サイト内検索|page:414

検索結果 合計:10293件 表示位置:8261 - 8280

8261.

DESは生命予後改善効果を持つ!?従来の説に一石(解説:野間 重孝 氏)-226

 安定型冠動脈疾患に対する冠動脈再建術の最も重要な目的は生命予後の改善であり、その目的のために心筋梗塞や不安定狭心症の発生を予防することにある。同時に、狭心症状の改善による生活の質(QOL)の向上もまた重要であることはいうまでもないが、両者は必ずしも両立するとは限らない。 冠動脈バイパス術(CABG)は内科的治療に比してQOLの改善とともに生命予後の改善が得られることが早くから証明された。1980年以前のデータについてはその後の内科的治療(optimal medical therapy; OMT)の発達により見直しの必要が迫られたが、その後に発表されたより新しい研究においてもその有効性は揺らいでいない。 一方、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はQOLの改善と心筋梗塞を含めた、いわゆる急性冠症候群(ACS)に対する予後改善効果は証明されているものの、安定型冠動脈疾患の予後改善効果には否定的な意見が多く、これは薬物溶出ステント(DES)が主流となった現在においても変わっていなかった。 本研究は現在において最大規模のメタアナリシスであり、CABGとPCIの全死因死亡をprimary endpointとし、心筋梗塞の発生、全死亡と心筋梗塞の複合、および再血行再建術の施行をsecondary endpointとして行われた。(このようなhard endpointを用いるのはこの種の研究では盲検化が不可能であるため、関係者の判断が入る余地のないendpointを用いる必要があるからで、この分野ではスタンダードとなっている。) この研究の画期的な点は1点に集中していると考えられ、それはDESによる血行再建術に予後改善効果が期待できることを示した点である。さらに心筋梗塞の発生、再血行再建術の予防についても有効であることが示された。しかしながら、それ以外の方法によるPCIではOMTとの間で差がみられなかった。 この研究結果について評者は軽々に判断を下す立場にはない。しかしながら、本研究はこの分野の議論に大きな一石を投ずる結果となることは間違いないと思われ、今後の議論の進展を評者自身興味深く見守っていきたいと考える。

8262.

高齢でも<7%を視野に

高齢の糖尿病患者さんも可能な範囲で HbA1c<7%を目指しましょう※(%)6049.150認知症の頻度約5倍40302010.710.911.810高齢の糖尿病患者さんの調査からHbA1cが高い人(7%以上)は、高くない人(7%未満)と比べて認知症を約5倍起こしやすいことが示されています。03.7~5.2 5.3~5.7 5.8~6.97以上HbA1c(%)※患者さんによって目標とする血糖値は異なります。管理目標は主治医とよくご相談ください。Lu Gao,et al.BMC Public Health.2008,8:54より作図Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

8263.

認知症にスタチンは有用か

 アルツハイマー病(AD)や血管性認知症(VaD)へのスタチン治療は、比較的未開拓の領域である。先行文献において、ADではβ-アミロイド(Aβ)が細胞外プラークとして沈着し、Aβ生成はコレステロールに依存することが確認されている。また、VaDの病因に高コレステロール血症が関与していることも知られている。そこで、英国・Belfast Health and Social Care TrustのBernadette McGuinness氏らは、認知症に対するスタチン治療の有益性について、システマティックレビューとメタ解析により検討を行った。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月8日号の掲載報告。 研究グループは、スタチンがコレステロールを低下させることから、ADやVaDの治療において有効であることが期待できるとして、臨床的有効性および安全性を評価した。今回の検討では、ADおよびVaDの治療におけるスタチンの効果が、コレステロール値、ApoE遺伝子型、認知レベルに左右されるかどうかを評価した。2014年1月20日時点で、ALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement GroupのSpecialized Register、Cochrane Library、MEDLINEなどを検索。認知症と診断された人に6ヵ月以上スタチンを投与していた二重盲検無作為化臨床比較試験を適格とした。2名の著者がそれぞれデータの抽出と評価を行い、研究グループは必要に応じてデータをプールしメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・検索で特定したのは、4試験(被験者1,154例、年齢50~90歳)であった。著者らは、全試験のバイアスリスクは低いと評価した。・全被験者が、標準的な診断基準によりADがほぼ確実もしく疑いがあった(possible/ probable AD)。また、これらは、ほとんどの被験者でコリンエステラーゼ阻害因子に基づき確認されていた。・全試験が、ADAS-Cogのベースライン時からの変化を主要アウトカムとしていた。プールデータ解析の結果、ADAS-Cogへのスタチンによる有意な有益性は認められなかった(平均差:-0.26、95%信頼区間[CI]:-1.05~0.52、p=0.51)。・また、全試験で、MMSEのベースライン時からの変化が報告されていた。プールデータ解析の結果、MMSEへのスタチンによる有意な有益性はみられなかった(平均差:-0.32、95%CI:-0.71~0.06、p=0.10)。・治療関連の有害事象は、3試験で報告されていた。プールデータ解析の結果、スタチンとプラセボで有意差はみられなかった(オッズ比:1.09、95%CI:0.58~2.06、p=0.78)。・スタチンとプラセボとの間に、行動、全体的機能やADLに有意差はみられなかった。・VaDの治療におけるスタチンの役割について評価した試験は見つからなかった。関連医療ニュース スタチン使用で認知症入院リスク減少 アルツハイマーの予防にスタチン 認知症予防効果を降圧薬に期待してよいのか

8264.

