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アルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究

 フィンランド・東フィンランド大学のLaura Saarelainen氏らは、アルツハイマー病の全国コホートにおいて、新たなベンゾジアゼピンおよび関連薬剤(BZDR)の使用に伴う死亡リスクを調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年11月15日号の報告。 2005~11年にアルツハイマー病と診断されたすべてのフィンランド住民7万718例を含むレジスタベースのMEDALZコホートを用いた。アルツハイマーの臨床的診断は、特別償還記録(Special Reimbursement Register)より得た。薬剤使用期間は、処方記録(Prescription Register)より由来したBZDR購入からモデル化された。新規BZDR使用者を調査するため、アルツハイマー病診断の前年にBZDRを使用した患者は除外した。BZDR使用を開始した使用患者群(1万380例)について、年齢、性別、アルツハイマー病診断までの期間をマッチさせた各人2人の未使用患者群(2万760例)を選出した。多変量解析では、チャールソン併存疾患指数、社会的地位、股関節骨折、精神障害、薬物乱用、脳卒中、他の向精神薬使用で調整した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に、未使用患者群と比較し、使用患者群は100人年当たり5人の超過死亡がみられた。死亡率は、使用患者群13.4%(95%CI:12.2~14.5)、未使用患者群8.5%(95%CI:7.9~9.1)であった。・BZDRの使用は、死亡リスク増加と関連しており(調整ハザード比:1.4、95%CI:1.2~1.6)、その関連は使用開始から有意であった。・ベンゾジアゼピン使用は死亡リスクの増加と関連が認められたが、ベンゾジアゼピン関連薬剤の使用はそうではなかった。 著者らは「ベンゾジアゼピンおよび関連薬剤の使用は、アルツハイマー病患者の死亡リスク増加と関連が認められた。本結果より、アルツハイマー病の対症療法の第1選択治療は、治療ガイドラインで推奨される非薬理学的アプローチであることを支持する」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのか認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要かベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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REVEALはHDLコレステロールの効果を明らかにできたのか?(解説:平山 篤志 氏)-786

 高LDLコレステロール血症と同様に低コレステロール血症が冠動脈疾患のリスク因子であることは広く知られていた。LDLコレステロールを低下させることによって、冠動脈イベントが低下することは、スタチンの試験だけでなく、コレステロール吸収阻害薬やPCSK9阻害薬を用いた試験で示されている。では、HDLコレステロールを上昇させることによってイベントを低下させることが可能ではないか? ターゲットとなったのは、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)で、その働きは高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステリルエステルを超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)に転送する働きを有している。このCETPを阻害することにより、HDLコレステロールの上昇が認められることから、CETP阻害薬が開発され、torcetrapibの臨床試験が行われたのである。すでに2007年に報告されたようにイベントは逆に増加した結果となった。血圧の上昇がイベントを増加させた可能性があるとして、さらにevacetrapib、dalcetrapibの臨床試験が行われたが、いずれも有効性を示すことができなかった。 CETP阻害薬の最後として期待された試験が今回発表されたanacetrapibを用いたREVEAL試験であった。本試験では、ASCVDの3万の患者を対象に冠動脈イベントの発症を一次エンドポイントとした試験で、初めてCETP阻害薬であるanacetrapibの有意なイベント低下効果を示したのであった(HR:0.91、95% confidence interval [CI]:0.85~0.97、P=0.004)。 しかし、CETP阻害薬によりLDLコレステロール低下効果を認めたことからHDLコレステロールを上昇させた効果であると結論できなかった。REVEAL試験は有効性を示したが、HDLコレステロールの意義を示した結果ではなかった。より強力なLDLコレステロール低下効果のある薬剤がある現状では、anacetrapibは薬剤として上市されることはないであろう。

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せん妄と関連する薬剤は

 これまで、集中治療室(ICU)内でのせん妄に関する研究はよく行われているが、ICU外のデータは限られている。米国・Methodist Dallas Health SystemのAnthony Cahill氏らは、非クリティカルケア病棟(NCCA:non-critical care areas)におけるせん妄の発生率および関連する危険因子をプロスペクティブに評価を行った。The journal of trauma and acute care surgery誌オンライン版2017年10月16日号の報告。 IRB承認後、2015年12月~2016年2月まで都市のレベルI外傷センターにおいてプロスペクティブコホート研究を実施した。対象は、外傷外科医により指定されたNCCAに入院したすべての患者とした。退院まで12時間ごとのせん妄評価(CAM:Confusion Assessment Method)と、せん妄発生(CAM+)患者の重症度を定量化するCAM-Sを実施した。患者背景、検査値データ、入院時の薬物リストを分析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者148例中、CAM+患者12例(8%)、CAM-患者136例(92%)であった。・CAM+患者の平均CAM-Sは、7±3であった(平均年齢:52±20歳、男性率:45%)。・65歳以上の患者では、9例(21%)がCAM+であった。・せん妄と関連する薬剤は、albuterol(p=0.01)、アトルバスタチン(p=0.01)、デュロキセチン(p=0.04)、セルトラリン(p=0.04)、葉酸(p=0.01)、チアミン(p=0.01)、ビタミンD(p<0.001)、ハロペリドール(p=0.04)、メトプロロール(p=0.02)、バンコマイシン(p=0.02)であった。・せん妄と関連する異常な検査値は、アルブミン(p=0.03、OR:7.94、CI:1.1~63.20)、カルシウム(p=0.01、OR:4.95、CI:1.5~16.7)、ナトリウム(p=0.04、OR:3.91、CI:1.13~13.5)、ヘマトクリット(p=0.04)、平均血中ヘモグロビン濃度(p<0.05、OR:5.29、CI:1.19~23.46)であった。 著者らは「本研究では、NCCA入院患者の8%でせん妄が発生し、65歳以上の発生率は21%に上昇した。NCCA患者において同定された多くのリスク因子は、ICU患者での報告と一致しているが、これまでせん妄発生に関連していなかったリスク因子をCAM+患者が有していた。せん妄に対するNCCA患者のスクリーニングが考慮されるべきである」としている。■関連記事せん妄に対する非定型 vs.定型 vs.プラセボうつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤はたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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心室収縮能評価に寄与する心臓の形状変化(ジオメトリー)、EFはいかに保たれているか

 収縮能は保たれているが心筋ストレインが低下している症例が、肥大型心筋症、虚血性心疾患、糖尿病などの患者において報告されている。そこで、Oslo University Hospital(ノルウェー)のThomas M. Stokke氏ら研究グループが、左室駆出率(EF)とストレインが一致しないことを検証するため、数学的および心エコーを組み合わせた解析を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。ストレインを含む4つのパラメータからEFを求める方程式を作成 本研究では、楕円形の左室形状モデルからEFと4つのパラメータであるGlobal longituidal strain (GLS:縦方向のストレイン)、Global circumferential strain (GCS:円周方向のストレイン)、壁厚および短軸方向の直径の関係を導く方程式が考案された。EFが16~72%の被験者100例において、EFの予想値と実際の計測値を比較し、この方程式の妥当性が確認された。また、異なるパラメータのEFに対する影響についても検証し、患者データとの比較を行った。円周性の収縮は長軸性の収縮より2倍以上もEFと関連 計算によって導き出されたEFの予測値と、実際の計測値はかなりの割合で一致していた(r=0.95)。またこのモデルでは、GCSがGLSと比べて2倍以上EFに関連することが示され、縦方向の収縮の大幅な減少は、円周方向の収縮のわずかな増加で補うことが可能と考えられた。壁厚が増加し、直径が減少した心室においては、長軸性および円周性の収縮が低下するが、そういった症例では、拡張末期容量を少なくすることで、EFを保っていた。このことは、正常コントロール20例と、壁厚が増加しかつ円周性および長軸方向の収縮が低下した肥大型心筋症患者20例とで、EF同様の値であるという結果と合致していた。 心筋の収縮が低下しているにもかかわらず、EFが保たれているという矛盾は、心臓の形状変化(ジオメトリー)の寄与を考えると、数学的に説明しうる。つまり、心筋の縦方向および円周方向の短縮が大きく変化しても、その他の形状学的な変化でそれを補い、EFが保持されている。EFが保たれている場合、ストレインは左室の収縮能を反映している EFは保たれていても、心臓全体としての変形が小さくなりうることが数学的に説明された。心臓の形体上の変化が大きく寄与していることを考えると、EFが保たれている症例ではストレインが心室の収縮能をより正確に反映していると考えられた。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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ESC 2017 注目の演題

