勢制御割合(DCR)、有害事象であった。本試験は、レンバチニブのREFLECT試験と同様の試験デザインで、まずは非劣性(非劣性マージン<1.08)を確認し、非劣性が証明されたら、優越性を検討するデザインであった。患者背景は両群に差は認めなかったが、中国1ヵ国で行った試験であり、B型肝炎の患者が90%を占めていた。OS(中央値)はdonafenib 12.1ヵ月、ソラフェニブ10.3ヵ月、ハザード比0.831(95%信頼区間[CI]:0.699~0.98)で、有意差が認められた(p=0.0363)。PFS(中央値)はdonafenib 3.7ヵ月、ソラフェニブ3.6ヵ月、ハザード比0.909(95%CI:0.763~1.082)で、有意差は認めなかった(p=0.2824)。ORRとDCRはdonafenib群4.6%と30.8%、ソラフェニブ群3.6%と28.7%で、donafenibでやや良好であるが有意差は認めなかった。有害事象はソラフェニブでよく認められる手足症候群、肝機能障害、血小板減少、下痢等で、有害事象の種類は変わらないものの、頻度がやや少なく、Grade3以上の有害事象はdonafenibで有意に少なかった。したがって、donafenibは1次治療の1つとして考えられるべきであると、著者らは結論していた。コメントDiscussantもソラフェニブと比べて、初めて優越性を示したマルチキナーゼ阻害剤であると評価はしているものの、B型肝炎以外の患者での有用性や、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法よりも劣る成績であり、この併用療法が不適な患者における治療のOptionになるだろうと考察していた。私もDiscussantのコメントと同意見であり、今後、この薬剤の開発が中国以外の国で進められるかどうかは微妙と考えている。進行肝細胞がんの2次治療例に対するapatinib vs.プラセボ 2)apatinibはVEGFR-2を標的とした経口チロシンキナーゼ阻害剤である。進行肝細胞がんに対する2次治療としてapatinibの有効性と安全性を検証する第III相試験(AHELP試験)が中国1ヵ国で行われた。全身化学療法またはソラフェニブに不応または不耐である進行肝細胞がん患者400例が、apatinib群(750mg、1日1回)267例とプラセボ群133例に2:1でランダム割付された。主要評価項目はOSであり、副次評価項目は6ヵ月および12ヵ月OS、PFS、無増悪期間(TTP)、ORR、DCR、安全性などであった。患者背景は、両群のバランスは取れていたが、中国で行われた試験であり、donafenibの試験と同様に87%の患者がB型肝炎であった。また、前治療がソラフェニブの患者は40%にすぎず、全身化学療法(いわゆる細胞障害性抗がん剤による治療)が行われた患者が約60%を占めていた。OS(中央値)は、apatinib群8.7ヵ月、プラセボ群6.8ヵ月であり、ハザード比は0.785(95%CI:0.617~0.998)であり、apatinib群で有意に良好であった(p=0.0476)。PFS(中央値)はApatinib群4.5ヵ月、プラセボ群1.9ヵ月であり、ハザード比は0.471(95%CI:0.369~0.601)であり、apatinib群で有意に良好であった(p<0.0001)。ORRはApatinib群が10.7%、プラセボ群が1.5%、DCRはそれぞれ61.3%、28.8%だった。Apatinibの有害事象は、高血圧、手足症候群、好中球減少、血小板減少などが多く認められたが、管理可能と判断された。apatinibは前治療歴を有する中国人の進行肝細胞がん患者おいて、有用性を示したと結論された。コメント本試験はB型肝炎の患者が約9割、前治療として全身化学療法を受けた患者が約6割と、やや特殊な患者対象であり、DiscussantもB型肝炎の患者で、前治療として全身化学療法を受けた患者における治療のオプションであることと解説している。私も同意見であるが、肝細胞がんの2次治療としては、すでにレゴラフェニブ、ラムシルマブ(AFPが400ng/mL以上)が承認されており、これからカボザンチニブも承認見込みであり、これらの薬剤のOSのハザード比(レゴラフェニブ0.63、ラムシルマブ0.71、カボザンチニブ0.76)と比べて、apatinibは0.785と良好な結果ではなく、前治療として、マルチキナーゼ阻害剤による治療が行われた場合に有用性が示されるかどうかもわからないため、今後、中国以外の国で開発される可能性はあまりないかもしれない。