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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 血液

第1回 急性・慢性白血病第2回 悪性リンパ腫第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植第5回 貧血性疾患・造血不全第6回 出血・血栓性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。血液については、渡邉純一先生が講義します。数々の新薬の登場による血液腫瘍の治療法の変化が最大のポイントです。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 急性・慢性白血病第1回のテーマは、急性・慢性白血病です。急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病について、近年のガイドラインの改訂や、新規薬剤の情報を整理して解説します。第2回 悪性リンパ腫血液の第2回は、悪性リンパ腫について解説します。悪性リンパ腫については、低悪性度から高悪性度B細胞リンパ腫など、各種それぞれのリンパ腫に適した、多数の新規薬剤が登場し、治療のスタンダードとなっています。臨床データを押さえながら、新しい治療薬について説明します。第3回 多発性骨髄腫 Oncology emergency血液の第3回は、多発性骨髄腫とOncology emergencyについて解説します。近年、さまざまな新規薬剤によって、予後が改善している多発性骨髄腫。ただし、完治が厳しい疾患であることには変わりなく、共存を目的とした治療計画が立てられています。薬剤のメカニズムと副作用も重要なポイントです。悪性腫瘍の経過で、急速に悪化した場合の緊急治療Oncology emergencyについて、血液内科領域の対応や基礎疾患、症状を確認します。第4回 骨髄増殖性腫瘍 造血幹細胞移植骨髄増殖性腫瘍には、真性多血症、原発性骨髄繊維症、本態性血小板血症があります。年齢によってリスクが変化するため、治療方針も異なります。使用する薬剤のメリットとデメリットも確認しましょう。造血幹細胞移植には、自家移植と同種移植があります。とくに同種移植について、合併症のリスクや保険適用となった新薬の解説をします。第5回 貧血性疾患・造血不全骨髄不全の疾患である、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群について解説します。近年ガイドラインが改訂された、再生不良性貧血の診療指針の変更点や、骨髄異形成症候群のリスク分類を確認しておきましょう。造血不全による貧血性の疾患は、各種貧血の病態や、保険適用となっている薬剤など、基本をしっかり復習します。第6回 出血・血栓性疾患出血・血栓性疾患には、血小板減少を伴うものと、凝固異常を伴うものがあります。特発性血小板減少性紫斑病と血栓性血小板減少性紫斑病のガイドラインには、新薬が加えられました。播種性血管内凝固は、診断基準がアップデートされたので注意しましょう。後天性血友病、フォンウィルブランド病、抗リン脂質抗体症候群、先天性血友病についてもポイントを説明します。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 呼吸器

第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)第3回 咳嗽・喀痰第4回 喘息第5回 肺炎第6回 肺癌 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。呼吸器については、島根大学医学部附属病院の長尾大志先生がレクチャーします。ガイドラインの改訂がとくに顕著な呼吸器領域。疾患の概念や治療方針に関する大きな変更点、新たに採用された診断基準に注目します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 慢性閉塞性肺疾患(COPD) オーバーラップ症候群(ACO)タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。2018年のガイドライン改訂により、炎症だけでなく非炎症性機転も重視され、FEV1の数値と合わせて、各症状の程度を加味した総合的な重症度の判断が求められるようになりました。喘息とCOPDを合併したACOは、COPD全体の10~20%を占め、治療には吸入ステロイドを併用します。増悪した際の治療手順も試験で問われやすいポイントです。第2回 特発性間質性肺炎(IIPs)特発性間質性肺炎(IIPs)は、明らかな原因を特定できない間質性肺炎の総称。主要6疾患と、その他の希少疾患に分類されます。各疾患名だけでなく、対応する病理組織パターンもしっかり確認しておきましょう。中でも重要なのが特発性肺線維症(IPF)。IPFの診断は、病理診断は必須ではありませんが、アルゴリズムに沿って複数の項目をチェックします。他のIIPsと唯一異なるIPF治療のポイントは、ステロイドを使用しないこと。第3回 咳嗽・喀痰「咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019」では、咳嗽と密接に関連している喀痰の項目を新たに追加。咳嗽と喀痰の原因疾患は、急性と慢性に大別されます。狭義の感染性咳嗽、いわゆる風邪には、抗菌薬は不要です。多彩な疾患が鑑別に上がる遷延性・慢性の咳嗽。鑑別診断では、結核や肺癌など危険な疾患を見逃すことなく、後鼻漏の原因となる好酸球性副鼻腔炎や、喘息、胃食道逆流症なども念頭に置きます。※この番組は2020年3月に収録したものです。新型コロナウイルス感染症については取り上げていません。第4回 喘息変動性を持った気道狭窄や咳などの症状を起こす喘息。これまで明確な診断基準は示されていませんでしたが、「喘息とCOPDのACO診断と治療の手引き2018」に、呼気一酸化窒素濃度(FeNO)値が診断に有効な指標として記載されました。近年の重要な治療方針の変更点は、以前は重症のみに使用されていた抗コリン薬が、比較的初期から吸入ステロイドと併用可能になったこと。重症例に効果的な抗体医薬も増えているので、しっかり押さえておきましょう。第5回 肺炎市中肺炎、院内肺炎、医療・介護関連肺炎の3つの肺炎が統合されたガイドラインが2017年に発表されました。終末期の症例が含まれる院内肺炎と医療・介護関連肺炎を1つの診療群とし、市中肺炎と区別した診療プロセスが示され、終末期における患者の意志やQOLを尊重した治療・ケアのあり方が重要なトピックとなっています。肺炎の種別の重症度スコアリング法や、段階別の治療戦略、適応できる薬剤を解説します。第6回 肺癌今回は非小細胞肺癌について詳しく解説します。肺癌については新規薬剤の開発が盛んで、それに伴ってガイドラインもオンラインで頻繁に更新されています。まずTMN分類で、手術、放射線治療、または薬剤治療のどれを採用するか適応判断。キナーゼ阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、生存期間の延長が見込めるようになりました。副作用に耐えられるか、患者さんの体力も考慮しながら使用できる薬剤を選択します。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経

第1回 脳卒中 超急性期第2回 脳卒中 急性期~慢性期第3回 免疫性神経疾患(1)第4回 免疫性神経疾患(2)第5回 神経変性疾患第6回 機能性疾患 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。神経については、福島県立医科大学脳神経内科の井口正寛先生がレクチャーします。近年ガイドラインの変更が顕著な脳卒中の血栓溶解療法から、免疫系の希少疾患まで詳しく確認します。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 脳卒中 超急性期神経の第1回のテーマは、超急性期の脳卒中。近年では血栓溶解療法や血管内治療が推奨されています。rt-PA静注血栓溶解療法は有効性のエビデンスが蓄積され、発症から治療可能な時間が延長されています。MRIの画像所見を評価スケールに照らし合わせて適応を判断することが重要です。血管内治療は、ステントリトリーバーの登場によって大幅に進歩しました。第2回 脳卒中 急性期~慢性期神経の第2回は、急性期から慢性期の脳卒中について解説します。急性期の脳卒中には、抗血小板薬による薬物療法を行います。重症度によって薬剤の種類と使用法が変わるので注意しましょう。慢性期の脳卒中には、再発防止のための治療をします。ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、潜因性脳梗塞といった病型に応じて、適用できる薬剤やデバイスが異なります。第3回 免疫性神経疾患(1)神経の第3回は、免疫性神経疾患のうち、多発性硬化症とその類縁疾患の視神経脊髄炎関連疾患について解説します。多発性硬化症は、時間的、空間的多発性のある、中枢神経系の脱髄を特徴とする炎症疾患です。近年のガイドラインでは、診断基準が変更されました。視神経脊髄炎関連疾患は、多発性硬化症と比較しながら診断基準や治療法を整理し、新規薬剤を確認します。第4回 免疫性神経疾患(2)神経の第4回は、免疫性疾患のうち、骨格筋の筋力低下を起こす重症筋無力症、急性の末梢神経障害であるギランバレー症候群、自己免疫性脳症について解説します。自己免疫性脳症の抗原には、抗NMDA受容体抗体だけでなく、その他多くの抗体が知られています。また、昨今話題の抗がん剤・免疫チェックポイント阻害薬によって、自己免疫性神経疾患が副作用として引き起こされることがあります。その機序や臨床像なども解説します。第5回 神経変性疾患神経の第5回は、神経変性疾患のパーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症、筋委縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病を取り上げます。パーキンソン病は、他疾患を除外して診断する必要があるため、進行性核上性麻痺や多系統萎縮症といった主な鑑別疾患の特徴を確認しましょう。各神経変性疾患の病態や診断基準、治療法を解説します。第6回 機能性疾患神経の第6回は、てんかん、片頭痛、群発頭痛、本態性振戦について解説します。てんかんを診断するための実用的臨床定義では、新しい概念が定義されました。分類に応じた薬剤選択、発作重積時の対応を確認しましょう。片頭痛は、発作時と予防治療に用いる薬剤を確認します。激しい痛みを伴う群発頭痛は、内服薬ではなく皮下注射と酸素吸入による治療を行います。本態性振戦は、パーキンソン病との鑑別が重要です。