乾癬へのセクキヌマブの有効性/NEJM

 中等症~重症の局面型乾癬に対し、新規開発中のインターロイキン-17A阻害薬セクキヌマブ(secukinumab、国内承認申請中)を投与することで、12週間後に症状が75%以上改善した人は約7割に上ることが示された。カナダ・ダルハウジー大学のRichard G. Langley氏らが、2件の第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、「ERASURE」と「FIXTURE」の結果、報告したもので、著者は、「中等症~重症の局面型乾癬に対し、セクキヌマブは有効であることが示された」とまとめている。NEJM誌オンライン版2014年7月9日号掲載の報告より。12週間後のPASI 75の割合を比較 ERASURE(Efficacy of Response and Safety of Two Fixed Secukinumab Regimens in Psoriasis)試験では、中等症~重症の局面型乾癬の患者738例を無作為に3群に分け、それぞれセクキヌマブを300mg、150mgまたはプラセボ(5週間は週1回、その後は4週ごと)をそれぞれ投与した。FIXTURE(Full Year Investigative Examination of Secukinumab vs. Etanercept Using Two Dosing Regimens to Determine Efficacy in Psoriasis)試験では、1,306例を無作為に4群に分け、セクキヌマブ300mg、150mg、プラセボと、エタネルセプト(50mg、12週間は週2回、その後は週1回)をそれぞれ投与した。 主要評価項目は、PASI(psoriasis area-and-severity index)スコアがベースライン時から75%以上改善(PASI 75)した人と、5ポイント修正IGA(investigator’s global assessment、研究者による皮膚症状の重症度の包括的な評価尺度)のスコアが0(寛解)または1(ほぼ寛解)の割合だった。PASI 75達成患者、セクキヌマブ群7~8割、エタネルセプト群4割 結果、12週間後にPASI 75だった患者の割合は、セクキヌマブ群がプラセボ群、エタネルセプト群よりも有意に高率だった。具体的には、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が81.6%、同150mg群が71.6%に対し、プラセボ群が4.5%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が77.1%、150mg群が67.0%に対し、エタネルセプト群44.0%、プラセボ群4.9%だった(両試験ともセクキヌマブ群vs. 比較群のp<0.001)。 また、修正IGAスコアが0または1の人の割合も、セクキヌマブ群でプラセボ群やエタネルセプト群より有意に高率だった。各試験の結果は、ERASURE試験では、セクキヌマブ300mg群が65.3%、同150mg群が51.2%、プラセボ群は2.4%だった。FIXTURE試験では、セクキヌマブ300mg群が62.5%、150mg群が51.1%、エタネルセプト群が27.2%、プラセボ群が2.8%だった(同p

8265.

