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日本人統合失調症、暴力行為の危険因子は:千葉大

 統合失調症患者の暴力行為に関連する広範な危険因子について、多くの研究が行われている。しかし、さまざまな社会的・文化的背景に関係する危険因子は不明なままである。千葉大学の今井 淳司氏らは、精神科救急により入院した日本人統合失調症患者における暴力行為に関連する因子を調査し、他の集団研究で見つかった因子との比較を行った。Schizophrenia research誌2014年12月号の報告。統合失調症患者の暴力行為は統合失調症自体の要素と関連 対象は、1986~2005年に暴力行為のため東京の精神科救急により入院した日本人統合失調症患者420例。性別、年齢、入院年でマッチした非暴力的な統合失調症入院患者をコントロール群として比較した。すべての医療記録をレトロスペクティブに検討した。評価のために、評価者間信頼性試験が実施された。暴力に関連する因子を特定するために、条件付きロジスティック回帰分析を用いた。 統合失調症の暴力に関連する因子を特定する試験の主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者の暴力との関連は、著しい興奮症状、事前の暴力、幻聴、体系妄想、話の矛盾、関係妄想、TCO(Threat-control override)症状、他人との生活、罹病期間の長さにおいて認められた。・対照的に、反社会的特徴(たとえば、薬物乱用や反社会的エピソードなど)は、統合失調症患者の重大な暴力関連因子ではなかった。 結果を踏まえ著者らは、「日本人統合失調症患者の暴力行為は、反社会的特徴よりも、統合失調症自体の要素と関連していた。この知見は、他国での結果と異なっており、文化や人種を考慮したコホート研究の必要性を示すものである」とまとめている。

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イソフラボンは潰瘍性大腸炎のリスクか~日本人での検討

 先行研究により、エストロゲンが潰瘍性大腸炎の発症に関与することが示唆されている。イソフラボンは17β-エストラジオールと構造が似ていることから、食事におけるイソフラボン摂取が潰瘍性大腸炎発症に影響する可能性がある。そこで、潰瘍性大腸炎について多施設共同・症例対照研究を行っているThe Japanese Case-Control Study Group for Ulcerative Colitisは、前病段階におけるイソフラボン摂取と潰瘍性大腸炎リスクについて検討を行った。その結果、日常の食事におけるイソフラボンの摂取が、とくに女性における潰瘍性大腸炎リスク上昇と関連することが示唆された。この結果を受けて、著者らは「本知見を確認するため、プロスペクティブなコホート研究の実施が望ましい」と指摘している。PloS one誌2014年10月14日号の掲載報告。 126例の新規発症潰瘍性大腸炎患者と年齢や性別で適合した対照170例を対象とした、病院ベース症例対照研究。自記式食事歴法質問票を用いて、食事因子の情報を収集した。病気の症状による食習慣の潜在的な変化を考慮して、被験者募集前1ヵ月間および1年前における食習慣をそれぞれ調査した。 主な結果は以下のとおり。・募集前1ヵ月間の食習慣における、イソフラボン摂取量の最高三分位群において潰瘍性大腸炎リスクが高かった(最低三分位に対するオッズ比[OR] 2.79、95%CI:1.39~5.59、傾向のp=0.004)。・募集前1年時点の、ほとんどの潰瘍性大腸炎患者でまだ初期症状のない時期においても、食事評価との有意な関連が認められた(最低三分位に対する最高三分位のOR 2.06、95%CI:1.05~4.04、傾向のp=0.04)。・この関連性は、女性においてより顕著に認められた(1年前のイソフラボン摂取量における最低三分位に対する最高三分位のOR 4.76、95%CI:1.30~17.5、傾向のp=0.02)が、男性では不明瞭であった(同1.21、0.49~3.01、傾向のp=0.63)。

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企業スポンサー試験は結果が思わしくないと論文を作らない?(解説:折笠 秀樹 氏)-293

