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日本人AF患者に対するリバーロキサバンのリアルワールドデータ:ESC2016

 ドイツ・バイエル社は、経口第 Xa 因子阻害剤リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を非弁膜症性心房細動患者に使用した複数の国から得られた新たなリアルワールドデータが、2016 年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で公表されたことを2016 年8月29日発表した。 日本の患者 11,000 人以上が登録された市販後の前向き観察研究 XAPASSでは、日常診療で新たにリバーロキサバンの服用を開始した非弁膜症性 AF 患者において、脳卒中および重大な出血事象の発現率がいずれも低いことが確認された。 XAPASSの対象患者は脳卒中の平均リスクがこれよりも低く、CHADS2 スコア平均値は 2.2 であった。XAPASS において、出血事象の発生率は100 患者・年当たり4.84 件で、このうち重大な出血事象の発現率は1.02 件、頭蓋内出血の発現率は0.43 件であった。また、脳卒中、非中枢神経系塞栓症および心筋梗塞の複合からなる主要評価項目の発現率は100 患者・年当たり1.35 件で、虚血性脳卒中の発現率は100 患者・年当たり0.90 件であった。これらの結果は、無作為化第Ⅲ相臨床試験 J-ROCKET AF とおおむね一貫していた。バイエル薬品のニュースリリースはこちら

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双極性障害青年、ちゃんと薬を飲んでいるか

 双極性障害(BP)青年の服薬アドヒアランスとそれに関連する要因について、米国・ピッツバーグ大学医療センターのTina R Goldstein氏らは、客観的および主観的手法により調査を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年7月15日号の報告。 対象は、小児科専門クリニックで初期BPと診断された青年21例。すべての対象者は、1剤以上の向精神薬を処方されていた。自己および親から報告されたアドヒアランスを6ヵ月間毎月評価した。服薬アドヒアランスに関する客観的なデータは、電子ウィークリーピルボックスを用いて収集した。人口統計学的および臨床的要因は、自己、親、医師よりベースライン、3、6ヵ月で評価した。 主な結果は以下のとおり。・客観的データによると、ベースラインから平均3ヵ月にわたり、投与量の41.5%(日数の58.6%)が、処方されたとおりに服薬されていなかった。・患者、親、医師より得られた主観的データは、客観的データと比較し、アドヒアランスを有意に過大評価していた。・1日用量の多さ、体重増加、服薬タイミング(朝、昼、週末は悪い)、薬剤管理面談から時間が経過している、治療アドヒアランスの自己評価でより大きな認知困難といった複数の理由における要因は、低いアドヒアランスと関連していた。服薬不良のもっとも強力な予測因子は、全体的な疾患重症度であった。 著者らは「調査結果より、BP青年の服薬アドヒアランスは悪く、主観的な報告では限界があることが示された。BP青年の治療中に、治療反応に関する決定や投与レジメを変更する際には、アドヒアランス状況に細心の注意を払う必要がある」としている。関連医療ニュース 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は

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ESC 2016 注目の演題

2016年8月27~31日、イタリア・ローマでESC(欧州心臓病学会)2016が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。また、ローマのおすすめスポットについても、会員の方々から情報をお寄せいただきました。併せてご活用ください。ローマのおすすめスポットはこちらイタリア留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016注目の演題はこちら※演題名および発表順は、8月12日時点でESC 2016ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Clinical Trial Update coronary artery diseaseChairperson: Stephan ACHENBACH8/29(月)14:00 - 15:30、Forum - The Hub1.5-year outcomes after implantation of biodegradable polymer-coated biolimus-eluting stents versus durable polymer-coated sirolimus-eluting stents in unselected patients2.A life-time perspective on the effects of an early invasive compared with a non-invasive treatment strategy in patients with non-ST-elevation acute coronary syndrome - the FRISC II 15 years follow-up3.10-year follow-up of clinical outcomes in a randomized trial comparing routine invasive versus selective invasive management in patients with non ST-segment elevation acute coronary syndrome.4.Comparative Efficacy of Coronary Artery Bypass Surgery Versus Percutaneous Coronary Intervention in Diabetic Patients with Multivessel Coronary Artery Disease With or Without Renal Dysfunction5.The effect of CABG by age in patients with heart failure: 10 year follow data from the STICHES study6.ABSORB Japan: 2-year clinical results from a randomized trial evaluating the Absorb Bioresorbable Vascular Scaffold vs. metallic drug-eluting stent in de novo native coronary artery lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and imagingChairpersons: Fausto Jose PINTO, Michael HAUDE8/29(月)16:30-18:00、Rome - Main Auditorium1.CONSERVE - Direct catheterization versus selective catheterization guided by Coronary Computed Tomography in patients with stable suspected Coronary Artery Disease2.DOCTORS - Does Optical Coherence Tomography Optimise Results of Stenting?3.CE-MARC 2 - A randomized trial of 3 diagnostic strategies in patients with suspected coronary heart disease.4.PACIFIC trial - Head-to-head comparison of coronary CT angiography, myocardial perfusion SPECT, PET, and hybrid imaging for diagnosis of ischemic heart disease5.AMERICA - Systematic detection and management of multivascular involvement of atherothrombosis in coronary patients in comparison with treatment of coronary disease onlyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するRegistries coronary artery disease, stroke and interventionChairperson: Elliott ANTMAN, Leonardo BOLOGNESE8/29(月)16:30-18:00、Sarajevo - Village 21.SWEDEHEART: Stent thrombosis and all-cause mortality in bivalirudin and heparin treated ST-elevation myocardial infarction patients undergoing primary percutaneous intervention2.Feasibility and safety of direct catheter-based thrombectomy in the treatment of acute ischemic stroke. Prospective registry PRAGUE-163.Quality Indicators for Acute Myocardial Infarction: rate of implementation and relation with 3 year survival. A study using data from the nationwide FAST-MI 2005 and FAST-MI 2010 registries4.Modulators of the response to CRT in international practice: the ADVANCE CRT registry5.ELECTRa (European Lead Extraction ConTRolled) Registry: a deeper snapshot on transvenous lead extraction in europe6.Two year prospective follow up of patients treated with dabigatran etexilate for stroke prevention in non-valvular atrial fibrillation: The GLORIA-AF RegistryQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and stentingChairpersons: Steen Dalby KRISTENSEN, Andreas BAUMBACH8/30(火) 11:00-12:30、Rome - Main Auditorium1.NorStent - Comparison of long term effects of new generation DES vs contemporary BMS on mortality, morbidity, revascularization, and quality of life2.BASKET-SAVAGE - Drug-eluting vs. bare metal stents in saphenous vein grafts3.PRAGUE -18 - Randomized comparison of ticagrelor versus prasugrel in ST elevation myocardial infarction4.Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?5.BBK II trial - Culotte versus T-stenting for treatment of coronary bifurcation lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する欧州留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016の注目演題ESC 2016開催に当たり、欧州留学経験のある循環器内科臨床医、大野 洋平氏が注目の演題を厳選して紹介する。ESCならではの循環器領域の多岐にわたる興味深い臨床研究が幾つもあり、会場でのdiscussionも含めて非常に楽しみである。まずは、ABSORB Japanの2年フォローアップの臨床結果に注目したい。ABSORB Japanは、薬剤溶出性生体吸収スキャフォールドAbsorbと第3世代薬剤溶出性ステントXienceの無作為化比較試験であり、昨年ロンドンで開催されたESC 2015のLate Breakingで1年フォローアップのデータが発表された。現在、スキャフォールド血栓症が話題であるが、本試験でのVery Late Scaffold Thrombosisが比較対象のXience 群と比べてどうだったのか、非常に気になるところである。血管内イメージング王国である日本では、IVUSあるいはOCTガイドによるPCIが日常臨床で行われている。しかし、OCTガイドPCIがはたして良好な治療転帰につながるかという明確な答えはまだ存在しない。今回のHot Lineでは、OCTはPCIの治療成績を最適化するか?という命題に答えを出すべく、フランスの多施設で実施されているDOCTORS(NCT01743274)試験の結果が発表される。非ST上昇型急性冠症候群の患者を「通常透視のみ使用群」と「OCTガイド群」に無作為に割り付け、DESあるいはBMSを留置するというもので、ステント留置後にFFRを評価する1次エンドポイントが特徴の試験である。半年後の有害心イベント(死亡、心筋梗塞の再発、ステント血栓症、標的血管血行再建)と併せて結果を確認したい。金属ステントだけでなく、BRSも入ってくるともっと面白いのだが。“Hot Line coronary artery disease and stenting”のセッションでは、“Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?”という演題に注目したい。近年、急性冠症候群を呈した患者の血管内イメージングにて、“plaque erosion”というplaque ruptureは来していないが病変に血栓を伴う症例が報告されるようになり、ステントを留置せず、抗血小板療法や抗凝固療法といった抗血栓療法のみで加療が可能ではないかという議論がある。こういった病変に対して金属ステントを留置することなく、抗血栓療法のみで安全に加療できるのであれば、非常に意義のあることだと考える。それを裏付ける結果が得られるかどうか、楽しみである。TAVI関連の臨床試験は今回あまり多くはないようだが、SENTINEL(NCT02214277)試験に注目したい。TAVIの合併症の1つに脳梗塞がある。幸い、後遺症を残すようないわゆるdisabling strokeに臨床で遭遇することはあまりないが、もちろん可能であれば予防したい。ちなみに、最新の自己拡張型生体弁であるMedtronic社のEvolut Rを使用した臨床試験(Evolut R CE Study)では、30日のdisabling strokeはなんと0%。より太いシステムであるEdwards Lifesciences社のSapien 3を使用した臨床試験(PARTNER II S3 Trial)でも0.9%と非常に良好な成績が報告されている。本試験で使用する脳梗塞予防デバイスはClaret Medical社のSentinelという脳保護システムである。右橈骨動脈よりアプローチして、右腕頭動脈および左総頸動脈にフィルターをかけるデバイスである。日本人オペレーターであれば、フィルターの留置に難渋することは少ないと思われるが、処置時間が短くなってきた現在のTAVIという治療の中では、やはり時間のかかる操作になる。筆者もイタリアで使用経験があるが、時間がかかるわりに効果はどうなのか、という印象がある。脳梗塞ハイリスクの一部の患者のみをターゲットにすれば有用である可能性はあるが、少なくとも全例に使用するデバイスではないと考える。どういった結果が出るのか、注目したい。

