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1型糖尿病患者における強化療法と眼科手術(解説:住谷 哲 氏)-363

 糖尿病診断直後からの数年にわたる厳格な血糖管理が、その後の患者の予後に大きく影響することは、1型糖尿病(T1DM)においてはmetabolic memory(高血糖の記憶)、2型糖尿病(T2DM)においてはlegacy effect(遺産効果)として広く知られている。T1DMにおける糖尿病性腎症、心血管イベントおよび総死亡に対するmetabolic memoryの存在がすでに報告されていたが、本論文により眼科手術に対しても同様にmetabolic memoryの存在が明らかにされた。 糖尿病網膜症を有する患者においては、高血糖の急速な改善により網膜症の増悪を来すことがあるため注意が必要である、といわれているがエビデンスははっきりしない。本論文の基になっているDCCT試験1)において、血糖正常化を目指した強化療法群では介入開始1年後に、2次介入群(secondary-intervention cohort:軽度から中等度の非増殖性網膜症を有する患者群)では網膜症の増悪・進展を認めているが、3年後からは逆に強化療法群で増悪・進展が抑制されていた。6.5年後の試験終了時には、強化療法により1次予防群(primary-prevention cohort:網膜症なしの患者群)において、網膜症の新規発症が76%、2次介入群では網膜症の進展が54%、増殖性網膜症または高度の非増殖性網膜症の発症が47%とそれぞれ抑制されていた。したがって、T1DM患者においては、中等度の非増殖性網膜症までの段階であれば厳格に血糖管理を行うことで、一過性に網膜症の増悪を認めることもあるが、長期的には網膜症の新規発症、増悪、進展を抑制できる、とのエビデンスをわれわれは持っていたことになる。 本論文ではDCCT試験終了から23年後、試験開始から30年後における、通常療法群と強化療法群との眼科手術の頻度と、眼科手術にかかるコストとが評価された。結果は予想どおり、眼科手術の頻度とコストとの両者共に強化療法群において有意に減少していた。しかしながら、失明した患者数については記載がない。著者らの結論は眼科手術とコストとの両者においてもmetabolic memoryの存在が証明された、となっているが、すでに腎症、心血管イベントにおいてmetabolic memoryの存在が証明されており、当然のような気がしないでもない。 Discussionにおいて、強化療法によるベネフィットのほとんどはHbA1cの低下によって説明され、血圧の関与は有意ではなかったとある。この解釈には少し注意が必要であろう。2型糖尿病患者における血圧管理の重要性を初めて明らかにしたUKPDS 362)においては、cataract extraction(白内障摘出術)を除いたすべてのエンドポイントが降圧により減少した。他の2つの眼科関連エンドポイントであるvitrectomy(硝子体切除術)、retinal photocoagulation(網膜光凝固術)も降圧により有意に減少している。本論文においては眼科手術の多くがcataract extractionであり、全体の結果がこれに引きずられた可能性が否定できない。血圧管理は1型、2型を問わず糖尿病合併症予防においてきわめて重要であり、厳格な血糖管理のみに注目するのではなく、血圧、脂質も含めた包括的な管理を心がける必要があろう。

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爪真菌症に有用なホウ素含有の新規抗真菌薬

 爪真菌症は生活の質に影響を与える。ホウ素を含有する新しいクラスの抗真菌薬タバボロール(tavaborole、国内未承認)は、足の爪真菌症に対して優れた臨床効果を発揮するとともに安全性プロファイルは良好であることが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のBoni E. Elewski氏らによる2件の第III相試験の結果、確認された。タバボロールは爪真菌症に対する新たな治療選択肢として期待される。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。 第1趾爪(対象爪)の20~60%が感染している遠位爪甲下爪真菌症の成人患者を、タバボロール群または基剤群に2対1で無作為に割り付け、1日1回48週間投与した。  主要評価項目は、52週目の完全治癒率(完全に透明な爪かつ真菌学的治癒の割合)であった。副次的評価項目は、完全またはほぼ完全に透明な爪を有する患者の割合、真菌学的治癒率、完全またはほぼ完全な治癒率(完全にまたはほぼ完全に透明な爪かつ真菌学的治癒の割合)、および安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・完全治癒率(タバボロール群/試験1:6.5%、試験2:9.1% vs. 基剤群/それぞれ0.5%、1.5%)および真菌学的治癒率(同様に31.1%、35.9% vs. 7.2%、12.2%)は、タバボロール群が基剤群より有意に優れていた(p<0.001)。・完全またはほぼ透明な爪を有する患者の割合も、タバボロール群が基剤群より有意に高かった(26.1%、27.5% vs. 9.3%、14.6%:p<0.001)。・完全またはほぼ完全な治癒率も、タバボロール群が基剤群より有意に高率であった(15.3%、17.9% vs. 1.5%、3.9%:p<0.001)。・タバボロールの適用部位にみられた主な有害事象は、皮膚剥脱(2.7%)、紅斑(1.6%)および皮膚炎(1.3%)であった。

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海藻摂取と甲状腺がん発症に関連認めず

 ヨウ素の過剰摂取は甲状腺がんのリスク因子と考えられている。わが国では主に海藻からヨウ素を摂取し、その量は世界的にみても多い。国内のこれまでの疫学的研究では、海藻を毎日摂取すると閉経後女性で甲状腺がんリスクが4倍高くなり、それ以外では関連がなかったと報告している。今回、JACC研究(the Japan collaborative cohort study)※グループは、1988~2009年に追跡したJACC研究で、日本女性の海藻摂取頻度と甲状腺がんリスクとの関連を調査した。その結果、閉経前後にかかわらず、海藻摂取と甲状腺がん発症率との関連は認められなかった。European journal of cancer prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。 研究グループでは、ベースライン時に自己管理質問票で海藻摂取とその他の生活関連情報を収集し、海藻摂取頻度は、「1~2回/週以下」「3~4回/週」「ほぼ毎日」に分類した。海藻摂取頻度による甲状腺がん発症のハザード比と95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・3万5,687人をフォローアップした44万7,876人年の間に、甲状腺がんが新規に94例確認された。・粗罹患率は10万人年当たり20.9であった。・毎日海藻を摂取した女性における甲状腺がんのハザード比は、1~2回/週以下の女性と比べ、1.15(95%CI:0.69~1.90、傾向のp=0.59)であった。・統計的な潜在的交絡変数調整によっても、閉経状況での層別化によっても、海藻摂取と甲状腺がんリスクの関連は認められなかった。※JACC Study最近の日本人の生活習慣ががんとどのように関連しているかを明らかにするために、文部科学省(当時文部省)の科学研究費の助成を受け、1988年に多施設が協力して開始された大規模なコホート研究。