 外科療法に関するランダム化比較試験(RCT)395件を題材にして、臨床試験が予定よりも早期に中止されたのはどういった試験かを調査した。また、臨床試験は完了したものの論文を作らなかったのはどういった試験かも調査した。そして、早期中止に至ったのはどういった試験かも調査した。 早期中止された試験(81件)は多施設共同や国際共同試験が多かった。その理由は、患者登録が思うように進まなかったというのが第一のようだった。 完了したのに論文を作らなかった試験(106件)は、企業スポンサー試験が多かった。その理由は研究者から回答のあった25件によると、出版中だがPubMedにはまだ未掲載であるだけという回答が多かった。しかしながら、回答のなかったものが大半(81件)であることから、結果が思わしくなかったからという理由が想像される。 逆に、100例以上の大規模試験では100例未満の試験に比べ、論文化の傾向がみられた。早期中止に至った理由としては、あまり特徴的な傾向はみられなかった。 このようなことが調査できるのは、臨床試験登録サイトの存在が挙げられる(本論文ではClinicaTrials.govデータベースを利用)。さらに言えば、すべての臨床試験が2005年から事前登録を義務付けられたことが挙げられる。

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【GET!ザ・トレンド】カプセル内視鏡の最新事情

カプセル内視鏡の登場内視鏡は、人体内部、とくに胃腸などの病気を診断するために用いられる医療機器であり、通称「胃カメラ」とか「大腸カメラ」と言われている。現在では電子内視鏡が世界的に広く利用され、胃がんや大腸がんの診断、治療に大きく貢献してきた。ところが、2001年、Natureという科学誌に、カプセル内視鏡が報告され、世界をあっと驚かせた。薬のカプセルよりやや大きい程度の大きさの内視鏡で、苦痛を伴わない安全な内視鏡だったからである。この内視鏡を用いることによって、それまで診断が難しかった小腸の病気を容易に見つけ出すことができるようになった。その結果、これまでの内視鏡で診断可能だった食道や胃、そして大腸などに出血源が発見できず、小腸が原因かもしれないと推測するしかなかった小腸の病気が、容易に診断できるようになった。そして、小腸に予想以上に病気が多いことも判明したのである。最近では、食道や大腸のがんなどの病気を診断するカプセル内視鏡も登場した。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する検査の概要カプセル内視鏡は、カプセルを飲み込むだけで検査が始まり、撮影した画像はワイヤレスで体外の記録装置に送られ、ビデオ画像で解析、診断する。カプセルは、胃腸の動きに伴って進み、8~10時間後に排泄される。このカプセルはディスポーザブルで、再利用はしない。検査の前には、小腸の場合、一晩の食事止めでいいが、大腸の場合には、少々大量の(2~4リットル)の下剤を飲まなければならない。そうすれば、通常の内視鏡と同様の写真を撮ることが可能で、診断性能もほぼ同じである。撮影された画像は特殊なソフトで解析されるが、現在のところ、やや時間がかかり過ぎて、医師の負担となっている。日本カプセル内視鏡学会では、読影支援技師を養成してこの問題を解決しようとしている。画像を拡大する問題点問題点の1つは、小腸などに手術後、腸管が狭くなっているところがある場合、カプセルがそこにとどまって体外に出ないことがあり(滞留)、この場合は特殊な内視鏡で取り出さなければならないことである。1~2%のケースでこのような問題が生じるが、現在では、前もってパテンシーカプセルというダミーを用いて、狭いところがあるかどうかを診断できるようになった。大腸用のカプセル内視鏡は、世界で初めて健康保険の適用が認められた。とはいえ、その適応範囲は意外に狭く、単に「お尻を見せるのが恥ずかしい」とか、通常よく聞かれる「内視鏡が怖いから」といったような心理的な理由では、保険の適用は認められない。今後、その適用範囲は広げられていく予定であるが、このことは皆さんにご理解いただきたいところである。その他の問題としては、体外から自由にコントロールできないこと、診断はできるが、がんの切除など内視鏡治療ができないことがある。したがって、現在のところ、カプセル内視鏡は主にスクリーニングに用いられており、がんなどが発見されれば、これまでの内視鏡による治療あるいは手術が行われている。カプセル内視鏡とこれまでの内視鏡とのすみ分けが検討されている。今後への期待このように、カプセル内視鏡は、苦痛を伴わない簡便な診断方法であるが、限界もあり、今後わが国から、これらの問題点を解決する優れた研究が世界に向けて発信されることを希望している。参考文献日本カプセル内視鏡学会(JACE)アトラス作成委員会編.動画でわかるカプセル内視鏡テキスト.コンパス出版局;2014.