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ESC 2016開催地、ローマのおすすめスポット

ケアネットでは、学会に参加しながら歴史と芸術の都ローマを十分に楽しんでいただけるよう、会員の方々から募集したおすすめの観光名所、レストランなどの情報をご紹介します。また、イタリア留学経験のある大野 洋平氏(東海大学医学部内科学系 循環器内科学)に、ローマの“外せない”観光名所やおすすめのレストラン、さらに学会期間中に活躍しそうなイタリア語フレーズを教えていただきました。ぜひご活用ください。ESC 2016 注目の演題はこちら大野氏のおすすめはこちらローマ中心部から学会会場への移動学会会場のFiera di Romaは、フィウミチーノ空港から電車(FR1)で2駅(約5km)、ローマ市内中心部から約25kmのところにあります。市内中心部から会場へ向かう場合、Termini 駅から地下鉄でPiramide 駅へ、Piramide駅から徒歩でOstiense駅へ移動し、Ostiense駅から電車(FR1)に乗り換えてFiera Di Roma駅で下車します(所要時間約40分)。タクシーを利用する場合も同じく40分ほどかかるようです。名所旧跡ローマには多くの名所旧跡がありますが、とくに古代遺跡や映画「ローマの休日」に登場する観光スポットについての投稿を数多く頂きました。コロッセオ Colosseo絶対に外せない観光スポットの1つが、世界遺産の「コロッセオ」。常時観光客でごった返し、入場にかなり並びます。フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘で共通チケットを購入または事前にネット予約しておくか、バスや地下鉄が乗り降り自由で美術館・遺跡の入場が割引になる「ローマパス」を持っているかするとスムーズに入れます。入場口では、入場券を持っている人は左レーンに並びます。右レーンは入場券を買う人で、いつも長い行列ができているのでご注意を。[アクセス] 地下鉄B線Colosseo駅スペイン広場 Piazza di Spagnaご存じスペイン広場です。映画「ローマの休日」で有名になったスペイン階段ですが、8月に入っても修復工事が続き閉鎖されていたようです。確認してから行かれたほうがよいかもしれません。ちなみに、修復が終わっていても、映画のオードリー・ヘップバーンのように階段でジェラートを食べることは文化遺産の保護のため禁止されていますので念のため。[アクセス] 地下鉄A線Spagna駅トレビの泉 Fontana di Treviローマに来たら必ず訪れたい場所ですね。この泉、古代の水道の終点だったそうです。いつも地下鉄の駅からたくさんの人が歩いていきますが、住宅地の中に突然姿を現します。スリにはくれぐれも注意。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ナヴォーナ広場 Piazza Navonaローマで最も美しい広場だと言われています。ベルニーニの彫刻「四大河の噴水」とボッロミーニ設計の「サンタニェーゼ教会」が見どころ。[アクセス] トレビの泉から徒歩12分真実の口 Bocca della Verità「日本で有名なわりに、結構わかりづらい場所にあり、看板も出ていない」(Iicchhyy)地下鉄の駅を下車してすぐに見える古代ローマ遺跡、チルコ・マッシモに沿って真っ直ぐ。徒歩約10分。[アクセス] 地下鉄B線Circo Massimo駅トッレ・アルジェンティーナ広場 Largo di Torre Argentina共和制ローマ時代の遺跡の中に捨て猫の保護センターがあるので、別名“cat sanctuary”と呼ばれ、猫のパラダイスになっています。猫好きの先生はぜひ。[アクセス] バス停「Via Torre Argentina」下車すぐサンタンジェロ城 Castel Sant'Angeloテラスから、サン・ピエトロ大聖堂やローマの街並みが一望できます。ライトアップされた姿が美しいので、夕暮れ後の散歩もおすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Lepanto駅から徒歩15分バチカン美術館バチカン市国には、バチカン博物館、サン・ピエトロ大聖堂など見どころがたくさんあります。バチカン市国全体が神聖な場所ですから、美術館入場の際にも服装チェックがあります。人気スポットだけあって、入場には行列覚悟です。訪れる方は、事前にネット予約をしていくのがおすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Cipro駅サン・ピエトロ大聖堂 Basilica di San Pietro大聖堂のクーポラ(ドーム)に上れることをご存じですか。途中までエレベータを使っても320段の階段を上らなければならないのですが、頂上からの眺めは最高です。[アクセス] 地下鉄A線Ottaviano駅ヴェネト通り Via Venetoローマ一美しいと言われる通りで、フェデリコ・フェリーニ監督の60年代の名画「甘い生活」の舞台となった場所です。ローマの町の喧騒とは別世界、落ち着いた雰囲気で、高級なホテルや店が並んでいます。この通りの終点にはボルゲーゼ公園(Villa Borghese)があります。ここもローマとは思えないほど緑に囲まれた公園で、週末にはジョギングやサイクリングを楽しむ人で賑わいます。ジョガーの先生におすすめの場所です。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ローマの骸骨寺 Santa Maria della Conceziones「骸骨寺(サンタマリアデッラコンツィオーネ)、ヴェネト通り沿い地下鉄駅近く。人骨シャンデリア、壁面飾りあり、一見の価値あり」(まつがえ)[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅レストランさすが食の国イタリア、どこに行ってもおいしいものが食べられます。La Carbonaraローマのパスタといえば、カルボナーラ。こちらは1906年創業、なんとカルボナーラ発祥のお店とか。[アクセス] Roma Termini駅Ristorante Vecchia Romaローマパスタの1つ、豚のほお肉とトマトソースのアマトリチャーナが味わえます。この店では樽型のチーズにパスタをいれてチーズを絡めます。チーズ好きな方におすすめです。[アクセス] 地下鉄A線Vittorio Emanuele駅Ristorante Tullio素材を活かした料理が評判の老舗レストラン。白トリュフのパスタ、ボンゴレ、Tボーンステーキなどが人気のようです。ただし、とても混んでいますので、事前予約が必須です。[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅ちょっと変わったお土産万年筆イタリアは万年筆が安く手に入ります。ものによっては日本の半額近いものも。トレビの泉近くのNovelli では、デルタ、ヴィスコンティなどのイタリア製はもちろん、モンブランやウォーターマンなど海外メーカーの万年筆も取り扱っています。小さなお店ですが、接客も丁寧で値引きもしてくれます。見つけにくい場所にありますので、地元の方に聞きながら行かれるとよいと思います。Novelli[アクセス] 地下鉄A線Barberini駅イタリア食材老舗の食料品店Volpettiには、チーズ、トリュフ塩、ソーセージにバルサミコ酢、オリーブオイルなど、おいしいイタリア食材が選ぶのに迷うほどあります。お店の方も親切で、いろいろ味見させてくれます。いずれも日本では味わえない味です。日曜定休、昼休みも長めなので、しっかり調べてから行かれたほうがよさそうです。Volpetti[アクセス] 地下鉄B線Piramide駅スリにご用心風光明媚なローマですが、スリの被害が後を絶たないようです。とくに地下鉄を利用するときは注意。乗り降りの際、混雑に紛れて不自然に体を押し付けてきたり、子供が後ろからついて来て、バッグに手を入れ財布などを盗むといった手口が多いそうです。また、アンケートや物乞いも要注意。複数人で話しかけてきて、気をとられている間に、別の人間が財布を抜くという手口もあるそうです。大野氏のおすすめおすすめスポット今回のESC 2016は、ローマで開催されるから、頑張って演題を出してローマに行きたい!とモチベーションの上がった先生方も多いのではないだろうか。何を隠そう、自分もそのうちの1人である。ヨーロッパはもちろんのこと、シベリア鉄道を使ってのユーラシア大陸横断、中国シルクロードの旅、タイ・ミャンマー・カンボジアの秘境訪問など、学生時代はバックパッカーをやっていたので、それなりにいろいろな街・歴史遺産を見てきたつもりではあるが、やはりローマは別格である。初めて訪れたときの感動はいまだに忘れられない。容易に古代ローマ時代にタイムスリップさせてくれる街、それがローマである。純粋に、歴史遺産や美術館を訪れるもよし、あるいは、「ローマの休日」、「ダ・ヴィンチ・コード」などの映画をテーマに、さらには自分も大好きな塩野七生さんの著書「ローマ人の物語」に思いを馳せながら周ってみるのもいいだろう。前述の通り、ローマはどこを歩いても絵になる、そんな街である。特別な場所に行かなくても特別な気分に浸ることができる。強いて自分の中の「ここは外せない3ヵ所」を挙げるとしたら、以下になるであろう。La Cappella Sistina del Vaticano(バチカン市国内のシスティーナ礼拝堂)キリスト教の総本山であるバチカン市国内にある世界的に有名な礼拝堂である。ローマ法王の公邸、バチカン宮殿に位置する。ミケランジェロやボッティチェリら、ルネサンス時代の巨匠による内装は圧巻である。なかでも最も有名なのが、システィーナ礼拝堂の天井画「アダムの創造」である。16世紀に曲面の天井に描かれたものであることを考えると、ただただ驚異的である。そして、システィーナ礼拝堂の主祭壇の背側に位置する同じくミケランジェロの「最後の審判」も必見である。システィーナ礼拝堂の後は、出口に向かわず、礼拝堂の右奥にある扉から出ると、サン・ピエトロ大聖堂に直結しているので、こちらもお見逃しなく!今回のESCには何とローマ法王もいらっしゃるというニュースが入ってきた。そういう意味でも、ここは外せないNo. 1スポットであろう。Foro Romano(フォロ・ロマーノ)ここはローマの中でも「古代」ローマ時代の遺跡の集まるところである。一度も訪れたことのない人も、必ずやテレビの世界紀行のような番組で見たことはあるだろう。言い伝えによると、ロムルスとレムス兄弟に率いられたラテン人がローマを建設したのが、紀元前753年頃と言われている。日本の縄文時代に当たる頃である。素晴らしい景観と雰囲気が味わえるが、8月のローマは暑いので、日中はあまりおすすめしない。早朝ないしは日没後の散歩やジョグを楽しむとよいかもしれない。Colosseo(コロッセオ)フォロ・ロマーノ内のメインストリートであるVia Sacra(聖なる道)を進んでいくと、言わずと知れたコロッセオに到着する。中を見たい!という強い希望があるのであれば別だが、意外と間近よりも遠目から眺めるのがよいかもしれない。その場合は、Monumento a Vittorio Emanuele II(ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念講堂)の上に上がって眺めるのが最高だろう。コロッセオだけでなく、フォロ・ロマーノ、サン・ピエトロ大聖堂まで見渡せる結構穴場的スポットである。レストランさて、観光よりも食事という人も多いであろう。まず、押さえておきたいのが、Trastevereというテヴェレ川の西側に位置するエリアとその向かいに当たるTestaccioというエリアである。いずれも、おいしいtrattoria、ristoranteなど食事処が多い。また、食事の時間帯以外であれば、barに気軽に立ち寄り、本場のespressoを頂きたい。Felice(Via Mastro Giorgio 29、+39 065746800)ローマに来たからにはローマ料理を存分に頂きたい。ここは地元にも愛されるトラットリア。どの料理もおいしいが、とくにローマで有名な“Cacio e Pepe”という胡椒とチーズのパスタがローマ随一と言われている。Grazia & Graziella(Largo M.D. Fumasoni Biondi 5、+39 065880398)カルボナーラは好きですか? おそらく嫌いという人の方が少ないのではないだろうか。カルボナーラはローマの料理。もし絶品と言われるカルボナーラを食べてみたいのであれば、ここに行くのがよい。それ以外の料理も好評。Dar Poeta(Vicolo del Bologna 45、+39 06 5880516)ここは「ピザ派」の人にぴったりの場所。ここのピザはローマの地元の人々にも大人気。イタリア語フレーズ最後に、学会期間中に活躍しそうなイタリア語フレーズを幾つか紹介しておこう。Il conto, per favore.(イル コント ペル ファヴォーレ)「お会計お願いします」トラットリアやレストランでお会計をお願いするときの掛け声。Dov'è il bagno?(ドヴェ イル バーニョ?)「お手洗いはどこですか?」旅行中のトイレエマージェンシーに備えておこう。Vorrei andare a 〜.(ヴォレイ アンダーレ ア 〜)「~に行きたいです」タクシーを拾ってどこか行きたいときに使えるフレーズ。Vorrei andare a Fiera di Roma.「Fiera di Roma(学会場)に行きたいです」やVorrei andare al Colosseo.「コロッセオに行きたいです」など。イタリア人はとにかくおしゃべり好きなので、お店ではぜひ、Buon giorno!「こんにちは」やBuona sera!「こんばんは」、Grazie mille!「どうもありがとうございます」などと声を出してみよう。