2017年8月26~30日、スペイン・バルセロナでESC(欧州心臓病学会)2017が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。ESC2017開催地、バルセロナのおすすめスポットはこちら※演題名および発表順は、8月10日時点でESC 2017ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Late-Breaking Science in PCI 1Chairpersons: Michael HAUDE, William WIJNS8月26日(土)13:30 - 15:00 Dali - The Hub1.Comparison of titanium-nitride-oxide-coated versus everolimus-eluting stents in acute coronary syndrome2.A Multicenter, Randomized-Controlled, Blinded Trial of Drug-Eluting vs. Bare Metal Stents in De Novo Saphenous Vein Graft Lesions3.Early strut coverage in patients receiving new-generation drug-eluting stents and its implications for dual antiplatelet therapy: a randomized controlled trial4.Coronary Artery Bypass Grafting Versus Percutaneous Coronary Intervention and Survival in Patients with Type 1 Diabetes Mellitus5.Five-year Outcome of a Trial Comparing Second Generation Drug-eluting Stents Using Either Biodegradable Polymer or Durable Polymer6.Clinical outcomes of State-of-the-Art percutaneous coronary revascularization in patients with de novo three vessel disease: Results of the SYNTAX II trial7.BIOFLOW-V: A Prospective Randomized Multicenter Study to Assess the SaFety and Effectiveness of the Orsiro SiroLimus Eluting Coronary Stent System in the Treatment Of Subjects With up to Three De Novo or Restenotic Coronary Artery LesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 1Chairpersons: Jeroen BAX, Barbara CASADEI8月27日(日)11:00 - 12:35 Barcelona - Main Auditorium1.Routine versus aggressive upstream rhythm control for prevention of early atrial fibrillation in heart failure, the RACE 3 study2.Catheter ablation versus standard conventional treatment in patients with left ventricular dysfunction and atrial fibrillation: the CASTLE-AF trial3.Cardiovascular OutcoMes for People using Anticoagulation StrategieS (COMPASS) trial: Primary Results4.Cardiovascular OutcoMes for People using Anticoagulation StrategieS (COMPASS) trial: Results in Patients with Coronary Artery Disease and in patients with Peripheral Artery Disease5. CANTOS - The Canakinumab Anti-Inflammatory Thrombosis Outcomes StudyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-Breaking Science in PCI 2Chairpersons: Lene HOLMVANG , Patrick SERRUYS8月27日(日)14:00 - 15:30  Spotlight Stage1.The Bivalirudin versus Heparin in non-ST and ST-segment elevation myocardial infarction in patients on modern antiplatelet therapy in SWEDEHEART2.Efficacy and Safety of a Pharmaco-Invasive Strategy versus Primary Angioplasty in ST-Elevation Myocardial Infarction: The EARLY-MYO Trial3.Testing Responsiveness to Platelet Inhibition on Chronic Antiplatelet Treatment for Acute Coronary Syndromes - TROPICAL-ACS – Trial4.RE-DUAL PCI : Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran After Percutaneous Coronary Intervention in Patients with Atrial Fibrillation5.Have we reached the bottom line in mortality after Acute Myocardial Infarction? Changes over 20 years in patient characteristics, management, and 6-month outcomes in the FAST-MI programme: 1995-20156.Improvement in FFR predicts 2 years outcome after PCI. A FAME 2 Sub-AnalysisQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-Breaking Science in Heart FailureChairpersons: Frank RUSCHITZKA, Milton PACKER8月28日(月)08:30 - 10:00 Warsaw - Village 91.Heart failure and death in new users of SGLT2 inhibitors vs other glucose-lowering drugs - consistent risk reduction across patient groups in 4 countries and >270,000 patients: The CVD-REAL Study2.Efficacy of beta-blockers in heart failure according to left ventricular ejection fraction: An individual patient level analysis of double-blind randomised trials3.Marked variation in the efficacy of beta-blockers across cardiovascular health: A Global systematic assessment of mortality, myocardial infarction and stroke4.Heart Failure-Wii study5.Does the risk for heart failure (HF) modulate the effectiveness of empagliflozin on HF hospitalisation or CV death in patients with type 2 diabetes without HF? Insights from EMPA-REG OUTCOME6.Predicting right heart failure after implantation of continuous flow left ventricular assist devices (EUROMACS-RHF) score: analysis of the EUROMACS dataQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 2Chairpersons: Stephan ACHENBACH , Sarah Catherine CLARKE8月28日(月)11:00-12:48 Barcelona - Main Auditorium1.SPYRAL HTN OFF-MED Study2.Apixaban vs conventional therapy in anticoagulation-naive patients with atrial fibrillation undergoing cardioversion: The EMANATE Trial3.An international multicenter clustered randomized trial to IMProve treatment with oral AntiCoagulanTs in Atrial Fibrilation4.The Viborg Vascular randomised screening trial5.Impact of a single or two dose regimen of inclisiran, a novel siRNA inhibitor to PCSK9 on time averaged reductions in LDL-C over 1 year. ORION 16.DETermination of the role of OXygen in suspected Acute Myocardial InfarctionQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 3Chairpersons: Frans VAN DE WERF , Evgeny SHLYAKHTO8月28日(月)14:00 - 15:30 Barcelona - Main Auditorium1.A Naturally Randomized Trial Comparing the Effect of Genetic Variants that Mimic CETP Inhibitors and Statins on the Risk of Cardiovascular Disease2.Effect of Sildenafil on Clinical Outcomes in Patients with Corrected Valvular Heart Disease and Residual Pulmonary Hypertension3.The PRECISION-ABPM (Prospective Randomized Evaluation of Celecoxib Integrated Safety versus Ibuprofen or Naproxen Ambulatory Blood Pressure Measurement) - Trial4.Protection of the brain on occasion of planned open heart surgery by surgical closure of the left atrial appendage. A randomized study5.Airway management during cardiopulmonary resuscitation: Tracheal intubation versus bag valve mask ventilationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 4Chairpersons: Michel KOMAJDA, Hector BUENO8月29日(火)08:30 - 10:00 Barcelona - Main Auditorium1.Clinical effects of anacetrapib in people with established vascular disease: Results of the Randomized EValuation of the Effects of Anacetrapib through Lipid-modification (HPS3/TIMI55-REVEAL) trial2.Does intensive treat-to-target LDL-C lowering therapy using statin in patients of diabetic retinopathy reduce cardiovascular events?: the EMPATHY study3.Exercise training in diastolic heart failure (Ex-DHF): a multicenter, prospective, randomized, controlled, parallel group trial4.Catheter Ablation compared with optimized Pharmacological Therapy for Atrial Fibrillation, a randomized multicentre study of quality of life and implantable cardiac monitoring after 12 month follow-up5.Assessment of REmote HEArt Rhythm Sampling using the AliveCor heart monitor to scrEen for Atrial Fibrillation (The REHEARSE-AF study)Q. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する

