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医師が選んだ“記憶に残ったオリパラのメダリスト”!【CareNet.com会員アンケート結果発表】

新型コロナ感染流行下において、「中止すべき」「再度延期すべき」との声が上がる中、半ば強行で開催された東京オリンピック・パラリンピック。感染拡大の余波で予選に出られず出場を辞退する選手が出たり、医療者の動員に批判の声が高まったり、暑さから直前に開催時間が変更される競技があったりなど、異例づくしの大会となりました。その中にあって日本は金27、銀14、銅17の計58個のメダルを獲得し、過去最多だった2016年リオデジャネイロ大会の41個の記録を大きく更新しました。今回、CareNet.comでは、会員医師にオリンピック、パラリンピックそれぞれで「記憶に残ったメダリスト」を聞きました(敬称略)。【オリンピック編】1位 【金メダル】 卓球混合ダブルス/伊藤 美誠、水谷 隼卓球の新種目「混合ダブルス」。優勝決定戦では、序盤は高い技術を発揮する中国の圧倒的優勢で進むものの、その後日本が3ゲームを連取し逆転。そこから激しく打ち合う接戦となるも、攻めの打撃がさえわたる日本が競り勝った。伊藤・水谷ペアはこの種目の初代王者、さらにオリンピック卓球競技で日本勢初の金メダルを獲得した。写真:アフロスポーツ2位 【金メダル】 野球/侍ジャパン2008年の北京大会以来、13年ぶりにオリンピック競技として復活した野球では、日本代表・侍ジャパンが正式競技採用後初となる金メダルを獲得した。開催国として金メダル獲得期待の重圧がかかる中、稲葉 篤紀監督率いるチームは中堅から若手選手までがバランスよく力を発揮し、本大会を5戦5勝の無敗で終え、金メダルを獲得した。写真:青木紘二/アフロスポーツ3位 【金メダル】 ソフトボール/代表チーム野球同様、北京大会以来の採用となったソフトボール。エースでチーム最年長39歳の上野 由岐子投手と、今大会の活躍で日本代表の新たな顔になったチーム最年少20歳の後藤 希友投手の2人が中心となって投げ、決勝では長年のライバルである米国を2対0で破り、金メダルを獲得した。4位 【金メダル】 スケートボード男子ストリート/堀米 雄斗今大会から採用された新競技・スケートボード。手すりや階段など街中のようなコースで技を競う「ストリート」の男子部門の決勝では、世界ランキング2位の堀米 雄斗が高難度の大技を次々と決め、初代金メダリストとなった。10代後半で米国に移住し、プロとして活躍する同選手の姿も話題となった。5位 【金メダル】 スケートボード女子ストリート/西矢 椛スケートボード女子ストリートでは西矢 椛(もみじ)が13歳で金メダルを獲得、史上最年少のオリンピック金メダリストの記録を更新、日本人女性として初の21世紀生まれの金メダリストともなった。スケートボードではこのほか女子パークで四十住 さくらが金、開 心那が銀メダルを獲得するなど、日本選手の強さと若さに注目が集まった。【パラリンピック編】1位 【金メダル】 車いすテニス男子シングルス/国枝 慎吾車いすテニスの国枝 慎吾が、「記憶に残ったパラリンピック選手」として2位に4倍近くの差を付けての1位に。グランドスラム車いす部門で男子世界歴代最多となる計46回(シングルス25回、ダブルス21回)優勝の記録保持者である同選手が、今回のパラリンピックでも見事シングルスで金メダルを獲得した。写真:青木紘二/アフロスポーツ2位 【金メダル】 ボッチャ/杉村 英孝2010年に初めて日本代表に選出され、2012年ロンドン大会に初出場。2016年リオ大会ではキャプテンとしてメダル獲得に貢献した。3回目のパラリンピック出場となる本大会では個人戦の金メダルのほか、団体戦でも銅メダルを獲得した。3位 【銀メダル】 車いすテニス女子シングルス/上地 結衣ロンドン大会でパラリンピック初出場を果たし、その2年後には世界ランキング1位を獲得、今大会も世界ランキング2位で迎えた。開会式で聖火リレーの最終ランナーの大役も務め、前回大会の銅メダルを上回る銀メダルを獲得した。アンケート概要アンケート名『2021年振り返り企画!今年の漢字と印象に残ったオリパラ選手をお聞かせください』実施日2021年11月15日調査方法インターネット対象CareNet.com会員医師有効回答数1,059件※アンケート設問中、一部選手のメダルの種類に誤りがありました。お詫びいたします。

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ブロナンセリン経皮吸収型製剤への切り替えによる錐体外路症状への影響

 ブロナンセリンは、統合失調症治療に用いられる第2世代抗精神病薬であり、経口剤(錠剤、散剤)だけでなく経皮吸収型製剤としても使用可能な薬剤である。岐阜大学の大井 一高氏らは、統合失調症患者に対しブロナンセリンの経口剤から経皮吸収型製剤への切り替えを行うことにより、錐体外路症状(EPS)の減少および/または薬物動態安定による抗パーキンソン薬の投与量減少に寄与するかについて、52週間の非盲検試験の事後分析を実施し、評価を行った。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年11月3日号の報告。 統合失調症患者155例をコホート1またはコホート2のいずれかにエントリーした。コホート1では、97例に対しブロナンセリンの錠剤8~16mg/日を6週間投与した後、同薬剤の経皮吸収型製剤40~80mg/日へ切り替えて1年間投与を行った。なお、経皮吸収型製剤の投与量は、錠剤の投与量に基づき決定した。コホート2では、ブロナンセリンの経口剤(錠剤、散剤)投与後の58例に対し、同薬剤の経皮吸収型製剤40mg/日から開始し40~80mg/日に切り替える治療を1年間継続した。3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月の時点での経皮吸収型製剤開始後のEPSの変化および抗パーキンソン薬の投与量の変化は、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)、抗パーキンソン薬のビペリデン換算量でそれぞれ評価した。 主な結果は以下のとおり。・155例中EPSにより経皮吸収型製剤を中止した患者は、コホート1の4例のみであった。・両コホートにおける経皮吸収型製剤開始後のDIEPSS合計スコアの平均変化では、統計学的に有意な改善が認められた。【コホート1】3ヵ月時点:-0.44±1.50(p=0.013)6ヵ月時点:-0.07±1.78(p=0.73)12ヵ月時点:-0.14±1.37(p=0.44)【コホート2】3ヵ月時点:-0.16±1.32(p=0.40)6ヵ月時点:-0.74±1.92(p=0.020)12ヵ月時点:-0.81±2.22(p=0.047)・抗パーキンソン薬のビペリデン換算量は、経皮吸収型製剤開始後、有意な変化は認められなかった。 著者らは「ブロナンセリンの経皮吸収型製剤は、同薬剤の錠剤や散剤と比較し、EPSのリスクを減少させるために効果的な投与経路であると考えられる」としている。

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肺炎球菌ワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第11回