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総合内科専門医試験オールスターレクチャー 内分泌・代謝

第1回 糖尿病(1)第2回 糖尿病(2)第3回 下垂体疾患 副甲状腺疾患 骨粗鬆症第4回 甲状腺疾患第5回 代謝性疾患第6回 副腎疾患 二次性高血圧 総合内科専門医試験対策レクチャーの決定版登場!総合内科専門医試験の受験者が一番苦労するのは、自分の専門外の最新トピックス。そこでこのシリーズでは、CareNeTV等で評価の高い内科各領域のトップクラスの専門医を招聘。各科専門医の視点で“出そうなトピック”を抽出し、1講義約20分で丁寧に解説します。キャッチアップが大変な近年のガイドラインの改訂や新規薬剤をしっかりカバー。Up to date問題対策も万全です。内分泌・代謝については、聖路加国際病院内分泌代謝科の能登洋先生がレクチャーします。糖尿病、脂質異常症、高尿酸症といった代謝性疾患は、それぞれの診断基準となる数値をきちんと把握し、適切な治療でコントロールすることが大切です。内分泌疾患は、内分泌系の仕組みを総合的に捉え、各ホルモンの作用と、多岐にわたる疾患の特徴を押さえます。※「アップデート2022追加収録」はCareNeTVにてご視聴ください。第1回 糖尿病(1)内分泌・代謝の第1回は、糖尿病の病態と診断について解説します。糖尿病には、1型、2型、その他、妊娠糖尿病の4つの病型があり、血糖値とHbA1cの数値、既往歴から鑑別します。急激な高血糖によって引き起こされる糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態、あるいは過度の治療による低血糖。命にかかわることもあるため、試験でよく問われるテーマです。第2回 糖尿病(2)内分泌・代謝の第2回は、糖尿病の治療について解説します。治療のポイントは、多様な薬剤の使い分け。各治療薬の作用機序、効果と副作用、禁忌事項を確認します。インスリン療法で重要なのが、用量調節の際の責任インスリンという概念。妊娠糖尿病は、胎児への影響を考慮して、通常の糖尿病よりも診断基準が厳しく、血糖コントロール目標値を厳格に管理することが推奨されています。第3回 下垂体疾患 副甲状腺疾患 骨粗鬆症さまざまなホルモンを分泌する下垂体。初めにホルモンの種類と全身の標的器官を押さえます。下垂体ホルモンの過剰分泌や分泌低下によって引き起こされる各疾患も要チェック。副甲状腺ホルモン疾患の鑑別には、カルシウムとリンの値に注目します。骨粗鬆症は、一般的に加齢により発症しますが、内分泌疾患、薬物、糖尿病など、特定の誘因によって発症する場合もあります。骨粗鬆症の各治療薬について、機序と使用法を確認します。第4回 甲状腺疾患内分泌・代謝の第4回は、甲状腺疾患について解説します。バセドウ病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、プランマー病など、複数の疾患に起因する甲状腺中毒症。この甲状腺中毒症が重症化した甲状腺クリーゼは、致死率が高いので要注意。甲状腺機能低下症の代表的な疾患は、橋本病、粘液水腫性昏睡です。甲状腺腫瘍について、最新のガイドラインにおける治療方針を確認します。第5回 代謝性疾患脂質異常症の診断基準は、LDL-C、HDL-C、中性脂肪を数値別にチェック。総コレステロールから善玉コレステロールを除いた”non-HDL-C”という新たな指標が注目されています。幼少期から動脈硬化性疾患を起こす原発性高コレステロール血症の治療には、PCSK-9阻害薬が近年効果を発揮しています。高齢者の場合は、過度な減量は禁物。軽い肥満の方が死亡リスクを下げます。高尿酸血症は、原因疾患と合併症の有無によって治療薬の使い分けがポイントです。第6回 副腎疾患 二次性高血圧副腎から産出分泌されるホルモンには、アルドステロン、コルチゾール、カテコルアミンがありますが、副腎に腫瘍ができてホルモンが過剰分泌されると、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、パラガングリオーマといった疾患が引き起こされます。内分泌疾患により発症する二次性高血圧は、原因疾患を治療することで改善できます。各疾患に関わるホルモン、注目すべき検査所見、鑑別診断、治療の流れを確認します。

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第51回 コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に

<先週の動き>1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省1.コロナワクチンの最新版手引き、1瓶から6回接種が前提に厚生労働省は、16日に新型コロナウイルス感染症にかかわる予防接種について、医療機関向け手引きの改訂版(2.1版)を公開した。今後、医療従事者の優先接種用として、1バイアルから6回分接種可能な注射針およびシリンジを配布する。また高齢者の優先接種についても、調整が順調に進めば、5月中には同注射器の配布が可能になることが明記された。優先接種順位については、居宅・訪問サービス事業所等の従事者も、高齢者以外で基礎疾患を有する患者と同じ優先対象とされた。なお、医療機関がワクチンを入手するためには、V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)を導入しなければならない。(参考)資料 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.1版)(厚労省)新型コロナワクチンの供給の見通し(同)「1瓶6回」の注射器、5月10日から供給 河野氏(日経新聞)2.医師の働き方改革が衆議院通過、日医の見解は?現在開催されている通常国会で、医師の働き方改革を含む医療法等の改正案が衆議院を通過し、参議院での法案審議が始まる。これを踏まえ、日本医師会は14日に記者会見を行った。大学病院・基幹病院における地域医療支援については、地方への医師派遣は「地域医療提供体制の観点からは必須である」とするとともに、「全国医学部長病院長会議とも連携し、継続されている大学病院からの医師派遣が妨げられることのないよう取り組んでいく」との考えを表明。医師の労働時間短縮計画については、各医療機関に対して「労働時間の把握など、36協定の締結、健康診断の実施などの基本的事項からしっかりと取り組んで欲しい」としたほか、評価機能の仕組みについては、医療機関を取り締まったり、罰則を与えたりするものではなく、体制が整備されていない医療機関に対し、取り組みの支援を行っていくものであることに理解を求めた。なお、4月14日の参議院本会議では医療法改正案について趣旨説明と質疑が行われ、その様子が川田 龍平参議院議員のブログに掲載されている。(参考)医師の働き方改革の進捗状況について(全国医学部長病院長会議との連携)(日本医師会)川田 龍平参議院議員ブログ3.接触確認アプリの杜撰な運用実態、業者が1,200万円を返納厚労省は、新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ(COCOA)について、不具合の発生要因や再発防止策について、報告書を公開した。陽性者との接触通知が届かない状態のまま放置されたのは、アプリを管理する事業者と厚労省の間で認識が共有できていなかったと説明。また、短期スケジュールの中、アプリの開発ならびに保守運用を受託していたパーソルプロセス&テクノロジーが他社に再委託、再々委託することを容認し、事業者間の役割分担が不明確になったことや、厚労省の人員体制も不十分だったことが今回の不具合につながったと考えられる。厚労大臣は事務次官らを厳重注意処分しており、再発防止が求められる。また、パーソルプロセス&テクノロジーは、昨年8月以降の業務対価の1,200万円を自主返納することを発表した。(参考)接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討について(報告書)(厚労省)厚労省、COCOA不具合の検証結果を公表 業者任せ、多重下請けなどの課題が浮き彫りに(ITmedia)コロナ接触アプリ業者が対価返納 1200万円、COCOA不具合(共同通信)4.初の費用対効果評価で薬価引き下げ、類似品目も適用14日に行われた中央社会保険医療協議会総会において、費用対効果評価専門組織からの報告をもとに、CAR-T細胞療法(患者由来T細胞の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を攻撃しやすくして患者の体内に戻す免疫細胞療法)に使われるチサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア点滴静注)の価格調整が行われた。現行薬価3,411万3,655円から約146万円(約4.3%)引き下げられ、3,264万7,761円となる。なお、医療機関における在庫への影響などを踏まえ、調整後価格は7月1日付で適用。同日に、CAR-T細胞製品2番手のアキシカブタゲン シロルユーセル(商品名:イエスカルタ点滴静注)が薬価3,411万3,655円で承認されたが、21日の収載と同時に価格調整が適用され、保険償還価格は1番手と同じ3,264万7,761円となることが報告された。同様に、フルチカゾン/ウメクリジニウム/ビランテロール(商品名:テリルジー)の価格調整を受けて、類似品目のブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(同:ビレーズトリ)、インダカテロール/グリコピロニウム/モメタゾン(同:エナジア)も引き下げを受けた。(参考)中医協総会 イエスカルタの保険償還価格は3264万円 収載日に費用対効果評価結果を反映(ミクスonline)中医協総会 キムリアとテリルジーの薬価引下げを了承 初の費用対効果評価で7月1日から(同)資料 キムリアの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(厚労省)資料 テリルジーの費用対効果評価結果に基づく価格調整について(同)5.健康保険証の交付廃止、マイナンバーカード一体化を提案/財務省13日に、首相が議長を務める経済財政諮問会議が総理大臣官邸で開催された。参加した民間議員からは、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするため、単独交付を取りやめ、マイナンバーカードへの完全な一体化を実現すべきとの提案が示された。ほかにも、企業が希望する従業員に対して「選択的週休3日制」の導入を求める提言が出された。従業員のスキルアップや多様な働き方を支援し、育児や介護との両立を後押しするのが目的で、これらを「骨太の方針」に盛り込む見込み。ただし、マイナンバーカードとの一体化により、従来の健康保険証と異なり、受領には顔写真付きの身分証明書の提示が必須になるため、認知症や身体障害者などにも対応できる自治体の体制整備が必須となる。(参考)健康保険証の交付廃止を マイナンバーカードと一体化―民間議員が提言へ・諮問会議(時事通信)経済財政諮問会議 健康保険証の単独交付取りやめ マイナンバーカードへの一体化を民間議員が提案(ミクスonline)週休3日制、環境整備議論 諮問会議(日経新聞)資料 令和3年第4回経済財政諮問会議(内閣府)

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Onco-Cardiology(腫瘍循環器学)とは【見落とさない!がんの心毒性】第1回

