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小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は?

 米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRobert L. Findling氏らは、小児の双極I型障害に対するアリピプラゾール長期投与の有効性と安全性を検討する、30週間の無作為化プラセボ対照試験を行った。その結果、アリピプラゾール10mg/日群、30mg/日群ともプラセボ群に比べ優れた有効性を示し、忍容性も良好であることを報告した。Bipolar Disorders誌2013年3月15日号の掲載報告。 試験は、10~17歳の双極I型障害(躁症状または混合型症状)患者296例(精神障害の有無は問わない)を対象とした。4週間の急性期治療完了後、二重盲検期に移行し、26週間の治療を行った。主要アウトカムは、ヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale:YMRS)による総スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。 ・26週間の延長試験に登録された210例のうち、試験を完了した者は32.4%であった(アリピプラゾール10mg/日群:45.3%、アリピプラゾール30mg/日群:31.0%、プラセボ群:18.8%)。試験完了率はいずれの群も低かった。・プロトコールで規定されていた最終観察日を評価に繰り込んだ解析において、アリピプラゾール10mg/日群、30mg/日群とも、プラセボ群に比べてYMRS総スコアの有意な改善が認められた(p<0.001)。しかし、30週時点におけるObserved case (OC)解析や混合モデル反復測定 (MMRM) 法による解析では同様の結果は得られなかった。・あらゆる原因による試験中止までの期間は、アリピプラゾール10mg/日群15.6週、アリピプラゾール30mg/日群9.5週、プラセボ群5.3週であった(アリピプラゾール両群のプラセボに対するp値はいずれもp<0.05)。・すべての解析で、アリピプラゾール10mg/日群、30mg/日群はプラセボ群に比べ、エンドポイントにおける奏効率、小児用包括的評価尺度(Global Assessment of Functioning)および臨床的全般改善度-双極性障害用(Clinical Global Impressions-Bipolar)による重症度、躁症状スコアにおいて有意に優れていた。・報告の多かった有害事象は、頭痛、眠気、錐体外路障害であった。・本検討では試験完了率がいずれの群も低かった点に留意が必要である。関連医療ニュース ・アリピプラゾールvsその他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー ・難治性双極性障害患者への併用療法は? ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(69)〕 慢性心不全と貧血を考える際のlandmark studyとなるか?!

慢性心不全の定義は研究者により異なるが、「慢性心疾患のため心臓のポンプ機能が低下し、結果として容易にうっ血性心不全状態に陥ったり重症不整脈の発生がみられる予後不良の状態」というコアな部分においては異論がないと思われる。 心血管系の第一の役割は諸臓器に酸素を送り届けることである。したがって、その運搬媒体であるヘモグロビンの不足(=貧血)の存在は、脆弱化した循環系に対して慢性的に過運動を強いるものであり、予後不良因子になると推測されたのは一見自然なことであったように思われるであろう。 ところが、実際にはこの問題については専門家の間でも意見が長く分かれ、Groenveldらがメタアナリシスにより貧血が慢性心不全患者の予後不良を予測する因子であることを示すには2008年を待たねばならなかった(Groenveld HF et al. J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 818-827.)。彼らは1966~2007年に発表された34試験、15万3,180例を分析することにより、収縮不全型、拡張不全型いずれの慢性心不全においても、貧血が予後不良の予測因子であることを明らかにした。 しかし彼らは、貧血の治療が慢性心不全の予後改善に結びつくか否かについては慎重に発言を控えた。その時RED-HF試験、つまり本試験が進行中であり、その結果が発表されることで、結論が出されるだろうと考えたからだった。一般的に、ある因子を予後規定因子と断定するには、その因子を持っていると予後が悪いということを示すだけでは不十分で、その因子を改善もしくは除去することにより予後の改善が得られることを証明する必要があるからである。 本試験は、収縮不全型の慢性心不全を対象として、第2世代の持続型赤血球造血刺激因子製剤であるダルベポエチンアルファを用いてHbレベルを上げることにより、その予後を改善できるかどうかを検討したものである。以下に整理しておくと、1) 対象 NYHAII~IVの症状を有し、LVEF≦40%であり、血中Hbレベルが9.0~12.0g/dLの収縮障害型の慢性心不全患者でガイドラインに準じた適正な治療を受けている2,278例。2) 除外基準 ・鉄欠乏性貧血 ・クレアチニン3mg/dL以上の中等症・重症腎不全患者 ・160/100 mmHg以上の高血圧を有する患者3) 方法 患者を無作為二重盲検的に2グループに分け、1,136例に対してはダルベポエチンアルファを投与し、Hbレベルを13.0g/dLまで上げる。残り1,142例に対しては偽薬を投与する。4) 観察期間 2006年6月~2012年5月5) エンドポイント 一次エンドポイント:全死亡(原因を問わない)・心不全悪化による入院の複合 二次エンドポイント:心血管系による死亡・心不全悪化による初回入院の複合6) 結果 ・一次エンドポイント、二次エンドポイントともに差がみられなかった ・ダルベポエチンアルファ投与群で血栓性のイベントが有意に多かった 以上より著者らは、(1) 慢性心不全患者に頻繁にみられる軽症~中等症の貧血の改善は慢性心不全の予後を改善しない(2) 持続型赤血球造血刺激因子製剤により貧血の改善をはかることは、かえって血栓性イベントを増加させる危険がある(3) 慢性心不全患者に見られる軽症~中等症の貧血は慢性心不全の予後を予測できるという意味からはsurrogate markerではあるが、true risk factorではないと結論した。 本研究は統計的に周到にデザインされ、かつ現段階における倫理問題の制約もないため、偽薬との完全二重盲検試験が実施されたもので、そのデータは大変説得力のあるものになっている。読者の皆さんは日常の臨床の感覚と照らし合わせて、どのように感じられただろうか。 筆者は本研究を、慢性心不全と貧血を考える際の重要な研究として位置づけられるものであると考え、将来landmark studyとして振り返られる試験となるのではないかと予想する。

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認知症、アルツハイマー型とレビー小体型の見分け方:金沢大学

 アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の鑑別には、交感神経皮膚反応(sympathetic skin response:SSR)と心拍変動率(HRV)の測定が有用である可能性が、金沢大学保健管理センターの根上昌子氏らによる検討の結果より示された。BMJ Open 2013年3月1日号の掲載報告。 本検討は金沢西病院単施設にて、NINCDS-ADRDA診断基準でADがほぼ確実(probable AD)と診断された患者20例(男女各10例、平均年齢78.5歳)と、第3回国際DLBワークショップの診断基準でDLBがほぼ確実と診断された患者20例(男女各10例、78.7歳)を対象に、単施設にて行われた診断テスト研究である。SSRは、表面電極を手掌と手背に配置して、20mAでの正中神経電気刺激による波形を測定し評価を行った。HRVは、5分安静後に座位にて5分間隔で2分間の測定を2回行い、最大エントロピー法にて低周波(LF:0.02~0.15Hz)、高周波(HF:0.15~0.50Hz)、LF/HFを割り出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・DLB患者の自律神経機能の異常を検出する感度は、SSRは85%、HRVは90%であった。特異度はいずれも85%であった。・一方、AD患者については、検出の感度はSSRは15%、HRVは25%であった(p<0.05)。・SSRとHRVのいずれの評価でも異常が検出された被験者(ダブルポジティブ)は、DLB患者では15/20例(75%)であった。・一方、AD患者では1/20例(5%)であった。・検査による有害事象は、いずれの測定においてもみられなかった。■関連記事抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か?ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?認知症患者の興奮症状に対し、抗精神病薬をどう使う?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(68)〕 慢性疾患の遠隔医療におけるテレシステムの優越性を示せず(英国)