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糖尿病治療薬が心不全治療薬となりうるのか? 瓢箪から駒が出続けるのか?(解説:絹川 弘一郎 氏)-579

 チアゾリジン薬の衝撃は、FDAをしてその後の糖尿病治療薬すべての認可の際に、心血管イベントをエンドポイントとしたプラセボ対照臨床試験を義務付けた。このことにより、図らずも循環器内科医にとっては糖尿病薬に関する勉強をする機会となり、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬などの糖尿病薬と心血管イベントの関連について知識が増えてきた。 DPP-4阻害薬の1つサキサグリプチンは、SAVOR-TIMI 53試験で心不全の発症増加ありとされたものの、その後のEXAMINE試験とTECOS試験で、ほかのDPP-4阻害薬は心不全発症に差がなかったことで、SAVOR-TIMI 53試験の結果は偶然であったという結論になっているようである。一方で、インクレチン関連という意味で体内動態には共通項が多いGLP-1受容体作動薬リラグルチドは、LEADER試験において心血管イベントを有意に減らした。 最近、世を騒がせているEMPA-REG OUTCOME試験は、LEADER試験と同じような心血管疾患の背景を有する患者を対象としており、糖尿病薬が血糖降下作用以外で心血管イベントを抑制する可能性が示唆されてきている点で興味深いが、しかしながら、その機序はまったく明らかでなく、そもそもFDAの勧告に従って、非劣性ならよしとした試験であるから、瓢箪から駒といわれても仕方がない。ネガティブに出たSAVOR-TIMI 53試験を偶然であったというなら、ポジティブに出たこれらの結果もまた慎重に受け止める姿勢があってもよいと思われる。この点、ESCの心不全ガイドラインの2016年アップデートにおいて、エンパグリフロジンを心不全の予防という観点でクラスIIa、レベルBで推奨しているのは勇み足ではないか。 ところで、本題である。このFIGHT試験は、収縮不全(LVEF<40%)の症例の中で、とくに最近2週間以内に(ガイドライン遵守の薬物治療中にもかかわらず)再入院した症例またはフロセミドの用量が1日40mg以上という症例をピックアップして、比較的重症度の高い症例に対してリラグルチドの効果があるかどうかを検討したものである。試験デザインはプラセボ対照、無作為化二重盲検であり、エンドポイントは死亡や心不全入院までの時間と180日間のNT-proBNPレベルの時間平均の複合スコアである。全部で300例がエントリーされ、実薬群154例、プラセボ群146例でそれぞれITT解析された。 結論からいうと、統計学的にはイベント発症など両者に差はなかった。ただし、シスタチンCはリラグルチド群で増加しており、腎機能障害をもたらす可能性がある。また、有意ではないものの(p=0.05)、死亡や心不全再入院はむしろリラグルチド群で多い傾向にあり、カプランマイヤー曲線をみても、リラグルチドが死亡や心不全入院を増加させる傾向は(とくに糖尿病合併例で)明らかであり、患者数を増やして検討すれば有意に出てしまいそうである。先のLEADER試験やEMPA-REG OUTCOME試験は、心不全のある症例は10%程度しか含まれておらず、このFIGHT試験にエントリーされた重症な心不全とは背景が異なるものの、この試験結果によればリラグルチドは心不全増悪に傾いている感じである。 このように糖尿病薬と心血管イベントの関係は最近入り乱れてまったく混乱の極みにある。そもそも、メカニズムの理解が先行しないところで、効いた効かないということを統計的に解析するのみで解釈は後回しという体勢は、再考すべき時に来ているのではないか。

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心不全に合併する「うつ」に抗うつ薬SSRIは効くのか?(解説:絹川 弘一郎 氏)-571

コメント対象論文Angermann CE, et al. JAMA. 2016;315:2683-2693. MOOD-HFは、うつを合併する慢性心不全患者(左室駆出率<45%)における選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRIs)、escitalopramの有効性・安全性を検証した、プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験である。これまで、うつ合併の慢性心不全患者に対するSSRIの効果を調べた研究は SADHART-CHFのみで、この試験ではセルトラリンのうつ症状改善効果は示されなかった。また、治療期間が12週間と短期であった。MOOD-HFは、うつを合併する心不全患者におけるSSRIの長期効果を検証したという点で新規性があり、結果が注目されていた研究である。 MOOD-HFの分析対象者は372例、escitalopram群およびプラセボ群の治療期間(中央値)はいずれも18ヵ月であった。両群間で主要評価項目の「死亡および入院」および副次評価項目の「うつ症状」に有意差は認められず、安全性を評価した指標についても差はなかった。本結果はSADHART-CHFの結果と一致する。 サブ解析では、プラセボに比して、escitalopramがうつ症状および主要評価項目であった「死亡・入院」を増加させる可能性が示唆された。さらに、高齢患者や重症な心不全患者・重度のうつ症状を有する患者・認知障害を有する患者では、escitalopramによって全死亡・入院のリスクが高まる傾向が示唆された。これらは、大変興味深い結果である。 海外と同様に、本邦のうつ合併の慢性心不全患者は少なくなく、心不全入院および死亡リスクも高い。また、うつを合併する患者では、服薬などのセルフケアのアドヒアランスが低いことがわかっている。このような結果を鑑みれば、うつ病を合併する心不全患者、とくに高齢患者や重度のうつ症状を有する患者、認知障害を有する患者に対しては、SSRIを用いた治療ではなく、カウンセリングやセルフケア支援、運動療法、認知行動療法、家族サポートなどを効果的に組み合わせたケア提供が有効であるかもしれない。一方で、心不全が重症であるほど、うつ症状の頻度が高くなることもわかっている。それゆえ、ケアのみならずエビデンスの確立された心不全治療薬の最適化は、うつ症状改善のためにも不可欠であろう。 言い換えると、心不全に合併する「うつ」はうつ病のそれと似て非なるもので、実は心不全の一症状である可能性が高い。

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解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?

 バイエル薬品株式会社は7月6日に都内にて、リアルワールド・エビデンスに関するプレスセミナーシリーズの第2回を開催し、慶應義塾大学医学部循環器内科特任講師の香坂 俊氏と東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野主任教授 池田 隆徳氏が登壇した。(第1回:リアルワールドの成績はどう読み解くべき?)リアルワールド・エビデンスはなぜ必要か? リアルワールド・エビデンスとは、臨床研究のうちコホート研究、データベース研究、症例対照研究と呼ばれるものから得られるエビデンスのことである。香坂氏は、開発段階の無作為化対照試験(RCT)の問題点が明らかになった事例として、心不全の標準治療に抗アルドステロン薬を追加することの有効性を示したRALES試験を紹介した。同試験の発表後、カナダ・オンタリオ州では高カリウム血症による入院が顕著に増加したという。その原因として、リアルワールドでは臨床試験で除外されていた腎機能障害例などにも同療法が使用されたことや、実臨床では臨床試験ほど厳格な管理が行われない点などが考えられている。これらのことから、薬自体の有効性はRCTから確認できるが、治療法を適応できる人やその恩恵を享受できる人を見極めるために、リアルワールド・エビデンスが重要であることを同氏は説明した。 そのうえで、「RCTが可能性を示し、診療ガイドラインがルールを設定し、それに沿って実践した結果であるリアルワールド・エビデンスが、さらにフィードバックをかけるという循環が機能することが、現在の医療においてあるべき体制である」と述べた。解析対象9,000例、リバーロキサバンのリアルワールドでの使用成績は?  続いて池田氏が講演し、臨床試験の結果とリアルワールド・エビデンスにおいて、一貫性が得られるかどうかを検証する必要があると述べた。また、欧米と日本では用量設定が異なることから、日本におけるリアルワールド・エビデンスが重要であることを強調し、同氏が委員を務める、平均観察期間392日、9,011例を解析対象としたリバーロキサバン市販後特定使用成績調査XAPASSの第3回中間集計結果(2015年9月15日時点)を発表した。 同調査では、重大な出血事象1.31%/年、脳卒中・非中枢神経系塞栓症・心筋梗塞の複合イベントの発現1.42%/年であり、第III相臨床試験であるJ-ROCKET AF試験と比較して、予測し得ない頻度の出血関連イベントや複合イベントは確認されていないとのことである。この結果を受けて、同氏は、リアルワールドにおける有効性と安全性はこれまでのところ、きわめて良好なバランスであるとの見解を示した。今後、用量ごとのアウトカム、ならびに服薬アドヒアランスとの関係についても、より詳しく調査していく予定であると述べた。本解析結果の詳細は、8月に開催される2016年欧州心臓病学会(ESC)のLate Braking Science Sessionで発表される予定だ。