tremelimumab+デュルバルマブの有効性と安全性を検討する比較試験 3)ソラフェニブに不応、不耐またはソラフェニブ治療を拒否した進行肝細胞がん患者を対象として、抗CTLA-4抗体であるtremelimumab単剤(T)、抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ単剤(D)、高用量(300mg)のtremelimumab単回投与とデュルバルマブの併用療法(T300+D)、低用量(75mg)のtremelimumab 4回投与とデュルバルマブの併用療法(T75+D)の4群にランダムに割り付け、有効性、安全性と推奨レジメンを検討する試験が行われた。高用量の抗CTLA-4抗体を単回投与することで、低用量で複数回に分けて投与するより、毒性を抑えながら、治療効果を高めることが可能と考えられたため、この試験が計画された。T300+D群75例、D群104例、T群69例、T75+D群84例がランダム割付された。T300+D群、D群、T群とT75+D群のOS(中央値)(95%CI)はそれぞれ、18.73ヵ月(10.78~27.27)、13.57ヵ月(8.74~17.64)、15.11ヵ月(11.33~20.50)、11.30ヵ月(8.38~14.95)であり、T300+D群で良好であった。RECIST v1.1による独立中央判定による奏効割合(95%CI)はそれぞれ、24.0%(14.9~35.3)、10.6%(5.4~18.1)、7.2%(2.4~16.1)、9.5%(4.2~17.9)であり、T300+D群で良好であった。PFS(中央値)(95%CI)はそれぞれ、2.17ヵ月(1.91~5.42)、2.07ヵ月(1.84~2.83)、2.69ヵ月(1.87~5.29)、1.87ヵ月(1.77~2.43)であり、差は認めなかった。安全性については、T300+D群、D群、T群とT75+D群において、治療関連のGrade3~4の有害事象はそれぞれ35.1%、17.8%、43.5%、23.2%、治療と関連した重篤な有害事象はそれぞれ16.2%、10.9%、24.6%、14.6%に認められ、T群で最も高率であったが、次いでT300+D群であった。治療中止に至った有害事象はそれぞれ、10.8%、7.9%、13.0%、6.1%、ステロイドを必要とする治療関連有害事象はそれぞれ、24.3%、9.9%、26.1%、24.4%に認められた。T300+D群の有害事象はT75+D群と比べて、低率であり、忍容性は良好であった。コメント抗PD-L1抗体と抗CTLA-4抗体の併用療法の推奨用量は、抗CTLA-4抗体は低用量分割投与よりも、高用量単回投与が有効であることが示唆される結果であり、興味深い結果であった。現在、T+D vs.T+D vs.D vs.ソラフェニブを比較した第III相試験(HIMALAYA: NCT03298451)が進行中であり、その結果が期待される。Poster discussionレンバチニブ+ペムブロリズマブの第Ib相試験 4)レンバチニブは、非臨床のマウスモデルにおいて、腫瘍関連マクロファージを減少させ、インターフェロンγ産生CD8陽性T細胞を増加させることが示されており、抗PD-1阻害剤の抗腫瘍活性を高める作用を有している。ペムブロリズマブとレンバチニブを併用投与することで、免疫機構を介した相乗効果が期待され、日本と米国の2ヵ国で、第Ib相試験が行われた。切除不能肝細胞がんに対する初回薬物療法100例を解析対象として、レンバチニブ+ペムブロリズマブの有効性、安全性が評価された。主な有害事象は、高血圧、下痢、疲労、食欲減退、甲状腺機能低下症であり、治療と関連したGrade3、Grade4とGrade5の有害事象はそれぞれ63%、1%と3%に認められた。Grade5の有害事象は急性呼吸不全/急性呼吸窮迫症候群1例、肝機能異常1例と小腸穿孔1例だった。レンバチニブ、ペムブロリズマブ、両剤の中止に至った有害事象はそれぞれ14%、10%、6%に認められたが、本併用療法の忍容性は良好と判断された。確定まで確認したConfirmed ORR(95%CI)は、独立画像判定委員会でのmodified RECISTによる評価で46%(36.0~56.3)、独立画像判定委員会でのRECIST ver1.1に基づく評価で36%(26.6~46.2)であった。また、modified RECISTによる完全奏効が11例(11%)に認められ、modified RECISTによる奏効が得られるまでの期間(中央値)は1.9ヵ月と早期から効果が得られることも特徴であった。modified RECISTとRECIST ver1.1によるPFS(中央値)(95%CI)はそれぞれ、9.3ヵ月(5.6~9.7)、8.6ヵ月(7.1~9.7)であり、OS(中央値)(95%CI)は22.0ヵ月(20.4~推定不能)であった。