Vol. 2 No. 3 肺高血圧症とは 肺高血圧症の発症機序に関する最新知見と臨床分類

中村 一文 氏岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学はじめに肺高血圧症の発症機序に関する肺循環生理の3つの特徴を述べたあと、肺動脈内腔の狭窄を引き起こす3つの発症機序について概説する。また、receptor for advanced glycation endo-products(RAGE)の関与など最新の知見についても説明する。さらに、ニース会議における肺高血圧症の臨床分類の従来との変更点を簡単に説明し、最後に3系統の薬剤を使用したあとにわかった最近の話題を述べる。肺循環の生理と肺高血圧1. 低圧系・低抵抗系かつコンプライアンスが大きい肺循環系は体循環系と比べ低血圧系であり、安静時肺動脈圧の正常値は収縮期圧20〜30mmHg、平均圧10〜15mmHg程度である。肺血管抵抗は、全身血管抵抗の約1/5~1/6と低い。肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension: PAH)の診断を行う場合には、安静時に平均肺動脈圧25mmHg以上で肺動脈楔入圧が15mmHg以下と定義されている。さらに、肺循環系の特徴はコンプライアンスが大きいことである。運動など肺血流量の増大時は、肺血管は容易に伸展し、受動的な拡張(distension)が生じる。また、それまで血流のなかった血管に再疎通(recruitment)が生じる。このように肺血管床は予備血管床が多いので、肺動脈に器質的狭窄が起こってきたとき、有効肺血管床が1/3以下に減少するまで安静時の肺動脈圧の上昇はみられないと考えられている1)。したがって、肺高血圧はカテーテルにて診断された時点で病像はかなり進んでいるということを認識して、治療にあたる必要がある。2. 低酸素性肺血管攣縮肺胞換気量の低下などにより肺胞気酸素分圧が低下すると、その肺胞領域を灌流する細小動脈に血管収縮が生じ、血流が減少する。これは低酸素性肺血管攣縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction: HPV)といわれ、換気のよい肺胞により多くの血液が流れるようにする自己調節機能である。この肺血管収縮は、低酸素を伴う肺疾患などの病気においては肺高血圧の原因の1つになる。したがって、低酸素を予防するため、肺高血圧治療の一般的ケアとして酸素が用いられる。3. 生理活性物質による肺循環の調節血管内皮細胞から産生される血管拡張因子であるnitric oxide(NO)とprostaglandin I2(PGI2)、さらに血管収縮因子であるエンドセリンは、血管平滑筋に作用してそれぞれ血管を弛緩・収縮させる。NOならびにそのシグナル伝達物質であるcGMPの分解を抑制するホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬、そしてPGI2は、肺高血圧の治療に応用されている。また、血管収縮因子であるエンドセリン受容体の拮抗薬も肺高血圧の治療に使用されている。肺動脈性肺高血圧症の発症機序PAHの病態の主体は肺動脈内腔の狭窄で、主に3つの要因により生じる。1つは血管内皮細胞および平滑筋細胞などの過剰増殖とアポトーシス抵抗性による血管リモデリング、2つ目は血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスによる血管収縮、3つ目は凝固系の異常による病変部での血栓形成である。以上の結果、肺血管抵抗が上昇し、肺動脈圧の上昇や右心不全を引き起こす。前述の肺循環生理の破綻がそこにはある。1. 血管リモデリング診断時に行われる急性血管拡張試験で陽性例が少ないこと、薬剤治療(PGI2、エンドセリン受容体拮抗薬、PDE-5阻害薬)により速やかには改善しないこと、叢状病変(plexiform lesion)には異常増殖性・アポトーシス抵抗性・増殖因子に対する異常反応などの性質を持つ内皮細胞が認められることから、細胞の腫瘍性増殖による血管リモデリングがPAHの主要な原因と考えられている(cancer paradigm)2)。【血管内皮細胞の異常増殖とパラクリン作用】叢状病変の形成には、内皮細胞の異常な増殖が関与する。PAHの血管内皮細胞は単一性増殖(monoclonal proliferation)、すなわち腫瘍性増殖を示す。PAHの血管内皮細胞はFGF2などを過剰に発現しており、そのパラクリン作用が肺動脈平滑筋細胞の増殖を促す。【平滑筋細胞の過剰増殖】肺動脈は本来非筋性の径20~30μmの細動脈(arteriole)レベルまで筋層が発達し(muscularization of arteriole)、内膜や中膜の肥厚により狭窄・閉塞を示す。走査型電子顕微鏡で見ると毛細血管に至るまでに一部動脈が閉塞し、枯れ枝状になっている(本誌p.10図を参照)3, 4)。PAH肺動脈平滑筋細胞におけるbone morphogenetic protein(BMP)シグナル異常が、細胞の異常増殖に関与している。肺高血圧のない対照者由来の肺動脈平滑筋細胞では、BMPリガンド刺激は平滑筋細胞の増殖を抑制するのに対し、PAH肺動脈平滑筋細胞ではこの抑制効果が欠如している。このBMPによる増殖抑制効果の低下は、BMP2型受容体(BMPR2)遺伝子異常の有無にかかわらず認められる。血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)刺激への過剰反応も認められる。PAH肺動脈平滑筋細胞において、PDGF刺激による増殖が、肺高血圧のない対照者のものより亢進している5, 6)。PDGF受容体アンタゴニストのイマチ二ブは、PAH肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用を有する6)。イマチニブとプラセボを比較した第Ⅲ相臨床試験(IMPRES study)では、6分間歩行距離が有意に増加し(primary endpoint)、PVRが有意に減少したが、残念ながら副作用発現や治療継続困難な例が多く、臨床応用は困難となっている7)。【平滑筋細胞のアポトーシス抵抗性】PAH患者の肺組織ではproapoptotic/antiapoptotic遺伝子の比が減少しており、PAH患者の肺動脈平滑筋細胞はアポトーシス抵抗性が亢進している8)。また、正常または二次性肺高血圧の肺動脈平滑筋細胞では、BMP-2,-7によりアポトーシスが誘導されるが、PAH肺動脈平滑筋細胞では誘導されない。このアポトーシス抵抗性の機序の1つとして、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)電流の低下が考えられている。細胞内カリウム(K)イオン濃度の増加によりカスパーゼ活性が抑制され、アポトーシス抵抗性となる9)。他の機序としてアポトーシス抑制蛋白であるsurvivinの発現亢進も認める。高用量のPGI2療法は臨床上有効であり10)、肺動脈平滑筋細胞にFasリガンドのupregulateを介しアポトーシスを引き起こす(本誌p.11 図を参照)11)。【PAH平滑筋細胞におけるRAGEの関与】終末糖化産物受容体(RAGE)はイムノグロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通型の蛋白で、終末糖化産物(advanced glycation endo-products: AGE)のほか、免疫系細胞から分泌されるS100蛋白などが結合する。PAH患者の肺動脈平滑筋細胞ではRAGEの発現が亢進している12)。それはSTAT3の活性化、BMPR2とPPARγの減少につながり、過剰増殖とアポトーシス抵抗性を引き起こしている。モノクロタリンとSugen誘発性PAHモデルラットにおいて、siRNAにてRAGEの発現を抑制したところ、肺動脈圧の減少効果が認められ、RAGEは今後の治療標的として注目されている。糖尿病治療では、初期からの厳格な血糖管理が、長期にわたり血管合併症に関して抑制的に作用する遺産効果(legacy effects)があるといわれている。この効果にAGE/RAGEの初期からの長期にわたる抑制が関与すると考えられている。肺高血圧治療に「legacy effectsは存在するのか?」さらに「それにRAGEは関与するのか?」、興味がつきないところである。【CTEPH細胞】慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の器質化血栓から単離した細胞(CTEPH細胞)は増殖能が高く、PDGF受容体の発現が増加しており、正常平滑筋細胞とは異なる性質を持つ。OgawaらはPDGFにより増殖が亢進し、ストア作動性カルシウム流入が亢進することなどを報告している13)。この細胞の特性を明らかにすることはCTEPHの病変進行の機序の解明につながると期待されている。2. 血管収縮PAHでは血管拡張因子と血管収縮因子のアンバランスもある。血管拡張につながる内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現低下と、血管収縮につながるエンドセリン-1の発現亢進がみられる。さらにPGI2 合成酵素の発現低下によるPGI2の低下も認められる14)。原子間力顕微鏡を用いて、肺動脈平滑筋細胞の弾性率を検討したところ、コントロール状態(=無刺激時)の弾性率はPAH肺動脈平滑筋細胞と肺高血圧のない対照者の肺動脈平滑筋細胞間で差はなかったが、NOに対する反応をみると、対照者の細胞では弾性率が低下するのに対し、PAH細胞では弾性率に変化が認められなかった(本誌p.12図を参照)15)。すなわち、PAH肺動脈平滑筋細胞は生体内の血管弛緩物質であるNOに対して反応しにくい細胞であると考えられる。3. 血栓形成PAH患者の内皮においては、血小板の凝集につながるトロンボキサンA2が増加し、抗凝集につながるプロスタサイクリン(PGI2)の減少を認める。肺高血圧症の臨床分類2013年2月、ニースにおいて第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムが開催された。そこで提唱された分類は、2008年のDana Point分類と大きな違いはなかったが、新生児遷延性肺高血圧症は第1群の亜型に、溶血性貧血は第5群に移動となっている(表)。表 肺高血圧症の臨床分類(ニース会議2013)画像を拡大する最近の話題現在使用されているPGI2(とその誘導体)、PDE-5阻害薬、エンドセリン受容体拮抗薬は、血管拡張作用のみならず肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用も有する。また、高用量のPGI2は肺動脈平滑筋細胞にアポトーシスも引き起こす11)。このような薬剤を使用されている状況下で肺移植を受けた62名の患者の肺動脈病理が最近報告された16)。PAHの肺動脈では内膜と中膜の肥厚を認めたが、内膜の肥厚が優性であった。血管周囲の炎症細胞浸潤も著しかった。叢状病変もよく認められたが、PGI2治療を受けていない人の方が少なかった。この結果から、現状の3系統の薬剤治療にて、中膜平滑筋の増殖は抑制できうるが、内膜の肥厚と叢状病変は抑えきれないことがわかる。また炎症細胞浸潤が病態の進行に関与していることも示唆される。残るこれらの病変の機序の解明とそれらを標的とした治療法の開発が期待される。文献1)国枝武義. 「肺高血圧症の概念, 病態, 治療体制の確立に向けて」基調講演. Ther Res 2005; 26 :2012-2021.2)Rai PR et al. The cancer paradigm of severe pulmonary arterial hypertension. Am J Respir Crit Care Med 2008; 178: 558-564.3)Miura A et al. Three-dimensional structure of pulmonary capillary vessels in patients with pulmonary hypertension. Circulation 2010;121: 2151-2153.4)Miura A et al. Different sizes of centrilobular ground-glass opacities in chest high-resolution computed tomography of patients with pulmonary veno-occlusive disease and patients with pulmonary capillary hemangiomatosis. Cardiovasc Pathol 2013; 22: 287-293.5)Ogawa A et al. Prednisolone inhibits proliferation of cultured pulmonary artery smooth muscle cells of patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circulation 2005; 112: 1806-1812.6)Nakamura K et al. Pro-apoptotic effects of imatinib on PDGFstimulated pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2012; 159: 100-106.7)Hoeper MM et al. Imatinib mesylate as add-on therapy for pulmonary arterial hypertension: results of the randomized IMPRES study. Circulation 2013; 127: 1128-1138.8)Geraci MW et al. Gene expression patterns in the lungs of patients with primary pulmonary hypertension: a gene microarray analysis. Circ Res 2001; 88: 555-562.9)Remillard CV et al. Activation of K+ channels: an essential pathway in programmed cell death. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2004; 286: L49-67.10)Akagi S et al. Marked hemodynamic improvements by high-dose epoprostenol therapy in patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Circ J 2010; 74: 2200-2205.11)Akagi S et al. Prostaglandin I2 induces apoptosis via upregulation of Fas ligand in pulmonary artery smooth muscle cells from patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol 2013; 165: 499-505.12)Meloche J et al. Critical role for the advanced glycation end-products receptor in pulmonary arterial hypertension etiology. J Am Heart Assoc 2013; 2: e005157.13)Ogawa A et al. Inhibition of mTOR attenuates store-operated Ca2+ entry in cells from endarterectomized tissues of patients with chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2009; 297: L666-676.14)Christman BW et al. An imbalance between the excretion of thromboxane and prostacyclin metabolites in pulmonary hypertension. N Engl J Med 1992; 327: 70-75.15)Nakamura K et al. Altered nano/micro-order elasticity of pulmonary artery smooth muscle cells of patients with idiopathic pulmonary arterial hypertension. Int J Cardiol. 2010; 140: 102-107.16)Stacher E et al. Modern age pathology of pulmonary arterial hypertension. Am J Respir Crit Care Med 2012; 186: 261-272.