慢性疾患に罹患した高齢者が増えているのはわが国ばかりでなく、欧州でも同じである。高齢者をできる限り在宅で自立して生活できるよう支援することが、医療経済の大きなテーマとなっている。欧州は遠隔医療に関して長い歴史を有するが、なかでもドイツや英国は、伝送システムやロボットシステムによる在宅管理に先進的に取り組んでいる。しかし、これらの遠隔医療が本当に患者の生活の質の改善や入院の抑制、医療経済の改善に役立っているのかどうかに関しては、確かな指標に乏しい。 本論文は、英国のWholeSystems Demonstrator (WSD)というプログラムを先行して実施し、慢性呼吸器疾患、糖尿病、心不全などを有している高齢者を、自宅のセンサーによって専門病院がモニタリングすることで、自立支援を促している。今回の研究はそのWSD評価チームによって行われた集団(nested)疫学研究で、伝送システムを用いたことによるQOLや自立などの12ヵ月間における変化を、開業医による通常ケアと比較した成績である。 その結果は、電送システムによる介入は、通常ケアとの間にQOLや精神的自立において有意差を見いだせなかったという結論である。しかし、質問表への回答を拒んだ症例も多く、limitationを含んだ結果であることから、今後電送システム自体の改良も含めて改善することで、その成果は上がると思われる。 英国の通常ケアとは、患者が直接専門病院を受診することはなく、まずかかりつけ医の開業医が診察して、その病態によって病院に紹介するという、根本的にわが国とは違ったシステムである。

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ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

 統合失調症患者では一般集団と比べて喫煙率が高く、喫煙関連の疾患の罹病率や死亡率が高い。一方で、喫煙率を低下させるために、どのような介入が効果的であるかは不明なままである。英国・Nottinghamshire Healthcare NHS TrustのDaniel T. Tsoi氏らによるシステマティックレビューの結果、ブプロピオンが精神状態への影響を及ぼすことなく禁煙達成率を高められることが示された。また、バレニクリンも禁煙達成率の改善が期待できるが、精神状態への有害な影響が除外できず、また、禁煙したら報酬を与えるといった強化随伴性(contingent reinforcement:CR)の介入は、短期的効果が期待できそうであった。その他にはエビデンスが確かな効果的な介入は見いだせなかったと報告している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFO(いずれもサービス開始から2012年10月まで)とCochrane Tobacco Addiction Group Specialized Register(2012年11月)にて、禁煙または減煙に関する無作為化試験を検索した。統合失調症または統合失調感情障害を呈する成人患者について、あらゆる薬物・非薬物治療とプラセボまたはその他の治療を比較した試験を適格とし、2人の独立レビュワーが試験の適格性と質を評価してデータ抽出を行った。解析の評価項目は、禁煙達成(禁煙)、総喫煙量の減少(減煙)、あらゆる精神状態の変化とした。禁煙、減煙については、治療終了時と介入終了後6ヵ月時点のデータを抽出した。また同定義については最も厳格なものを用い、入手したデータは生化学的検証を行った。有害事象についてはあらゆる報告に注意を払い、また必要に応じてランダムエフェクトモデルも用いられた。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、34試験(禁煙試験16件、減煙試験9件、再喫煙予防試験1件、喫煙についてのアウトカムが報告されていた他の目的での試験8件)が組み込まれた。・ブプロピオンとプラセボを比較した試験(7件)のメタ解析の結果、ブプロピオン治療後の禁煙率がプラセボより有意に高かった。 治療終了時の評価(7試験・340例) リスク比(RR):3.03、95%CI:1.69~5.42 6ヵ月後の評価(5試験・214例) RR:2.78、95%CI:1.02~7.58・また両群間に、陽性・陰性症状また抑うつ症状について有意差はみられなかった。・ブプロピオン群において、てんかん発作のような重大な副作用の報告はなかった。・バレニクリンもプラセボと比較して、治療後の喫煙率が有意に高かった。 治療終了時の評価(2試験・137例) RR:4.74、95%CI:1.34~16.71 6ヵ月後の評価(1試験のみで128例、CIもエビデンスに乏しい) RR:5.06、95%CI:0.67~38.24・精神症状に関してバレニクリン群とプラセボ群には、有意な差はみられなかったが、バレニクリン群の2人で希死念慮と自殺関連行動がみられた。・金銭(money)の強化随伴性(CR)を検討していた試験(2件)の解析の結果、禁煙率の上昇と喫煙量の低下の可能性があったが、これが長期に持続するかどうかは不明であった。・統合失調症患者に対する、その他の薬物治療(ニコチン補充療法など)や、禁煙・減煙支援のための心理社会的な介入の試験はほとんどなく、有用性についてのエビデンスは得られなかった。■「ブプロピオン」関連記事禁煙補助薬として抗うつ薬は有用なのか

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2012年度10大ニュース~心房細動編~ 第2位

解説者のブログのご紹介『心房細動な日々』国内海外国内2位 第2、第3の新規経口抗凝固薬の発売~プライマリ・ケアへのさらなる普及はなるか2011年のダビガトラン(商品名:プラザキサ)に続き、新規抗凝固薬として2012年5月にリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)が上市されました。同薬は初のXa因子阻害薬であり、1日1回投与である点、日本独自の臨床試験を経て他国にはない用量設定がなされている点、代謝や半減期の点などで先行のダビガトランとの間に性格の違いがあります。また12月には第3の新規抗凝固薬アピキサバン(商品名:エリキュース)が製造承認されました。同薬もXa因子阻害薬であり、腎排泄率が低い点やARISTOTLE試験での優れた成績などが特徴です。このように抗凝固薬は、さらに選択肢が広がってきたわけですが、反面、使い分けをどうするか、それぞれの薬剤でのモニタリングや使用上の注意点、出血リスクへの対処法など習熟すべき知識は増える一方です。プライマリ・ケアの現場では、いまだに腎機能等の評価なく漫然と新規抗凝固薬が投与されているケースがあるように思われます。選択肢が増えるにつれ、ますます使うべきケース、使ってはならないケースなどに関する知識の共有が不可欠になると思われます。海外2位 心房細動の早期診断ツールの開発が進む~unmet needsに答えられるか?抗凝固薬の重要性はうるさいほど喧伝されていますが、一方、心房細動には無症候性のものが10~25%も存在すると言われており、その中にはCHADS2スコアの高い人も含まれているはずです。また、脳卒中の4分の1は原因のわからない、いわゆる“cryptogenic”strokeであり、その多くは事前に診断されていない心房細動からの心原性脳塞栓と推測されます。よって、抗凝固療法早期開始、そして心原性脳塞栓の発症抑制につなげるための無症候性心房細動の早期診断の必要性から、いくつかの診断ツールに関するエビデンスが、今年度次々に出されました。ひとつめは、30日程度装着し、イベント発生時にのみ記録されるイベントトリガー型のホルター心電計です。今年の国際脳卒中学会でEMBRACE試験の結果が公表され、通常のホルター心電図に比べて検出率が高いことが報告されました。2つ目は、日本の現場でも頻用されている携帯型心電計です。症状のないときでも1日2回、30日程度記録し続けることの有用性が示されました。3つ目はカテーテルアブレーション後の再発同定などに使われる植込み型のループレコーダーです。皮下植込み型で侵襲を伴いますが、検出率は非常に高いです。これらのツールを使わずとも、プライマリ・ケア医として強力な武器があります。そう、「脈を取る」ことです。前述したようにESCガイドラインでもその重要性が改めて強調されています。さて、そうして苦労して無症候性心房細動を見つけたとき、最後に残った問題は、まったく症状のない患者さんと抗凝固療法の合意をどう形成するかという難題です。今後このようなツールが開発されればされるほど、コミュニケーションの重要性が増していきます。1)Prevalence of unknown atrial fibrillation in patients with risk factors. Europace (2012)doi: 10.1093/europace/eus366