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見るより参加!【Dr. 中島の 新・徒然草】(047)

四十七の段 見るより参加!中島「いやあ、土曜の午後の草野球みたいですね。いい汗かきました」技師「うまいこと言わはりますな」中島「なんか達成感がありますね」先日のこと。ICLS (Immediate Cardiac Life Support) コースにインストラクター見習いとして参加しました。ICLSコースとは「突然の心停止に対して最初の10分間の適切なチーム蘇生を習得する」という目標をもった講習会です。数年前に受講して以来、もっぱら主催者側の一員として、準備したり開会の挨拶をしたりする立場になってしまいましたが、見ているだけでは面白くありません。そこで、自分も参加させてもらうことにしたのです。受講生に対する説明や実技そのものは、他のインストラクターの見まねで何とかできたのですが、よくわからないのが、打合せの部分です。看護師「ブリデブリと目標設定ですけど」中島「ブリってのは」看護師「ブリーフィングです」中島「そうするとデブリってのはデブリーフィングよね?」看護師「ええ」中島「その2つを縮めてつないだら、なんだかマズくないすか?」看護師「ちょっと先生、真面目にやってくださいよ!」ブリーフィングというのは「状況説明」とか「指令」と訳されるのが普通ですが、今回のコースでは「作戦会議」と説明されていました。デブリーフィングは、通常、「帰還報告」という訳になりますが、今回は「ふりかえり」です。でも「ブリデブリ」と縮めるのはいかがなものでしょうか。読者の皆さんも「ブリデブリ」って言ってますか?それはさておき、説明 → 実技 → デブリーフィング → ブリーフィング → 目標設定 → 実技 → ・・・と、汗だくになりながら際限なく続くICLS。受講生も疲れたでしょうが、慣れないインストラクター見習いも疲れます。それでも終わったときには「有意義な1日だった!」という満足感でいっぱいでした。このコースでは、院内の医師、看護師だけでなく、外部から救命士、臨床検査技師、放射線技師もインストラクターとして参加してくれたので、多くの人と顔見知りになることができました。それやこれやで土曜の午後の草野球に喩えた次第です。それにしても見ているよりも参加するほうが面白いのは確かです。次も参加することにしましょう。

