サイト内検索|page:466

検索結果 合計:11808件 表示位置:9301 - 9320

9301.

疼痛の伝達を補助するスマホアプリ

 電子機器および情報テクノロジーは、疼痛の評価においてもますます用いられるようになっている。スペイン、ロビラ・イ・ビルジリ大学のRocio de la Vega氏らは、疼痛強度の伝達を補助するスマートフォンアプリを開発。その使用成績や使用満足感などを調べた。結果、医療従事者、非医療従事者を問わず、その使用において良好な有用性および受容性を示したことを報告した。Journal of Pain誌2014年10月号(オンライン版2014年5月20日号)の掲載報告。 研究グループが開発したスマートフォンアプリ「Painometer」は、4つの既知の有効性、信頼性が高い疼痛強度尺度(Faces Pain Scale-Revised[FPS-R]、Numerical Rating Scale-11[NRS-11]、Coloured Analogue Scale[CAS]、視覚アナログスケール[VAS])を包含したものであった。 検討では、医療従事者および非医療従事者にPainometerを使用してもらい、有用性(使用成績、満足度など)、受容性(使用したいという意欲など)について調べた。質的な有用性の検討は、2回反復使用してもらうことで評価し、また半構造化インタビューも行った。 使いやすさ、使用時の間違い、最も人気の高かった特徴、改良が示唆された点、受容性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・検討は、医療従事者24人、非医療従事者30人で行われた。参加者のコンピューター使用歴は平均10年であった。・1回目の試行において有用性の問題を解決するために、説明書を加えること、フォーマットおよびレイアウト項目の変更を行う必要があることが報告された。・それらを解決後の2回目の試行では、問題点は報告されなかった。・Painometerは、疼痛強度の評価精度の改善に役立つ、有用で、ユーザーフレンドリーなスマートフォンアプリであることが示された。

9302.

境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは

 児童期の虐待と境界性パーソナリティ障害(BPD)との結び付きは明らかであるが、最近の研究において、いくつかの児童虐待フォームがBPDおよびBPD特性と特異的に関連している可能性が示唆されている。また、感情制御の困難さが、児童期に受けた虐待、BPDおよびBPD特性と関係していることも報告されていた。カナダ・ライアソン大学のJanice R. Kuo氏らは、児童期の精神的虐待とBPD特性との関連を調べた。結果、さまざまな児童虐待フォームの中でもとくに精神的虐待が、BPDの発症に関与する可能性があると報告。「BPDの予防および治療は、感情制御の治療戦略から得るべきベネフィットがあるかもしれない」とまとめている。Child Abuse & Neglect誌オンライン版2014年9月2日号の掲載報告。 本検討では、(1)児童期に受けた精神的虐待の頻度が、その他の児童虐待フォームで調節した場合、BPD特性重症度と特異的な関連性を示すかどうか、(2)感情制御の困難さが、児童期の精神的虐待とBPD特性重症度との関連性によるものかどうか、の2点について調べた。大学生サンプル243例に、質問票(Childhood Trauma Questionnaire - Short Form, Difficulties in Emotion Regulation Scale, and Borderline Symptom List-23)に回答を記入してもらい、重回帰分析と構造方程式モデリングにて評価した。 主な結果は以下のとおり。・児童精神的虐待(性的・身体的虐待ではない)の頻度が、BPD特性重症度と特異的に関連していることが示された。・児童期における、精神的虐待、身体的虐待、性的虐待と、BPD特性との間に直接的な関連は認められなかったが、児童期の精神的虐待とBPD特性との間には、感情制御の困難さを介した間接的な関連が認められた。・以上、さまざまな児童虐待フォームのうち、とくに精神的虐待がBPDの発症に寄与する可能性が示された。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害、精神症状の特徴は 境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには  担当者へのご意見箱はこちら

9303.

日本の農村部の下肢静脈瘤有病率は2割超

 下肢静脈瘤は世界的にみられる疾病だが日本における有病率およびリスク因子は明らかになっていない。島根大学医学部皮膚科学教室の河野 邦江氏、同教授の森田 栄伸氏らは、島根県の農村部における静脈瘤患者の実態を調査した。結果、有病率は約20%で、欧州諸国で報告されている有病率と類似しており、長時間の立ち仕事と過体重が静脈瘤を悪化させる要因になっていることなどを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「下肢静脈瘤の予防戦略を開発していくうえで役立つ知見が得られた」とまとめている。Journal of Dermatology誌オンライン版2014年10月9日号の掲載報告。 調査は2012年、島根県の伝統的な農村地帯において健診で集めた45歳以上の男性113例、女性205例を対象としたものであった。 超音波検査で、大小伏在静脈の血流状態(逆流、閉塞)を調べ下肢静脈瘤を定義し、リスク因子をロジスティック回帰モデルで分析した。また、立ち仕事と過体重の考えられる相互作用を調べ、相乗作用指数を算出した。 主な結果は以下のとおり。・下肢静脈瘤は被験者の20.1%で認められた(男性12.4%、女性24.4%)。・既知のリスク因子である長時間にわたる直立姿勢の立ち仕事、BMI高値、女性、そして年齢も有意な因子であった。・過体重(BMI 25以上)と長時間にわたる直立姿勢の立ち仕事の複合的な影響は有意であった(補正後オッズ比:3.42、95%信頼区間[CI]:1.07~10.89)。ただし、相乗作用指数の有意性は認められなかった(1.3、95%CI:0.2~8.7)。・島根県の伝統的な農村部での下肢静脈瘤有病率は、欧州諸国で報告されている有病率と類似していた。 以上、長時間にわたる立ち仕事と過体重が、下肢静脈瘤の悪化要因であることが確認された。

9304.

