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重度冠動脈疾患の標準治療はCABG:SYNTAX試験

重度の冠動脈疾患に対しては冠動脈バイパス術(CABG)が標準治療とされてきたが、近年は急速に、薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈形成術(PCI)の施行が増えている。果たしてPCIが標準治療と成り得るのか。冠動脈3枝病変または左冠動脈主幹部病変(またはその両方)を有する患者を対象に、PCIとCABGを比較したSYNTAX試験の結果報告が、NEJM誌2009年3月5日号(オンライン版2009年2月18日号)にて発表された。患者1,800例を無作為割り付けし、比較試験対象患者は1,800例。全員これまでにCABGまたはPCIを受けたことがなく、また心臓外科医とインターベンション専門医によって、どちらの術式でも同程度の血行再建が得られると判断されていた。無作為化割り付けの比率は1対1。主要エンドポイントは、無作為化後12ヵ月間の、心臓または脳血管の重大な有害イベント(全死因死亡、脳卒中、心筋梗塞あるいは再度の血行再建)とし、2群間の非劣性試験が実施された。なお解剖学的特徴または臨床状態から、2つの治療選択肢のうち1つだけが有益と判断された患者はランダム化から除外され、CABGまたはPCIのいずれかで登録された。手術前特性は2群間で同程度だった。1年後の複合エンドポイントが、CABGのほうがより低い12ヵ月後の重大な心臓または脳血管イベント発生率は、PCI群のほうが有意に高かった(CABG群12.4%、PCI群17.8%、P=0.002)。主なイベントは再度の血行再建(同5.9%対13.5%、P

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急性冠症候群発症後、クロピドグレルにPPI併用は有害事象を有意に増加

 急性冠症候群(ACS)患者でクロピドグレル(商品名:プラビックス)を服用している患者について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用した人は、クロピドグレルのみを服用している人に比べ、死亡とACSによる再入院がおよそ1.25倍に増えることがわかった。米国Denver VA Medical CenterのP. Michael Ho氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年3月4日号で発表されている。退院後の複合リスクは1.27倍に 同氏らは、2003~2006年に急性冠症候群で、入院中および退院後にクロピドグレルを服用していた8,205人について、後ろ向きに調査を行った。退院時または退院後にPPIを服用していたのは、63.9%(5,244人)、服用していなかったのは36.1%(2,961人)だった。 追跡期間中の死亡またはACSによる再入院の発生率は、PPI併用群で29.8%(1,561人)に対し、対照群では20.8%(615人)。多変量解析後、死亡またはACSによる再入院に関するPPI併用群の対照群に対する補正後オッズ比は、1.25(95%信頼区間:1.11~1.41)だった。 また退院後のPPI患者について詳しく見てみると、PPIを併用していた期間の発生率が、クロピドグレル単独だった期間の発生率に比べ有意に高く、補正後ハザード比は1.27(95%信頼区間:1.10~1.46)だった。血管再生術実施率は1.49倍に、総死亡率には有意差なし PPI併用群ではまた、対照群に比べ、ACS再発による入院率(補正後オッズ比:1.86、95%信頼区間:1.57~2.20)や血管再生術実施率(同:1.49、同:1.30~1.71)が有意に高率だった。一方、原因を問わない死亡率は、両群で有意差はなかった(0.91、0.80~1.05)。 また、退院後にクロピドグレルを服用していなかった人の死亡・ACSによる再入院率と、PPIを服用していた人の同発生率に有意差はなかった(補正後オッズ比:0.98、95%信頼区間:0.85~1.13)。 同研究グループは、PPIがクロピドグレルの効果を減弱する可能性があるとしている。

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【医師限定記事】9割の医師が健康に危険を感じている!

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で開催中の意識調査「過重労働に身の危機を感じる?」の途中経過を見ると、9割の医師が健康面での危機を感じていると回答している。3/13時点で「危機を大いに感じる」45%、「危機を少し感じる」44%となっており、最近指摘される医師の過重労働が医師の身体的・心身的な疲労を招いているようだ。意識調査は4/5まで開催中です。先生のご意見もお聞かせください。 ●調査はこちらからhttp://www.carenet.com/click/voice/answer.php?eid=12