ワクチンで予防できる疾患:肺炎球菌感染症肺炎球菌感染症とは肺炎球菌の感染による疾病の総称であり、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎などが含まれる。肺炎球菌は主に鼻腔粘膜に保菌され、乳幼児では40〜60%と高頻度に、成人ではおよそ3〜5%に保菌されている1)。感染経路は飛沫感染であり、小児の細菌感染症の主な原因菌の1つである。また、成人の市中肺炎の起因菌では38%と最も多い2)。肺炎球菌が髄液や血液などの無菌部位に侵入すると、菌血症を伴う肺炎、髄膜炎、敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:以下「IPD」)を引き起こす。治療は抗菌薬投与および全身管理であるが、近年は薬剤耐性菌の出現も問題となっている3)。わが国の成人IPDの好発年齢は60~80代で4,5)、基礎疾患があることは発症や重症化のリスクとなる3,6)。65歳以上の成人(以下「高齢者」)の罹患率はおよそ5/10万人・年であり、致命率は6%台と高い1)。成人の肺炎球菌感染症とりわけIPDの発症や重症化の予防には、日常診療における基礎疾患の管理とともに肺炎球菌ワクチンの接種が重要である3,6)。ワクチンの概要肺炎球菌の病原因子の中で最も重要なものは、菌の表層全体を覆う莢膜である。この莢膜は多糖体からなり、97種類の型が報告されている3)。ある莢膜型の肺炎球菌に感染するとその型に対する抗体が獲得され、同じ型には感染しなくなるが、別の型には抗体がないため感染が成立し、発症する7)。そのため肺炎球菌による発症や重症化を予防するには、さまざまな莢膜型の抗体をあらかじめ獲得しておく必要があり7)、肺炎球菌ワクチンは莢膜多糖体を抗原としている。国内では以下の2つのワクチンが承認されているが、それぞれカバーする莢膜型の数や種類、免疫応答の方法などが異なる(表)。以下に2つのワクチンの特徴を述べる。1)23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)〔商品名:ニューモバックスNP〕23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(以下「PPSV23」)は、莢膜多糖体からなる不活化ワクチンで、23種類の莢膜型を有する。PPSV23接種による免疫応答では、T細胞を介さないため免疫記憶は獲得されず、B細胞の活性化によりIgG抗体のみが獲得される。IgG抗体は経年的に減弱し、減弱するとワクチン血清型の菌に対して予防効果は期待できなくなる3)。PPSV23の予防効果としては、接種により高齢者のワクチン血清型のIPDを39%減少させ8)、すべての肺炎球菌による市中肺炎を27.4%、ワクチン血清型の肺炎球菌による市中肺炎を33.5%減少させたと国内より報告されている9)。PPSV23は2006年に販売開始となり、2014年から5年間限定で65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳および100歳になる人を対象に定期接種となった。2019年度以降はさらに5年間の期限で、同年齢を対象に定期接種が継続されている10)。初回接種後の予防効果は3〜5年で低下する11)。再接種による予防効果について明確なエビデンスは報告されていないが、再接種後の免疫原性は初回接種時と同等であり、初回接種時と同等の予防効果が期待されている12)。また、再接種時の局所および全身性の副反応の頻度は初回接種時より高いことに注意が必要だが、いずれも軽度で許容範囲と考えられている12)。以上より症例によっては追加接種を繰り返してもよいと考えられ、接種後5年以上の間隔をおいて再接種することができる12)。2)沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)〔同:プレベナー13水性懸濁注〕沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(以下「PCV13」)は、莢膜多糖体に無毒化したジフテリア蛋白を結合させた蛋白結合型の不活化ワクチンで、13種類の莢膜型を有する。PCV13接種による免疫応答は、T細胞とB細胞を介している。まず、樹状細胞に抗原が提示されてT細胞の活性化を誘導する(T細胞依存型)。ついで活性したT細胞とB細胞の相互作用によりB細胞が活性化する。その後、形質細胞によるIgG抗体の産生とメモリーB細胞による免疫記憶が獲得される。そのため記憶された莢膜型の菌が侵入すると速やかにIgG抗体産生能が誘導(ブースター効果)され免疫能が高まる3)。小児に対する7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)は2010年より販売開始となり、同年に接種費用の公費助成が開始された。2013年4月より定期接種となり、同年11月よりPCV13に切り替えられた。予防効果として、PCV7・PCV13の導入により小児のIPD、とくに髄膜炎は87%も激減したと報告されている4)。一方、2014年より高齢者に対しても適応が拡大され、任意接種することが可能となった。PCV13接種により高齢者のワクチン血清型のIPDを47〜57%減少させ、ワクチン血清型の肺炎(非侵襲型)を38〜70%、すべての原因の肺炎を6〜11%減少させたとの予防効果が諸外国より報告されている13)。さらに2020年5月からは、高齢者のみならず全年齢に適応が拡大され、全年齢の「肺炎球菌感染症に罹患するリスクが高い人」に接種が可能となった。また、PCV13接種には集団免疫効果が認められており、小児へのPCV7およびPCV13接種の間接効果(集団免疫)により、成人IPD症例のPCV13血清型(莢膜型)は劇的に減少した3)。その一方で、PCV13に含まれない血清型が増加するなど血清型置換が報告されている3)がこの問題は後述する。表 肺炎球菌ワクチン(PPSV23とPCV13)の比較画像を拡大する接種のスケジュール1)23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)〔商品名:ニューモバックスNP〕【定期接種】これまでにPPSV23を1回も接種したことがなく、以下(1)(2)にあてはまる人は定期接種として1回接種できる。(1)2019年度から2023年度末までの5年間限定で65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳および100歳になる人。なお、2023年度以降は65歳になる年度に定期接種として1回接種できる見込みである。(2)60〜64歳で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限されている人。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)で免疫機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人。【任意接種】2歳以上で上記以外の人。接種後5年以上の間隔をおいて再接種することができる12)。2)沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)〔同:プレベナー13水性懸濁注〕【定期接種】小児(2ヵ月以上5歳未満)以下のように接種開始時の月齢・年齢によって接種間隔・回数が異なることに注意する。(〔1〕1回目、〔2〕2回目、〔3〕3回目、〔4〕4回目)[接種開始が生後2ヵ月~7ヵ月に至るまでの場合(4回接種)]〔1〕〔2〕〔3〕の間は 27 日以上(27~56日)、〔3〕〔4〕の間は 60日以上の間隔をあけて(12~15ヵ月齢で)接種する 。[接種開始が生後7ヵ月~12ヵ月に至るまでの場合(3回接種)]〔1〕〔2〕の間は 27日以上(27~56日)、〔2〕〔3〕の間は 60日以上の間隔をあけて(12ヵ月齢以降で)接種する。[接種開始が12ヵ月~24ヵ月に至るまでの場合(2回接種)]〔1〕〔2〕の間は 60日以上の間隔をあけて接種する。[接種開始が24か月-5歳の誕生日に至るまでの場合(1回接種)]1回のみ接種する。【任意接種】5歳以上の罹患するリスクが高い者:1回1回のみ接種する。日常診療で役立つ接種ポイント1)PPSV23の推奨(1)2歳以上の脾臓を摘出した患者肺炎球菌感染症の発症予防として保険適用されるが、より確実な予防のためには摘出の14日以上前までに接種を済ませておくことが望ましい。(2)2歳以上の脾機能不全(鎌状赤血球など)の患者(3)高齢者(4)心臓や呼吸器の慢性疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病、慢性髄液漏などの基礎疾患がある患者(5)免疫抑制作用がある治療が予定されている患者。治療開始の14日以上前までに接種を済ませておくことが望ましい。2)PCV13の推奨(1)乳幼児(生後2ヵ月~5歳未満:定期接種)IPDは、とくに乳幼児でリスクが高く、5歳未満の致命率はおよそ1%と報告され14)、後遺症を残す危険性もある。そのため乳児であっても、接種が可能となる生後2ヵ月以上ではワクチン接種をされることを強く勧める。(2)基礎疾患がある5〜64歳の人2017年時点のIPDの致命率は、6〜44歳で6.2%、45〜64歳で19.5%と高く、基礎疾患を有することがリスクとなることが報告されている6)。基礎疾患(先天性心疾患、慢性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、糖尿病、自己免疫性疾患、神経疾患、血液・ 腫瘍性疾患、染色体異常、早産低出生体重児、無脾症・脾低形成、脾摘後、臓器移植後、髄液漏、人工内耳、原発性免疫不全症、造血幹細胞移植後など6,15)がある人には、本人・保護者と医師との話し合い(共有意思決定)に基づいてワクチン接種をされることを勧める。詳しくは「6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」(2021年3月17日)を参照。(3)基礎疾患がある高齢者、高齢者施設の入所者 基礎疾患(慢性的な心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病、アルコール依存症、喫煙者など)がある高齢者では、本人・家族と医師との話し合い(共有意思決定)に基づいてワクチン接種することを勧める11)。とくに、髄液漏、人工内耳、免疫不全(HIV、無脾症、骨髄腫、固形臓器移植など)の患者には接種を勧める11)。高齢者施設の入所者も医師と相談して接種することを勧める11)。3)高齢者に対するPPSV23とPCV13の接種に関する考え方これまで高齢者に対するPPSV23とPCV13の接種について国内外で議論されてきたが、現時点での日本呼吸器学会・日本感染症学会の合同委員会による「考え方」16)を紹介する。【PPSV23未接種者に対して】(1)まず定期接種としてPPSV23の接種を受けられるようにスケジュールを行う。(2)PPSV23とPCV13の両方の接種をする場合には(1)を考慮しつつPCV13→PPSV23の順番で接種し、PCV13接種後6ヵ月〜4年以内にPPSV23を接種することが適切と考えられている。この順番の利点は、成人ではPCV13接種後に、被接種者に13の血清型の莢膜抗原特異的なメモリーB細胞が誘導され、その後のPPSV23接種により両ワクチンに共通した12の血清型に対する特異抗体のブースター効果が期待されることである。ただし、この連続接種については海外のデータに基づいており、日本人を対象とした有効性、安全性の検討はなされていない。【PPSV23既接種者に対して】PPSV23接種から1年以上あけてからPCV13接種を行う。詳細は以下の図1と「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第3版)」を参照。図1 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方(2019年10月)(日本感染症学会/日本呼吸器学会 合同委員会)画像を拡大する今後の課題・展望小児へのPCV7およびPCV13接種の間接効果(集団免疫)により、成人IPD症例のPCV13血清型(莢膜型)は劇的に減少したが、一方でPCV13に含まれない血清型が増加し、血清型置換が報告されている3)(図2)。図2 小児へのPCVs導入後のIPD由来株の莢膜型変化画像を拡大する2018年の厚生労働省の予防接種基本方針部会では、国内のIPDや肺炎原因菌の血清型分布などを検討しPCV13を高齢者に対する定期接種に指定しないと結論された17)。また、米国予防接種諮問委員会(ACIP)において、PPSV23はこれまで同様に推奨されたが、小児へのPCV13定期接種の集団免疫効果により高齢者の同ワクチン血清型の感染が劇的に減少したことから費用対効果も考慮し、高齢者へのPCV13の定期接種や一律のPCV13-PPSV23の連続接種は推奨しない方針に変更され、患者背景を考慮してPCV13接種を推奨することとされた13)。PCV13は高齢者の定期接種には指定されていないものの、接種しないことが勧められているわけではなく、その効果や安全性は確認されており13)、患者背景を考慮して接種する必要があることに注意する。とくに基礎疾患がある高齢者、高齢者施設の入所者には積極的に接種を勧めたい。また、2016年時点の高齢者のPPSV23接種率は40%ほど1)に留まっており、接種率のさらなる向上が必要である。基礎疾患を有することはIPDの重症化のリスクであり、日常診療における基礎疾患の管理とともに、適切にPPSV23やPCV13の接種を勧め、被接種者と共有意思決定を行い(shared decision making)、接種を実施し患者や地域住民をIPDから守りたい。わが国では成人IPDの調査・研究に限界があるが、前述の通りIPD症例の莢膜型の変化が報告4)されており、将来的にはさらに多くの血清型をカバーするワクチンやすべての肺炎球菌に共通する抗原をターゲットとした次世代型ワクチンの開発が望まれ、今後の動向にも注目したい3,6,18)。参考となるサイト(公的助成情報、主要研究グループ、参考となるサイト)1)23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライド ワクチン(肺炎球菌ワクチン) ファクトシート. 平成30(2018)年5月14日.国立感染症研究所.2)13価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(成人用)に関するファクトシート. 平成27年7月28日.国立感染症研究所. 3)65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第3版 2019-10-30)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討WG委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会4)「6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」(2021年3月17日).日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討委員会/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会.5)こどもとおとなのワクチンサイト1)国立感染症研究所. 23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライド ワクチン(肺炎球菌ワクチン) ファクトシート. 平成30(2018)年5月14日. 2018.(2021年8月9日アクセス)2)Yoshii Y, et al. Infectious diseases. 2016;48:782-788.3)生方公子,ほか. 肺炎球菌感染症とワクチン. 2019.(2021年8月10日アクセス)4)Ubukata K, et al. Emerg Infect Dis. 2018;24:2010-2020.5)Ubukata K, et al. J Infect Chemother. 2021;27:211-217.6)Hanada S, et al. J Infect Chemother. 2021;27:1311-1318.7)生方公子, ほか. 肺炎球菌. 重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症に対するサーベイランスの構築と病因解析、その診断・治療に関する研究.(2021年8月10日アクセス)8)新橋玲子, ほか.成人侵襲性肺炎球菌感染症に対する 23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの有効性. 2018; IASR 39:115-6.(2021年8月10日アクセス) 9)Suzuki M, et al. Lancet Infect Dis. 2017;17:313-321.10)厚生労働省. 第27回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料. 2019.(2021年8月10日アクセス)11)World Health Organization. Releve epidemiologique hebdomadaire. 2008;83(42):373-384.12)肺炎球菌ワクチン再接種問題検討委員会. 肺炎球菌ワクチン再接種のガイダンス(改訂版). 感染症誌. 2017;9;:543-552.(2021年8月10日アクセス)13)Matanock A, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2019;68:1069-1075.14)国立感染症研究所. 資料3 13価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(成人用)に関するファクトシート. 平成27年7月28日. 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン文科会予防接種基本方針部会ワクチンに関する小委員会資料. 2015.(2021年8月9日アクセス)15)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討委員会/日本感染症学会ワクチン委員会/日本ワクチン学会・合同委員会. 「6歳から64歳までのハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」(2021年3月17日). (2021年8月9日アクセス)16)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討WG委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会. 65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第3版 2019-10-30). 2019.(2021年8月9日アクセス)17)厚生労働省. 第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 資料 2018.(2021年8月9日アクセス)18)菅 秀, 富樫武弘, 細矢光亮, ほか. 13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)導入後の小児侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の現状. IASR Vol. 39 p112-113. 2018.(2021年8月10日アクセス)講師紹介

