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禁煙対策で喫煙率が年間-3.3%と大幅に低減/Lancet

 ウルグアイでは禁煙対策の導入により、喫煙率の年間低下率3.3%という良好な効果が得られたことが、同国保健省のWinston Abascal氏らの調査で示された。喫煙者の80%を低~中所得国の住人が占め、高所得国では喫煙率が低下していることもあって、低~中所得国の世界的なたばこ関連疾病負担の割合が増大しているという。人口約3,500万人の南米の中所得国であるウルグアイでは、2005年に包括的な禁煙プログラムが導入され、キャンペーンが実施された。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年9月14日号)掲載の報告。禁煙キャンペーンの効果を隣国アルゼンチンと比較 研究グループは、ウルグアイにおける禁煙キャンペーンの効果を評価する住民ベースの傾向分析を行った。 対照として、このような禁煙対策を導入していない隣国アルゼンチンのデータを用いた。両国の1人当たりのたばこ消費量、未成年者の喫煙率、成人の喫煙率を調査し、比較した。世界的なたばこ関連疾病負担が抑制される可能性 2005~2011年に、ウルグアイでは15歳以上の1人当たりのたばこ消費量が年間4.3%ずつ低下したのに対し、アルゼンチンでは年間0.6%増加した(傾向差の検定:p=0.002)。 13歳、15歳、17歳の生徒を合わせた喫煙率は、2003~2009年のウルグアイでは年間8.0%低下したが、2001~2009年のアルゼンチンでは2.5%の低下にとどまった(傾向差の検定:p=0.02)。 2005~2011年に、ウルグアイでは喫煙率が年間3.3%低下し、アルゼンチンでは1.7%低下した(傾向差の検定:p=0.02)。 著者は、「ウルグアイの包括的な禁煙キャンペーンは前例のないほど大きな喫煙の低下効果をもたらした」と結論づけ、「他の低~中所得国でも,ウルグアイと同定度のたばこの使用量の低減が実現されれば、世界的なたばこ関連疾患負担が大きく抑制されると考えられる」と指摘する。

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全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で>30%と高い/JAMA

 全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で高い(>30%)ことが、米国・ノースウエスタン大学ファインバーグ医学校のJohn T. Wilkins氏らによるプール生存解析の結果、明らかにされた。これまで、そうした疾患負担の可能性は示唆されていたが、解析報告はなかった。今回示された生涯リスクには、中高年のリスク因子を有する人も含まれるのだが、著者らによる解析で、それらリスクを有する人々でもメンテナンスでリスクを至適に維持すれば、かなり長期にわたって非疾患生存を達成していたことも明らかにされた。JAMA誌2012年11月7日号掲載より。45、55、65、75歳時点でのすべての心血管疾患の生涯リスクを推定 心血管疾患の生涯リスク推定は、医師と患者間のリスクをめぐるコミュニケーションを助ける役割を担う可能性がある。研究グループは、全心血管疾患の生涯リスクを年齢指標(45、55、65、75歳)、リスク因子ごとに算出し、また全リスク因子にわたる非心血管疾患生存の推定を行った。 1964~2008年の間にNHLBIが資金提供して行われた5つの住民ベース試験コホート(Framingham Heart Study、Framingham Offspring Study、Atherosclerosis Risk in Communities Study、Chicago Heart Association Detection Project in Industry Study、Cardiovascular Health Study)の計90万5,115人・年のデータをプール生存解析し検討した。被験者は全員ベースラインでは非心血管疾患であったがリスク因子に関するデータ[血圧(BP)値、総コレステロール(TC)値、2型糖尿病、喫煙状況]と総心血管疾患アウトカムのデータは有していた。 主要評価項目は、あらゆるすべての心血管疾患イベント(致死的・非致死的冠動脈疾患、全発症型の脳卒中、うっ血性心不全、その他心血管疾患死)だった。リスク因子至適でも55歳時の心血管疾患生涯リスクは男性40%、女性30% 年齢指標45歳時における、すべての総心血管疾患生涯リスクは、男性60.3%(95%信頼区間:59.3~61.2)、女性55.6%(同:54.5~56.7)であった。 男性は女性よりも、すべての年齢指標において生涯リスクが高値であった。 55歳時、65歳時では、男女とも95歳までの生涯リスクについて、「1つ以上リスク因子上昇がある(BP:140~149/90~99mmHg、TC:200~239mg/dL、糖尿病と喫煙はなし)」「1つの重大リスク因子(BP:≧160/100mmHgまたは治療中、TC:≧240mg/dLまたは治療中、糖尿病、喫煙)がある」「2つ以上の重大リスク因子がある」がいずれも50%を超えていた。 リスク因子が至適値であっても(BP:<120/80mg、TC:<180mg/dL、非喫煙、非糖尿病)、55歳時の生涯リスク(85歳までの)は、男性40%、女性30%であった。 2つ以上の重大リスク因子を有する人との比較で、リスク因子が至適値であった人は、14年長く無心血管疾患で生存すると推定された。

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HIV 感染症を難病指定に

神戸大学感染症内科岩田 健太郎2012年11月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。厚生労働省によると、これまで56しかなかった難病指定疾患を300以上に増やす予定だという。この難病にHIV感染症および後天性免疫不全症候群(エイズ)(以下、HIV感染症とまとめる)を含めるべきだ、というのが本論の主旨である。以下にその理由を示す。難病対策委員会によると、難病の選定基準は1. 患者数が人口の0.1%程度以下2. 病気が未解明3. 治療法がないか、治療法があっても症状が良くなったり悪くなったりする4. 生活への支障が生涯にわたる5. 診断基準か客観的な指標があるの全てを満たす場合に対象となるという(朝日新聞2012年10月31日朝刊より)。HIV感染症は現在482あるという難病研究事業の対象にはなっていないが、患者は現在分かっているだけで数万人規模であり(1)、条件1は満たす。条件2と3についてはどうだろうか。エイズはヒト免疫不全ウイルス(HIV)が原因の細胞性免疫不全である。病気のメカニズムはある程度分かっており、抗ウイルス療法も存在する。しかし、この疾患はいまだ治癒に至る方法は解明されていない。「解明」がどの程度を意味するものなのかは分からないが、難病指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)などもスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)の遺伝子異常など、病態生理はある程度「解明」されているので、HIV感染症を除外する根拠には乏しいと考える(2)。抗ウイルス療法を用いて患者の予後は劇的に改善したが、症状が悪くなる場合も少なくない。治療は生涯にわたり、生活への支障は続く(条件4)。診断基準は明確だ(HIVの各種検査を行う、条件5)。難病指定してはいけない、という根拠は乏しい。現在、HIV感染患者には診療費の公費助成がある。その主たるものは免疫不全の程度に応じて得られる身体障害者認定と自立支援医療である(3、4)。もともと、薬害エイズ事件など「薬害」の要素が大きかったこの感染症患者の救済の手段として身体障害者制度は活用された(5)。しかし、現実には多くの患者には「身体障害」は存在せず、そういう患者では日常生活を送ったり仕事をすることも可能であるから、この制度をアプライするには若干の無理がある。また、「症状の固定」まで4週間の経過を見なければ障害者認定は受けられないため、その分、治療が遅れたり余分な(そして高額な)治療費がかかる。近年のHIV感染治療は激変している。以前は免疫抑制がかなり進んでから抗ウイルス療法を開始していたが、治療薬の進歩と臨床試験データの蓄積から、治療はどんどん前倒しするようになった。日和見感染症があっても早期(2週間以内。ただし結核などを除く)に治療を始めたほうが予後が良いケースも多いことが分かっている。障害者認定にかかる「4週間の遅れ」は無視できない遅れなのである。今年発表された診療ガイドライン(International Antiviral Society-USA, IAS-USA)では、すべてのHIV感染者に抗ウイルス療法を提供するよう推奨されている(6)。しかし、免疫不全が進んでいない患者では低い等級の身体障害者認定しか得られないため、十分な診療支援はかなわない。感染早期に治療を始めれば、体内にあるウイルスの量を減らし、さらなる感染者発生防止にも役に立つ。日本は先進国でも新規発生患者が増加している稀有な国の一つである。HIV感染の診療費は生涯1億円程度かかると言われる(7)。患者の早期発見、早期治療、そして予防は医療費の有効活用という観点からも重要である。(免疫不全の程度にかかわらず)すべてのHIV感染者を速やかに難病指定し、適切な治療を提供できるようにする必要がある。患者救済という目的のもと、HIV患者の身体障害者認定は一定の成果を上げてきた。しかし、その成果は「歴史的成果」と称すべきで、現状維持を正当化する根拠にしてはならない。厚生労働省は現状を鑑み、HIV感染者を難病指定に切り替えるべきである。1. 日本のHIV感染者・AIDS患者の状況(平成23年12月26日~平成24年3月25日) IASR Vol. 33 P. 171-173 http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html2. 筋萎縮性側索硬化症(公費対象) 難病情報センター http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html3. HIV感染者の身体障害者認定について 厚生労働省 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0912/h1216-1.html4. 自立支援医療(更生医療)の概要 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/kousei.html5. HIV感染者が免疫機能障害として、身体障害者認定を受けるまでの経緯をご存知ですか? はばたき福祉事業団 http://old.habatakifukushi.jp/hiv_medical_welfare/medical_treatment_welfare_system/hiv_55.html6. Lawn SD,Antiretroviral Treatment of Adult HIV Infection. IAS-USA. https://www.iasusa.org/content/antiretroviral-treatment-adult-hiv-infection-07. 世界は減少、日本は増加…1人に約1億円医療費必要なHIV感染症を知る 日経トレンディネット 2011年2月28日 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20110224/1034622/

