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放射線治療による胃腸症状の改善法/Lancet

 骨盤放射線治療後に慢性的な胃腸症状を有する患者に対し、専門医や看護師がアルゴリズムに基づく治療を行うことで、6ヵ月後の症状がより大幅に改善することが明らかにされた。王立マーズデンNHS財団トラストH. Jervoise N. Andreyev氏らが、200例超について行った無作為化比較試験の結果、報告した。過去30年でがん生存者は3倍に増大したが、生存者の20~25%がQOLにおいて、がん治療の身体的悪影響を被っているという。慢性的な胃腸症状は骨盤放射線治療後の患者で頻度が高く、日常生活にも重大な影響を及ぼしている。Lancet誌オンライン版2013年9月23日号掲載の報告より。専門医、看護師がそれぞれアルゴリズムに基づき治療 Andreyev氏らは、骨盤放射線治療を受けた後、新たに6ヵ月以上継続する胃腸症状を発症した18歳以上、218例について、無作為化対照試験を行った。被験者を無作為に3群に分け、一群には通常の治療(68例)、二群にはアルゴリズムに基づく消化器専門医による治療(70例)、三群にはアルゴリズムに基づく看護師による治療(80例)を、それぞれ実施した。通常ケア群の被験者には、自助的ガイドブックを配布した。 主要エンドポイントは、治療開始から6ヵ月後の、炎症性腸疾患質問票の腹部に関するスコア(IBDQ-B:Inflammatory Bowel Disease Questionnaire-Bowel subset score)の変化だった。アルゴリズム群、6ヵ月のIBDQ-Bスコア改善幅が通常治療群に比べ有意に増大 被験者のうち男性は75~79%と大部分を占め、年齢中央値は男性が70歳、女性は61歳だった。被験者のほとんどが、IBDQ-Bスコアではベースライン時に中程度から重度の症状を示していた。 6ヵ月後の平均格差について比較したところ、通常治療群と看護師群では、4.12(95%信頼区間:0.04~8.19、p=0.04)、通常治療群と専門医群では5.47(同:1.14~9.81、p=0.01)と、いずれもアルゴリズムを活用することで患者の症状は大きく改善した。 なお、看護師群のアウトカムは、専門医群に対して非劣性だった(平均格差:1.36、95%片側信頼区間:1.48)。 結果を踏まえて著者は、「放射線治療による胃腸症状改善について、通常治療を受けた患者よりもアルゴリズムに基づく治療を受けた患者のほうが良好な改善を呈した。今回の結果は、大半の患者は、訓練を受けた看護師によるアルゴリズムベースの治療で症状の改善を図ることが可能であることを示唆するものだ」と結論している。

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低血糖を減少できる自動停止機能付きのインスリンポンプ/JAMA

 無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者の低血糖イベントの管理において、自動停止機能付きインスリンポンプは標準的なインスリンポンプに比べ高い有効性を発揮することが、オーストラリア・プリンスマーガレット小児病院のTrang T Ly氏らの検討で示された。1型糖尿病の治療では低血糖が重大な問題となる。自動停止機能付きインスリンポンプは、すでにその安全性や血糖値が低血糖域にある時間を短縮することが確認されているが、実際に外来患者において重大な低血糖イベントの発生を低減するかは知られていなかった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。中等度~重度の低血糖イベントの発生を無作為化試験で評価 研究グループは、自動停止機能付きインスリンポンプまたは自動停止機能のない標準的なインスリンポンプを装着した1型糖尿病患者において、中等度~重度の低血糖イベントの発生状況を評価する無作為化試験を行った。 対象は、年齢4~50歳、診断後1年以上が経過し、インスリンポンプによる治療を6ヵ月以上受けており、糖化ヘモグロビン≦8.5%で、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者であった。 自動停止機能付きインスリンポンプは、センサーを用いて血糖値があらかじめ設定された閾値(60mg/dL)を下回ると警告を発し、患者が警告に反応しない場合は最長2時間にわたりインスリン注入を停止し、その後標準的な基礎インスリンの注入を再開する装置。患者は、この2時間中にいつでもインスリンの注入を再開でき、停止したままにすることも可能である。 試験期間は6ヵ月で、患者はベースライン、3ヵ月、6ヵ月に受診した。中等度低血糖は治療を要するイベントの発生、重度低血糖は低血糖発作および低血糖昏睡の発生と定義し、主要評価項目はこれらの複合エンドポイントとした。夜間低血糖も良好に抑制、低血糖発作や昏睡は認めず 2009年12月~2012年1月までに95例が登録され、自動停止ポンプ群に46例、標準ポンプ群には49例が割り付けられた。全体の平均年齢は18.6(SD 11.8)歳、糖尿病罹病期間は11.0(8.9)年、インスリンポンプ治療期間は4.1(3.4)年であった。 ベースラインにおける100人月当たりの中等度~重度低血糖のイベント発症率は、自動停止ポンプ群が129.6件と、標準ポンプ群の20.7件に比べて高かった。6ヵ月後には、それぞれ28.4件、11.9件へと低下した。 複合エンドポイントのイベント発生数は、自動停止ポンプ群がベースラインの175件から6ヵ月後には35件へと低下したのに対し、標準ポンプ群は28件から16件へ低下した。6ヵ月後の100人月当たりの調整イベント発生率(0-inflated Poissonモデル)は、自動停止ポンプ群が9.5件、標準ポンプ群は34.2件となり、率比は3.6と自動停止ポンプ群で有意に良好であった(p<0.001)。 糖化ヘモグロビンは両群ともに変化しなかった(自動停止ポンプ群:ベースライン7.4%、6ヵ月後7.4%、標準ポンプ群:7.6%、7.5%)。低血糖に対するインスリン拮抗ホルモン反応(クランプ法による)にも変化はなかった。また、糖尿病性ケトアシドーシスや、ケトーシスを伴う低血糖のエピソードは認めなかった。 著者は、「自動停止機能付きインスリンポンプは、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病の外来患者において重大な低血糖イベントの発生の抑制に有効である」とまとめ、「夜間低血糖も標準ポンプより少なく、探索的検討ではあるが低血糖発作や昏睡はまったく認めなかった」としている。