8266.

いぼの治療にMMRワクチンが有効

 疣贅(ゆうぜい=いぼ)へのMMRワクチンを用いた病巣内免疫療法は、忍容性があり効果的であることが、韓国・朝鮮大学校医学部のC. H. Na氏らによる検討の結果、示された。現状で有用な疣贅治療は、冷凍療法、レーザー治療、電気外科治療、角質溶解薬の局所塗布などがあるが、痛みを伴うことが多く治療部位が瘢痕となる可能性がある。一方で近年、皮膚反応検査の抗原やワクチンを用いた病巣内免疫療法が疣贅治療に有効であることが示されていた。Clinical and Experimental Dermatology誌2014年7月号の掲載報告。 研究グループは、疣贅の新たな病巣内免疫療法として、MMRワクチンを用いた治療法の有効性を評価する後ろ向き検討を行った。 さまざまなタイプの疣贅を有する136例を登録し、2年間にわたって評価。患者は、2週間に1回、計6回にわたって治療を受けた。 治療反応は、疣贅の大きさ、数の減少を3段階で分類し評価した。また、完全奏効(CR)を再発で確認。写真とカルテで臨床評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者136例の半数(51.5%)が、疣贅の大きさ・数について50%超の減少を認めた。・被験者の46.7%が異なる部位に疣贅が拡散していたが、良好な治療反応を示した。・一般的な疣贅は、その他のタイプの疣贅と比べて治療反応が有意に高率であった(p<0.05)。しかし、有効であることを示すその他の臨床変数は認められなかった。・ほとんどすべての患者は接種時に軽度の痛みを報告したが、その他の副作用はほとんど観察されなかった。・CRが確認された患者のうち、6ヵ月後に疣贅再発を呈したのはわずかに5.6%であった。・著者は、「痛みに敏感で副作用を心配する一般的な疣贅患者には、MMRワクチンを用いた病巣内免疫療法が、忍容性があり有効であることを提案する」とまとめている。・「治療反応は、接種回数を増やすことで改善する」としている。

8267.