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認知症患者が車で徘徊、発見方法は?

 認知症患者では徘徊行動がしばしば問題となる。そして、車での徘徊となるとさらに問題は大きくなる。Meredeth A Rowe氏らは、認知症患者が車で徘徊した際の発見方法やシルバーアラートの効果に関してレトロスペクティブに検討を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2012年11月7日号の報告。 2008年10月~2010年5月でフロリダシルバーアラートプログラムより抽出した156データを使用し分析を行った。アラートデータは、フロリダ州で認知症ドライバーの行方不明者を発見するために使われた。 主な結果は以下のとおり。・行方不明者の過半数は、配偶者に介護されている58~94歳の男性であった。・ほとんどの人は、介護者も把握しているいつもの場所への外出で行方不明になっていた。・発見時、運転していた人はわずか15%であり、停車中の車内やその近くで発見された。・大多数は警察により発見された。・行方不明になった場所と同じ郡で発見された人はわずか40%であり、10%は別の州で発見された。・対象の5%は死亡した状態で発見されており、一人暮らしの人のほうが死亡率が高かった。・15%は線路上など危険な場所に車を停止している状態で発見された。・32%は間違った道や人里離れた地域を運転したり、車道を歩いたりといった危険な行動をしていた。関連医療ニュース ・アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは…

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シスプラチンベースレジメンにおける静脈血栓塞栓症のリスクを検討

 シスプラチンと血栓塞栓症リスク増加の関連を示唆する報告がいくつかあるが、シスプラチンベースの化学療法による静脈血栓塞栓症(VTEs)のリスクについての研究は十分ではない。米国のSonia Seng氏らは、無作為化比較試験の系統的レビューとメタアナリシスを行い、シスプラチンベースの化学療法が非シスプラチンベースの化学療法と比べて、進行固形がん患者の有意なVTEsリスクの増加に関連していることを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年11月13日号に掲載。 著者らは、PubMedで1990年1月1日~2010年12月31日に公表された論文を検索し、固形がん患者に対する「シスプラチンベースのレジメン」対「非シスプラチンベースのレジメン」を評価した前向き無作為化第II相および第III相試験を解析対象として、すべてのグレードのVTEsについてデータを抽出した。研究の質はJadadスコアを、また、発生率、相対リスク(RR)、95%信頼区間(95%CI)はランダム効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・38の無作為化比較試験における種々の進行固形がん患者8,216例を解析した。・VTEsの発生率は、シスプラチンベースのレジメンで治療された患者では1.92%(95%CI:1.07~2.76)、非シスプラチンベースのレジメンで治療された患者では0.79%(95%CI:0.45〜1.13)であった。・シスプラチンベースのレジメンで治療された患者で、VTEsのリスクが有意に増加した(RR:1.67、95%CI:1.25~2.23、p=0.01)。・サブグループ解析でRRが最も高かったのは、シスプラチンの用量が30mg/m2/週を超える患者(RR:2.71、95%CI:1.17~6.30、p=0.02)と、2000年~2010年に報告された試験(RR:1.72、95%CI:1.27~2.34、p=0.01)であった。

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性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連

 性的強迫観念(sexual obsession)は、統合失調症患者で頻度が高く半数以上でみられ、次いで気分障害患者で3割強にみられる。また、統合失調症患者では女性よりも男性に多く、自殺行動の独立関連因子であることなどが、Liliana Dell Osso氏らによる研究の結果から、明らかになった。これまで性的強迫観念をトピックとした精神症状の研究は十分調査されておらず、結果を踏まえて著者は、「性的強迫観念に焦点を当てた研究と治療戦略の確立が、とくに気分障害や統合失調症を有する患者に着目して行われる必要がある」と提言している。Annals of general psychiatry誌オンライン版2012年10月30日号の掲載報告。 本研究の目的は、(1)気分障害患者(156例)、パニック障害患者(54例)、統合失調症患者(79例)と非精神疾患被験者(100例)における性的強迫観念の有無を調べること、(2)性的強迫観念と自殺行動との関連を社会人口統計学的に(精神障害に考慮)調査すること、の2つであった。計289例の精神疾患患者の被験者は、イタリアの大学病院の精神科から集められ、100例の対照群は同じ大学の眼科に定期視力検査で受診した人であった。性的強迫観念について、Structured Clinical Interview for DSM-IV-TR、Brief Psychiatric Rating Scale(BPRS)、Obsessive-Compulsive Spectrum Self-Report(OBS-SR)にて評価し、Mood Spectrum-Self Report lifetime version(MOODS-SR)などでの評価も行った。自殺傾向は、MOODS-SRの6項目で評価した。 主な結果は以下のとおり。・性的強迫観念は、統合失調症で頻度が高く(54.4%)、次いで気分障害で多く認められた(35.9%)。・統合失調症患者では、男性の方が女性よりも報告例が多かった(p<0.01)。・自殺行動(自殺念慮、計画および企図)が多く報告されたのは、女性(補正後OR:1.99)、精神障害患者ではとくに気分障害患者が多く(同:11.5)、統合失調症(同:3.7)、パニック障害(同:2.9)と続いた。また、生涯にわたり性的強迫観念があると報告した被験者(同:3.6)でも報告が多かった。・性的強迫観念は、あらゆる自殺行動と独立的に関連していた。・年齢、教育、配偶者の有無、雇用状況は、自殺行動と関連していなかった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺 ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・破壊的行動障害に対する非定型抗精神病薬使用

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乾癬治療薬ウステキヌマブの有効性、他の生物学的製剤と比較したメタ解析の結果は?