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ニコチンパッチの使い方とその効果

ニコチンパッチの効果ニコチン切れの症状が出ないように、皮膚からじわじわとニコチンを補うのがニコチンパッチです① 市販薬と処方薬があり、それぞれニコチン含有量や基材の性質が異なりますが、基本的な使い方は同じです。② 身体を慣らしながら、徐々に小さなパッチに変更していき、数週間から数ヵ月かけてパッチの使用もやめていきます。ニコチンパッチを貼っていない場合ニコチンの血中濃度ニコチンパッチを貼った場合③ かゆみやかぶれなど副作用が出ることがありますが、塗り薬などで対応します。喫煙④ あまり症状が強いときには使用をやめ、飲み薬に切り替えることもあります。喫煙喫煙これよりニコチン濃度が低くなると離脱症状が出る(イライラ、そわそわ)社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第20回

第20回:大腸がんのスクリーニングとその後のフォロー監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 近年、わが国の大腸がん死亡率および罹患率は著しく増加しています。2013 年の人口動態統計によれば、女性の大腸がん死亡は全悪性新生物による死亡の中で最多であり、男性では肺がん、胃がんに次いで多く、過去 50 年間でおよそ 10倍となっています1)。 大腸がんは、早期であればほぼ100%近く治すことができますが、一般的には早期の段階では自覚症状はありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。今回の記事で大腸がんのスクリーニングとその後のフォローについて確認してみましょう。また日本では、これを参考にした大腸がんの検診ガイドライン2)も出されていますので、一度目を通してみるとよいかもしれません。 なお、日本の『大腸ESD・EMRガイドライン』では、径6mm以上の腺腫(一定の担がん率・SMがんも存在することから表面陥凹型腫瘍は径5mm以下でも)切除が勧められています。遠位大腸に存在する径5mm以下の典型的な過形成性ポリープは放置可能(エビデンスⅣb・推奨度B)3)など対応に違いがあります。 タイトル:大腸がんのスクリーニングおよびサーベイランスColorectal Cancer Screening and Surveillance以下、American Family Physician 2015年1月15日号4)より◆疫学~スクリーニング(USPSTF;米国予防サービスタスクフォースの推奨)大腸がんは男女ともに3番目に頻度の多いがんである。早期発見/治療により過去20年間で発生率と死亡率は減少している。平均的な大腸がんリスクのある人には、50歳でスクリーニングを開始すべきである。75歳以上へのルーチンスクリーニングは個別の判断を推奨している。(リスクとがん死亡を比較してスクリーニングの有用性が上回る場合、患者と医師で相談して決定する)【無症状、平均リスクの成人に対するスクリーニングの推奨】下記はどれも同等の推奨度。年に1回の高感度便潜血検査5年ごとの軟性S状結腸鏡検査と3年ごとの高感度便潜血検査10年ごとの大腸内視鏡検査【リスクを持つ成人の大腸内視鏡スクリーニング】60歳以上で大腸がんもしくは高度異型腺腫※と診断を受けた1親等の親族が1人いる場合→50歳で全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、10年ごとに施行60歳未満で大腸がんもしくは高度異型腺腫と診断を受けた1親等の親族が1人いる場合→40歳もしくは親族が診断を受けた年齢より10年若いときに全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、5年ごとに施行どの年齢でも大腸がんもしくは高度異型腺腫と診断を受けた1親等の親族が2人いる場合→40歳もしくは親族のうちより若年で診断を受けたその年齢より10年若いときに全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、5年ごとに施行※高度異型腺腫=10mm以上の腺腫で絨毛要素を持ち、高度異型性であるものをいう。【大腸内視鏡検査フォローアップ期間】2012年に出されたU.S.Multi-Society Task Force on Colorectal Cancerからのサーベイランスガイドライン異常なし(ポリープなし、もしくは生検で異常なし ) →10年ごと過形成性ポリープ直腸もしくはS状結腸に10mm未満の過形成性ポリープ →10年ごと低リスクポリープ10mm未満の管状腺腫が1、2個 →5~10年ごと異型性のない10mm未満の小無茎性鋸歯状ポリープ →5年ごと高リスクポリープ →3年ごと3~10個の管状腺腫10mm以上の管状腺腫もしくは鋸歯状ポリープ絨毛もしくは高度異形成を持つ腺腫細胞学的異形成との固着性鋸歯状ポリープ古典的鋸歯状腺腫他の事情10個以上の腺腫 → 3年ごと鋸歯状ポリープ症候群 →1年ごと※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 国立がん研究センターがん対策情報センター. 人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2013年). http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html (参照 2015.5.25) 2) 平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班. 有効性評価に基づくがん検診ガイドライン. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター. http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/daicyougan.html (参照 2015.5.25) 3) 田中信治ほか. 日本消化器内視鏡学会誌. 2014;56:1598-1617. 4) Short MW, et al. Am Fam Physician. 2015;91:93-100.