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都道府県間で広がる健康格差/Lancet

 東京大学大学院医学系研究科主任教授の渋谷 健司氏らによる「日本の都道府県別の疾病負荷研究(1990~2015年)」の結果が、Lancet誌オンライン版2017年7月19日号で発表された(筆頭著者は同大学助教の野村 周平氏)。1990~2015年に日本では、総じて大半の重大疾患による死亡率や身体的障害発生の低下に成功した一方で、ゆっくりとだが都道府県間の健康格差は進んでいることが明らかになった。その原因については、各都道府県間の保健システムの主なインプット(医療費、医療従事者数など)と健康アウトカムに有意な関連を見いだすことはできなかったとして、著者は「保健システムのパフォーマンス(医療の質など)を含む評価を早急に行い、都道府県格差を生み出している要因を明らかにする研究が必要である」と提言している。1990~2015年の日本全国および47都道府県別の疾病負荷の変化を調査 研究グループは、「日本は超高齢化時代に突入し健康転換が進んでおり、保健システム維持へのプレッシャーはますます大きくなっている。健康転換のレベルとペースは各地で異なると考えられ、また疾病負荷について地域格差の増大があるのではないかと懸念される」として、都道府県別の疾病および外傷の負荷の定量化を行い、リスク因子を明らかにする検討を行った。 検討には、統合的かつ比較可能なフレームワークのGBD 2015(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study 2015)を用い、GBD 2015の死亡、疾病、外傷発生の315の要因と79のリスク因子や有病率のデータから、1990~2015年の全国および47都道府県別の疾病および外傷の負荷を測定した。また、GBD 2015より抽出したデータで、死亡率、死亡要因、損失生存年数(years of life lost:YLL)、障害生存年数(years lived with disability:YLD)、障害調整生存年(disability-adjusted life-years:DALY)、平均余命、健康寿命(healthy life expectancy:HALE)について評価。負荷の推定値、および既知のリスク因子による起因性負荷の推定値は、県別に得られたデータとGBD法を応用して算出した。さらに、地域健康格差をもたらす要因を明らかにするため、都道府県レベルの保健システムのインプット(医療費や医療従事者数など)と2015年のGBDアウトプット(死亡率、疾病負荷など)との関連性についても調べた。平均余命、全国的には4.2歳上昇も都道府県間の格差は拡大 1990~2015年に日本の平均余命は、79.0歳(95%不確定区間[UI]:79.0~79.0)から83.2歳(83.1~83.2)へと4.2歳上昇した。しかしながら同期間中に、平均余命が最も短い県と長い県の格差が2.5歳から3.1歳へと広がっていた。同様に健康寿命についても2.3歳から2.7歳へと拡大していた。 全国的な年齢標準化死亡率は、29.0%(28.7~29.3)の減少がみられた。しかし都道府県間では、かなりばらつきがみられ、最大県は-32.4%(-34.8~-30.0)、最小県は-22.0%(-20.4~-20.1)だった。 同期間中の年齢標準化DALYは、全国的には19.8%(17.9~22.0)の減少であった。年齢標準化YLDは3.5%(2.6~4.3)の減少と、かなり少なかった。 死亡率およびDALYの減少ペースは、さまざまな要因によってもたらされていたが、2005年以降は横ばいになっている。DALYの34.5%(32.4~36.9)は既知のリスク因子によって説明がついた。そのうち大きな2つの要因は不健康な食生活と喫煙であった。一方、保健システムのインプットと年齢標準化死亡率やDALY率に関連は認められなかった。

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悪性黒色腫とパーキンソン病、相互に発症リスク高

 米国・メイヨークリニックのLauren A. Dalvin氏らは、ロチェスター疫学プロジェクト(Rochester Epidemiology Project:REP)のデータを解析し、悪性黒色腫(皮膚および結膜、ブドウ膜)患者はパーキンソン病(PD)の、PD患者は悪性黒色腫の発症リスクが高く、両者に関連があることを明らかにした。著者は、「さらなる研究が必要であるが、今回の結果に基づき医師は、悪性黒色腫患者にはPDのリスクについてカウンセリングを行い、PD患者に対しては皮膚および眼の悪性黒色腫についてサーベイランスを行うことを検討すべきだろう」とまとめている。Mayo Clinic Proceedings誌2017年7月号掲載の報告。 研究グループは、REPのデータを用いて次の2つの解析(フェーズ1、フェーズ2)を行った。 フェーズ1は、1976年1月1日~2013年12月31日におけるミネソタ州オルムステッド郡のPD患者、および同患者1例当たりのマッチング対照3例を特定し、JMP統計ソフトウェアを用いたロジスティック回帰分析により、先行して悪性黒色腫を有するリスクをPD患者と対照とで比較した。 フェーズ2は、1976年1月1日~2014年12月31日におけるすべての悪性黒色腫患者と、同患者1例当たりのマッチング対照1例を特定し、Cox比例ハザードモデルにてインデックス日以降のPD発症リスクについて対照と比較するとともに、カプランマイヤー法によりPDの35年累積発症リスクを算出した。さらに、Cox比例ハザードモデルを用い、悪性黒色腫患者における転移性悪性黒色腫による死亡のリスクを、PDの有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・フェーズ1解析において、PD患者は対照と比較し、先行して悪性黒色腫を有するリスクが3.8倍高かった(95%信頼区間[CI]:2.1~6.8、p<0.001)。・フェーズ2解析において、悪性黒色腫患者は、PDの発症リスクが4.2倍高かった(95%CI:2.0~8.8、p<0.001)。・カプランマイヤー法によるPDの35年累積発症率は、悪性黒色腫患者11.8%、対照2.6%で、悪性黒色腫患者で高かった(p<0.001)。・転移性悪性黒色腫による死亡の相対リスクは、PDを有していない悪性黒色腫患者が、PDを有する悪性黒色腫患者と比較して10.5倍高かった(95%CI:1.5~72.2、p=0.02)。

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実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

 統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。 LAI抗精神病薬の開発以降に発表された臨床データをレビューし、統合失調症におけるLAI(とくにアリピプラゾールに焦点を当てた)と経口抗精神病薬の有効性の比較を調査した。エビデンスは、説明的な試験デザインと同様な、自然主義的/実用的な研究より抽出され、著者らの臨床経験により裏付けられた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬は経口剤よりも利点があり、第1選択薬としての使用や若年患者への使用において良好なエビデンスが存在する。・主な第III相試験によると、アリピプラゾール月1回400mg(AOM400)は、効果的かつ忍容性が良好で、服薬アドヒアランスが高く再発率は低いとされている。・日常的な臨床実践をより代表する「自然主義的」試験デザインである最近の無作為化試験では、AOM400は良好な忍容性を示し、全体および35歳以下の若年患者でパリペリドンLAIよりも有効性が有意に高かった。 著者らは、「伝統的な臨床試験における有効性の“全スペクトラム”に及ぶ結果と、より自然主義的で実在の臨床実践における有効性の概念を包含する結果は、統合失調症全般における有用な長期治療選択肢としてAOM400の使用を支持していた。AOM400は、服薬アドヒアランスが不良または経口抗精神病薬治療が不十分な場合だけでなく、治療コースの初期段階においても有用である」としている。■関連記事維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い

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肥満が双極性障害の病態生理に影響

 双極性障害(BD)患者の60%以上で肥満が報告されている。肥満は、疾患の重症度を悪化させ、認知や機能アウトカムに影響を及ぼす。白質(white matter:WM)の異常は、BDの神経イメージング研究において、最も一貫して報告された知見の1つである。イタリア・Scientific Institute Ospedale San RaffaeleのElena Mazza氏らは、BD患者においてBMIとWM統合性が相関すると仮定し、検討を行った。Bipolar disorders誌2017年3月号の報告。 BDうつ病患者164例のサンプルにおけるBMIを評価した。WM統合性の拡散テンソル画像(DTI)測定(FA、MD、AD、RDを含む)のために、閾値のないクラスター強化法を用いて全脳線維束に基づく空間統計を行った。 結果、BMIは、いくつかの線維束、前放射冠、前頭視床、下前頭後頭部束、脳梁において、WM統合性と関連していることがDTI測定で観察された。 著者らは「気分調整や神経認知機能に不可欠なWM経路におけるBMIの関連は、重要な皮質辺縁系ネットワークでの構造的な連結性への有害作用を介し、BMIがBDの病態生理に影響する可能性のあることが示唆された」としている。関連医療ニュース双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

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アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク

 ベンゾジアゼピンや同様の作用を有する非ベンゾジアゼピン(Z薬)が、高齢者の肺炎リスク増加と関連しているかはよくわかっていない。フィンランド・Kuopio Research Centre of Geriatric CareのHeidi Taipale氏らは、催眠鎮静薬の使用と肺炎を有するアルツハイマー病患者を対象に、この関連性を調査した。CMAJ(Canadian Medical Association Journal)誌2017年4月10日号の報告。 対象は、Medication use and Alzheimer disease(MEDALZ)コホートより、2005~11年にフィンランドでアルツハイマー病の診断を受けた地域住民。処方箋、償還、退院、死因に関する全国登録データを用いた。ベンゾジアゼピンおよびZ薬での治療患者は、1年間のウォッシュアウト期間を用いて同定され、傾向スコアによって非使用者とマッチさせた。肺炎による入院または死亡との関連は、Cox比例ハザードモデルで分析し、時間依存的に他の向精神薬の使用により調整した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病患者4万9,484例のうち、ベンゾジアゼピン使用患者5,232例、Z薬使用患者3,269例および、1対1でマッチしたこれらの薬の非使用患者を用い、分析を行った。・全体的には、ベンゾジアゼピンおよびZ薬の使用は、肺炎リスク増加と関連していた(調整HR:1.22、95%CI:1.05~1.42)。・個別に分析したところ、ベンゾジアゼピンの使用は、肺炎リスク増加と有意に関連していたが(調整HR:1.28、95%CI:1.07~1.54)、Z薬の使用では認められなかった(調整HR:1.10、95%CI:0.84~1.44)。・肺炎リスクは、ベンゾジアゼピン使用の最初の30日間で最大であった(調整HR:2.09、95%CI:1.26~3.48)。 著者らは「ベンゾジアゼピン使用は、アルツハイマー病患者における肺炎リスク増加と関連していた。アルツハイマー病患者に対しベンゾジアゼピンを使用する際には、ベネフィットと肺炎リスクを考慮する必要がある」としている。関連医療ニュース ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析 認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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増加するPM2.5とオゾンの疾病負荷への影響/Lancet