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英語で「また連絡します」は?【1分★医療英語】第6回

第6回 英語で「また連絡します」は?Thank you for seeing our patient.(私たちの患者を診てくれてありがとうございます)Anytime. I’ll touch base with you later.(もちろんです。あとでまた連絡しますね)《例文1》I believe ischemia is unlikely, but I will dig into this case and touch base with you later.(虚血の可能性は低いと思いますが、もう少し症例の詳細を見てからまた連絡します)《例文2》Let’s touch base on our project today.(私たちのプロジェクトについて今日話し合いましょう)《解説》“I’ll touch base with you later.”英語圏で働いたことのない方には、あまりなじみのない表現かもしれません。意味は“I’ll contact you.”と同じで、「また連絡するよ」といった意味です。しかし、“contact”では味気がないので、ちょっとスパイスの効いたこの表現が頻繁に用いられるのでしょう。“base”は野球の「ベース」がその由来となっているようです。野球の世界でベースに触れていればセーフ(=安心)、という意味から派生して、さまざまな意味で「アウト」にならないように「連絡を取り合う」という意味の慣用句となったようです。この“touch base”を用いる場合、単なる「連絡する」ではなく、「何か共通の課題やプロジェクトがある際に連絡を取る」というニュアンスで用いられます。米国の病院で研修医として働いていると、たとえば指導医から「あの症例についてあとでまた話そう、いろいろ調べてまた伝えるよ」といった状況で、よくこの“I’ll touch base with you.”と声を掛けられます。臨床現場に限らず、とても使いやすい表現なので、ぜひ身に付けてください。英語表現で1つ先の“塁”を狙えるかもしれません。講師紹介

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第90回 オミクロン株そのものを使った実験でワクチン追加接種の効果を確認

Pfizer(ファイザー)/BioNTech(ビオンテック)の1週間ほど前の発表1,2)に続き、Reutersが報じたイスラエルでの研究でも両社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2追加接種がどうやらオミクロン(Omicron)株に有効らしいことが示されました。BNT162b2を2回接種の人の血液はオミクロン株を全く中和できませんでしたが、3回目接種は中和活性を100倍ほど高めたとイスラエルのSheba Medical CenterのGili Regev-Yochay氏が先週土曜日11日に記者会見で発表しました3)。Regev-Yochay氏は同病院の感染症部門を率いています。その発表の3日前の8日水曜日に発表されたPfizer/BioNTechの研究1)によると、BNT162b2の2回接種を済ませた人の血清のオミクロン株に対する中和効果は著しく弱く、他のSARS-CoV-2株に対する中和活性の25分の1未満ほどでしかありませんでした。しかし3回目接種をした人のオミクロン株スパイクタンパク質に対する中和抗体活性は2回接種後に比べて25倍高く、3回接種後のオミクロン株中和活性は2回接種後の非オミクロン株中和活性に肩を並べるほどになると示唆されました。Pfizer/BioNTechとイスラエルの研究はどちらもオミクロン株への3回接種の効果を示すものですが中身が少し違っています。Pfizer/BioNTechの研究ではオミクロン株そのものではなくオミクロン株の変異を仕込んだ代理ウイルス(pseudovirus)が使われました3)。一方、イスラエルの研究はBNT162b2を2回接種してから5~6ヵ月経つ人と3回目接種してから間もない(1ヵ月後)人の血液のオミクロン株そのものへの効果を比較しており、オミクロン株そのものを使ったぶん実態により即しているようです。2回接種群と3回接種群の人数はどちらも20人です。ともあれBNT162b2の3回接種がオミクロン株に有効らしいことが2つの異なる研究で示されたことは頼もしい限りです。BNT162b2を3回接種すればオミクロン株からより確実に身を守れるとPfizerのCEO・Albert Bourla氏は言っています1)。米国の感染症対策の本丸・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)を率いるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)氏もBourla氏と似た考えのようです。ニュースのインタビューでファウチ氏は追加接種が最善(optimal care)であり4)、引き続き検討が必要ではあるもののオミクロン株に特化したワクチンを揃える必要はないかもしれないと言っています5)。米国でのオミクロン株感染は概ね軽症で済んでいる米国でのオミクロン株感染は初出の12月1日から1週間後8日までに22州で確認されています。経過が一通り判明しているそれらオミクロン株感染者43人を調べたところ多くがワクチン接種済みでしたが、幸いなことに概ね軽症で済んでおり、1人が2日間の入院を要したものの誰も死には至っていません6-8)。43人のうち34人(79%)はワクチン接種済みで、およそ3人に1人(14人)は追加接種済みでもありました。咳(89%;33人)、疲労感(65%;24人)、鼻水/鼻詰まり(59%;22人)を多くが呈し、他に発熱(38%;14人)、悪心嘔吐(22%;8人)、息切れ/呼吸困難(16%;6人)、下痢(11%;4人)、味覚や嗅覚の消失(8%;3人)が認められました6)。最も早い発症日は11月15日でした。検体採取からウイルス配列判明まで2~3週間を要したことから11月遅くに発生したオミクロン株感染の同定が近々続くだろうと著者は言っています。参考1)Pfizer and BioNTech Provide Update on Omicron Variant / BUSINESS WIRE2)ファイザー製コロナワクチン、3回接種でオミクロン株にも効果 / ケアネット3)Israeli study finds Pfizer COVID-19 booster protects against Omicron / Reuters4)Fauci says three shots of COVID-19 vaccine is 'optimal care' / Reuters5)Fauci says Omicron-specific version of Covid-19 vaccines may not be necessary / STAT6)CDC COVID-19 Response Team. MMWR. Morbidity and Mortality Weekly Report.2021 December 10 [Epub ahead of print]7)Most reported U.S. Omicron cases have hit the fully vaccinated -CDC / Reuters8)Early U.S. Omicron Cases Caused Mild Illness in Vaccinated / Bloomberg