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統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

 統合失調症では認知機能障害が一般的にみられる。しかし、初回エピソード患者におけるこれら障害の長期転帰の予測因子は不明であった。スウェーデン・ウプサラ大学のRobert Boden氏らは、初回エピソード統合失調症患者の5年後アウトカムの予測因子としての思考力の低下および認知機能障害について調べた。その結果、思考速度が社会性や症状寛解に関する長期転帰と関連していることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード統合失調症と診断され、臨床的症状が安定した患者46例について、総合的認知機能(Synonyms, Reasoning, and Block Design:SRB)、思考速度(Trail Making Test:TMT、およびフィンガータッピング)、言語学習(Claeson-Dahl Verbal Learning Test)について評価した。また、5年後の転帰は、自立生活、職業的機能、社会性、症状寛解に関して評価した。 主な結果は以下のとおり。・思考速度の低下が、5年後の社会性の低下と関連していた。抗精神病薬使用で補正後のオッズ比(OR)は3.37(95%信頼区間[CI]:1.08~10.51)であった。・利き手ではない手のフィンガータッピングの成績が良好であることは、5年後の症状の非寛解リスク増大と関連していた(補正後OR:0.42、95%CI:0.19~0.96)。・職業的機能と自立生活は、評価したいずれのテストとも関連がみられなかった。関連医療ニュース 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か? 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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定型vs.非定型、せん妄治療における抗精神病薬

 せん妄治療に用いられる抗精神病薬。せん妄治療に対する有用性・安全性において、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬で違いはないのであろうか。この問題に対し、韓国・延世大学のHyung-Jun Yoon氏らは、6日間の前向き比較観察研究により検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月30日号の掲載報告。 先行研究において大半の報告で、せん妄治療における抗精神病薬に関して定型または非定型の間に有意差はないことが示されていた。一方で、高年齢が同治療反応不良の予測因子である可能性も示唆されていた。そこで研究グループは、せん妄治療について患者の年齢を考慮に入れ、ハロペリドールと3つの非定型抗精神病薬[リスペリドン、オランザピン、クエチアピン]の有効性と安全性を比較することを目的とする試験を行った。試験は、6日間の前向き比較臨床観察研究で、韓国の高度機能病院で行われた。被験者は、せん妄治療に対して精神医学的な診察-リエゾンサービスを紹介され、試験登録前にスクリーニングを受けた80例であった。有効性の評価は、韓国版Delirium Rating Scale-Revised-98(DRS-K)と韓国版Mini Mental Status Examination(K-MMSE)を用いて行われた。安全性の評価は、Udvalg Kliniske Undersogelser副作用スケールにて行った。 主な結果は以下のとおり。・被験者80例は、ハロペリドール群23例、リスペリドン群21例、オランザピン群18例、クエチアピン群18例に割り付けられた。・ベースライン時において4群間に、平均DRS-Kでみた重症度スコアとK-MMSEスコアに有意差はみられなかった。・4群とも試験期間中、DRS-K重症度スコアは有意に低下し、K-MMSEスコアは有意に上昇した。一方で4群間に、DRS-KおよびK-MMSEスコアの改善について有意な差はみられなかった。・同様に、DRS-Kの認知および非認知のサブスケールスコアも、治療群を問わず低下が認められた。・治療反応率は、75歳未満よりも75歳以上の患者において低値であった。とくに、オランザピンの治療反応率は患者が高齢であるほどより低値であった。・被験者合計15例(18.8%)が、いくつかの有害イベントを経験した。イベントに関して、4群間で有意差はみられなかった。・以上のように、ハロペリドールとリスペリドン、オランザピン、クエチアピンは、せん妄治療に関する有効性と安全性は同等であった。一方で、せん妄治療における抗精神病薬の選択において、考慮すべき因子は年齢であることが示された。関連医療ニュース 高齢者のせん妄に対する抗精神病薬のリスクは? 抗精神病薬は“せん妄”の予防に有用か? がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…