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がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。英国がん患者、過去40年間720万人のデータを解析 本検討は、がん対策の進展を集団レベルで評価することの重要性を踏まえて、住民ベース生存率の傾向を調べて、がん生存について特色ある対策を提示することが目的であった。住民ベース生存率の傾向は、医療システム全体の効果、および罹患率や死亡率の傾向について鍵となる洞察を与える。 研究グループは観察研究にて、イングランドおよびウェールズ住民で1971~2011年に、原発性、侵襲性の悪性腫瘍と初発診断された720万人のデータを、2012年まで追跡して住民ベース生存率の傾向を分析した。 National Cancer Registry(イングランド)とWelsh Cancer Intelligence and Surveillance Unit(ウェールズ)を用いて全がん生存指標を作成。指標は、がん患者の年齢群別変化と男女別にがん死亡の変化を読み取れるようにデザインされていた。 1971-72年、1980-81年、1990-91年、2000-01年、2005-06年、2010-11年の期間のデータを選び、診断後1、5、10年後のがん生存指標の傾向を分析した。また、最高年世代(75~99歳)患者と最若年世代(15~44歳)患者間のネット生存率の差を、世代間生存格差と定義し、1971年以降の絶対変化(%)を評価した。全体的には上昇、性別、がん種別、年代別の次のターゲットが明らかに 両国の40年間の全がんネット生存指標は、大きく上昇していた。1971-72年当時、診断後1年生存指標が50%を示していたが、2005-06年には、診断後5年生存指標が50%を示すようになっており、2010-11年には診断後10年生存指標が50%を示すことが予測された。 2010-11年の全がん複合生存指標は、診断後1年が69~70%、診断後5年が54%であることが予測された。40年間で、5年生存指標は24%(30%から54%に)、10年生存指標は26%(24%から50%に)上昇しており、1990~2011年の間に大きく伸びたことがみられた。 男女別にみると、全がん生存指標は調査対象期間中一貫して、男性よりも女性が平均10%高かった。 年齢および性別で補正後の10年ネット生存指標の予測値は、がんの種類によって大きく異なり、2010-11年の予測値は、膵臓がんの1.1%から精巣がんの98.2%までにわたっていた。同値について高・中・低値の3群に分けてみると、高値群に分類されたのは、乳がん、前立腺がん、精巣がん、子宮がん、メラノーマ、ホジキンス疾患で、1971-72年の生存指標からの上昇が総じて大きかった。一方で、低値群に分類されたのは、脳、胃、肺、食道、膵臓のがんで、40年間でほとんどまたはまったく改善がみられなかった。 また、最高年世代が最若年世代と比べて、がん以外の高率の死因で補正後も一貫して生存指標が低かった。男性において世代間生存格差が最も大きかったのは、大量化学療法が治療の鍵となるがん(リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病)で、女性では脳腫瘍、卵巣・子宮頸部がん、多発性骨髄腫で世代間生存格差が大きかった。また女性では、メラノーマと子宮がんの世代間格差は狭まっていたが、卵巣がんの長期生存の差は拡大していた。 これらの結果を踏まえて著者は、「がん種別によりまた世代間により生存に大きな差があることが示された。このことは、がんアウトカムの新たな対策の必要性を示唆するものである」と述べる一方で、「がん生存指標のさらなるモニタリングは、昨今の個人情報保護に対する懸念が払拭されない限り困難となる可能性もある」と指摘している。

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小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。小児への維持輸液を等張液と低張液で割り付けて低ナトリウム血症の発生を評価 試験は、オーストラリア、メルボルンにある王立小児病院で行われた。被験者は、6時間超の維持輸液を必要とする生後3ヵ月~18歳の小児。オンライン無作為化システムを用いて1対1の割合で、等張液(Na140)群と低張液(Na77)群に割り付けて72時間または輸液率が標準維持率の50%未満となるまで投与を行った。 ベースライン時のナトリウム濃度によって小児への維持輸液の割り付けを層別化して行った。研究者、治療担当医、看護師、患者は治療の割り付けについてマスキングされた。 主要アウトカムは、治療期間中の低ナトリウム血症の発生で、血清ナトリウム濃度が135mmol/L未満かつベースラインから3mmol/L以上低下が認められた場合と定義した。評価はintention to treat解析にて行った。小児への維持輸液について等張液群の発生リスクは0.31倍、有害事象も増大せず 2010年2月2日~2013年1月29日の間に、690例を無作為に割り付けた。主要アウトカムデータは、Na140群319例、Na77群322例について入手できた。 結果、小児への維持輸液について、低ナトリウム血症の発生はNa140群12例(4%)、Na77群35例(11%)で、Na140群のほうが有意に低下した(オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.16~0.61、p=0.001)。 臨床的な顕性脳浮腫の発生は、両群ともに認められなかった。重篤な有害事象の発生は、Na140群で8例、Na77群は4例であった。治療期間中のてんかん発作は、Na140群は1例であったのに対し、Na77群では7例であった。