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未成年に抗うつ薬は処方すべきか~長い論争の果てに(解説:岡村 毅 氏)-562

 若年者のうつに対して抗うつ薬を使用すべきかどうかという、長い長い論争(と膨大な文献)における、最新の報告である。端的には、fluoxetine以外の抗うつ薬は、有効性を明確に示せなかったということが報告されているが、論争は続くだろう。 fluoxetineのみが有効性を示した事に関してであるが、言うまでもなく、そもそも本邦では承認されていない。加えて、性格を明るくするハッピードラッグなどと言われたり、“Prozac Nation”などという有名な本もあり、米国文明批評をする言説の標的となっている感もあり、なんともコメントしづらい。いや、臨床医としては、自分が処方したことがない以上、この薬剤についてコメントしてはならないだろう。 なお、fluoxetineは、FDAが未成年への使用を承認した唯一の抗うつ薬であり、したがって、本論文でも圧倒的に多くの報告が組み込まれている。このことは、結果にどのような影響を与えているのだろうか。 誤解のないように付記するが、もともと若年者には抗うつ薬が初めから処方されることはなく、2004年のFDA警告(子供の自殺リスクを増やす可能性、ただし、いまだに論争あり)を踏まえれば、むしろ処方しないに越したことはなく、米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサイトでも、まず心理療法(認知行動療法や対人関係療法)がなされるべきだと明記している。しかし、それでも症状が改善しない場合にどうするか。未成年においてもさまざまな報告がある以上、本論文のようなメタアナリシスの重要性を否定するつもりはないが、社会的要因(恵まれた家庭の子息では抗うつ薬よりも心理療法が効果的)を示す報告(ref※)もあり、十把一絡げの解析を盲目的に信じるのも抵抗がある。 最後に、高齢者を専門とする臨床医として感想を一言述べたい。高齢者においては「うつ病エピソード」はさまざまな理由で起こりうるが、表面的な現象であることも多い。外来に「うつです」と来院される年配の方は多いが、初期のアルツハイマー型認知症のために仕事の失敗が増えて、当然の反応として抑うつ的になっている方や、レビー小体型認知症(DLB)の一症状としてのうつという方も多い。中枢神経の変性疾患の方に、抗うつ薬を処方すると有害事象が生じやすく、とくにDLBでは非常に危険なのである。また、高齢期はさまざまな環境変化(多くは別れと喪失)の時期でもあり、抗うつ薬で治るようなものではない。結果的に、私はほとんど抗うつ薬は処方しないが、しばしば純粋なうつ病の方には処方し、著効する。しかし、世間では、認知症なのに表面的な操作診断に基づいて抗うつ薬を処方されている方は多いようだ。児童思春期・高齢期は、心の成長期・収穫期という違いはあるが、安定した成人期の前・後という点では共通点も多いように感じている。エビデンスは重要だが、この論争にはなかなか決着はつかないのではないか、と思う次第である。参照文献※ Curry J, et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2006;45:1427-1439. 

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青年期うつ病を予測する小児期の特徴

 カナダ・オタワ大学のMurray Weeks氏らは、16~17歳の抑うつ症状を有する青少年における4~5歳から14~15歳にかけての内在化問題、外在化問題、学力の3つのドメインについて縦断的に調査した。Journal of adolescence誌オンライン版2016年6月8日号の報告。 対象は、小児と青少年の全国縦断研究の一環として年2回フォローされたカナダの小児6,425人。 主な結果は以下のとおり。・内的ドメイン(すなわち、安定性)の影響は中程度であった。・小児期早期の内在化問題と外在化問題の間(正の相関)、および小児期後期、青年期の学力と外在化問題との間(負の相関)で、1時点(すなわち、one-lag cascades)での縦断的クロスドメインの影響を見出した。・また、4~5歳の低い学力と6~7歳の内在化問題の大きさが12~13歳以上の外在化問題を予測し、6~7歳以上の外在化問題が16~17歳以上のうつ病を予測することについて、複数時点(すなわち、multi-lag cascades)でのカスケード効果を見出した。・青年期うつ病への重要な経路は、小児期および青年期の内在化問題を通じた経路の安定性、ならびに適応のすべてのドメインを含む可能性のある複数の経路を含んでおり、これは青年期うつ病の多因子の性質を浮き彫りにするものである。関連医療ニュース 青年期うつは自助予防可能か 成人期まで持続するADHD、その予測因子は 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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Vol. 4 No. 4 心房細動患者におけるDAPTを考える

掃本 誠治 氏熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学はじめに高齢化で増加している心房細動には、抗凝固薬が必須である。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行症例、心筋梗塞、それぞれに合併する心房細動頻度は、海外では約10%、本邦では6~8%程度と報告されている1-3)。心房細動とステントを伴うPCIを合併すれば、DAPT+抗凝固薬の3剤併用と考えるが、出血リスクが上昇する4-6)。心房細動合併PCIあるいは急性冠症候群(ACS)患者に対する抗凝固薬と抗血小板薬の組み合わせは、原疾患による血栓塞栓症リスクと抗血栓薬による出血リスクの有効性と安全性を考慮することが重要である。WOEST試験WOEST試験7)は、心房細動や機械弁留置後に抗凝固薬を服用する患者で、冠動脈ステント挿入後、クロピドグレルと抗凝固薬の2剤併用群[経口抗凝固薬(ワルファリン)+クロピドグレル284例]と、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と抗凝固薬の3剤併用群(ワルファリン+クロピドグレル+アスピリン289例)で、安全性と有効性を比較した試験で、平均年齢70歳、男性80%、抗凝固薬投与の理由として、心房細動が2剤併用群で69.5%、3剤併用群では69.2%、機械弁はそれぞれ10.2%と10.7%だった。結果として、1年間の出血イベントは、3剤併用群が有意に高値だった(3剤44.4% vs. 2剤19.4%)。また心血管イベントは、2剤併用群が有意に低かった(複合エンドポイント;1次エンドポイント+脳卒中+全死亡+心筋梗塞+ステント血栓症+標的血管再血行再建術;3剤併用群17.6% vs. 2剤併用群11.1%)。抗凝固薬を服用している患者でステント留置術を受けたとき、アスピリンを止めてチエノピリジン系抗血小板薬単剤と抗凝固薬の合計2剤にするというこれまでの発想とは異なることが不可能ではないことを示した意義は大きい。また、心房細動合併のステント留置術後の患者において、CREDO-Kyoto PCI/CABG Registryコホート2が日本の実情を表している3)。2005年~2007年、26施設、1,057例、退院時ワルファリン群506例(48%)、非ワルファリン群551例(52%)を5年間フォローし、脳卒中(虚血性、出血性)、全死亡、心筋梗塞、大出血を評価。非ワルファリン群は、高齢、急性心筋梗塞、頭蓋内出血、貧血が多く、男性、薬剤溶出性ステント(DES)、末梢動脈疾患(PAD)が少なかった。そもそも、心房細動があってもDAPTで上記の因子が複数あれば、臨床現場においてはワルファリンを躊躇するのかもしれない。脳卒中は、ワルファリン群と非ワルファリン群で有意差がなく、虚血性、出血性でも有意差はみられず、心筋梗塞は、ワルファリン群で少なかった。プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)治療域内時間(TTR)が65%以上群では、65%未満群に比し脳卒中発症率が低値だった。非弁膜症性心房細動(NVAF)ACSやPCI直後ではない非弁膜症性心房細動(NVAF)患者を対象として、本邦からJAST試験においてNVAF患者へのアスピリン150~200mg/日投与は、大出血が多く、無効と報告されている8)。海外では、ACTIVE W試験において、脳卒中リスクの高い心房細動患者に対し(17.4%に心筋梗塞既往)、DAPT(クロピドグレル+アスピリン)は、OAC(経口抗凝固薬)に比し心血管イベント抑制効果を示せなかった9)。さらに、NVAFでワルファリン不適合者に対するアスピリンとクロピドグレルのDAPTはアスピリン単独に比し脳梗塞抑制効果がみられたが、心筋梗塞死、血管死は差がなく、大出血イベントが多かった10)。以上の結果は、心房細動には抗血小板薬より抗凝固薬が必要であることを示している。ワルファリンのエビデンス冠動脈疾患には低用量アスピリンを終生投与するのが現在のガイドラインであるが、ワルファリンは50年以上日常臨床で使用されている薬剤で、急性心筋梗塞後のワルファリン vs. プラセボの大規模臨床研究でワルファリンの有効性が示されている11)。さらに心筋梗塞後、アスピリン vs. ワルファリン vs. アスピリン+ワルファリンの3群での比較研究では、アスピリン+ワルファリン併用群、ワルファリン群、アスピリン群の順に心血管イベント抑制効果が優れていた12)。しかし、この試験でのPT-INRは2.8~4.2と現在の実臨床より高値で設定されており、出血合併症が多かったこともあり推奨されなかった。安定冠動脈疾患を合併した心房細動患者のデンマークでのコホート研究では、ワルファリンに抗血小板薬を追加しても心血管イベントリスクは減少せずに出血リスクが増加した13)。以上は、出血リスクが低ければ、抗凝固薬が冠動脈疾患にも有効であることを示唆するものである。実臨床においては、本来抗凝固療法の適応でありながら、あえてコントロール不要の抗血小板薬を投与して、ワルファリンが躊躇される症例が存在した。そのようななかで、脳出血が少なく、PT-INRのコントロールが不要なNOACの登場は実臨床においては魅力的である。心房細動患者におけるACS合併またはステント留置時のガイドライン欧州心臓病学会からACS合併あるいはPCI施行の心房細動患者での抗血栓薬のjoint consensus documentが2014年に発表された14)。(1)脳卒中リスク CHA2DS2-VAScスコア(2)出血リスク HAS-BLEDスコア(3)病態 安定冠動脈疾患か急性冠症候群(待機的か緊急か)(4)抗血栓療法 どの抗血栓薬をどのくらい使用するか基本的には、出血リスクの高い3剤併用(DAPT+抗凝固薬)の期間を上記の条件にしたがって層別化し、可能なら抗血小板薬単剤+抗凝固薬に減量し、12か月以上では、左冠動脈主幹部病変などを除き可能なら抗凝固薬単剤への切り替えが推奨されている。また、VKAはTTR70%以上が推奨されており、VKAとクロピドグレルand/orアスピリンの症例ではINRは2.0~2.5が推奨されている。また、アクセス部位は橈骨動脈穿刺が推奨されている。AHA/ACC/HRSの心房細動ガイドライン2014でも、PCI後CHA2DS2-VAScスコアが2点以上では、慢性期にはアスピリンを除いて、抗凝固薬+抗血小板薬単剤が合理的であると記載されている15)。現在進行中の試験ACSあるいはPCIを受けた心房細動患者に対するNOACの臨床試験が進行中である(本誌p16の表を参照)16)。 RE-DUAL PCI試験は、ステント留置を伴うPCIを受けた非弁膜性心房細動患者を対象に、ダビガトランの有効性および安全性を評価する試験である。PIONEER AF-PCI試験は、ACS合併心房細動患者において、抗血小板薬に追加するリバーロキサバンの用量を検討する試験で、アピキサバンでも同様の試験が進行している。これらはステント留置術後急性期からの試験だが、本邦ではステント留置術後慢性安定期の心房細動合併患者を対象としたOAC-ALONE試験やAFIRE試験が進行しており、結果が待たれるところである。今後現在進行中の試験から新たなエビデンスが創出されるが、個々の患者において最適な治療法を見つけ出す努力は常に必要とされる(表)。表 ステント留置AF患者における抗血栓療法画像を拡大する文献1)Kirchhof P et al. Management of atrial fibrillation in seven European countries after the publication of the 2010 ESC Guidelines on atrial fibrillation: primary results of the PREvention oF thromboemolic events--European Registry in Atrial Fibrillation (PREFER in AF). Europace 2014; 16: 6-14.2)Akao M et al. Current status of clinical background of patients with atrial fibrillation in a community-based survey: the Fushimi AF Registry. J Cardiol 2013; 61: 260-266.3)Goto K et al. Anticoagulant and antiplatelet therapy in patients with atrial fibrillation undergoing percutaneous coronary intervention. Am J Cardiol 2014; 114: 70-78.4)Toyoda K et al. Dual antithrombotic therapy increases severe bleeding events in patients with stroke and cardiovascular disease: a prospective, multicenter, observational study. Stroke 2008; 39: 1740-1745.5)Uchida Y et al. Impact of anticoagulant therapy with dual antiplatelet therapy on prognosis after treatment with drug-eluting coronary stents. J Cardiol 2010; 55: 362-369.6)Sørensen R et al. Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data. Lancet 2009; 374: 1967-1974.7)Dewilde WJ et al. Use of clopidogrel with or without aspir in in patients taking oral anticoagulant therapy and under going percutaneous coronary intervention: an openlabel, randomised, controlled trial. Lancet 2013; 381: 1107-1115.8)Sato H et al. Low-dose aspirin for prevention of stroke in low-risk patients with atrial fibrillation: Japan Atrial Fibrillation Stroke Trial. Stroke 2006; 37: 447-451.9)Connolly S et al. Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the Atrial fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for prevention of Vascular Events (ACTIVE W): a randomised controlled trial. Lancet 2006; 367: 1903-1912.10)Connolly SJ et al. Effect of clopidogrel added to aspirin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 360: 2066-2078.11)Smith P et al. The effect of warfarin on mortality and reinfarction after myocardial infarction. N Engl J Med 1990; 323: 147-152.12)Hurlen M et al. Warfarin, aspirin, or both after myocardial infarction. N Engl J Med 2002; 347: 969-974.13)Lamberts M et al. Antiplatelet therapy for stable coronary artery disease in atrial fibrillation patients taking an oral anticoagulant: a nationwide cohort study. Circulation 2014; 129: 1577-1585.14)Lip GY et al. Management of antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients presenting with acute coronary syndrome and/or undergoing percutaneous coronary or valve interventions: a joint consensus document of the European Society of Cardiology Working Group on Thrombosis, European Heart Rhythm Association (EHRA), European Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions (EAPCI) and European Association of Acute Cardiac Care (ACCA) endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia-Pacific Heart Rhythm Society (APHRS). Eur Heart J 2014; 35: 3155-3179.15)January CT et al. 2014 AHA/ACC/HRS Guideline for the Management of Patients With Atrial Fibrillation: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines and the Heart Rhythm Society. Circulation 2014; 130: 2071-2104.16)Capodanno D et al. Triple antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients with acute coronary syndromes or undergoing percutaneous coronary intervention or transcatheter aortic valve replacement. EuroIntervention 2015; 10: 1015-1021.