 中等症~重症の尋常性乾癬に対するウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)の有効性について、他の生物学的製剤とPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコア75%改善率達成について比較したメタ解析の結果、アダリムマブ(同:ヒュミラ)、アレファセプト(国内未承認)、エタネルセプト(国内では未適応)よりも達成に関するオッズ比が有意に高く、より有効であることが示された。一方でインフリキシマブ(同:レミケード)よりは低かった。また、クラス分類比較ではIL-12/23阻害薬の同改善達成オッズ比は、プラセボに対しては約70倍、TNF阻害薬に対しては約42倍、T細胞阻害薬に対しては約6倍高かった。Vincent W Lin氏らによる報告(Archives of dermatology誌オンライン版2012年10月15日号掲載)。 データソースはMEDLINE(PubMed)、Embase、Cochrane Library and clinicaltrials.gov。1992年1月31日~2012年2月1日までに公表された、生物学的製剤とプラセボまたは他の生物学的製剤と比較した無作為化試験をシステマティック検索し、3つの回帰モデルを適合してベイズ・ネットワーク・メタ解析を行った。 試験データは、2人の研究者がコンセンサスを得たうえで抽出した(試験サイズ、追跡調査期間、患者の年齢範囲、罹病期間、体表面積、ベースラインPASI、PASI改善率、生物学的製剤による前治療など)。 主な結果は以下のとおり。・対比較において、ウステキヌマブのPASIスコア75%改善率達成についてのオッズ比は、アダリムマブ[オッズ比:1.84、95%信頼区間(CrI):1.01~3.54)、アレファセプト(同:10.38、3.44~27.62)、エタネルセプト(同:2.07、1.42~3.06)よりも統計的に有意に高かった。・インフリキシマブとの同比較では、ウステキヌマブのオッズ比は低かった(同:0.36、0.14~0.82)。・クラス分類の比較では、IL-12/23阻害薬のPASIスコア75%改善率達成についてのオッズ比は、プラセボと比較した場合が最も高く(同:69.48、36.89~136.46)、次いでTNF阻害薬(同:42.22、27.94~69.34)、T細胞阻害薬(同:5.63、1.35~24.24)であった。

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統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」

 統合失調症患者の長期転帰を改善することは、重要な課題であり、さまざまな研究が行われている。しかし、過去の統合失調症における経過や転帰を研究した報告を比較するにあたっては、異なる診断システムが用いられていることにより限界があった。Lang FU氏らは、精神病理学的な観点から長期の転帰に焦点を当て、DSM-III、DSM-III-R、DSM-IV、ICD-10を用いたフォローアップ研究のレビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年11月9日号の報告。 2011年までに報告された統合失調症における経過や転帰に関する研究を、MEDLINE、コクラン比較試験レジスタ、EMBASE、PsycINFO、PSYNDEXで検索を行った。抽出された研究のうち、最終的には21報の研究が分析に用いられた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症の長期転帰は不均一であり、完全寛解ならびに重度の慢性期患者が含まれていた。・統合失調症では、統合失調感情障害や情動障害などの他診断群と比較し、非常に不利な結果が示された。・精神病理学的症状は比較的安定していた。・統合失調症患者における予後不良の予測因子は、男性、顕著な陰性症状であった。・統合失調症患者の長期転帰に対する治療介入の影響は依然として不明なままである。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? ・「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…

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医療のメイドインジャパンへの展望を探る/GEヘルスケア・ジャパン

10月23日(火)GEヘルスケア・ジャパン株式会社が主催する同社の創立30周年記念シンポジウム「医療のメイドインジャパンへの展望を探る」が、東京国際フォーラム(東京・千代田区)において開催された。はじめに創立30周年に寄せて同社アメリカ本社のプレジデント/CEOであるJohn Dineen氏が「日本は高齢化(シルバー)社会をゴールドな社会に変えるよい機会であり、弊社はこれからも日本の高齢者の健康維持や介護、在宅での医療などに幅広く貢献していきたい。日本の市場は、約1.5兆円の経営規模でチームワークや協調性ではどこよりも飛びぬけてよく、グループ内で範となっている。これから高齢化を迎える国々への模範としての役割に期待する」と開会の挨拶を行った。基調講演(1) 青森から世界へ基調講演(1)として三村申吾氏(青森県知事)が、「青森から世界へ~次世代のヘルスケア地域モデルをめざして~」と題し、青森県が抱える少子高齢化の中での慢性的な医師不足や地域による医療格差の現状を伝えるとともに、これからの医療・福祉政策の実現のために掲げられている「青森ライフイノベーション戦略」について詳細を説明した。この戦略は、青森県の強みである産業を活かしつつ、医療と福祉にその効果を及ぼそうというもの。すでに多くの企業との産業連携を行い、県独自の健康製品開発なども行っている。今後は、県内の地域特性に合わせた振興を行い、成果を世界に向けて発信していきたいと抱負を述べた。基調講演(2) 医療イノベーションをどう進めるべきか基調講演(2)として加藤益弘氏(アストラゼネカ株式会社 代表取締役会長)が、「医療イノベーションをどう進めるべきか:医学の進歩を医療の現場へ」をテーマに、創薬の現状やわが国における産学協同開発の取り組みなどを述べた。最初に医薬品の社会貢献の具体例としてアメリカでの事例を紹介し、「健康投資とその効果」として糖尿病薬1ドルの投資で約3.77ドルの健康効果が得られたことなどを説明、続いてまだ実現できていない医薬品ニーズとしてNTDs(顧みられない熱帯病)、NCDs(非感染性疾患)、Rare disease(希少疾患)の3つがあり、今後これら疾病に対する創薬・供給を行っていくことは、企業責任としても大切なことであると展望を語った。次に、現代は創薬スピードが進化している一方で、新薬の承認では苦戦していること、研究開発費が高騰していることなど、旧来のビジネスモデルの限界が語られた。そのうえで新しい創薬研究の方法論の見直しが図られているとし、研究・開発では、産学協同モデルを視野に日本型のモデルの作成、モデルのツールや施策の開発、開発の司令塔の確立と国家予算の再配分が重要な要素となると、これからの期待を述べた。パネルディスカッション 医療が患者さんに近づく「医療が患者さんに近づく~プライマリ・ケアへの期待と展望~」をテーマに5名のパネリストを迎え、パネルディスカッションを行った。■参加パネリスト(50音順・敬称略)草場鉄周氏(北海道家庭医療学センター理事長/日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)阪本雄一郎氏(佐賀大学付属病院 救急医学講座 教授・救命救急センター長)徳田安春氏(筑波大学附属病院 水戸地域医療教育センター教授)林 恭弘氏(祐ホームクリニック院長) 平方 眞氏(愛和病院副院長)■ファシリテーター川上 潤氏(GEヘルスケア・ジャパン株式会社 代表取締役社長兼CEO)はじめにファシリテーターの川上氏より次の質問が投げかけられ、パネルディスカッションは始まった。―― プライマリ・ケアの重要性を含め、今後医療の現場はどう変わっていくでしょう? 草場氏 15年プライマリ・ケア医をしてきたが、医療側が昔と大きく変わった。プライマリ・ケアという領域への認識ができてきたと思う。また、病院の医療から家庭の医療へとプライマリ・ケアに光が当たりつつある。よりプライマリ・ケアが発展するために3つの課題があり、(1) プライマリ・ケアの診療能力の幅と質の維持の問題、(2) 個別ケアへの対応、(3) 地域を基盤にしたプライマリ・ケアに対応する必要 があると感じている。阪本氏 千葉から佐賀に帰り感じたことは、地方の医療は熱意のある医師だけで支えられているということ。人材の新陳代謝が、地方では起きないのが問題であり、今後地方毎でどういう医療をしていくか考えなくてはならない。同時に研修医への教育も大切で、研修医には「きちんと診断ができる医師になってくれ」と指導している。徳田氏 医学教育も卒前と卒後の両方で、イノベーションが必要だと思う。これからの医師は、打ってよし、守ってよしの守備範囲の広いイチロー型選手のようなプライマリ・ケア医を養成する必要がある。こうした医師がこれからの超高齢社会の医療を支える担い手となる。具体的には卒前教育ならば、「座学からベッドサイドへ、系統講義から臨床実習中心へ」と移る必要がある。私が所属している病院では、医学生にも研修参加型実習を行っていて、救急応答から参加をさせている。――この超高齢社会の中で、将来在宅での看取りが増えると予想されています。在宅や終末期医療の実際についてご紹介ください。林氏 過去300名の在宅患者を診療(9割が高齢者)してきた。現在年間で125万人が死亡しているが、2020年には250万人に上ると言われている。(寿命が延びているため)患者が増えているのに、医師の数が追いつかない。しかも寝たきりの患者も多く、今後高齢者の胃ろうや終末期の診療などの議論が必要となる。また、在宅診療をされている医師の多くは50歳以上で、今後中心となる医師の年齢や以前のように個人連携ではまわらない状況をいかに改善するのかが問題となる。ICT(情報通信技術)を活用して在宅医療を充実させる取り組みや20年後在宅医療ができる医師の養成が不可欠。――緩和ケアの視点からではどうでしょうか?平方氏 私は20年間で2,000人の方の看取りをしてきた。病院のベッド数が増えない環境で、どこで看取るか、その看取りに必要な医師の養成はどうするかは課題となる。まず、一般生活の中に「死」のコンセプトを取り戻すことが大事。医療は万全ではないことを認知してもらう必要がある。そして、老衰で寝たきりの患者への対応の仕組みづくりとスポットでも頼める緩和ケアチームの創設や、このチームと地域とのネットワーク構築などが急務だと思う。――プライマリ・ケア医や現在の診療科に進まれたきっかけや動機はなんですか?草場氏 「診療の広さ」に惹かれてプライマリ・ケア医になった。目指しても研修する科がなくて困った。全国を回ったが、その時に家庭医療を知り、患者を全人的に診る医療ということで選択し、北海道家庭医療学センターで研修を受けた。阪本氏 私は外科医がスタートで、千葉の病院で外傷の研修に行った。研修をしているうちに他の科との連携で診療が面白かった。幅広く関われるということで救急に興味をもって選択した。――プライマリ・ケア医に必要な技術とはなんですか?徳田氏 沖縄には離島勤務があるので自然とプライマリ・ケア医にならざるを得ないし、プライマリ・ケア医が尊敬されるカルチャーがある。プライマリ・ケア医は、救急でも役割を発揮するので、医学教育でレールを作る必要がある。将来は、プライマリ・ケア医の認定まで発展させたい。――ハードウェアからみた在宅診療を教えてください。林氏 300人分の患者カルテが、電子カルテとタブレット型コンピュータ等のICTを活用して見ることができるのが魅力。緊急対応もICTでできるのが、紙ではできないメリットだと思う。これは在宅診療では、求められるハードウェア。――在宅での看取りに関連して日本モデルの死生観を教えてください平方氏 日本人は、はっきりした宗教観がないわりに、自分の死生観を持っている人が多い。その理由は不明だが、看取りをしていて思うことは「上手に生き切る」、「何かを次の世代に残す」ことを成している人が多いように思う。こうした事柄を私はすべて記録として残しているので、これを看取りの医療関係者と共有し、日本に「看取りの文化」ができないかと考えている。続いて、会場との質疑応答が行われ、医学生や医師からの質問に対し、各パネリストが回答した。その後、川上氏よりパネリストへの謝辞があり、約1時間にわたるパネルディスカッションが終了した。■GEヘルスケア・ジャパン株式会社(http://japan.gehealthcare.com/)