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【医師限定記事】賛否分かれる臨床研修制度の見直し

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で開催中の意識調査「都道府県毎に募集枠に上限!臨床研修制度の見直しは医療崩壊を救えるか?」の途中経過によると、臨床研修制度の見直しの是非に関して、医師の意見が分かれている。3/13時点で「賛成」14%、「一部賛成」37%に対して、「反対」は41%だった。コメントにおいても、臨床研修と医師不足を混同するな、臨床研修の成果はまだ出ていないなどの反対意見がある一方で、医局制の復権を望む声や今の臨床研修制度が医師不足を招いたとの意見が聞かれた。調査は4/5まで開催中です。先生のご意見もお聞かせください。 ●調査はこちらからhttp://www.carenet.com/click/voice/answer.php?eid=8

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日本のADHD治療に手詰まり感 保護者と医師、国内外で認識のギャップあり

日本イーライリリーは11日、同社が世界精神保健連盟(WFMH)と協力し実施した『ADHD 360国際調査』の結果を発表した。この調査は、ADHDをもつ子ども達がより良い生活を送るための課題、またADHD児を支援する保護者と医療現場の連携はうまく取れているのか、といった問題を探ることを目的に、保護者・医師の立場の違いによる考え方の比較、および国際比較するために、日本を含む世界9ヵ国で実施された。回答者は、7~18歳のADHDの子をもつ保護者719名と、ADHD児の診療経験2~30年の医師663名。その結果、日本の保護者と医師、また、日本の保護者と国外の保護者で認識にギャップがあることがわかってきた。日本の保護者は、学校生活に限らず「日常生活」など生活全般について心配であり、「基本的な日常生活が難しい(62%)」が最も多く、「自尊心を育てられない(49%)」、「自分自身をコントロールできない(45%)」と続いた。一方、医師は「学校で適切な行動をとれない(56%)」が最も多く、次いで「友達関係を築いたり維持できない(51%)」と、学校生活や友達関係といった保護者の目を離れた場面について特に心配している傾向があった。国内外の保護者で差が出た項目は、「特別な学校教育プログラム」「在宅医療制度」「行動療法やセラピー」「認知行動療法や会話療法」などで、いずれも日本の保護者の回答が少ないという結果が出た。日本では治療や支援手段のバリエーションが少ないことから、治療関連の回答に差が出ており、治療・支援に手詰まり感を抱いていることが示唆された。調査結果の詳細はこちらhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2009_05.cfm

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妊娠前・妊娠中の糖尿病は周産期や産後のうつ病リスクを増大

妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人は、周産期や産後にうつ病を発症するリスクが、そうでない人に比べて2倍近くに増大するようだ。これは、米国Harvard Medical SchoolのKaty Backes Kozhimannil氏らが、米国の低所得層の母親を対象にした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年2月25日号で発表した。妊娠前・妊娠中に糖尿病だった人のうつ病を発症するオッズ比は1.85Kozhimannil氏らは、ニュージャージー州の低所得者向け公的医療保険メディケイド加入者で、2004~2006年に出産した1万1,024人について、後ろ向き調査を行った。妊娠前や妊娠中に糖尿病ではなかった人で、周産期や産後にうつ病を発症したのは、8.5%(886人)だった。一方、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人のうち、周産期や産後にうつ病を発症していたのは、15.2%(100人)と、大幅に高かった。年齢や人種、出産時の在胎齢などを補正後、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人が周産期や産後にうつ病を発症するオッズ比は、そうでない人に比べ、1.85倍(95%信頼区間:1.45~2.36)だった。周産期うつ病がなくても、糖尿病で産後うつ病リスクが約1.7倍にまた、周産期にうつ病のなかった人について、産後にうつ病の診断を受けたり、抗うつ薬を服用した人の割合は、妊娠前や妊娠中に糖尿病があったグループでは9.6%(62人)と、同時期に糖尿病のなかったグループ(5.9%、604人)に比べ、有意に高かった(オッズ比:1.69、95%信頼区間:1.27~2.23)。同研究グループは、妊娠前や妊娠中の糖尿病は、試験対象の低所得者層の母親にとって、周産期や産後うつ病の独立したリスク因子のようだ、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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中高年のうつ