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心筋線維化、拡張型心筋症の新たな予後因子に/JAMA

 非虚血性拡張型心筋症患者の新たな独立の予後因子として、心筋線維化が有用である可能性が、英国・王立ブロンプトン病院のAnkur Gulati氏らの検討で示された。左室駆出率(LVEF)と組み合わせれば、さらに強力な予後予測能が得られることも示唆された。非虚血性拡張型心筋症のリスク分類は主にLVEFに基づいて行われるが、よりよい予後因子が同定されれば、植込み型除細動器(ICD)などが適応となる患者の選定に役立つ可能性があるという。JAMA誌2013年3月6月号掲載の報告。心筋線維化の予後予測能を縦断的研究で前向きに検討 研究グループは、非虚血性拡張型心筋症患者における死亡および心臓突然死(SCD)の独立予後因子として、心筋線維化について評価するプロスペクティブな縦断的研究を実施した。 2000年11月~2008年12月までに、ロンドン市の王立ブロンプトン病院に紹介された拡張型心筋症患者を対象とし、2011年12月までフォローアップを行った。ガドリニウム増強遅延造影(LGE)心血管核磁気共鳴(CMR)画像を用いて、左室心筋中層の置換性線維形成の評価を行った。1次エンドポイントは全死因死亡とした。線維化をともなう患者で死亡リスクが約3倍に 登録された472例のうち、心筋線維化を有する患者が142例(平均年齢50.9歳、男性77.5%)、線維化がみられない患者は330例(同:51.2歳、64.9%)であった。 フォローアップ期間中央値5.3年(2,557人年)における全死因死亡率は、線維化群が26.8%(38例)と、非線維化群の10.6%(35例)に比べ有意に高かった[ハザード比(HR):2.96、95%信頼区間(CI):1.87~4.69、絶対リスク差:16.2%、95%CI:8.2~24.2、p<0.001]。 不整脈関連の複合エンドポイント[SCD、SCD回避症状(ICD、非致死的心室細動、持続性心室頻拍)]の発現率も、線維化群の29.6%(42例)に対し非線維化群は7.0%(23例)と有意な差がみられた(HR:5.24、95%CI:3.15~8.72、絶対リスク差:22.6%、95%CI:14.6~30.6、p<0.001)。 LVEFなど従来の予後因子で調整すると、線維化の存在(HR:2.43、95%CI:1.50~3.92、p<0.001)および線維化の程度(HR:1.11、95%CI:1.06~1.16、p<0.001)はいずれも全死因死亡との独立の関連が認められた。ほかにも、心筋線維化は心血管死/心臓移植、SCD/SCD回避症状、心不全関連の複合エンドポイント(心不全による死亡、入院、心臓移植)との独立の関連を示した。 予後因子としてLVEFに心筋線維化を加えると、純再分類改善度(NRI)で評価した全死因死亡(NRI:0.26、95%CI:0.11~0.41、p=0.001)およびSCD関連の複合エンドポイント(同:0.29、95%CI:0.11~0.48、p=0.002)のリスク再分類が有意に改善した。 著者は、「非虚血性拡張型心筋症患者におけるLGE-CMR画像による左室心筋中層の線維化の評価は、LVEFだけでは得られない独立の予後情報をもたらした」と結論し、「拡張型心筋症のリスク分類におけるLGE-CMR画像の役割についてはさらなる検討を要する」としている。

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ER陽性乳がんへのタモキシフェン10年延長投与、再発・死亡リスクをさらに低下/Lancet

 エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん患者に対するタモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)補助療法について、10年間の長期投与が標準療法とされる5年投与と比べて、再発および死亡のリスクをさらに有意に低下することが、英国・オックスフォード大学のChristina Davies氏らによる「ATLAS試験」の結果、明らかにされた。これまでの検討で、診断後15年以内の同患者は、5年間のタモキシフェン補助療法によって、乳がん死のリスクが大幅に低下することが明らかになっていた。Lancet誌2013年3月9日号(オンライン版2012年12月5日号)掲載の報告。5年補助療法完了患者を10年延長投与と終了群に無作為化し追跡 ATLAS(Adjuvant Tamoxifen:Longer Against Shorter)試験は、早期乳がんへのタモキシフェン補助療法を10年まで延長した場合の、さらなる効果を評価することを目的とした無作為化試験であった。5年の補助療法を完了した1万2,894例を、10年間まで延長する群と、5年で終了する群(オープン対照群)に、コンピュータによって1対1に無作為に割り付け追跡した。被験者(1996~2005年の間に登録)は毎年、再発、二次性がんの発症、入院、死亡について追跡を受けた。 本報告では、ER陽性乳がんであった6,846例における乳がんアウトカムへの延長治療の効果と、ERタイプを問わない(陽性、陰性、不明含む)全被験者の副作用に関する解析の結果が発表された。効果は10年目以降のほうが大きい ER陽性乳がん患者6,846例において、延長投与群(3,428例)のほうが5年終了群(3,418例)よりも有意に乳がん再発のリスクが低かった(617例vs. 711例、p=0.002)。また乳がん死のリスク(331例vs. 397例、p=0.01)、全死亡(639例vs. 722例、p=0.01)も有意に低下した。 乳がんの有害アウトカムの抑制効果は、10年目以降のほうが大きい傾向がみられた。すなわち、再発リスク(RR)は5~9年は0.90であったが、10年目以降は0.75であり、また乳がん死の5~9年のRRは0.97に対し、10年目以降は0.71であった。 5~14年間の累積再発率は、延長投与群21.4%であったのに対し、5年終了群は25.1%であった。また同乳がん死は12.2%、15.0%、絶対差は2.8%であった。 一方、ER陰性乳がん患者(1,248例)、ER不明乳がん患者(4,800例)の解析においては、延長投与群と5年終了群の乳がんアウトカムに関する差はみられなかった。 全被験者1万2,894例における解析では、乳がんの再発がなく乳がん以外を原因とする死亡への影響については、治療の延長による効果はみられなかった[RR:0.99、95%信頼区間(CI):0.89~1.10、p=0.84]。 疾患別にみた入院または死亡のリスク(RR)は次のとおりであった。肺塞栓症:1.87(p=0.01、両群死亡率0.2%)、脳卒中:1.06(p=0.63)、虚血性心疾患:0.76(p=0.02)、子宮がん:1.74(p=0.0002)。 5~14年の子宮がんの累積リスクは、延長投与群3.1%(死亡率0.4%)に対し、5年終了群は1.6%(同0.2%)であった(死亡率の絶対差0.2%)。 以上の結果を踏まえて著者は、「ER陽性乳がん患者へのタモキシフェン補助療法の10年間への延長投与は、5年で終了するよりもさらなる再発と死亡の低下をもたらすことが示された。この結果は、以前のタモキシフェン5年間投与と非投与を検討した試験の結果と合わせて、10年間のタモキシフェン補助療法は、診断後20年間の乳がん死亡を約半減する可能性があることを示唆するものである」と結論した。

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小型の腹部大動脈瘤、至適な超音波検査の間隔とは?/JAMA