認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的

 認知症治療におけるマッサージ療法は、各種症状の軽減に有用であると報告されている。スペイン・エストレマドゥーラ大学のJuan Rodriguez-Mansilla氏らは、認知症高齢者の疼痛、不安、抑うつ症状に対する、耳の指圧やマッサージの効果を評価した。Clinical rehabilitation誌オンライン版2014年10月16日号の報告。 対象はエストレマドゥーラ州のグループホームに入所している認知症高齢者120例。無作為に対照群、耳指圧介入群(耳ツボ指圧治療)、マッサージ療法群(マッサージによりリラックス)の3群に割り付けた。疼痛、不安、抑うつ症状の変化はDoloplus2、Cornell、Campbellの尺度で評価した。研究期間は治療介入期3ヵ月、フォローアップ期2ヵ月の計5ヵ月とした。評価は、ベースラインおよび毎月行った。統計分析では、3群間で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・111例が試験を完遂した(67~91歳、86例[77.4%]が女性)。・耳指圧介入群では、治療介入期およびフォローアップ1ヵ月において、マッサージ療法群と比較して疼痛と抑うつ症状のより高い改善効果が認められた。・痛みの改善効果が最大だったのは、耳指圧介入の最終月(3ヵ月目)であった(p<0.001、平均改善:8.55[4.39]、95%CI:7.14~9.95)。・不安症状の改善効果が最大だったのも、治療の最終月であった(平均改善:9.63[5.00]、95%CI:8.02~11.23)。・耳指圧介入やマッサージ療法は、対照群と比較し、疼痛、不安、抑うつ症状に対し、良好な改善効果を示した。とくに、耳指圧介入はより高い改善効果が認められた。関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症の精神症状、さらなる評価が必要 認知症に対するアロマテラピー、効果はあるか  担当者へのご意見箱はこちら

9305.

難治例へのクロザピン vs 多剤併用

 治療抵抗性統合失調症患者に対し、ともするとクロザピンの代替として、抗精神病薬の多剤併用療法などの推奨されない治療が行われている。米国テキサス大学のDawn I Velligan氏らは、クロザピン単独療法と抗精神病薬多剤併用による治療およびコストについて比較を行った。Psychiatric services誌オンライン版2014年10月15日号の報告。 検討にはMedicaid MarketScanのデータベースを用いた。対象は、18~64歳の統合失調症患者(ICD-9-CM診療コード295.XX)のうち、2006年7月~2009年1月の間に第二世代抗精神病薬の多剤併用またはクロザピン単独療法を開始し、治療前6ヵ月および治療後12ヵ月のデータを取得できた患者。研究アウトカムは、疾患特異的入院、すべての原因による入院、救急部門(ED)受診、コストとした。分析には、人口統計学的要因、対象期間以前の薬剤使用率、併存疾患によって調整したロジスティック回帰分析と一般化線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象症例はクロザピン単独療法群479例、抗精神病薬多剤併用群2,440例。クロザピン単独療法群では、抗精神病薬多剤併用群よりも「若年、併存疾患が少ない、対象期間前の薬剤使用率が低い、非白色人種、男性」などの特徴がみられた。・ベースラインの差をコントロール後の分析では、クロザピン単独療法において精神疾患関連のED受診(OR:0.75、95%CI:0.60~0.95)、統合失調症関連のED受診(OR:0.70、95%CI:0.54~0.90)のより低いオッズと関連していたが、入院やすべての原因によるED受診との関連は認められなかった。・総医療費はクロザピン単独療法のほうが多剤併用よりも有意に低かった(すべての原因による医療費:-2万1,315ドル、精神疾患関連:-1万7,457ドル、統合失調症関連:-1万582ドル)。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」 治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

9306.

骨密度と疼痛は関連するのか?

 これまで多くの試験が、骨粗鬆症治療後の腰痛改善を報告しているが、骨粗鬆症が疼痛を伴うのかについては十分なエビデンスはない。韓国・盆唐ソウル大病院のKyoung Min Lee氏らは50歳以上の閉経後女性を対象に骨密度(BMD)と筋骨格痛が関連するかどうかを調べた。結果、変形性関節症の程度で補正後、筋骨格痛と骨密度の関連は認められなかったことを報告した。Clinical Rheumatology誌オンライン版2014年10月7日号の掲載報告。 研究グループは、第5次韓国健康・栄養調査のデータベースから50歳以上の閉経後女性のデータを集め、股関節・膝関節痛、腰痛症および活動レベルについて、人口統計学的、Kellgren-Lawrence分類、Numerical Rating Scale(NRS)により分析。筋骨格痛とBMDが相関するかどうかを調べた。 分析には、DEXAスキャンおよび股関節・膝関節のX線写真の記録のある被験者のみを包含。また悪性疾患、鎮痛薬服用または骨折既往歴のある人も除外した。 単変量解析後、重回帰分析法にて、股関節・膝関節痛の程度と有意に関連する因子を調べた。またバイナリロジスティック回帰分析を行い、腰痛症と有意に関連する因子の特定を行った。 主な結果は以下のとおり。・総計387例の女性を分析に組み込んだ。・重回帰分析の結果、年齢が唯一、股関節痛の強度と有意に関連する因子であった(p=0.005)。・膝関節痛の強度と有意に関連する因子は唯一、Kellgren-Lawrence分類であった(p<0.001)。・バイナリロジスティック回帰分析の結果、腰痛症の強度と関連する因子は唯一、年齢であった(p=0.002)。 以上のように、筋骨格痛は、BMDの影響は認められず、また関連も認められなかった。

9307.

股部白癬、体部白癬の治療エビデンスは?