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統合失調症患者の過体重、アジア諸国の調査

 アジア諸国の統合失調症患者における過体重の割合や人口統計学および臨床的相関を、中国・マカオ大学のFei Wang氏らが調査した。International journal of clinical pharmacology and therapeutics誌2016年6月号の報告。 東アジアにおける向精神薬の国際共同処方調査であるREAP (psychotropic prescription patterns)のデータベースより、9つのアジア諸国と地域における統合失調症入院患者1,534例のデータを収集し、1ヵ月間の臨床面接により補完した医療ファイルによりレビューした。患者の社会人口統計学、臨床的特徴、向精神薬処方、BMIを標準化プロトコルとデータ収集手順で登録した。分析では、過体重をBMI 25以上と定義した。 主な結果は以下のとおり。・過体重率は、全体で35.8%(549/1,534例)、女性で39.7%(224/564例)、男性で33.5%(325/970例)(p=0.01)であり、各国間でばらつきがあった。・試験地で調整後の多重ロジスティック回帰分析では、過体重は気分安定薬の頻繁な使用(p<0.001、OR 1.4、95%CI:1.1~1.8)、罹患期間の長さ(p<0.001、OR 1.6、95%CI:1.2~2.1)と独立して関連していたが、この傾向は男性患者ではみられなかった(p=0.003、OR:0.7、95%CI:0.5~0.8)。 結果を踏まえ、著者らは「アジアの統合失調症患者の過体重率は、欧米諸国で報告されているよりも、有意に低かった。そして、アジア諸国・地域の中でも有病率にはばらつきがある」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

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喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。CATスコア10以上を呼吸器症状ありと定義 研究グループは、現在喫煙者および喫煙歴のある人(元喫煙者)と、喫煙歴のない人(非喫煙者;対照群)、合わせて2,736例を対象に観察試験を行った。COPD評価テスト(CAT、スコア0~40で評価)を実施して、スパイロメトリーによる検査で呼吸機能が保持されている人について、呼吸器症状がある人(CATスコアが10以上:有症状群)はない人(CATスコアが10未満;無症状群)と比べ、呼吸増悪のリスクが高いかどうかを検証した。 呼吸機能保持の定義は、気管支拡張薬投与後のFEV1/FVCが0.70以上で、FVCが正常下限値を上回る場合とした。また、有症状群と無症状群の、6分間歩行距離、肺機能、胸部の高分解能CT画像所見の違いの有無を調べた。呼吸機能保持の現在・元喫煙者の半数が呼吸器症状あり 追跡期間の中央値は、829日だった。その結果、呼吸機能が保持されている現在・元喫煙者の50%で、呼吸器症状が認められた。 平均年間呼吸機能悪化率は、有症状の現在・元喫煙者0.27(SD:0.67)、無症状の現在・過去喫煙者は0.08(同:0.31)であり、対照群の非喫煙者の0.03(同:0.21)と比べ、いずれも有意に高率だった(両比較においてp<0.001)。 また、有症状の現在・元喫煙者は、喘息既往の有無を問わず、無症状の現在・過去喫煙者に比べ、活動制限が大きく、FEV1、FVCや最大吸気量の値がわずかだが低く、高分解能CTで肺気腫は認めなかったが、気道壁肥厚がより大きかった。 有症状の現在・元喫煙者の42%が気管支拡張薬を、また23%が吸入ステロイド薬を使用していた。著者は「有症状の現在・元喫煙者はCOPD基準を満たしていなくとも、呼吸機能の悪化、活動制限、気道疾患の所見が認められた。また、エビデンスがないままに多様な呼吸器疾患薬物治療をすでに受けていた」とまとめている。

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第2世代抗精神病薬、賦活と鎮静作用の違いを検証

 若者に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の賦活や鎮静の効果について、米国・ニューヨーク大学ランゴン医療センターのZainab Al-Dhaher氏らが検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年4月19日号の報告。 若者に対する第2世代抗精神病薬治療の適応症、有効性、忍容性(SATIETY)を評価する自然主義的コホート研究の一環として、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者における賦活や鎮静症状の主観的評価を、Treatment Emergent Symptoms尺度(TESS)を使用し、3ヵ月間毎月収集した。中止率、TESSからの報告症状率、重症度は、臨床や治療パラメータに関連していた。TESSの測定は、任意の日中の賦活(ACTIVATION+)と鎮静症状(SEDATION+)の2つが定義された。 主な結果は以下のとおり。・4件の研究から得られた、SGAsを開始した抗精神病薬未治療の若者327例における鎮静による中断率は、クエチアピンが最も高く(13.0%)、次いでオランザピン(7.3%)、リスペリドン(4.2%)、アリピプラゾール(2.0%)であった(p=0.056)。・抗精神病薬未治療の若者257例(13.8±3.6歳、男性率:57.8%)の使用開始薬剤は、アリピプラゾール40例、オランザピン45例、クエチアピン36例、リスペリドン135例であり、ベースライン後1回以上のフォローアップを実施した。・ベースラインの有病率は、ACTIVATION+(39.9%)、SEDATION+(54.1%)で、SGAs間に差は認められなかった。・ACTIVATION+とSEDATION+は、時間とともに有意に変化した(ACTIVATION+ 減少:p=0.0002、SEDATION+ 増加:p<0.0001)。それぞれのSGAs間でわずかな違いが認められ、オランザピンのACTIVATION+は低く(p=0.002)、フォローアップ中のアリピプラゾールのACTIVATION+ はやや高く(p=0.018)、アリピプラゾールのSEDATION+ は低かった(p=0.018)。・4つのSGAsにおいて、不眠症は減少し(p=0.001)、過眠症が増加した(p<0.001)。・ベースライン後の傾眠の有病率は、最も頻繁にみられたが、TESSの訴えは85%が軽度であり、SGAs間の違いはなかった。・年齢の低さが、賦活症状と関連し、年齢の高さが鎮静症状と関連していた。そして、ベースライン時の機能の低さは、両方の増加と関連していた。・精神運動遅滞率は、統合失調スペクトラム障害において高かった。一方で、診断にかかわらず、ADHD治療と精神運動興奮との関連が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「単独TESSによるレイティングの独立予測因子は、SGA間の特異的な差よりも、むしろ臨床パラメータを含んでいる。このことから、特定のSGAsに注意を払うよりも、慎重な個別化治療戦略の必要性が示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方 抗精神病薬の治療域、若年者と高齢者の差はどの程度か 第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