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関節リウマチ、生物学的製剤で重度感染症リスク増大?/Lancet

 関節リウマチ(RA)患者への標準用量・高用量の生物学的製剤投与は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)服用に比べ、重度感染症リスクを1.3~1.9倍に増加することが明らかにされた。低用量の投与については、同リスクの増加は認められなかったという。米国・バーミンガム退役軍人医療センターのJasvinder A. Singh氏らが、メタ解析の結果、報告した。生物学的製剤がDMARDsと比べて、重篤感染症のリスクを増大するかについては、これまで相反する報告が示されていた。Lancet誌オンライン版2015年5月11日号掲載の報告より。106試験をレビュー、生物学的製剤とDMARDsの重度感染症リスクを比較 研究グループは、MEDLINE、Embase、コクラン臨床試験レジストリ、米国の臨床試験登録システムClinicalTrials.govをデータソースに、RAと生物学的製剤に関する試験で重度感染症について報告のあるものを適格とし、システマティックレビューとメタ解析を行った。検索対象期間は、それぞれの発行開始から2014年2月11日時点までとした。ベイジアンネットワーク解析法を用いて行い、ヒットした論文のリスクバイアスについて、コクランバイアスリスクツールを用いた評価を行った。 システマティックレビューで106試験を特定した。 2項モデルを用いて、RA患者で生物学的製剤を服用する患者と、DMARDsを服用する患者について、重度感染症リスクを比較した。マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて重度感染症のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して治療効果の主要評価とした。生物学的製剤服用、標準用量で重度感染症リスクは1.3倍、高用量で1.9倍に 結果、DMARDs服用患者に比べ、生物学的製剤服用者は、標準用量と高用量ともに重度感染症リスクの有意な増大が認められた。ORは標準用量群が1.31(95%CI:1.09~1.58)、高用量群1.90(同:1.50~2.39)だった。低用量については、同リスクの増大はみられなかった(オッズ比:0.93、同:0.65~1.33)。 また、生物学的製剤服用者の中でも、メトトレキサート服用歴のない人は、DMARDsやTNF阻害薬服用歴のある人に比べ、同リスクは低かった。 DMARDs服用と比較した生物学的製剤服用による重度感染症発症の絶対増加数は、年間治療数1,000人当たりで、生物学的製剤標準用量群(DMARDsの併用ありまたはなし)の6例から、生物学的製剤組み合わせ服用群の55例にわたった。

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治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か

 強迫症(OCD)患者の多くがセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に対する反応が十分ではなく、抗精神病薬による増強療法が行われることがある。こうした治療抵抗性例に対する抗精神病薬付加の有効性を評価する目的で、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、検討を行った。無作為化二重盲検プラセボ対照試験のメタ解析の結果、SSRI治療抵抗性OCD患者には、抗精神病薬による治療が有効であることが示された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月4日号の掲載報告。 研究グループは、SSRI治療抵抗性OCDを対象とした抗精神病薬の無作為化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)について、2015年1月までに発表された論文をClinicalTrials.gov、Clinicaltrialsregister.eu、CENTRAL、EMBASE、PubMed/MEDLINEおよびPsycINFOを用いて検索した。主要評価項目は、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)総スコアの平均変化量、副次的評価項目は強迫観念、強迫行為、反応率および中断率で、データ収集は2名の研究者が独立して行い、Hedges’s gとリスク比を算出した。 結果は以下のとおり。・14件(491例)のRCTが組み込まれた:クエチアピン4件(142例)、リスペリドン4件(132例)、アリピプラゾール2件(79例)、オランザピン2件(70例)、パリペリドン1件(34例)、ハロペリドール1件(34例)。・抗精神病薬増強療法はプラセボより、Y-BOCS総スコアの減少が有意に大きく、有効性が示された(14件、478例;Hedges’s g=-0.64、95%信頼区間:-0.87〜-0.41、p<0.01)。・アリピプラゾール(Hedges’s g=-1.35)、ハロペリドール(Hedges’s g=-0.82)、リスペリドン(Hedges’s g=-0.59)は、プラセボより有意に優れていた。・強迫観念や強迫行為の改善および反応率は、抗精神病薬がプラセボより優れていた。・全中断率は、抗精神病薬とプラセボとの間に有意差はみられなかった。・なお抗精神病薬の用量やベースラインでの症状の重症度は、メタ解析の結果に影響しないことが示唆された。 結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬の増強療法は、SSRI治療抵抗性OCDに対する根拠に基づいた治療である」と結論付けている。関連医療ニュース 難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は  担当者へのご意見箱はこちら

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小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。 研究グループは、住民ベースのサンプルにおいて、抗てんかん薬(AED)服用中および/または過去1年間にけいれん発作を認めた小児の「活動性」てんかんの、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害の頻度を明らかにすることを目的とした。活動性てんかんを有する5~15歳の学童85例(適格例の74%)について、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードを含む包括的な精神学的評価を行った。認知下位テストのスコアをペアt検定にて比較した。線形回帰解析により、認知障害に関連する因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児の24%がIQ 50未満、40%がIQ 70未満であった。・処理スピード指数スコアは、VerbalスコアまたはWechsler式パフォーマンス指数スコアに比べ、有意に低値であった。・Coding下位テストの成績は、その他のWechsler式下位テストと比べ有意に低かった。・4つのワーキングメモリ下位テストの少なくとも1つ以上において、小児の58%はメモリが未熟(メモリスコア1 SD以下で評価したIQ)であった。・全般的認知障害と有意に関連する因子は、多剤併用療法施行中(β=-13.0、95%CI:-19.3~-6.6、p=0.000)および注意欠如/多動症(ADHD、β=-11.1、95%CI:-19.3~-3.0、p=0.008)であった。・多剤併用療法施行中は、ワーキングメモリおよび処理スピード複合の低スコアとも関連していた。・発達性協調運動症(DCD)は、処理スピード複合の低スコアと関連していた。・小児てんかんにおいて、全般的および特異的認知障害が高頻度にみられ、ワーキングメモリおよび処理スピードにおいて障害が最も顕著であった。・小児てんかんにおける認知障害の予測因子は、てんかん関連因子および行動因子であり、認知評価のドメインによって異なる可能性が示唆された。関連医療ニュース てんかん患者への精神療法、その効果は 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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TAS-102の第III相試験~既治療の切除不能大腸がんに有用/NEJM