 オランダ・ライデン大学医療センターのE J van Zuuren氏らは、股部白癬と体部白癬の局所治療の有効性および安全性のエビデンスを評価するコクラン系統的レビューを行った。129試験、被験者1万8,086例を包含し分析した結果、薬剤塗布による積極的治療はいずれも大半は効果的であることが示されたが、臨床意思決定に役立つエビデンスを示すには、さらに質の高い無作為化試験の必要性が判明したと報告している。股部白癬、体部白癬は一般開業医、皮膚科医がいずれも最もよく遭遇する真菌感染症である。British journal of dermatology誌オンライン版2014年10月7日号の掲載報告。 股部白癬、体部白癬の大半は、さまざまな外用抗真菌薬による治療が行われている。 検討は、Cochrane Skin Group Specialised Register、CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、LILACSなどを2013年8月時点で検索して行われた。 主な結果は以下のとおり。・129試験、被験者1万8,086例が参加した無作為化試験を包含して介入評価を行った。・介入の大半は、アゾール系薬によるものであった。・プールできたアウトカムのデータは、2つの治療についてのみであった。・テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)は5試験におけるデータから、プラセボと比較して統計的に有意な臨床的治癒率が認められた(RR:4.51、95%CI:3.10~6.56)。・真菌別の治療データは、不均一性が大きくプールすることができなかった。・真菌学的治癒率は、ナフチフィン1%含有薬(国内未発売)がプラセボと比較して良好であることを支持するデータであった(3試験、RR:2.38、95%CI:1.80~3.14)。しかし、エビデンスの質は低かった。・アゾール+コルチコステロイド系薬は、アゾール系薬単独よりもわずかではあるが効果的であった。しかし、真菌学的治癒率に関する統計的な有意差は認められなかった。・65試験が「不明」であるとの評価を、また64試験は「バイアスリスクが高い」との評価をしていた。被験者は大半が20歳超であり、試験デザインが不十分で、報告も不十分であった。

9308.

境界性パーソナリティ障害、精神症状の特徴は

 DSM-IV分類の境界性パーソナリティ障害(BPD)では精神病性症状の頻度が高いことが、従来の研究で示されているが、その発症率と特徴(タイプ、頻度、期間、部位など)に関しては現在のところコンセンサスは得られていない。同様に、精神的反応性について取り組んだ論文もほとんどなかった。イタリア・トリノ大学のFrancesco Oliva氏らは、BPDと統合失調症(SC)における思考および知覚障害の相違を検討し、それらと社会的機能との関連を評価した。その結果、BPD患者はSC患者と比べ、偽精神病性思考の頻度が高く、真性精神病性思考の頻度が低く、非妄想性パラノイアがより重症であること、人格・社会機能の程度が非妄想性パラノイアを有意に予測することを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年10月3日号の掲載報告。 精神的反応性はBPDを構成する重要な要素である。同時に、これはDSM-IV BPDで提示されている9項目の1つであり、DSM-IV-TRとDSM-5でも変わらず含まれている。本研究の目的は、DSM-IV分類のBPDとSCにおける思考および知覚障害の相違を検討するとともに、それらと社会的機能との関連を評価することであった。DSM-IV分類でBPD(28例)またはSC(28例)と診断された外来患者を対象とし、過去2年にわたる思考と知覚障害をDiagnostic Interview for Borderline Revised (DIB-R)を用いて、また社会機能をPersonal and Social Performance scale(PSP)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・BPD患者では、偽精神病性思考(すなわち一過性、制限的および非定型的精神行動) の頻度がより高かった(BPD=82.1%、SC=50%、p=0.024)。・一方、SC患者では、真性精神病性思考(すなわちシュナイダーの1級症状、遷延化、拡大、および奇異な精神病性症状)の頻度がより高かった(SC=100%、BPD=46.4%、p<0.001)。・ただし、BPD群、SC群のいずれにおいても、両方の精神病性特徴が広く認められた。・非妄想性パラノイア(すなわち過度の疑い深さおよび関係念慮)は散見されたが、SC患者に比べBPD患者でより重症であった(U(54)=203.5、p=0.001)。・BPD群では人格・社会機能と非妄想パラノイアの間に強い負の関連がみられ(τ(28)=0.544、p=0.002)、BPD群においてのみ人格・社会機能の程度が非妄想性パラノイアを有意に予測した(β=-0.16、t(23)=2.90、p=0.008)。・以上より、BPD患者はSC患者と比べ、偽精神病性思考の頻度が高く、真性精神病性思考の頻度が低く、非妄想性パラノイアがより重症であり、重度の精神病性経験がより少ないことがわかった。・BPD患者では、対人関係の機能が非妄想性パラノイアの予測につながると思われ、DSM-IV診断分類の9項目およびDSM-5分類のBPDに含まれるストレス関連パラノイドの妥当性が確認された。・BPD患者では精神病性経験サブスケールが高スコアであり、DSM-5のSection IIIで紹介されているthe Clinician-Rated Dimensions of Psychosis Symptom Severity など、思考と知覚障害の重症度を評価するツールの使用が支持される。関連医療ニュース 境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには 境界性パーソナリティ障害患者の症状把握に期待!「BPDSI-IV」は有用か  担当者へのご意見箱はこちら

9309.

肛門性器疣贅の治療、ワクチンvs. 従来療法

 肛門性器疣贅(Anogenital Warts:AGW)の治療について、病巣内Mycobacterium w(Mw)ワクチン接種と従来療法である5%イミキモドクリーム塗布を比較した無作為化試験の結果、HPV-6に対する有効性は同等であることなどが示された。インド・All India Institute of Medical SciencesのPankaj Kumar氏らによる報告で、これまで両者の比較は行われておらず、有効性のエビデンスは不確かであった。今回の結果を踏まえて著者は、「有効性と安全性は両治療で同等である」とまとめている。JAMA Dermatology誌2014年10月号(オンライン版2014年8月6日号)の掲載報告。 検討は、二重盲検無作為化臨床試験にてニューデリーで2009年2月から2012年7月に行われた。フォローアップは3ヵ月間行われた。 159例のAGW患者をスクリーニングし、89例を無作為に割り付け、一方には5%イミキモドクリーム塗布とプラセボ接種を(44例)、もう一方にはMwワクチン接種とプラセボクリーム塗布を行った(45例)。 主要エンドポイントは、可視によるAGWの臨床的治癒とし、副次評価は、AGWの表面積の縮小割合、HPV-6およびHPV-11のウイルス量減少などであった。 主な結果は以下のとおり。・intention-to-treat解析において、イミキモド群患者59%(26例)、Mw群患者の67%(30例)が、完全な治癒を達成した(p=0.52)。・高リスク遺伝子型を含む18のHPV遺伝子型が検出されたが、治療群間で有意差はなかった(すべてのp>0.05)。・Mw群は、HPV-6およびHPV-11の平均ウイルス量が、有意に低下した(p=0.003、p=0.03)。・しかし、イミキモド群は、HPV-6のみ有意に低下した(p=0.01)。・フォローアップ3ヵ月時点で完全に治癒し重大有害イベントのなかった患者では、AGWの再発はみられなかった。

9310.