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抗精神病薬への治療反応と皮質厚との関係

 統合失調症では、クロザピン以外の抗精神病薬による治療で十分な効果が得られない治療抵抗性患者が一定数存在し、その割合は3分の1程度であるといわれている。昭和大学の板橋 貴史氏らは、治療抵抗性患者と治療反応患者において、異なる病態生理学的特徴が存在するかを調査した。NeuroImage: Clinical誌オンライン版2021年10月7日号の報告。 対象は、統合失調症患者110例(治療反応群:46例、治療抵抗性群:64例)および健康対照群52例。皮質厚に焦点を当て、MRIの国際マルチサイト断面データを用いて分析した。治療反応群または治療抵抗性群のいずれかに関連する脳領域を発見するため、L1正則化ロジスティック回帰を用いた。ネストされた10分割交差検証を行い、鑑別精度および曲線下面積(AUC)を算出した。次に、分類子の交換可能性を調査するため、治療反応群または治療抵抗性群の分類子をもう一方の群に適用させた。 主な結果は以下のとおり。・治療反応群と対照群の鑑別精度は65%、AUCは0.69であった(p=0.014、調整済み)。・治療抵抗性群と対照群の鑑別精度は78%、AUCは0.85であった(p<0.001、調整済み)。・治療反応群および治療抵抗性群のいずれにおいても、左側頭葉と左前島皮質/下前頭回の違いが認められた。・左縁上回の違いは治療反応群のみで認められ、右上側頭溝と右外側眼窩前頭皮質の違いは治療抵抗性群で認められた。・治療反応群の分類子によって対照群から治療抵抗性群を鑑別するためのAUCは0.78(p<0.001)、治療抵抗性群の分類子によって対照群から治療反応群を鑑別するためのAUCは0.69(p=0.015)であった。 著者らは「皮質厚によって、健康対照者から治療反応および治療抵抗性の統合失調症患者を鑑別可能である。治療反応および治療抵抗性の統合失調症患者において皮質厚に関する病理学的共通点が認められた。また、治療抵抗性患者では、特徴的な皮質厚所見が認められた」としている。

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抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXd、TN乳がんでの第I相試験最新データ(TROPION-PanTumor01)/SABCS2021

 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)の固形がんを対象とした第I相TROPION-PanTumor01試験のうち、切除不能なトリプルネガティブ(TN)乳がんにおける安全性と有効性に関する最新データについて、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。本データから、Dato-DXdが管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性を示すことが示唆された。 本試験は進行中の多施設非盲検第I相試験で、進行/転移乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、その他のがんを対象に安全性と有効性が評価されている。今回、TN乳がんコホートにおける更新結果を発表した。・対象:標準治療後に病勢進行した切除不能なTN乳がん(ECOG PS 0~1)44例・投与スケジュール:42例はDato-DXd 6mg/kgを3週間ごとに静脈内投与、2例は8mg/kgを投与・評価項目:[主要評価項目]安全性、忍容性[副次評価項目]有効性(盲検下独立中央評価[BICR]による奏効率)、薬物動態など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2021年7月30日)時点で、44例中13例(30%)が治療を継続し、30例(68%)が病勢進行、1例(2%)が有害事象により治療を中止していた。・年齢中央値は53歳(範囲:32〜82歳)で、30例(68%)が前治療を2ライン以上受けていた。前治療は、19例(43%)が免疫療法、13例(30%)は別のトポイソメラーゼ阻害薬が結合した抗体薬物複合体(うち10例はsacituzumab govitecan)が投与されていた。・BICRによる奏効率は34%(確定したCR/PR:14例、確定前のCR/PR:1例)で、病勢コントロール率(DCR)は77%だった。・別のトポイソメラーゼI阻害薬が結合した抗体薬物複合体による治療歴のない27例のサブグループ解析において、奏効率は52%(確定したCR/PR:13例、確定前のCR/PR:1例)で、DCRは81%だった。・奏効期間中央値は未到達(範囲:2.7〜7.4+ヵ月)だった。・治療中の有害事象(TEAE)は、全Gradeが98%、Grade3以上が45%に発現し、治療関連TEAEは全Gradeが98%、Grade3以上が23%に発現した。重篤な治療関連TEAEは5%に発現し、死亡例はなかった。・発現の多かった有害事象は、悪心、口内炎、嘔吐、倦怠感、脱毛症で、血液毒性と下痢の頻度は低かった。薬物関連の間質性肺疾患は報告されていない。 なお、本試験におけるHR+/HER2-乳がんコホートについては登録が完了している。ほかにも、TN乳がんに対してDato-DXd+デュルバルマブの有効性と安全性を評価するBEGONIA試験が進行中である。また、HR+/HER2-乳がんに対する第III相TROPION-Breast01試験が開始されており、今後、TN乳がんに対する第III相試験も予定されている。

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喫煙妊婦、報奨金の提供で禁煙が継続/BMJ

 妊娠中の喫煙者では、禁煙を継続するに従って増額される金銭的な報奨はこの報奨がない場合と比較して、禁煙継続率の向上をもたらし、不良な新生児アウトカムの割合が低く、喫煙妊婦への安全で効果的な禁煙介入であることが、フランス・ソルボンヌ大学ピティエ-サルペトリエール病院のIvan Berlin氏らが実施した「FISCP試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年12月1日号に掲載された。フランス18施設の無作為化対照比較試験 本研究は、妊娠中の喫煙者の禁煙状況および出産アウトカムに及ぼす、禁煙の継続に応じて金額が漸増する報奨金の有効性の評価を目的とする単盲検無作為化対照比較試験であり、フランスの18ヵ所の産婦人科病棟で参加者の登録が行われた(French National Cancer Institute[INCa]Recherche en Prevention Primaireの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、たばこ≧5本/日または手巻きたばこ≧3本/日の喫煙者で、妊娠期間<18週であり、禁煙の意思のある妊婦(0[まったく意思がない]~10[きわめて強い意思がある]点の視覚アナログ尺度で>5点)であった。被験者は、金銭的な報奨を受ける介入群またはこれを受けない対照群に無作為に割り付けられた。 すべての参加者は、6回の受診日に来院しただけで、その都度来院費として20ユーロ(17ポンド、23ドル)相当の引換券を受け取った。金銭的報奨群では、来院費とは別に、受診時に禁煙を継続していると、2回目の受診日は40ユーロ、3回目は60ユーロ、4回目は80ユーロ、5回目は100ユーロ、6回目は120ユーロの報奨金に相当する引換券が与えられた(最高額は520ユーロ)。対照群は、6回の受診日にすべて来院しても、禁煙継続の有無にかかわらず、合計120ユーロの来院費のみが与えられた。 主要アウトカムは、所定の禁煙開始日から、出産前の6回目受診日までの禁煙継続であった。禁煙は、参加者の自己申告による過去7日間の喫煙なし、かつ呼気中一酸化炭素(eCO)≦8ppmと定義された。喫煙再開までの期間、喫煙欲求、出生時体重も改善 460例の妊婦が登録され、金銭的報奨群に231例、対照群に229例が割り付けられた。全体の平均年齢は29歳で、受診回数中央値は4回であり、両群間に差はなかった。また、就業率は金銭的報奨群が59%(137例)、対照群は65%(148例)であり、婚姻率はそれぞれ18%(41例)および13%(31例)、交際中が71%(163例)および75%(171例)であった。全体の過去7日間の喫煙本数中央値は60本だった。 禁煙継続率は、金銭的報奨群が16%(38/231例)と、対照群の7%(17/229例)に比べ有意に高かった(オッズ比[OR]:2.45、95%信頼区間[CI]:1.34~4.49、p=0.004)。金銭的報奨群は対照群に比べ、禁煙の点有病率(point prevalence)(4.61、1.41~15.01、p=0.011)が高く、喫煙再開までの期間中央値(5回目[IQR:3~6]の受診日vs.4回目[3~6]の受診日、p<0.001)が長く、喫煙欲求(β=-1.81、95%CI:-3.55~-0.08、p=0.04)が弱かった。 一方、不良な新生児アウトカム(新生児集中治療室への移送、先天形成異常、けいれん、周産期死亡の複合)のリスクは、金銭的報奨群が2%(4例の新生児)と、対照群の9%(18例の新生児)よりも7%低く、有意な差が認められた(平均群間差:14例、95%CI:5~23、p=0.003)。 事後解析では、金銭的報奨群で、出生時体重≧2,500gの新生児が多い可能性が示唆された。補正前ORは1.95(95%CI:0.99~3.85、p=0.055)で有意差はなかったものの、性別で補正後のORは2.05(1.03~4.10、p=0.041)で有意な差がみられ、性別と早産で補正後は2.06(0.90~4.71、p=0.086)となった(事後解析であるためデータの解釈には注意を要する)。 重篤な有害事象の発現は両群で同程度であった。引換券の総費用は、金銭的報奨群が4万9,040ユーロ、対照群は1万9,520ユーロであり、2万9,520ユーロの差が認められた。 著者は、「今後の研究では、金銭的な報奨が出産後の禁煙に及ぼす長期的な効果を評価する必要がある」としている。