 TAS-102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合薬)は、難治性の切除不能大腸がんの治療において、最良の支持療法(best supportive care:BSC)のみに比べ全生存期間(OS)が有意に延長することが、日本のほか欧米諸国とオーストラリアが参加した第III相試験(RECOURSE試験)で示された。研究の成果は、米国ダナ・ファーバーがん研究所のRobert J Mayer氏らにより報告された。本薬は、チミジンベースの核酸アナログであるトリフルリジンと、チミジンホスホリラーゼ阻害薬であるチピラシル塩酸塩を配合したヌクレオシド系経口抗がん剤。トリフルリジンはDNAに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮し、チピラシル塩酸塩はトリフルリジンの分解に関与するチミジンホスホリラーゼを阻害することでトリフルリジンの適切な血中濃度を維持するという。日本人を対象とするプラセボ対照無作為化第II相試験で、既治療の切除不能大腸がんに対する有用性が確認されていた。NEJM誌2015年5月14日号掲載の報告より。BSCへの追加効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 RECOURSE試験は、切除不能な進行・再発大腸がんに対するTAS-102の有用性を評価する国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、全身状態が良好(ECOG PS 0/1)で、生検で結腸または直腸の腺がんが確定され、2レジメン以上の標準的化学療法による前治療歴のある患者であった。 被験者は、TAS-102またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。投与スケジュールは、TAS-102 35mg/m2(1日2回)の週5日投与、2日休薬を2週行ったのち2週休薬する4週を1サイクルとしてこれを繰り返した。また、全例にBSCが施行された。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、病勢コントロール率などであった。 2012年6月17日~2013年10月8日に、日本を含む13ヵ国116施設に800例が登録され、TAS-102群に534例、プラセボ群には266例が割り付けられた。798例(533例、265例)が治療を開始し、760例(502例、258例)で腫瘍反応の評価が行われた。OS、PFS、病勢コントロール率のほか、PS増悪までの期間も改善 ベースラインの年齢中央値は、TAS-102群が63歳、プラセボ群も63歳、男性がそれぞれ61%、62%で、日本人が33%ずつ含まれた。KRAS変異陽性例は51%ずつ、前治療レジメン数≧4は60%、63%を占めた。また、全例がフッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチン、イリノテカンを含むレジメンによる前治療を受けており、プラセボ群の1例を除きベバシズマブの投与歴があった。 OS中央値は、TAS-102群が7.1ヵ月であり、プラセボ群の5.3ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、p<0.001)。1年OSはそれぞれ27%、18%であった。また、事前に規定されたサブグループのほとんどで、プラセボ群よりもTAS-102群のOS中央値が良好であった。 PFS中央値も、TAS-102群が2.0ヵ月と、プラセボ群の1.7ヵ月に比し有意に延長した(HR:0.48、95%CI:0.41~0.57、p<0.001)。また、すべてのサブグループでTAS-102群のPFS中央値が有意に優れた。 TAS-102群の8例で部分奏効(PR)が、プラセボ群の1例で完全奏効(CR)が得られ、奏効率はそれぞれ1.6%、0.4%であった(p=0.29)。また、これに6週以上持続する病勢安静(SD)を加えた病勢コントロール率はそれぞれ44%、16%であり、TAS-102群で有意に優れた(p<0.001)。 ベースラインのPS 0/1が試験期間中に2以上へと増悪した患者は、TAS-102群が72%(383例)、プラセボ群は81%(216例)であり、増悪までの期間中央値はそれぞれ5.7ヵ月、4.0ヵ月と、TAS-102群で有意に長かった(HR:0.66、95%CI:0.56~0.78、p<0.001)。 Grade 3以上の有害事象の発現率は、TAS-102群が69%、プラセボ群は52%であった。TAS-102関連の臨床的に重要なgrade 3以上の有害事象として、好中球減少が38%、白血球減少が21%にみられた。また、発熱性好中球減少が4%に発現し、治療関連死が1例(敗血症性ショック)認められた。 そのほか、TAS-102群で頻度の高いGrade 3以上の有害事象として、貧血(18 vs. 3%)や血小板減少(5 vs. 1%)が認められた。一方、重篤な肝および腎機能障害、食欲不振、口内炎、手足症候群、心イベントには両群間に臨床的に重要な差はなかった。 著者は、「TAS-102は、日本人および西欧人において、フルオロウラシルに不応となった患者を含め、多種類の前治療歴のある切除不能大腸がんに対し臨床的な抗腫瘍効果をもたらした」とまとめ、「これらの知見は、TAS-102の作用機序はフッ化ピリミジン系薬とは異なるとの前臨床データを臨床的に支持するもの」と指摘している。

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非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

 認知症によくみられる神経精神症状の治療に、さまざまな非定型抗精神病薬が広く用いられているが、これらの薬剤の有効性と安全性に関する無作為化比較試験では矛盾する結果が示されている。中国海洋大学のリン・タン氏らは、この問題に取り組むためシステマティックレビューを行った。結果、アリピプラゾールとリスペリドンは、平均12週で認知症の神経精神症状を改善し認知機能の低下を遅らせると結論付けた。ただし、著者は「認知症患者においては、重度の有害事象が非定型抗精神病薬の有効性を相殺する可能性がある」と指摘している。Alzheimer’s Research &Therapy誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者の神経精神症状に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性を評価する目的で、PubMed、EMBASE、Cochrane Controlled Trials RegisterおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用い、2014年8月までに発表された論文で精神症状を有する認知症患者を対象とした非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クロザピン)療法の無作為化比較試験を検索した。2人の研究者が独立して試験の質を評価し、情報を得た。 結果は以下のとおり。・検索により、23件の無作為化比較試験(合計5,819例)が確認された。・メタ解析において、非定型抗精神病薬はプラセボと比較して精神症状および認知機能に対する効果が有意に優れることが示された。・精神症状に関するスコアの変化量の加重平均差(WMD、対プラセボ)は、アリピプラゾールが-4.4(95%信頼区間[Cl]:-7.04~-1.77)、リスペリドンが-1.48(同:-2.35~-0.61)であった。・認知機能に関するスコア(Clinical Global Impression-Change:CGI-C)の変化は、アリピプラゾール、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンにおいて有意な改善が認められ、変化量のWMDは、アリピプラゾールの-0.30(95%Cl:-0.59~-0.01)からリスペリドンの-0.43(95%Cl:-0.62~-0.25)にわたった。・非定型抗精神病薬治療群では、外傷または転倒のリスクに差はなかったが(p>0.05)、傾眠、尿路感染症、浮腫および歩行異常のリスクは有意に高かった(p<0.05)。・死亡に関して重要な所見は報告されなかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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妊娠中の抗精神病薬、母親や胎児への影響は?/BMJ