ヘテロ型家族性高Chol血症、PCSK9阻害薬追加で改善/Lancet

 ヘテロ型家族性高コレステロール血症(FH)の治療において、PCSK9阻害薬エボロクマブ(AMG 145)の追加により、LDLコレステロール(LDL-C)が迅速かつ大幅に低減することが、南アフリカ共和国・Witwatersrand大学のFrederick J Raal氏らが行ったRUTHERFORD-2試験で示された。本症はLDL-Cの代謝に関与する主要蛋白をコードする遺伝子の変異に起因し、細胞内へのLDL-C取り込み低下、血漿LDL-C濃度上昇、若年性心血管疾患の発症を特徴とする。強化スタチン治療、エゼチミブ併用の有無にかかわらず、多くの患者がLDL-Cの推奨目標値に到達しないという。エボロクマブを含むPCSK9阻害薬の第I/II相試験では、既存のコレステロール低下薬との併用でさらに55~60%の低下効果が確認されていた。Lancet誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。2種類の用量を4群の無作為化試験で評価 RUTHERFORD-2試験は、ヘテロ型FH患者に対するエボロクマブ治療のLDL-C低下効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18~80歳、Simon Broome基準で本症と診断され、4週以上のスタチン継続投与を受け、空腹時LDL-Cが2.6mmol/L(100mg/dL)以上の患者であった。エゼチミブ、レジン、スタノール、ナイアシンの併用が許容された。 被験者は、エボロクマブ140mgを2週ごとに皮下投与する群、同420mgを1ヵ月ごとに皮下投与する群、プラセボを2週ごとおよび1ヵ月ごとに皮下投与する群に、2対2対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 投与頻度が同じ治療群内(2つの2週投与群、2つの1ヵ月投与群)では、患者、試験関係者、担当医、試験資金を拠出したアムジェン社の担当者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、LDL-Cのベースラインから12週までの変化率および10週と12週における平均値の変化率の複合エンドポイントとした。 2013年2月7日~12月19日までに、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、ニュージーランド、北米、南アフリカの39施設から331例が登録され、エボロクマブ140mg/2週群に111例、プラセボ/2週群に55例、420mg/月群に110例、プラセボ/月群には55例が割り付けられた。治療開始前に脱落した2例(2週投与群の1例ずつ)を除く329例が解析の対象となった。1.8mmol/L(70mg/dL)未満を達成した患者が60%以上に ベースラインの全体の平均年齢は51歳、女性が42%、白人が89%で、冠動脈疾患患者が31%含まれ、LDL-Cの平均値は4.0mmol/L(154mg/dL)であった。全例がスタチン治療を受け、そのうち強化スタチン治療が87%で実施され、エゼチミブの併用は62%で行われていた。 エボロクマブの両用量群ともに、12週時のLDL-Cがプラセボ群に比べ有意に低下した(2週投与群が59.2%の低下、1ヵ月投与群は61.3%の低下、いずれもp<0.0001)。10週と12週時のLDL-Cの平均値にも、同様の有意な改善効果が認められた(それぞれ60.2%、65.6%の低下、いずれもp<0.0001)。 2つの用量のエボロクマブ群はいずれも忍容性が良好で、有害事象の発現率はプラセボ群と同等であった。プラセボ群よりもエボロクマブ群で頻度の高い有害事象のうち、最も高頻度にみられたのは鼻咽頭炎(9%[19例]vs. 5%[5例])であり、次いで筋肉関連有害事象(5%[10例]vs. 1%[1例])であった。 著者は、「エボロクマブの低用量2週投与、高用量1ヵ月投与は、ともに良好な忍容性を示し、いずれも3ヵ月でプラセボに比べLDLコレステロールの約60%の低下をもたらした。また、低用量群の68%、高用量群の63%が1.8mmol/L(70mg/dL)未満を達成した」とまとめ、「これは、治療によってLDLコレステロールが健常者と同程度にまで改善したことを意味する。エボロクマブの効果は、本症の遺伝子変異とは関連しないことが示唆される」と指摘している。

9311.