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コロナワクチン3種の有効性、流行株で変化?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)、mRNA-1273(Moderna製)、Ad26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson製)の3種類のワクチンの有効性は、デルタ変異株が優勢になるに伴ってやや低下したものの、COVID-19による入院に対する有効性は高いまま維持されていた。ただし、65歳以上でBNT162b2またはmRNA-1273ワクチン接種者に限ってみると、COVID-19による入院に対する有効率はわずかに低下していたという。米国・ニューヨーク(NY)州保健局のEli S. Rosenberg氏らが、同州データベースを用いた前向きコホート研究の解析結果を報告した。FDAが承認した3種類のCOVID-19ワクチンの有効性に関する、米国の地域住民を対象としたデータは限られており、ワクチンの有効性の低下が、免疫の減弱、デルタ変異株または他の原因に起因するかどうかについても不明であった。著者は、「今回の結果は、COVID-19患者を減少させるためには、予防行動に加えてワクチンが引き続き有効であることを支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年12月1日号掲載の報告。NY州869万人における3種類のワクチンの有効性を検証 研究グループは、NY州における4つのデータベース(CIR、NYSIIS、ECLRS、HERDS)※を連携して、同州居住18歳以上の成人869万825例を対象とするコホートを構築し、BNT162b2、mRNA-1273およびAd26.COV2.Sワクチンの有効性を評価した。 評価項目は、2021年5月1日~9月3日における検査で確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性、ならびに2021年5月1日~8月31日におけるCOVID-19による入院(入院時または入院後にCOVID-19と確定診断)に対するワクチンの有効性で、接種したワクチンの種類、年齢、ワクチン接種完了月に準じて定義したコホートと、年齢別のワクチン未接種コホートを比較した。※CIR(Citywide Immunization Registry):NY市居住者のCOVID-19ワクチン接種に関する全データ、NYSIIS(New York State Immunization Information System):NY州およびその他の地域のCOVID-19ワクチン接種に関するデータ、ECLRS(Electronic Clinical Laboratory Reporting System):NY州のすべてのCOVID-19検査結果、HERDS(Health Electronic Response Data System):NY州内全入院施設の日次電子調査(COVID-19の診断が確認された人の全新規入院に関するデータ日次新型コロナ入院データを収集)2021年5月~8月に、3種類すべてで有効性が低下 対象期間中に、COVID-19は15万865例、COVID-19による入院は1万4,477例確認された。 流行中の変異株に占めるデルタ変異株の割合が1.8%だった2021年5月1日の週において、COVID-19に対する有効率中央値は、BNT162b2で91.3%(範囲:84.1~97.0)、mRNA-1273で96.9%(93.7~98.0)、Ad26.COV2.Sで86.6%(77.8~89.7)であった。 その後、有効率は全コホートで同時に低下し、全体の有効率中央値は5月1日の週の93.4%(範囲:77.8~98.0)から、デルタ変異株が85.3%を占めた7月10日頃には73.5%(13.8~90.0)、デルタ変異株が99.6%を占めた8月28日の週には74.2%(63.4~86.8)となった。 一方、COVID-19による入院に対する有効率は、18~64歳では明らかな経時変化はみられず、ほぼ86%以上で維持されていた。65歳以上では、BNT162b2またはmRNA-1273は5月から8月にかけて有効率が低下し(それぞれ94.8%→88.6%、97.1→93.7%)、Ad26.COV2.Sは経時的な変化はないものの他のワクチンよりも有効率が低かった(範囲:80.0~90.6%)。

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新薬elacestrantがHR+進行乳がん2~3次治療でPFS改善、初の経口SERD(EMERALD)/SABCS2021

 ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有する閉経後乳がん患者への2次および3次治療において、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)elacestrantが、医師選択の標準治療と比較して死亡または疾患進行リスクを有意に減少させ、無増悪生存期間(PFS)を改善した。第III相EMERALD試験の中間解析結果を、米国・Mass General Cancer CenterのAditya Bardia氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 現在、同患者に対しては主に内分泌療法とCDK4/6阻害薬による治療が行われているが、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対する耐性を獲得し、その耐性機序の一つとしてESR1変異が考えられている。 SERDとして乳がん治療で唯一承認されているフルベストラントは筋肉内注射による投与であり、経口SERDとして第III相試験が実施されたのは今回のelacestrantが初。Bardia氏はelacestrantはフルベストラントと比較して吸収が大きく、薬物動態が改善され、ERの阻害が強化されていると説明した。EMERALD試験は多施設共同無作為化比較試験で、北米・ヨーロッパの他アルゼンチン、韓国、オーストラリアなど17カ国228施設が参加。日本からの参加はない。・対象:ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有し、CDK4/6阻害薬治療後に進行した男性および女性の閉経後乳がん患者(1~2ラインの内分泌療法歴[うち1ラインはCDK4/6阻害薬との併用]と1ライン以下の化学療法歴有、ECOG PS 0/1) 477例・elacestrant群:elacestrant(400mg/日) 239例・標準治療群:治験担当医選択によるフルベストラントまたはアロマターゼ阻害薬 238例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団およびESR1変異を有する患者におけるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はelacestrant群63.0歳vs.標準治療群63.5歳、内臓転移を有する患者は68.2% vs.70.6%、1ラインの化学療法歴を有する患者は20.1% vs.24.4%だった。・主要評価項目であるITT集団におけるPFS中央値は、elacestrant群2.79ヵ月に対し標準治療群1.91ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.697、95%信頼区間[CI]:0.552~0.880、p=0.0018)。・ESR1変異を有する患者におけるPFS中央値は、elacestrant群3.78ヵ月に対し標準治療群1.87ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(HR:0.546、95%CI:0.387~0.768、p=0.0005)。・ITT集団における6ヵ月時点でのPFS率は34.3% vs.20.4%、12ヵ月時点では22.32% vs.9.42%だった。ESR1変異を有する患者においては6ヵ月時点でのPFS率は40.8% vs.19.1%、12ヵ月時点では26.76% vs.8.19%だった。・elacestrantによるPFSのベネフィットは、フルベストラントによる治療歴(HR:0.679、 95%CI:0.438~1.029)および内臓転移を有する患者(HR:0.665、95%CI:0.607~0.869)を含む、事前に設定されたほとんどのサブグループにおいて観察された。 一方、アジア人(HR:1.091、95%CI:0.456~2.642)およびその他の人種(HR:1.075、95%CI:0.309~3.580)ではみられなかった。ただし、これらのサブグループは例数が少ない(32例、14例)。・副次評価項目であるOS中央値は、未成熟なデータではあるが、ITT集団 (HR:0.751、 95%CI:0.542~1.038、p=0.0821) およびESR1変異を有する患者(HR:0.592、95%CI:0.361~0.958、p=0.0325)においてともにelacestrant群で良好な傾向がみられている。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)で多くみられたのは悪心(35.0% vs.18.8%)、倦怠感(19.0% vs.18.8%)、嘔吐(19.0% vs.8.3%)、食欲不振(14.8% vs.9.2%)、関節痛(14.3%vs.16.2%)。Grade3/4では、悪心(2.5% vs.0.9%)、背部痛(2.5% vs.0.4%)、ALT上昇(2.1% vs.0.4%)がみられた。TRAEによる治療中止はelacestrant群3.4%、標準治療群0.9%で報告され、両群とも治療関連の死亡は発生していない。 Bardia氏は同患者に対するelacestrant単剤療法は新しい標準治療となる可能性があるとし、OSの最終結果は来年以降発表される見通しとした。また、より早期の治療ラインにおける有効性および他の治療薬と組み合わせたときの有効性を評価する必要があるとし、脳転移のある患者を対象に、アベマシクリブと組み合わせたelacestrantの有効性を評価する第II相試験が計画されているとした。

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院外心停止者の持続的自己心拍再開に有効なのは?カルシウムvs.生食/JAMA