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早期乳がんの乳房切除率が減少傾向から増加に転じる

 米国の早期乳がん治療における乳房切除率は減少傾向にあったが、2005年以降増加していることが報告された。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのUsama Mahmood氏らが、Annals of surgical oncology誌オンライン版2012年11月8日号に報告。 著者らは、SEERデータベースから、2000年~2008年にT1-2、N0-3、M0の乳がんと診断された25万6,081例のデータを分析した。乳がんと診断された年に乳房切除術を受けた割合を評価し、さらに、多変量ロジスティック回帰分析を用いて乳房切除術選択の予測因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・乳房切除術を受けた女性の割合は、2000年から2005年の間に40.1%から35.6%に低下し、その後、2008年に38.4%に増加した(p

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統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値

 若年統合失調症患者ではPET(陽電子断層撮影法)を用いた研究により、線条体ドパミンD2/3レセプター占有率を指標とした治療域は65~80%が適切であることが確認されている。慶應義塾大学の内田裕之氏らは、カナダ・Addiction and Mental Healthセンターにて、これまで検討されていなかった高齢統合失調症患者における同治療域の検討を行った。その結果、70%以上では錐体外路症状が出現し、70%未満で解消されることが示された。結果を踏まえて著者は、「高齢患者は若年患者の場合と比べて治療域が低いことを示すものであり、高齢統合失調症患者ではさらなる治療薬の開発と臨床ガイドラインが重要なことを意味する」と結論した。The American journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2012年10月31日号の掲載報告。 Addiction and Mental Healthセンターで、オープンラベル介入試験を行った。主要試験目的は、高齢統合失調症患者の臨床アウトカムにおけるD2/3レセプター占有率の変化の影響(RRO)を評価することとした。被験者は、50歳以上で症状が安定しており、経口リスペリドンを6ヵ月以上服用している統合失調症患者で、リスペリドン投与を最大40%減量し3ヵ月間追跡した。背側被殻のドパミンD2/3 RROについて、投与前後にPETスキャンを行いC-ラクロプリドの領域解析にて評価した。臨床評価には、Positive and Negative Syndrome ScaleやSimpson-Angus Scaleなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・被験者は9例(年齢58±7歳、ベースラインでのリスペリドン投与量3.4±1.6mg/日)であった。・錐体外路症状は被験者6例でみられた。これら被験者の被殻でのD2/3 RROは70%以上(範囲:70~87%)であった。・投与量減量後、5例の被験者で錐体外路症状は解消された。・被験者2例はD2/3 RROが52%および50%未満で臨床的悪化が認められた。関連医療ニュース ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? ・初回エピソード統合失調症患者におけるGABA機能への影響 ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが

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アタマジラミの治療に0.5%イベルメクチン・ローションが有効/NEJM

 難治性のアタマジラミの患者に対し、0.5%イベルメクチン・ローションを処方し、自宅で単回塗布し10分間置き水ですすいでもらうという治療を行った結果、7割以上の患者で、治療の翌日、1週間、2週間後でアタマジラミがみられない状態が確認できた。米国・Eastern Virginia Medical SchoolのDavid M. Pariser氏らが、約770人の患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。アタマジラミの第一選択治療であるペルメトリンやピレトリンは、その薬剤抵抗性が増加してきているという。NEJM誌2012年11月1日号掲載より。0.5%イベルメクチン・ローションを乾いた髪に単回塗布 研究グループは、2件の多施設共同無作為化二重盲検試験で、シラミを梳き櫛を用いずに駆除できるか、0.5%イベルメクチン・ローションと溶媒とを比較する検討を行った。 生後6ヵ月以上のアタマジラミ患者で、3匹以上の生きたアタマジラミを確認できた人を指標患者とし、その家族で、生きたアタマジラミが1匹以上確認された人も被験者とし、指標患者と同じ治療を行った。 被験者は無作為に2群に分けられ、一方には0.5%イベルメクチン・ローションを、もう一方は対照群として溶媒を処方した。いずれの群にも、第1日目に乾いた髪にローションを塗布し、10分間放置後、水で洗い流すことを指示した。 主要エンドポイントは、第2日目にアタマジラミが認められず、その状態が第8日目、15日目にも継続していた被験者に占める指標患者(3匹以上の生きたアタマジラミを確認できた家族の中での最年少患者)の割合だった。治療翌日にアタマジラミが認められなかった人、イベルメクチン群95%、対照群31%、14日後は74%と18% 治療を完了した被験者総数は765人だった。治療完了した指標患者のうち、イベルメクチンを塗布したのは141人、溶媒を塗布したのは148人だった。 指標患者の平均年齢はイベルメクチン群が7.8歳(標準偏差:6.5)で、溶媒対照群が8.5歳(同:8.2)だった。 結果、アタマジラミがみられなかった人の割合は、いずれの時点でもイベルメクチン群で高く、第2日目はイベルメクチン群が94.9%に対し溶媒対照群が31.3%、第8日目はそれぞれ85.2%と20.8%、第15日目はそれぞれ73.8%と17.6%だった(p<0.001)。 有害事象の頻度と重症度は、両群で同程度だった。※保険適用のイベルメクチンは経口薬のみで、対象疾患は疥癬および腸管糞線虫症に限られる。

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早期乳がんの乳房温存手術後に放射線療法を受けていない女性の要因とは?