うつ寛解のポイントは疲労感

 大うつ病性障害(MMD)患者に対する、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療のアウトカムに、疲労感はどのような影響を及ぼすのだろうか。この疑問を明らかにすべく、M. Ferguson氏らはSTAR*Dの二次解析により検討を行った。その結果、ベースライン時の疲労感が軽度であること、および治療中の疲労回復は、うつ症状の寛解、および良好な機能やQOLと関連していることが示された。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年7月4日号掲載の報告。 研究グループは、STAR*Dのレベル1治療(14週以下のシタロプラム単独療法)のデータを解析した。疲労感は、16項目のうつ症状簡易自己評価票(QIDS-SR16)から活力(energy)レベルに関係していた項目14で、前向きに評価した(スコア0~3、0は疲労感なし、3は疲労感が最大)。評価は、レベル1治療の導入および終了時に行った(疲労感なし/ 治療により疲労感が出現/ 疲労感が軽減/ 疲労感が残る)。 主要評価項目は、抑うつ症状の寛解(17項目のハミルトンうつ病評価尺度で7以下、またはQIDS-SR16で5以下)、生活の質に関する楽しみと満足感の簡易質問票(Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire-Short Form)の評価、簡易健康調査の精神・身体的サブスケール(Short-Form Health Survey Mental and Physical subscales)、仕事と社会性の調整尺度(Work and Social Adjustment Scale;WSAS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時2,868例の患者が、解析に組み込まれた。QIDS-SR16の項目14のスコアが0であった患者は5.5%、1は22.9%、2は53.6%、3は18.0%であった。・レベル1の治療中、疲労感なしであった患者は3.5%、治療により疲労感が出現は2.1%、治療中に疲労感が軽減33.6%、疲労感が残った患者は60.8%であった。・「女性」「失業中」「教育を受けた期間が短い」「月収が低い」が、ベースライン時の疲労感と有意に関連していた(すべてp<0.0001)。・ベースライン時の疲労感レベルが高かった人または疲労感が継続した人は、寛解の尤度が低く、あらゆる満足感が低かった(p<0.0001)。治療アウトカムにおける精神的・身体的機能が低く(p≦0.005)、WSAS総スコアも高い(p<0.0001)ことから、機能障害がより重度であることが示唆された。・一方、ベースライン時の疲労感レベルが低く抗うつ薬治療中に疲労感が軽減したMMD患者は、うつ症状寛解率が高く、機能およびQOLも良好であった。・本検討は、STAR*Dのレベル1サンプル(抗うつ薬がシタロプラムのみであった)を採用していたこと、活力/疲労感の代替指標を用いていたこと(QIDS-SR16の項目14)、副次的な事後解析デザインであることから限定的であった。関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 「笑い」でうつ病診断が可能に うつ病患者、SSRI治療開始1年以内に約半数がセカンド治療に  担当者へのご意見箱はこちら

8268.

1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第10回

第10回:3年間ではMCI患者の25%が悪化する 介護保険制度を利用している自立度II以上の認知症高齢者は、日本では現在約280万人おり、認定を受けていない方も含めると400万人いるといわれています。今後は、2025年に介護保険制度を利用している自立度II以上の認知症高齢者は、470万人に増加すると予測されています1)。認知症の中核症状は脳の老化として捉えると、人口動態からはごく自然な数かもしれません。一方、認知症の前段階と考えられているMCI(Mild Cognitive Impairment)は認知症を除く高齢者の16%に存在するといわれ、発症率は63.6人/千人・年といわれています2)。認知症の早期発見早期治療も叫ばれて、多くの薬剤が発売されていますが、MCIに対する介入も大切かもしれません。この文献の結果から、MCIの75%が安定とみるのか、25%が悪化とみるのか。とても考えさせられた文献でした。 以下、本文 Annals of Family Medicine 2014年3-4月号2)より1.概要プライマリ・ケア医にかかっている75歳以上で、認知症がなく、少なくとも1年に1度はプライマリ・ケア医に通院している方3,215人(ただしナーシングホームや訪問診療を受けている人、3ヵ月以内に生命を脅かすような病気をした人は除いている)の中からMCIの基準を満たす483人を抽出した。そのうち3年間フォローできたMCIの患者357人を分析した。2.診断基準MCIの基準は、International Working Group on Mild Cognitive Impairmentが提唱している方法により診断した。(1)認知症がないこと、(2)客観的な認知力の課題に対して自分や他者からみてうまくできないことを繰り返している確かな証拠があるが、(3)日常生活や道具を使っての最低限の基本生活はできていること。Global Deterioration Scale of Reisberg の4点以上を認知症と診断。3点以下であり、かつ、記憶・見当識・知的活動と高い皮質活動の4領域の項目で、年齢・教育レベル水準から1偏差以上低下していることをMCIとした。MCIのグループは4つに分けた。記憶領域だけが低下している群、記憶領域は正常で他の1領域だけが低下している群、記憶領域は正常で他の2領域以上が低下している群、記憶領域の低下とその他の領域の低下が同時にみられる群である。3.結果経過観察をしつつ、1年半後と3年後に、再度認知機能を評価した。認知機能が改善した群、変わらない群、悪化した群、改善とMCIの行き来をした群の4つに分けた。41.5%の人が1年半と3年で認知機能は正常を示した。21.3%は良くなったり悪くなったり、14.8%は認知機能変わらず、22.4%は認知症へと進行した。抑うつがあったり、記憶領域より他の2領域以上が低下している人、記憶領域とその他の領域も低下している人、より高齢な人は、認知機能が悪化する群に移る傾向が高かった。新たな事柄を覚えて10分後に聞き直すという記憶テストは、MCIが良くなるか、進行するかのもっとも鋭敏なテストであった。4.考察プライマリ・ケアにおいて、3年間の間に、25%のMCIの患者が認知症へと進行した。MCIの臨床診断基準は変わるかもしれないが、75%のMCIの患者は3年の間で、改善したり、変化がなかったりすることを忘れてはならない。ゆえに、MCIの診断を受けたからといって、不必要に不安をあおるべきではない。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 厚生労働省.「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上の高齢者数について(2014.8公表) 2) Kaduszkiewicz H, et al. Ann Fam Med. 2014; 12: 158-165.