 瘤の直径が3.0~5.4cmの小さな腹部大動脈瘤(AAA)の破裂の予防に要する超音波検査は数年に一度で十分である可能性が、英国・ケンブリッジ大学のSimon G Thompson氏らRESCAN Collaboratorsの検討で示された。AAAは破裂後の生存率が20%と低く、通常は破裂するまで無症状である。欧米では、瘤径<5.5cmのAAAは破裂のリスクが手術に伴うリスクよりも低く、多くは成長も遅いため超音波による監視検査が行われるが、破裂前の瘤の増大を検出する適切な検査間隔についてはコンセンサスが得られていないという。JAMA誌2013年2月27日号掲載の報告。至適な超音波検査間隔をメタ解析で評価 研究グループは、AAAの破裂や瘤径の過剰な増大のリスクを抑制する至適な超音波検査間隔の評価を目的とするメタ解析を行った。 解析には、小型AAAの瘤径増大や破裂に関する試験に参加した個々の患者のデータを用いた。試験は、データベースを用いて2010年12月までに発表された文献を系統的に検索することで抽出した。 各試験の論文著者と連絡を取り、18試験のデータセットを得た。これらの試験に参加した合計1万5,471人(男性1万3,728人、女性1,743人)について解析を行った。瘤径3.0cmなら8.5年に一度の検査で、破裂リスクが1%未満に AAAの瘤径増加は試験によってばらつきがみられた。男性では、ベースライン時の瘤径3.0cmのAAAは年間平均1.28mm増大し、5.0cmのAAAは年間平均3.61mm増大した。瘤径が0.5cm増加するには、年間平均で0.59mmの増大を要した。女性では瘤径3.0cmのAAAは年間平均1.46mm増大し、5.0mmのAAAは3.62mm増大した。 破裂率にも試験によるばらつきがみられた。AAAの破裂率は全般に低く、男性は1万1,262人中178人、女性は1,314人中50人であった。また、男性におけるベースライン時の瘤径3.0cmのAAAの破裂率は、1,000人年当たり0.5、5.0cmのAAAは6.4であったのに対し、女性はそれぞれ2.2、29.7と4倍以上に達した。男性ではAAAが0.5cm増加する毎に破裂率は1.91倍に増大した。 男性の場合、瘤径が5.5cm以上になるリスクを10%未満に抑制するのに要する検査の間隔は、3.0cmのAAAで7.4年、5.0cmのAAAでは8ヵ月であった。破裂リスクを1%未満に抑えるのに要する検査間隔は、それぞれ8.5年、17ヵ月だった。 著者は、「現行のAAAのスクリーニングプログラムで一般的に採用されている検査間隔とは異なり、小さなAAA患者の大多数では、数年間隔での検査が臨床的に許容可能と考えられる」と結論づけている。

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腰痛患者の椎体骨折スクリーニングで“レッドフラッグ”の診断精度は低い

 各国の腰痛診療ガイドラインでは、椎体骨折など追加検査や特別な治療を要する病変を有している可能性が高い患者を特定するため“レッドフラッグ”の使用を勧告している。しかし、オーストラリア・シドニー大学のChristopher M Williams氏らによるシステマティックレビューの結果、ほとんどのレッドフラッグが椎体骨折のスクリーニングには役に立たないことが明らかとなった。レッドフラッグを複数組み合わせた場合は有用性が改善する可能性はあるものの、多くは偽陽性率が高く、レッドフラッグに基づいた腰痛の診療は医療費と治療成績に影響するだろうとまとめている。Cochrane database of systematic reviews 2013年1月31日掲載の報告。 腰痛患者における椎体骨折のスクリーニングに関する“レッドフラッグ”の診断精度を評価することを目的とした。 電子データベースから主要な研究論文ならびに被引用・引用論文を検索し(最も初期から2012年3月7日まで)、腰痛患者の既往歴や検査結果を参照基準(画像診断)の結果と比較した研究を2名のレビュアーが別々に選択した。 3名のレビュアーがそれぞれ、11項目からなる診断精度研究の質評価(QUADAS)ツールを用いてバイアスリスクを評価するとともに、研究デザインの特性、患者、指標検査および参照基準に関するデータを抽出して各検査に関する尤度比を算出し、臨床的有用性の指標とした。 主な結果は以下のとおり。・8件の研究(プライマリ・ケア4件、二次医療1件、三次医療[救命救急]3件)がレビューに組み込まれた。・バイアスリスクは中等度で、指標検査と参照基準の報告は不良であった。・椎体骨折の有病率は、プライマリ・ケアで0.7~4.5%、3次医療で6.5~11%であった。・指標検査は29種あったが、2件以上の研究で採用されたのは2種だけであった。・陽性尤度比が得られた“レッドフラッグ”は、プライマリ・ケアでは3項目あったものの大部分は不正確であった(著しい外傷、年齢[高齢]、ステロイド使用:尤度比推定値範囲はそれぞれ3.42~12.85、3.69~9.39、3.97~48.50)。一方、3次医療では1項目であった(挫傷/擦過傷:尤度比推定値31.09、95%CI:18.25~52.96)。・複数の“レッドフラッグ”の組み合わせは、陽性尤度比が大きく単独より有用と思われた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケース解説

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5つの重大精神疾患に共通する遺伝的リスク因子を特定/Lancet

ゲノムワイド関連解析の結果、5つの重大な精神疾患自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害、双極性感情障害、大うつ病性障害、統合失調症]に共通する遺伝的なリスク因子を特定したことを、米国・マサチューセッツ総合病院のJordan W Smoller氏ら精神科ゲノム協会(Psychiatric Genomics Consortium:PGC)のCross-Disorder Groupが報告した。精神疾患の発症メカニズムは大部分が明らかになっておらず、そのため鑑別を困難なものとしている。一方で発症に関して遺伝的なリスク因子が重視され、遺伝的な重複の評価などが行われるようになり、家族研究や双子の先行研究において精神疾患間で共通する遺伝子の存在などが報告されていた。Lancet誌オンライン版2013年2月27日号掲載報告より。ヨーロッパ人3万3,332例のSNPデータをゲノムメタ解析 PGCは2007年に、19ヵ国の上記5つの疾患のデータを集約してゲノムメタ解析を行うことを目的に立ち上げられた。本検討では、これまでに統合失調症と双極性障害、双極性障害と大うつ病などの疾患間で報告されていた遺伝的な重複について、5つの疾患間でゲノムメタ解析を行った場合に、遺伝的に共通する特異的な異型が認められるかを目的とした。 解析は、ヨーロッパ人3万3,332例の5つの疾患に関するSNPデータと、対照群2万7,888例のデータについて行われた。カルシウムチャネル活性遺伝子の変異が多様性に影響か 主要解析の結果、5つの疾患間で重複するSNPの4つの領域が特定された(p