 世界の疾病負荷は、過去25年間で、とくに低~中所得国における人口の高齢化、非感染性疾患割合の変化、大気汚染の進行により、増加し続けている。今回、米国・健康影響研究所のAaron J Cohen氏らが行った最新の調査(Global Burden of Diseases,Injuries,and Risk Factors Study 2015[GBD 2015])では、PM2.5とオゾンによる環境大気汚染が世界的に進行しており、それに伴う疾病負荷の増大の実態が明らかとなった。Lancet誌オンライン版2017年4月10日号掲載の報告。PM2.5、オゾンと5つの死因の死亡リスクとの関連を解析 研究グループは、1990~2015年の世界、地域別・国別の環境大気汚染による死亡および疾病負荷の空間的、時間的な動向を調査した(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 衛星で測定した推定値と化学輸送モデル、地表レベルでの測定値、地理的データを統合し、世界の空気動力学的粒径<2.5μmの微小粒子状物質(PM2.5)と対流圏オゾンの人口加重平均濃度を推算した。 統合曝露反応関数(integrated exposure-response function:IER)を用いて、PM2.5濃度と5つの死因(虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、肺がん、下気道感染症)による死亡の相対リスクの関連を推計した。PM2.5が11.2%、オゾンは7.2%増加、COPD死の8%がオゾンに起因 IERによる解析では、5つの死因の相対リスクはいずれも、PM2.5濃度が高くなるに従って増加したが、低濃度のほうが高濃度に比べ変化が大きかった。虚血性心疾患と脳血管疾患は、年齢(25、50、80歳)が高いほど、高PM2.5濃度での相対リスクが低くなった。 世界全体のPM2.5の人口加重平均濃度は、1990年の39.7μg/m3から2015年には44.2μg/m3へと11.2%増加したが、2010~15年に急速に増加していた。人口の多い10ヵ国の解析では、日本はバングラデシュ、インド、パキスタン、中国に比べると、全般に低い値で安定的に推移していた。2015年に最もPM2.5濃度が高かったのはカタールで、次いでサウジアラビア、エジプトの順だった。 世界全体のオゾンの人口加重平均濃度は、1990年の56.8ppbから2015年には60.9ppbへと7.2%増加した。人口の多い10ヵ国では、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ブラジルが14~25%増加し、これに比べると日本の増加は小さく、米国とインドネシアは低下した。 環境中のPM2.5は、2015年の死亡リスク因子の第5位(1~4位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、総コレステロール)であり、障害調整生存年数(DALY)のリスク因子の第6位(1~5位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、BMI、幼年期の栄養不良)であった。PM2.5への曝露は、2015年に420万人(95%不確実性区間[UI]:370万~480万)の死亡および1億310万年(9,080万~1億1,510万)のDALYの原因であった。環境中のPM2.5による死亡は、1990年の350万人(95%UI:300万~400万)から2015年の420万人(370万~480万)へと増加していた。 環境中のオゾンは、GBD 2015で評価の対象となった79のリスク因子のうち、死亡リスク因子の第34位、DALYの第42位であった。オゾンへの曝露は、25万4,000人(95%UI:9万7,000~42万2,000)の死亡およびCOPDに起因する410万年(160万~680万)のDALYをもたらした。また、2015年の世界のCOPDによる死亡の8.0%(95%UI:3.0~13.3)に、オゾンへの曝露が寄与しており、中国、インド、米国の死亡率が高かった。1990~2015年に、オゾンによるCOPD死亡率は多くの国で増加した。オゾン濃度とオゾンによるCOPD死の増加の結果として、オゾンによる死亡およびDALYも増加した。 著者は、「PM2.5濃度が大幅に減少しない限り、多くの汚染国の疾病負荷はわずかしか軽減しないが、曝露量を抑制することで大きな健康ベネフィットが得られる可能性がある」と指摘している。

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世界の全死因、喫煙が占める割合は?/Lancet

 たばこ規制は、とくに「たばこの規制に関する枠組条約(FCTC)」の採択後に急速に拡大した。これは公衆衛生上の重要な成功談ではあるが、喫煙は現在も世界的に早期死亡や機能障害の主要なリスクであり続けており、それゆえ継続的な政治的取り組みが求められるという。Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)の研究グループは、今回、GBD 2015の一環として、喫煙関連目標の達成に向けた世界および地域別・国別の進歩の評価を通じて、頑健な基盤を提示するために、喫煙率と喫煙の疾病負荷に関する系統的な解析の結果を報告した。研究の成果はLancet誌オンライン版2017年4月5日号に掲載された。25年間の195地域の毎日喫煙率、寄与疾病負荷を解析 研究グループは、2,818件のデータソースを時空間ガウス過程回帰分析で統合し、195の国と地域の1990~2015年の性別、年齢別の毎日喫煙率を年ごとに推算し、寄与疾病負荷の評価を行った(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 喫煙と38の健康転帰の因果関係を解析し、障害調整生存年数(DALY)を用いて喫煙寄与死亡率と疾病負荷の推算値を算出した。次いで、喫煙の実際の年齢パターンをよりよく理解するために、出生年別の喫煙状況のコホート解析を行った。 また、人口の増加や高齢化、喫煙率、リスク除外DALY率(risk-deleted DALY rate、リスク因子としての喫煙を除外したDALY率)の変化に起因する全原因喫煙寄与DALYの変化を明確にするために、分解分析を実施した。最終的に、社会人口統計指標(SDI:1人当たりの所得、学歴、合計特殊出生率に基づくサマリー指標)を用いて国・地域の発展の程度別の解析を行った。日本の毎日喫煙率は男女とも世界全体より高い 2015年の世界の年齢標準化毎日喫煙率は、男性が25.0%(95%不確定性区間[UI]:24.2~25.7)、女性は5.4%(5.1~5.7)であり、1990年以降それぞれ28.4%(25.8~31.1)、34.4%(29.4~38.6)低下した。 2015年の日本の喫煙者数は、男性が1,530万人、女性は490万人で世界第7位、15~19歳の喫煙者数は16位であった。年齢標準化毎日喫煙率は世界全体よりも高く、男性が26.6%(95%UI:26.1~27.1)、女性は9.3%(8.9~9.6)であり、1990~2015年の年間変化率はそれぞれ-2.4%(-2.5~-2.3)、-0.7%(-0.9~-0.5)とわずかに低下していた。 年間喫煙率の統計学的に有意な減少を達成した国・地域の割合は、2005~15年よりも1990~2005年のほうが高かったが、2005~15年に年間喫煙率が統計学的に有意に増加したのは4つの国・地域のみであった(男性:コンゴ共和国ブラザヴィル市、アゼルバイジャン、女性:クウェート、東ティモール)。 2015年の全死亡のうち喫煙の寄与による死亡は11.5%(640万人、95%UI:570~700万)であり、4つの国(中国、インド、米国、ロシア)でその52.2%を占めた。喫煙がDALYのリスク因子の上位5番目までに含まれる国・地域の数は、1990年の88から2015年には109に増加した。 出生年別コホート解析では、男性の喫煙率はSDIに基づく国・地域の発展の程度にかかわらず類似の年齢パターンを示したのに対し、女性喫煙者の年齢パターンは発展の程度によってかなりの異質性が認められた。 2005~15年の間に、喫煙率とリスク除外DALY率は、性別、SDIの五分位数、人口増加、人口高齢化あるいはこれらの組み合わせにかかわらず低下したが、SDIが低~中の地域の喫煙率とリスク除外DALY率は、喫煙寄与DALYの上昇を促進していた。 著者は、「喫煙率低下の進展速度は、地域やその発展の状況、性別によって異なり、最近の傾向として、とくに女性や低~中SDI国では、過去の低下率の維持は当然のこととは言えない状況が浮き彫りとなっている」と指摘し、「たばこ産業や社会規範のほかに、たばこ規制の取り組みが直面する重大な課題は、喫煙開始の防止と禁煙の促進が大幅に加速されない限り、人口動態の影響力によって喫煙の犠牲者が増加する可能性があることである。また、たばこ規制の成功の可能性は高まっているが、有効かつ包括的で適切に実施され、強化された施策が必要であり、過去25年間の成果を超える世界的、全国的な政治的取り組みを要する可能性がある」と考察している。