 Stage I乳がんに対して、いくつかの無作為化試験で、乳房切除術による生存率と放射線療法を伴う乳房温存手術による生存率に差がないことが示されている。乳房温存手術においては、局所再発率と死亡率減少のために放射線療法の施行が推奨されている。 今回、米国のShayna L. Showalter氏らがStage I乳がんに対する治療の傾向を評価したところ、Stage I乳がんの治療における乳房温存手術は増加していた。また、乳房温存手術後に放射線療法を受けていない患者が一定の割合で存在し、放射線療法を受けないことが死亡率の増加に関連していた。Annals of surgical oncology誌2012年11月8日号オンライン版に掲載。 著者らは、SEERデータベースを用いて1988年~2007年に診断されたStage I乳がんの女性19万4,860例を同定し、外科的治療および乳房温存手術後の放射線療法施行に関連した因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1998年から2007年にかけて、乳房切除術で治療された患者の割合は徐々に低下した。・乳房切除術で治療された患者の有意な予測因子は、離婚または独身女性(p=0.007)、白色人種(p

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簡便かつ有効な8項目からなる乾癬重症度の自己評価PSI

 乾癬重症度の自己評価によるアウトカム尺度PSI(Psoriasis Symptom inventory)について検証した結果、簡便性、有効性、再現性があり、変化に対する感度も良好で、乾癬の臨床試験で有用なPRO尺度となり得ることが示された。米国・Health Research Associates社のBushnell DM氏らが、8項目からなる同尺度について検証した結果、報告した。The Journal of dermatological treatment誌オンライン版10月24日号の掲載報告。 中等症~重症の成人尋常性乾癬被験者のデータを用いて前向き無作為化試験を行った。被験者は、PSI、DLQI(Dermatology Life Quality Index)、SF-36v2 Acute、PtGA(Patient Global Assessment)の評価を受けた。 PSIの妥当性は、PSIとDLQIならびにSF-36との間のスピアマン順位相関係数を用いて評価した。試験-再試験信頼度、変化に対する感度は最後にPtGAを用いて評価を行った。 PSIの24時間版と1週間(7日間)版について評価した。 主な結果は以下のとおり。・米国内8ヵ所から143例が参加した。139例(97.2%)が試験を完了した。・すべての被験者に、全症状(かゆみ、発赤、スケーリング、熱感、ひびわれ、ヒリヒリ感、はがれ、疼痛)について、各選択肢(症状なし、軽症、中等症、重症、非常に重症)から該当する回答を選んでもらい、結果が得られた。・試験-再試験信頼度は、許容可能なものであった(クラス内相関係数範囲:0.70~0.80)。・収束的および識別的妥当性の演繹的仮説は、PSIとDLQIおよびSF-36との相関によって確認された。・PSIの項目構成の妥当性は良好であり、自覚変化に対する感度も良好であることが示された(P<0.0001)。

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医師の7割以上が、生活保護受給者の医療費一部負担に賛成 “後発品使用義務付け”は薬効への疑問から懸念の声も ―ケアネット調査

 不正受給問題に端を発し、生活保護のあり方が議論されているなか、現在窓口負担がゼロである医療費について患者の一部負担を求める、あるいは後発医薬品の使用を義務付けるという案も出ている。これを踏まえ、ケアネットでは医師会員1,000人に対してアンケートを行い、現場の医師たちがこの問題がどのようにとらえられているのかを調査した。その結果、医師の7割以上が生活保護受給者の医療費一部負担に賛成していることがわかった。 医療費一部負担案に賛成したのは全体の73.1%。勤務形態別に見ると病院医師では76.2%、一般診療所医師では64.9%と、窓口業務まで管理する立場である一般診療所医師は若干低い結果となった。賛成派からは「年金生活者や、働きながら保険料を納め医療費の一部負担をしている低所得者がいることを考えると、生活保護受給者のみ全て無料というのは不公平」といった意見が見られた。 次いで15.6%の医師が「違った方法を考えるべき」と回答。コスト意識を持ってもらうために『いったん支払ってもらい返還する形に』、複数の施設を回って投薬を受ける患者や、悪用する施設の存在を踏まえた『受診施設の限定』などが挙げられた。 また、薬の処方にあたり、生活保護受給者へは価格の安い後発医薬品を義務付けるという案に対しては全体の54.1%が賛成、「現状のままで良い」とした医師は28.9%であったが、一般診療所医師に絞ると賛成40.3%、現状維持37.3%と割れる結果となった。賛成派からは、『後発品は国が「先発品と同等」としているので問題ない』、現状維持派からは『必ずしも薬効が同じとは限らないと考えるため』『院内処方で扱いがない場合がある』『処方の裁量権は医師にある』といったコメントが寄せられた。詳しくはこちらhttp://www.carenet.com/enquete/dr1000/020.html

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てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

 てんかんを持つ人は、生涯にわたってうつ病や不安症に罹患する可能性が高いが、その最大リスクは明らかとなっていない。そうした中で、潜在的に重大なリスク因子として心理社会的要因が示唆されている。オーストラリア・シドニー大学のGandy氏らは、システマティックレビューを行い、心理社会的要因が予測因子となうるのか、エビデンスを精緻に評価した。J Affect Disord誌2012年11月号の報告。 MEDLINE、PsycINFO、Web of Scienceの電子データベースを検索し、実証されている質問票を用いてうつ病および不安症の症状を評価し、潜在的に重要なてんかん因子の仕組みについて対照評価している試験を解析に組み込んだ。Quality Index Scale(QIS)を評価基準として用いた11試験が同定された。 主な結果は以下のとおり。・11試験中10試験で、1つ以上の有意なうつ病予測因子がみつかった。・不安症を評価していた全6試験でも、1つ以上の有意な予測因子がみつかった。・一方で本研究は、全体のQISスコアが15点中7.5点にとどまり、解析に含んだ多くの試験のデザインに限界があった。心理社会的要因の尺度について、試験間でのばらつきも大きかった。・結論として本研究では、てんかん患者のうつ病発症について、帰属的理論とスティグマの重要性は裏付けられなかった。・疾患表出の仕組みに関する裏付けは首尾一貫していなかった。しかし、ストレスと自己効力感の役割については支持できる可能性があった。・対処戦略と認知された社会的サポートの役割については、確固たる裏付けが認められた。・心理社会的因子は潜在的に修正可能であることから、てんかんを持つ人のうつ病発症の仕組みをより理解することは、効果的な治療を導くために急を要することである。関連医療ニュース ・レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院 ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」? ・体重に関する“いじめ”はうつ病のリスクファクター

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生活保護受給者の「医療費一部負担案」、いかがお考えですか?