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EuroPCR 2016 注目の演題

2016年5月17~20日、フランス・パリでEuroPCR 2016が開催されます。EuroPCRでは今年も魅力的な最新研究が多数発表されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考としていただけるよう、Late Breaking Trialをはじめとした注目演題に関するアンケートを実施し、その結果を学会開催前にご紹介します。また、観光名所やレストランなど開催地パリのおすすめスポットについて、会員の方々から情報をお寄せいただきました。ぜひご活用ください。EuroPCR 2016 開催地パリのおすすめスポットはこちら欧州留学中の循環器内科医が選んだEuroPCR 2016注目の演題はこちら※演題名および発表順は4月20日時点でEuroPCR 2016のウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Update on BRSChairperson: A. Al Nooryani M. JonerPanellist: S. Cook M. Sabaté M. Valgimigli R. Vijayvergiya P. Vranckx A. Yildirim<5/17(火) 12:00-13:30、Theatre Bordeaux>1.Two-year clinical, angiographic and serial OCT follow-up after implantation of everolimus-eluting BRS and everolimus-eluting metallic stent: insights from the randomised ABSORB Japan trial2.Six-year follow-up of the first-in-man use of a polylactide everolimus-eluting BRS for the treatment of coronary stenosis: an assessment of FFR by multislice CT3.Effect of DAPT termination at 12 months on very late scaffold thrombosis in regular clinical practice: data of a regional collaboration including 868 patients 4.Thirty-day results of the Italian diffuse / multivessel disease ABSORB prospective registry (IT-DISAPPEARS)5.Clinical outcomes following coronary revascularisation with the everolimus-eluting BRS in patients with diabetes: the ABSORB trial diabetic study6.Thirty-day outcome of the Italian ABSORB registry (RAI), a prospective registry of consecutive patients treated with biovascular scaffold7.France ABSORB registry: in-hospital and one-month results in 2,000 patientsQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-breaking trials and trial updates in coronary interventionsChairpersons: T. Cuisset J.F. TanguayPanellist: S. Cook M. Sabaté M. Valgimigli R. Vijayvergiya P. Vranckx A. Yildirim<5/17(火) 15:30-17:00、Theatre Bordeaux>1.The balance of thrombosis and bleeding in patients at high bleeding risk from Leaders Free trial2.Six-month versus 12-month DAPT following long-length everolimus-eluting stent implantation3.Randomised, double-blinded, placebo-controlled trial of intramyocardial autologous bone marrow CD133+ cells on left ventricle perfusion and function in patients with inducible ischaemia and refractory angina (REGENT-VSEL) 4.The final 5-year results from the COMPARE II trial: the first real long-term results between biodegradable polymer biolimus-eluting stent and durable polymer everolimus-eluting stent5.5-year non-enrolled TWENTE: clinical outcome of participants in the randomised TWENTE trial vs. non-enrolled eligible patients, treated with the same second-generation DES6.3-year clinical follow-up of the RIBS V randomised clinical trial7.A randomised control trial comparing two DES on the degree of early stent healing and late neointima progression using longitudinal sequential OCT follow-up: the OCT-ORION studyQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するTAVI-registriesChairpersons: A. Cribier A.S. PetronioPanellist: M. Chen U. Gerckens K. Hayashida<5/17(火) 15:30-17:00、Room Maillot>1.Late outcomes of TAVI in high-risk patients: FRANCE 2 registry2.SOURCE 3 post-approval registry - early outcomes in 1,946 TAVI patients with a third-generation balloon expandable transcatheter heart valve3.30-day registry results using a second generation transfemoral aortic valve implantation system for the treatment of patients with severe aortic stenosis 4.Implantation of novel balloon-expandable transcatheter heart valves into degenerated surgical aortic bioprostheses: matched comparison and insights from the Valve-In-Valve International Data (VIVID) registry 5.Acute and 30-day outcomes of women after TAVI: results from the first Women IN Transcatheter Aortic Valve Implantation (WIN-TAVI) real world registry 6.TAVI in hospitals with and without on-site cardiac surgery department: insights from the prospective German aortic valve replacement quality assurance registry (AQUA) in 17,919 patients7.The RESPOND study: safety and efficacy of a fully repositionable and retrievable aortic valve used in routine clinical practiceQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するAdvances in PCI procedural techniqueChairperson: I. Al Rashdan W. WijnsPanellist: D. Kettles R. Mohd Ali S. Nakamura S. Pala A.Pichard M. Singh Sandhu<5/18(水) 08:30-10:00、Theatre Bordeaux>1.Impact of radial vs. femoral access on acute kidney injury in patients with ACS invasively managed: the AKI-MATRIX (Acute Kidney Injury-Minimising adverse hemorrhagic events by TRansradial access site and systemic Implementation of angioX) substudy2.The first report of a prospective, controlled, randomised, open-labeled, multicentre, clinical study “rap and beat trial” to evaluate safety and efficacy of novel 6Fr small outer diameter sheath for transradial coronary angiography and intervention.3.What is the better stent and the better access for the treatment of the left main in the era of second-generation DES? Insights from the FAILS-2, a multicentre registry including 1,270 patients 4.Upper extremity function post-transradial (TR)-PCI: interim results 5.Sealing intermediate non-obstructive coronary SVG lesions with DES as a new approach to maintaining vein graft patency and reducing cardiac events: the VELETI II randomised clinical trial6.Prospective randomised comparison of clinical and angiographic outcomes between everolimus-eluting vs. zotarolimus-eluting stents for treatment of coronary restenosis in DES: IVUS volumetric analysis 7.Impact of coronary CT angiography on planning of bifurcation PCI8.Structural damage of jailed guidewire during the treatment of coronary bifurcations: a microscopic randomised trialQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するNew valvular interventions and enabling technologiesChairpersons: M. Buchbinder T. FeldmanPanellists: P.J. Fitzgerald R. Makkar G. Manoharan I. Reda<5/18(水) 14:45-16:15、Room Maillot>1.Does use of a direct thrombin inhibitor prevent the occurrence of cerebral emboli during TAVI? Insights from the BRAVO-3 study2.A pooled analysis of triguard cerebral protection compared to unprotected transcatheter aortic valve replacement. Results of a pooled patient level analysis3.12-month results of a novel large access closure device: insights from the FRONTIER II trial4.LAA occlusion vs. standard care in patients with atrial fibrillation and intracranial hemorrhage: A propensity matched score follow-up study5.One-year follow-up date of a novel self-expanding TAVI system in a prospective, bi-centric, single arm pilot trial 6.Mitral valve repair using a novel percutaneous septal sinus shortening device7.Millipede percutaneous mitral annuloplasty ringQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するFFR/iFRChairperson: C. Di MarioPanellists: C. Berry N. Curzen J. Davies N.R. Holm<5/19(木) 10:30-12:00、Room Maillot>1.Impact of routine FFR on management decision and one-year clinical outcome of ACS patients insights from the POST-IT and R3F integrated multicentre registries - implementation of FFR in routine practice (PRIME-FFR)2.iFR/FFR and IVUS-guided percutaneous coronary revascularisation with new-generation DES in patients with De Novo three vessel disease: 30-day outcomes of the SYNTAX II trial3.DEFINE REAL: a prospective, observational, non-randomised, European, multicentre registry, collecting real-life information for the utilisation of instantaneous wave-free ratio (iFR) in assessing coronary stenosis relevance in the multivessel disease patients population4.Image-based FFR during coronary catheterisation5.Diagnostic accuracy of a fast computational approach to derive FFR from coronary X-ray angiography: results from the international multicentre FAVOR (Functional Assessment by Various flOw Reconstructions) pilot studyQ.上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する欧州留学中の循環器内科医が選んだEuroPCR 2016注目の演題EuroPCR 2016開催に当たり、欧州で循環器内科臨床医として活躍する金子 英弘氏が注目の演題を厳選して紹介する。さすが世界最大のカテーテルインターベンション・ライブコース!というラインアップで、どれも注目演題ですが、個人的な興味も含めて紹介させていただきます。Two-year clinical, angiographic and serial optical coherence tomographic follow-up after implantation of everolimus-eluting bioresorbable scaffold and everolimus-eluting metallic stent: insights from the randomised Absorb Japan trial今回のEuroPCRでもBRS(bioresorbable scaffold:生体吸収性スキャフォールド)についての演題が目立ちます。その中で、Absorb Japan trialからのデータが、late-breaking trialとして発表されます。Absorb Japanについては、治療後12ヵ月のメインデータがすでに昨年のEuropean Heart Journal誌に掲載されていますが1)、今回は術後2年の臨床成績、そして血管造影・OCT解析の結果が報告されます。EuroPCRのlate-breaking trialということで世界的にも大きな注目を集める発表になりますが、日本でのBRS導入を間近に控えた今、日本からの参加者にとっては間違いなく見逃せない演題です。TAVI関連からは2つの演題を選びました。SOURCE 3 post-approval registry - early outcomes in 1946 TAVI patients with a third generation balloon expandable transcatheter heart valveSOURCE 3は、次世代TAVIデバイスであるSapien 3(Edwards Lifesciences社)の、CEマーク取得後のヨーロッパでの多施設レジストリです。Sapien 3は、ヨーロッパではすでにTAVIの標準デバイスとしての地位を確立し、先のACC 2016では外科大動脈弁置換術を上回る良好な結果が報告されたばかりです2)。近々、日本でも導入が予定されていることから、日本でTAVIを行っている施設の先生方も注目されるのではないかと思います。Implantation of novel balloon-expandable transcatheter heart valves into degenerated surgical aortic bioprostheses: matched comparison and insights from the Valve-In-Valve International Data (VIVID) registry変性した生体外科大動脈弁に対するTAVI(valve-in-valve)のレジストリからのデータです。欧米では標準的な治療として行われているvalve-in-valveの手技ですが、日本ではTAVIの適応から外れています。一方で、日本人の患者さんは長寿の方が多く、今後、生体弁による外科大動脈弁置換術手術を受けた方の再治療で、TAVIを考えざるを得ない患者さんに出会う機会も増えてくるのではないかと予想されます。今回のような大規模レジストリで良好な結果が報告されれば、日本でも将来的にvalve-in-valveにもTAVIの適応が広がる可能性があります。そういった意味でも、本試験の結果には注目が集まります。New valvular interventions and enabling technologiesのセッションにも注目演題が並びます。LAA occlusion vs. standard care in patients with atrial fibrillation and intracranial haemorrhage: a propensity matched score follow-up study脳出血の既往のある心房細動患者に対する抗凝固療法は、実臨床において非常に難しい判断を要します。そして、このような患者さんこそが左心耳閉鎖の最も良い適応と考えられます。現在、勤務している施設では左心耳閉鎖についてはconservativeな適応としていますが、それでも脳出血の既往のある方には、積極的に左心耳閉鎖を行っています。日本でも、このような患者さんを念頭に置いた左心耳閉鎖デバイスへの期待は高まっており、きわめて実臨床のニーズに即した研究です。Mitral valve repair using a novel percutaneous septal sinus shortening deviceMillipede percutaneous mitral annuloplasty ring僧帽弁閉鎖不全(MR)に対するニューデバイスに関する発表です。MRに対するカテーテル治療のデバイスとしては、MitraClip(Abbott Vascular社)が最も普及しており、ヨーロッパでのMRに対するカテーテル治療の98%以上がMitraClipを用いて行われていると言われています。しかしながら、MitraClipですべてのMRが治療できるわけではなく、現在、約40種類ものデバイスが開発中です。本セッションで紹介されるデバイスがMitraClipに続くデバイスとなるのでしょうか?これ以外にもHot Lineセッションを含め、EuroPCR 2016は見どころ満載です。初夏のパリを舞台に発表される、カテーテルインターベンションの最新知見の数々、非常に楽しみです。参考文献1)Kimura T, et al. Eur Heart J. 2015;36:3332-3342.2)Thourani VH, et al. Lancet 2016 Apr 1 [Epub ahead of print] .