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ACC2017開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポット

ケアネットでは、ACC2017に参加される先生方に、開催地ワシントンD.C.を楽しんでいただけるよう、米国メリーランド州に留学経験のある矢作和之氏(三井記念病院 循環器内科)にもご協力いただき、おすすめの観光名所やレストランなどの情報を集めましたのでご紹介します。ワシントンD.C.はアメリカ合衆国の首都であり、ホワイトハウスをはじめとし、多くの観光スポットがあります。また、世界中から多くの人が訪れるため、本格的な各国料理を楽しめるのも特徴です。ACC2017 注目の演題はこちら矢作氏おすすめ観光スポット5選矢作氏おすすめレストラン、その他会場周辺レストラン一覧ショッピング情報矢作氏おすすめ観光スポット5選ホワイトハウス(White House)米国大統領の官邸。表からみることもできますが、裏からみたほうがホワイトハウスを近くにみることができます。大統領がいるときは、星条旗が掲げられているそうです。[住所] 1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, D.C. 20500ワシントン記念塔(Washington Monument)初代大統領 ジョージ・ワシントンの偉業を称える記念塔。ワシントンD.C.の景色・夜景が一望できます。展望台に登るには、予約が必須。[住所] 2 15th St. NW, Washington, D.C. 200024リンカ―ン記念堂(Lincoln Memorial)/国会議事堂(U.S. Capitol) ナショナルモールの西側にあるのがリンカーン記念堂で、東側にあるのが国会議事堂です。その間は約4kmあり、広大な緑地帯になっています。休日には多くの人が散歩やランニングをしたり、また家族でのんびり過ごしたりしています。[住所] 2 Lincoln Memorial Circle, NW, Washington, D.C. 20002/East Capitol St NE & First St SE, Washington, D.C. 20004タイダルベイスン(Tidal Basin)ポトマック川沿いにある池。春は池の周囲に植えられた桜並木でとても綺麗なスポット。実はこの桜は日本から贈られたもの。この時期は桜をみることはできませんが、池では手漕ぎボートなどにも乗れ、学会の途中の気分転換に行くのもいいかもしれません。[住所] 1501 Maine Ave, SW, Washington, D.C. 20024スミソニアンエリア おすすめ博物館・美術館(Smithsonian Museum)ナショナルギャラリー(National Gallery of Art)石油や鉄鋼などで財を成したアンドリューメロン氏が13~19世紀の絵画や彫刻、美術品を買い求め、彼の死後、今までのコレクションを国に寄付することから始まった美術館。運営、維持費は国家予算から支出されているものの、美術品の購入に関して、国は一切お金を出していないそうです。コレクション総数は11万6,000点にも達します。[住所] 6th and Constitution Avenue NW, Washington, D.C. 20565国立自然史博物館(National Museum of Natural History)スミソニアンで最も古い博物館で100年の歴史があります。博物館のコレクションは約1億2,650万点で、世界最大の博物館といえます。入り口を入ってすぐの巨大なアフリカ像は迫力があり圧巻です。[住所] 10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, D.C. 20560国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)世界各国の航空機が展示されています。最大の魅力は、展示物に燃料を補給すればすぐにでも稼働できる状態で陳列されていることです。また、この博物館にはあの有名な日本が生み出したゼロ戦(三菱零式艦上戦闘機52型A6M5)が展示されています。[住所] Independence Ave at 6th St, SW, Washington, D.C. 20560レストラン情報<ステーキ、ハンバーガー>(せっかくアメリカに来たのだから本場のステーキを!)BLT STEAK今はやりのTボーンステーキを味わえる人気店。[住所] 1625 I St. NW(bet. 16th & 17th Sts.), Washington, D.C. 20006[TEL] 202-689-8999Shake Shackニューヨークで大人気のハンバーガーショップ。日本でも表参道に開店するなど、とても有名。日本では行列必至ですが、ワシントンD.C.ならあまり行列がなく食べられるかもしれません。Five Guys Burgers and Fries日本未上陸のハンバーガー屋さん。とてもアメリカらしいハンバーガー。がっつりいきたいときは、パテはダブルで。<シーフード>Captain White's Seafood City (Fish market)生牡蠣など、とても新鮮なシーフードを味わえるお店。[住所] 1100 Maine Ave. SW, Washington, D.C. 20024[TEL] 202-484-2722<和食>(やっぱり、アメリカでも和食が食べたくなりますよね)寿司太郎オバマ大統領も来店したことのある、とても有名なお寿司屋さん。おいしいお寿司が味わえます。[住所] 1503 17th Street, NW, Washington, D.C. 20036[TEL] 202-462-8999寿司キャピトルキャピトルヒルにあるお寿司屋さん。周辺はとても賑わっています。[住所] 325 Pennsylvania Ave SE, Washington, D.C. 20003[TEL] 202-627-0325寿司幸中心部から北部に20分程度の所にありますが、おいしい和食が味わえます。雰囲気もいいです。[住所] 5455 Wisconsin Avenue, Chevy Chase, MD 20815[TEL] 301-961-1644居酒屋関日本の居酒屋をそのままアメリカで味わえる数少ないお店の中の1つ。[住所] 1117 V St. NW, D.C.[TEL] 202-588-5841(予約は5~8名の団体のみ可)Sakedokoro Makotoメニューはコース料理でこだわりの和食屋さん。ドレスコードあり。中心部からはタクシーで。[住所] 4822 MacArthur Blvd NW, Washington, D.C. 20007[TEL] 202-298-6866<ラーメン>DAIKAYA日本のラーメンが味わえます。とても混んでいるので、時間に余裕を持って行くといいと思います。[住所] 705 6th St NW, Washington, D.C. 20001[TEL] 202-589-1600<その他、会場周辺のレストラン一覧(編集部より)>画像を拡大する1.Morton’s The Steakhouse(ステーキ)2.McCormick & Schmick’s(シーフード) 3.The Oceanaire(シーフード)4.Kaz Sushi Bistro(寿司)5.The Capital Grille(ステーキ)6.Palm(ステーキ、シーフード)7.La Taberna del Alabardero(スペイン料理)8.Meiwah(中華)9.Bourbon Steak(ステーキ)10.Farmers Fishers Bakers(アメリカン)ショッピング情報<スーパーマーケット>Whole foodsオーガニック食材や調味料が置いてあり、アメリカで人気のスーパーマーケット。サラダバーや総菜のコーナーもあり、テイクアウトもできます。トレーダージョーズクオリティの高い商品を扱っているスーパーマーケット。オリジナルアイテムが人気で、値段もリーズナブル。お土産にも使えるアイテムが豊富。<ショッピング街>ジョージタウンエリア若者が集まる町。町全体もレンガづくりでできており、とても素敵な雰囲気を持っています。今人気のあるブランドショップが集結。<アウトレット>Tanger outlet中心部からすぐに行けるアウトレット。最大70%offの商品などもあり、日本で人気があるブランドも入っています。[住所] 6800 Oxon Hill Road, National Harbor, MD 20745