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ポンペ病〔Pompe Disease〕

1 疾患概要■ 定義ポンペ病(OMIM232300)は糖原病II型(GSD-II)であり、1932年ポンペにより報告された。ポンペ病はライソゾームに局在する酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の酵素欠損によりライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積する。■ 疫学遺伝形式として、常染色体劣性遺伝形式をとり、頻度は約4万人に1人といわれている。■ 病因ポンペ病では酸性α-グルコシダーゼの酵素欠損により、ほぼすべての臓器にグリコーゲンが蓄積する。肝臓、筋肉、心臓、消化器系の平滑筋、膀胱、腎臓、脾臓、血管、シュワン細胞などの細胞、組織に蓄積する。内耳の絨毛にも蓄積するために難聴も呈する。肥大型心筋症は、乳児型のポンペ病では特徴的な症状である。骨格筋の組織変化は、筋の種類、部位によりさまざまで、グリコーゲンの蓄積の程度、障害度は異なる。病初期は小さい空胞が認められ、徐々にリポフスチン、ミトコンドリア膜などが大量に蓄積し、オートファゴゾームが形成される。とくにfast-twitch type 2線維に多くみられる。組織の線維化に伴い、年齢と共に二次的な組織変化を認め、酵素治療しても不可逆的変化を来す。オートファゴゾーム内にグリコーゲンが大量に蓄積している。■ 症状ポンペ病の発症は、患者により異なり、0~60代までいずれの年齢にも発症する。臨床的には(1)乳児型、(2)遅発型(小児型、成人型)に分類される(表1)。画像を拡大する1)乳児型通常、患児は生後1.6~2ヵ月で哺乳力の低下、発育障害、呼吸障害、筋力低下などの症状を呈し、発症する。平均診断年齢は生後4~5ヵ月である(図1)。心肥大が病初期より著明であり(図2)、心エコー上心筋の肥大、心電図ではhigh voltage、short P-R intervalなどを呈する。年齢とともに運動発達の遅れが著明となり、頸定も難しく、寝返り、座位もできない。腱反射の低下、舌が大きく、肝臓も中等度に腫大している。酵素補充療法を施行しないと、通常は平均6~8.7ヵ月で死亡する。1歳を超えて生存する患者は少ない。画像を拡大する画像を拡大する2)遅発型患者の発症年齢は残存酵素活性により異なる。生後1歳頃から62歳まで報告されている。筋力低下、歩行障害、朝の頭痛、特徴的な上ずった言葉、顔面筋の萎縮、呼吸障害、ガワーズ徴候などが比較的初期症状である(図3)。主に骨格筋、呼吸筋、舌筋、横隔膜筋、四肢の筋がさまざまな程度で障害を受ける。心筋を障害するタイプは、小児型といわれる非定形型のタイプで障害する。患者は徐々に呼吸障害、構音障害、歩行障害が強くなり、人工呼吸器の装着、車いす状態となり、最後は呼吸障害、気胸、肺炎などを合併して死亡する。通常、発症年齢は27~36歳、診断年齢は34~41歳、人工呼吸器使用年齢は37~47歳、車いす使用年齢は平均41歳である。画像を拡大する■ 分類臨床的には、前述のように乳児型と遅発型(小児型、成人型)に分類される(表1)。■ 予後とくに乳児型では心筋、ならびに骨格筋など全身の組織に蓄積することにより、心肥大、筋力低下を来し、通常心不全を呈し2歳までには死亡する。遅発型では筋力低下に伴う歩行障害から呼吸筋麻痺を来し、人工呼吸器をつける状態で肺炎、気胸などを合併し、死亡する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断としては、1)臨床的診断、2)病理学的診断、3)生化学的診断(酵素活性、バイオマーカーなど)、4)遺伝子診断などがある。1)臨床的診断(表2)特徴的な臨床症状のほか、乳児型では心電図、心エコー、血清CPKの高値を認める。遅発型でも筋力低下、血清CPK、アルドラーゼの高値を認める。心電図ではPR間隔の短縮、QRSの高電位などがみられる。筋CT、MRIは筋の萎縮、変性を評価するのに重要である。小児型、成人型では椎骨脳底動脈領域に動脈瘤を形成しやすい。画像を拡大する2)病理学的診断ポンペ病の病理学的診断は生検筋でのライソゾーム内でのグリコーゲンの蓄積に伴う空胞化で特徴づけられる。成人型ではあまり組織変化が顕著でない症例もある。乳児型では筋線維が大小不同、筋線維の崩壊、オートファジーの形成、ライソゾーム内に著明なグリコーゲンの蓄積、PAS陽性物質の蓄積が認められる。成人型でも軽度であるが、PAS陽性、酸性ホスファターゼ染色陽性である。電顕所見ではライソゾームが巨大化し、ミエリン様封入体の蓄積もみられる。筋原線維の断裂なども著明である。3)生化学的検査(1)酵素活性の測定酸性α-グルコシダーゼの活性は、人工基質である蛍光基質4- methylumbelliferone誘導体を用いて、患者乾燥濾紙血、あるいはリンパ球、皮膚線維芽細胞で測定して著明に低下する。確定診断として、リンパ球、皮膚線維芽細胞で測定する。患者の診断は比較的、酵素診断で可能であるが、正常者の中にはpseudodeficiencyもおり、正常値の20~40%の酵素活性を示す。日本人の頻度は多く、約50人に1人といわれ、遺伝子診断により患者と鑑別する。保因者は約50%の活性であり、pseudodeficiencyとの鑑別も重要である。出生前診断も可能である。(2)尿中のバイオマーカーの測定ポンペ病患者の尿では、オリゴサッカライドが排泄され、4糖を液体クロマトグラフィー、あるいはタンデムマスで測定する。4)遺伝子診断酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子は染色体の17q25.2-q25.3に局在する。GAA遺伝子は28kbでエクソンは20存在する。現在まで200以上の遺伝子変異が報告されている。最も多い変異は、乳児型あるいは成人型の一部でみられるc-32-13T>Gの遺伝子変異であり、欧米患者では約75%を占める。C1935C>Aは台湾に多く、cdel.525,delexon18変異はオランダなどのヨーローッパ諸国に多い。日本人ではc.1585_1589TC>GT、c1798C>Tが多くみられる変異として報告されている。pseudodeficiencyの遺伝子型としてはc1726G>A(p.G576S)、c2065 G>A (pE689K)が知られている。酵素活性は正常の20~40%程度を示す。頻度としては両者とも正常人の3~4%の頻度で見い出されている。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)最近、遺伝子工学により作成されたヒト型酵素アルグルコシダーゼα(商品名:マイオザイム)の酵素補充療法について、早期の治療による臨床症状の改善が報告されている。また、早期診断・治療のために新生児マス・スクリーニングの有用性が報告されている。ポンペ病の治療は、大きく分類して下記のような治療が挙げられる。1)対症療法●乳児型(1)心不全に対しての治療心筋の肥大、横隔膜の挙上などは呼吸障害の要因にもなる。心不全に対する強心薬、利尿薬などの投与、脱水に対する補液が必要。胸部X線、心エコーで病状をフォローする。(2)呼吸管理肺炎、細菌感染など起こしやすい。抗菌薬(マクロライド系)の投与、去痰薬の投与、排痰補助装置などのほか、必要に応じて酸素投与を行う。末期では人工呼吸器の装着をする。(3)嚥下障害に対する管理チューブ栄養などを行う。(4)リハビリテーション酵素補充療法とともに歩行訓練、四肢の運動などを補助する。(5)栄養管理嚥下できない患児に対しては、チューブ栄養、高蛋白食を基本として、高ビタミン、ミネラルを与える。●遅発型(1)呼吸管理初期のうちはタッピング、CPAP、人工呼吸管理など病状に応じて行う。呼吸状態を評価し、感染の予防、抗菌薬の投与、去痰薬の投与、CPAP、人工呼吸管理が必要。(2)嚥下障害の管理嚥下性肺炎の防止。(3)歩行障害に対しての管理歩行のためのリハビリ、装具の着装。(4)栄養管理高蛋白食、高ビタミン食、嚥下困難なときは刻み食、流動食。(5)感染症に対する管理感染症の管理、抗菌薬の投与。2)酵素補充療法酸性α-グルコシダーゼは、マンノース-6-リン酸あるいはIGF-IIレセプターを介して細胞内に効率良く取り込まれ、とくに肝臓、脾臓などの網内細胞に取り込まれる。しかし、心筋、あるいは骨格筋への取り込みは少ない。ポンペ病では、20mg/kgの高単位の酵素を投与することにより筋肉内に強制的に取り込みをさせている。早期治療した患者では著しい臨床症状の改善が認められている。Kishnaniは、乳児型ポンペ病(18例)において、52週の治療研究で95%の死亡率低下と侵襲的呼吸器装着を有意に低下させることができたと報告している。また、新生児マス・スクリーニングで発見され、生後1ヵ月以内に治療した患者では著明な成果が得られており、生存期間は、ほぼ正常な臨床経過を得ている。一方、遅発型の臨床試験では20mg/kg、2週間に1回の酵素補充療法により、6分間歩行ならびに呼吸機能の悪化を防ぐことができたと報告されている。ポンペ病の場合は、酵素に対する抗体産生により酵素治療に反応するgood responderあるいはpoor responderの症例が存在する。4 今後の展望1)シャペロン治療ファブリー病と同様にポンペ病患者の皮膚線維芽細胞レベルではN-butyldeoxynojirimycin(NB-DNJ)の添加により、一部の遺伝子変異のある患者で酸性α-グルコシダーゼ活性が50%以上、上昇する。しかし、いまだ臨床試験のレベルまでは達成していない。2)遺伝子治療レンチウイルスあるいはAAVベクターを用いてのin vivoポンペ病マウスでの遺伝子治療の成功例が報告されている。また、骨髄幹細胞へのex vivoでの遺伝子治療について、Lentiウイルスベクターを用いたポンペ病マウスへの治療に関しても報告されている。3)新生児スクリーニング乳児型のポンペ病では、とくに早期診断が治療と結びつき、重要と考えられる。台湾のChienらは20万6,088名の新生児を乾燥濾紙血を用いてマス・スクリーニングを行い、5名の患者を見出し、かつ生後1ヵ月以内に酵素補充療法を施行した結果、心拡大、筋に組織変化の改善を認め、いずれの症例も正常な発達ならびに呼吸障害を認めず、新生児スクリーニングの著明な成果を報告している。わが国でもパイロット的に新生児スクリーニングの開発が行われている。乳児型の早期診断、治療の重要性を示した貴重な成果と考えられる。5 主たる診療科小児科、神経内科、リハビリテーション科など※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療・研究に関する情報日本ポンペ病研究会(医療従事者向け情報と一般利用者向けのまとまった情報)難病情報センター(医療従事者向け情報と一般利用者向けのまとまった情報)患者会情報全国ポンペ病患者と家族の会1)Hirschhorn R, et al. Glycogen Storage Disease Type II: Acid-Alpha Glucosidase (Acid Maltase) Deficiency. In: Scriver CR et al, editors. The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease. 8th ed. NY: McGraw-Hill; 2001. p.3389-3420.2)Engel AG, et al. Neurology. 1973; 23: 95-106.3)Kishnani PS, et al. J Pediatr. 2006; 148: 671-676.4)衞藤義勝. ポンペ病(糖原病II型):診断と治療社.2009