認知症の精神症状、さらなる評価が必要

 認知症をめぐる精神神経症状は、介護者のストレス、および施設入所を決定付ける主要因子である。しかし、その有病率、また薬物療法や介護者ストレス、さらにプライマリケア資源利用との関連については、ほぼ不明である。ドイツ・ロストック大学のStefan J. Teipel氏らは、プライマリケア介入試験から抽出したサンプルで、それらを明らかにする検討を行った。結果、プライマリケアの介入デザインにおいて、さらなる精神神経症状への介入を強調する所見が得られたことを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年9月23日号の掲載報告。 研究グループは、プライマリケア介入試験から抽出したサンプルで、精神神経症状の頻度を評価した。患者は、それぞれのプライマリケア医によって認知症スクリーニングを受けていた。試験担当看護師が、往診時にNeuropsychiatric Inventory(NPI)を用いた代行面談調査を行い、患者176例の精神神経症状を評価。さらに、全般的な症状(MMSE評価による)、生活の質(QoL-AD)、認知症サービスの利用(RUD)、介護者のストレス(BIS)、向精神薬療法に関するデータを入手して分析した。分析は、線形混合効果モデルにて、担当医が一般診療所の医師であった患者集団を取り込んで行われた。主な結果は以下のとおり。・臨床的に重要な精神神経症状(NPIスコア4以上)を有していた患者は、約53%であった。・NPIスコア高値と認知障害がより重度であること、介護者ストレスがより高いこと、患者の介護サービス利用がより多いこととの間に、有意な関連が認められた。・一方で、NPIスコア高値と、プライマリケア医の正式な認知症診断との関連はみられなかった。・抗精神病薬の使用は、NPIスコア高値(とくに非精神病領域)と関連していた。・以上、スクリーニングで認知症陽性であったプライマリケア集団において、精神神経症状は、サービス利用や介護者ストレスとの関連が認められた。・ガイドラインの推奨とは対照的に、抗精神病薬の使用は、非精神病性の行動症状の領域と関連していた。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較  担当者へのご意見箱はこちら

9312.

子宮移植による生児出産、世界初の成功例/Lancet

 先天的に無子宮の35歳の女性に、61歳の女性の子宮を移植し生児出産に成功したとの報告が、Lancet誌オンライン版2014年10月5日号に掲載された。報告を行ったのはスウェーデン・イェーテボリ大学のMats Brannstrom氏らのチームで、子宮移植後の生児出産としては初めての成功例だという。子宮移植は、無子宮または非機能性子宮に起因する絶対的な不妊の第一選の治療法で、これまでに世界で11件のヒト子宮移植が試みられている。ロキタンスキー症候群女性に閉経後女性の子宮を移植 子宮移植を受けたのは、ロキタンスキー症候群によるミュラー管無発生のため先天的に子宮を欠いた35歳の女性。移植術は、子宮を原因とする絶対的不妊の女性9例を対象とする臨床試験の一環として2013年、イェーテボリ市のSahlgrenska大学病院で行われた。 子宮のドナーは2度の経産歴(26および29歳時に経膣分娩)のある61歳の生存女性(非喫煙者、BMI 20、約7年前に閉経)で、レシピエントとは家族ぐるみの友人であった。 移植に先立って、レシピエントとパートナーによる体外受精が実施され、11個の受精卵(胚)が凍結保存された。 レシピエントとドナーは、移植術後、実質的に無事に回復した。レシピエントは、術後43日目に最初の月経に至り、その後は規則正しい周期(中央値32日、26~36日)で継続した。妊娠31週5日目、妊娠高血圧腎症にて帝王切開 レシピエントは、術後1年目に最初の胚移植(1個の受精卵)を受け妊娠した。免疫抑制薬3剤(タクロリムス、アザチオプリン、コルチコステロイド)の投与が開始され、妊娠期間を通じて継続投与された。子宮頸部生検で、3回の軽度拒絶反応(9日、2ヵ月28日、6ヵ月24日、すべて臨床症状なし)が認められたが、いずれもコルチコステロイド投与で回復した。 胎児発育パラメータ(大腿骨長、児頭大横径、腹部径、体重など)や、子宮動脈および臍帯動脈の血流は、妊娠期間を通じて正常であった。妊娠31週5日目、妊婦は妊娠高血圧腎症[血圧180/120mmHg、軽度頭痛、蛋白尿(尿中アルブミン18mg/L)、血小板数の低下(96×109/L)]を来し同病院産科に入院となった。 入院後10時間頃から陣痛回数が増加し始め、分娩監視装置(cardiotocography)で胎児心拍と陣痛の異常が認められた。その後、異常パターンが繰り返されたため、入院から16時間の時点で帝王切開を行った。 体重1,775g(在胎週数の正常体重)、アプガースコア正常(9、9、10点)の男児が誕生した。新生児の状態は良好で、光線治療のみでroom airにて管理が行われた。母親の状態も良好であり、血圧は自然に正常化しそれ以上の治療を必要としなかった。帝王切開後3日目に退院し、その後は外来通院でフォローアップを行っている。 著者は、「今回の初めての生児出産例は、子宮が原因の絶対的不妊の若い女性に対する治療としての、子宮移植の可能性を世界に向けて開くもの」とする一方で、「不妊治療としての子宮移植の有効性は確立されておらず、この女性も参加した進行中の臨床試験が光明を投じる可能性はあるが、医学的および心理学的なリスクがあることも事実である」と指摘している。

9313.

皮膚症状関連の死亡率 ―過去20年間のデータ比較

 米国・ジョージタウン大学のLindsay N. Boyers氏らは、過去約20年間の発展途上国137ヵ国と先進国50ヵ国における皮膚症状に関連した死亡率を調べた。その結果、発展途上国と先進国では皮膚症状関連の死亡負荷が異なり、メラノーマ、はしか、梅毒の格差が最も大きいことが明らかにされた。著者は、「この結果は、予防や治療において何を優先かつ最適化すべきかについて役立つだろう」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年10月2日号の掲載報告。 疾病負荷研究は、系統的に編集された動態統計情報や疫学研究論文、政策および各種リソースなどを含むデータベース研究である。 研究グループは、1990~2010年の発展途上国137ヵ国と先進国50ヵ国における皮膚疾病に関連した死亡率を調べた。 断面調査にて、10カテゴリーの皮膚症状について対象国の平均年齢標準化死亡率(10万人当たり)を算出。同皮膚障害からの死亡格差を1990年と2010年で比較し、また発展途上国と先進国で比較した。 主な結果は以下のとおり。・メラノーマの死亡率は、発展途上国と比べて先進国は、1990年時点では5.6倍、2010年時点では4.7倍高かった。・一方で、はしかの死亡率は、先進国と比べて発展途上国が1990年時点で345倍、2010年時点で197倍高かった。・また梅毒の死亡率は、発展途上国がそれぞれ33倍、45倍高かった。・本検討は、患者、医療提供者、地理的レベルの交絡因子補正に限界があり、結果の精度および普遍化には限りがある。

9314.