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海外学会開催地オススメ情報「ワシントンD.C.」

ケアネットでは、学会に参加しながらワシントンD.C.を十分にお楽しみいただくため、会員の方々から現地の名所、おすすめのレストラン情報などを募集しましたので、ここでご紹介します。※掲載されている情報は2017年3月時点のものです。名所ホワイトハウス(White House)米国大統領の官邸。表からみることもできますが、裏からみたほうがホワイトハウスを近くにみることができます。大統領がいるときは、星条旗が掲げられているそうです。[住所] 1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, D.C. 20500ワシントン記念塔(Washington Monument)初代大統領 ジョージ・ワシントンの偉業を称える記念塔。ワシントンD.C.の景色・夜景が一望できます。展望台に登るには、予約が必須。[住所] 2 15th St. NW, Washington, D.C. 200024リンカ―ン記念堂(Lincoln Memorial)/国会議事堂(U.S. Capitol) ナショナルモールの西側にあるのがリンカーン記念堂で、東側にあるのが国会議事堂です。その間は約4kmあり、広大な緑地帯になっています。休日には多くの人が散歩やランニングをしたり、また家族でのんびり過ごしたりしています。[住所] 2 Lincoln Memorial Circle, NW, Washington, D.C. 20002/East Capitol St NE & First St SE, Washington, D.C. 20004タイダルベイスン(Tidal Basin)ポトマック川沿いにある池。春は池の周囲に植えられた桜並木でとても綺麗なスポット。実はこの桜は日本から贈られたもの。この時期は桜をみることはできませんが、池では手漕ぎボートなどにも乗れ、学会の途中の気分転換に行くのもいいかもしれません。[住所] 1501 Maine Ave, SW, Washington, D.C. 20024スミソニアンエリア おすすめ博物館・美術館(Smithsonian Museum)ナショナルギャラリー(National Gallery of Art)石油や鉄鋼などで財を成したアンドリューメロン氏が13~19世紀の絵画や彫刻、美術品を買い求め、彼の死後、今までのコレクションを国に寄付することから始まった美術館。運営、維持費は国家予算から支出されているものの、美術品の購入に関して、国は一切お金を出していないそうです。コレクション総数は11万6,000点にも達します。[住所] 6th and Constitution Avenue NW, Washington, D.C. 20565国立自然史博物館(National Museum of Natural History)スミソニアンで最も古い博物館で100年の歴史があります。博物館のコレクションは約1億2,650万点で、世界最大の博物館といえます。入り口を入ってすぐの巨大なアフリカ像は迫力があり圧巻です。[住所] 10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, D.C. 20560国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)世界各国の航空機が展示されています。最大の魅力は、展示物に燃料を補給すればすぐにでも稼働できる状態で陳列されていることです。また、この博物館にはあの有名な日本が生み出したゼロ戦(三菱零式艦上戦闘機52型A6M5)が展示されています。[住所] Independence Ave at 6th St, SW, Washington, D.C. 20560レストラン<ステーキ、ハンバーガー>(せっかくアメリカに来たのだから本場のステーキを!)BLT STEAK今はやりのTボーンステーキを味わえる人気店。[住所] 1625 I St. NW(bet. 16th & 17th Sts.), Washington, D.C. 20006[TEL] 202-689-8999Shake Shackニューヨークで大人気のハンバーガーショップ。日本でも表参道に開店するなど、とても有名。日本では行列必至ですが、ワシントンD.C.ならあまり行列がなく食べられるかもしれません。Five Guys Burgers and Fries日本未上陸のハンバーガー屋さん。とてもアメリカらしいハンバーガー。がっつりいきたいときは、パテはダブルで。<シーフード>Captain White's Seafood City (Fish market)生牡蠣など、とても新鮮なシーフードを味わえるお店。[住所] 1100 Maine Ave. SW, Washington, D.C. 20024[TEL] 202-484-2722<和食>(やっぱり、アメリカでも和食が食べたくなりますよね)寿司太郎オバマ大統領も来店したことのある、とても有名なお寿司屋さん。おいしいお寿司が味わえます。[住所] 1503 17th Street, NW, Washington, D.C. 20036[TEL] 202-462-8999寿司キャピトルキャピトルヒルにあるお寿司屋さん。周辺はとても賑わっています。[住所] 325 Pennsylvania Ave SE, Washington, D.C. 20003[TEL] 202-627-0325寿司幸中心部から北部に20分程度の所にありますが、おいしい和食が味わえます。雰囲気もいいです。[住所] 5455 Wisconsin Avenue, Chevy Chase, MD 20815[TEL] 301-961-1644居酒屋関日本の居酒屋をそのままアメリカで味わえる数少ないお店の中の1つ。[住所] 1117 V St. NW, D.C.[TEL] 202-588-5841(予約は5~8名の団体のみ可)Sakedokoro Makotoメニューはコース料理でこだわりの和食屋さん。ドレスコードあり。中心部からはタクシーで。[住所] 4822 MacArthur Blvd NW, Washington, D.C. 20007[TEL] 202-298-6866<ラーメン>DAIKAYA日本のラーメンが味わえます。とても混んでいるので、時間に余裕を持って行くといいと思います。[住所] 705 6th St NW, Washington, D.C. 20001[TEL] 202-589-1600<その他、会場周辺のレストラン一覧(編集部より)>画像を拡大する1.Morton’s The Steakhouse(ステーキ)2.McCormick & Schmick’s(シーフード) 3.The Oceanaire(シーフード)4.Kaz Sushi Bistro(寿司)5.The Capital Grille(ステーキ)6.Palm(ステーキ、シーフード)7.La Taberna del Alabardero(スペイン料理)8.Meiwah(中華)9.Bourbon Steak(ステーキ)10.Farmers Fishers Bakers(アメリカン)ショッピング<スーパーマーケット>Whole foodsオーガニック食材や調味料が置いてあり、アメリカで人気のスーパーマーケット。サラダバーや総菜のコーナーもあり、テイクアウトもできます。トレーダージョーズクオリティの高い商品を扱っているスーパーマーケット。オリジナルアイテムが人気で、値段もリーズナブル。お土産にも使えるアイテムが豊富。<ショッピング街>ジョージタウンエリア若者が集まる町。町全体もレンガづくりでできており、とても素敵な雰囲気を持っています。今人気のあるブランドショップが集結。<アウトレット>Tanger outlet中心部からすぐに行けるアウトレット。最大70%offの商品などもあり、日本で人気があるブランドも入っています。[住所] 6800 Oxon Hill Road, National Harbor, MD 20745

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Dr.林の笑劇的救急問答12

第1回 創傷処置1 まずは洗おう!そうしよう! 第2回 創傷処置2 痛くない注射 第3回 高血糖救急1 腹痛なら胃腸炎?それダメ!第4回 高血糖救急2 インスリン一発!それダメ! シーズン12下巻のテーマは 「創傷処置」と「高血糖救急」。創傷処置:外傷の患者に行う創処置は、できるだけ“痛くなく”するのは当然!とDr.林。閉鎖療法や縫合の基本、動物咬傷、痛くない局所麻酔注射、釣り針の抜き方、など実演映像を交えて、“痛くない”処置のコツを伝授! 高血糖救急:腹痛の患者に安易に“胃腸炎”というゴミ箱診断していませんか?DKAの患者にインスリンを一発!していませんか?誰もがついやってしまいがちな診療にDr.林が待ったをかけます!高血糖救急でのピットフォールを中心に徹底レクチャー!第1回 創傷処置1 まずは洗おう!そうしよう!創処置の基本は創洗浄!創洗浄の水は滅菌水である必要はないんです!むしろ水道水のほうが感染率が低いというデータも。そう、大切なのは洗い方なのです。また、閉鎖療法や縫合の基本、そして動物咬傷などの感染が懸念される傷についても、エビデンスを提示しながら、正しい創傷処置について解説します。第2回 創傷処置2 痛くない注射 救急や外来に訪れる外傷の患者に行う創処置は、できるだけ“痛くなく”するのは当然!とDr.林。今回は、痛くない局所麻酔注射、皮下ブロック、釣り針の抜き方、停留針、指輪の外し方などを、実演画像を交えて、コツを伝授!患者さんのためにしっかりとマスターしてください!第3回 高血糖救急1 腹痛なら胃腸炎?それダメ!腹痛を主訴に来た患者さんに“胃腸炎”というゴミ箱診断をしていませんか?ウイルス性の胃腸炎は嘔気・嘔吐・下痢の三拍子そろって初めて診断できるものです。解剖学的に説明のつかない腹痛というものはたくさんあります。糖尿病性ケトアシドーシスでの腹痛もその一つ。腹痛を主訴に受診した患者さんの場合には、必ず鑑別疾患にあげましょう!だれもが陥りやすいピットフォールを爆笑症例ドラマとDr.林の講義で確認しましょう!そうすれば決して忘れることはないでしょう。第4回 高血糖救急2 インスリン一発!それダメ!DKAの患者さんが救急搬送!さあ、あなたならどうしますか?インスリンを一発!いやいや、それは絶対ダメです!まずは慌てずゆっくり脱水の補正を行いましょう。脱水の補正の仕方によっては、脳浮腫などの合併症を起こすことも考えられます。どのように補正していくか、まだ教科書にも載っていない最新の話題“Dallas protocol”も取り入れながら、解説します。DKAの患者にやること、そして絶対にやってはいけないことを明確にわかりやすく、Dr.林ならではの講義でお届けします。