 院外心停止の成人患者において、静脈内または骨髄内のカルシウム投与は生理食塩水投与と比較して、自己心拍の持続的再開を改善せず、30日生存率や良好な神経学的アウトカムの達成割合がいずれも有意差はないものの不良な傾向にあることが、デンマーク・Prehospital Emergency Medical ServicesのMikael Fink Vallentin氏らの検討(Calcium for Out-of-Hospital Cardiac Arrest trial)で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2021年11月30日号で報告された。デンマークの無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、院外心停止患者の自己心拍再開におけるカルシウム投与の有用性の評価を目的に、医師主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Novo Nordic Foundationなどの助成を受けた)。 この研究は、2020年1月20日~2021年4月15日の期間に、デンマークの行政区の1つであるCentral Denmark Region(人口約130万人)で実施された。対象は、年齢18歳以上、院外で心停止となり、心停止中に少なくとも1回のエピネフリンの投与を受けた患者であり、外傷性心停止や妊婦などは除外された。 被験者は、塩化カルシウム5mmolの静脈内または骨髄内投与を最多で2回行う群、または同様に生理食塩水(塩化ナトリウム9mg/mL、プラセボ)の投与を行う群に無作為に割り付けられた。試験薬の1回目の投与は、エピネフリンの初回投与直後に行われた。 主要アウトカムは持続的な自己心拍再開(自己心拍が得られ、それ以上の胸骨圧迫が必要でない時間が20分以上持続した場合)とされた。主な副次アウトカムは、30日の時点での生存および良好な神経学的アウトカム(修正Rankin尺度スコアが0~3点)を伴う生存などであった。 383例の非盲検データの中間解析の結果により、2021年4月15日、独立データ安全性監視委員会はカルシウム群の有害性の徴候に基づき試験の早期中止を勧告し、これを受けて運営委員会は即座に試験を中止した。主要アウトカム:19% vs.27%、高カルシウム血症も高頻度 391例が解析に含まれ、193例がカルシウム群、198例が生理食塩水群であった。全体の平均年齢は68(SD 14)歳で、114例(29%)が女性だった。発生場所は82%が自宅で、75%が電気ショック非適応リズムの患者であった。 心停止から試験薬投与までの期間中央値は18分(IQR:14~23)で、60%の患者が骨髄内投与を受け、73%は試験薬の投与を2回受けた。フォローアップが不能の患者はなかった。 持続的な自己心拍再開の達成割合は、カルシウム群が19%(37例)と、生理食塩水群の27%(53例)に比べ低かったが、両群間に有意な差は認められなかった(リスク比:0.72[95%信頼区間[CI]:0.49~1.03]、リスク差:-7.6%[95%CI:-16~0.8]、p=0.09)。 30日の時点での生存率は、カルシウム群は5.2%(10例)であり、生理食塩水群の9.1%(18例)より低かったものの、有意差はみられなかった(リスク比:0.57[95%CI:0.27~1.18]、リスク差:-3.9%[95%CI:-9.4~1.3]、p=0.17)。 また、30日時の良好な神経学的アウトカムの達成割合は、カルシウム群が3.6%(7例)、生理食塩水群は7.6%(15例)であった(リスク比:0.48[95%CI:0.20~1.12]、リスク差:-4.0%[95%CI:-8.9~0.7]、p=0.12)。 カルシウム値が測定され、自己心拍再開が達成された患者のうち、カルシウム群では74%(26例)、生理食塩水群では2%(1例)が高カルシウム血症を発現した。 著者は、「これらの結果は、院外心停止の成人患者に対する心停止中のカルシウムの投与を支持しない」とまとめ、「早期に中止された試験は、効果を過大評価する傾向があるとされる。また、主要アウトカムの95%CIの幅の広さを考慮すると、有害性を示唆する点推定値は偶然の結果である可能性もある」と指摘している。

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日本人統合失調症患者における抗精神病薬の製剤満足度調査

 藤田医科大学の波多野 正和氏らは、服薬アドヒアランスに影響を及ぼす因子を特定するため、統合失調症患者を対象に処方された抗精神病薬の製剤に関する主観的なアンケート調査を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年11月30日号の報告。DAI-10と製剤満足度との間に中程度の相関 処方された抗精神病薬の製剤に対する患者の満足度および不満度を評価するため、薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)を用いた。対象患者は、同一成分、同一製剤の抗精神病薬を1ヵ月以上服用している20~75歳の統合失調症患者とした。 DA-10を用いた抗精神病薬に関する主観的アンケート調査の主な結果は以下のとおり。・アンケートに回答した患者は301例であった。・統合失調症患者に最も処方されている抗精神病薬の製剤は、錠剤(174例、57.8%)であり、次いで持続性注射剤(93例、30.9%)であった。・製剤で、製剤満足度とDAI-10との有意な関係は認められなかった。・持続性注射剤以外の製剤を選択していた患者の半数以上は、製剤は「医師により決定」と回答した。・製剤選択において、「医師との協議により決定」と回答した患者は、「医師により決定」と回答した患者と比較し、満足度(4.11±0.77 vs.3.80±1.00、p=0.0073)やDAI-10スコア(6.20±3.51 vs.4.39±4.56、p<0.001)が有意に高かった。・満足度とDAI-10との間には、中程度の相関が認められた(r=0.48、p<0.001)。 著者らは「すべての患者に対し高い満足度が得られる製剤はないため、個々の好みを薬物療法に反映させる必要がある。製剤を選択するうえで意思決定を共有することは、服薬アドヒアランスの改善に役立つと考えられる」としている。

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TN乳がん1次治療でのペムブロリズマブ、適切なCPSカットオフ値は?(KEYNOTE-355)/SABCS2021

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、ペムブロリズマブ+化学療法による治療ベネフィットが期待される患者の定義としてCPS 10以上が適切であることを示唆する、第III相KEYNOTE-355試験のサブグループ解析結果を、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 本試験では、化学療法+ペムブロリズマブが、未治療のPD-L1陽性(CPS 10以上)の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん患者において、化学療法+プラセボと比べ、有意に全生存(OS)および無増悪生存(PFS)を改善したことがすでに報告されている。しかし、CPS 1以上の集団では有意なベネフィットは示されなかった。今回は、CPS 1未満、1~9、10~19、20以上のサブグループに分けてOSとPFSを解析した。・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例・対照群:プラセボ+化学療法 281例・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS 10以上、1以上)およびITT集団におけるPFSとOS[副次評価項目]奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終解析時点(データカットオフ:2021年6月15日)で、無作為化~データカットオフの期間の中央値は44ヵ月だった。・OSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.73(0.55~0.95)、CPS 1以上で0.86(0.72~1.04)、ITT集団で0.89(0.76~1.05)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で0.97(0.72~1.32)、1~9で1.09(0.85~1.40)、10~19で0.71(0.46~1.09)、20以上で0.72(0.51~1.01)で、CPS 1~9ではペムブロリズマブ群とプラセボ群で変わらず、10~19と20以上ではペムブロリズマブの追加による治療ベネフィットが同等だった。 ・PFSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.66(0.50~0.88)、CPS 1以上で0.75(0.62~0.91)、ITT集団で0.82(0.70~0.98)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で1.09(0.78~1.52)、1~9で0.85(0.65~1.11)、10~19で0.70(0.44~1.09)、20以上で0.62(0.44~0.88)だった。

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12/11、第63回米国血液学会(ASH)スタート!注目演題は?

 12月11日(現地時間)から第63回米国血液学会(ASH)が米国アトランタとオンラインのハイブリッド形式で開催される。COVID-19の影響で昨年は完全オンライン開催だったが、今年はハイブリッド方式を選択。現地の参加者の交流を促すため、感染対策を行いながらウエルカムレセプションやオピニオンリーダーを囲む少人数セッションなどが企画されている。 既にAbstractが公開されており、Late-breakingには「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法併用vs.R-CHOP療法/POLARIX」「初回免疫寛容誘導(ITI)療法に対するrFVIIIFcの有効性」「B細胞非ホジキンリンパ腫2次治療としてのCAR-T細胞tisagenlecleucel vs.標準治療/BELINDA試験」などの演題が選ばれた。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」ではASHの特設カテゴリーを設置。横浜市立大学の山崎 悦子氏が選定した白血病、国立がん研究センター 東病院の山内 寛彦氏が選定したリンパ腫、群馬大学大学院医学系研究科の半田 寛氏が選定した骨髄腫を中心とした、計25の注目演題をコメント付きで紹介している。登録者向けのオンデマンド配信は2022年2月1日まで視聴可能となっている。

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医師が選ぶ「2021年の漢字」TOP5を発表!【CareNet.com会員アンケート】