はじめに生活習慣の欧米化や高齢化に伴い本邦の疾病構造は大きく変化し、がんの増加と共にがんに循環器疾患を合併する患者さんが増加しています。世界的にもがん治療の進歩に伴う新しい抗がん剤の登場により循環器合併症(心毒性)の頻度が高くなり、がんと循環器の両者を診療する腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)が注目されるようになりました。このような中、2000年に米国MDアンダーソンがんセンター循環器内科にOnco-Cardiology 外来が、本邦では2011年に大阪府立成人病センターにおいて腫瘍循環器外来を開始しました。当時、subspeciality化が進む医療現場においてニッチな学際領域であったOnco-Cardiologyは、がん治療専門施設や大学病院の循環器内科の腫瘍循環器外来として開設されました。それから約10年の歳月を経て、2020年末に日本腫瘍循環器学会の編集により「腫瘍循環器診療ハンドブック」1)が作成され、がん診療の現場での腫瘍循環器診療の標準化が始まろうとしています。しかしながら、すべてのがん診療の現場において対応するには未だ腫瘍循環器医の数は十分ではなく、がん治療の複雑化と長期化に伴う新たな心毒性の出現やがんサバイバーの増加に伴う晩期心毒性の出現など、Onco-Cardiologyにおいて新たな課題が生まれてきています。本連載は、「腫瘍循環器学:Onco-Cardiology」を初めて耳にされる方や、がん診療を行っておられる腫瘍専門医や循環器専門医の皆様で実際に心毒性のコントロールに困っておられる先生を対象に、現在第一線で腫瘍循環器診療を行っているエキスパートらが知っておいていただきたい事項の解説、具体的な症例を提示しながらOnco-Cardiologyの最新情報を紹介します。なお、本企画を連載するメンバーは、それぞれが異なった規模の医療施設において実際にOnco-Cardiologyの診療・研究を行っています。Onco-Cardiologyをできるだけ多くの読者の皆様に知っていただき、理解いただくためにも、それぞれの経験を元に最新情報を交えながらOnco-Cardiologyを紹介してまいります。掲載の都合上、不足部分については「腫瘍循環器診療ハンドブック(日本腫瘍循環器学会編集)」をお手元に置いて連載を読んでいただければ、より理解が深いものになると期待いたしております。腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)とは従来、がんと循環器はお互いに離れた関係にあり、1970年代アントラサイクリン系抗がん剤の投与による心筋症が報告されたものの両者が触れ合う機会は決して多くありませんでした。しかしながら、21世紀を迎え分子標的薬が登場しHER2阻害薬(トラスツズマブ)心筋症などの新しい機序の心毒性が登場するようになると、循環器専門医ががん診療に介入する機会は急激に増加するようになります。(図1)に示すように新たな心毒性が出現するごとに腫瘍循環器に関連した論文数は増え、2010年以降には急速な増加を認めています2)3)。とくに血管新生阻害薬や新たな標的に対する薬剤の登場により、心筋毒性が中心であった心毒性は高血圧症や動脈・静脈血栓塞栓症などの血管毒性や不整脈関連毒性(QTc延長、心房細動、心室性頻拍症ほか)など多彩な病態を呈するようになり、循環器専門医による診療が不可欠です。さらに、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAE)では、腫瘍循環器医のみならず内分泌内科専門医、神経内科専門医など複数の診療科が共同で診療する必要のあるような複雑な合併症を示す症例も多く認められます。(図1)腫瘍循環器学関連の論文数と循環器合併症(心毒性)の推移画像を拡大するがん診療における心血管リスクの変化がん診療は発がん前の時点から始まり、急性期がん治療期、がんの回復・寛解期、そしてがん治療が終了した後と、それぞれのステージに合わせて腫瘍専門医によるがん治療が行われます。その間、(図2)に示すように心血管リスクはがん発症前~がん治療中に出現する急性期心毒性、治療開始後から1年程度で認める慢性期心毒性、そしてがん治療が終了し数年から10年以上が経過し潜在的に進行する晩期心毒性と、各ステージにおいて、がん種のみならず患者の病態や治療内容により大きく変化しています4)。(図2)がん診療における心血管リスクと腫瘍循環器診療画像を拡大する腫瘍循環器医は、腫瘍専門医の依頼によりそれぞれのステージに合わせ診療を行い、がん治療前に患者が有する心血管リスクを層別化することでがん治療による心毒性の発症を予測します。さらに、治療前から有する生活習慣病などのリスク因子を適正化することでがん治療のリスクを軽減し、がん治療が開始した後は心毒性の早期発見、早期治療を行います。従って、急性期心毒性への対応は、腫瘍専門医を中心として外来化学療法室、薬剤師などの多くのメディカルスタッフと連携し、あくまでがん治療の継続を第一の目標としてがん患者の安全性を確保すると共にがん治療の適正化を目指します。その一方で、がん治療が終わったがんサバイバーに出現する晩期心毒性に対する対応は、長期的にわたる循環器疾患モニタリングによる継続的な循環器ケア(continuum of cardiovascular care)が必要となります。本邦ではこのがんサバイバーがすでに500万人以上とされ、現在も急速に増加しているため、腫瘍循環器外来のみならず一般の循環器外来でも診療の機会が増えています。すでにがん治療が終了したがんサバイバーにとって、晩期心毒性への対応は急性期がん治療を専門とする医療機関のみでは困難な場合が多く、腫瘍循環器医、かかりつけ医(総合内科医)、薬剤師などを含めた長期間にわたる医療連携が必要となっています。実際の医療現場では晩期合併症に対する医療リソースは決して十分ではなく、日々進歩するがん診療において今後の大きな課題となっています5)。今後の方向性がんと循環器における関係は、2017年の日本腫瘍循環器学会設立を機に、国や学会レベルでも学際領域の連携が進み、基礎・臨床・疫学研究への支援が加速しています。前述の「腫瘍循環器診療ハンドブック」により腫瘍循環器外来における基本的な治療指針が示されたことで、今まで触れることのなかった多くの医療者にもOnco-Cardiologyがより身近なものとなっています。今後、多くのエビデンスが集積されることで本邦独自の腫瘍循環器関連診療ガイドラインが作成され、がん患者へより良い治療が提供できることが期待されています。1)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック.メジカルビュー社. 2020.2)Barac A, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:2739-2746.3)Herrmann J, et al. Nat Rev Cardiol. 2020;17:474-502.4)Okura Y, et al. Cir J 2019;83:2191-2202.5)向井幹夫. 医学のあゆみ 2020; 273:483-488.講師紹介

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StageIII大腸がん、FOLFOXへのセレコキシブ追加は?/JAMA

 StageIIIの大腸がん患者において、標準的な術後化学療法FOLFOXに、3年間のCOX-2阻害薬セレコキシブを追加してもプラセボとの比較において、無病生存(DFS)期間の改善について有意差は示されなかった。米国・Dana-Farber/Partners CancerCareのJeffrey A. Meyerhardt氏らが2,526例の患者を対象に行った無作為化試験「CALGB/SWOG 80702試験」の結果を報告した。これまでにアスピリンやCOX-2阻害薬は、大腸ポリープ・がんのリスク低下と関連していることが観察研究や無作為化試験で示されているが、転移のない大腸がんの治療におけるセレコキシブの効果は明らかになっていなかった。JAMA誌2021年4月6日号掲載の報告。FOLFOX 3ヵ月または6ヵ月に、セレコキシブvs.プラセボ追加 CALGB/SWOG(Cancer and Leukemia Group B(Alliance)/Southwest Oncology Group)80702は、米国およびカナダの654の地域・大学医療センターを通じ2×2要因デザイン法を用いて行われた第III相試験で、StageIII大腸がん患者の術後化学療法FOLFOX(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン)へのセレコキシブ追加がDFSを改善するかどうかを検討した。 2010年6月~2015年11月に計2,526例のStageIII大腸がん患者が登録され、2020年8月10日までフォローアップを受けた。 被験者は、術後化学療法としてFOLFOX(2週ごと)を3ヵ月または6ヵ月に加えて、セレコキシブ(400mgを1日1回経口、1,263例)またはプラセボ(1,261例)の投与を受けるよう無作為に割り付けられた。 主要評価項目はDFSで、無作為化から再発または全死因死亡で評価した。副次評価項目は、全生存(OS)、有害事象、心血管特異的イベントなどであった。3年DFS率、5年OS率に有意差なし、 無作為化を受けた2,526例は、平均年齢61.0(SD 11)歳、女性1,134例(44.9%)で、2,524例が主要解析に包含された。アドヒアランス(セレコキシブまたはプラセボを2.75年超投与、もしくは再発、死亡、容認できない有害事象の発現まで治療を継続と定義)は、セレコキシブ追加群70.8%、プラセボ群69.9%であった。 追跡期間中央値6年間で再発または死亡は、セレコキシブ追加群337例、プラセボ群363例であった。3年DFS率は、セレコキシブ追加群76.3%、プラセボ群73.4%で有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.76~1.03、p=0.12)。また、DFSへのセレコキシブの治療効果は、FOLFOXの割り付け投与期間にかかわらず同等であった(相互作用のp=0.61)。 5年OS率は、セレコキシブ追加群84.3%、プラセボ群81.6%であった(死亡に関するHR:0.86、95%CI:0.72~1.04、p=0.13)。 FOLFOX投与期間中の高血圧症(あらゆる重症度)の発症率は、セレコキシブ追加群14.6%、プラセボ群10.9%であり(p=0.01)、FOLFOX投与後にクレアチニン値がグレード2以上上昇したのは、セレコキシブ追加群1.7%、プラセボ群0.5%であった(p=0.01)。