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2012年度10大ニュース~心房細動編~ 第3位

解説者のブログのご紹介『心房細動な日々』国内3位 ダビガトランの使用法に関する知の集積が進む〜このまま安住してよいのか?ダビガトラン(商品名:プラザキサ)は発売から2年近くが経過し、現場での使用経験がある程度蓄積されてきたように思われます。とくに日本では、心臓血管研究所からaPTTがモニタリング(チェック)に有効であるとの論文1)が発表され、施設基準上限の2倍を超えない範囲での使用が浸透されつつあります。またRE-LY試験のサブ解析が数多く発表されるようになり、とくにアジア人を対象としたRE-LY ASIA試験2)では、アジア人のダビガトランによる消化管出血は少ないことが報告されています。このように比較的安全に使用できるようになってきたダビガトランですが、aPTTよりもより施設間のばらつきが少なく、血中濃度との相関がよい指標の登場が望まれます。またダビガトランが使用できない腎機能低下例、高齢者などにおいて、むしろワルファリンのありがたみを実感する場面も多くなりました。抗凝固薬の世界は、ワルファリンの使い方を知って初めて新規抗凝固薬も使いこなすことができる、いわゆる温故知新であると同時に「温新知故」というべき状況でもあると思われます。1)Suzuki S,et al.. Circ J. 2012;76:755-757.2)Hori M, et al. Efficacy and safety of dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation: Analysis in Asian population in RE-LY trial. Presented at the 2nd Asia Pacific Stroke Conference, 11 September 2012.海外3位 WOEST試験~トリプルテラピーは避けられるか?抗凝固薬服用中の心房細動患者さんにPCIを施行することになった。あるいは薬剤溶出ステント後、抗血小板薬2剤服用中の方が心房細動になった。このようなケースが年々増えていますが、抗凝固薬+抗血小板薬2剤併用のいわゆるトリプルテラピーは出血合併症が多く、現場での悩みの種でした。「抗血小板薬1剤だけのダブルテラピーでもよいのでは?」といった臨床上の疑問に答えるべくデザインされたWOEST試験1)の結果が最近発表されました。トリプルテラピーの方がクロピドグレルとの併用であるダブルテラピーより出血合併症は有意に多く、塞栓症は同等という結果でした。薬剤溶出ステントに特化したものではなく、オープンラベル試験であるなどの制約はありますが、今後ガイドラインなどに影響を与える試験として注目したいと思います。1)Dewilde WJ, et al. Lancet. 2013 Feb 12. [Epub ahead of print]

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アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー

 英国・East Midlands Workforce DeaneryのPriya Khanna氏らは、統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性および忍容性について、他の非定型抗精神病薬と比較した試験結果を評価するシステマティックレビューを行った。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2013年2月28日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group Trials Registerによる文献検索(2011年11月時点)とともに、製薬会社や医薬品承認省庁、論文執筆者から追加の情報などを得て行われた。統合失調症または統合失調症様精神障害を有する患者を対象とした、アリピプラゾール(経口薬)とその他の抗精神病薬(経口・非経口含む:アミスルプリド、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、ジプラシドン、ゾテピン)を比較したすべての無作為化試験(RCT)を適格試験とした。ランダムエフェクトモデルに基づきintention-to-treat分析法にてリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、可能な限り主要アウトカムの比較リスクを算出した。また平均差(MD)の算出や、バイアスリスクについての評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、12試験、被験者6,389例のデータが組み込まれた。・アリピプラゾールとの比較試験は、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドンについて行われており、すべての試験が利害関係のある製薬会社がスポンサーとなり行われていた。・全被験者のうち30~40%が試験を早期に中止しており、妥当性(群間差なし)は限定的なものであった。[対オランザピン試験]・全体的な状態(global state)には差がみられなかった(703例・1試験、短期RR:1.00、95%CI:0.81~1.22/317例・1試験、中期RR:1.08、95%CI:0.95~1.22)。・精神状態についてはオランザピンでやや良い傾向がみられた[1,360例・3試験、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総合スコアのMD:4.68、95%CI:2.21~7.16]。・錐体外路症状には有意な差はみられなかったが(529例・2試験、RR:0.99、9%CI:0.62~1.59)、コレステロール値の上昇(223例・1試験、RR:0.32、95%CI:0.19~0.54)、全重量の7%以上の体重増加(1,095例・3試験、RR:0.39、95%CI:0.28~0.54)はアリピプラゾール群のほうが少なかった。[対リスペリドン試験]・全体的な状態(384例・2試験、重大改善なしに関するRR:1.14、95%CI:0.81~1.60)、精神状態(372例・2試験、PANSS総合スコアのMD:1.50、95%CI:-2.96~5.96)に関して、アリピプラゾールの優位性は示されなかった。[対ジプラシドン試験]・アリピプラゾールとの比較は1試験(247例)であり、全体的な状態[臨床全般印象・重症度尺度CGI-S)スコアのMDの平均変化:-0.03、95%CI:-0.28~0.22]、精神状態[PANSS総合スコアのMD:-3.00、95%CI:-7.29~1.29]の変化はともに同程度であった。・いずれか1つの非定型抗精神病薬と比較した際、アリピプラゾールは、活力(523例・1試験、RR:0.69、95%CI:0.56~0.84)、気分(523例・1試験、RR:0.77、95%CI:0.65~0.92)、陰性症状(523例・1試験、RR:0.82、95%CI:0.68~0.99)、傾眠(523例・1試験、RR:0.80、95%CI:0.69~0.93)、体重増加(523例・1試験、RR:0.84、95%CI:0.76~0.94)にて全体的な状態の改善を示した。・アリピプラゾール群の被験者では、嘔気(2,881例・3試験、RR:3.13、95%CI:2.12~4.61)の報告が有意に多かったが、体重増加(全重量の7%以上の増加)は有意に少なかった(330例・1試験、RR:0.35、95%CI:0.19~0.64)。・アリピプラゾールは、攻撃性への有望な作用がある見込みがあたが、データが限定的であった。これは別の機会のレビューの焦点となるであろう。・著者は「すべての比較に関する情報には限界があり、必ずしも臨床に適用するとは限らない」とした上で、「アリピプラゾールは明らかな副作用プロファイルのない抗精神病薬である」と結論した。また、長期データが十分でないことを考慮すべきであり、今後は中国で行われている複数の試験や、進行中の大規模な独立したプラグマティックな試験のデータなどを組み込み、レビューのアップデートを行うことで新たなデータが得られると述べている。関連医療ニュース ・10年後の予後を見据えた抗精神病薬選択のポイント ・バイポーラの躁症状に対するアリピプラゾールの位置付けは? ・統合失調症、双極性障害の急性期興奮状態に対する治療:   アリピプラゾール筋注に関するコンセンサス・ステートメント(英国)