統合失調症と利き手に関するメタ解析

 統合失調症は右利きでない例が多いことを特徴とするという概念は、統合失調症が異常な脳側性化により発症、そして遺伝的に関連しているという理論の基礎となっている。レビューおよびメタ解析により、統合失調症患者では右利きでない者が高率であることが報告されている。ただし、これらの結果は、性別の問題あるいは自己報告に基づく利き手に関する質問票に潜むバイアスによるものではないかとの指摘があった。 ノルウェー・ベルゲン大学のMarco Hirnstein氏らは、統合失調症では右利き以外の患者が多いという概念を検証するメタ解析を行った。その結果、性別および質問票にかかわらず、右利きではない患者が多かったことを報告した。結果を踏まえて著者は、「所見は真の意味で経験的な知見であり、統合失調症と脳側方化との遺伝的な関連を実際に反映している可能性がある」とまとめている。British Journal of Psychiatry誌2014年10月号の掲載報告。 研究グループは、性別を問わず右利きでない患者が高率にみられるのか、そして行動的評価における利き手が右利きではない頻度を明らかにすることを目的に、メタ解析を行った。電子データベースを用い、(a)統合失調症における男女別の右利き以外の頻度を対照と比較した研究、(b)統合失調症患者の利き手を行動的に評価した際の右利き以外の頻度(性別を問わず)を検討した研究、以上を検索した。  主な結果は以下のとおり。・女性におけるオッズ比(OR)は1.63(患者621例、対照3,747例)、男性におけるORは1.50(患者1,213例、対照3,800例)であった。1.0超の有意な差を認め、男女ともに対照と比べて右利き以外の例が多いことが示唆された。・さらに、行動的に利き手を評価した結果、ORは1.84(患者1,255例、対照6,260例)であり、統合失調症患者では右利き以外の例が多かった。・性別と行動的利き手評価を同時補正後も、右利き以外の例が多いという結果が確認された。・以上より、統合失調症患者において右利き以外が多いことは、性別の問題あるいは利き手質問票のバイアスによるものではないことが明らかとなった。関連医療ニュース 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 6分間歩行で統合失調症患者の身体評価 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター  担当者へのご意見箱はこちら

9315.

若年者の大動脈弁置換、機械弁より生体弁/JAMA

 50~69歳の若年者大動脈弁置換における弁の選択は、生体弁のほうが機械弁よりも妥当(reasonable)な選択肢であることが明らかにされた。米国・マウントサイナイ医療センターのYuting P. Chiang氏らが、患者4,253例について後ろ向きコホート分析を行った結果、15年生存および脳卒中について両群間で有意差は認められなかった。生体弁患者のほうが再手術を受ける可能性が大きかったが、大出血を起こす可能性は低かったという。若年者大動脈弁置換における弁の選択は、長期生存や重大疾患の発生について明らかになっておらず、論争の的となっていた。JAMA誌2014年10月1日号掲載の報告より。50~69歳術後患者4,253例の生存や脳卒中発生などを後ろ向きに分析 分析は、Statewide Planning and Research Cooperative Systemで被験者を特定し、1997~2004年にニューヨーク州で生体弁もしくは機械弁による大動脈弁置換手術を受けた50~69歳の患者4,253例を対象に行われた。 追跡期間中央値は10.8年(範囲:0~16.9年)だった(死亡に関する最終フォローアップは2013年11月30日)。 傾向マッチング法で1,001組の患者ペアを作成し、分析を実施。主要アウトカムは、全死因死亡とし、副次アウトカムは脳卒中、再手術、大出血の発生などだった。生存、脳卒中発生に有意差はないが、妥当な選択肢は生体弁 生体弁置換を受けた患者は1,466例(34.5%)、機械弁は2,787例(65.5%)だった。 結果、両群患者間で、生存または脳卒中発生率について有意差は認められなかった。 15年生存率は、生体弁群60.6%(95%信頼区間[CI]:56.3~64.9%)、機械弁群62.1%(同:58.2~66.0%)だった(ハザード比[HR]:0.97、95%CI:0.83~1.14)。 15年脳卒中累積発生率は、それぞれ7.7%(95%CI:5.7~9.7%)、8.6%(同:6.2~11.0%)だった(HR:1.04、95%CI:0.75~1.43)。 15年再手術累積発生率は生体弁群が有意に高率だった(12.1%vs. 6.9%、HR:0.52、p=0.001)。一方、15年大出血累積発生率は、機械弁群が有意に高率であった(6.6%vs. 13.0%、HR:1.75、p=0.001)。 30日死亡率は、脳卒中後18.7%、再手術後9.0%、大出血後13.2%だった。 以上から著者は「若年患者では、生体弁が妥当な選択肢であることを示唆するものであった」とまとめている。

9316.

中国、日本は他国より疼痛有病率・治療率が低い

 米国・Kantar Healthが実施したNational Health and Wellness Survey(NHWS)によると、新興国と先進国のいずれにおいても、疼痛はQOLや機能、活動、労働生産性などすべての健康状態の評価項目に影響していることが明らかになった。また、新興国の中国、先進国の日本はともに、他の国よりも疼痛有病率と治療率が低いことも報告された。同社のAmir Goren氏は報告で、「今回の結果は世界における疼痛の疾病負荷を幅広く理解する助けになる」とまとめている。Pain Medicine誌オンライン版2014年9月12日号の掲載報告。 2011~2012年に実施されたNHWSのデータを用い、疼痛(神経障害性疼痛、線維筋痛、腰痛、手術痛、関節炎疼痛)の有無別に社会人口統計学的特性、QOL、労働生産性、活動機能障害および医療財源の使用について解析し、新興国(ブラジル、中国、ロシア)と先進国(EU、日本、米国)とで比較した。 主な結果は以下のとおり。・疼痛有無の回答は、先進国では、疼痛なし12万8,821例、疼痛あり2万9,848例、新興国では、疼痛なし3万7,244例、疼痛あり4,789例であった。・疼痛有病率および治療率は、中国がそれぞれ6.2%および28.3%、日本が4.4%および26.3%で、他の国々(≧14.3%および35.8%)と比べて低かった。・疼痛は先進国および新興国のいずれにおいても、QOLの重大な障害、生産性および医療財源使用と関連していた。・先進国では生産性と身体的な健康状態、新興国では精神的健康状態と医療財源使用に対する影響がより大きかった。

9317.