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変形性膝関節症の疼痛構成要素、重症化に伴い変化

 変形性膝関節症(膝OA)の疼痛は、炎症および機械的負荷と関連していることが示唆されていたが、順天堂東京江東高齢者医療センターの清村幸雄氏らは、疾患の重症度別に検討し、初期膝OAの疼痛には滑膜炎を反映している血清インターロイキン(sIL)- 6濃度が、進行期の疼痛は下肢内反アライメントが関与していることを明らかにした。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループは、膝OAの疼痛構成要素が重症化に伴い、どのように変化するかについて検証した。 対象は、ケルグレン/ローレンス(K/L)グレード2以上の膝OA女性160例(平均年齢70.5歳)で、膝疼痛を視覚的アナログスケール(VAS)および日本版変形性膝関節症患者機能評価尺度の疼痛項目(JKOM疼痛スコア)を用いて評価するとともに、sIL-6濃度、高感度C反応性蛋白(hs-CRP)濃度ならびに大腿頸骨角 (anatomical axis angle:AAA)を測定した。 主な結果は以下のとおり。・初期群(K/L 2)では、sIL- 6濃度が、VAS(回帰係数[β]:10.77、95%信頼区間[CI]:4.14~17.40、p<0.01)、およびJKOM疼痛スコア(同:3.19、1.93~4.44、p<0.001)と有意に関連した。・進行群(K/L 3、4)では、AAAがVAS(β:-1.29、95%CI:-2.51~-0.08、p<0.05)、およびJKOM疼痛スコア(同:-0.49、-0.82~-0.16、p<0.01)と有意に関連した。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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女性の腹圧性尿失禁、初回療法は手術が優れる/NEJM

 女性の腹圧性尿失禁に対する初回療法として、中部尿道スリング手術を行ったほうが理学療法(骨盤底筋訓練など)を行うよりも、1年時点の主観的改善率、および主観的・客観的治癒率が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJulien Labrie氏らが報告した。腹圧性尿失禁に対しては、理学療法を第一選択治療とすることとされており、理学療法が失敗した場合に手術療法を行うことが推奨されている。一方で、初回療法としてこれら2つのオプションを比較した無作為化試験によるデータは不足していた。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。手術群と理学療法群に割り付け1年後の主観的改善率を比較 試験は、4大学19病院から被験者(35~80歳女性、腹圧性尿失禁が中等度~重度)を募って行われた。被験者を無作為に、手術群と理学療法群に割り付け、それぞれクロスオーバーでの受療も可能とした。 主要アウトカムは、12ヵ月時点でPatient Global Impression of Improvement(PGI-I)を用いて測定した主観的改善とした。初回手術群と、理学療法群→手術を受けた被験者とのアウトカムは同程度 初回療法として、手術群に230例、理学療法群に230例が無作為に割り付けられた。そのうち理学療法群の49.0%が、また手術群の11.2%がクロスオーバーしての治療を受けた。 intention-to-treat解析において、主観的改善率は、手術群90.8%、理学療法群64.4%であった(絶対差:26.4ポイント、95%信頼区間[CI]:18.1~34.5)。 また主観的治癒率は、手術群85.2%、理学療法群53.4%(同:31.8ポイント、22.6~40.3)であり、客観的治癒率は、同76.5%、58.8%(同:17.8ポイント、7.9~27.3)だった。 事後のプロトコル解析の結果、手術群にクロスオーバーした被験者のアウトカムは、最初から手術群に割り付けられた被験者のアウトカムと同程度であることが示された。また、それら手術を受けた被験者のアウトカムは、手術群にクロスオーバーせず手術を受けなかった被験者のアウトカムよりも優れていた。

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DES留置後の再内皮化と内皮機能の関係~OCTとAch負荷試験からの検討~

 ZES(ゾタロリムス溶出ステント)は、PES(パクリタキセル溶出ステント)よりも内皮機能が保持されること、および新生内膜によるstent strut被包と内皮機能保持には関係があることが、名古屋ハートセンターの村瀬 傑氏らによって示唆された。Catheterization and Cardiovascular Interventions誌オンライン版7月30日号掲載の報告。 これまで、DES(薬剤溶出ステント)留置後の再内皮化と内皮機能については、報告されていた。しかし、DES留置後の再内皮化と内皮機能との関係については、調べられていなかった。本研究では、DES留置(PES 7病変、ZES 7病変)9ヵ月後に、OCT(optical coherence tomography)による再内皮化の評価およびアセチルコリン負荷試験による内皮機能測定が行われた。 主な結果は、次のとおり。・ZES群、PES群の患者背景に有意な差は認められなかった。・ZES群はPES群に比較し、stent strutsが新生内膜により高度に被包されていた(ZES:0.27±0.14mm vs PES:0.17±0.18mm、p<0.01)。また、不完全密着率も低かった(ZES:0% vs PES:2.7%、p<0.01)。・ZES群はPES群に比較し、アセチルコリン誘発血管収縮が低かった(ZES:28.6% vs PES:57.1%、p<0.01)。・スパズム発生群とスパズム非発生群で比較すると、発生群は、被包率が低かった(スパズム発生:0.21±0.19mm vs スパズム非発生:0.25±0.14mm、p<0.01)。