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皮膚レーザー治療をめぐる訴訟、原告勝訴が約半数、賠償額は平均約38万ドル

 米国・UCLA デイヴィッド・ゲフィン医科大学院 のH. Ray Jalian氏らは、皮膚レーザー治療をめぐる訴訟について分析を行った。全米データベースでオンライン公開されている法定文書を精査したもので、レーザー治療に関する訴訟の詳細を特定した最大規模の研究だという。分析の結果、実際の処置をphysician extenderが行っていた場合でも医師の責任も問われていることが明らかになった。著者は、インフォームド・コンセントの重要性とともに、医師には最終的な監督責任があることを強調している。JAMA Dermatology誌2013年2月号の掲載報告。 研究グループは、皮膚レーザー治療に関してよくみられる訴訟や、医師の職業上の責任を問われた判例の詳細を調べることを目的とした。 全米のデータベースでオンライン公開されている法定文書から、年間の訴訟件数、医療提供側の開業地および許認可、被った傷害、法的措置の理由、評決、賠償額を主要評価項目とし調査した。 主な結果は以下のとおり。・1985~2012年の、皮膚レーザー治療に起因する傷害訴訟174件を同定した。内訳は形成外科手術に関するものが25.9%と最も多く、次いで皮膚科手術が21.3%であった。・皮膚レーザー治療に関する訴訟は、年々増加している傾向がみられた。ピークは2010年(22件)であった。・最も多い訴訟は、脱毛処置(63件)であった。若返り処置(rejuvenation、43件)が続いた。・医師が施術者と特定されていたケースは100件(57.5%)であったが、146件の訴訟において被告人として名前が明記されていた。・医師ではない施術者には、医療関係者[カイロプラクター、足病医(podiatrist)、ナースプラクティショナー(NP)、登録看護師(RN)など]、非医療関係者(エステティシャン、テクニシャンなど)が含まれ、訴訟ケースの37.9%で関与していた。・訴訟に至った最大の要因(かつ、予防可能であった要因)は、医師がインフォームド・コンセントを得ていなかったことであった(約3分の1)。・評決に持ち込まれた120件のうち、61件(50.8%)で原告勝訴の判決が下されていた。・被告側が支払った賠償額は平均38万719ドルであり、これまでに報告されている全医療専門職における平均額を上回っていた。

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プレドニゾロン+クロラムブシル、特発性膜性腎症の腎機能低下を抑制/Lancet

 特発性膜性腎症で腎機能障害が進行している患者について、プレドニゾロンと免疫抑制剤クロラムブシル(chlorambucil)による併用療法(1ヵ月ずつ交替で6ヵ月間)が最も支持される治療アプローチであることが、英国・バーミンガム大学のAndrew Howman氏らによる無作為化試験の結果、報告された。本検討は免疫抑制剤の腎保護効果の検証を目的としたもので、同時に検討されたシクロスポリン単独12ヵ月の治療については腎保護効果がみられず、同治療については「回避すべきである」と報告した。膜性腎症の一部の患者について免疫抑制剤による治療効果が認められているが、これまで腎機能が低下している患者については試験に基づくエビデンスは得られていなかった。Lancet誌オンライン版2013年1月8日号掲載報告より。支持療法、併用療法、免疫抑制剤単独療法で比較 研究グループは、免疫抑制剤治療が腎機能の低下が認められる特発性膜性腎症患者において腎保護効果を有するかを評価する無作為化試験を行った。 試験は英国内の腎クリニックまたは急性期病院の腎臓病部門37ヵ所から被験者を募り行われた。被験者は、18~75歳の、生検により特発性膜性腎症と診断され、血清クレアチニン値が300μmol/L未満、腎排泄機能20%以上低下が試験にエントリーする前の2年間で3ヵ月以上測定されたことが3回以上ある患者であった。 被験者は無作為に1対1対1の割合で、(1)支持療法のみ受ける群、(2)支持療法+6ヵ月間にわたるプレドニゾロン(1、3、5ヵ月時:静注1g/日×連続3日間、経口0.5mg/kg/日×28日間)とクロラムブシル(2、4、6ヵ月時:経口0.15mg/kg/日、漸次減量)の併用療法、(3)支持療法+シクロスポリン12ヵ月(5mg/kg/日、漸次減量)に割り付けられた。主要アウトカムは、intention to treat解析による、ベースラインからの腎機能20%以上低下であった。プレドニゾロン+クロラムブシル併用療法のさらなる進行リスクは0.44 108例が無作為化され、33例が支持療法のみ群に、37例がプレドニゾロンとクロラムブシル群に、38例がシクロスポリン群に割り付けられた。そのうち2例(シクロスポリン群1例、支持療法群1例)は適格条件を満たしておらず、intention to treat解析には組み込まれなかった。また45例は試験終了前にプロトコルからは逸脱していた。大半の患者が投与量が調整され少量投与になっていた。 フォローアップは、主要エンドポイント達成時または主要エンドポイントに達しない場合は3年間とされた。 結果、腎機能20%以上低下のリスクは、支持療法群と比べてプレドニゾロンとクロラムブシル併用療法群で有意な低下が認められた[エンドポイント達成 19/33例(58%)対31/37(84%)、ハザード比(HR):0.44、95%信頼区間(CI):0.24~0.78、p=0.0042]。 シクロスポリン群[29/36(86%)]と支持療法群とのリスクは有意な差はみられなかったが(HR:1.17、95%CI:0.70~1.95、p=0.54)、3群間のリスクの差は有意であった(p=0.003)。 重大有害事象の発生は3群ともに頻度が高かった。プレドニゾロンとクロラムブシル併用療法群の同発生は支持療法群よりも高かった(56件対24件、p=0.048)。

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パーキンソン病患者は骨折リスクが高い

 パーキンソン病(PD)患者は非PD患者と比べ骨折リスクが有意に高いことが、オランダ・ユトレヒト大学のS. Pouwels氏らが行った後向きコホート研究で明らかになった。PD患者では、一般的な骨折リスクとされる高齢者および女性のほかにも、最近の選択的セロトニン再取込み阻害薬または高用量抗精神病薬の使用歴、骨折歴、転倒、BMI低値、腎疾患がある場合は骨折リスクを評価することが望ましいと考えられる。Osteoporosis International誌オンライン版2013年2月22日掲載報告。 研究の目的は、新規発症PD患者の骨折リスクを治療、重症度、罹病期間および関連合併症で層別化し評価することであった。  英国のGeneral Practice Research Database(GPRD)を用い、1987年から2011年の間にPDと初めて診断された4,687例を同定し、年齢、性別、出生年および診療所をマッチさせた非PD患者(対照群)と比較した。 主な結果は以下のとおり。・PD患者は対照群と比較して全骨折、骨粗鬆症性骨折および股関節骨折のいずれも骨折リスクが有意に増加した(全骨折 補正ハザード比(AHR):1.89、95%CI:1.67~2.14/骨粗鬆症性骨折 AHR:1.99、95%CI:1.72~2.30/股関節骨折 AHR:3.08、95%CI:2.43~3.89)。・骨折リスクは、骨折歴、転倒、BMI低値、腎疾患、抗うつ薬の使用および抗精神病薬の高用量使用により増加した。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケース解説