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腰痛の機能障害の程度と椎間関節OAは相関するのか

 椎間関節の変形性関節症(FJOA)は腰痛や下肢痛の原因として知られているが、ドイツ・ゲーテ大学のAdel Maataoui氏らは、L4/L5およびL5/S1レベルのFJOAとオスウェストリー障害指数(ODI)との関連について調査し、MRIで評価した椎間関節の退行性変化とODIはほとんど相関していないことを明らかにした。画像所見のみでは腰痛を十分説明できないという臨床経験を裏付ける結果であり、著者は「腰痛の適切な診断の進歩には臨床的な相関関係が不可欠である」とまとめている。World Journal of Radiology誌2014年11月号の掲載報告。 腰痛患者591例(平均年齢47.3歳)を対象に、1.5テスラMRI装置Magnetom Avantoを用いて腰椎を撮像するとともに、機能障害をODIにて評価した。 MRI画像は、5年以上の筋骨格系画像診断経験を持つ認定放射線科医2人が盲検下にて評価し、L4/L5およびL5/S1椎間関節(計2,364ヵ所)の変性について、Weishauptらのスケールを用い4段階(グレード0~3)に分類した。 主な結果は以下のとおり。・FJOAの有病率は、L4/L5が97%、L5/S1が98%であった。・FJOAの程度は、L4/L5が左/右それぞれ、グレード0:17例/15例(2.9%/2.5%)、グレード1:146例/147例(24.7%/24.9%)、グレード2:290例/302例(49.1%/51.1%)、グレード3:138例/127例(23.4%/21.5%)であった。・同様に、L5/ S1では左/右それぞれ、グレード0:10例/11例(1.7%/1.9%)、グレード1:136例/136例(23.0%/23.0%)、グレード2:318例/325例(53.8%/55.0%)、グレード3:127例/119例(21.5%/20.1%)であった。・ODIスコアは、最小0%、最大91.11%、平均32.77±17.02%であった。・48.39%の患者は、中等度の機能障害(ODIスコア:21~40%)を有していた。・L5/S1右側のみ、FJOAとODIとの間に弱い正の相関関係が認められたが、それ以外(L4/L5レベル両側およびL5/S1レベル左側)は認められなかった。

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世界無形文化遺産「地中海式食事」とテロメア(解説:田久保 海誉 氏)-292

 世界の地方料理と健康に関しては、多くの論文があります。しかし、食事と分子生物学的現象との関係を明らかにした研究は多くありません。 伝統的なクレタ島、南イタリアの食事のパターンを地中海式食事(Mediterranean diet)といい、2010年に世界遺産となっています。通常の食事と比較して、果物、野菜、卵、乳製品・ミルクを2倍摂取します。魚介類はほぼ同等であり、肉は半分から三分の一、穀物と精製した糖類はそれぞれ70~80%。 本論文は、以上の食事のパターン(Alternate Mediterranean Diet score)とテロメア(老化のバイオマーカー)の保持とに正の関係があるとしています。 一方、テロメアは染色体末端にあり染色体の癒合や変性を防ぐ役割があります。培養細胞では細胞分裂ごとに短縮し、ヒトでは各組織を構成する細胞のテロメアは、新生児では長く高齢者では短い。一定以上のテロメアの短縮は、テロメア機能不全となり、染色体同士の癒合を引き起こし染色体は不安定化します。染色体の癒合は遺伝子の異常を引き起こし、がんの発生に結びつきます。前がん状態とは、過度のテロメア短縮のある組織との定義もあります1)。 また、心疾患、アルツハイマー病、長期の精神的ストレス状態などでは、テロメアが短いことも知られています。テロメアの長いヒトは長寿命であるとの報告もあります。 本論文では5,000人近くの中年女性看護師の食事内容を解析して、地中海式食事と末梢血白血球のテロメア長との間の正の関係を証明しました。地中海式食事の抗酸化ストレス効果がテロメア短縮を防ぎ、抗老化作用に結びつく可能性があります。 2013年に登録された世界遺産である和食とテロメアの関係を証明した論文はありません。しかし、日本人が長命であることから、多くの魚料理を含む和食もテロメア短縮を防ぐ可能性があります。

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【2014年コンテンツ閲覧ランキング】人気を集めた記事・スライド・動画のトップ30を発表!