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金子英弘のSHD intervention State of the Art 第8回

Evolut-R vs.SAPIEN 3 最強デバイス対決!2017年、初めての更新になります。皆さま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。今回取り上げるのは現在、TAVIの標準デバイスとなっているSAPIEN 3(エドワーズライフサイエンス社)と、CoreValveの次世代デバイスであるEvolut-R(メドトロニック社)の治療成績を比較した試験に関する論文です1)。画像を拡大する以前の連載でも取り上げたようにSAPIEN 3はエドワーズライフサイエンス社のバルーン拡張型TAVIデバイスであるSAPIENシリーズの第3世代デバイスです。第1世代のSAPIEN、第2世代のSAPIEN XTに続いて登場したSAPIEN 3はデバイスが14Frと小径化され、デバイス周囲にスカートを搭載したことで術後の弁周囲逆流(paravalvular leak)を減らすことにも成功しました。PARTNER 2試験以降に発表された数々の研究成果2-4)が示す圧倒的なパフォーマンスによって、SAPIEN 3はTAVIにおけるリーディングデバイスとしての地位を確立するのみならず、TAVIそのものの臨床における位置付けを変えつつあります。一方でメドトロニック社も従来の自己拡張型TAVIデバイスであるCoreValveの次世代デバイスとしてEvolut-Rを開発しました5)。Evolut-Rは2014年にヨーロッパでCEマークを取得し、2016年末からは日本でも使用されるようになりました。SAPIEN 3と同様にEvolut-Rもデバイスの小径化(14Fr)に成功し、完全なrecapture/repositionが可能になったことによって、より正確なデバイスの位置決めを行うことができるようになりました。本研究はイスラエルのTel-Aviv Medical Centerで2014年12月から2016年4月までに行われた経大腿動脈アプローチのTAVI232例(SAPIEN 3:124例、Evolut-R:108例)について検討を行っています。患者背景としては平均年齢82歳、平均EuroSCORE2、STSはそれぞれ5.3%、4.1%でSAPIEN 3群とEvolut-R群でこれらの患者背景は同等でした。Evolut-Rは現行のデバイス(23mm、26mm、29mm)でカバーできる弁輪径がSAPIEN 3よりも小さいため、MDCTMDCTで計測した弁輪面積、弁輪径はSAPIEN 3群のほうが大きくなっています。治療成績ですが、院内死亡(1例)、弁輪破裂(0例)、冠動脈閉塞(0例)、心タンポナーデ(3例)などの重篤な合併症の発生は少なく両群間で有意差は認められませんでした。弁周囲逆流の発生も両群間で同等でSAPIEN 3群で89%、Evolut-R群では93%が軽度以下の弁周囲逆流にとどまっていました。ペースメーカー植込みについてはSAPIEN 3群で24%、Evolut-R群では25%でこちらも有意差を認めていません。術後の長期フォローではSAPIEN 3治療群で1例(0.8%)、Evolut-R群で7例(6.4%)と有意にEvolut-R群で総死亡が多いという結果になりましたが、Evolut-R群の死亡例のうち明らかな心血管死亡は1例のみ(完全房室ブロック後のペースメーカー不全)であり、心血管死亡の発生については両群で有意差を認めませんでした。本論文の「SAPIEN 3とEvolut-Rで治療成績が同等である」という結論については臨床でのわれわれの経験とも一致するものです。一方、本論文で報告された約25%というペースメーカー植込み率は若干高すぎるのではと感じます。TAVI後のペースメーカー植込みの適応は施設によって異なるため詳細は定かではありませんが、当院におけるTAVI後のペースメーカー植込み率はSAPIEN 3およびEvolut-Rともにおおむね15%程度であり、この点は今後さらなる検討が必要と考えられます。いずれにしても今回の論文によってEvolut-Rが十分にSAPIEN 3に匹敵するパフォーマンスを持つデバイスである可能性が示されました。また、上記のようにEvolut-Rについてはデバイスがカバーできる弁輪の大きさの上限がSAPIEN 3より低いことがLimitationでしたが、2017年1月に新たに34mmのデバイスがCEマークを取得したことで、今後さらなる適応拡大が見込まれます。以前の連載でも書いたように現在、TAVIの標準デバイスはSAPIEN 3であり、今後登場するデバイスには少なくともSAPIEN 3と同等のパフォーマンスが求められます。その点でEvolut-Rは今回の研究によって王者・SAPIEN 3への挑戦者として名乗りを上げたと言えると思います。もちろんSAPIEN 3はバルーン拡張型、Evolut-Rは自己拡張型のデバイスである点などそれぞれの特徴があり、症例ごとに最適なデバイス選択が求められます。そして、このようなエビデンスが積み上げられることで将来的にはより安全で確実なTAVIが確立されていくことを期待しています。1)Ben-Shoshan J, et al. Am J Cardiol. 2016 Oct 7. [Epub ahead of print]2)Thourani VH, et al. Lancet. 2016;387:2218-2225.3)Kodali S, et al. Eur Heart J. 2016;37:2252-2262.4)Herrmann HC, et al. Circulation. 2016;134:130-140.5)Manoharan G, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2015;8:1359-1367.

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減塩政策、世界中で高い費用対効果/BMJ

 政府が基準を設けて推奨する減塩加工食品生産と、国民への減塩喚起キャンペーンを組み合わせた自主的取り組みを促す減塩政策(soft regulation policy)は、世界中で高度な費用対効果をもたらしていることが示された。米国・スタンフォード大学のMichael Webb氏らが、183ヵ国の政策と費用対効果を定量化し明らかにした。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。183ヵ国のsoft regulation policyの取り組みを評価 世界各国のsoft regulation policyは、成功したとされる近年の英国のプログラムをモデルとしている。各国の取り組みの減塩目標にはばらつきがあり、評価に当たっては、10年間に達成されたナトリウム摂取量減少10%、30%、0.5g/日、1.5g/日などさまざまなシナリオを包含して分析した。 183ヵ国のナトリウム摂取量、血圧値、血圧へのナトリウムの影響、心血管疾患への血圧の影響、2010年の心血管疾患率を、それぞれ年齢および性別で特徴付けた。国別のsodium reduction policyの費用は、World Health Organization Noncommunicable Disease Costing Toolで推算し、国別の死亡・障害調整生存年数(DALY)を比較リスク評価法でモデル化した。今回、研究グループは、プログラム費用のみを評価し、イベント予防による医療費削減は評価に組み込まなかった。 主要評価項目は、費用対効果比で、10年間のDALY当たりの費用を国際的な通貨ドルで換算して評価した。99.6%の国が高度な費用対効果を享受 世界中で、10年間でナトリウム摂取量の10%減少が、心血管疾患関連の約580万DALYs/年を回避すると見積もられた。 10年間の介入の1人当たりの人口加重平均で求めた費用は1.13ドルであり、人口加重平均で求めた費用対効果比は、約204ドル/DALYであった。 世界の9地域のうち、減塩の費用対効果が最も優れていたのは南アジア地域で推算116ドル/DALYであった。人口の多い上位30ヵ国では、ウズベキスタン(26.08ドル/DALY)とミャンマー(33.30ドル/DALY)が優れていた。 費用対効果が低かったのは、オーストラリア/ニュージーランドで880ドル/DALY、0.02×GDP/人であった。しかし、費用対効果の介入の標準閾値(<3.0×GDP/人)よりはかなり良好で、高度な費用対効果(<1.0×GDP/人)であった。 今回評価を行った各国生存成人の大半(96.0%)が、また、99.6%の国が、<1.0×GDP/人の費用対効果比を有していた。

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重症下肢虚血に対する足首以下への血行再建の効果は?