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2013年11月にC型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂―新薬登場で

 2013年10月3日(木)、ヤンセンファーマ株式会社主催のC型慢性肝炎メディアセミナーが開催され、関西労災病院 病院長の林 紀夫氏より、C型慢性肝炎治療の変遷と最新治療について語られた。また、東京肝臓友の会 事務局長の米澤 敦子氏からは、患者が考えるC型肝炎治療の課題について語られた。 林氏は「11月に発売される新規DAAs(direct-acting antiviral agents:直接作用型抗ウイルス薬)シメプレビルの登場により、C型肝炎治療ガイドラインが大幅に改訂される。未治療例はもちろん、高齢者やインターフェロン(IFN)無効例、過去の治療で効果が十分に得られなかった例にも、有効性と安全性が高く、治療期間の短い新たな治療選択肢を提供できる」と述べた。 今後は、シメプレビルのほかにも現在開発中の新薬が続々と登場し、日本のC型肝炎治療に大きな変革がもたらされると考えられる。C型肝炎は肝がんの主な成因 日本における肝がんの死亡者数は、肺がん、胃がんに続いて3番目に多く、年間約3万人が肝がんにより死亡している(厚生労働省調べ)。C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%の患者が、慢性肝炎から肝硬変、そして肝細胞がんへ至る。日本肝臓学会の肝がん白書(1999)によると、日本における肝硬変・肝がん患者の79%がC型肝炎ウイルス陽性であるという。つまり、C型肝炎のウイルス排除を進めれば、肝がん患者の減少につながるといえる。これまでのC型肝炎治療 C型肝炎の治療はIFN 単独、IFN+リバビリン(RBV)、ペグインターフェロン(PEG-IFN)+RBVと進化を遂げてきたが、日本人に最も多い遺伝子型1b型にはIFNが効きにくく、PEG-IFN+RBV併用療法を48週行っても、初回治療の著効率は約50%であった。また、米澤氏は「治療期間が長期にわたるため、IFNの副作用である発熱や倦怠感、RBVによる貧血などにも長く悩まされ、治療を続けるために仕事をリタイアせざるを得ないなど、患者の人生を大きく左右させてしまう」という問題点を挙げた。テラプレビル3剤併用療法の問題点 2011年9月に承認されたPEG-IFNα-2b+RBV+テラプレビル(TVR)の3剤併用療法により、ウイルス陰性化率(SVR)が飛躍的に向上し、治療期間も従来の48週から24週に大幅短縮された。しかし、TVRは高い頻度で皮疹や貧血などの副作用を伴うことから、肝臓専門医や皮膚科専門医との連携ができる医療機関に使用が限定された。とくに、副作用が出やすい高齢者には使いにくく、治療を中断せざるを得ないなどの問題点があった。シメプレビルの登場 第2世代のプロテアーゼ阻害剤シメプレビルは、優先審査を経て2013年9月に日本で承認された。C型肝炎治療薬としては初めて、欧米に先駆けて承認された期待の薬剤で、2013年11月にも発売される見込みである(製品名:ソブリアードカプセル)。未治療の遺伝子型1のC型慢性肝炎患者を対象に行われた国内第3相試験(CONCERTO試験)においては、シメプレビル+PEG-IFNα-2a+RBVの3剤併用療法(24週)の投与終了後12週までの持続的ウイルス陰性化率(SVR)が88.6%にのぼった。投与終了後24週までのSVRも再燃例で89.8%、無効例で50.9%と、高い有効性が認められた。また、安全性もPEG-IFN+RBVの2剤併用療法と同等であった(第49回日本肝臓学会総会にて発表)。2013年11月、C型肝炎治療ガイドラインが大幅改訂 現在のC型肝炎治療ガイドラインにおいて、遺伝子型1における治療は原則として「TVR+PEG-IFN+RBV」または「PEG-IFN+RBV」とされているが、シメプレビルの登場により、2013年11月に改訂され、これらは「シメプレビル+PEG-IFN+RBV」に変更となる見込みである。1日1回の服用でTVRよりも有効性と安全性が高いシメプレビルが、今後のC型肝炎治療に大きな変革をもたらすと考えられる。今後も新薬が続々登場 現在、国内で開発されている新規DAAsとPEG-IFN+RBVの3剤併用療法は、シメプレビルのほかにもファルダプレビル、vaniprevir、daclatasvirがあり、いずれも遺伝子型1に対する有効性が80~90%と高く、副作用もTVRと比べて低いという。また、IFNフリー療法も開発されており、近い将来、IFNの副作用を懸念することなくさまざまな症例に使用することができるため、期待されている。現在開発中のレジメンは、asunaprevir+daclatasvir、deleobuvir+ファルダプレビル+RBV、sofosbuvir+RBV、ABT450+ABT267+リトナビルであり、いずれも第2、第3相試験中である。「ただし、IFNフリー療法は、IFNの抗ウイルス効果によって耐性株の増殖を抑制することができないため、裾野が広いからといってむやみに使うと耐性変異を起こす危険がある。将来の治療薬に対しての選択肢を奪うこともある」と林氏は注意を投げかけた。まとめ 今後、IFNを使わない新しい治療が登場するが、患者の高齢化と発がんリスクを鑑みると、将来の治療のために待機せず、まずは専門医が遺伝子検査などでしっかりと治療方針を決定したうえで「今ある最新かつベストな治療」を行うべきである。また、IFNフリー療法という選択肢が増えても、IFNはすでにDAAsへの耐性を持つ症例の治療効果も高めることができるため、重要な薬剤であることに変わりはないと考えられる。シメプレビル登場に始まるC型肝炎治療の進化により、肝がんで命を落とす患者が減ることが期待される。