55歳以上の中高年でのうつ病の重大性が認識されているにもかかわらず、また予後に関する試験結果も示されているが、プライマリ・ケアにおける予後を想定した診断モデルがないことを受け、オランダVU University Medical Centreの一般診療・ヘルスケアリサーチ部門のE Licht-Strunk氏らは、3年間追跡調査を行い、そのモデル化(うつ病相期間、回復の可能性、予後予測因子)に取り組んだ。BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月2日号)より。55歳以上のうつ患者234人を3年間追跡追跡調査の対象は、オランダ、西フリースランドの32ヵ所の診療所に通院する、一般的な抑うつ障害を有する55歳以上の患者234人。ベースライン時および6ヵ月ごとに、精神疾患診断統計マニュアル(DSM)第4版に即した診断インタビューと、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)を用いた重症度評価を行った。主要評価項目は、回復までの時間と回復の可能性とした。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連その結果、主要なうつ病相期間の継続時間の中央値は、18.0ヵ月(95%信頼区間:12.8~23.1)で、1年以内に回復した患者は35%、2年以内は60%、3年以内は68%だった。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連していた。また追跡期間中、身体機能の低下は慢性うつ病患者では持続していたが、回復した患者では改善していた。これらを受けLicht-Strunk氏は、「55歳以上のうつは予後不良である。重症度、家族歴、身体機能低下の情報を直ちに入手することが、治療の手助けとなる」と結論している。

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挿管の痛み緩和に冷却スプレー噴霧が効果的

救急治療部門での末梢静脈内への挿管処置の際、冷却スプレー(topical alkane vapocoolant spray)で効果的かつ安全に痛みを緩和できるとの報告が、BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月10日号)に寄せられた。メルボルン大学(オーストラリア)Ramzi Hijazi氏らのグループが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験による。水スプレーと冷却スプレーとの比較で調査試験は、オーストラリア都市部の教育病院の救急治療部門で、末梢静脈内への挿管処置を要した201例の成人患者(男性54%、平均年齢58.2歳)を対象に、挿管前に15秒以内で、冷却スプレー(介入群、103例)もしくは水スプレー(対照群、98例)を噴霧するというもの。冷却スプレー(プロパン、ブタン、ペンタン混合)は皮膚から12cm離し2秒間噴霧した。主要評価項目は、挿管時の痛み、スプレー噴霧の不快度、視覚的評価(100 mm visual analogue scaleによる)とした。両群間に、姓、年齢、挿管適応・部位の指示の相違、カニューレのサイズの相違、施術者の相違は特になかった(P>0.05)。痛み緩和、選択率ともに冷却スプレーが優る痛みの四分位範囲中央値スコア(mm)は、対照群36(四分位範囲中央値:19~51)に対し、介入群は12(5~40)であり(P

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乾癬性関節炎に対するustekinumabの有効性と安全性を確認

乾癬性関節炎に対する抗インターロイキン(IL)-12/23ヒトモノクローナル抗体ustekinumabの有効性と安全性が、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験の第Ⅱ相試験の結果、確認された。この米国Tufts Medical CenterのAlice Gottlieb氏らによる試験結果は、Lancet誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月12日号)で掲載されている。乾癬性関節炎は乾癬患者の約11%が有し、抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤(抗TNF薬)が有効とされるが、治療に反応しない患者も存在し治療選択肢の拡充が求められていた。プラセボとの比較でACR20達成の臨床効果を検討試験は、北米および欧州の計24施設から活動性関節炎患者の参加を募り行われた。2005年12月21日から開始され146例が登録。それら患者を2群(グループ1:ustekinumab投与群、グループ2:プラセボ群)に割り付け実行された。グループ1の患者(76例)は、4週にわたり毎週(0週~第3週)ustekinumabを投与(90 mgもしくは63 mg)したのち、12週時点、16週時点ではプラセボを投与。グループ2の患者(70例)は、4週にわたり毎週プラセボを投与したのち、12週時点、16週時点でustekinumabが投与(63 mg)されるという試験デザインで、12週時点ではプラセボ対照試験が確立、マスキングは16週まで維持された。患者は36週時点まで追跡され、intention to treat解析にて評価。主要評価項目は、12週時点でのACR20(米国リウマチ学会が臨床効果として掲げる「ベースラインからの20%改善」目標)の達成状況とされた。投与群とプラセボ群との20%改善達成の差は28%、75%以上改善の差は47%12週時点で主要評価項目を達成したのは、グループ1では32例(42%)、グループ2では10例(14%)で、その差は28%(95%信頼区間:14.0~41.6、p=0.0002)だった。乾癬が体表面積3%以上に及ぶ患者(両群計124例、全体の85%)のうち、12週時点でグループ1では52%(33/63例)が、病変が占める体表面積および重症度指数について75%以上の改善を示した。グループ2では同5%(3/55例)で、両群の差は47%(33.2~60.6、p