不正受給問題に端を発し、生活保護のあり方が議論されている中、現在窓口負担がゼロである医療費について患者の一部負担を求める、あるいは後発医薬品の使用を義務付けるという案も出ています。今回の「医師1,000人に聞きました!」ではこれを踏まえ、現場の立場でこの問題がどのようにとらえられているのか尋ねてみました。コメントはこちら結果概要医師の7割以上が生活保護受給者の医療費一部負担に賛成医療費一部負担案に賛成したのは全体の73.1%。勤務形態別に見ると病院医師では76.2%、一般診療所医師では64.9%と、窓口業務まで管理する立場である一般診療所医師は若干低い結果となった。賛成派からは「年金生活者や、働きながら保険料を納め医療費の一部負担をしている低所得者がいることを考えると、生活保護受給者のみ全て無料というのは不公平」といった意見が見られた。「違った方法を考えるべき」医師、『いったん支払い、後日返還しては』など次いで15.6%の医師が「違った方法を考えるべき」と回答。コスト意識を持ってもらうために『いったん支払ってもらい返還する形に』、複数の施設を回って投薬を受ける患者や、悪用する施設の存在を踏まえた『受診施設の限定』などが挙げられた。「現状のままで良い」医師、『理念を維持しながら受給認定を厳密に』一方「現状のままで良い」とした11.3%の医師からは、『生活保護の本質まで変えるべきではない』『受給認定を厳格にすることで対応すべき』といった意見のほか、『現実に支払ができなければ病院の負担になるのが見えているので』といった医師もいた。"後発医薬品の使用義務付け"、病院医師の約6割が賛成、一般診療所医師では意見割れる薬の処方にあたり、生活保護受給者へは価格の安い後発医薬品を義務付けるという案に対しては全体の54.1%が賛成、「現状のままで良い」とした医師は28.9%であったが、一般診療所医師に絞ると賛成40.3%、現状維持37.3%と割れる結果となった。賛成派からは、『後発品は国が「先発品と同等」としているので問題ない』、現状維持派からは『必ずしも薬効が同じとは限らないと考えるため』『院内処方で扱いがない場合がある』『処方の裁量権は医師にある』といったコメントが寄せられた。設問詳細生活保護受給者の医療費負担についてお尋ねします。現在、生活保護受給者が医療サービスを受ける場合、その費用は直接医療機関に支払われ本人負担はありません。市町村国保の被保険者などと比べて生活保護受給者1人当たりの医療費のほうが高いことなどを理由に、適正化のための取り組みを強化すべきだという意見も挙がっています。これに関し、10月23日の日本経済新聞では『三井辨雄厚生労働相は23日の閣議後の記者会見で、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることに関して「自己負担を導入すれば必要な受診を抑制する恐れがあり、慎重な検討が必要だ」と述べた。価格が安い後発医薬品の使用を義務付けることについては「一般の人にも義務付けられていないのに生活保護受給者だけに義務付けるのは難しい」との認識を示した。 生活保護受給者の医療費は全額公費で負担しており、生活保護費の約半分は医療費が占める。財務省は22日の財政制度等審議会の分科会で、医療費を抑制するために医療費の一部自己負担の導入と後発医薬品の使用を受給者に義務付けることを提案していた。』と報じられています。そこで先生にお伺いします。Q1. 医療費適正化のため、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることについて、いかがお考えですか。賛成違った方法を考えるべき現状のままで良いQ2. 生活保護受給者に後発医薬品の使用を義務付けることについて、いかがお考えですか。賛成違った方法を考えるべき現状のままで良いQ3. コメントをお願いします(Q1・2の選択理由、「違った方法を考えるべき」とした方は代替案、その他患者さんとの具体的なエピソード、など、どういったことでも結構です)2012年10月26日(金)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「先発品と後発品の効果がまったく同じと保証できない現状では後発品の義務は困難。感冒薬程度なら問題ないが高度医療を必要とするような患者さんでは問題が出ると思う。」(50代診療所勤務,消化器科)「全くの無料は無駄の原因。工夫の余地をなくす。」(50代病院勤務,内科)「後発品をとるか否かは自由意志とすべき、その代り 医薬品の5%(0.5割負担)でも徴収すべきと思う。そうすれば、安い方を望むなら自ら選択することになる。」(60代以上病院勤務,血液内科)「一部負担は、真面目な方には受診抑制になって、重症化する可能性が出る。生活保護に甘えている方は病院で怒って現場の混乱を生むだけで何の意味もない。それよりは、医療費の適正化をすすめるべきである。求められても不要なお薬は出さない。出さないからと暴れたり、怒ったりする方へのペナルティを明確化する方が良い。後発品義務付けは、治療内容の権利の侵害に当たる可能性があるので勧奨程度にすべき。例えば、糖尿病の治療であっても同じようにHbA1cを下げる薬はあるが、合併症などを防ぐそいう視点で新薬が使用できない場合、将来の合併症を増やし結局医療費の高騰につながる」(40代病院勤務,呼吸器科)「一部負担にしたとして、お金を払ってくれない人を診療拒否できるのなら生保の負担金をつくっても良い。」(50代診療所勤務,内科)「不正受給ばかりが報道されているが、大多数の受給者は後ろめたさから声を上げられないと思います。もちろんどんな医療機関にもフリーに何度でも受診できるということは良くないので、受診可能な機関を一定の生活圏内に制限することや、通院手段を制限するなどの方策も考えられます。」(40代病院勤務,内科)「救急外来への頻繁な来院はペナルティがあっても良い。」(50代診療所勤務,小児科)「負担がないことですべて許されていると考えている受給者が多く、一人ひとりに理解させることは極めて困難であり、一律に決めるべきである」(50代病院勤務,外科)「受給金をパチンコで使い果たし無料で入院、なんてことができないよう方策を考えてほしい。」(50代診療所勤務,腎臓内科)「医療費の負担増加とこれに対する原資の増加を期待する事の難しい情勢からみてやむを得ない事と思います。逆にそのことで負担が少しでも軽減されるのではないかと思います。」(50代病院勤務,産婦人科)「抗けいれん剤を後発品に変更して、ずっと起こっていなかった発作が起こったことがある。後発品を義務づけるなら、特定の薬品に限定すべきと思う。」(50代病院勤務,リハビリテーション科)「一部負担といっても幅があるのでどの程度負担させるのかによって意見が違うと思う」(60代以上病院勤務,腎臓内科)「先発薬と後発薬両方を揃えるのは医療機関に負担となるので反対。」(40代診療所勤務,腎臓内科)「一般の患者は医療費負担は上限ありになっている。生活保護者も基本的には同じ枠組みで良い。上限額に配慮するとか、いったん支払いさせて申請後(部分的に)返ってくるとか。」(40代病院勤務,耳鼻咽喉科)「自己負担をつけても支払いをたぶんしないで病院の負担になるので、現状のままでよい」(50代病院勤務,循環器科)「一律というのは如何か。生活保護を必要としてないのに受給されている人と 本当に必要な人がいることがそもそもおかしいのだが。この両者は区別して、必要ない人は切って欲しい」(40代病院勤務,消化器科)「医療費一部負担は受診抑制に繋がる。また、後発品を使用していない当院では、診察できないことになる。いまだに後発品に不安要素がある事を先に改善すべき。」(50代診療所勤務,内科)「最低保証賃金より保護費の方が高い現状は異常。ワーキングプアの方々が強いられている窮状は、生活保護の方々にも受け入れていただく必要がある。」(40代病院勤務,精神・神経科)「当院受診の生活保護者の半分は疑問に感じる人が多いのは事実、「魚釣りに行って風邪をひいた、点滴をしてくれ」などざら」(50代病院勤務,神経内科)「目に余るケースがあるから、と言って生活保護の本質まで変えるべきではない。取り締まるには人件費などかかるので、現状のままのほうがよい。」(60代以上診療所勤務,精神・神経科)「服薬指導を徹底させ、薬の無駄を少なくすることが大切だと思います。みんながその費用を負担していることを自覚する必要があります。生保患者さんが立て替えで支払うことも一つの案だと思います。」(50代診療所勤務,内科)「後期高齢の生活保護者は無料のままで、若年者は就労を図る意味でも有料化すべき。」(60代以上診療所勤務,内科)「今ほど生保の継続が必要な時期はない」(50代診療所勤務,内科)「他の患者さん同様に窓口負担分をとって、還付を検討すべきでしょう。」(40代病院勤務,内科)「『生活保護で自己負担がないから先発品を処方してくれ』と堂々と言う患者がいて腹が立った」(50代診療所勤務,整形外科)「生活保護でも本当に働きたい人もおり、そういう方はむしろ病気があってもギリギリまで我慢してしまう傾向が強いと思います。元々自分は生保でもそうでなくても基本的に必要不可欠なことしかせず、差はつけていない。この議論自体がおかしいと思う。」(40代診療所勤務,内科)「薬代がタダなので、あまり必要の無い薬を「念のため・・」などと言ってもらって無駄にしていることが有る。」