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妊婦のSSRI使用と先天異常リスク増加に関連性は見られなかった

6月中旬に厚労省から「若年成人で自殺行動リスクが高くなる恐れがある」と注意喚起が促されたパキシル(塩酸パロキセチン水和物)を含む、うつ病治療薬として最も頻繁に使用されるSSRIの妊婦服用リスクに関する報告が、NEJM誌6月28日号に寄せられた。先天異常9,622例の母親に電話インタビュー妊娠可能な年齢にある女性の大うつ病の有病率はピーク時で10~25%に達するが、SSRIの妊婦服用に関する安全性情報は乏しい。カナダ、バンクーバーにあるBritish Columbia大学のSura Alwan氏らは、妊婦のSSRIをめぐって懸念が示されている先天異常、特に先天性心欠損との関連性について調査を行った。研究対象はNational Birth Defects Prevention Study(全米先天異常予防研究:NBDPS)から、重い先天異常を有する乳児9,622例のデータを使用。症例児は8つの州で奇形児サーベイランスシステムを通じて確認された1997年から2002年の間の誕生児。対照群として同じ地区からランダムに4,092例が選択された。各母親に電話で妊娠前後の服薬を含む危険因子に曝された可能性に関してインタビューを行い、SSRI治療[プロザック(フルオキセチン)、 ゾロフト(セルトラリン)、パキシル(塩酸パロキセチン水和物)]が受胎前1ヵ月から受胎3ヵ月後の間に行われていた場合をSSRI曝露と定義した。先天異常の分類は26のカテゴリーとサブカテゴリーで行った。先天性心欠損ほか大半の先天異常との関連性に有意差見られず結果は、無脳症[214例、曝露9例、補正オッズ比2.4(95%信頼区間1.1-5.1)]、頭蓋骨癒合症[432例、曝露24例、補正オッズ比2.5(95%信頼区間1.5-4.0)]、臍ヘルニア[181例、曝露11例、補正オッズ比2.8(95%信頼区間1.3-5.7)]の3種類で関連性が見られたが、先天性心欠損ほか大半の先天異常については有意な関連性は見られなかった。また、前記3種類についても絶対危険度は低く、Alwan氏らは「これらについてはさらなる研究で確認をする必要がある」と提言した。なおNEJM同日号で、Carol Louik氏らによる同様のSlone Epidemiology Center先天異常研究を対照とした研究報告が寄せられている。合わせて参照するとより興味深いだろう。(武藤まき:医療ライター)

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進行パーキンソン病の遺伝子治療、世界的に注目を集める試験で一定の成果が

掲載誌の発行前からその成果が伝えられ、発表後は日本でも一般紙などがさかんに報じている注目の研究。 パーキンソン病では黒質のドパミン作動性ニューロンの消失によって基底核回路に変化が起き、視床下核への抑制性のγ-アミノ酪酸(GABA)作動性インプットの低下などをきたす。そのため、運動開始困難、筋硬直、振戦を特徴とする運動障害が起きる。ドパミン作動性神経伝達薬の有効性は確立されているが、進行パーキンソン病ではジスキネジアやmotor fluctuationなど許容しえない薬剤関連合併症が多くみられる。 アメリカNYにあるコーネル大学Weill 医学部脳神経外科のMichael G. Kaplitt氏らは、運動回路内に正常な脳活性を再確立すれば、パーキンソン病の運動障害は回復するとの仮説のもと、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いてGABAの産生を促進するグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)遺伝子を視床下核ニューロンへ直接導入する遺伝子治療を試みた。Lancet誌6月23日号の報告。高、中、低用量のAAV-GADを視床下核の片側に手術的に注入Kaplitt氏らは、パーキンソン病12例(男性11例、女性1例、平均年齢58.2歳)を対象に、GAD遺伝子を移入したアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-GAD)を視床下核の片側(対側半身の運動機能に対応)に手術的に注入し、その安全性および認容性を検討するオープンラベル試験を実施した。症例選択基準は、Hoehn and Yahr stage 3以上で、少なくとも5年以上の病歴があり、薬剤効果非発現時にmotor fluctuationがみられる70歳以下の症例とした。AAV-GADを低、中、高用量投与する3群に分け、それぞれに4例ずつを登録した。臨床評価は、ベースライン(併用薬の効果発現時、非発現時)、術後1、3、6、12ヵ月後に行い、日常生活動作(ADL)の評価にはUnified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)を用い、神経心理学的検査、PET検査を施行した。治療関連有害事象は認めず、3ヵ月後に運動能が有意に改善、1年後も持続全登録例が手術を受け、脱落例やフォローアップ不能例はなかった。治療に関連した有害事象は認めなかった。遺伝子治療3ヵ月後には、視床化核のAAV-GAD注入側とは対側半身の運動関連UPDRSスコアが有意に改善し(併用薬効果非発現時:p=0.0015、同発現時:p=0.01)、その効果は12ヵ月後も持続していた。PET検査では、治療側に限定的な視床部代謝の減少が確認され、臨床的運動スコアと補足運動野の脳代謝に相関が認められた。以上の結果により、Kaplitt氏は「進行パーキンソン病において、視床下核のAAV-GAD遺伝子治療は安全で良好な認容性を示し、成人脳に対するin vivo遺伝子治療は種々の神経変性疾患に対し安全に施行可能なことが示唆された」と結論した。なお、現在、日本で進められている遺伝子治療(自治医大神経内科・中野今治氏)では、hAADC遺伝子を組み込んだAAV-2ベクターを線条体に注入するとともにL-DOPAを経口投与する方法が採用されている。(菅野 守:医学ライター)