このように、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法は臨床的にも意義のある奏効、長期間持続する奏効、非常に良好なPFSとOSが報告された。コメントこの併用療法は、Confirmed ORRで46%の奏効が得られ、奏効までの期間も1.9ヵ月ときわめて短く、しかも完全奏効例も11%に認めており、腫瘍に対する直接的な効果がかなり期待できるレジメンである。IMbrave150試験において、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法がソラフェニブに比較して、きわめて良好な抗腫瘍効果を示したが、それに匹敵するまたは上回るほどの直接的な抗腫瘍効果が示されている。しかし、有害事象はアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法と比べてやや高率であることには注意が必要である。現在、初回薬物療法の患者を対象として、レンバチニブ+ペムブロリズマブとレンバチニブ+プラセボを比較した第III相試験(LEAP-002: NCT03713593)が進行中であり、その結果が期待される。cTACE vs.DEB-TACEのランダム化比較試験 5)肝細胞がんに対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)を区域または亜区域の腫瘍栄養血管にカテーテルを挿入して選択的に行う場合、エピルビシンによる薬剤溶出性ビーズを用いたTACE(DEB-TACE)と、エピルビシンとリピオドールを懸濁したTACE(cTACE)のどちらが良好な完全奏効割合が得られるかを検討したランダム化比較試験(PRESIDENT)が行われた。対象は、選択的TACEが予定された切除不能肝細胞がんで、Child-Pugh分類AまたはBの患者であり、選択的DEB-TACE群と選択的cTACE群に1:1の割合でランダム割付された。主要評価項目は、独立判定委員会により判定された治療3ヵ月後のmodified RECISTによる完全奏効割合、副次評価項目として、独立判定委員会により判定された治療1ヵ月後のmodified RECISTによる完全奏効割合と安全性であった。DEB-TACE群に99例、cTACE群に101例が組み入れられた。主要評価項目である治療3ヵ月後に独立判定委員会により判定されたmodified RECISTに基づく完全奏効割合は、DEB-TACE群27.6%、cTACE群75.2%であり、オッズ比8.44(95%CI:4.46~15.96)とcTACE群で有意に良好であった。治療1ヵ月後の完全奏効割合もDEB-TACE群35.7%、cTACE群84.2%、オッズ比7.30(95%CI:2.68~19.89)とcTACE群で有意に高かった。有害事象は、発熱、疲労、倦怠感、食欲不振、腹痛、低アルブミン血症、血中ビリルビン増加、血中AST増加、血中ALT増加などのいわゆる塞栓後症候群の割合はcTACE群で有意に高かった。完全奏効を狙って選択的にTACEを行う場合には、塞栓後症候群が忍容可能な患者においては、cTACEが選択されるべきと結論した。コメントこの試験では、DEB-TACEとcTACEはどちらを使用しても奏効割合や生存期間は変わりなく、有害事象がcTACEで高率であったというランダム化比較試験の結果が海外から報告されている。しかし、日本のInterventional radiologists(IVR)の先生方は、cTACEのほうが治療効果は高いと実感しており、それに答えるために行われた試験である。cTACEでは、リピオドールは類洞を通って、門脈域まで流れ込むことで、動脈、類洞や微小血管網そして門脈までリピオドールで塞いだ後に塞栓することで完全奏効が得られやすいが、その分、塞栓後症候群が出やすいといわれている。一方、DEB-TACEは栄養血管を動脈側からのみ塞栓することとなり、効果は減弱する可能性があるが、塞栓後症候群がマイルドになることが期待される。とくに日本では治療効果を期待して、選択的なTACEが行われることが多く、選択的TACEを施行する患者に対して、cTACEとDEB-TACEの完全奏効割合を比較したランダム化比較試験を計画した。実際、想定どおり、いや想定以上にcTACEの完全奏効割合が高かったが、塞栓後症候群も高率に認められた。したがって、日本のIVRの先生方の実感していることが、結果として示されたものであり、日本のIVRの先生方も安堵していることと思われる。Poster session初回薬物療法のNetwork meta-analysis 6)肝細胞がんの初回薬物療法として、アテゾリズマブ+ベバシズマブ、レンバチニブ、ソラフェニブが標準治療であり、ニボルマブはソラフェニブと比較した第III相試験で優越性を示すことができなかったものの、有望な薬剤である。