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血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない

 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが、米国・ウィスコンシン医科大学のYvonne E. Chiuらによる検討の結果、報告された。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年2月14日号の掲載報告。 研究グループは、血清25ヒドロキシビタミンD値とアトピー性皮膚炎重症度について、統計学的に有意な関連が認められるかを評価することを目的に、断面研究を行った。 1~18歳のアトピー性皮膚炎患者を被験者とし、SCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis)と血清25ヒドロキシビタミンD値を測定し、単変量試験および多変量モデルを用いて統計学的解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・97例が登録され、94例が解析に組み込まれた。・被験者のうち、ビタミンD欠乏(血清25ヒドロキシビタミンD<20ng/mL)であったのは37例(39%)、不足(同21~29ng/mL)は33例(35%)、充足(同≧30ng/mL)は24例(26%)であった。・血清25ヒドロキシビタミンD値とSCORADの関連は、有意ではなかった(r=-0.001、p=0.99)。・多変量モデル解析の結果、血清25ヒドロキシビタミンDが低値であることと有意な関連が認められたのは、3歳以上(p<0.0001)、黒人(p<0.001)、冬季(p=0.084)であった。・一方で著者は本検討結果について、自然光曝露、ビタミンD摂取、アトピー性治療についてコントロールできていないこと、一時点のみを捕えた調査であることから限界を指摘した。その上で、今回検討した小児集団では、血清25ヒドロキシビタミンD値とアトピー性皮膚炎重症度について有意な関連はみられないと結論した。

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統合失調症の再燃や再入院を減少させるには:システマティックレビュ―

 統合失調症の再燃や再入院を減少させるには、早期警告症状への気づきを促す介入が重要であることが、英国・ノッティンガム大学のRichard Morriss氏らによるシステマティックレビューの結果、明らかとなった。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年2月28日掲載の報告。 本レビューでは早期警告症状気づきを促す介入による効果(再燃までの時間、入院、機能的側面、陰性・陽性症状)について、通常精神科治療に加えた場合と通常治療のみとを比較することを目的とした。Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2007年7月~2012年5月)において該当する無作為化試験による論文を検索し、データを抽出した。追跡不能な参加者が50%以上いた試験はあらかじめ除外した。 主な結果は以下のとおり。・無作為化試験32件、クラスター無作為化試験2件において無作為化された3,554例のデータが本レビューに組み込まれた。早期警告症状気づきへの介入単独でのアウトカムを検討した試験は1報のみであった。・早期警告症状気づきへの介入群は、通常治療群よりも再燃率が有意に低かった(23%対43%、RR:0.53、95%CI:0.36~0.79、15試験・1,502例;エビデンスレベルはとても低い)。・再燃までの時間は、両群間で有意な差はみられなかった(6試験・550例;エビデンスレベルはとても低い)。・再入院のリスクは、早期警告症状気づきへの介入群が通常治療群よりも有意に低かった(19%対39%、RR:0.48、95%CI:0.35~0.66、15試験・1,457例;エビデンスレベルはとても低い)。・再入院までの時間は、両群間で有意な差はみられなかった(6試験・1,149例;エビデンスレベルはとても低い)。・介入を受けた被験者の満足感やコストについては、確定的なエビデンスが不足していた。・著者らは、「一連の試験のエビデンスレベルは低く、また介入単体としての効果が不明である(検討が1試験のみであったため)」とした上で、「再燃や再入院の減少は費用対効果への波及も期待できることから、コストや各種の医療サービス活用について、重症患者・家族が期待する有効性のアウトカムを含めた系統的評価を行うべきである」とまとめている。関連医療ニュース ・10年先を見据えた抗精神病薬選択のポイント ・統合失調症患者の再発を予測することは可能か? ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与

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ダビガトラン、VTEの延長治療に有効、出血リスクも/NEJM

 直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)による抗凝固療法は、静脈血栓塞栓症(VTE)の延長治療として有効であり、大出血や臨床的に重要な出血のリスクはワルファリンよりは低いもののプラセボに比べると高いことが、カナダ・マクマスター大学のSam Schulman氏らの検討で示された。VTE治療はビタミンK拮抗薬が標準とされ、複数の血栓エピソードなど再発のリスク因子を有する場合は長期投与が推奨されるが、大出血のリスクとともに頻回のモニタリングや用量調整を要することが問題となる。ダビガトランは固定用量での投与が可能なうえ、頻回のモニタリングや用量調節が不要で、VTEの治療効果についてワルファリンに対する非劣性が確認されており、初期治療終了後の延長治療に適する可能性がある。NEJM誌2013年2月21日号掲載の報告実薬対照非劣性試験とプラセボ対照優位性試験の統合的解析 RE-MEDY試験は、初期治療終了後のVTE延長治療におけるダビガトラン(150mg、1日2回)のワルファリンに対する非劣性を検証する実薬対照試験であり、RE-SONATE試験はダビガトラン(150mg、1日2回)のプラセボに対する優位性を評価するプラセボ対照試験。 両試験ともに、対象は年齢18歳以上、症候性の近位型深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)と診断され、標準的抗凝固薬による初期治療を終了した症例とした。 RE-MEDY試験では、有効性のハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が2.85を超えない場合、および18ヵ月後のVTE再発のリスク差が2.8ポイント以内の場合に非劣性と判定した。ACSのリスクにも留意すべき RE-MEDY試験には、2006年7月~2010年7月までに33ヵ国265施設から2,856例が登録され、ダビガトラン群に1,430例(平均年齢55.4歳、女性39.1%)、ワルファリン群には1,426例(同:53.9歳、38.9%)が割り付けられた。また、RE-SONATE試験には、2007年11月~2010年9月までに21ヵ国147施設から1,343例が登録され、ダビガトラン群に681例(平均年齢56.1歳、女性44.1%)、プラセボ群には662例(同:55.5歳、45.0%)が割り付けられた。 RE-MEDY試験では、VTE再発率はダビガトラン群が1.8%(26例)と、ワルファリン群の1.3%(18例)に対し非劣性であった(HR:1.44、95%CI:0.78~2.64、非劣性検定:p=0.01、リスク差:0.38ポイント、95%CI:-0.50~1.25、非劣性検定:p<0.001)。 大出血の頻度はダビガトラン群が0.9%(13例)と、ワルファリン群の1.8%(25例)に比べほぼ半減したものの有意な差はなかった(HR:0.52、95%CI:0.27~1.02、p=0.06)。一方、大出血または臨床的に重要な出血の頻度はダビガトラン群で有意に減少した(HR:0.54、95%CI:0.41~0.71、p<0.001)。急性冠症候群(ACS)がダビガトラン群の0.9%(13例)にみられ、ワルファリン群の0.2%(3例)に比べ有意に高頻度であった(p=0.02)。 RE-SONATE試験のVTE再発率はダビガトラン群が0.4%(3例)と、プラセボ群の5.6%(37例)に比べ有意に良好であった(HR:0.08、95%CI:0.02~0.25、p<0.001)。大出血の発生率はそれぞれ0.3%(2例)、0%であったが、大出血または臨床的に重大な出血の発生率は5.3%(36例)、1.8%(12例)とダビガトラン群で有意に高値を示した(HR:2.92、95%CI:1.52~5.60、p=0.001)。ACSは両群に1例ずつ認められた。 著者は、2つの試験の結果を踏まえ、「ダビガトランによる抗凝固療法はVTEの延長治療として有効である。大出血や臨床的に重要な出血のリスクはワルファリンよりは低いもののプラセボに比べると高かった」とまとめている。

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