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EASD2013

9月23~27日にスペインで、EASD2013(第49回欧州糖尿病学会議)が開催されました。今回はCareNet独自の視点で知っておいて損はない今後の新薬や日本人の先生の発表を中心に厳選しています。今回の発表は、診療にどのような影響を与えるのでしょう?ご覧ください。9月26日発表演題日本人へのトホグリフロジン投与、単剤・併用での長期試験成績が発表演題名:Efficacy and safety of tofogliflozin administered for 52 weeks as monotherapy or COMBOined with other oral hypoglycaemic agents in Japanese patients with type 2 diabetesBG薬併用時の全死亡リスクの差は?DPP-4阻害薬 vs SU薬演題名:Combination therapy with metformin plus sulfonylureas versus metformin plus DPP-4 inhibitors and risk of all-cause mortality9月25日発表演題初の前向き試験 発表!スタチンによる糖尿病新規発症への影響は?演題名:Effect of pitavastatin on the incidence of diabetes in Japanese individuals with impaired glucose tolerance9月24日発表演題GLP-1受容体作動薬「Albiglutide」、BG薬への上乗せ効果演題名:HARMONY 3: 104 week efficacy of albiglutide compared to sitagliptin and glimepiride in patients with type 2 diabetes mellitus on metformin2型糖尿病のCVD予測に、6つのマーカーが有用演題名:Biomarkers for prediction of CVD in type 2 diabetes

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シンポジウム「最小侵襲脊椎安定術MISt」第20回記念 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会より

2013年9月6~8日、名古屋市にて第20回記念 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会が行われた。学会中、今大会の会長である名古屋第二赤十字病院 整形外科・脊椎脊髄外科の佐藤公治氏が企画したシンポジウム「最小侵襲脊椎安定術MISt」が開催された(座長:慶応大学 石井賢氏、関西医科大学 齋藤貴徳氏)。シンポジウムでは世界のオピニオンリーダー10名による講演が行われ、 平日にも関わらず450名を超える参加者が日本およびアジアから集まり、 MIStについての熱い議論が交わされた。 ※最小侵襲脊椎安定術(MISt:Minimally Invasive Spine Stabilization)とは、低侵襲に脊椎固定するだけでなく制動や安定化も含めた手技の総称です。Limitation of MIS in Complex Deformity and Revision SurgeryJeffery S. Roh氏(Division of Proliance Surgeon, ProOrtho, Seattle Minimally Invasive Spine Center)The use of Minimally Stabilization(MISt) in Management of Advanced Metastatic Spinal DiseaseMun Keong Kwan氏(Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, University of Malaya)MIS-PLIFのアプローチによる低侵襲性向上の限界有薗 剛氏(公立学校共済組合九州中央病院 整形外科)腰椎変性側弯症に対する多椎間MIS-TLIF中野 恵介氏(高岡整志会病院 整形外科)転移性脊椎腫瘍に対する低侵襲脊椎安定術(MISt)の応用中西 一夫氏(川崎医科大学 脊椎・災害整形外科)骨粗鬆症椎体骨折に対する骨切りを併用したMIStによる治療経験富田 卓氏(青森市民病院 整形外科)PLIFに併用したCBTScrewの工夫~術後1年の短期成績より~大和田 哲雄氏(関西労災病院 整形外科)内視鏡支援下のXLIF手術稲葉 弘彦氏(岩井整形外科内科病院 整形外科)経皮的頚椎椎弓根スクリューを用いた低侵襲頚椎後方固定の工夫と限界染谷 幸男氏(国保小見川総合病院 整形外科・脊椎脊髄センター)化膿性脊椎炎に対する経皮的挿入椎弓根スクリューを用いた固定術の有用性男澤 朝行氏(帝京大学ちば総合医療センター 整形外科)総合討論※ 所属・施設等は、制作当時のものです。