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末期肺がん患者にも分子標的治療薬イレッサが有効

東北大の発表によると、25日、同大大学院 医学系研究科 呼吸器病態学分野の貫和敏博教授を中心とした研究グループは、日本人や東洋人に多く肺がん全体の約20%と想定される、EGFR遺伝子変異という特徴を有した非小細胞肺がん患者に対して、分子標的薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)が高い確率で有効であり、全身状態の改善および生存期間の延長に寄与することを明らかにした。これまで、肺がん末期で体力が低下した患者には、これまで積極的治療は困難とされ緩和ケアのみが推奨されていた。また、本成果は米国臨床腫瘍学会の機関誌であるJournal of Clinical Oncology電子版に2月17日付で掲載された。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2009/20090225.pdf

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リラグルチドの追加投与で、2型糖尿病患者の血糖値の改善と体重減少を確認

ノボ ノルディスクファーマ株式会社は20日、同社が米国、欧州、日本で承認申請中の、新規2型糖尿病治療薬 ヒトGLP-1アナログ製剤「リラグルチド」を、経口血糖降下薬に追加投与すると、他の経口血糖降下薬を追加投与した場合よりも優れた血糖改善効果が得られるという成績が、Diabetic Medicine(英国糖尿病協会発行)とDiabetes Care(米国糖尿病協会発行)に掲載されたと発表した。リラグルチド第3相臨床試験プログラム LEAD1、2は、グリメピリド(SU薬)またはメトホルミンにリラグルチド(1.2mgまたは1.8mg)、プラセボ、または対照実薬を追加した場合の効果を検討したもの。Diabetic Medicine 1月号に掲載されたLEAD1の結果は、グリメピリド(SU薬)にリラグルチドを追加投与すると、リラグルチド1.2mg追加投与群で1.08%ポイント、リラグルチド1.8mg追加投与群で1.13%ポイントとベースラインのHbA1c値から大きく低下し、対照群であるロシグリタゾン(チアゾリジン薬)追加投与群では0.44%ポイントの低下であった。Diabetes Care 1月号に掲載されたLEAD2の結果は、メトホルミン(ビグアナイド薬)にリラグルチドを追加投与した場合、グリメピリドを追加した場合と同等のHbA1cの低下作用が得られた。HbA1c値は、リラグルチド1.2mg投与群で0.97%ポイント、1.8mg投与群で1.00%ポイント、グリメピリド投与群で0.98%ポイント低下した。 LEAD1およびLEAD2は26週の無作為化二重盲検比較試験で、2型糖尿病患者2,000名以上を対象として行われた。試験は、LEAD開発プログラムを構成する5つの第3相(Phase 3a)臨床試験のうちの2つ。詳細はプレスリリースへhttp://www.novonordisk.co.jp/documents/article_page/document/PR_09_02.asp

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欧州でてんかん治療剤ZEBINIXに関するライセンス契約が締結

エーザイ株式会社の発表によると、同社のの欧州統括会社、エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドは、Bial-Portela & Ca社と、てんかん治療剤「ZEBINIX」(一般名:eslicarbazepine acetate)に関して、欧州における販売にかかるライセンス契約および共同販促契約を締結したという。同社はこの契約により、欧州におけるZEBINIXの販売権を獲得することになった。ZEBINIXは現在、Bial社が開発中の新しいてんかん治療剤。同剤はナトリウムチャネルを介して抗てんかん作用を示す。1日1回の投与で、てんかん発作の回数を顕著に減少させるとともに、てんかん患者のQOLやうつ症状も改善することが臨床試験において示唆されている。Bial社は2008年3月に「ZEBINIX」の承認申請を欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency: EMEA)に提出している。現在、成人の部分てんかんにおける併用療法の適応についてEMEAが審査中である。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news200903.html