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カバ咬傷は四肢切断リスクが高い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第185回

カバ咬傷は四肢切断リスクが高いpixabayより使用皆さんがアフリカの川で遊んでいるとき、カバに遭遇したとしましょう。「うわーい、カバさんだー」とニコニコして近付くと、ぶちのめされるかもしれません。イラストにするとちょっと間抜けなかわいい動物みたいな感じになりますが、カバは非常に攻撃的です。突進してきたり、噛みつかれたりすることがあります。Haddara MM, et al.Hippopotamus bite morbidity: a report of 11 cases from BurundiOxf Med Case Reports . 2020 Aug 10;2020(8):omaa061.テレビで見たことがあるのですが、船に乗っているクルーをカバが追いかけてくるシーンがありました。カバは川を泳ぐのではなく、川底を歩いて突進してくるそうです。平均的なカバは、体長3.5 m、体高1.5 m、体重約3,200kgくらいだそうです。もう、車ですやん! 30〜50cmの非常に鋭い三角形の犬歯があって、その咬合力は12,600kPaだそうです。コレ、めちゃくちゃ強くて、ライオンの3倍くらいと言われています。今回の研究に登録されたのは、ブルンジにおいてカバ咬傷と診断された11人のケースシリーズです。カバ咬傷自体がまれなので、これが過去最大のまとまった報告だそうです。損傷パターンや外科的治療の必要性について調べました。11人のうち、9人が男性、2人が女性でした(年齢:18~57歳)。負傷者のほとんどは、ブルンジの河川またはタンガニーカ湖のいずれかの水域でカバに襲われました。水泳中3人、釣り中2人、洗濯中1人、農作業中2人、その他の状況が3人でした。損傷部位は、下肢が8人と多く、上肢に外傷を受けたのは5人でした。また、4人の患者が胸部および腹部に貫通性の損傷を受けています。11人中6人の患者が輸血を必要とし、3人は開腹手術を要しました。そして、深部創感染が5人に発生し、4人は虚血のために四肢切断に至りました。ひょえーー!!――というわけで、カバはただの哺乳類ではなく、危険生物として対応する必要があります。とくに、負傷後の創感染と四肢切断のリスクが高いので、カバに追いかけられたら覚悟を決めましょう。なお、アフリカの現地人はカバに追いかけられたら、地面に四つん這いになって脱糞をする真似をするとかしないとか。カバがその真似をし始めるらしいので、その間に逃げるとよいそうです。いやぁしかし、突進してくるカバを前に四つん這いになって本当に大丈夫なんでしょうか……。

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高齢日本人EGFR陽性肺がんを対象としたアファチニブ1次治療(NEJ027)/BMC Cancer

 肺がんは高齢者の頻度が高い。しかし、高齢者肺がんに対する研究結果は十分ではない。未治療の高齢日本人EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、アファチニブの1次治療の抗腫瘍活性と安全性を調査した多施設単群第II相NEJ027試験の結果が発表された。・対象:75歳以上の未治療の進行EGFR変異陽性(Del19またはL858R)のNSCLC・介入:アファチニブ40mg/日 疾患進行または許容できない毒性が発現するまで投与・主要評価項目:中央委員会評価による客観的奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・38例の患者がアファチニブの投与を受け、37人が有効性評価可能であった。・年齢の中央値は77.5歳、ECOG PS0〜1、60.5%がDel19陽性であった。・追跡期間中央値は838日であった。 ・ORRは75.7%(CR2例、PR26例)であった。・無増悪生存期間中央値は14.2ヵ月。全生存期間(OS)中央値は35.2ヵ月で、 2年OS率は78.3%であった。・一般的なGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は、下痢(28.9%)、爪囲炎(23.7%)、発疹/ざ瘡(15.8%)であった。 ・TRAEによる減量は78.9%、TRAEによる中止は21.1%(8例)で、治療関連死は認められなかった。 この研究ではアファチニブの用量調整が比較的一般的に認められた。しかし、75歳以上のいおいても中止頻度は少なく、ほとんどの患者は1年以上治療を続けることができた、としている。

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寒冷凝集素症にsutimlimabは有効か?/NEJM

 寒冷凝集素症患者において、sutimlimabの投与によって古典的補体経路の活性化が選択的に上流で阻害され、速やかに溶血が停止し、ヘモグロビン値が上昇し、疲労が改善したことが示された。ドイツ・デュイスブルク・エッセン大学のAlexander Roth氏らが、sutimlimab静脈内投与の有効性および安全性を評価した26週間の多施設共同非盲検単群試験「CARDINAL試験」の結果を報告した。寒冷凝集素症は、古典的補体経路の活性化により引き起こされる溶血を特徴とする、まれな自己免疫性溶血性貧血で、現在、承認されている治療薬はない。sutimlimabは、活性化経路の第1段階にあるC1複合体に含まれるセリンプロテアーゼを標的としたヒト化モノクローナル抗体である。NEJM誌2021年4月8日号掲載の報告。sutimlimabの有効性/安全性を26週間で評価 研究グループは、最近の輸血歴を有する特発性寒冷凝集素症患者を対象に、ベースラインの体重が75kg未満の患者にはsutimlimab 6.5gを、75kg以上の患者には7.5gを、0日目(治療初日)および7日目、以降は2週ごとに26週間静脈内投与した。 主要評価項目は、第5週から第26週まで輸血が不要、またはプロトコールで禁止されている他の寒冷凝集素症関連治療を受けることなく、ヘモグロビン値がベースラインから2g/dL以上増加(23週、25週および26週時の平均)または12g/dL以上まで増加した患者の割合とした。sutimlimabは寒冷凝集素症に有効、軽度~中等度の有害事象あり 24例が登録され、全例少なくとも1回のsutimlimab投与を受けた。 24例中13例(54%)が主要評価項目を達成した。治療評価時(23週、25週および26週時)におけるヘモグロビン値のベースラインからの増加の最小二乗平均値は2.6g/dLであった。平均ヘモグロビン値は、3週目から試験終了時点まで11g/dL超が維持された。平均ビリルビン値は3週目までに正常化した。 また、17例(71%)が、5週から26週目まで輸血を受けなかった。1週目には疲労の改善(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy[FACIT]-Fatigue Scale 25による評価で、臨床的に意味のある改善:ベースラインからスコアが3~7ポイント増加)が認められ、試験期間中維持された。 機能アッセイの結果、古典的補体経路の活性は速やかに阻害されたことが示され、ヘモグロビン値上昇、ビリルビン値低下、疲労の改善は、古典的補体経路の阻害と一致した。 なお、投与期間中に有害事象は22例(92%)に発現した。7例(29%)で重篤な有害事象が確認されたが、治験責任医師によりsutimlimabとの関連は否定された。髄膜炎菌感染症の報告はなかった。

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新型コロナ、第4波の大阪は「これまでとは別世界」~呼吸器科医・倉原優氏の緊急寄稿(2)

 「新型コロナウイルスの感染状況は第4波に入った」。変異株を含め、全国的に感染者が再び急増している現状について、識者らは相次いで明言した。なかでも、1日の新規感染者数が1,000人超を記録している大阪府はとりわけ深刻だ。渦中の医療現場は今、どうなっているのか。CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿でその詳細を明らかにした。大阪府コロナ第4波の現状 以前、大阪府コロナ第3波についての現状をお伝えしましたが1)、あれからいったん落ち着いたものの、現在第4波が到来しています。大阪府は1日の新規感染者数が過去最大規模になっており、医療現場は災害級に混乱しています。第3波と異なるのは、(1)年齢層(2)重症度(3)速度です。(1)年齢層 大阪府フォローアップセンターから入院要請のあるCOVID-19患者さんの年齢が、15歳ほど下押しされています。当院に入院した第1波~3波までの平均年齢(±標準偏差)は68(±17)歳、第4波の平均年齢は53(±19)歳です。直近のデータで、感染者が40代未満である割合が5割弱と引き続き高く、若い世代を中心に感染が広がっていることがわかります。(2)重症度 この第4波、来院して最初に撮影した胸部画像検査で背筋がゾっとすることが多くなりました。糖尿病コントロールが不良で高度肥満があり、SpO2が90%未満の場合、ある程度の覚悟を持って診療に当たることができますが、そこまでの基礎疾患がなく、SpO2が92~93%程度であるにもかかわらず、「エッ!」と声を上げてしまうほど両肺のすべての葉に肺炎が見られるケースが増えています。このパンデミックで、自分より年下のARDSを経験するなんて思いもしませんでした。基本的に中等症IIがメインで、中等症Iならホっとするくらいです。(3)速度 大阪府は、保健所および入院フォローアップセンターが連携して入院病床の管理を行っており、どの病院に入院してもらうかはフォローアップセンターの少数精鋭部隊が担っています(図1)。 第3波の時点で重症病床を約230床確保していましたが、第4波に入る前はかなり病床数を減らしていました。第3波の後半で、すでに重症病床が約60床埋まっている状態がスタートだったため、第4波で軽症中等症病床が埋まるより先に重症病床がパンクしてしまいました。 そのため、緊急増床に踏み切った大阪府の施策は間に合わず、あっという間に第4波の確保病床を超えてしまい、軽症中等症病床で挿管・人工呼吸管理のCOVID-19患者さんを診療する状態になってしまいました。当院でもすでにそういった患者さんが発生しており、重症病床が増えない限り、これが常態化するかもしれません。 「N501Y変異株」の症例が増えているのは確かですが、この病床逼迫の最たる原因なのかはわかりません。緊急事態宣言が緩和され、卒業・入学シーズンで人出が増えた影響もあり、相加相乗的に作用した可能性はあります。ただ、大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料によると、この病床逼迫速度は第3波の約3倍とされており2)、きわめて想定外の事態であったことは間違いありません。また、「N501Y変異株」陽性者の発症から重症化までの日数は従来株よりも約1日早いとされており(表)、これが先述の状況に拍車をかけたのかもしれません。第4波を乗り越えたとしても… 第4波のCOVID-19、第3波までと実はまったく別の疾患なのではないかというくらい、ARDSの頻度が高いです。大阪に続いて東京にも第4波が到来する可能性は十分にあります。 とはいえ、ゴールデンウイークに向けて徐々に減ってくることに期待したいものです。4月5日からの「まん延防止等重点措置」が始まって2週間後にあたる4月19日以降、新規陽性者数が減ってくれば第4波は落ち着くかもしれません(図2)。 しかしながら、第4波を乗り越えたとしても遅滞なくワクチン施策が進まなければ、また7月頃に第5波がやってくる可能性はあります。そうなれば、オリンピック開催時期と完全に被ってしまうことになるでしょう。多方面へのシビアな調整が必要になるため、オリンピックを中止あるいは延期するという選択肢はないのだと思いますが、ハンマー・アンド・ダンスで時間稼ぎをするにも現場の疲弊は限界を迎えつつあり、もはやワクチンに希望を託すしかなさそうです。【倉原 優氏プロフィール】2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て、08年より現職。CareNet.comでは、「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」「Dr.倉原の“俺の本棚”」連載掲載中。