(40代病院勤務,内科)「受診できる病院を限定するとか、カルテを1つにするとか、不正な薬剤処方をなくしたり、不要な受診を減らしたりの工夫が必要」(30代以下病院勤務,小児科)「コンビニ受診は避けるべきだが、本当に加療の必要なひとには受診萎縮にならないようすべき」(50代診療所勤務,口腔外科)「低収入であるが故に受診を控えて病状の悪化を招いたり、経済的理由で後発医薬品しか選択できない勤労者が存在することを考えれば、生活保護受給者が何の躊躇もハンディも無く医療を求めることは問題である」(40代診療所勤務,呼吸器科)「行政側から患者(生保受給者)に説明し、後発品使用を了解(同意)させ、医療機関にその旨「書面で」申し出る。しかし、その場合も最終的には医師の処方権は留保される。」(60代以上診療所勤務,消化器科)「小額でも一部負担とすることで、毎日不要な点滴をしたりする方は減るでしょう。」(40代病院勤務,内科)「薬品は、好みもあり人によっては効果の違いもあるので、義務付けは賛成しかねます。」(50代病院勤務,整形外科)「働ける様な若者も生活保護を受け、日中ぷらぷらしやたらと必要以上に病院へ来る方、結構見かけます。生活保護を受ける基準や負担額なども細かく等級を設けて、等級に応じて設定したらいいのではないか。」(40代診療所勤務,内科)「生活保護を受けている割に子供にピアス、アクセサリーがジャラジャラ・・・本当に必要な家族への受給を充実させ、このような家庭へ受給はしないようにしっかりした制度設計をやり直すべき」(40代病院勤務,小児科)「『どうせタダなんだから薬だしてよ、検査してよ、病院のもうけになるんでしょ』という患者もいる。町のドラッグストア感覚(それよりも手軽)みたいに思っている。一部でも自己負担させるべき。後発品は合う・合わないもあるので義務づけはちょっと乱暴。」(40代診療所勤務,内科)「どの医院も薬局もすべてのものに対応できるものではないので、義務付けではなく、やはり努力目標にせざるを得ないと思う」(50代診療所勤務,泌尿器科)「生活保護になりやすくなっている状態を検討すべき。ならなくていい人もなっている感じと一度生活保護になってしまった人がぬけたくなるような部分も必要なのではないか」(40代病院勤務,血液内科)「『おいしい』ことはなるべく少なくしていくことで、本当に必要な人が「仕方なく受ける」最後の砦にするべき。」(40代病院勤務,内科)「薬を貰うために何軒も医療機関を回るので、公的な指定医療機関を設置しては」(50代診療所勤務,循環器科)「生活保護一歩手前の患者様(化学療法中)を何人か診ているが、その方のほうが、よっぽど生活は苦しいと思います。高額の治療を断念している方もおられます。生活保護受給者は、医療に関しては恵まれすぎ!です。生保以外の方で後発薬を希望される方は多いですし、私自身も抵抗はありません。一部でも自分で負担できないなら後発薬で我慢するべきだし、一時金を払うことは、むやみな受診の抑制に効果あると思います。 上記のような何らかの対策をとらないと、さらに他の人たちの負担が増えてしまうと思います」(40代病院勤務,外科)「一部負担といっても現実に負担できない患者がいれば、それは結局支払われずに病院の負担になる。末端の医療機関への責任転嫁である。現状の後発品制度には多大な問題がある。制度自体に根本的な議論がなされない限り簡単に賛成とはいえない。」(50代病院勤務,循環器科)「国策として後発医薬品の使用を推進するのであれば、先発品にこだわる必要はないはず。生活保護とはあくまでも援助なのだから受給者に選択権はないはずである。」(40代病院勤務,皮膚科)「一旦納付→後日給付にすべき.疾患によっては(アレルギー疾患等)後発薬を使うことは避けるべきで全て義務付けというのは不適切」(40代病院勤務,内科)「風邪などの軽症疾患は自己負担を導入し、慢性疾患や重症疾患はこれまでどおりにしては。」(30代以下病院勤務,小児科)「生活保護が本当に必要な人もいることを忘れてはいけない。」(40代病院勤務,精神・神経科)「働いて健康保険料などを納め、医療費の一部負担をしている、生活保護とあまり年収のかわらない人もいるのだから、何らかの負担は必要と思います」(50代診療所勤務,内科)「ともに、大いに賛成です。 現場の目から見て、「生保だから必要のない受診を気軽に繰り返している人がいる」ということは明白。必要な受診を抑制する可能性も皆無とは言えませんが、本当に必要な場合には、収入や家庭環境などについて綿密な精査を行った上で、自己負担金の免除を決める制度を別途設ければ良いと思います。 もっといえば、不適切受診の内容や明らかに贅沢な生活実態などを医師側から通報できる制度があれば良い」(30代以下病院勤務,循環器科)「基本は後発品とし、医師の判断で変更できればと思います。一部負担で受診抑制を心配するのであれば、その前にワーキングプアといわれきちんと保険料を収めているのに窓口負担を心配して受診できない方々に補助すべきだ。生活保護は最低限の生活を保証すればよいのだから、そうしたものをもらわず働くワーキングプアの方々以上の保護は要らないはず。」(30代以下病院勤務,小児科)「一部の不心得者のために、真に保護が必要な人への援助を削るべきではない。マクロの視点しか持っていない役人やマスコミの怠慢が世の中をどんどん歪めている。不正受給をなくすべく、役人がきっちりと精査することだ」(50代診療所勤務,内科)「生活に必要なお金を受給されているのだから、医療機関の受診、薬代も他の方と同様に支払うべきである。」(40代病院勤務,内科)「不必要に多くの薬をもらって余っていてもなくなったと主張し、さらに多く持って帰る患者がいる。量や種類の制限は必要と思う。」(30代以下病院勤務,整形外科)「経済的理由からジェネリックを希望する人が多い中、全額免除の人だけが高い薬を使うのはヒトとして納得できない。」(30代以下病院勤務,呼吸器科)「生活保護受給者は高価な治療薬を使えるが、通常の被保険者はお金の関係で使いたい薬も使わないでいることがある。何かおかしいです。」(50代病院勤務,呼吸器科)「生活保護受給者が時間外に不必要な受診をすることが度々みうけられるので、時間外受診料などに自己負担を導入すればよいと思う」(30代以下病院勤務,整形外科)「多くの人に不正がないと信じるが、隣人などから薬をもらうよう頼まれてくる人もいるようである。」(50代診療所勤務,内科)「望ましいことではないが、すべてのことについて性悪説にたった制度が必要になってきていると思う。」(50代病院勤務,内科)「生活保護がsafety-netとしての役割を担っていることを考えると、生活保護の医療費の一部を受給者に負担させることは少し賛成しにくい。しかし生活保護を延々と受け取って無料であることを良いことに薬の処方を欲しがる患者がいることは事実であり、それを悪用して薬を無駄に処方させている病院があるのも事実なので、必要以上の処方を行なっていると判断された医師に厳罰が発生するような仕組みのほうが抑制効果があるのではないかと思う。ただし、その基準を明確にする必要があるが、その基準は非生活保護受給者よりも厳しい基準であるべきだと思う。」(30代以下病院勤務,外科)「生活保護の患者さんがブランド物のバッグをもって受診しましたが、このような人に私たちが支払った税金が使われていると思うと、憤りを感じます。」(50代診療所勤務,内科)「もともと、病気で仕事ができないことによる生保受給が多く、一般人に比べ医療費が高くなるのは当然だと思います。 むしろ、何万円ものタクシー代や、飛行機利用を許した対応など、自治体側の対応の仕方が不適切なことの方が問題かと思います。」(50代診療所勤務,消化器科)「医療費の膨張に歯止めをかけるためにはやむを得ないと思う。ただ、原疾患で働けなくて生活保護になっている人は別に扱う事が必要。」(50代診療所勤務,皮膚科)「後発品の場合、特に呼吸器系後発医薬品に変更した際に効果が落ちる例も経験している。効果が落ちた場合は、受診回数の増加や時間外受診の発生などに繋がる場合があるので、義務づけはあまり賛成できない。」(30代以下その他医師,呼吸器科)「奈良の山本病院の事例を含め悪用が目に余り歯止めが利かない」(50代診療所勤務,内科)「利益を享受する分の負担は当然」(30代以下病院勤務,神経内科)「本当に医療を必要とする患者の医療費公費負担と、無料をよいことに安易に行なわれる受診やそれを食い物にする医療機関を選別する方法が必要である。」(50代病院勤務,内科)「低所得者、年金生活者などの方たちは、少ない収入の中で保険料も払い、さらに医療費の何割かを負担している。生活費を切りつめてもいるわけで、生活保護費を丸々自由に使える生活保護者と比べると非常に不公平。 後発医薬品は、無料であるならば選択の自由はなくしてもいいと思っています。厚労省の認可していない薬ならいざ知らず、認可されている薬品なので義務付けてもいいのではないでしょうか。 」(50代病院勤務,泌尿器科)「薬を多めにもらっては売って酒代に換える患者がいますし、月の前半でパチンコをして下旬はお金がなくなり栄養失調の病名で入院、月が変わった受給日には必ず退院する無料の宿泊施設としている患者もいます。ごくごくわずかでも良いので自己負担とすれば少しは抑制できるのでは。本当に必要な人の負担にならないくらいわずかな手数料が必要。」(30代以下病院勤務,脳神経外科)「無料では不必要受診を生む。昔のお年寄りの健康保険無料化のときと同じ弊害。 後発医薬品は薬効が低いというわけではないので、生活保護に関しては当然安い薬に限定するべきでしょう。」(50代病院勤務,その他診療科)「生活保護に限らずまるっきりただはよくない。 ワンコインでも負担すべき」(50代病院勤務,小児科)「タダだからとビタミン剤や感冒薬、睡眠薬などの無駄な薬や検査など何でも要求してくる。負担金を取ったほうが医療費の抑制になる。」(50代病院勤務,内科)