デング熱やエボラ出血熱の流行、高血圧治療の新しいガイドライン、人間ドック学会が発表した新たな健診基準値など、今年の医療界での出来事が反映された記事やスライド、動画を多数お届けしてまいりました。そのなかでもアクセス数の高かった人気コンテンツ30本を紹介します。 1位 デング熱、患者さんに聞かれたら・・・ 2位 NHK特集で報道された「シロスタゾールと認知症の関係」についての患者さん説明用パンフレットを作りました。 (Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~) 3位 頓服薬の査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 4位 岩田健太郎が緊急提言!エボラ出血熱にこう備えよ! (CareNeTV LiVE! アーカイブ) 5位 高血圧治療ガイドライン2014が発刊 6位 医療者は正しい理解を。人間ドック学会“基準値”の解釈 7位 Dr.山下のアリスミアのツボ 第1回 8位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(2)うつ病治療の基本 9位 カルベジロール査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 10位 ケアネットオリジナル『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.1~ 11位 デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布 12位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.2~ 13位 妊娠糖尿病の診断基準の覚え方 (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 14位 エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part2 15位 知識を整理!GERD診療(2)症状を診る 16位 レビー小体型認知症、アルツハイマー型との違いは? 17位 アシクロビル(商品名: ゾビラックス)の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 18位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(1)うつ病の現状と診断 19位 休診日(12月28日)の休日加算の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 20位 アジスロマイシンとレボフロキサシンは死亡・不整脈リスクを増加する (1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~) 21位 休日診療をやってみた (スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草) 22位 内科医のための睡眠障害(1) 知って得する睡眠の話 23位 自分の適正なお寿司の皿数、わかりますか? (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 24位 ナトリウムから食品相当量への換算方法を教えるコツ (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 25位 金属がなくてもMRIで熱傷を起こすことがある (Dr. 倉原の”おどろき”医学論文) 26位 出血性ショックに対する輸血方法が不適切と判断されたケース (リスクマネジメント 救急医療) 27位 知識を整理!GERD診療(1)基本を整理 28位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.5~ 29位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(4)抗うつ薬の副作用と対処法 30位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(3)抗うつ薬の使い分け #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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C型肝炎治療を変える!ソホスブビルとギリアド ~ギリアド社長インタビュー~