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非浸潤性乳管がん、浸潤性がんへの進展リスク因子は?日本人患者の分析から

 乳房の非浸潤性乳管がん(DCIS)は、浸潤性乳管がん(IDC)の前駆病変と臨床的には位置づけられ、DCISが見つかった場合、現在では一様に切除手術が行われている。しかしこのDCIS集団中には、真に浸潤性がんに進展するDCIS(真のDCIS 群)だけでなく、浸潤性がんには進展しない症例が含まれることが明らかになってきており、両群を区別する因子の同定が求められている。東京大学学大学院新領域創成科学研究科の永澤 慧氏らは、DCISの進展に関係する候補因子として、臨床病理学的因子に加え、遺伝子因子としてGATA3遺伝子の機能異常を同定した。Communications biology誌オンライン版2021年4月1日号の報告より。 主な結果は以下のとおり。・2007~2012年に聖マリアンナ医科大学で手術を受けたDCIS患者431例(年齢中央値:48歳、追跡期間中央値:6.1年、ER陽性:87.0%/HER2陽性:18.8%、4.6%が追跡期間中にIDCに進行)のデータが分析された。その結果、年齢(45歳未満)とHER2陽性が浸潤性がん再発と関連するリスク因子であると示された。・21症例のDCIS原発病変と再発前後のペア検体を用いた全エクソンシークエンスを実施した結果、GATA3遺伝子変異が浸潤性がんへの進展に関与する遺伝子候補とされた。・この結果を、全エクソンシークエンスの結果より作成した180遺伝子ターゲットパネルを用いて、72例のターゲットシークエンスを行い確認した(オッズ比[OR]:7.8、95%信頼区間[CI]:1.17~88.4)。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS症例の空間トランスクリプトーム解析を行った結果、GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞では、異常を持たない細胞に比べて上皮間葉転換(EMT)や血管新生などのがん悪性化関連遺伝子の活性化を認め、浸潤能を獲得していることが明らかとなった。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞におけるPgR(プロゲステロンレセプター)の発現量を確認したところ、有意にその発現が低下していることがわかった。・ER陽性症例をPgRの発現レベルで2群にわけて再発予後を検討したところ、ER陽性かつPgR陰性のDCISでは有意に予後が悪いことが明らかになった(ハザード比[HR]:3.26、95%CI:1.25~8.56、p=0.01)。・これらの結果から、ER陽性DCISにおけるGATA3遺伝子変異は、PgR発現がそのサロゲートマーカーになる可能性が示唆された。

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妊娠糖尿病スクリーニングの実用的無作為化試験(解説:小川大輔氏)-1376

 妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であり、妊娠中に高血糖があると流産、形態異常、巨大児などの合併症が起こる危険性があるため、妊娠中は厳密に血糖の管理を行う。なお、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は妊娠糖尿病とは別に区別されるが、厳格な血糖コントロールは妊娠糖尿病と同様に必要である。 妊娠糖尿病のスクリーニングとして、妊娠24~28週時に妊娠糖尿病スクリーニング検査が推奨されている。1段階法と2段階法の2つのスクリーニング法があるが、どちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていない。従来からある2段階法(Carpenter-Coustan基準)に対し、1段階法(IADPSG基準)は一度のブドウ糖負荷試験で診断ができるというメリットがある。しかし、母児の周産期合併症に関するアウトカムについては不明であった。 今回ScreenR2GDM試験では、2万3,792人の妊婦を対象に妊娠糖尿病スクリーニング検査を無作為に1段階法と2段階法の2群に1対1で割り付け、周産期合併症や母体合併症について検討された1)。5つの主要アウトカムのうち、妊娠糖尿病の診断は1段階法のほうが多かったが(1段階法 16.5%、2段階法 8.5%)、その他の巨大児、死産などの周産期合併症や妊娠高血圧症、帝王切開などの母体合併症に関連する主要アウトカムには有意差を認めなかった。また副次アウトカムや安全性アウトカムにも有意な差がないことが示された。 これまでに妊娠糖尿病のスクリーニングで2段階法から1段階法にかえて初回帝王切開や新生児低血糖が増加したとの報告があったが2,3)、今回の大規模な実用的無作為化試験により周産期合併症と母体合併症に関連する主要アウトカムのリスクには、両スクリーニング法に有意な差はないことが明らかになった。いずれのスクリーニング検査法を用いるにせよ妊娠糖尿病と診断した後は、母児の周産期合併症を予防するために妊娠中の血糖管理を適切に行うことが重要である。そして妊娠糖尿病の既往があると、将来糖尿病やメタボリック症候群を発症するリスクが高いため、定期的なフォローアップが必要である。

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ICIによる早期肺がんアジュバントへの期待(IMpower010)【侍オンコロジスト奮闘記】第111回

第111回:ICIによる早期肺がんアジュバントへの期待(IMpower010)参考Pivotal Phase III study shows Roche’s Tecentriq helped people with early lung cancer live longer without their disease returning早期肺がん、アテゾリズマブの補助療法が主要評価項目を達成(IMpower010)/Genentech

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不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

 不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。 各種データベースより、2000年から2020年4月5日までに公表された文献を、独立した2人のレビュアーが検索した。検索キーワードには、うつ病、障害、不妊症、有病率、疫学などを用い、ペルシャ語および英語で検索した。文献のタイトル、アブストラクト、フルテキストを評価した。レビュアーは、Newcastle-Ottawa Scaleを用いてエビデンスの質を評価した後、STATA version 14を用いて調査結果を分析した。不均一性および出版バイアスの評価には、I2およびEgger's検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32件をメタ解析に含め、文献の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いて検討した。・抽出された研究には、不妊症女性9,679例が含まれた。・プールされた有病率の最低値は21.01%(95%CI:15.61~34.42、Hospital Anxiety and Depression Scaleで評価)、最高値は52.21%(95%CI:43.51~60.91、ベックうつ病評価尺度で評価)であった。・不妊症女性におけるプールされたうつ病の有病率は、低中所得国で44.32%(95%CI:35.65~52.99)、高所得国で28.03%(95%CI:19.61~36.44)であった。 著者らは「不妊症女性のうつ病有病率は、一般人口よりも高かった。とくに低中所得国では、不妊症女性のうつ病に対する適切な対策、計画、政策を確立し、この問題を減少させるための取り組みを行う必要がある」としている。

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抗肥満薬としてのGLP-1受容体作動薬セマグルチドの有効性(解説:住谷哲氏)-1375

 高血圧、高脂血症および2型糖尿病などの生活習慣病の多くは肥満と関連している。さらに肥満を改善すれば高血圧、高脂血症および2型糖尿病の改善がみられることも少なくない。高血圧には降圧薬、高脂血症にはスタチンやフィブラート製剤、2型糖尿病には血糖降下薬が使用可能であるが、肥満に対する治療薬としてわが国で認可されているのは食欲抑制剤としてのマジンドール(商品名:サノレックス)のみである。肥満大国の米国ではこれに加えて、腸管からの脂肪吸収を抑制するリパーゼ阻害薬であるorlistat(商品名:Xenical)、中枢神経系に作用するphentermine/topiramate(商品名:Qsymia)、naltrexone/bupropion(商品名:Contrave)も販売されているがいずれも副作用が問題で長期使用できる薬剤ではない。 インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬は血糖降下薬として開発されたが、体重減少作用を有することから抗肥満薬として以前から注目されてきた。リラグルチドは抗肥満薬(商品名:Saxenda)としてすでにわが国以外の多くの国で認可されている。本論文はセマグルチドの抗肥満薬としての有効性と安全性を検討した国際第III相試験プログラムSemaglutide Treatment Effect in People with Obesity(STEP)の一つであるSTEP 1についての報告である。その結果は、セマグルチド2.4mgの週1回投与は68週後にプラセボと比較して約15%の体重減少をもたらした。head to head試験の結果を待つ必要があるが、SCALE試験1)で報告されたリラグルチド3.0mg投与による体重減少率はプラセボ群と比較して-4.5%であったのに対し、本試験ではプラセボ群と比較して-12.4%でありセマグルチド2.4mg投与による体重減少率がリラグルチド3.0mg投与より大きいと思われる。 Googleで「GLP-1ダイエット」と入力して検索すると249,000件がヒットした(2021年4月11日現在)。その多くは楽に痩せる注射としてGLP-1受容体作動薬を紹介している。この問題については2020年日本糖尿病学会が「GLP-1 受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」として警告を発している2)。現時点で2型糖尿病患者以外への投与は論外であるが、本剤を使用することが有益である肥満患者のためにも、わが国でも抗肥満薬としてのGLP-1受容体作動薬が認可されることを期待したい。