 妊娠中の抗精神病薬の使用が、妊婦や胎児の転帰に及ぼす影響は小さいことが、カナダ・トロント大学のSimone N Vigod氏らによる調査で明らかとなった。その一方で、一般人口に比べると妊娠高血圧や早産などの頻度が高いことから、妊娠中や周産期には注意深い健康評価を要することも示された。抗精神病薬は、妊婦の代謝性合併症(妊娠糖尿病など)や、その結果としての胎児の発育異常などの原因となる可能性が示唆されている。近年、妊婦の抗精神病薬の使用が増加しているが、評価が行われているのは、現在ではあまり使用されていない古い定型抗精神病薬がほとんどだという。BMJ誌オンライン版2015年5月13日掲載の報告より。曝露群と非曝露群を高次元傾向スコアマッチング法で比較 研究グループは、妊娠中の抗精神病薬の使用が妊婦および胎児に及ぼす影響を評価するコホート試験を行った。対象は、2003~2012年にオンタリオ州で単胎児(生児、死産児)を出産し、受胎から分娩までの間に抗精神病薬を2回以上処方され、そのうち少なくとも1回は妊娠27週以前の女性であった。 データの収集には、トロント市のInstitute for Clinical Evaluative Sciences(ICES)に集約された公衆衛生管理関連の複数のデータベースが用いられた。高次元傾向スコア(HDPS)によるマッチング法を用いて、妊娠中に抗精神病薬に曝露した妊婦と非曝露妊婦のベースラインの背景因子をマッチさせ、転帰の比較を行った。  母親の主な医学的転帰は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、静脈血栓塞栓症、主な周産期転帰は早産(<妊娠37週)および不良な出生児体重とし、性別・妊娠期間別の出生時体重が<3パーセンタイルに相当する場合に不当軽量体重(small for gestational age)、>97パーセンタイルの場合に不当重量体重(large for gestational age)と定義した。非定型抗精神病薬に限定しても差はない 背景因子をマッチさせたコホートとして、両群に1,021例ずつが登録された。両群とも、平均年齢は28.8歳、経産回数中央値は1回であった。妊娠前の精神医学的診断名は、精神病性障害が曝露群31.2%、非曝露群15.7%、双極性障害/大うつ病がそれぞれ74.2%、65.9%、アルコール/薬物性障害(喫煙を含む)が44.9%、40.7%、パーソナリティ障害が28.9%、22.6%であった。 妊娠糖尿病の発生率は、曝露群が7.0%、非曝露群は6.1%であった。未補正の相対リスク(RR)は1.15(95%信頼区間[CI]:0.82~1.61)、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、非SSRI、気分安定薬、ベンゾジアゼピンの処方で補正後のRRは1.10(95%CI:0.77~1.57)であり、いずれも有意な差を認めなかった。また、非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン)に限定した解析でも、結果は変わらなかった。 妊娠高血圧(4.7 vs. 4.1%、未補正RR:1.14、95%CI:0.76~1.73、補正RR:1.12、95%CI:0.70~1.78)および静脈血栓塞栓症(1.2 vs. 1.3%、0.92、0.42~2.02、0.95、0.40~2.27)の発生率も同様の結果であり、非定型抗精神病薬のみの結果にも変化はなかった。また、これらの疾患はいずれも一般人口に比べると頻度が高い傾向がみられた。 早産(14.5 vs. 14.3%、未補正RR:1.01、95%CI:0.81~1.27、補正RR:0.99、95%CI:0.78~1.26)の発生率は両群とも一般人口の約2倍に達したが、群間にリスクの差はみられなかった。不当軽量体重(6.1 vs. 5.1%、1.22、0.84~1.77、1.21、0.81~1.82)および不当重量体重(3.6 vs. 2.3%、1.64、0.96~2.78、1.26、0.69~2.29)についても、両群間にリスクの差はなかった。さらに、非定型抗精神病薬のみの解析でも同様の結果であった。

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女性もBMI高いと大腸がんリスク増加

 男性ではBMIが高いと大腸がんリスクが増加することが明らかだが、女性でははっきりしていない。米国・ベイラー医科大学のAaron P Thrift氏らは、BMIと大腸がんの因果関係を、観察研究ではなくメンデルランダム化研究により推定した。その結果、女性において高BMIが大腸がんリスク増加に関連していたことを報告した。また、男性において腹部肥満が全身肥満より重要な危険因子かどうか、さらなる調査が必要と述べている。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2015年5月14日号に掲載。 本研究のケースは大腸がん患者1万226例、コントロールは欧州系人の1万286例。メンデルランダム化解析の操作変数(IV)として、高BMIに関連する変異型を同定した77のゲノムワイド関連解析から得た加重遺伝的リスクスコアを使用した。 主な結果は以下のとおり。・BMI増加リスク対立遺伝子(アレル)を多く持つ人は、大腸がんリスクがより高かった(アレルあたりのOR:1.31、95%CI:1.10~1.57)。・今回のIV推定の結果は、遺伝的な影響による高BMIが大腸がんリスクと直接的に関連しているという仮説を支持している(BMI 5kg/m2増加あたりのIV-OR:1.50、95%CI:1.13~2.01)。・女性において、高BMIが大腸がんリスク増加に関連していた(BMI 5kg/m2増加あたりのIV-OR:1.82、95%CI:1.26~2.61)。・男性において、遺伝的な影響による高BMIは大腸がんリスクと関連していなかった(BMI 5kg/m2増加あたりのIV-OR:1.18、95%CI:0.73~1.92)。