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重症の足首捻挫には膝下キャストを

重症の足首捻挫に対する機械的な支持法では、膝下キャストの効果が最も優れることが、イギリスWarwick大学のS E Lamb氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。イギリスでは救急診療部の受診件数の3~5%を重症足首捻挫が占め、年間約100~150万例にのぼる。最も多いのは外側靱帯の捻挫だという。Lancet誌2009年2月14日号掲載の報告。管状圧迫包帯と3つの機械的支持法の効果を比較研究グループは、重症足首捻挫の治療法として2層性管状圧迫包帯と3つの機械的支持法(Aircastブレース、Bledsoeブーツ、膝下キャスト)の有効性を盲検下に評価する多施設共同無作為化試験を行った。 2003年4月~2005年7月までに、イギリスの8つの救急診療部から重症足首捻挫患者584例が登録され、管状圧迫包帯群に144例、Aircastブレース群に149例、Bledsoeブーツ群に149例、膝下キャスト群に142例が割り付けられた。患者は、訓練を受けた医療従事者により受診から3日以内に機械的支持法を施行され、腫脹および疼痛の軽減に関する助言を受けた。1、3、9ヵ月後にFoot and Ankle Score(FAOS)による評価を行い、主要評価項目は3ヵ月後のFAOSによる足首機能とした。膝下キャストが最も優れ、管状圧迫包帯が最も劣る管状圧迫包帯で治療された患者に比べ、膝下キャストを装着された患者の回復がより迅速であった。膝下キャストは、管状圧迫包帯よりも3ヵ月後の足首機能が優れており(FAOSで9%の差)、さらに疼痛、症状、活動性も良好であった。Aircastブレースは、管状圧迫包帯よりも3ヵ月後の足首機能が優れていた(FAOSで8%の差)が、疼痛、症状、活動性にはほとんど差がなかった。Bledsoeブーツには管状圧迫包帯を超えるベネフィットはなかったが、全体として管状圧迫包帯の効果が最も低かった。9ヵ月後には、管状圧迫包帯と3つの機械的保護法の間に有意な差はなくなった。副作用はまれであり、治療法間の明らかな差は認めなかった(全群で、蜂巣炎2例、肺塞栓2例、深部静脈血栓3例)。著者は、「膝下キャストあるいはAircastブレースによる短期的な固定法は、管状圧迫包帯よりも回復が迅速であった。ベネフィットの幅の広さを考慮すると、膝下キャストが推奨される」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ケアコーディネーションによる高齢者慢性疾患の医療費削減は困難:米国

高齢者の慢性疾患について、ケアコーディネーションを強化しても、医療費の削減や、医療の質の改善は難しいようだ。米国の公的高齢者医療保険(メディケア)加入者を対象に行った試験で、明らかになった。米国Mathematica Policy ResearchのDeborah Peikes氏らの研究結果で、JAMA誌2009年2月11日号で発表した。約1万8,000人、15プランを追跡調査同氏らは、2002~2005年にかけて、メディケア出来高制の15のプランに加入する、合計1万8,309人を無作為に2群に分け、一方にはケアコーディネーションを強化し、もう一方にはこれまで通りの医療サービスを行った。被験者の主な疾患は、うっ血性心不全、冠動脈疾患と糖尿病だった。ケアコーディネーションとしては、看護師が、服薬や食事、運動に関する患者教育をしたり、医師と患者のコミュニケーションの強化、医療サービスの移行をよりスムーズにする努力などを行った。また患者に関する報告書を定期的に担当医に送った。入院率の削減は1プランのみその結果、15の保険プランのうち13までが、ケアコーディネーション群と対照群との間に、入院率の有意差は見られなかった。1つのプランでは、入院率を0.168/人/年(90%信頼区間:-0.283~-0.054、対照群の平均より17%減)に減らすことができた。1つのプランでは逆に、入院率が増加した。15プランのうち、ケアコーディネーションにかかる費用を合わせた医療費の削減が見られたプランは、全くなかった。3つのプランでは、有意差はないものの、月当たりの医療費を9~14%削減することができたが、そのうち1プランではケアコーディネーションにかかる費用で削減分は打ち消され、もう一つのプランは加入者が少なすぎて持続できなかった。また、適切な食事療法や運動、服薬などについての理解についても、ケアコーディネーション群と対照群には有意差が見られなかった。なお研究グループは、入院率に改善が見られた1プランを分析し、中程度から重度の患者を対象にした、対人コミュニケーションを十分に行うケアコーディネーションプランでは、医療費を増やすことなく入院率を引き下げる可能性があると推察している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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標的化筋肉再神経分布により高機能人工腕をリアルタイムに制御可能