毎年12月に発表される「今年の漢字」(主催:日本漢字能力検定協会)に先立ち、CareNet.com会員の先生方にも今年の漢字を選んでいただきました! 皆さんは、今年1年の世相を漢字1文字で表すとしたら、何を思い浮かべますか?それでは、医師に選ばれた「2021年の漢字」TOP5を発表します。イラスト内の漢字は、日本習字高等師範免許を持つケアネット社員による書き下ろしです!第1位「禍」第1位は、第2位と倍の差をつけた「禍」。2021年も、昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響が色濃い1年でした。医療現場にとっての第5波は、東京オリンピックよりも大きいインパクトだったようです。来年こそは、平穏な日常を取り戻したいですね。「禍」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナ禍という一言に尽きると思う。(60代 整形外科/大阪)コロナ第5波が印象に残っているから。(30代 消化器内科/東京)まだまだコロナの影響が根強いため。(40代 内科/福岡)コロナに巻き込まれ、国も自治体も、個人も人生がかき回された1年だった。(30代 心臓血管外科/大分)コロナによる医療崩壊や度重なる自然災害など禍が絶えない年でした。(50代 泌尿器科/岩手)第2位「輪」第2位にランクインした「輪」は、1年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピックを連想させます。五輪の「輪」だけでなく、世界や人とのつながりを感じたという趣旨のコメントも多数寄せられました。開催には賛否両論ありましたが、無事に閉会でき安堵した方も多かったのではないでしょうか。同じく五輪から連想される「金」や「五」と答えた方もいらっしゃいました。 「輪」を選んだ理由(コメント抜粋)五輪があったとともに、「人の輪」を再認識したから。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科/京都)オリンピック。ワクチン接種が世界各国で行われており世界の輪を感じたから。(30代 精神科/茨城)諸外国と比較しまずまずの感染水準で東京オリンピック、パラリンピックを遂行できたため。記念すべきイベントだったと思います。(30代 耳鼻咽喉科/東京)激動の時代だったと思うがそこからの回復、復興をしている皆の協力をもっての輪、オリンピックの輪。(40代 麻酔科/静岡)■第3位「耐」第3位は「耐」でした。長らく続いた緊急事態宣言による大型商業施設や飲食店の休業、移動制限など、全国民が我慢を強いられた1年でした。医療従事者はさらに第5波への対応やワクチン接種業務などもあり、耐えに耐え抜いた年だったことと思います。1年間本当にお疲れさまでした。 「耐」を選んだ理由(コメント抜粋)2020年に続き、コロナウイルスのために耐える1年だった。(50代 内科/茨城)なかなか収束しない感染状況、自粛生活に耐え、勤務先でも急な退職が相次ぎ、業務増加に耐え…と耐える1年だった。(40代 精神科/熊本)生活、仕事のさまざまな局面で自粛を求められ、耐える一年であったから。(40代 消化器内科/茨城)第4位「忍」第4位の「忍」は、コメントにもあるように、「耐え忍んだから」という理由で選んだ方が多かったようです。とくに医療従事者の皆さんは我慢を強いられる場面も少なくなかったことでしょう。新たな変異株が現れ、先行きが不透明な状況ではありますが、年末年始は少しでも気の休まる時間が取れるとよいです。 「忍」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナで国民みんなが耐え忍んだ年だから。(40代 内科/新潟)県外への移動禁止、3密回避など、我慢の一年だったから。(30代 その他診療科/静岡)コロナ禍も2年目となり、オリンピックや選挙などもあったが、大きな混乱もなくさまざまな社会活動を行えるようになっているのは、大勢の人々の忍耐力によるものだったと思う。(50代 麻酔科/兵庫)第5位「乱」第5位は、過去にも何度か登場している「乱」でした。コロナによる世の中や生活の「混乱」を連想した方が多かったようです。来年こそは、落ち着いた気持ちで過ごしたいものですね。同様の理由で「混」を選んだ方もいらっしゃいました。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナ、政治などいろいろなところで混乱があったから。(30代 泌尿器科/神奈川)新型コロナですべてが乱されたから。(50代 内科/埼玉)自分の生活が目まぐるしく変化して乱れた。(40代 呼吸器内科/大阪)これまで未経験な事態が重なった。(40代 循環器内科/東京)アンケート概要アンケート名『2021年振り返り企画!今年の漢字と印象に残ったオリパラ選手をお聞かせください』実施日   2021年11月15日~21日調査方法  インターネット対象    CareNet.com会員医師有効回答数 1,059件

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日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスク

 コーヒー、緑茶、カフェインは、高齢者の認知症予防の潜在的な因子といわれているが、根拠となるエビデンスは十分ではない。新潟大学のNana Matsushita氏らは、中高年の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2021年10月8日号の報告。1日3杯以上コーヒーを飲んでいる人では認知症リスクが50%減少 本研究は、8年間フォローアップを行ったコホート研究である。対象者は、40~74歳の日本の地域住民1万3,757人。2011~13年に自己記入式のアンケート調査を実施した。予測因子は、コーヒー、緑茶の消費量とし、そこからカフェインの摂取量を推定した。アウトカムは、介護保険データベースより抽出した認知症発症とした。調整済みハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデル、遅延組み入れCoxモデルを用いた。 高齢者の認知症リスクとコーヒー、緑茶、カフェインの摂取との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・調査期間中の認知症発症数は309例であった。・コーヒーの消費量が多い人はHRが低く、五分位で最も消費量が多い群(326mL/日以上)は、最も少ない群(26mL/日未満)と比較しHRが有意に低かった(HR:0.49、95%CI:0.30~0.79)。・同様に、カフェイン摂取量が最も多い群は、最も少ない群と比較しHRが有意に低かった(調整p for trend=0.0004)。・遅延組み入れCoxモデルにおいても、同様の結果であった。・これらの関連性は、男性では有意であったが、女性では有意な差は認められなかった。・コーヒーの消費量が1日2~2.9杯(HR:0.69、95%CI:0.48~0.98)および1日3杯以上(HR:0.53、95%CI:0.31~0.89)の人は、0杯の人と比較しHRが低かった。・緑茶の消費量と認知症リスク低下との関連は、60~69歳でのみ有意な関連が認められた(調整p for trend=0.0146)。 著者らは「コーヒーやカフェイン摂取は、とくに男性において、用量依存的に認知症リスクの低下が認められた。1日3杯以上コーヒーを飲んでいる人では、認知症リスクが50%減少することが示唆された」としている。

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ICIによる非小細胞肺がんの術前・術後補助療法の有効性を探る(CheckMate 77T試験)/日本肺癌学会

 最近のStageIIAからIIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後の5年生存率は50%以下であり、その治療効果は十分とはいえず、何らかの追加治療が必要とされてきた。 1990年代から化学療法を用いた術前補助療法が行われてきたが、最近は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場。周術期治療への可能性が期待されている。そこで、化学療法にICIを加えた周術期治療の有用性を検証するCheckMate 77T試験が現在進行しており、その概要が第62回日本肺癌学会学術集会において、神奈川県立がんセンターの伊藤宏之氏から紹介された。 StageIIIAのNSCLC患者46例を対象に、化学療法にニボルマブを併用する術前補助療法の後に手術を施行する第II相試験として、NADIM試験が実施された。その結果、残存するがん細胞の面積ががん組織中に占める割合が 10%以下の症例の割合を表すmajor pathological response(MPR)が83%、病理学的完全奏効(pCR)は59%との良好な成績を示し、18か月後の無増悪生存率は81%、全生存率は91%となっていた。この結果を受け、第III相試験としてCheckMate 77T試験がデザインされた。 CheckMate 77T試験は、切除可能なNSCLC患者を対象に、組織型に基づく化学療法にニボルマブ360mgまたはプラセボを加えた術前補助療法を行い、さらに術後補助療法としてニボルマブ480mgまたはプラセボを1年間投与する無作為化二重盲検第III相試験である。主要評価項目は盲検下独立中央評価委員会(BICR)による無イベント生存期間(EFS)、主な副次評価項目としてBICRによる全生存期間(OS)、pCR、およびMPR、安全性と忍容性などについても評価される。 対象は、切除可能なStage IIAからIIIBのNSCLCで、ECOG PS が0~1の患者。EGFR/ALK変異、脳転移、自己免疫疾患もしくはその疑いがある患者は除外された。 現在、日本を含む21ヵ国から115施設が参加し、2024年9月の修了を目指して試験が進行している。伊藤氏は、これまでICIは内科領域の治療で使われる薬剤であったが、今後は外科領域における周術期治療においても使用されるようになる可能性が高いとの期待を示した。

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腎不全患者の在宅中心静脈栄養の輸液設計を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第43回