ホモ型家族性高Chol血症、PCSK9阻害薬で改善/Lancet

 新規開発中のコレステロール低下薬エボロクマブ(AMG 145)について、ホモ接合型家族性高コレステロール血症でスタチン療法などの継続的な脂質低下療法を受けている患者に投与することで、LDLコレステロール(LDL-C)値が約3割低下することが示された。南アフリカ共和国・Witwatersrand大学のFrederick J Raal氏らが第III相無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。エボロクマブは、LDL-Cの能力を低下する前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害する。Lancet誌オンライン版2014年10月2日号掲載の報告。エボロクマブを4週間ごと12週投与 試験は、北米、欧州、中東、南アフリカの10ヵ国17ヵ所の医療機関を通じて行われ、12歳以上のホモ接合型家族性高コレステロール血症の患者を対象とした。被験者は、スタチン療法(全患者が受けていた)などの脂質低下療法を4週間以上受けており、LDL吸着療法を受けていた患者は登録時に除外された。 被験者を無作為に2対1の割合で2群に分け、エボロクマブ 420mgまたはプラセボを、それぞれ4週間ごと12週にわたり皮下注で投与した。無作為化は、LDL-C値11mmol/L未満または以上で分類して行った。 主要エンドポイントは、12週時点におけるLDL-C値のベースラインからの変化だった。12週時点のLDL-C、エボロクマブ群でプラセボ群より30.9%減少 試験適格患者は50例、そのうち49例が試験を終了した(そのうちエボロクマブ群は33例)。 12週間時点のエボロクマブ群のLDL-C値は、プラセボ群に比べ30.9%減少した(95%信頼区間:-43.9~-18.0%、p<0.0001)。 治療下で発生した有害事象は、プラセボ群10例(63%)、エボロクマブ群12例(36%)だった。また、重大有害事象の発生や抗エボロクマブ抗体の発現は認められなかった。

9318.

ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM

 ICU入室の重症患者への早期栄養療法について、経静脈ルート(静脈栄養法)と経腸ルート(経腸栄養法)を比較した結果、30日全死亡率などのアウトカムは同等であることが示された。低血糖症と嘔吐の発生については、静脈栄養療法群で有意に低率だった。英国・Intensive Care National Audit and Research Centre(ICNARC)のSheila E. Harvey氏らが、ICU患者2,400例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。同早期栄養療法については、いずれのルートが最も効果的かについて明らかとなっていなかった。NEJM誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。入院36時間以内~5日まで栄養療法を実施 検討は、英国33ヵ所のICUに緊急入室した成人重症患者2,400例を登録して行われた。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には早期静脈栄養を、もう一方には早期経腸栄養を、それぞれ入院36時間以内から行い最長5日まで継続した。 主要アウトカムは、30日後の全死亡率だった。30日全死亡率は両群とも33~34% 被験者のうちデータが得られた2,388例(99.5%、静脈栄養群1,191例、経腸栄養群1,197例)について分析を行った。 30日全死亡率は、静脈栄養群が33.1%(393/1,188例)、経腸栄養群が34.2%(409/1,195例)であり、両群で同等だった(静脈栄養群の相対リスク:0.97、95%信頼区間:0.86~1.08、p=0.57)。 低血糖症の発生率については、静脈栄養群が3.7%(44例)に対し経腸栄養群が6.2%(74例)、嘔吐はそれぞれ8.4%(100例)と16.2%(194例)と、いずれも静脈栄養群で有意に低率だった(それぞれp=0.006、p<0.001)。 しかしながら、平均治療感染性合併症件数(0.22vs. 0.21、p=0.72)や90日死亡率(37.3%[442/1,184例]vs. 39.1%[464/1,188例]、p=0.40)、およびその他14項目の副次アウトカム、有害事象発生率については、両群で有意差は認められなかった。 なお、両群のカロリー摂取量は類似しており、いずれもほとんどの患者で摂取目標値には達しなかった。

9319.

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の内科的治療の選択について(解説:小林 英夫 氏)-261