上腕部を切断した後、標的化筋肉再神経分布(TMR)という技術を用いて、人工腕をリアルタイムに制御できることが明らかになった。TMRとは、残っている腕の神経を別の筋肉へ再分布するもの。ここから発生する筋電シグナルを使い、人工腕を制御しようという仕組みだ。これは、米国Rehabilitation Institute of ChicagoのTodd A. Kuiken氏らが行った研究で、明らかになったもので、JAMA誌2009年2月11日号で発表した。肘や手首、手の動きの所要時間はコントロール群と同等Kuiken氏らは、5人の肩または上腕切断をした患者で、2002~2006年の間にTMRの手術を受けた人と、肩や腕の切断のないコントロール群5人を対象に試験を行った。TMR群では、神経を再分布した部位から発生する筋電シグナルによって、仮想の人工腕の制御を行った。肘や手首、手の10種の動きについて調べたところ、肘や手首の動きの選択までにかかった時間の平均値は、TMR群が0.22(標準偏差0.06)秒と、コントロール群との差はわずか0.06秒だった。肘や手首の動きの完了までの所要時間の平均値は、TMR群が1.29(標準偏差0.15)秒と、コントロール群との差は0.21秒だった。手でつかむ動きについては、選択と完了までの所要時間のTMR群の平均値は、それぞれ0.38(同0.12)秒と1.54(同0.27)秒だった。コントロール群との差はそれぞれ、0.21秒と0.28秒だった。実際に高性能人工腕の操作も可能また、5秒以内に腕の動きを完了できたのは、コントロール群では100(同0)%だったのに対し、TMR群では96.3(同3.8)%、手の動きを完了できたのは、コントロール群で96.7(同4.7)%に対し、TMR群では86.9(同13.9)%だった。さらに、TMR群5人のうち3人は、実際に電動の腕や肘、手首や手を備えた高機能人工腕を操作することができた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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急性心筋梗塞患者にEBM治療進化がもたらす可能性:MONICAプロジェクト

1980年代中盤から比べて90年代前半に治療を受けた急性心筋梗塞患者は、予後が改善し長期生存していることが、世界保健機構(WHO)のMONICAプロジェクト(心血管疾患の傾向と決定因子のモニタリング)下にある、オーストラリア、パースの住民を対象としたコホート群の調査から報告された。西オーストラリア大学Tom Briffa氏らによる1984~2005年の追跡調査結果は、BMJ誌2009年2月7日号(オンライン版2009年1月26日号)に掲載されている。1984~1993年の心筋梗塞後28日間生存者4,451例を12年間追跡パースMONICA住民コホート追跡調査は、心筋梗塞後28日間生存者の長期生存の傾向を調査すること、またイベント中もしくは直後に受けるEBM治療および冠動脈血行再建の影響を調べることを目的に行われた。対象は、MONICA判定基準にのっとり確定した「(1)1984~1987年」「(2)1988~1990年」「(3)1991~1993年」の間に入院治療を受けた4,451例の急性心筋梗塞患者で、12年間の追跡調査が行われた。主要評価項目は、オフィシャルな死亡記録および病院死亡記録から求めた全死因死亡。副次評価項目は、心血管疾患による死亡。90年代受療患者の補正相対リスクは80年代中盤受療患者と比べ26%減「(3)1991~1993年」コホート群の心筋梗塞後28日間生存者は、「(1)1984~1987年」コホート群に比べて、退院後12年のイベント数が絶対値で7.6%減、相対リスク(死亡未補正)は28%減となっていた。「(2)1988~1990年」の生存との比較では違いはなかった。また「(3)1991~1993年」コホート群の生存改善傾向は、人口統計学的因子、疾患リスク因子、重症度、合併症で補正後も維持され、補正相対リスクは26%減だった。しかし、さらに入院時治療およびイベント発症12ヵ月以内の冠動脈血行再建施行で補正後は、改善傾向は明確ではなく、その影響は確認できなかった。Briffa氏は、「1984~1993年の間の心筋梗塞後28日間生存者は増大した。この改善は、入院時およびイベント後12ヵ月以内の進化したEBM治療(抗血小板薬、血栓溶解、βブロッカー、冠状動脈血行再建)と関連しており、そうした治療の変化が、おそらくオーストラリアにおける、虚血性心疾患による死亡率の継続低下に寄与するであろう」と結論、EBM治療は12年以上の生存に寄与している可能性を示唆している。

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ゾメタが閉経前の女性の乳がん再発リスクを低減 研究結果がNEJMに掲載される

ノバルティス ファーマ株式会社は13日、閉経前の早期乳がん患者の術後ホルモン療法にゾメタ(ゾレドロン酸)を追加投与した場合、ホルモン療法単独の場合と比較して、再発または死亡のリスクが36%減少したという研究(2008年6月に第44回米国臨床腫瘍学会で発表)が、New England Journal of Medicine誌に掲載されたことを発表した。この研究は、オーストリアの乳房・結腸直腸がん研究グループ(Austrian Breast & Colorectal Cancer Study Group : ABCSG)が行ったもので、閉経前の早期乳がん患者に対するゾメタの再発抑制効果を示した初めての大規模無作為化第III相臨床試験。ゾメタは、がんが進行する前の段階で再発や転移を防ぐ、直接的な抗腫瘍効果が基礎研究で示唆されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090213.html

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腰痛の画像検査は無用?