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くすぶり型多発性骨髄腫について3つのリスク層化モデルが報告

これまで、進行や転帰の因子が明らかにされていなかった「くすぶり型多発性骨髄腫」について、新たな知見が報告された。同疾患は形質細胞の増殖異常疾患で自覚症状に乏しく、症候性多発性骨髄腫やアミロイドーシスへの進行リスクが高いとされてきたが、その進行リスクの度合いと診断基準の指標である骨髄形質細胞の割合および血清Mタンパク量との関連が見出され、予後の異なる3つのリスク層化モデルが作成できたことを、Robert A. Kyle氏らメイヨークリニックの研究グループが報告した。詳細はNEJM誌6月21日号に掲載された。276例の全経過を追跡調査この研究は、骨髄腫の国際的な研究グループIMWG(International Myeloma Working Group)が策定した、くすぶり型多発性骨髄腫の診断基準を満たした患者の診療記録を検討したもの。対象は、メイヨークリニックで1970~1995年の26年間に多発性骨髄腫と診断された3,549例のうち、くすぶり型の診断指標である骨髄形質細胞≧10%あるいは血清Mタンパク量≧3g/dLを満たす276例(8%)。診断時の年齢中央値64歳(範囲:26~90歳)、40歳以下8例、男女比62%対38%。診断指標に基づき3つのグループ(下記参照)を作り、骨髄穿刺液と生検検体の調査、および死亡に至る疾患の全過程の経過が調べられた。・グループ1(骨髄形質細胞≧10%、血清Mタンパク量≧3g/dL)・グループ2(≧10%、<3g/dL)・グループ3(<10%、≧3g/dL)骨髄形質細胞割合と血清Mタンパク量が予後に関係追跡調査は累積2131人-年行われ(範囲:0~29、中央値6.1)、そのうち163例(59%)が、症候性多発性骨髄腫(57%)またはアミロイドーシス(2%)を発症していた。疾患の全体的な進行の危険度は、最初の5年が10%/年、次の5年が3%/年、最後の10年が1%/年。進行の累積確率は、5年時51%、10年時66%、15年時73%だった。進行に関与する重大なリスク因子は、血清Mタンパクの量とタイプ、尿中L鎖の存在、骨髄形質細胞の割合、免疫グロブリンの減少にあることが明らかとなった。そして、くすぶり型から症候性への疾患進行リスクの度合いは、グループ1(106例)の進行の累計確率が15年時87%、進行までの時間は2年(中央値)、グループ2(142例)は70%、8年、グループ3(27例)は39%、19年だった。(武藤まき:医療ライター)