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2型糖尿病のCVD予測に、6つのマーカーが有用

2型糖尿病における心血管疾患(CVD)予測因子として、NT-ProBNPを含む6つのバイオマーカーが有用であることが示唆された。関連のあったバイオマーカーは、NT-ProBNP、アポCIII(ApoCIII)、可溶性-RAGE(sRAGE)、高感度トロポニンT、IL-6およびIL-15の6つであった。演者のHelen C. Looker氏は、今回の結果についてIL-15が予測因子となることは新たな発見であり、ApoCIIIとsRAGEにおけるCVD発症との逆相関の関連についても、さらなる研究が必要であると語った。これまでに、2型糖尿病におけるCVD予測因子に有用とされるバイオマーカーは複数報告されている。そこで、CVD予測因子として有用なバイオマーカーを検索するため、5つのコホート研究の調査が実施された。本調査は、SUMMIT(SUrrogate markers for Micro- and Macrovascular hard endpoints for Innovative diabetes Tools)研究の一環である。対象となったコホート研究は、Go-DARTS(n=1,204)、スカニア糖尿病レジストリ(n=666)、MONICA/KORA(n=308)、IMPROVE(n=94)およびストックホルム研究(n=46)である。候補バイオマーカーとしては、糖尿病患者、非糖尿病患者を問わず、これまでの研究でCVDとの関連が報告された42のマーカーが選択された。年齢、性別、糖尿病罹患期間、BMI、血圧、HbA1c、トリグリセリド、LDL-C、HDL-C、eGFR、喫煙、薬物治療(降圧剤、アスピリン、脂質異常症治療薬およびインスリン使用を含む)を共変量として解析が行われた。主な結果は以下のとおり。2型糖尿病におけるCVD予測因子として、6つのバイオマーカー(NT-ProBNP、ApoCIII、sRAGE、高感度トロポニンT、IL-6、IL-15)が強い関連を認めた。●NT-ProBNP(OR = 1.74、95%CI:1.51~2.02)●ApoCIII(OR = 0.81、95%CI:0.73~0.91)●sRAGE(OR = 0.86、95%CI:0.78~0.96)●高感度トロポニンT(OR = 1.28、95%CI:1.12~1.47)●IL-6(OR = 1.19、95%CI:1.07~1.33)●IL-15(OR = 1.16、95%CI:1.05~1.28)NT-proBNPおよび高感度トロポニンTが2型糖尿病におけるCVD発症に関連していることが明らかになった。IL-6は一般的なCVD予測因子としても知られているが、2型糖尿病患者においても同じくCVD予測因子となることが本調査で確認された。IL-15と2型糖尿病におけるCVD発症の関連性が、今回新たに報告された。ApoCIIIとsRAGEにおいてCVD発症と逆相関の関連が示唆された。Looker氏は「2型糖尿病患者におけるCVD予測因子となるマーカーが、今後の研究によって、さらに明確化されることを願っている」と講演を終えた。

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BG薬併用時の全死亡リスクの差は?DPP-4阻害薬vs SU薬

SU薬+メトホルミンは最も一般的な併用の組み合わせであり、推奨されてきた。しかし、近年ではSU薬の安全性について懸念点があげられている。英国・カーディフ大学のC.J. Currie氏らは、メトホルミン処方中の患者における併用薬(DPP-4阻害薬、またSU薬)による全死亡リスクを評価した。本試験は、英国の臨床診療研究データリンク(CPRD)から抽出した2007年~2013年の間のSU薬あるいはDPP-4阻害薬のいずれかを併用したメトホルミン処方患者を対象とした。主要評価項目は全死亡であり、Cox比例ハザード・モデルを使用して比較した。結果は以下のとおり。主分析では、SU薬併用患者は3万3,983例、DPP-4阻害薬併用患者は7,864例であった。全死亡に関して、SU薬併用患者の調整ハザード比(aHR)は 1.36(95%CI:1.076~1.710、p=0.010)とDPP-4阻害薬併用患者に比較して増加した。現在、NICE(The National Institute for Health and Clinical Excellence)では、メトホルミンで効果不十分な場合にSU薬併用が推奨されている。Currie氏は、「メトホルミン服用患者において併用療法を始める場合は、これらのデータが考慮されるべきであり、さらに長期のコホート研究を実施したうえで、とくに総死亡に関しては治療選択による差を明らかにしていく必要がある」と述べた。

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食後血糖値と全身性掻痒症の関連が明らかに

 食後血糖値と全身性掻痒症には正の関連性があり、糖尿病患者では良好な食後の血糖コントロールが、全身性掻痒症を軽減することに有益性をもたらす可能性があることが、台湾国立大学病院のMei-Ju Ko氏らによる検討の結果、明らかになった。これまで、糖尿病患者において掻痒は頻度の高い症状にもかかわらず、血糖コントロールとの関連についてはほとんど明らかにされていなかったという。European Journal of Dermatology誌オンライン版2013年9月3日号の掲載報告。 本検討において研究グループは、2型糖尿病患者における全身性掻痒症と血糖コントロールとの関連を明らかにすることを目的とした。被験者は、糖尿病ケアシステムに登録されており、台湾の教育病院の皮膚科で検査を受けた385例であった。 被験者に対し、視覚アナログスケールなどを用いて詳細な面談調査を行い、さまざまなかゆみの特徴や強度を調べ、多変量ロジスティック回帰分析にて、全身性掻痒症と食後血糖、食前血糖、HbA1cとの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者385例のうち、全身性掻痒症を訴える患者は27.5%であった。・かゆみにより、24.5%が入眠困難を、15.1%は睡眠妨害を訴え、9.5%は睡眠薬を要した。・2型糖尿病患者において、食後血糖値が高い人ほど、全身性掻痒症を有する患者の割合が高率であった(OR:1.41、95%CI:1.05~1.90、p=0.002)。