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閾値下うつ病に対する効果的なプログラム:広島大

 青年期にみられる閾値下うつ病の主な行動特性は、環境中の報酬知覚の頻度が低い。そのため、単純な介入が短いセッションで行われており、積極的な補強活動を増加させることに焦点を当てることは、報酬の可能性を高めるうえで有効であると考えられる。広島大学の高垣 耕企氏らは、毎週60分間のセッションを5週間実施した行動活性化プログラムの有効性を調べるため、ランダム化比較試験を実施した。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月22日号の報告。 18~19歳の閾値下うつ病の大学生は、治療群(n=62)、対照群(n=56)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、BDI-II ベック抑うつ質問票スコアとした。 主な結果は以下のとおり。・治療群は、対照群と比較して、抑うつ症状の有意な改善が認められた(エフェクトサイズ:-0.90、95%CI:-1.28~-0.51)。・治療群は、QOL質問票の評価と行動特性において有意な改善を示した。 著者らは、「この行動活性化プログラムの検討は短期間でシンプルな介入であったにもかかわらず、きわめて有意な効果を示しており、多くの異なる施設で利用可能であると考えられる。また、長期的影響については、今後の研究対象にすべきである」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのか 若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか 生徒のうつ病に対する教師サポートの影響は

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小児に対するLAI治療、その安全性は

 長時間作用型注射剤抗精神病薬(LAIA)の数は、年々増加している。しかし、小児に対するLAIA治療の安全性、有効性は確立されていない。米国・ケースメディカルセンターのStephanie Pope氏らは、ケースシリーズにより小児に対するLAIA治療を研究することで、その知見不足を補うための試みを行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年3月30日号の報告。 本研究は、精神科急性期病棟の専門家により確認された、過去24ヵ月にLAIAによる新規初期治療を行ったすべての患者を含む、レトロスペクティブカルテレビューである。ケースシリーズ9例から、入院、退院時の臨床全般印象-重症度(CGI-S)スコアと臨床全般印象-改善度(CGI-I)スコアを収集した。そのほかに、主要な精神医学的診断報告、併存疾患、年齢、性別、前治療薬とLAIAの種類、LAIAによる治療理由、有害事象、CGI-SおよびCGI-Iスコア、治療を継続するために利用された外来患者のリソースが含まれた。 主な結果は以下のとおり。・ケースシリーズは、14~17歳の女性2人と男性7人であった。・患者に投与されていた薬剤は、パルミチン酸パリペリドン5例、リスペリドン1例、フルフェナジン1例、アリピプラゾール1例であった。・患者の精神科1次診断は、統合失調症5例、統合失調感情障害1例、双極性障害I型1例、特定不能な双極性障害1例、特定不能な気分障害1例であった。・すべてのケースで、ノンコンプライアンスによりLAIAを選択した。・頻繁な逃走、疾患の重症度が各1例認められた。・すべての患者は、注射サービスの公共リソースを必要とした。・本研究は、母集団が小さく、薬物療法を越えたCGI-SやCGI-Iスコアに及ぼす他の要因、また、レトロスペクティブカルテレビューの性質上、限界がある。また、薬剤間の比較は行っていない。・維持治療および長期的安全性は、本研究の範疇を越えていた。今後、小児集団に対する安全性を明らかにするための、オープンラベル試験や無作為化二重盲検比較対照試験が必要とされる。関連医療ニュース 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索 小児に対する抗精神病薬、心臓への影響は 若者に対する抗精神病薬、リスクを最小限にするためには

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成人期まで持続するADHD、その予測因子は

 注意欠如・多動症(ADHD)は、診断された症例の半数において成人期まで症状が持続する神経発達障害と考えられている。現在、疾患の経過に関連する因子を明らかにするエビデンスは得られていない。ブラジル・リオグランデドスール連邦大学のArthur Caye氏らは、ADHD症状の成人期までの持続を予測するため、小児期のリスクマーカーに関する文献を検索し、システマティックレビューを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月28日号の報告。 著者らは、2万6,168件のアブストラクトを検討し、72件のフルテキストレビューを選択した。6件の集団ベースのレトロスペクティブサンプルと10件の臨床フォローアップ研究を含む16件の研究データを同定した。少なくとも3件の研究により評価された要因について、メタ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の成人期までの持続を予測する小児期の因子は、ADHD重症度(OR:2.33、95%CI:1.6~3.39、p<0.001)、ADHD治療(OR:2.09、95%CI:1.04~4.18、p=0.037)、素行症の併存(OR:1.85、95%CI:1.06~3.24、p=0.030)、うつ病の併存(OR:1.8、95%CI:1.1~2.95、p=0.019)であった。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