8269.

貧困がてんかん発症のリスク

 てんかんの疫学について経済的な側面から考察を行った結果、貧困がてんかんの罹患率および死亡率増加のリスク因子であることを、イタリア・IRCCS Mario Negri Institute for Pharmacological ResearchのEttore Beghi氏らが報告した。また、貧困問題を解決することで、てんかんによる死亡を防ぐことも可能であると指摘している。Epilepsia誌オンライン版2014年6月25日号の掲載報告。 著者らは、経済的な側面からてんかんの考察をする意義について、次のように述べている。・てんかんの罹患率、有病率および死亡率は、それぞれの国のさまざまな経済情勢により違いがみられる。・それらの相違は、方法論の問題、若年死亡率、発作の抑制、社会経済的要因およびスティグマなどにより説明されうる。しかし、急性症候性または非誘発性の孤発発作の患者を含めた場合は、診断分類に誤りが生じ、結果的にてんかんの疫学に影響する可能性がある。・そのほかにも、対象とした集団の年齢、人種、てんかんの定義、調査方法が前向きか後ろ向きか、症例の報告源および経験的および予想されるスティグマなどがバイアスとなる。・若年死亡率は、低所得国における課題であり、同国では治療の格差、脳の感染症および外傷性脳損傷が、高所得国と比べて頻度が高い。また、未治療のまま放置されているてんかん患者または急性症候性てんかん患者がいる場合、これが死亡率に反映されている可能性が考えられる。 上記を踏まえた考察の結果、低所得国における主な課題として以下を提示している。・貧しい地域社会において、抗てんかん薬のコンプライアンス欠如は死亡リスクの増加、入院の増加、交通事故および骨折の増加と関連している。・てんかんは50%の症例において自然寛解する臨床状態である。・低所得国における未治療患者を対象とした研究において、寛解の割合は、患者が治療を受けている国のデータとオーバーラップしていた。自発的な報告(ドア・ツー・ドアの調査など)に基づく場合、寛解状態にある患者は、恥ずかしさのあまり、また何のベネフィットもないため自身の疾患を公表しない傾向がある。これは、てんかん生涯有病率の過小評価につながる可能性がある。 ・低所得国では、貧困者の割合が高所得国に比べてきわめて多い。・貧困は、てんかんの罹患率、死亡率増加のリスク因子である。・低所得国でみられるてんかんの高い罹患率と有病率は、高所得国の低所得層でもみられる。・てんかん発作の状態は死亡率増加と関連しており、これは低所得国におけるてんかん罹患率と有病率の違いから一部説明がつく。・低所得国および高所得国における貧困は、てんかんの死亡を予防しうる原因といえる。 関連医療ニュース 「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか? 小児てんかん患者、最大の死因は? てんかん治療の改善は健康教育から始まる  担当者へのご意見箱はこちら

8270.

COPDの死亡率 冠動脈石灰化と相関

 冠動脈石灰化の重症度と肺気腫の重症度は関連しており、さらに冠動脈石灰化の重症度は中等症から重症の肺気腫を有する患者の予後とも、独立した強い相関が認められたことがオーストラリア・クイーンズランド大学のPhoebe E O'Hare氏らにより明らかにされた。Journal of Computer Assisted Tomography誌オンライン版2014年7月8日の掲載報告。 今回の横断的研究では、肺気腫とは別に、CTによりCOPD患者の冠動脈石灰化を調査し、それが予後とどのように関係するのかを調べた。 妥当的な冠動脈石灰化の視覚的な順序尺度(CAC ordinal visual scale)(レンジ:0~12)とCTによる視覚的な肺気腫の指標(visual CT emphysema index)を用いて、ungate胸部CT(非造影)により冠動脈石灰化と肺気腫の関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・合計200のCT画像を分析したところ、総死亡率は4以上の冠動脈石灰化の視覚的な順序尺度と関連しており(ハザード比:2.03、95% Cl:1.08~3.82、p=0.028)、また中等症から重症の肺気腫の指標とも関連していた(ハザード比:4.34、95% Cl:1.53~12.33、p=0.006)。・重症度が高い肺気腫、心筋梗塞、高血圧、男性は、4以上の冠動脈石灰化の視覚的な順序尺度と独立した相関が認められた。 ungate胸部CT(非造影)に基づいた冠動脈石灰化の視覚的な順序尺度が、冠動脈疾患のスクリーニングツールとして、またCOPD患者の予測マーカーとして使用できるかどうかについては、今後、前向きな研究が必要である。

8271.

糖尿病=心筋梗塞リスク↑

糖尿病になると心筋梗塞などのリスクが高まります3.5心疾患発症リスク3.03倍のリスク2.52.01.51.00.50.0日本で行われた調査において、糖尿病の人は糖尿病でない人と比べて心筋梗塞などの心疾患を発症する危険性が高まることが示されています。糖尿病でない人糖尿病の人Fujishima M,et al. Diabetes. 1996:45:S14-16.より作図Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

8272.

20歳の体重+10kgは危険

糖尿病予防には体重コントロールも重要です3.5糖尿病発症リスク3.0約3倍3.092.52.02.301.51.01.000.50.020歳を超えて10kg太ると糖尿病リスクは3倍になるとの報告があります。2kg未満6kg以上~10kg未満10kg以上20歳以降の体重変化Kaneto C, et al. Diabetes Res Clin Pract. 2013 Sep 27. [Epub ahead of print]より作図Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

8274.