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家族性大腸腺腫症に対する低用量アスピリンへの期待(J-FAPP Study IV)

 家族性大腸腺腫症(FAP)患者における低用量アスピリン(100mg/日)の使用によりポリープ再発を有意に抑制させたことが、石川 秀樹氏(京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学 特任教授)、武藤 倫弘氏(同 教授)ら研究グループの『大腸がん超高危険度群におけるがんリスク低減手法の最適化に関する研究』から示唆された。この報告はLancet Gastroenterology & Hepatology誌4月1日号オンライン版に掲載された。 FAPでは大腸がんの前がん病変である腺腫が100個以上発生するため、がん予防法として20歳以降に大腸切除術が行われる。しかし、術後QOLの低下、デスモイド腫瘍発生などの問題をはらんでおり、内科的予防法が模索されている。2006年より大腸腺腫患者への低用量アスピリン(100mg/日)による発がん予防に関する試験(J-CAPP Study)が実施され、その効果が立証されている。 本研究はそのJ-CAPP Studyの結果も踏まえて行われたJ-FAPP Study IVであり、低用量アスピリンにメサラジン(2g/日)を併用することで5.0mm以上の大腸腺腫の再発を抑制できるかどうかを検証した二重盲検プラセボ対照無作為化多施設共同試験である。 対象者は5.0mm以上の腺腫の摘除が終了し大腸が温存されているFAP患者で、適格年齢は16〜70歳、大腸切除の病歴がなく、大腸に100を超える腺腫性ポリープの病歴がある者とした。参加者は低用量アスピリン+メサラジン群、低用量アスピリン+メサラジンプラセボ群、アスピリンプラセボ+メサラジン群、アスピリンプラセボ+メサラジンプラセボ群の4つに割り付けられ、大腸内視鏡検査の1週間前までの8ヵ月間にわたって投与が続けられた。主要評価項目は薬剤投与中の8ヵ月での5.0mm以上の大腸ポリープ発生率だった。 主な結果は以下のとおり。・2015年9月25日~2017年3月13日の期間、104例が4群に割り付けられ、うち2例がアスピリンプラセボ+メサラジンプラセボ群から離脱した。・8ヵ月の間に5.0mm以上の大腸ポリープが発生したのは、アスピリンプラセボ群26例(50%)、低用量アスピリン群15例(30%)、メサラジンプラセボ群21例(42%)、およびメサラジン群20例(38%)だった。・ポリープ再発の調整オッズ比(OR)は、アスピリン群で0.37(95%信頼区間[CI]:0.16~0.86)、メサラジン群で0.87(95%CI:0.38~2.00)だった。・最も多い有害事象はグレード1〜2の上部消化管症状で、低用量アスピリン+メサラジン併用群26例中3例(12%)で発生した。 研究者らは「成人で大腸が保存されている FAP 患者対象の試験としては世界最大の試験成果であり、従来大腸全摘出術が標準治療とされているFAP患者にとって低用量アスピリンが新たな治療法の選択肢となることが期待される。今後は投与期間や人数を増やし、長期効果、日本人FAP患者での副作用の影響などを明らかにしていきたい」としている。

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市中肺炎入院の抗菌薬投与、3日間は8日間に非劣性/Lancet

 臨床的安定性の基準を満たす市中肺炎入院患者の抗菌薬治療では、15日後の治癒に関して、βラクタム系抗菌薬の3日間投与は8日間投与に対し非劣性であり、30日時の治癒、死亡、治療関連有害事象などには両群間に差はないことが、フランス・パリ・サクレー大学のAurelien Dinh氏らが行った「Pneumonia Short Treatment(PTC)試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年3月27日号に掲載された。成人の市中肺炎に関する米国のガイドラインでは、5日間以上の抗菌薬治療と臨床的安定性基準に準拠した治療中止が推奨されているのに対し、欧州では8日間投与が推奨されており、至適な治療期間は十分に確立されていない。市中肺炎入院患者の抗菌薬治療期間が短縮されれば、抗菌薬消費量の削減に役立ち、結果として薬剤耐性菌、有害事象、関連費用の削減がもたらされると考えられている。フランス16施設のプラセボ対照無作為化非劣性試験 本研究は、市中肺炎で入院し、3日間のβラクタム系抗菌薬の投与後に臨床的に安定した患者において、さらに5日間の追加投与の必要性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化非劣性試験であり、フランスの16施設が参加し、2013年12月~2018年2月の期間に参加者の適格基準の評価が行われた(フランス保健省の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、中等度の市中肺炎で入院(集中治療室[critical care unit]以外の病棟へ入院)し、3日間のβラクタム系抗菌薬による治療を受けた後、事前に規定された臨床的安定性基準を満たした患者であった。 被験者は、さらに5日間、βラクタム系抗菌薬(経口アモキシシリン1g+クラブラン酸125mg、1日3回)の投与を受ける群、またはプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、抗菌薬の初回投与から15日後の治癒とした。治癒は、無熱(≦37.8°C)、呼吸器症状の消失または改善、原因を問わず抗菌薬の追加投与がないことと定義された。非劣性マージンは10%ポイント(群間差の95%信頼区間[CI]の下限値が-10%より大きい場合に非劣性と判定)とされた。15日治癒割合、ITT解析で77% vs.68%、PP解析で78% vs.68% βラクタム系抗菌薬を3日間投与後、適格基準を満たした310例のうち、157例がプラセボ群に、153例が追加投与群に割り付けられた。試験薬の投与を受ける前に、7例(プラセボ群5例、追加投与群2例)が同意を撤回した。intention-to-treat(ITT)集団の年齢中央値は73.0歳(IQR:57.0~84.0)で、41%(123/303例)が女性であり、24%(73例)が2つ以上の併存疾患を有していた。 ITT解析では、15日時の治癒の割合は、プラセボ群が77%(117/152例)、追加投与群は68%(102/151例)であり、群間差は9.42%(95%CI:-0.38~20.04)と、プラセボ群の追加投与群に対する非劣性が示された。また、per-protocol解析による15日治癒割合は、プラセボ群が78%(113/145例)、追加投与群は68%(100/146例)で、群間差は9.44%(95%CI:-0.15~20.34)であり、プラセボ群は追加投与群に対し非劣性であった。 副次評価項目である30日時の治癒、死亡、1つ以上の治療関連有害事象、1つ以上の重篤な治療関連有害事象、入院期間、回復(仕事または日常生活活動への復帰)までの期間には、両群間に差は認められなかった。 最も一般的な有害事象は消化器症状で、プラセボ群の11%(17/152例)、追加投与群の19%(28/151例)で報告された。30日までの死亡は、プラセボ群が3例(2%)(黄色ブドウ球菌による菌血症、急性肺水腫後の心原性ショック、急性腎不全に関連する心不全)、追加投与群は2例(1%)(再発肺炎、急性肺水腫疑い)であった。 著者は、「これらの知見により、抗菌薬消費量が実質的に削減される可能性が示唆される」としている。

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先天性腎性尿崩症〔Congenital nephrogenic diabetes insipidus〕