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小児期発症の多発性硬化症は緩徐に進行

小児期発症の多発性硬化症(MS)は、成人期発症型よりもゆるやかに進行することが、Christel Renoux氏らKIDMUSの研究グループによって報告された。KIDMUSは、ヨーロッパの多発性硬化症データベース「EDMUS」(European Database for Multiple Sclerosis)の研究プロジェクトの1つ。一般に20~40歳の若年成人期に発症するとされているMSの、16歳以下で発症した患者(0.4~10.5%)の経過や予後を明らかにすることを目的とする。今回研究グループはEDMUSのデータベースを活用し、成人期発症型と比較しての解析を行った。詳細はNEJM誌6月21日号に掲載。EDMUS登録の小児394例と成人1,775例を比較本研究は、EDMUSネットワークに参加しているフランスとベルギーの13の施設の神経科の患者データから、1976年から2001年の間に登録された患者で、16歳以下で発症した患者394例、16歳以後の発症1,775例を対象に、それぞれの初期の臨床像や発症日、再発、二次進行型への転換、不可逆的障害への転帰について調査された。不可逆的障害の判定は、Kurtzkeの機能障害評価尺度を使用。同尺度は1~10段階で、数値が高いほど障害の度合いが高いことを示す。このうち、スコア4(歩行能力に制限はあるが介助なしあるいは休まずに500m以上歩ける)、スコア6(片側から支えてもらっても休まずに100m以上歩けない)、スコア7(壁や家具など身体の支えながら休まずに10m以上歩けない)が用いられた。小児と成人の経過差は10年以上小児期発症MS患者の二次進行型への転換時期は、発症から推定28年、41歳時だった。障害転帰への時期は、スコア4へは発症から20.0年、34.6歳時、スコア6へは28.9年、42.2歳時、スコア7へは37.0年、50.5歳時(いずれも中央値)。また、女性患者の比率が成人型発症MSと比べると高く(男女比1.8対2.8)、初期に再発寛解を繰り返す割合が98%と高いこと(成人期発症型は84%)、二次進行型もしくは不可逆的障害への転換・転帰へ至る期間が成人期発症型より10年以上長くかかっていた。そして転換・転帰時の年齢は両者間で約10歳の開きがあることが明らかとなった(すべての比較でP<0.001)。(武藤まき:医療ライター)

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無煙の嗅ぎタバコへの切り替えが、喫煙による健康被害を集団レベルで抑制

喫煙に起因する死亡者数は、2005年の540万人から2015年には640万人、2030年には830万人に達すると予測されている。Lancet誌は慢性疾患による死亡率を毎年2%ずつ低減させるという大きな目標の実現を呼び掛けているが、その主要原因である喫煙率を抑制するには、世界中が一致団結して努力する必要がある。オーストラリアのクイーンズランド大学のCoral E. Gartner氏らは、紙巻きタバコの害を低下させるとの指摘があるスウェーデン製の無煙の嗅ぎタバコであるスヌース(snus、上唇と歯茎の間に挟んで使用する)に着目、その集団レベルの健康増進効果を評価するための疫学研究を実施した。Lancet誌6月16日号にその結果が報告された。禁煙者とスヌース切り替え者の平均余命はほとんど同じGartner氏は、オーストラリアにおけるスヌースによる集団レベルの健康増進効果を評価するために、多次元生命表(multistate life table)を用いて喫煙未経験者およびスヌースへの切り替えを含む喫煙者の健康調整平均余命について検討した。また、スヌース使用率が異なる喫煙者、元喫煙者、喫煙未経験者が集団レベルの健康被害に及ぼす影響について評価を行った。喫煙未経験者と喫煙者の健康調整平均余命の差は、男性では2.4~5.0年、女性の場合は1.9~4.1年であった。喫煙未経験者と喫煙未経験のスヌース使用者の差は、男性0.2~0.5年、女性0.2~0.3年とわずかであった。同様に、タバコをやめた禁煙者とスヌースに切り替えた喫煙者の健康調整平均余命はほとんど差を認めず、禁煙および切り替えの時期の影響のほうが大きかった。スヌースへの切り替えが集団レベルの健康状態にベネフィットをもたらす紙巻きタバコよりもスヌースの使用量を増やした喫煙者は、本質的な健康の増進効果を実感しているという。Gartner氏は「常習的喫煙者が十分な量のスヌースを使用すれば、集団レベルの健康状態に本質的なベネフィットがもたらされるだろう。現行の制限を緩和すれば、より多くの本質的ベネフィットが生み出されると考えられる」と指摘し、「ベネフィットの大きさは、どれだけの常習的喫煙者がスヌースに切り替えるかにかかっている」と述べている。(菅野 守:医学ライター)