慢性C型肝炎の治療は、今、まさにパラダイムシフトの時を迎えている。インターフェロン(IFN)が当たり前のように使われていた時代から、IFNフリーの時代へと急激に変わろうとしている。その主役を担うと期待されているのがソホスブビルである。本年6月にその製造承認申請を行った、ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下、ギリアド)の代表取締役社長 折原 祐治氏に話を聞いた。ソホスブビルの現況は?折原 祐治氏折原 ソホスブビルは、C型肝炎のIFNフリー治療を目指して開発されました。2014年6月に、ゲノタイプ2型のC型肝炎に対する治療薬としてソホスブビルの製造販売承認を申請し、2014年9月には、ゲノタイプ1型に対する治療薬としてソホスブビル・レジパスビルの配合剤を申請しました。現在は承認を待つ段階ですが、申請以来、患者さんや医師からの承認時期に対するお問い合わせが相次いでいます。承認は楽しみでもありますが、患者さんや医師の期待を考えると身が引き締まる思いで、楽しみよりも緊張のほうが大きいです。ソホスブビルの臨床効果は?折原 ソホスブビルは、ゲノタイプ1型と2型のそれぞれに対して臨床試験が行われています。まずは、ゲノタイプ2型の試験から紹介します。未治療および治療歴のあるゲノタイプ2型のC型肝炎例に対して、ソホスブビルとリバビリン(600~1000mg/日)を12週投与したところ、97%(n=148/153)において治療終了後12週時の持続的ウイルス学的著効(SVR12)が達成されました。一方、ゲノタイプ1型のC型肝炎例に対しては、ソホスブビル・レジパスビルの12週間投与により、未治療患者(n=83/83)および治療歴のある患者(n=88/88)それぞれでSVR12が100%となりました。このときの主な有害事象は、鼻咽頭炎(29%)、頭痛(7%)、倦怠感(5%)などでいずれも軽度でした。ソホスブビルの特徴は?折原 この薬剤の特徴は主に3つあります。SVR、安全性、耐性です。SVRと安全性については、先ほどの臨床試験結果で紹介しましたので、ここでは耐性についてお話ししたいと思います。現在開発が進んでいるC型肝炎の主な治療薬は、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬の3種類です。いずれもC型肝炎ウイルスの増殖を直接的に阻害する作用を有しています。ソホスブビルは、NS5Bポリメラーゼ阻害薬に分類され、NS5Bポリメラーゼ阻害薬としては唯一の申請中の薬剤です。増幅するHCV RNA中に入り込み伸長を停止する核酸アナログ製剤であり、この作用機序から、耐性が起こりにくいと期待されています。これからのC型肝炎治療では、いかに薬剤耐性を起こさないで治療するかが重要となってきます。そのため、先に承認された海外では、耐性を起こしにくいソホスブビルはC型肝炎治療のベース薬として使用され、「ソホスブビルに何を追加するか?」が議論されています。ソホスブビルのような革新的な薬剤が、なぜ開発されたか?折原 ギリアドは、いまだ医療ニーズが満たされていない疾患領域の、とくに生命に関わる疾患の治療を向上させることを目指しています。その結果の1つがソホスブビルだと思います。ギリアドは、「For the Patient」を実践しています。興味深い例を1つ挙げますと、米国本社での会議では、「患者さんのためにどうすべきか?」が話し合われます。「日本の患者さんはどのような治療を受けているか?」「良くなっているか?」「何か困っていないか?」が優先して次々に尋ねられます。これまで私は複数の製薬企業に勤務してきました。これまでの製薬企業の場合、売上やシェアといったことが議題のほとんどでしたから、この違いには本当に驚きました。このあたりの姿勢が、革新的な薬剤を生み出すきっかけになっていると思います。ゲノタイプ2型から治験・申請した理由は?折原 ゲノタイプ2型に対する治験から行ったのも、ギリアドならではだと思っています。わが国では慢性C型肝炎のうち約7割が1型、残りの3割を2型が占めると言われ、ゲノタイプ1型に対するIFNフリー治療は、複数社が開発を進めていました。一方、ゲノタイプ2型に対するIFNフリー治療の開発は進められていませんでした。日本にはゲノタイプ1型の患者さんのほうが多く、競合も多いですから、通常、ゲノタイプ1型の治験を優先するかと思います。しかし、私たちはそのように考えませんでした。ゲノタイプ2型の患者さんをIFNフリーに導けるのはギリアドしかいないと考え、まずはゲノタイプ2型に対する治験から開始したのです。ギリアドとは?折原 ギリアドは、1987年に米国カリフォルニアに創立され、2013年に日本進出を果たしたバイオファーマです。全世界での売上は、2013年度が約1兆円、今年度は約2兆円が見込まれ、売上では世界のトップ10に入ると予想されるほど勢いがあります。製品パイプラインは、HIV/AIDS、肝疾患を中心に、今後はオンコロジーへも展開予定です。また、あまり知られていませんが、実は「タミフル」「アムビゾーム」の開発会社でもあります。最後にゲノタイプ1型C型肝炎に対する治療の進歩の速度は驚異的である。約10年前は、IFNの副作用に苦しみながらもSVRは10%程度であったが、リバビリン、PEG-IFN、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬と次々に開発され、ついにSVR が約90%まで改善した。そして、NS5Bポリメラーゼ阻害薬であるソホスブビルの登場により、SVRはほぼ100%に到達する。さらに、安全性も飛躍的に改善されてきている。折原氏も、ベテランの肝臓専門医から「まさか自分が現役の時代にC型肝炎が駆逐される時が来るとは思わなかった。」と言われることがあるという。ソホスブビルなどのIFNフリー治療によりSVRを達成した症例で、実際に肝臓がんが減るかについてはまだ検討が必要である。しかし、C型肝炎患者をSVRへ導きやすくなることは明らかである。今後のC型肝炎治療の明るい未来に大いに期待したい。(ケアネット 鈴木 渉)