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禁煙治療薬チャンピックスについて

タバコをやめる飲み薬日本の禁煙外来で最もよく使われているのが、脳に作用してニコチンをブロックするタイプの飲み薬(商品名:チャンピックス)です。①脳にニコチンが作用しないのでタバコを吸ってもおいしいと感じなくなります。( A )Aチャンピックスによってニコチンがブロックされ、作用しなくなりますニコチン②同時に、ニコチンの代わりに快楽物質を持続的に放出させるので、タバコを吸わなくてもイライラしにくくなります。( B )③嘔気などの副作用が出ることが知られているので、副作用出現時には、B主治医・薬剤師等へ相談してください。チャンピックスα4β2ニコチン受容体チャンピックスの作用で快楽物質が出ます中枢神経社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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食品中の残留PCBは高血圧リスク

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、食物連鎖を通じて生体内に取り込まれて蓄積する、残留性有機汚染物質である。PCBへの曝露が高血圧の発症と関連することが、異なるソースのエビデンスにより示唆されている。しかしながら、成人におけるこの潜在的関連性について検討した前向き研究は、これまでなかった。スペイン・ナバーラ大学のCarolina Donat-Vargas氏らは、PCBの食品由来摂取量と高血圧発症について、大規模な前向きコホート研究を行った。Hypertension誌2015年4月号(オンライン版2015年2月2日号)の掲載報告。 本研究は、スペインの大学卒業者(大半が医療関係者)を対象としたコホート研究Seguimiento Universidad de Navarraプロジェクトの一環である。参加者は登録時に高血圧の既往がなかった1万4,521人で、フォローアップ期間中央値は8.3年。ベースライン時に136項目の半定量的食品摂取頻度質問票への回答を求め、食品由来PCB摂取量の推定には、公表されているPCB濃度(スペインで消費される食品サンプルで計測)を用いた。多変量回帰モデルにより、高血圧発症のハザード比および95%信頼区間を推定した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中、1,497人が高血圧の医学的診断を受けた。・総エネルギー摂取量、潜在的交絡因子での調整後、PCB摂取量の最高五分位群の最低五分位群に対する高血圧発症リスクの上昇が認められた(HR 1.43、95%CI:1.09~1.88、傾向のp=0.017)。・この地中海コホートにおいて、食品摂取頻度質問票を用いて計測した食品由来PCB摂取量は、フォローアップ期間中の高血圧発症の高リスクと関連していた。しかしながら、さらなる長期的検討により、本結果を確認する必要がある。

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学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か

  うつ病と低学歴の関連には、遺伝的多面発現効果(pleiotropy)の影響は認められないが、社会経済的状況などの環境因子が関わっている可能性が示唆された。Major Depressive Disorder Working Group of the Psychiatric GWAS ConsortiumのW J Peyrot氏らがドイツ人、エストニア人のうつ病患者のデータを解析し報告した。Molecular Psychiatry誌2015年6月号の掲載報告。 低学歴とうつ病リスク増加との関連は、西欧諸国において確認されている。研究グループは、この関連に遺伝的pleiotropyが寄与しているか否かを検討した。ドイツ人およびエストニア人のデータを加えたPsychiatric Genomics Consortiumから、うつ病9,662例と対照1万4,949例(生涯にわたりうつ病の診断歴なし)のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・1万5,138例において、低学歴とうつ病の関連をロジスティック回帰により評価したところ、有意な負の関連が示された。・低学歴のうつ病に対する標準偏差(SD)増加当たりのオッズ比は、0.78(0.75~0.82)であった。・常染色体性の主な一塩基多型(SNP)88万4,105件のデータを用いて、うつ病と低学歴のpleiotropyを、次の3つの方法で検証した。(1)低学歴(メタ解析とは独立した被験者12万例)とうつ病(現在のサンプルについて10分割交差確認法としてleave-one-out法を使用)の集合データに基づく遺伝子プロファイルリスクスコア(GPRS)で検証。→低学歴のGPRSはうつ病の状況を予測せず、またうつ病のGPRSは低学歴を予測しなかった。(2)二変量genomic-relationship-matrix restricted maximum likelihood(GREML)法で検証。→弱い負の遺伝学的関連が認められたが、この関連は一貫して有意ではなかった。(3)SNP effect concordance analysis(SECA)法で検証。→うつ病と低学歴のSNPの影響が一致するというエビデンスは確認されなかった。・以上より、低学歴とうつ病リスクとの関連は認められたものの、これは測定可能な遺伝的多面発現効果によるものではなく、たとえば社会経済的状況といった環境因子が関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり

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REVASCAT試験:脳梗塞の急性期治療に対する血栓回収療法の有効性と安全性が確立(解説:中川原 譲二 氏)-359