 重症下肢虚血(CLI)は予後は悪く、保存的療法後1年の大切断は73~95%という報告がある。CLIの救肢において、バイパス手術および血管内治療(EVT)による動脈血行再建は重要である。バイパス手術は、救肢率、創傷治癒率共に高いものの、その侵襲性から適応となる患者は多くない。そのような中、侵襲性の低さとバイパス手術に匹敵する救肢率からEVTが注目され始めている。一方、CLIでは足首以下の病変の合併が多く、この足首以下の病変の存在は、創傷治癒率を低下させ、創傷治癒遅延(DH)をもたらすことが明らかになっている。EVTによる足首以下の病変への補助的な血行再建(PAA)は、創傷治癒を改善させる可能性があり、有効性を示す単施設の研究も報告されている。しかしながら、EVTの創傷治癒率は高いとはいえない。そこで、多施設によるPAAの効果を評価するため、RENDEZVOUS(Retrospective Analysis for the Clinical Impact of Pedal Artery Revascularization Strategy for Patients With Critical Limb Ischemia) レジストリ研究が宮崎市郡医師会病院 仲間達也氏らにより行われ、JACC Cardiovascular Interventions誌で報告された。 RENDEZVOUSレジストリでは、国内の経験豊富な循環器センター5施設でEVTを施行した、膝下動脈と足首以下に病変を有する新規CLI患者257例(257肢)が、PAA施行群140例と非施行群117例の2群に分類され、後ろ向きに評価された。主要評価項目は、1年後の創傷治癒率と創傷治癒までの時間。副次的有効性評価項目は、救肢率、大切断回避生存率、再血行再建回避率。副次的安全性評価項目は、PAA成功率、手技関連合併症であった。また、創傷治癒遅延の独立危険因子を多変量解析で求め、危険因子の数から創傷治癒遅延スコア(DHスコア)を規定。DHスコア(危険因子数)0を低リスク、DHスコア1~2を中等度リスク、DHスコア3を高リスクに層別化し、各リスク群でのPAAによる1年後の創傷治癒率を評価した。PAA追加の基本的な適応は、1)標的血管血行再建後の血流が確認されない、2)足動脈のランオフ不良によるimpaired flow現象、3)広範囲な創傷、救肢と創傷治癒のために大量の血液供給が必要になる感染、とした。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は73.2歳、男性が68.1%、51.4%が自立歩行不能、62.3%が透析患者、77.8%の患肢がRutherford分類5であった。・全体の救肢率は88.5%、大切断回避生存率は73.5%、創傷治癒率は49.5%であった。・主要評価項目である創傷治癒率は、PAA群57.5%、非PAA群37.3%とPAA群で有意に高かった(p=0.003)。・同じく主要評価項目の創傷治癒までの時間は、PAA群211日、非PAA群365日とPAA群で有意に短かった(p=0.008)。・副次的安全性評価項目であるPAA手技の成功率は88.6%、手技関連合併症は17例(6.6%)。PAA群と非PAA群で差はみられなかった。・副次的有効性評価項目はいずれも両群間で差はみられなかった。・DHの危険因子は、歩行不能、創傷の深さ(UTグレード2以下)、透析であった。・低リスク群の創傷治癒率は、PAA群93.3%、非PAA群69.2%とPAA群で高かったが、統計学的有意には至らなかった(p=0.184)。・中等度リスク群の創傷治癒率は、PAA群59.3%、非PAA群33.9%とPAA群で有意に高かった(p=0.001)。・高リスク群の創傷治癒率は、PAA群29.4%、非PAA群35.7%と、PAAによる創傷治癒への影響はみられなかった(p=0.477)。 PAAによる介入は、救肢率や大切断回避生存率、再血行再建回避率には影響を及ぼさなかったものの、創傷治癒に関連するアウトカムには重要な影響を及ぼした。また、PAAの介入は、創傷治癒遅延中等度リスク群でとくに有効であった。当研究は後ろ向き非無作為化研究であったが、今後はさらに前向きの無作為化研究の実施が望まれる。(ケアネット 細田 雅之)原著および論説はこちらNakama T, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:79-90.Mustapha JA,et al. JACC Cardiovasc Interv. 2017;10:91-93.関連コンテンツ【CVフロントライン】CLIの創傷治癒を改善した足首以下の血行再建「RENDEZVOUSレジストリ」

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四半世紀で成人の収縮期血圧が上昇、心血管死も増加/JAMA

 2015年において、収縮期血圧(SBP)値が110~115mmHg以上の成人は世界で約35億人、140mmHg以上の成人は8億7,400万人に上ることを、米国・ワシントン大学のMohammad H.Forouzanfar氏らが、世界154ヵ国からの844試験を基に分析を行い明らかにした。SBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、1990~2015年にかけて、10万人当たり約7万3,000人から約8万1,000人へと大幅に増加し、SBP高値に起因する虚血性心疾患や出血性脳卒中などの死亡率も増大したという。JAMA誌2017年1月10日号掲載の報告より。SBP増加とその関連死などを検証 研究グループは、1980~2015年に発表された154ヵ国からの844試験(被験者総数869万人)を基に、時空間ガウス過程回帰法にて、1990~2015年の世界195ヵ国におけるSBP値の推定分布や、SBP値と死亡・障害の関連などについて検証した。 主要アウトカムは平均SBP値、疾患別死亡、SBP値(110~115mmHg以上、140mmHg以上)に関連した健康負担で、年齢、性別、国、調査年別に調べた。 主要分析には、SBP高値と関連することが明らかな死亡原因(虚血性心疾患、虚血性、出血性脳卒中など)が含まれた。SBP上昇による死因の筆頭は虚血性心疾患、次いで出血性脳卒中 その結果、1990~2015年にかけてSBP値が110~115mmHg以上の人の割合は、10万人中7万3,119人(95%不確定区間[UI]:6万7,949~7万8,241)から8万1,373人(7万6,814~8万5,770)に増加した。また、140mmHg以上の人の割合は、10万人中1万7,307人(1万7,117~1万7,492)から2万526人(2万283~2万746)に増加した。 SBP値110~115mmHg以上における年間死亡率は、10万人中135.6人(95%UI:122.4~148.1)から145.2人(130.3~159.9)に増加し、140mmHg以上は同97.9人(87.5~108.1)から106.3人(94.6~118.1)に増加した。 SBP値が110~115mmHg以上により減少した障害調整生存年数(DALY)は、1990年の1億4,800万年(95%UI:1億3,400万~1億6,200万)から2015年の2億1,100万年(1億9,300万~2億3,100万)に、140mmHg以上では520万年(460万~570万)から780万年(700万~870万)に増加した。 SBP関連死亡で最も多かったのは、虚血性心疾患(490万人)で人口寄与割合は54.5%を占め、続いて出血性脳卒中(200万人)で58.3%、次いで虚血性脳卒中(150万人)で50.0%だった。 2015年のSBP値110~115mmHg以上と関連したDALYの50%超を、中国、インド、ロシア、インドネシア、米国で占めると推定された。 これらの結果を踏まえて著者は、「今回のサンプルベースの結果は、2015年において、約35億人の成人がSBP値110~115mmHg以上であり、8億7,400万人の成人が同140mmHg以上であると推定されることが示された」とまとめている。

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食生活の改善は医薬品開発よりも効率的に健康寿命を延ばせることがわかった(解説:折笠 秀樹 氏)-635

 政府による塩分摂取削減政策の費用対効果は非常に高いことが示された。どういった政策かというと、食品関連企業と塩分削減の約束をすること、その実行状況を政府がモニタリング(監視)すること、そして国民への健康教育をするといった政策である。こうした政策を10年間持続することによって、10%の塩分摂取削減を目標とする。 塩分摂取削減政策により、障害調整生存年数(DALY=Disability adjusted life year)を1年延ばすのに、調査した183ヵ国の平均で204USドル(約2万3,000円)必要との結果であった。障害調整生存年数とは障害がない状態での寿命のことなので、平易にいうと、健康寿命を1年延ばすのに塩分摂取削減政策は2万3,000円要したことになる。医薬品での目安としては、その国のGDPの1~3倍の範囲が妥当とされている(WHOの基準)。日本では国民1人あたりのGDPはおよそ385万円である。塩分摂取削減政策にかかる2万3,000円というのは、GDPの1%にも満たない低水準である。医薬品などと比較すると非常に安いことがわかる。2万3,000円で1年長く生きられるなら、国民もこの塩分摂取削減政策へ賛同することだろう。 塩分摂取削減政策に要する費用が国民1人あたりのGDPの1%未満になっている国には、日本のほかにも、米国、韓国、ロシア、タイなどが含まれていた。逆に、それが5%以上になっている国には、エチオピア、バングラデシュ、ナイジェリアが含まれていた。これらの国では、もともと塩分摂取量が少ないためと思われる。 食生活の改善、運動習慣の改善、喫煙など嗜好習慣の改善、こういったことの政策キャンペーンをすることは、高価な医薬品開発をするよりも非常に効率的であることが示された。もっともっと健康施策を講じるべきかと痛感させられた。参考平成26年度国民経済計算確報(フロー編)一人当たり名目GDP、名目GNI、国民所得

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