69)SGLT2阻害薬の作用の上手な説明法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者今度出た、新しい薬ってどんなものですか?医師今までにない画期的な薬です。人間は食事をすると、血液の中の血糖が上昇して、170mg/dLを超えると尿に糖が降りてくると言われています。糖尿病では高血糖のためにたくさんの尿糖が出ます。患者なるほど。それで「糖尿病」というんですね。医師そうです。人間の身体はうまくできていて腎臓では尿に糖が降りないように、血糖が高くなっても1日に約140gのブドウ糖を再吸収しています。患者それはすごい量ですね。医師ところが、この薬はブドウ糖の再吸収を阻害します。2型糖尿病の人に投与すると1日に100gのブドウ糖、つまり400kcal分を尿中に排泄させるという報告があります。その結果、血糖だけでなく体重も下がるそうです。患者なるほど。本当に画期的な薬ですね。●ポイントSGLT2阻害薬の作用機序と効果について上手に説明しましょう●解説SGLT2は、SGLT(sodium glucose transporter: ナトリウム・グルコース共役輸送体)とよばれる蛋白質の一種で、腎臓の近位尿細管でブドウ糖を再吸収します(90%、残りの10%はSGLT1による作用)。SGLT2阻害薬は近医尿細管からのブドウ糖の再吸収を抑制して、血糖値を低下させます。それに伴い、体重も減少します。

8275.

70)SGLT2阻害薬の副作用の上手な説明法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 (肥満している患者に対し)患者今、飲んでいる薬の副作用は何ですか?医師この薬は腎臓でブドウ糖の再吸収を抑えて、尿に糖分をたくさんだす薬でしたね。患者はい。ちゃんと覚えています。医師それはよかったです。尿に糖がたくさんでますので、膀胱炎や性器などの感染症には気をつけて下さい。患者わかりました。清潔にするようにします。医師よろしくお願いします。次に、糖分と一緒に水分もでますので、おしっこが近くなったり(頻尿)、のどがよく渇く(口渇)場合があります。特に、脱水には気をつけて下さいね。患者なるほど。水分をこまめにとるようにします。医師この薬で、余分な糖分が尿に出るので体重は減ってきます。ただし、妙にだるくなってきた(全身倦怠感)などの症状があったら、すぐに教えて下さい。患者わかりました。●ポイント尿路・性器感染症、脱水、血中ケトン体上昇などの副作用を上手に説明しましょう●解説Neal Bらは(AHA 2013、ダラス)、SGLT2阻害薬に関する38報(21,078例)のメタ解析を行い、MACE*-plus(ハザード比=0.88、95%信頼区間0.72~1.07)と総死亡(ハザード比=0.71、95%信頼区間0.49~1.03)の低下とともに、低血圧リスク(ハザード比=2.43、95%信頼区間1.68~3.50)とヘマトクリット値の上昇、生殖器感染症の増加、尿路感染症の増加(女性のみ)がみられたと報告した*MACE: Major Adverse Cardiac Events(主要有害心血管イベント)

8276.

喫煙によるアルツハイマー病リスク

【認知症】タバコを吸っているとアルツハイマー型認知症になる確率が高いにアなルるツ確ハ率イマー型認知症1.791.701.00タバコを タバコを吸わない人 吸う人1.00タバコをやめた人タバコを吸う人Anstey KJ, et al. Am J Epidemiol. 2007;166:367-378.より作図Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

8277.

火のついたカクテルを飲む場合、熱傷に注意すべき【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第23回

火のついたカクテルを飲む場合、熱傷に注意すべき私には、バーに立ち寄ったら一度は言ってみたいセリフがあります。「マスター、いつもの」と言ってみたいのです。いやあ、なんか憧れるじゃないですか。現実的には、行きつけの床屋で「おっちゃん、いつもの髪型で」と言うくらいです。そんな床屋の論文……じゃなくて、バーに関する論文をご紹介しましょう。Mowatt DJ, et al.Burns due to flaming alcoholic beverages in the UK: a mini series and experimental study.Burns. 2008;34:281-283.バーやラウンジでは、いろいろな飲み物が出されます。シャレた店なんかでは、カクテルに花火がついていたりすることもありますよね。といっても、お酒があまり得意ではない私は、バーやラウンジなんて数えるくらいしか行ったことがないのですが。海外では、グラスの中のアルコールに火をつけて出すような店もあるようです。料理のフランベみたいな感じでしょうか。グラスのアルコールが飛んでしまわないのか気になるところです。さて、そんな火のついたグラスの中に、追加でアルコールを注いだらどうなるでしょう。火に油を注ぐようなもので、アルコール度数の高い飲み物であれば爆発するかもしれませんね。紹介する論文は、そんな熱傷の報告をした4例のケースシリーズです。そんなの危ないに決まってるだろうとあきれる報告ばかりです。火のついたグラスに口をつけて、あまりの熱さにびっくりしてアルコールを体に浴びて熱傷を起こしたケースもあります。過去の報告もあわせて読んでみると、店員の落ち度でカウンターにいた客に着火した事例もありますが、グラスについた火が何らかの原因で飛び火したものがほとんどであることがわかります。いずれの論文も、このような熱傷は「preventable(予防できる)」と断言していますので、皆さんもバーカウンターでの火の取り扱いには注意してください。ちなみに燃えるカクテルの中には、「火山ドリンク(volcano drink)」という火山に見立てたカクテルがあります。その名のとおり、カップの中央にあいた穴から炎が燃えさかるカクテルのことですが、この仰天カクテルを注文して重度の熱傷を負った症例報告もあります(Am Surg. 1997;63:252-254.)。

8278.