 今回は、腎機能低下時の中心静脈栄養(以下、TPN)の設計についてです。腎機能低下時はタンパク質の利用制限があるため負荷量の制限が必要です。そのため、タンパク質の利用効率の指標であるNPC/N比(非タンパクカロリー/窒素比)を考慮して輸液設計を提案しました。患者情報80歳、男性(在宅)基礎疾患びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん(多発骨転移・リンパ節転移)、慢性心不全、心房細動、陳旧性脳梗塞、慢性腎不全、腹部大動脈瘤術後介護度要介護4服薬管理妻(点滴交換も妻が実施)介護状況毎週月曜日ルート交換、訪問看護処方内容 ※内服薬は誤嚥リスクのため中止1.エルネオパNF2号輸液 1,000mL 24時間投与2.フロセミド注20mg 1A 静脈注射本症例のポイントこの患者さんは、在宅医療で介入した当初よりBUN:49.8mg/dL、血清クレアチニン値:2.66mg/dLと高度の腎機能低下がありました。心不全もあるため水分量が多く、浮腫を繰り返して治療に難渋している状態でした。ある日、医師より電話連絡があり、「Alb値(1.9g/dL)、総タンパク(5.4g/dL)が低いので、がん末期で悪液質があることは承知のうえだが、栄養改善のために今の輸液内容にアミノ酸輸液を追加したいと考えているがどうか」と相談がありました。そこでポイントを整理することにしました。<NPC/N比(非タンパクカロリー/窒素比)>アミノ酸は十分な糖質や脂質を摂取できている状態ではタンパク合成に利用されるが、糖質や脂質が不足している状態ではエネルギーとして消費され、タンパク合成に利用されない。アミノ酸が効率よくタンパク質の合成に利用されるかどうかをみる指標としてNPC/N比が用いられる。NPC/N比=(総エネルギー量)-(タンパク質エネルギー量)/(タンパク質重量)÷6.25現行のエルネオパNF2号輸液1,000mLのNPC/N比は149で、腎不全時の推奨NPC/N比は300~500です。患者は腎不全があることからアミノ酸合成能力は低下しており、タンパク質の異化(分解)が亢進している状態と考えられます。タンパク質負荷が増加してアミノ酸利用能を超えると、BUN上昇から尿毒症や高NH3血症などが惹起される可能性が高くなります。輸液内容全体を見直して、アミノ酸利用効率の高い輸液設計が必要と考えました。処方提案と経過医師への折り返し電話の前に、トレーシングレポートで下記の輸液設計プランを送付しました。現在のエルネオパNF2号は電解質+糖質+アミノ酸+ビタミン剤+微量元素を含有した製剤であり、ここにアミノ酸輸液を上乗せするとさらにNPC/N比が低下します。そのため、電解質+糖質の製剤であるハイカリックRF輸液への変更を提案しました。ハイカリックRFの「RF」はRenal Failure(腎不全)の略で、腎不全患者用に調整された製剤です。また、本剤のみでは不足する成分もあるため、総合ビタミン剤や微量元素も追加し、アミノ酸輸液も腎不全用の低タンパク質製剤で個々に調整することが適当と考えました。提案内容1.ハイカリックRF輸液 500mL2.10%塩化ナトリウム注射液キット 20mL3.塩化カリウム注射液キット 20mEq4.高カロリー輸液用総合ビタミン剤キット 1キット5.腎不全用アミノ酸製剤(1-2)注射液200mL 2袋Total:1,094.4kcal、NPC/N比:312.5、水分量:900mL医師より上記の設計プランが承認され、投与内容を変更するよう指示がありました。変更対応後10日目に高Na血症(155mEq/L)が発現したことで10%塩化ナトリウム注射液キットが中止になりましたが、それ以外の輸液内容は継続となりました。その後、栄養評価に関する検査値の改善は認められませんでしたが、電解質も含めて悪化なく経過し、看取りまで点滴内容は継続となりました。日本静脈経腸栄養学会・大塚製薬工場. やさしく学ぶための輸液・栄養の第一歩 第4版.

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Pacak-Zhuang症候群にbelzutifan治療が有効/NEJM

 赤血球増加症と多発性パラガングリオーマを有するPacak-Zhuang症候群の16歳女性患者において、低酸素誘導因子2α(HIF2α)阻害薬belzutifan治療により、高血圧、頭痛、および長期にわたる赤血球増加症の解消とともに、迅速かつ持続的な腫瘍縮退効果がもたらされたことを、米国・ダナファーバーがん研究所(DFCI)のJunne Kamihara氏らが報告した。Pacak-Zhuang症候群は、HIF2αをコードする遺伝子(EPAS1)の活性化変異によって引き起こされるまれな疾患で、生殖細胞系列の遺伝子検査で検出されることはほとんどなく、患者は幼少期に赤血球増加症を呈し、その後に複数の再発性および転移性のパラガングリオーマを発症する。小児期に発症した患者は複数の複雑な治療を受けることになるが、症候群の根本的な遺伝的原因を標的とする治療選択肢は限られていた。今回の結果を踏まえて著者は、「分子標的薬のレパートリーが増える中で、その長期的な効果を徹底的に調査することにより、腫瘍素因症候群の子供と大人におけるケアの目標はスクリーニングと早期発見から、将来的に腫瘍の治療、さらに予防へとシフトする可能性があるだろう」と述べている。NEJM誌2021年11月25日号掲載の報告。14歳時に臨床診断、16歳時に再発を認めbelzutifan治療(1日120mg)を開始 研究グループが報告した、Pacak-Zhuang症候群におけるbelzutifan治療評価は、16歳の女性患者を対象に行われた。 患者が初発症状(一過性脳虚血による左側脱力と複視)を呈したのは6歳時で、9歳時に赤血球増加症に関連すると推定される高血圧症に対する降圧療法を開始、14歳時に複数の腫瘍がみつかり切除が行われた。病理所見で少なくとも8つのパラガングリオーマが確認されている。その後に研究グループの小児がん遺伝リスクプログラムに紹介され、3世代家族歴の聴取が陰性であったこと、赤血球増加症と新規パラガングリオーマの同時罹患などを踏まえてPacak-Zhuang症候群と臨床診断された。 術後に降圧薬投与は中止となったが、2年後の16歳時に頭痛および高血圧症の再発、赤血球増加症の悪化、画像診断で腫瘍の存在が確認され、治療オプションが検討されbelzutifan治療(1日120mg)が開始された。投与量は、成人進行腎細胞がんを対象とした第II相試験の推奨用量に基づいている。治療開始17日時点で症状軽減、腫瘍の縮退を確認 belzutifan治療開始9日後に、Pacak-Zhuang症候群で上昇が認められる血漿中ノルメタネフリン値(16.2→5.7nmol/L)とクロモグラニンA値(642→136ng/L)が劇的に低下、赤血球増加症も速やかに軽減し、17日目までにヘモグロビン値は正常範囲に低下した。 それらに伴い、belzutifan治療開始後10日までに頭痛症状が解消され高血圧症が改善。降圧薬は3ヵ月後に中止に至った。 治療24ヵ月後において、Pacak-Zhuang症候群の一部の患者にみられるソマトスタチノーマは認められなかった。 画像診断では、治療開始11日前の時点では左副腎腫瘍(2.4×2.6cm)、大動静脈瘤(1.3×1.3cm)、および2つの小軟部腫瘍(<1cm径)が存在していたが、これらは治療開始17日後にはわずかだが縮退を認め、56日時点では明らかに縮退し大動静脈瘤や後腹膜腫瘍はかろうじて認められる程度になっていた。696日時点のMRIでは左副腎腫瘍は1.2×0.7cmまで縮退し、正常な副腎組織が大半を占めていることが確認された。 安全性については、治療24ヵ月時点までに報告された副作用は最小限にとどまり、有害事象Grade1/2のみであった。 belzutifan治療は本報告時点で継続中である。

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英語で「検査をしてほしい」は?【1分★医療英語】第5回

第5回 英語で「検査をしてほしい」は?I might have been exposed to COVID.Can I get tested for it?(コロナウイルスに曝露してしまったかもしれません。検査を受けることはできますか?)Okay,do you have any symptoms?(わかりました、何か症状はありますか?)《例文1》He needs to get tested for Hepatitis B before the surgery.(彼は手術前にB型肝炎検査を受ける必要があります)《例文2》You haven’t got tested for STI for the past three years. Would you like?(ここ3年間性病検査を受けていないようですね。検査されますか?)《解説》“get tested for A”で、「Aの検査を受ける」という表現になります。医療現場でも“want to get tested for COVID”という表現で、患者から検査を要求されることが頻繁にあります。この言い回しは使い勝手が良く、たとえば医師が患者に説明する際にも、“You need to get tested for A(Aの検査を受ける必要があります)”などと説明することができます。ちなみに、日本ではメディアが「新型コロナウイルス」という表現を使って報道しているのに対して、医療現場を除いた日常会話では「コロナ」という略称を使うことが多いかと思います。一方、米国のメディアは“COVID-19”や“Coronavirus”という表現で報道することが多いです。そして、日常ではほとんどの人が“COVID(コービッ)”と言います。“Coronavirus”や“Corona”を聞くことはまずありません。「COVID-19の検査を受けたい」という表現では、“I want a COVID test”という非常にシンプルな伝え方もあります。こちらの表現も日常的によく使われます。“I want to get tested for COVID”と同じ意味ですが、ネイティブからすると、“I want a COVID test”のほうがやや楽観的な印象を受けるようです。講師紹介

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