重篤な基礎疾患のない腰痛患者に画像検査を行っても臨床転帰は改善しないことが、アメリカ・オレゴン健康科学大学のRoger Chou氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。Agency for Healthcare Policy and Research(AHCPR)ガイドラインは急性腰痛発症1ヵ月以内の画像検査を否定しており、重篤な基礎疾患を示唆する臨床所見(いわゆるred flags:癌、感染症、馬尾神経症候群など)のない慢性腰痛には画像検査を行うべきではないとするガイドラインもある。しかし、現実には患者の要望などもあってルーチンに施行したり、臨床所見がないのに行われる場合が多いという。Lancet誌2009年2月7日号掲載の報告。腰痛、腰椎機能を主要評価項目とした6試験のメタ解析研究グループは、重篤な基礎疾患のない腰痛患者において、即座に腰部画像検査(X線、MRI、CT)を実施する群と、これを施行しない通常ケアのみの群の臨床転帰を評価するために、無作為化対照比較試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。解析対象の試験は、腰痛あるいは腰椎機能を主要評価項目とするものとし、QOL、精神的健康状態、各種スケールに基づく患者自身による全般的な改善度、ケアに対する患者満足度についても検討した。6つの試験(イギリス3、アメリカ2、インドネシア1、計1,804例)が選択基準を満たした。試験の質は、Cochrane Back Review Groupの基準を適用した判定法に基づいて2人のレビューワーが個々に評価した。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用いた。プライマリ・ケアに十分に適用可能即時的な腰部画像診断施行群と非施行群で、短期的(3ヵ月以内)および長期的(6ヵ月~1年)な解析の双方において、腰痛と腰椎機能障害の発症には有意な差は認められなかった。そのほかの評価項目についても、有意差を認めたものはなかった。試験の質、個々の画像法、腰痛の罹病期間も解析の結果に影響を及ぼさなかったが、これらの検討を行った試験は少なかった。今回の解析結果は、プライマリ・ケアにおける急性および亜急性の腰痛に十分に適用できるものであった。著者は、「重篤な基礎疾患のない腰痛患者に対し画像検査を行っても臨床転帰は改善しない。それゆえ、重篤な基礎疾患を示唆する所見のない急性、亜急性の腰痛に対するルーチンの即時的な画像検査は止めるべき」と結論し、「不要な画像検査を避ける一方で、患者の要望を満たし満足度を向上させる腰痛評価法や患者教育の戦略を確立する必要がある」と主張している。(菅野守:医学ライター)

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乳幼児RSV感染症は入院・外来医療ともに大きな負荷をもたらす