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Dr.中川の世界のカテまでイッテ究(キュウ) 第1回

静岡県立総合病院 循環器内科 多田朋弥氏:前編今回のゲストは、ドイツ心臓病センターミュンヘン(Deutshes Herzzentrum München)に2011年から留学された、静岡県立総合病院 循環器内科の多田朋弥氏。代役がきっかけとなった留学への道中川:多田先生、本日はありがとうございます。まず、先生の留学の経緯および留学先について教えていただけますか?多田:私は、北海道大学を2004年に卒業しました。その後、平成2007年から京都大学で循環器のトレーニングを受け、卒業から7年経った2011年に留学しました。留学先はドイツのミュンヘン工科大学(Technische Universität München)のドイツ心臓病センター ミュンヘン(Deutshes Herzzentrum München)です。2011年4月から3年間留学していました。中川:多田先生が留学先としてドイツ心臓病センターミュンヘンを選んだのはご自身の希望ですか? それとも、どなたかの紹介ですか?多田:留学の前年、私は京都大学で、後に留学先となるドイツ心臓病センターミュンヘンのAdnan Kastrati教授が主導する国際共同試験「ISAR-SAFE」試験の日本のenrollmentを担当していました。その年、ストックホルムでのESC(欧州心臓病学会)で、当試験の報告会議があり、京都大学の木村教授が参加する予定だったのですが、都合が合わず、私が代役で日本の状況を報告することになりました。中川:それがきっかけとなったのですね。その時の印象はいかがでしたか?多田:報告の際も感触が良かったので、帰国後、木村先生にその旨を伝えると、行きたかったら紹介するということ話になりました。向こうのチームも仲が良さそうで好印象だったということもあり、留学に至りました。中川:木村先生の代役がきっかけで、お互い好印象を抱き留学に至ったわけですね。ところで、ドイツへの留学ではドイツ語の試験に合格するといった規定はないのですか?多田:留学自体は語学試験に合格する必要はありません。診療行為をするのであれば試験に合格することが必要です。それに加えて日本の医師免許があれば診療できます。私は診療をするつもりはなかったので、その手続きは取りませんでした。中川:留学までの期間がかなり短いですね。ESCが10月、決めたのが11月、実際に行ったのが翌年の4月ですので、6ヵ月後ですね。最速コースですね?多田:はい。準備期間は非常に短かったですね。その間に結婚することになり、大変でした。そのようなこともあり、準備期間の間、ドイツ語の学校に通う余裕はありませんでした。語学試験は受けないとはいえ、それ以前にドイツ語と触れ合う機会は、ほとんどなし。不安はありましたが、英語で何とかなるだろうと淡い期待を抱いていました。しかし、この期待は、実際に現地に行き大きな誤算だったとわかるのですが。現地の人間のしたがらない仕事が、ポジション獲得につながった中川 義久氏中川:ドイツでは診療はされなかったわけですが、向こうでの仕事はどのようなものだったのですか?多田: BRS(生体吸収性スキャフォールド)など、向こうで使われているが日本未発売のデバイスに関する臨床試験が主体でした。コアラボでQCA(定量的冠動脈造影法)やフォローアップの手伝いをするのですが、当時、OCT(光干渉断層法)の担当者がいませんでした。私は、コアラボで測定をしながら、OCTを解析するのが仕事でした。もともとOCTを専門にしていたわけではありませんが、現地では細かい測定を嫌がる人が多いし、日本人だからできるだろう、ということで担当になりました。コアラボで測定をしながら、OCT症例があるとカテ室に行き、戻ってきたデータを自分で解析し、論文化するというワークフローです。そうしているうちに、OTCに関するデータは皆、私を経由するようになってきました。これは自分のポジションを見つけていくという意味で非常に良かったと思います。中川:ところで、Kastrati先生との仕事は英語でするのですよね?多田:いいえ。Kastrati先生は英語を話せますが、ドイツ語を使います。先生はアルバニア出身でポジションを得た方ですので、ドイツ語を使ってドイツ人のコミュニティに入っていくということを重視しておられました。そのような状況ですので、多国籍のフェローも皆ドイツ語を使っていました。中川:コアラボのスタッフもドイツ語ですか?多田:そうです。でも、現場の雑談の中での会話で鍛えられました。最初は本当にコミュニケーションを取れませんでしたが、仕事についても1年ちょっとで問題なくなりました。ただ、英語論文の指導もドイツ語で、これは本当に大変でした。中川:英語論文の指導をドイツ語でされ、さらに英語に訳していくとは、これは神業ですね。ドイツで論文は何本くらい発表されましたか?多田:留学中に5本、帰国後1本です。中川:3年間で6本は相当なハイペースですね?多田:最初の1年は生活の環境整備に費やすことがほとんどで、2年目からやっと芽が出始め、3年目に形になってきました。日本とは違い、Studyナースや学生アルバイトなどデータを取ってくれる人が常時いるシステムなので、解析の仕事に特化しやすかったですね。日本人の診療は丁寧なのか?多田 朋弥氏中川:カテ室でドイツの診療を見る機会もあったと思いますが、日本の診療行為との違いはありますか? 日本人は丁寧で、それが良い成績につながっているという意見を聞くことが多いですが、実際はいかがですか?多田:手技については同等だと思います。よく日本が優れているという意見を耳にしますが、差は感じませんでした。ただし、ドイツでは血管内イメージングのルーチンフォローアップはしないですね。自分がいた施設ではフォローアップCAG(冠動脈造影)をしていましたが、やらない施設がほとんどです。また、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)のガイドについても、ほぼ100%がアンギオガイドです。後でOCTをやりmalappositionが判明することもありました。これは100%アンギオガイドの限界かも知れません。そういう面では、日本のほうが丁寧だといえるでしょう。中川:PCIの適応で日本との違いは感じますか?多田:ドイツでのPCI適応は、年齢も含め合理的だと思います。病変も日本のように複雑なものではなく、比較的シンプルなものが多いという印象です。CTO(慢性完全閉塞病変)も日本より少なく、最近になり、CTOプログラムが始まって例数が増えてきたという状況です。新たなインターベンション・デバイスの可能性留学先のドイツ心臓病センター ミュンヘンにて中川:BRSなど日本でも早く使いたいと思ったものはありましたか?多田:正直なところ、第2世代DES(薬剤溶出ステント)を大きく上回る成績を上げたものは少ないと思います。生体吸収ポリマーと永久ポリマーステントの試験も数多くありますが、同等です。BRSは、若い人には非常に良いものの、高齢者には目を見張るような結果が出てきていません。中川:今のメタリックステントがすでに完成度が高いという印象ですか?多田:3年というスパンで見ると完成形に近づいていると言えるのではないでしょうか。しかし、neo atherosclerosisなど、そこから先のインパクトについては不明です。第3世代DESやBRSがそういったものを改善すれば、使うメリットが出てくると思います。中川:CAD(冠動脈疾患)へのインターベンションはかなり成熟してきていると思いますが、そのような中、ドイツの施設では、SHD(Structural Heart Disease)に向かって動き出していると感じたことはありますか?多田:内科も外科もTAVI(経カテーテル大動脈弁植込み術)をしていますが、自分がいた時には、大きな変化は感じませんでした。後編へ続く

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中等度リスクの重症大動脈弁狭窄症、新世代TAVRの有用性/Lancet

 手術による死亡リスクが中等度の重症大動脈弁狭窄症患者において、SAPIEN 3生体弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、1年時の死亡率が低く、外科的大動脈弁置換術(SAVR)に比べ予後が良好であることが、米国・エモリー大学のVinod H Thourani氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年4月3日号に掲載された。新世代の生体弁であるSAPIEN 3を用いたTAVRは、中等度リスクの重症大動脈弁狭窄症における30日時の短期的な臨床転帰の改善が報告されているが、長期的な転帰は不明であった。観察試験の長期データと、他試験との傾向スコア解析による比較 研究グループは、SAVRによる30日死亡のリスクが中等度の重症大動脈弁狭窄症に対するSAPIEN 3生体弁を用いたTAVRの長期的なデータを報告し(SAPIEN 3観察試験)、無作為化試験(PARTNER 2A試験)のSAVR群との臨床転帰の比較を行った(本研究は助成を受けていない。2つの試験はEdwards Lifesciences社の助成による)。 SAPIEN 3試験は、2014年2月17日~9月3日に米国とカナダの51施設で実施され、中等度リスクの重症大動脈弁狭窄症患者1,077例(88%[952例]が経大腿動脈アクセス)が、SAPIEN 3生体弁を用いたTAVRを施行する群に割り付けられた。今回は、術後1年時のデータの解析を行った。 次いで、ベースラインの患者背景の試験間の差を考慮して事前に規定された傾向スコア解析を用いて、2011年12月23日~13年11月6日に米国とカナダの57施設で実施されたPARTNER 2A試験においてSAVR群に割り付けられた中等度リスクの患者944例と、SAPIEN 3試験のSAPIEN 3 TAVR群の患者の術後1年時の転帰を比較した。 2つの試験は、臨床イベント評価委員会が共通で、心エコー検査の方法が同じであった。 主要評価項目は、全死因死亡、脳卒中、中等度/重度の大動脈逆流の複合エンドポイントとした。傾向スコアを五分位法(Q1[スコアが最も低い20%]~Q5[最も高い20%])で解析し、非劣性(マージン:7.5%)および優越性の評価を行った。TAVR群の非劣性と優越性を確認、中等度/重度弁逆流の転帰は不良 ベースラインの患者背景は両群でほぼ同様であり、平均年齢はSAPIEN 3 TAVR群が81.9(6.6 SD)歳、PARTNER 2A SAVR群は81.6(6.76 SD)歳だった。NYHA心機能分類III/IV度がそれぞれ73%、76%含まれた。 TAVR群で男性(62 vs.55%、p=0.002)および酸素吸入を要する慢性閉塞性肺疾患(5 vs.3%、p=0.02)が多かったのに対し、SAVR群ではSTSスコア中央値(5.2 vs.5.4%、p=0.0002)が高く、平均大動脈弁圧較差(46.1 vs.44.7mmHg、p=0.01)および左室駆出率(58.5 vs.55.4%、p<0.0001)が低く、中等度/重度の僧帽弁逆流症(9 vs.18%、p<0.0001)が多かった。 入院期間中央値はTAVR群がSAVR群よりも短く(4[1~122] vs.9[1~77]日)、術後に帰宅した患者の割合が高かった(85 vs.46%)。 SAPIEN 3試験のフォローアップ期間中央値1年時のTAVR群の全死因死亡率は7.4%(79/1,077例)であった(経大腿動脈アクセス例は6.5%)。脳卒中の発症率は4.6%(49例)で、約半数の2.3%(24例)が後遺障害を伴う脳卒中であった。 1年時までに11%(119例)が手技関連または大動脈弁関連の理由で再入院したが、大動脈弁への再インターベンション(0.6%[6例])はまれだった。12%(132例)が新たに恒久的ペースメーカーの埋め込みを行った。また、心臓の症状は大きく改善し、1年時にはNYHA心機能分類I/II度が94%を占めた。 TAVR後30日時の大動脈弁口面積および大動脈弁圧較差は1年時にも維持されていた。1年時の中等度以上の弁周囲逆流は1.5%のみにみられ、40%は軽度であった。30日時に弁周囲逆流がみられないか、わずかであった患者の1年時の死亡率は4.5%と、軽度の患者の6.4%とほぼ同等であった(p=0.2306)が、中等度/重度の患者の1年死亡率は13.3%であり、有意な差が認められた(p=0.0184)。 傾向スコアの五分位解析(TAVR群:963例、SAVR群:747例)では、主要複合エンドポイントの発生率は、Q1(加重比率差[weighted proportion difference]:-14.5%)~Q5(同:-4.3%)のいずれにおいてもTAVR群が有意に良好であった。 全体の加重比率差は-9.2%であり、TAVR群のSAVR群に対する非劣性(95%信頼区間[CI]:-12.4~-6、p<0.0001)および優越性(95%CI:-13.0~-5.4、p<0.0001)が確認された。死亡(-5.2%、-8.0~-2.4、p=0.0003)および脳卒中(-3.5%、-5.9~-1.1、p=0.0038)はTAVR群で良好であったが、中等度/重度の大動脈弁逆流(1.2%、0.2~2.2、p=0.0149)はSAVR群が優れた。 著者は、「TAVRは、中等度リスクの患者においてSAVRよりも好ましい治療選択肢と考えられ、今後、適応が拡大する可能性がある」と指摘している。

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うつ病患者にみられる認知機能の変化は

 うつ病の青年には、実行機能、注意、記憶の欠損が見られる。神経認知機能の変化は寛解期ではなく急性期に見られるものもあるという事実にもかかわらず、縦断的研究も不足している。米国・ニューヨーク市立大学クイーンズ校のAl Amira Safa Shehab氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による急性期治療中のうつ病青年の神経認知機能の変化を調査した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年3月14日号の報告。うつ病青年を治療する際に認知症状についてもチェックする必要 うつ病青年24人と健康対照者24人を対象に、ベースライン時および6、12週にケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)のサブテストおよび臨床スケールを評価した。うつ病青年には、ベースライン評価後、fluoxetineを投与した。 うつ病青年の神経認知機能の変化を調査した主な結果は以下のとおり。・うつ病青年では、抑うつ症状の著しい改善にもかかわらず、健康対照者と比較して、視覚的記憶の継続的な欠損が認められた(p=0.001)。・持続的な注意および抑制の課題は、健康対照者では12週までより良い状態であったが、うつ病青年では持続的注意欠損が残存していた。・実行機能(計画)課題は、健康対照者では課題を学習し、12週にわたり改善したにもかかわらず、うつ病青年のパフォーマンスでは有意な変化がみられなかった(p=0.04)。 結果を踏まえ、著者らは「うつ病青年を治療する際に、臨床医は気分症状の改善後にみられる認知症状についてもチェックする必要がある」としている。

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