アテゾリズマブ+ベバシズマブ、レンバチニブとニボルマブは、ソラフェニブを対照薬として比較試験が行われており、直接比較はないが、Network meta-analysisの手法を用いて、これらの薬剤の比較を行った。OSに関して、アテゾリズマブ+ベバシズマブとレンバチニブ、アテゾリズマブ+ベバシズマブとニボルマブを比較したところ、それぞれハザード比0.63 (95%CI:0.32~1.25)、0.68(95%CI:0.35~1.38)であり、90%以上の確率で、アテゾリズマブ+ベバシズマブが優れていることが示された。PFSに関して、アテゾリズマブ+ベバシズマブとレンバチニブ、アテゾリズマブ+ベバシズマブとニボルマブを比較したところ、それぞれハザード比0.91 (95%CI:0.23~3.65)、0.63(95%CI:0.16~2.59)であり、それぞれ61.5%、85.5%の確率で、アテゾリズマブ+ベバシズマブが優れていることが示された。有害事象に関しては、アテゾリズマブ+ベバシズマブとレンバチニブはあまり変わりないことが示された。Network meta-analysisによって、アテゾリズマブ+ベバシズマブは、レンバチニブやニボルマブ、ソラフェニブと比較して、OSとPFSの延長効果が示された。アテゾリズマブ+ベバシズマブは切除不能肝細胞がんの患者に対する第1選択の治療として考えられるべきであると著者らは結論した。コメントアテゾリズマブ+ベバシズマブとソラフェニブを比較した第III相試験(IMbrave150)、レンバチニブとソラフェニブを比較した第III相試験(REFLECT)、ニボルマブとソラフェニブと比較した第III相試験(CheckMate-459)のそれぞれのOSのハザード比からアテゾリズマブ+ベバシズマブが最も優れた治療法であることは想定していたが、Network meta-analysisの手法を用いることによって、アテゾリズマブ+ベバシズマブが最も良好な治療効果が得られることが示された。この論文の結果は、臨床に応用しやすかったため、Posterではあるが引用した。まとめ今年のASCO2020では、肝細胞がんの重要演題が多かった。肝細胞がんでこの数年、免疫チェックポイント阻害剤、VEGR阻害剤やマルチキナーゼ阻害剤などさまざまな薬剤が標準治療として登場してきており、その勢いを反映したものであろう。また、1次治療でのDonafenibや2次治療でのApatinibなど、マルチキナーゼ阻害剤が第III相試験で主要評価項目を達成しており、新たな標準治療が加わっている。まだ中国1ヵ国からの発表であり、今後、他の地域での検証が必要であるが、期待される薬剤がさらに増えた。また、すでに中国だけで臨床試験が行える患者集積力も示されており、ある意味、中国は脅威である。とくに肝細胞がんはB型肝炎の患者が多い中国では相当数の患者がいるため、今後の肝細胞がんの開発においては重要な鍵を握る国であるかもしれない。現在、肝細胞がんの薬物療法の開発は、VEGF阻害剤+免疫チェックポイント阻害剤や、免疫チェックポイント阻害剤同士の併用療法を中心に開発が進行中であるが、なかでもレンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法は、Confirmed ORRも50%近い結果が報告された。ソラフェニブの時代には、肝細胞がんは腫瘍縮小があまり得られないが、延命が期待できると言ってきたが、腫瘍縮小も十分に期待できるようになってきた。薬物療法の効果が高まると、薬物療法の良い適応であるBarcelona Clinic Liver Cancer group (BCLC)のAdvanced stageから、TACEの適応といわれるIntermediate stage、そして、切除可能なEarly stageの周術期治療として、薬物療法が入り込んでくることが予測されており、局所療法が主体であった肝細胞がんの治療が薬物療法を考慮した治療体系に変わりつつある。1)Feng Bi, Shukui Qin, Shanzhi Gu, et al. Donafenib versus sorafenib as first-line therapy in advanced hepatocellular carcinoma: An open-label, randomized, multicenter phase II/III trial. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4506)2)Qiu Li, Shukui Qin, Shanzhi Gu, et al. Apatinib as second-line therapy in Chinese patients with advanced hepatocellular carcinoma: A randomized, placebo-controlled, double-blind, phase III study. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4507)3)Robin Kate Kelley, Bruno Sangro, William Proctor Harris, Masafumi Ikeda, et al. Efficacy, tolerability, and biologic activity of a novel regimen of tremelimumab (T) in combination with デュルバルマブ (D) for patients (pts) with advanced hepatocellular carcinoma (aHCC). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4508)4)Andrew X. Zhu, Richard S. Finn, Masafumi Ikeda, et al. A phase Ib study of lenvatinib (LEN) plus pembrolizumab (PEMBRO) in unresectable hepatocellular carcinoma (uHCC). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4519)5)Masafumi Ikeda, Yoshitaka Inaba, Toshihiro Tanaka, et al. A prospective randomized controlled trial of selective transarterial chemoembolization using drug-eluting beads loaded with epirubicin versus selective conventional transarterial chemoembolization using epirubicin-lipiodol for hepatocellular carcinoma: The JIVROSG-1302 PRESIDENT study. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4518)6)Arndt Vogel, Lorenza Rimassa, Hui-Chuan Sun, et al. Clinical value of atezolizumab + bevacizumab for first-line unresectable hepatocellular carcinoma (HCC): A network meta-analysis. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4585)

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分子標的薬による術後アジュバントの意味【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第14回

第14回 ADAURA試験はpractice changingなのか:分子標的薬による術後アジュバントの意味1)Herbst RS, Tsuboi M, John T, et al. Osimertinib as adjuvant therapy in patients (pts) with stage IB-IIIA EGFR mutation positive (EGFRm) NSCLC after complete tumor resection: ADAURA. ASCO 2020, LBA 5.2)Hauschild A, et al. Long-term benefit of adjuvant dabrafenib + trametinib (D+T) in patients (pts) with resected stage III BRAF V600-mutant melanoma: Five-year analysis of COMBI-AD. ASCO 2020, abstract 10001.3)Joensuu H, Eriksson M, et al. Survival Outcomes Associated With 3 Years vs 1 Year of Adjuvant Imatinib for Patients With High-Risk Gastrointestinal Stromal Tumors; An Analysis of a Randomized Clinical Trial After 10-Year Follow-up. JAMA Oncol. 