1 疾患概要■ 概念・定義腎性尿崩症(Nephrogenic Diabetes Insipidus:NDI)は、腎尿細管におけるAVP(Arginine Vasopressin)の作用不足のために尿濃縮障害を呈し、そのために多尿(尿の過剰産生)と多飲(過度の口渇)を呈する疾患群である。NDIは、成因により先天性と二次性に分けられる。先天性NDIは、AVPのV2受容体やAVP依存性水チャンネルのアクアポリン-2の遺伝子異常などにより発症する。二次性NDIは、低カリウム血症、高カルシウム血症、腎泌尿器疾患、薬剤(炭酸リチウムほか)、アミロイドーシスなどに伴って発症する。先天性NDIは難病指定を受けている。本稿では主に先天性NDIについて述べる。■ 疫学わが国の関連学会会員を対象とした全国規模の腎性尿崩症の頻度調査(2009~2010年)では、173例のNDIが確認され、そのうち15例はリチウム製剤に起因する二次性NDIであった1)。■ 病因と分類NDIの原因は、先天性と二次性に大別されるが、二次性はさらに、薬剤性、腎泌尿器疾患によるもの、その他、などに区分される(表12))。表1 腎性尿崩症の原因2)1.先天性1)X連鎖潜性遺伝(劣性遺伝)性 AVPR22)常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)性 AQP23)常染色体顕性遺伝(優性遺伝)性 AQP24)その他2.電解質異常1)高カルシウム血症2)低カリウム血症3.薬剤性リチウム、デメクロサイクリン、アンホテリシン B、アミノグリコシド系薬剤、メトキシフルレンなど4.腎泌尿器疾患1)慢性腎不全2)逆流性腎症、間質性腎炎3)異形成腎、髄質嚢胞性腎疾患、ネフロン癆4)ファンコニー症候群(シスチン蓄積症、他)、バーター症候群5)尿路閉塞5.その他1)サルコイドーシス2)アミロイドーシス3)シェーグレン症候群4)鎌状赤血球症5)浸透圧利尿(糖、マンニトール、ナトリウム)6)ACEI/ARB fetopathy**は著者改変1)AVPによる集合管における尿濃縮の機序V2受容体は7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体で、腎集合管主細胞の血管膜側細胞膜に発現している。AVPがV2受容体に結合するとGタンパクとアデニル酸シクラーゼの活性化を生じ、cAMPが産生される。cAMPはプロテインキナーゼA(PKA)を介して、輸送小胞膜上にホモ4量体で水チャンネルを形成しているアクアポリン-2をリン酸化する。リン酸化されたアクアポリン-2を載せた小胞は管腔側細胞膜へ移動し、エクソサイトーシスにより細胞膜と融合することで管腔と主細胞間に水チャンネルが開通する。主細胞の血管側細胞膜上でアクアポリン-3、4により恒常的に開通している水チャンネルの作用と併せて、管腔側から血管側へ水が再吸収されて尿が濃縮される(図)。図 腎尿細管主細胞におけるV2受容体とアクアポリンによる水の再吸収(著者作成)画像を拡大する2)先天性NDI(a)遺伝形式と発症機序先天性NDIの90%以上はX連鎖潜性遺伝(劣性遺伝)である。約9%の患者は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)であり、1%は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)である。X連鎖潜性遺伝(劣性遺伝)NDIの95%にはAVPのV2受容体遺伝子AVPR2に病的バリアントを認め、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)NDIの約95%にはアクアポリン-2遺伝子AQP2に病的バリアントを認める。軽症または部分型の先天性NDIは、AVPR2遺伝子異常に報告されることが多いが、顕性遺伝(優性遺伝)形式をとるAQP2遺伝子異常によるものも報告されている。(b)AVPR2の遺伝子異常AVPのV2受容体遺伝子AVPR2はヒトではX染色体上に位置していて、3つのエクソンからなる。この遺伝子の病的バリアントによるNDIの発症は、男性100万人に4人程度の発症率で認められている。報告されている200種以上のバリアントには特定の集積部位は認められない。機能解析がなされているミスセンス例の多くは、misfoldingによるtrafficking障害によりバリアントタンパクが膜に到達できないことによる。バリアントの種類によっては、部分的にAVP作用が保たれる例も存在する。2012年の厚生労働省研究班の全国調査では、遺伝子解析が実施された62例のうち、AVPR2異常が43例を占めた1)。(c)AQP2の遺伝子異常アクアポリン-2の遺伝子AQP2はヒトでは12q13に位置し、4つのエクソンよりなる。常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式と常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式の双方が報告されている。2012年の厚生労働省研究班の全国調査では、遺伝子解析が実施された62例のうち、AQP2異常が5例を占めた1)。(d)ACEI/ARB fetopathy遺伝性ではないが先天性NDIが、妊娠中に降圧薬ACEI/ARBを内服した母体から出生した児に発生することが報告されている3)。薬剤による影響がその原因であるので二次性でもある。3)二次性 NDI以下の原疾患・原因により引き起こされるNDIであり、主に、年長児や成人に発症する。(a)腎泌尿器疾患慢性腎不全、間質性腎炎、慢性尿路閉塞などの腎尿細管機能低下を招来する腎泌尿器疾患は尿濃縮力を低下させ、NDIを呈する。(b)電解質異常高カルシウム血症,低カリウム血症に伴う尿濃縮障害によるNDIが知られている。(c)薬剤性 NDI躁状態治療薬(炭酸リチウム)、抗リウマチ薬(ロベンザリット二ナトリウム)、抗 HIV 薬(フマル酸テノホビルジソプロキシル)、抗菌薬(イミペネム・シラスタチンナトリウム、アムホテリシン、塩酸デメクロサイクリン)、抗ウイルス薬(ホスカルネットナトリウム水和物)などによるNDIが知られている。リチウムについては、glycogen synthase kinase 3(GSK3)を抑制することにより、AVP感受性アデニル酸シクラーゼ活性が低下して細胞内cAMP産生が低下し、AVP作用が減弱するとされている。(d)その他頻度は低いがアミロイドーシス,サルコイドーシスなどの全身疾患もNDIの原因となる。■ 症状多尿が共通した症状であるが、患者の年齢により徴候が異なる。先天性NDIの徴候を述べる。(1)胎児期:母体の羊水過多。(2)新生児期:生後数日頃から、原因不明の発熱およびけいれんを来す。高浸透圧血症、高ナトリウム血症を呈す。(3)幼児期~成人:多尿(3~20L/日、乳幼児では体表面積あたりの尿量が2,500mL/m2以上)とそれに伴う多飲を呈す。軽症例では、心因性多飲として経過観察されていたり、多尿に気付かれず夜尿のみを訴えることもある。体重増加不良、便秘を呈すこともある。■ 予後1)中枢神経系口渇に対して自らの意思で飲水できない新生児、乳幼児や意識障害を伴う例では、特に診断前には高張性脱水(高ナトリウム血症)を来し、中枢神経系の不可逆的な障害を残すことが多い。新生児では初発症状が高ナトリウム血症による痙攣のこともある。2012年の厚生労働省研究班による全国調査では、先天性NDIの約1割に精神発達遅滞を認めた。乳幼児期を過ぎれば自律的に水分摂取が可能となるので、意識障害時を除いて高張性脱水による中枢神経合併症を生じることはないとされる。2)腎泌尿器系現在のところ、NDIの多尿を適切に改善させる治療法がないので、長期間の多尿による腎泌尿器系の合併症が約半数の患者にみられる。水尿管を含む水腎症、膀胱尿管逆流症の併発により腎機能低下を招来する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)先天性腎性尿崩症の診断基準は、主要症状である多尿、検査所見として尿浸透圧の低値とAVPへの無反応/反応低下、鑑別診断と遺伝学的検査よりなっている(表24))。これには軽症または部分型NDIを診断するための重症度分類も含まれている1)。先天性NDIの診断年齢は、1歳未満が半数以上を占めているが、1~4歳で診断される例も1~2割を占める。表2 先天性腎性尿崩症の診断基準4)と重症度分類1)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)多尿に見合う適切な量の水分摂取、腎への溶質負荷を軽減するための塩分・蛋白質の摂取制限、サイアザイド系利尿薬や非ステロイド系抗炎症薬の投与が行われる。小児期には、まず塩分制限を行い、効果が不十分な場合に蛋白制限を追加するが、成長障害に十分な注意を払わなければならない。サイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロサイアザイドで2~4 mg/kg/日)は、利尿により生じる軽度の体液量減少がレニン・アルドステロン・アンギオテンシン系や交感神経系を賦活して近位尿細管におけるNaと水の再吸収を促進することで、結果的にAVPの作用部位である集合管への水・電解質の負荷を軽減し、逆説的に尿量減少効果を呈すると考えられている。サイアザイド系利尿薬の投与により、尿量は、1/2~1/3程度に減少する。効果が不十分な場合、AVPR2遺伝子異常によるNDIではインドメタシンや選択的COX-2 阻害薬が有効とされるが、近年、長期の選択的COX-2阻害剤投与が心臓の副作用を招くことが明らかにされた。部分的NDIではAVPへの反応性が残存しているので、高容量のDDAVPとサイアザイドの併用による治療が可能な場合がある。4 今後の展望AVPR2バリアントやAQP2バリアントでは、タンパクの細胞質移送が障害されていることが明らかになっているので、種々の薬剤のシャペロン作用により、バリアント蛋白の細胞質内での滞留を解除する試みがなされているが、実用には至っていない5)。5 主たる診療科新生児科、小児科、内科、泌尿器科、腎臓内科、神経内科、神経小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 先天性腎性尿崩症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報腎性尿崩症 友の会(患者とその家族および支援者の会)1)腎性尿崩症の実態把握と診断・治療指針作成に関する研究(研究代表者 神崎 晋). 平成21~23年度総合研究報告書. 2012.2)根東義明. 日腎会誌. 2011;53:177-180.3)Miura K,et al. Pediatric Nephrology.2009;24:1235–1238.4)先天性腎性尿崩症.難病医学研究財団 難病情報センター.(2021年3月1日閲覧)5)Bernier V, et al. J Am Soc Nephrol.2006;17:232-243.公開履歴初回2021年04月13日

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COVID-19ワクチン(2021年3月現在)【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第8回