進行肝細胞がんへのエベロリムス投与/JAMA

 進行肝細胞がんでソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療が無効または不耐であった患者に対する、エベロリムス(同:アフィニトール)治療は全生存期間(OS)を改善しなかったことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏らが無作為化試験EVOLVE-1の結果、報告した。進行肝細胞がんに対し現状ではソラフェニブが唯一、OSを有意に改善するが、その有益性は一過性のわずかなものである。エベロリムスは、肝細胞がんの最大45%で活性が認められるmTORタンパク質を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する。第I/II相試験において進行肝細胞がんへの効果が期待され、今回の臨床試験が行われた。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。17ヵ国546例を対象に二重盲検プラセボ対照試験 EVOLVE-1は、ソラフェニブ治療が無効または不耐であった進行肝細胞がん患者に対する、エベロリムス7.5mg/日の有効性と安全性を評価した第III相の国際無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。 被験者は、2010年5月~2012年3月に17ヵ国から登録された成人患者546例で、Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)ステージBまたはCの肝細胞がん、およびChild-Pugh Aの肝硬変を有していた。 無作為化は、地域(アジアvs. その他地域)および大血管浸潤(ありvs. なし)で層別化し、2対1の無作為化スキームにより、エベロリムス群に362例、適合プラセボ群に184例が割り付けられた。なお両群には、最善の支持療法も併せて行われた。 主要エンドポイントはOS、副次エンドポイントは、無増悪期間(TTP)、病勢コントロール率(DCR)(完全奏効[CR]、部分奏効[PR]、安定[SD]の患者の割合)などだった。OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月 結果、両群間でOSの有意差はみられなかった。エベロリムス群の死亡は303例(83.7%)、プラセボ群は151例(82.1%)で(ハザード比[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.86~1.27、p=0.68)、OS中央値はエベロリムス群7.6ヵ月、プラセボ群7.3ヵ月であった。 無増悪期間の中央値は、エベロリムス群3.0ヵ月、プラセボ群2.6ヵ月であり(HR:0.93、95%CI:0.75~1.15)、病勢コントロール率はそれぞれ56.1%、45.1%であった(p=0.01)。 最も共通してみられたgrade 3または4の有害事象は、貧血症(エベロリムス群7.8%vs. プラセボ群3.3%)、無力症(7.8%vs. 5.5%)、食欲不振(6.1%vs. 0.5%)であった。 C型肝炎のフレアがみられた患者はいなかったが、中央検査室での結果、39例の患者(エベロリムス群29例、プラセボ群10例)でB型肝炎の再活性が認められた。全症例が無症候性であったが、エベロリムス投与群3例が治療を中止した。 なおサブグループ解析において、アジア人のエベロリムス群vs. プラセボ群のOSのHRは0.97(95%CI:0.61~1.52)であった。

8279.

うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は

 自殺者の90%以上に気分障害がみられること、また気分障害の自殺傾向に対する遺伝的脆弱性が先行研究により確立されている。オーストリア・ウィーン大学のLaura Carlberg氏らは、cAMP応答配列結合タンパク(CREB1)の一塩基多型(SNPs)と自殺リスクならびに大うつ病性障害(MDD)患者における自殺企図歴との関連を検討した。その結果、多重検定補正後のデータにおいて、CREB1 single markerおよびハプロタイプのいずれの解析においても、自殺リスクや自殺企図歴との間に確たる関連を認めることができなかったことを報告した。International Journal of Neuroscience誌オンライン版2014年6月23日号の掲載報告。 研究グループは、CREB1 SNPsと自殺リスクならびにMDD患者における自殺企図歴との関連を検討した。ヨーロッパ多施設うつ病研究に登録されており、抗うつ薬を4週間以上投与されたMDD患者250例のサンプルを用い、5つのCREB1 SNPs(rs2709376、rs2253206、rs7569963、rs7594560、rs4675690)に遺伝子型を分けた。精神疾患簡易構造化面接法(MINI)およびハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を用いて自殺傾向を評価した。 主な結果は以下のとおり。・多重検定補正後、CREB1 single markerおよびハプロタイプのいずれにおいても、自殺リスクや自殺企図歴との間に関連は認められなかった。・女性においてrs2709376と自殺企図歴の間に関連が認められたが(p=0.016)、多重検定補正後には確認されなかった。・女性のMDD患者において、CREB1 single markerと自殺企図歴との間に有意な関連を認めたが、多重検定補正後のハプロタイプ解析では確認されなかった。・女性のMDD患者におけるCREB1と自殺企図が関連する可能性を確認および明確にするためには、より大規模かつ明確に定義されたコホートによる検討が求められることが示唆された。関連医療ニュース 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか

8280.

「年齢」は切除不能大腸がんの予後予測因子?

 米国コロラド大学のChristopher H Lieu氏らは、切除不能大腸がんの全生存(OS)や無増悪生存(PFS)において、年齢が予後予測因子となるかどうかを検討した。その結果、切除不能大腸がん患者では、若年齢と高年齢がOSとPFSの低さと関連し、若年者と高齢者が高リスク集団である可能性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年7月7日号に掲載。 著者らは、ARCAD(Aide et Recherche en Cancerologie Digestive)のデータベースより、1次治療の第III相試験24試験における18歳以上の大腸がん患者2万23例を抽出、分析した。年齢による影響、年齢・性別・全身状態(PS)・転移部位との相互作用について、治療アームで層別化されたCox比例ハザードモデルを使用して評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は62歳、50歳以下は3,051例(15%)であった。・単変量Coxモデルでは、OS(p<0.001)、PFS(p<0.001)のいずれにおいても年齢が予後予測因子であり、若年および高齢になるほどリスクが高いU字型を示した。・リスクが最低となる年齢(OSでは57歳前後、PFSでは61歳前後)の患者と比較して、最も若い患者(18歳)では死亡リスク増加が19%(95%CI:7〜33%)、進行/死亡リスク増加が22%(95%CI:10~35%)であった。最も高齢の患者群(90歳)は死亡リスク増加が42%(95%CI:31~54%)、進行/死亡リスク増加が15%(95%CI:7~24%)であった。この関係は、追跡期間の初年度において顕著であった。・多変量解析で、年齢は、PS・性別・各部位への転移の有無による調整後も、OSでは若干有意(p=0.08)、PFSでは有意なままであった(p=0.005)。・年齢による影響は、転移部位、登録年、受けた治療、バイオマーカーの変異状態で差は認められなかった。

検索結果 合計:10293件 表示位置:8261 - 8280