2020 May 29. [Epub ahead of print] 今年のASCOの目玉の1つ、完全切除NSCLC(病理病期Ib-IIIA)に対してオシメルチニブの術後補助化学療法を行ったADAURA試験。プラセボに対してプライマリエンドポイントである無存再発期間(RFS)をHR 0.17という見たことのない差でmetしたが、多くの議論が沸き上がっている。他がん腫の状況なども含め、論点を概説する。日常臨床を変えるには何が足りないか「OSを待つ必要がある」という意見も見掛けるが、完全切除のNSCLCに術後補助療法を行う目的は根治である。古くから5年生存が根治と見なされてきた経緯があるものの、近年術後再発した後の化学療法が非常に発達しているため、OSのみでは必ずしも根治の指標でない可能性がある。より厳密に根治率の改善を検証するためには長期DFS率が妥当と思われる。分子標的薬は根治をもたらすか:他がん腫での知見から今回用いられたのがオシメルチニブという分子標的薬であることには注意が必要である。他がん腫で術後補助療法に対して承認されている分子標的薬は、消化管間質腫瘍(GIST)に対するイマチニブ、悪性黒色腫に対するダブラフェニブ+トラメチニブの2レジメン。GIST:イマチニブの1年投与がプラセボに比して有意な無再発生存期間(RFS)を延長したが(HR 0.35)、OSは有意差を認めず(Dematteo RP, et al. Lancet. 2009;373:1097-1104.)。その後、high risk群を対象に3年間vs.1年間投与で前者が有意にRFSを延長した(Joensuu H, et al. JAMA. 2012;307:1265-1272.)。この発表はASCOでプレナリーとして報告されたものの、ディスカッサントからは内服中止後に再発が急増していることへの懸念が指摘された。ちょうど先頃、10年フォローアップの結果が報告された。RFSは統計学的には有意ではあるが最終的に両群の曲線が近づいている。またOSも現時点では有意に上回っているが、再発例のみの解析では再発後生存期間は同等とも報告されている。悪性黒色腫:StageIIIの悪性黒色腫を対象にダブラフェニブ・トラメチニブ併用とプラセボを比較したCOMBI-AD試験は、今回ASCOで長期成績が報告されたが(Hauschild A, #10001)、1年の投与終了後もRFSはほぼプラトーとなっていた(3/4/5年のRFS率はそれぞれ59/55/52%)。一見同じような印象を受けるドライバー変異を有するがん腫でも、それぞれの阻害剤に対する効果が異なるのだろうし、ダブラフェニブ・トラメチニブについては腫瘍免疫に対する影響も示唆されているようなので、こういった影響を考慮すべきなのかもしれない。つまり「分子標的薬で根治が得られるか」という疑問に対しては、まだ十分な答えがない状況である。EGFR陽性例でほかに参考になる知見同じ対象についてゲフィチニブがすでにDFS延長にもかかわらずOSで延長を示せなかったことから(CTONG1104試験、Wu YL, #9005)、GISTにおけるイマチニブのパターンをたどる可能性は否定できない。また、今回の解析では多くの患者がオシメルチニブ3年間投与の途中であり、イマチニブで見られた内服終了後の再発増加が認められるかは今後見ていく必要がある(ADAURAでも、よりハイリスクなStageIIIAのサブセットでは36ヵ月で再発が増えている“ようにも見える”)。なおCTONG1104試験で再発ハザード比の経時的変化を見た研究において、内服終了に近い15ヵ月前後から再発リスクが増加することも報告されている(Xu ST, IASLC 2017)。われわれのpracticeを変えるべきか現時点でpracticeを変えるにはまだ情報が不足しているという印象。一方で、HR 0.17というとんでもない数字がOSに反映される可能性は十分あるだろう。つまりGISTの試験のように「根治には十分寄与しないが、OSを延長する」ケースである。ただしこの結果が受け入れられるためには、「最終的にほとんどの症例が再発するのなら、OS延長も臨床的には意味があるのでは」という考え方の転換が必要になる。個人的には、こういった考えがコンセンサスとなるには時期尚早に感じられる。

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