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ロシグリタゾンの心血管リスク増加について「断定はできない」

最近のメタ解析の結果に懸念が示されている2型糖尿病治療薬のロシグリタゾンの心血管系へのリスクについて、RECORD研究グループが中間解析を発表した。心不全に対する有意なリスク増加が認められたものの、今回の解析結果からは、心筋梗塞のリスク増加に関係していると言い切れるだけの十分なデータが得られなかったと報告している。本論文の詳細はNEJMオンライン版6月5日号に掲載された。RECORDの4,447例対象に中間解析ロシグリタゾンの心血管系への影響については、市販後の安全性に関する非劣性試験で、オープンラベルの大規模無作為化試験RECORD(Rosiglitazone Evaluated for Cardiac Outcomes and Regulation of Glycaemia in Diabetes)が現在進行中である。その研究グループが中間解析を行った。解析対象は、メトホルミンあるいはSU剤での血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者4,447例。ロシグリタゾン追加投与群(2,220例)と、メトホルミン+SU剤併用群(対照群:2,227例)に割り付け、主要エンドポイントは、心血管系に起因する入院または死亡である。心不全リスク増加を確認するも心筋梗塞リスク増加断定にはデータ不十分解析は、平均追跡期間3.75年で統計的な検出力を限定して行われた。その結果、ロシグリタゾン群(217例)と対照群(202例)の主要エンドポイントのハザード比は1.08(95%信頼区間0.89-1.31)で、両群に統計学的な有意差は見られなかった。ただ、心不全を呈する患者がロシグリタゾン群に多く存在していたことが確認された(ハザード比2.15;95%信頼区間1.30-3.57)。しかし研究グループは今回の解析からは、ロシグリタゾンが心血管系に起因する入院・死亡リスクに関係しているとは断言できないと結論。死亡増加の要因が心血管系に起因するかどうか、ロシグリタゾンが心筋梗塞のリスク増加と関係していたか断定するだけのデータは得られなかったと述べている。(武藤まき:医療ライター)

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テロや紛争起因のPTSDに認知療法は効果的

テロや紛争に起因するPTSD症状に悩まされる人々に対し、認知療法が有効であるとの報告が、英国ウルスター大学Michael Duffy氏らの研究グループによって寄せられた。宗教対立から長年にわたり無差別テロなどが日常化してきた北アイルランドで行われた無作為化臨床試験で、認知療法を行った患者群に大幅な改善が見られた結果を受けての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。北アイルランドのNICTT基点に行われた無作為化臨床試験テロに起因する精神的外傷(トラウマ)に対する効果的な治療法はほとんど報告されていない。Duffy氏らは、テロや紛争を背景要因とするPTSD症状に苦しむ住民の多い北アイルランドで、PTSDに対する認知療法の有効性を無作為化臨床試験で検証した。対象者は、PTSDに苦しむ人々に、認知療法のプログラムを提供することを目的に設立されたNICTT(The Northern Ireland Centre for Trauma and Transformation)に紹介されてきた患者の中から、主としてテロや紛争に起因する慢性PTSDの患者58人(中央値5.2年、3ヵ月から32年)を選定し、ただちに認知療法を行う群と12週待ちの待機群に振り分けた。治療群には平均5.9セッション、必要に応じてさらに2セッションの治療プログラムが行われた。患者スコア、エフェクトサイズとも大幅改善示す主要評価項目はPTSDスケールおよびベック抑うつ評価尺度を用い、副次評価項目にSDS(Sheehan disability scale)の労働・社会生活面(労働障害、社会生活障害、家庭生活障害)を用いてスコアを判定。12週間後に行った判定では、治療群と待機群では、PTSDスコアでは平均差9.6(95%信頼区間3.6-15.6)、ベック抑うつ評価尺度では同10.1(同4.8-15.3)、自己申告による労働・社会生活面への影響については同1.3(同0.3-2.5)といずれも大幅な改善が認められた。また、治療前後のエフェクトサイズについても、PTSD1.25、抑うつ1.05、労働・社会生活面1.17と、あらかじめ設定した「large」(0.8以上)に該当する変化が見られた。対照群にはまったく変化が見られなかったこと、さらに追跡調査の結果などとも合わせて、認知療法はテロや紛争に起因するPTSDに効果的な治療法であると結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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