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日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学

 欧米では、健常者と比較して、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者における肥満やメタボリック症候群の有病率が高い。しかし日本では、そもそも一般集団の過体重および肥満の有病率が、欧米と比較してかなり低い。新潟大学の鈴木雄太郎氏らは、日本の統合失調症入院患者について調査を行い、低体重の患者の割合が一般集団と比較して高いことを明らかにした。結果を受けて著者は「入院患者の身体的健康について、診療でより考慮する必要がある」と報告している。Psychiatry and Clinical Neurosciences(PCN)誌オンライン版2013年9月2日号の掲載報告。 研究グループは、日本の統合失調症入院患者における、低体重および過体重/肥満の有病率について調査した。被験者は統合失調症入院患者と、年齢・性で適合した健常ボランティア対照であった。BMI 値25以上を過体重/肥満、18.5~25未満を標準体重、18.5未満を低体重と定義した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者333例、健常対照191例について調べた。・両群間において、3つの体重定義の有病率に有意差が認められた(p<0.001)。・低体重の有病率は、統合失調症患者群が対照群と比べて有意に高率であった(p<0.001)。・また、統合失調症患者群のほうが対照群よりも、低タンパク血症(p<0.001)、低コレステロール血症(p<0.001)の有病率が有意に高率であった。・さらに統合失調症患者群において、低体重群における低トリグリセリド血症の有病率が、標準体重群および過体重/肥満群よりも有意に高率であった(各々 p=0.003、p<0.001)。・以上の結果を踏まえて著者は、「日本の統合失調症入院患者における低体重の有病率は、一般集団より高率の可能性がある。したがって、臨床診療において入院患者の身体的健康について、より慎重に考慮する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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ストレス潰瘍予防目的のPPI、術後肺炎リスクを増大/BMJ

 冠動脈バイパス術(CABG)を受ける患者に対してストレス潰瘍の予防目的でしばしば投与される胃酸分泌抑制薬について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のほうがH2ブロッカーよりも、術後肺炎リスクが1.19倍とやや高いことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrian T Bateman氏らが、全米約500病院からの患者データが集積されているPremier Research Databaseを用いた後ろ向きコホート研究の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年9月19日号掲載の報告より。CABG患者2万例超についてPPI対H2ブロッカーの術後肺炎発生を調査 術後肺炎は、心臓手術後によくみられる(2~10%)死亡リスクの高い(20~50%)合併症である。これまでPPIおよびH2ブロッカーの院内肺炎リスクとの関連を比較検討した報告はあるものの相反する結果が示されてきた。また心臓手術後患者を対象とした検討については、単施設対象の後ろ向き研究で、PPIのほうが2.7倍高かったという報告があるが、その一報にとどまっていたという。 今回研究グループが検討したPremier Research Databaseには、2004~2010年にCABGを受けた2万1,214例が登録されていた。 そのうち9,830例(46.3%)がPPIを、1万1,384例(53.7%)がH2ブロッカーを、術後間もなく投与開始されていた。 主要評価項目は、診断コードが付いた術後肺炎の発生とした。PPI群の相対リスク1.19、1,000患者当たり8.2例増大 入院期間中の術後肺炎の発生は、PPI群5.0%(492/9,830例)、H2ブロッカー群4.3%(487/1万1,384例)であった。 傾向スコア(患者特性)補正後も、PPI群の術後肺炎発生リスクはH2ブロッカー群よりも高率のままだった(相対リスク:1.19、95%信頼区間[CI]:1.03~1.38)。 また、操作変数(病院がどちらの薬を好んでいるか)について補正解析後、PPI使用はH2ブロッカー使用と比べて、1,000患者当たり8.2例(95%CI:0.5~15.9)の術後肺炎リスク増大と関連していた。 著者は、「ストレス潰瘍予防目的のPPI使用は、H2ブロッカー使用と比べて術後肺炎リスクがやや高い。同リスクは、さまざまな方法による交絡因子で補正後も変わらなかった」とまとめている。

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統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