 2015年2月に、米国・ナッシュビルで開催された国際脳卒中学会議(ISC)では、急性期脳梗塞に対する、血栓回収療法の有効性を示す4件(MR-CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT-PRIME)のランダム化比較試験(RCT)の結果が一挙に報告され、脳梗塞の急性期治療は、t-PA静注療法の確立から20年目にして歴史的な転換点を迎えようとしている。 4月17日には、このうちのSWIFT-PRIME試験(メーカー主導試験)の詳細と、英国・グラスゴーで開催された欧州脳卒中機構(ESO)年次集会に合わせて報告された、スペイン・カタロニア地方で行われた新たなRCTであるREVASCAT試験(地域を単位とする医師主導試験)の詳細が、NEJM誌(オンライン版)に掲載された。 急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性は、(1)高い再開通率の得られるステント型リトリーバーデバイスの登場、(2)画像による迅速・的確な患者選択、(3)迅速な搬入と治療の開始、によって達成されたが、t-PA静注療法の確立以来、欧米先進国で取り組まれてきた1次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)や、包括的脳卒中センター(CSC:Comprehensive Stroke Center)の整備による診療インフラの集約化と高度化が、その背景にあることを忘れてはならない。 以下に、SWIFT-PRIME試験とREVASCAT試験の概要を示す。REVASCATの概要 背景:地域脳卒中再灌流療法登録の中に組み込まれたRCTにおいて、脳血栓回収療法の安全性と有効性を評価することが目的。方法:対象は、スペイン・カタロニア地方の4施設で2年間(2012年11月~2014年12月)に、発症後8時間以内にt-PA静注療法を含む内科治療+ステント型リトリーバー(Solitaire)を用いた血栓回収療法か、t-PA静注療法を含む内科治療単独が可能な206例を登録。すべての患者において前方循環の近位部に閉塞が確認され、画像検査で広範な脳梗塞は認められなかった。主要アウトカムは、mRS:modified Rankin Scale(スコア0:症状なし~スコア6:死亡)による90日後の全般的機能障害の重症度とした。同試験では、当初690例の登録を計画したが、血栓回収療法の有効性を示すほかの同様のRCTの報告を受け、早期に中止となった。 結果:血栓回収療法は、mRSの全般的スコア分布に対して、機能障害の重症度を有意に減少させた。1ポイントの改善のために調整オッズ比は1.7(95%信頼区間[CI]:1.05~2.8)であった。90日後にmRSスコア0~2点となった機能的自立患者の割合も内科治療群28.2%に対して、血栓回収療法群は43.7%と高かった。調整オッズ比は2.1(95%CI:1.1~4.0)であった。90日後の症候性頭蓋内出血は両群で1.9%(p=1.00)で、死亡率は内科治療群15.5%に対して、血栓回収療法群は18.4%(p=0.60)で、有意差はなかった。登録データによれば、適格条件に合致した8症例のみが、参加施設において試験外で治療された。 結論:発症後8時間以内に治療ができる前方循環近位部閉塞の患者では、ステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は、脳卒中後の機能障害の重症度を減少させ、機能的自立率を増加させる。SWIFT-PRIMEの概要 背景:前方循環の近位部閉塞による急性脳卒中患者では、t-PA静注療法単独で治療された場合の機能的自立が得られるのは40%以下である。t-PA静注療法に加えてステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は、再灌流率が上昇し、長期の機能的アウトカムを改善させる。方法:t-PA静注療法で治療された適格被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、t-PA静注療法の継続のみを行い(対照群)、もう一方の群にはt-PA静注療法に加え、発症6時間以内にステント型リトリーバーを用いた血栓回収法を行った(介入群)。患者には、前方循環の近位部に閉塞が確認され、広範な脳梗塞コアは認められなかった。主要アウトカムは、90日後の全般的機能障害の重症度とし、mRS(スコア0:症状なし~スコア6:死亡)により評価した。 結果:試験は早期に有効性が確認されたため、予定よりも早く終了した。39ヵ所の医療機関で、196例が無作為化された(各群98例)。介入群では、画像診断評価から施術開始(鼠径部穿刺)までの時間(中央値)は57分、治療終了時点の再灌流率は88%であった。介入群では対照群に比べ、90日後のmRSのすべてのスコアで機能障害の重症度が低下した(p<0.001)。機能的自立率(mRS:0~2)も、対照群35%に対し介入群60%と、有意に高率だった(p<0.001)。90日時点の死亡率については、介入群9%に対し対照群12%(p=0.50)、症候性頭蓋内出血はそれぞれ0%と3%(p=0.12)と、いずれも両群で有意差はなかった。 結論:前方循環の近位部閉塞による急性期脳梗塞に対してt-PA静注療法を受けた患者では、発症6時間以内のステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は90日後の機能的アウトカムを改善させる。1次脳卒中センターや包括的脳卒中センターの整備が課題 t-PA 静注療法ですら、急性期脳梗塞の5~6%(欧州の一部では30%に到達)に留まるわが国では、地域を単位としてt-PA静注療法を24時間提供できる1次脳卒中センター(PSC)や血管内治療を24時間提供できる、包括的脳卒中センター(CSC)の整備を早急に進めることが課題である。脳卒中診療のインフラ改革に取り組まなければ、急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性を、一般診療に等しく汎化することは不可能ともいえる。脳梗塞の急性期治療には、地域や診療施設の総合力が求められるからである。

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てんかん患者への精神療法、その効果は

 英国・王立ハラムシャー病院のEdel Dewhurst氏らは、てんかん患者に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性と費用対効果について検討した。その結果、ACTは抑うつや不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対して良好な効果をもたらし、費用対効果にも優れることを報告した。Epilepsy Behavior誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、てんかん患者に対するACTアプローチに基づいた精神療法の有効性と、費用対効果を評価した。検討は、発作に関連する情緒障害のため心理療法士単独による外来心理療法を勧められた難治性てんかん連続症例を対象とし、前向き非対照研究にて実施した。精神科専門医、神経心理学者あるいはてんかん専門看護師により紹介された患者を被験者とした。有効性が確認されている一連の自己報告質問票(Short Form-12 version 2、Generalized Anxiety Disorder-7、Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy、Work and Social Adjustment Scale、Rosenberg Self-Esteem Scale)に回答してもらい、紹介時、治療終了時、治療6ヵ月後のけいれん発作回数を報告した。被験者は、ワークブックを用いた1対1のACTを最大20セッション受けた。介入に関わる費用対効果について、質調整生存年(QALY)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACT前およびACT後に質問票を完了した患者は60例で、そのうち41例から6ヵ月のフォローアップデータを得られた。・患者が受けたACTは、6~20セッション(平均値11.5、S.D. 9.6)であった。・ACTは、抑うつ、不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対し、中程度以上のポジティブな効果と有意に関連し(ps<0.001)、治療後6ヵ月間継続した。・ACTの平均コストは、445.6ポンドであった。・効果が治療終了後少なくとも6ヵ月維持されると仮定した場合、QALY当たりのコストは1万1,140ポンド(1万4,119ユーロ、1万8,016ドル、QALY当たりのコストは効果が1年間続いた場合には半額となる)と推算された。・本パイロット研究により、ACTはてんかん患者にとって費用対効果の高い治療であることが示唆されるとともに、無作為化対照試験を実施することの妥当性が示された。関連医療ニュース 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