ワクチンの特徴(種類と製法)新型コロナワクチンは2020年12月に相次いで3製剤(Pfizer/BioNTech製、Moderna製、AstraZeneca/Oxford製)が治験を終え、米国および英国をはじめ各国で承認され接種が始まった。その後も複数の新規ワクチンが米国、中国、ロシアなどで順次承認され使用されている。わが国では2021年3月現在、Pfizer/BioNTech製の「コミナティ筋注」(以下、「コミナティ」)のみが承認され、医療従事者から順次接種が始まっている。早ければ4月中旬には地域の高齢者にも接種が始まる見込みである。Moderna製、AstraZeneca/Oxford製はいずれも承認申請済みであるものの現在審査中であり、具体的な承認時期は不明である。以下、コミナティに限定して解説する。コミナティの特徴コミナティはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンである。新型コロナウイルスが持つ構造蛋白のうちヒト細胞への侵入のカギとなるのは、スパイク蛋白である。このワクチンは、ウイルス遺伝子からスパイク蛋白の配列部分だけを切り出し、安定化のためにリポ脂質で包んだもの(物質名「トジナメラン」1) )を主成分としている。コロナウイルスは1本鎖プラス鎖RNAウイルスであるため、切り出したウイルス遺伝子がそのままmRNAとして機能する。これを筋肉内に接種すると、ヒト筋細胞はmRNAを読み取って細胞質内でウイルスのスパイク蛋白を大量に生成し、細胞外に放出する。放出されたスパイク蛋白を免疫細胞が認識することで、スパイク蛋白に対する免疫を獲得するという仕組みである2)。mRNAワクチンがヒトで実用化されたのは今回が初めてである。ではなぜ、不活化や弱毒性などの既存製法ではなく、mRNAだったのか? 答えは開発速度にある。不活化や弱毒性その他の既存製法は基本的に、ウイルスそのものを原材料として大量に必要とする。そのためウイルスの適切な培養系の確立が必須となるが、通常は年単位を要する開発作業である。それに対してmRNAは、ウイルスの遺伝子配列さえ既知であれば、遺伝子工学によって迅速に原材料を大量生産できる。実際、Pfizer/BioNTech社は、2020年1月10日に中国保健当局が新型コロナウイルスの全遺伝子配列を発表したその日から開発に着手したとphase 3論文で明言している3)。全世界を覆う未曾有のパンデミックにおいて迅速なワクチン開発は決定的に重要であった。遺伝子工学による新技術がコロナ禍に迅速に希望をもたらしたのである。ウイルス遺伝子を接種することに漠然とした不安があるようだが、杞憂である。分子生物学のセントラルドグマに従い、ワクチンのmRNAがヒトDNAへと逆転写されることはけっして起きない。そもそも一般にウイルス感染のたびにヒト細胞は大量のウイルス遺伝子に晒されるが、レトロウイルスのようなごく一部のウイルスを除いて、ウイルス遺伝子がヒトDNAに直接影響を及ぼすことはないのだ。インフルエンザウイルスに感染しても新型コロナウイルスに感染しても、ヒトDNA自体が変化を受けることはない。よって、ワクチンとして接種した新型コロナウイルス・スパイク蛋白のmRNAが、ヒトDNAに影響を与えることも子孫に継代されることもあり得ないのである。コミナティの効果Phase 3論文で示された効果は、2回目接種完了後7日後以降におけるCOVID発症(発熱などで発症しPCR検査で陽性と確定される患者)が、プラセボ群に比べて95.0%(95%信頼区間90.3-97.6)減少するという驚異的数字であった。発症の減少に伴い、重症COVIDも88.9%(同20.1-99.7)と著しく減少した。世界で最も早く市民への接種が進んだイスラエルにおけるヒストリカルコホート研究4)でも、COVID発症が94%(同87-98)、重症COVIDが92%(同75-100)それぞれ減少した。これらはphase 3とほとんど同等の結果であり、治験内容が裏付けられた。さらに、同研究では無症候性感染に相当するPCR陽性者も90%(同83-94)減少したことも観察され、コミナティが発症のみならず感染自体も予防することが示唆された。一方で、コミナティ接種によって他者への感染伝播を減少するか、すなわち集団免疫の形成に寄与するかは、本稿執筆時点でpeer-reviewed journalに掲載された質の高い研究では示されていない。今後の報告が待たれる。ワクチンの副反応・有害事象懸念された副反応については、治験においては通常のワクチン反応性症状(発熱、倦怠感、接種部位疼痛、腫脹など)しか検出されなかった。これは人体が免疫獲得する際に生ずる自然な炎症反応の現れであり、何ら後遺症を残すことなく1日~数日で自然消失する。ただし、既知のワクチンに比べると頻度は高く、自覚症状も強めのようである。接種翌日には欠勤など、接種しやすくする配慮が望ましいであろう。アナフィラキシーについては、治験では検出されなかったが、市中接種開始後に報告され始めた。米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)に集積された報告の解析によると5)、コミナティは994万接種中47件のアナフィラキシー(ブライトン分類1~3)が生じ、100万接種あたり4.7件の頻度であった。接種から発症までの時間の中央値は10分であり、94%が女性であった。同じ米国VAERSに報告された既存ワクチンによるアナフィラキシーが100万接種あたり1.31件とされている6)のに比べても、極端に高い数字とは言えない。ただし、女性がほとんどを占めていることには注意を要する。もともとアナフィラキシーは女性に多いと報告されており7)、局所麻酔薬アナフィラキシーでも女性が多かったという報告もある8)。一方で、コミナティではmRNAを包むリポ脂質がポリエチレングリコール(PEG)で構成されているが、PEGはアナフィラキシー原因物質として知られる9)と同時に、多くの化粧品に含まれている。コミナティで女性にアナフィラキシーが多いのは化粧品にPEGが含まれていることと関係があるかもしれないが、現時点で詳細はわかっていない。上記以外には、副反応の可能性がある有害事象の報告は現時点ではなく、極めて安全なワクチンと言ってよい。コミナティは3月上旬時点ですでに世界で1億回以上接種されたと見込まれている。仮に100万接種分の1の極めてまれな頻度で生ずる重篤な副反応があったとしても、1億回接種してそれが1件も発生しない確率は、と、あり得ないほど小さな確率である。すなわち、1億回以上接種されたにもかかわらず新しい副反応報告がない時点で、確率100万分の1のような極めてまれな副反応も観察されていないと言ってよい。ただし、特定の人口集団(特定の年齢、特定の疾患患者など)に限定的な副反応は今後発見される可能性が残っている。たとえば、コミナティではなくAstraZeneca製のウイルスベクターワクチンではあるが、55歳以下の若年世代で接種によって血栓症(播種性血管内凝固症候群および脳静脈洞血栓症)が増える可能性が示唆されている10)。ただし、COVID-19感染そのものによって血栓症リスクが明らかに増大するため、接種による感染予防は接種による血栓症リスクを上回ると欧州医薬品局は判断している。ワクチンの保管と輸送の注意点、留意点mRNAは不安定な物質であるため、長期にはマイナス70℃前後の超低温保存が必要である。ただし2021年3月1日付で添付文書が改訂され、最長14日間までならマイナス20℃前後でも保存可能となった11)。解凍からシリンジ分注までは、冷蔵温度(プラス2~8℃)の場合は5日以内に、直接室温に出す場合は2時間以内に行わねばならない。1バイアルを溶解するとちょうど1.8mLとなり、1人分が0.3mLであることから、死腔の少ないシリンジで適切な手技にて吸引すれば1バイアル6人分採取が可能である。何らかの理由で6人分採取できない場合は残量を破棄する。シリンジに分注後は6時間以内に接種せねばならず、それ以上経過した場合は破棄する。またすべての過程において、十分に遮光し続けねばならない。図も参照いただきたい。図 コミナティの取扱い画像を拡大するmRNAが物質として不安定であることから、輸送時には振動を避けることとされている。オートバイのような輸送手段は不適切とされるが、乗用車の座席で丁寧に輸送する程度なら問題はないようだ。被接種者への説明のポイント筆者が確認している限りでは、コミナティその他新型コロナワクチンを不用意に危険と煽るような報道は幸いほとんど目にしていない。しかし、SNSや口コミでさまざまな否定的意見やデマの類が広まっているようである。医療従事者が、被接種者や患者から不安げに質問されたり、限られた情報だけに基づく否定意見を投げられたりするかもしれない。日頃の医療従事者-被接種者(患者)関係に基づいて、丁寧なコミュニケーションを是非ともお願いしたいところである。コミュニケーションのポイントは、下記のように整理できるだろう。効果として、発症、感染を共に90%以上予防できる、優れたワクチンであること。副反応は、世界で1億人以上が接種した時点で、一過性の発熱や痛みとごくまれなアナフィラキシーしか報告されていない、かなり安全なワクチンでもあること。遺伝子工学の発展のお陰で極めて短期間で開発できたが、治験の手順は一切省略されず丁寧に行われ、さらに市中接種開始後も効果と安全性を検証する研究が多数進行中であること。ウイルス遺伝子を体に注入することは自分や子孫の遺伝子に何ら悪影響はないこと。接種によって他人にも感染させないようになる(いわゆる「集団免疫」が付く)のかはまだわかっていないが、少なくとも接種した本人が極めて高い確率で感染から守られるのは確実であること。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)新型コロナワクチンについては下記の各サイトも是非参照いただきたい。新型コロナウイルス感染症 診療所・病院におけるプライマリ・ケアのための情報サイト(日本プライマリ・ケア連合学会)こどもとおとなのワクチンサイト(日本プライマリ・ケア連合学会)新型コロナワクチンについて(厚生労働省)新型コロナワクチンについて(首相官邸)これでわかる!新型コロナワクチン情報(新型コロナワクチン公共情報タスクフォース)こびナビ(保健医療リテラシー推進社中)コロワくんサポーターズ(コロワくんサポーターズ)また、筆者自身もコロナワクチンの医療従事者向け情報を下記サイトで整理している。併せてご参考になれば幸いである。Vaccipediaワクチペディア プライマリケアのためのワクチンリソース1)コミナティ筋注添付文書.2)Pardi N, et al. Nat Rev Drug Discov. 2018;17:261-279.3)Polack FP, et al. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615.4)Dagan N, et al. N Engl J Med. Published online 2021.doi:10.1056/NEJMoa21017655)Shimabukuro TT, et al. Jama. 2021;325:2020-2021.6)McNeil MM, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;137:868-878.7)Jensen-Jarolim E, et al. Allergy. 2008;63:610-615.8)Fuzier R, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2009;18:595-601.9)Stone Jr. CA, et al. J Allergy Clin Immunol Pr. 2019;7:1533-1540.10)EuropeanMedicalAgency. COVID-19 Vaccine AstraZeneca: benefits still outweigh the risks despite possible link to rare blood clots with low blood platelets. 18 March. Published 2021. (2021年3月1日閲覧)11)ファイザー株式会社. COVID-19ワクチン『コミナティ筋注』の日本における添付文書改訂について.(2021年3月1日閲覧) 講師紹介

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