まず、掲載された本論文の概略にお目通しいただきたい。本論文から読み取るべき点は、どのような薬剤が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として優れているかについてランダム化試験を実施すべきである、という記述に尽きるというのが筆者の印象である。 Gershon氏らが指摘するように、COPDの内科的治療法には複数の選択肢が存在し、いずれも有効性を支持する報告に裏付けられているものの、最適な治療法がどれなのかについては不明なままである。 本報告では長時間作用性β2刺激薬と吸入ステロイド薬(LABA+ICS)併用群とLABA単独群間で、死亡と入院の発生をアウトカムとして検討を行った。約2年半の追跡によりLABA+ICS併用群において軽度良好な結果が示されたが、この記述をそのまま受け入れるには少なからぬ問題点がある。 本論文は約1万2,000例という多数例を基にした解析であり、それなりの意義があることは間違いない。また、本邦で2薬剤の有効性比較試験を多数例で実行することの困難性を想定すれば、本研究から得られる示唆は重要であろう。しかし、本報告を根拠として今後のCOPD治療を変更することは早計に思う。本報告は薬剤効果を比較する試験デザインではないことを意識していただきたい。 以下、本論文の特徴を列記すると、まず、本研究は後ろ向き観察研究であり、2群の優劣を判定するためのランダム化比較試験ではない。次に、症例はadministrative databasesからの抽出であり、COPDの診断の妥当性や精度について検討できていない。その点について、同著者の既報(1 を引用し、診断精度はsensitivity、specificityともに80%以上としている。しかし、1秒量、1秒率、画像所見など検討されていないのである。さらに25%の症例は呼吸機能検査が実施されていない。 同著者は気管支喘息でも同登録データに基づく診断精度を報告し(2、そちらもsensitivity、specificityがそれぞれ約80%としている。この論文でもピークフロー値などの臨床検査は記述されていない。臨床で重要視する項目と疫学的観察における視点には少なからぬ差異が存在するようである。 上記2点に加え、対象COPD群には糖尿病が25%以上、気管支喘息が約30%、高血圧が70%以上に合併していた点は、本邦症例と比すると近似した集団なのであろうか。 4点目として、集計母集団がLABA単独群3,258例、併用群3万4,289例であり、propensity score matchingを導入した後でもLABA+ICS併用群8,712例、LABA単独群3,160例となっており、対等な2群とは評価しがたい大きな開きが存在している。当初から治療選択にバイアスが存在していることが想定される。 5点目として、サブグループとしての気管支喘息+COPD群はLABA+ICS併用により良好なアウトカムが得られたと報告している。そもそも、気管支喘息合併群をLABA単独で治療するという症例が含まれていることが、行政登録データに基づく症例選択の限界であろう。治療法の優劣を判定する目的では、本研究のような後ろ向き解析には限界があることを前提に、本論文を評価していただきたい。 しかし、疾患歴、入院歴、救急受診歴などの医療情報登録システムが構築され、疫学研究に活用できるカナダの体制を知らされると、本邦でも早急にこのような観察研究が可能となる日を願ってやまない。

9320.

慢性膝痛に鍼・レーザー鍼治療は有効か/JAMA

 50歳以上の中等度~重度の慢性膝痛患者に対する鍼治療やレーザー鍼治療は、疼痛の緩和や身体機能の改善に有効ではないことが、オーストラリア・メルボルン大学のRana S. Hinman氏らの検討で示された。慢性膝痛はプライマリケア医を受診する高齢者に最も高頻度にみられる疼痛であり、典型的には骨関節炎に起因し身体機能を低下させる。鍼治療は慢性膝痛の最も一般的に用いられる代替治療で、使用機会は増加傾向にあるという。従来の鍼だけでなく、経穴への非侵襲的な低出力レーザー鍼治療の有用性を示すエビデンスがある。JAMA誌2014年10月1日号掲載の報告。鍼治療の効果をZelenデザインの無作為化試験で評価 研究グループは、慢性膝痛に対する鍼治療およびレーザー鍼治療の有効性を評価する無作為化試験を実施した。対象は、年齢50歳以上、膝の疼痛が3ヵ月以上持続し、numerical rating scale(NRS)で10点中4点以上、朝の膝のこわばりは30分以内の患者とした。 本試験はZelenデザイン(無作為割り付け後に同意を得る)を採用し、プロトコルはSTRICTAガイドラインに準拠した。2010年2月~2012年12月に、ビクトリア州のメルボルン市およびその近郊において、広告で参加者を募った。 282例が登録され、無治療群(対照群)に71例、鍼治療群に70例、レーザー鍼治療群に71例、偽レーザー鍼治療群に70例が割り付けられ、12週の治療が行われた。レーザー鍼治療群と偽レーザー鍼治療群の参加者と施術者(プライマリケア医)には割り付け情報がマスクされ、対照群の患者には試験について何も知らされなかった。 主要評価項目は、12週時の膝の疼痛スコア(NRS:0~10点、点が高いほど痛みが強い)および身体機能(WOMAC:0~68点、点が高いほど身体活動が困難)であった。アウトカムの欠測値をmultiple imputation法で補完したITT解析を行った。短期的にわずかな効果、長期的有効性は認めず 4群の平均年齢は62~64歳で、女性が39~56%含まれた。12週時に26例(9%)、1年時には50例(18%)が追跡不能となった。 偽レーザー鍼治療群と比較した12週時の疼痛スコアの平均差は、鍼治療群が-0.4(95%信頼区間[CI]:-1.2~0.4、p=0.34)、レーザー鍼治療群は-0.1(同:-0.9~0.7、p=0.86)で、身体機能の平均差はそれぞれ-1.7(同:-6.1~2.6、p=0.43)、0.5(同:-3.4~4.4、p=0.79)であり、いずれも有意な改善効果は得られなかった。 一方、対照群と比較した12週時の疼痛スコアの平均差は、鍼治療群が-1.1(95%CI:-1.8~-0.4、p=0.002)、レーザー鍼治療群は-0.8(同:-1.5~-0.1、p=0.03)であり、いずれもわずかな改善効果が得られたが、1年時にはどちらも有意な差はなかった。また、対照群と比較した12週時の鍼治療群の身体機能の平均差は-3.9(同:-7.7~-0.2、p=0.04)で、わずかに改善したが、前述のように偽レーザー鍼治療群と比べた平均差は-1.7(同:-6.1~2.6、p=0.43)と有意差を認めず、1年時も有意な差はなかった。 12週および1年時の歩行時や起立時の疼痛、身体活動制限、健康関連QOLなどの副次評価項目のほとんどにも改善効果は確認できなかった。有害事象は少なく、また軽度で一過性であり、治療群間で類似の傾向がみられ、重篤な有害事象は認めなかった。また、患者と施術者のほとんどが、レーザー鍼治療と偽レーザー鍼治療の判別ができなかった。 著者は、「50歳以上の中等度~重度の慢性膝痛患者には鍼治療およびレーザー鍼治療は推奨されない」と結論している。

検索結果 合計:11808件 表示位置:9301 - 9320