 統合失調症の再発を繰り返す患者について、経口抗精神病薬(経口AP)から非定型持効性注射薬(非定型LAT)に切り替えた結果、再入院率および緊急救命室(ER)受診率が減少したことが、後ろ向きデータベース解析の結果から示された。カナダ・Groupe d’analyse社のMarie-Helene Lafeuille氏らがPremier Hospitalの過去5年間の電子カルテデータを解析して報告した。先行研究において非定型LATの有用性は示されているが、大半が再入院にのみ着目し入院やER受診については考慮されていなかった。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月10日号の掲載報告。 解析に用いられたのは、2006~2010年のPremier Hospitalデータベースの電子カルテデータであった。統合失調症関連の入院中に経口APを服用していた成人患者について、再発例(統合失調症による再入院)を特定し、また(a)非定型LATに切り替えた患者、(b)経口APを継続した患者、に階層化して評価した。評価は傾向スコアモデルを用いて、非定型LAT患者と経口AP患者を1対3の割合で適合させて行った。Andersen-Gill Cox比例ハザードモデルを用いて、時間経過に伴う複数回再発における全要因再入院率とER受診率への非定型LATの影響を評価した。多重性に関する調整は行われなかった。 主な結果は以下のとおり。・非定型LAT患者1,032例と適合した経口AP患者2,796例が評価に組み込まれた。両群の患者は、人口統計学的に釣り合いがとれており(平均年齢:42.1歳対42.4歳、p=0.5622/ 女性患者比:43.6%対44.6%、p=0.5345)、臨床的および入院先の病院特性も同様であった。・全体の追跡期間は平均30ヵ月間であった。その間に、非定型LAT群のほうが経口AP群と比較して、再入院(平均回数:1.25対1.61、p<0.0001)、ER受診(平均回数:2.33対2.67、p=0.0158)が有意に少なかった。同様に、入院日数も有意に少なかった(平均日数:13.46対15.69、p=0.0081)。・再入院率(HR:0.81、95%CI:0.76~0.87、p<0.0001)、ER受診率(同:0.88、0.87~0.93、p<0.0001)は、非定型LAT群のほうが経口AP群よりも有意に低下した。関連医療ニュース 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには

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高血圧・糖尿病患者のアドヒアランスは退職後に低下する

 日常生活の変化が、服薬アドヒアランスにどの程度影響するのかは不明である。ロンドン大学のMika Kivimaki氏らは、高血圧や2型糖尿病患者における服薬アドヒアランスの変化に退職が関連しているかどうかを調査した。その結果、高血圧では男女とも、2型糖尿病では男性において退職後の服薬アドヒアランスの低下が認められた。Canadian Medical Association Journal誌オンライン版2013年9月30日版に掲載。 著者らは、フィンランドにおけるFinnish Public Sector studyの参加者のデータを1994年~2011年の国内処方箋データと結び付け、高血圧患者3,468人と2型糖尿病患者412人について、退職前3年間と退職後4年間追跡した(平均追跡期間6.8年)。主要アウトカムは、服薬アドヒアランスの低い(治療日数の40%未満)患者の割合で、処方箋データを用いて調査した。 主な結果は以下のとおり。・退職前の低アドヒアランスの患者の割合は、高血圧の男性および女性で6%、2型糖尿病の男性で2%、2型糖尿病の女性で4%であった。・男性において、退職は、降圧薬(オッズ比[OR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.03~1.68)と糖尿病治療薬(OR:2.40、95%CI:1.37~4.20)の低アドヒアランスのリスク増加に関連していた。・女性では、低アドヒアランスのリスク増加は、降圧薬(OR:1.25、95%CI:1.07~1.46)のみでみられた。・この結果は、年齢層、社会経済的地位または合併症を問わず、差は認められなかった。・今回の知見が確証された場合、退職後のアドヒアランス低下を減じるための介入により、高血圧や糖尿病治療の臨床的アウトカムを改善するかどうかを検証する無作為化比較試験が必要である。

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幼児のアトピー性皮膚炎、寛解の予測因子

 フィンランド・スコーネ大学病院のLaura B. von Kobyletzki氏らにより、幼児におけるアトピー性皮膚炎について、寛解に関連する因子が分析・報告された。Acta Dermato-Venereologica誌2013年9月16日掲載の報告。 本試験は1~3歳の幼児(894例)を対象とした人口ベースのアトピー性皮膚炎コホート研究。2000年に横断調査を実施し、2005年までフォローアップ調査を行った。寛解と患者背景、健康状態、生活様式、環境的な変数との関連については、粗解析および多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・52%の幼児において、フォローアップ中にアトピー性皮膚炎が寛解した。・寛解のベースラインにおける独立予測因子は、より軽度のアトピー性皮膚炎(補正後オッズ比:1.43、95%CI:1.16~1.77)、遅発性アトピー性皮膚炎(補正後オッズ比:1.40、95%CI:1.08~1.80)、関節部以外のアトピー性皮膚炎(補正後オッズ比:2.57、95%CI:1.62~4.09)、食物アレルギーの既往なし(補正後オッズ比:1.51、95%CI:1.11~2.04)、農村部の居住(補正後オッズ比:1.48、95%CI:1.07~2.05)であった。・アトピー性皮膚炎の特定の病態と農村部の居住が寛解には重要であったものの、初期の仮説と異なり、今回の検討において環境要因は有力な予測因子とはならなかった。

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