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速報!! AHA 2012

AHA(米国心臓協会)学術集会が、11月3~7日に開催された。興味深い演題を厳選。速報で伝えます。また、後日、その発表に対し、J-CLEARによる解説を予定しています。発表は、日々の臨床にどのような影響を与えるのか?今後、どのように進展していくのか?演題一覧11月7日発表演題EndOVascular Treatment for Infra-inguinal Vessel, in Patients With Critical Limb Sichemia (olive) Registry in Japan日本における下肢虚血に対する血管内治療の成績発表:OLIVEレジストリRandomized Comparison of the Effects of Two Doses of Dabigatran Etexilate on Clinical Outcomes Over 4.3 Years: Results of the Rely-able Double-blind Randomized Trialダビガトラン長期投与で、脳梗塞リスクと出血リスクはどう変わる?11月6日発表演題LAPLACE-TIMI 57 Primary Results期待の『抗PCSK9抗体』の最大規模第II相試験、報告される -LAPLACE-TIMI57試験-Effect of Cardiac Stem Cells in Patients with Ischemic Cardiomyopathy: Interim Results of the SCIPIO Trial Up to 2 Years After Therapy虚血性心不全に対する初の心筋幹細胞移植、2年目成績が明らかに!-SCIPIO試験-11月5日発表演題Effects of the Cholesteryl Ester Transfer Protein Inhibitor Dalcetrapib in Patients with Recent Acute Coronary SyndromeCETP阻害薬によるHDL-C増加、今度は有用性を示せたか?:dal-OUTCOMESEnligHTN™ I, First-in-man Multi-center Study of a Novel Multi-electrode Renal Denervation Catheter in Patients with Drug-Resistant Hypertension同時複数箇所焼灼カテーテルを用いた腎動脈アブレーションの安全性:降圧効果は?:EnligHTN 111月4日発表演題A Randomized Trial of Bedside Platelet Function Monitoring to Adjust Antiplatelet Therapy Versus Standard of Care in Patients Undergoing Drug Eluting Stent Implantation: The ARCTIC Study待機的ステント留置例におけるVweyfi-Nowによる血小板活性測定の有用性、認められず:ARCTICResults of the Trial to Assess Chelation Therapy心筋梗塞後慢性期に対するキレート療法、有用性を確立するには至らず:TACT

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高齢男性の大腿骨頸部骨折予防には地中海式ダイエットが効果あり!?

 大腿骨頸部骨折予防は重大な公衆衛生の課題である。ギリシャ・アテネ大学医学部WHO共同・食と栄養政策センターのBenetou V氏らは、欧州8ヵ国からなる成人コホートを対象に、地中海式ダイエットと大腿骨頸部骨折発生との関連を前向きに調査した。その結果、地中海式ダイエットの遵守と、とくに男性における大腿骨頸部骨折発生減少とに関連するエビデンスを見出したと報告した。これまで大腿骨頸部骨折発生に関与する食事内容のエビデンスはほとんど報告されていなかった。Osteoporos Int.誌オンライン版2012年10月20日号の掲載報告。 European Prospective Investigation into Cancer and nutrition studyの参加者合計18万8,795人(男性4万8,814人、女性13万9,981人)を適格とし解析に組み込んだ。 食生活について、ベースラインで食事評価ツールを用いて評価し、地中海式ダイエットの遵守については、地中海式ダイエットスコア(MDs:10点スケール、一価不飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸で置き換え)で評価した。 大腿骨頸部骨折発生との関連は、潜在的交絡因子で補正後のCox回帰モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者の平均年齢は48.6(±10.8)歳、追跡期間中央値9年間であった。その間に、802例の大腿骨頸部骨折発生が記録された。・地中海式ダイエットの遵守度の増加に伴い、大腿骨頸部骨折発生率は7%減少していた[MDs 1単位増加ごとのハザード比(HR):0.93、95%CI:0.89~0.98]。・この関連は、男性でエビデンスが明白で、高齢者でやや強かった。・1日の摂取量の1標準偏差に近づく増加量を用いた検討では、全サンプル中で、野菜を多く摂ること(HR:0.86、95%CI:0.79~0.94)、果物を多く摂ること(同:0.89、0.82~0.97)が、大腿骨頸部骨折発生率の低下と関連していた。・一方で、肉を多く摂ること(同:1.18、1.06~1.31)は、大腿骨頸部骨折の発生率の増加と関連した。過度の飲酒もリスク因子であった(中程度に対する高度のHR:1.74、95%CI:1.32~2.31)。

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【速報!AHA2012】ダビガトラン長期投与で、脳梗塞リスクと出血リスクはどう変わる?

 非弁膜症性心房細動(AF)例を対象とした大規模試験 "RE-LY" において、直接的トロンビン阻害薬ダビガトランは、220mg/日と300mg/日の2用量が用いられた。その結果、300mg/日は220mg/日に比べ脳梗塞リスクは有意に減少させるも、大出血は増加傾向にあった(ただしいずれの用量でもワルファリンよりは低出血率)。この結果は、より長期の服用においても維持されるようだ。Stuart J. Connolly氏(マクマスター大学:カナダ)がRELY-ABLEの結果として、学会最終日となる7日、Clinical Science:Special Reportsセッションで報告した。  RELY-ABLEはRE-LYの延長試験である。対象は、RE-LY参加18,113例中、終了時にダビガトランを服用していた9011例のうち、RELY-ABLE参加施設に登録され、かつ同意の得られた5,851例である(RE-LY全体の32.3%)。RE-LYと同様の「脳卒中・全身性塞栓症の抑制率」・「出血リスク」が維持されるか検討した。その結果、下記のデータからConnolly氏は、「RE-LYで示された傾向は維持されている」と結論している。  すなわち、平均2.3年間のRELY-ABLE追跡期間中、「脳卒中・全身性塞栓症」発生率は、300mg/日群:1.46%、220mg/日群:1.60%、だった(RE-LYではそれぞれ1.11%、1.53%)。 この結果をRE-LY参加18,113例のデータと併せると、平均3年間の追跡期間で、ダビガトラン300mg/日群の「脳卒中・全身性塞栓症」発生率は1.25%/年、220mg/日群は1.54%となり、300mg/日群で有意に低かった(ハザード比:0.81、95%信頼区間:0.66~0.96)。  次に大出血は、RELY-ABLE追跡期間中、300mg/日群で3.74%/年、220mg/日群は2.99%/年だった(RE-LYではそれぞれ3.11%、2.71%)。リスクを比較すると、300mg/日群で有意に高かった(ハザード比:1.26、95%信頼区間:1.04~1.53)。 こちらもRE-LY全例のデータと併合すると、大出血の年間発生率は、300mg/日群:3.38%、220mg/日群:2.83%となり、やはり300mg/日群のリスクが有意に高かった(ハザード比:1.20、95%信頼区間:1.07~1.35)。頭蓋内出血も同様の傾向を示した(ハザード比:1.45、95%信頼区間:0.98~2.16)。 生存率は、RELY-ABLE追跡期間中、RELY-ABLE+RE-LY全例のいずれにおいても、300mg/日群と220mg/日群で同等だった。  この成績について指定討論者のRobert P Giugliano氏(ハーバード大学:米国)は、RELY-ABLEに参加する時点で対象は多くのセレクションを経ているため、300mg/日群と220mg/日群の背景はRE-LY開始時のように揃っていない(無作為化は維持されていない)点を指摘。さらに、RELY-ABLEでは服用中止時点で追跡も終了するため、「レジストリ研究というよりは観察研究」に近いと指摘した。取材協力:宇津貴史(医学レポーター)「他の演題はこちら」

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