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真皮縫合、セットバック縫合vs. 垂直マットレス縫合

 セットバック縫合は真皮の剥離面から刺入し剥離面へ刺出する縫合法で、垂直マットレス縫合に代わる真皮縫合となり得ることが示唆されている。米国・カリフォルニア大学デイビス校のAudrey S. Wang氏らは無作為化盲検比較試験を行い、セットバック縫合が埋没垂直マットレス縫合より創縁の外反に優れ、縫合痕も美容的に良好であることを明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年4月号の掲載報告。 対象は、縫合創の長さが3cm以上と予測される楕円形の切開創ができる外科手術例46例である。切開創を半分に分け、一方をセットバック縫合、他方を垂直マットレス縫合にて閉創した。どちら側がどの縫合かは無作為割り付けとし、術者以外(患者および観察者)は盲検化された。 術直後に創縁の最大外反高および幅を測定し、3ヵ月後に観察者2名が各瘢痕を7段階のリッカート瘢痕評価スケールを用いて評価するとともに、患者ならびに観察者が患者および観察者瘢痕評価スケール(POSAS)による評価(スコアは、6が正常な皮膚、60が最悪を表す)を行った。主な結果は以下のとおり。・42例が本研究を完遂した。・創縁の外反は、セットバック縫合が統計学的に有意に高かった。・リッカートスケールでは、セットバック縫合が垂直マットレス縫合より1ポイント高値であった。・POSAS合計スコアは、患者および観察者のいずれもセットバック縫合が垂直マットレス縫合より有意に低かった(平均値は患者が13.0±8.7 vs. 16.2±12.0[p=0.039]、観察者が24.5 ±10.4 vs. 27.7±13.6[p=0.028])。

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日光角化症の5-FUクリーム、長期の有用性は?

 フルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)による日光角化症の治療は、2年以上にわたり有用で、病変数や追加初回治療を減少させることが、米国・ブラウン大学のHyemin Pomerantz氏らにより報告された。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 フルオロウラシルクリームによる日光角化症治療が、病変数の減少に有用であることはこれまでも報告されていたが、長期的な効果を観察したランダム化試験はなかった。そこでPomerantz氏らは、フルオロウラシルクリーム5%単剤投与の長期的な有用性を観察するため、二重盲検プラセボ対照試験のThe Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)trialを実施した。 試験は、過去5年以内に2部位以上の皮膚角化細胞がんを有した退役軍人を対象として行われた。2009年から2011年に12ヵ所の退役軍人医療センターの皮膚科で登録され、2013年まで追跡された。フルオロウラシル群、プラセボ群ともに平均追跡期間は2.6年であった。 合計932例が登録され、無作為にフルオロウラシル群(468例)、プラセボ群(464例)に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、4週間塗布された。日光角化症の病変数と治療内容の確認は、皮膚科医によって登録時および6ヵ月ごとに行われた。顔、耳の日光角化症病変部位での追加治療を要した病変数は、半年ごとに記録された。 主な結果は以下のとおり。・割り付け時の両群の顔と耳の病変数に差はみられなかった(フルオロウラシル群11.1、プラセボ群10.6、p<0.10)。・無作為化後6ヵ月時点において、フルオロウラシル群ではプラセボ群よりも病変数が減少していた(フルオロウラシル群3.0、プラセボ群8.1、p<0.001)。この結果は、全期間を通して同様であった(p<0.001)。・フルオロウラシル群では6ヵ月時点の病変の完全消退率が高く(フルオロウラシル群38%、プラセボ群17%)、全期間を通じてフルオロウラシル群では追加治療を要した割合が少なかった(p<0.01)。・フルオロウラシル群では、初回追加治療を要するまでの期間が長かった(フルオロウラシル群6.2ヵ月、プラセボ群6.0ヵ月、ハザード比 0.69、95%信頼区間:0.60~0.79)。・肥大した病変数は、6ヵ月時点ではフルオロウラシル群で少なかった(フルオロウラシル群0.23、プラセボ群0.41、p<0.05)が、最終的には差はみられなかった(p=0.60)。

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脊椎疾患の待機的手術、患者満足度が有効性を正確に表す?

 患者満足度調査は、医療の質と診療報酬の償還を決める要素として生み出されたもので、満足度を改善する要因を特定することは非常に重要である。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSilky Chotai氏らは、脊椎変性疾患に対する待機的手術時に行った患者満足度調査から、アウトカムに対する患者の満足度は、脊椎外科的治療の有効性を正確に表すことが可能で、術後1年間における疼痛や機能障害の改善で示されることを報告した。ただし、だからといって満足度が治療の全体の質や有効性に依存するわけではないこと、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位および手術前の疼痛や機能障害が関与することも示唆されたと述べている。Neurosurgery誌オンライン版2015年4月23日号の掲載報告。 研究グループは、術前の患者背景や患者報告アウトカムが脊椎手術後の患者の不満を予測できるかどうかを検討する目的で、腰椎・頚椎変性疾患の待機的手術を受ける患者を対象に、2年間にわたり前向き登録研究を行った。  手術前および手術12ヵ月後に、患者報告アウトカム、腰痛/頚痛による機能障害指数(Oswestry Disability Index[ODI]/Neck Disability Index[NDI])、腰痛/頚痛および下肢痛/上肢痛(数値的評価スケールによる疼痛スコア)を記録した。  以前の報告に基づきODIは14.9%、NDIは17.3%、腰痛/頚痛は2.1/2.6、下肢痛/上肢痛は2.8/4.1を臨床的に重要な最小差とし、患者満足度は北米脊椎学会の患者満足度質問票(North American Spine Society Satisfaction Questionnaire)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象症例は1,645例であった(男性811例、年齢57±13歳)。・12ヵ月後のアウトカムに満足であると報告した患者の割合は83%(1,362例)であった。・多変量解析の結果、12ヵ月後の患者が不満であることの独立した予測因子は、ODI/NDI(オッズ比[OR]:4.215、95%信頼区間[CI]:2.7~6.5、p<0.001)、腰痛/頚部痛(同:3.1、2.188~4.43、p<0.001)、ならびに下肢痛/上肢痛(同:2.6、1.8~3.6、p<0.001)であった。また、患者特異的因子で調整後は臨床的に重要な最小差を達成できなかったが、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位(同:1.39、1.01~1.93、p=0.04)および手術前のODI/NDIスコア高値(同:1.11、1.04~1.19、p=0.002)ならびに腰痛/頚痛スコア高値(同:1.03、1.01~1.06、p=0.002)が予測因子として示された。

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