乳児の入院に至る主要な要因にRSVウイルスがあることはよく知られているが、幼児におけるRSV感染症が医療資源全体に与える負荷については明らかではない。ロチェスター医科大学(アメリカ)のCaroline Breese Hall氏らは、アメリカの3つの郡(テネシー州ナッシュビル、ニューヨーク州ロチェスター、オハイオ州シンシナティ)で、5歳未満児における急性呼吸器感染症について、住民ベースの前向き調査を行った。NEJM誌2009年2月5日号より。生後6ヵ月未満児のRSVによる入院リスクは高い研究グループは、2000年~2004年にかけて入院した乳幼児、2002年~2004年にかけて外来救急や小児科クリニックを受診した乳幼児を登録し、培養と逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法でRSVを検出した。臨床情報は保護者からの聞き取りとカルテから入手し、RSV感染症と関連する入院率を算出するとともに、外来受診率を住民ベースで推計した。登録した5,067例(入院2,892例、救急・外来2,175例)のうち、RSV感染症は入院が546例、救急・外来が355例、合わせて919例(18%)あった。全体として、11月から4月にかけての急性呼吸器感染症による入院の20%、救急受診の18%、小児科クリニック受診の15%がRSVと関連していた。年間平均入院率は、生後6ヵ月未満の乳児で17例/千人、5歳未満の幼児で3例/千人だった。大部分の乳幼児に併存疾患は見られず、早産児であること、低年齢であることが入院の独立したリスク因子と認められた。5歳未満児の外来受診率の高さもターゲットにすべき一方、5歳未満の幼児におけるRSV関連のクリニック受診率は救急受診の3倍と推計された。これを全米に当てはめると、RSV感染症に罹患する5歳未満児は210万人で、救急受診が約52万人、クリニック受診が約152万人(そのうち61%、126万人は2~5歳児が占める)と推計された。ところが、外来患者には中等度のRSV関連疾患が見られるものの、RSVに起因する疾患と診断が確定した患者はわずか3%に過ぎなかった。研究グループは、アメリカにおける乳幼児の入院・外来いずれの環境においても、RSV感染症が罹患率に大きく関わっており、しかもRSV感染症に罹患した乳幼児の大部分はそれまで健康であったことから、ハイリスク乳幼児だけを対象とした感染管理戦略では、RSV感染症がもたらす医療資源全体に対する負荷にもたらす効果は限定的であり、わずか18%にとどまる5歳未満児のワクチンの接種率を上げるべきだと述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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産後うつ病:訪問保健師による心理学的介入が有効

産後うつ病では、保健師の訪問によるEdinburgh postnatal depression scale(EPDS、http://www.patient.co.uk/showdoc/40002172/)を用いたスクリーニングと、心理学的な情報提供に基づく介入治療が有効なことが、イギリスSheffield大学のC Jane Morrell氏らが実施したプライマリ・ケアベースのクラスター無作為化試験で明らかとなった。産後うつ病は遷延化のリスクがある重大な疾患だが、病態の把握が難しく、抗うつ薬の使用が困難であるため、心理学的な介入は実践的な治療選択肢とされる。BMJ誌2009年1月31日号(オンライン版2009年1月15日号)掲載の報告。EPDS、臨床転帰、不安度分析、QOL、育児ストレスを評価研究グループは、産後うつ病において保健師が行う2つの心理学的な情報提供よる介入の有効性について評価した。2003年4月~2006年3月までに、Trent地区の101の一般医療施設に4,084人の女性が登録され、対照群(38クラスター)に1,335人が、介入群(63クラスター)には2,749人が割り付けられた。保健師は、EPDSを用いて産後6~8週のうつ症状および臨床状態の評価を行う訓練を受けた。また、患者中心的あるいは認知行動的な原理に基づく心理学的な介入(1時間/週×8週)を実施する訓練を受けた。対照群の保健師は通常のケアを行った。主要評価項目は6ヵ月後のEPDSスコア≧12(産後うつ病と診断)とした。副次評価項目は12ヵ月、18ヵ月後の平均EPDS、臨床転帰(clinical outcomes in routine evaluation-outcome measure; CORE-OM)、不安度分析(state-trait anxiety inventory; STAI)、QOL(SF-12)、育児ストレス(parenting stress index short form; PSI-SF)のスコアであった。介入群で産後うつ病が有意に低下、個々の心理学的介入法に効果の差はない6週後に595人がEPDSスコア≧12であった。このうち6ヵ月後のEPDSの評価が可能であったのは418人で、EPDSスコア≧12の女性は対照群が46%(67/147人)であったのに対し、介入群は34%(93/271人)と有意に優れた(オッズ比:0.62、p=0.036)。共変量で補正後のオッズ比は0.60であった(p=0.028)。全女性の解析で6ヵ月後のEPDSスコアが≧12であったのは、対照群の16.7%(166/995人)に対し、介入群は12.4%(234/1,880人)と有意に良好であった(オッズ比:0.67、p=0.003)。これら6週後 にEPDSスコア≧12の女性および全女性における介入群のベネフィットは、12ヵ月後も持続していた。2つの心理学的介入法(患者中心療法と認知行動療法)の間には有効性に関する差は認めなかった。著者は、「訓練を受けた保健師が臨床評価を行って産後うつ病を同定し、心理学的介入を実施するアプローチは、通常ケアに比べ6ヵ月および12ヵ月後の臨床効果が優れる」と結論し、「訪問保健師による患者中心療法と認知行動療法のアプローチは、いずれも産後うつ病の治療として推奨できることを示すエビデンスが得られた」としている。(菅野守:医学ライター)

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