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白斑、円形脱毛症とアトピー性皮膚炎は有意に関連

 米国・ノースウェスタン大学のGirish C. Mohan氏らは、観察研究のメタ解析を行い、白斑または円形脱毛症(AA)を有する患者において、アトピー性皮膚炎リスクが高いという所見に関して矛盾が認められるかを検討した。結果、同所見について一貫した有意な関連がみられ、とくに白斑は早期発症(12歳未満)の患者で、AAについては全頭型・全身性のほうが関連が強いことが明らかになったという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年12月3日号の掲載報告。 検討は、観察研究をメタ解析し、白斑またはAAを有する患者と、これらの疾患がない患者について、アトピー性皮膚炎の有病率を比較することを目的とした。1946年~2014年4月5日の間に発表された論文について、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、Google Scholarと、また12誌については手動で検索。論文の言語は問わず、上記の有病率の比較を行っている観察研究を適格とした。 2名の研究者がそれぞれデータ抽出を行い、エビデンスの質をNewcastle-Ottawa Scale and Methodological Evaluation of Observational Researchチェックリストを用いて評価した。メタ解析は固定エフェクトモデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出。サブセット解析は、小児発症vs.成人発症、全頭型または全身性vs.斑状型脱毛にて行われた。 主要評価項目は、自己申告および/または医師の診断によるアトピー性皮膚炎、白斑、AAであった。 主な結果は以下のとおり。・検索により、16試験(白斑)、17試験(AA)が解析に組み込まれた。プール解析には、白斑を有さない患者(2例)、AAを有さない患者(3例)が含まれていた。・結果、白斑患者(Cochran-Mantel-HaenszelによるOR:7.82、95%信頼区間[CI]:3.06~20.00、p<0.001)、AA患者(同:2.57、2.25~2.94、p<0.001)は、それぞれの疾患を有さない患者と比べて、いずれも有意にアトピー性皮膚炎リスクが高かった。・3試験のプール解析から、白斑は早期発症(12歳未満)のほうが、リスクが高いことが示された(OR:3.54、95%CI:2.24~5.63、p<0.001)。・4試験のプール解析から、AAは全頭型または全身性のほうが、リスクが高いことが示された(同:1.22、1.01~1.48、p=0.04)。

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過食性障害薬物治療の新たな可能性とは

 過食性障害に対する薬理学的アプローチについて、米国・ノースカロライナ大学のKimberly A. Brownley氏らが現状を紹介している。これまでに、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する神経伝達物質を標的とした検討が行われており、なかでもグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した研究に新たな可能性があることを示唆している。Drugs誌オンライン版2014年11月27日号の掲載報告。 Brownley氏らによれば、米国において、過食性障害は最も頻度の高い摂食障害で、生涯有病率は成人女性で最大で3.5%、成人男性で2.0%、思春期で1.6%と報告されているという。過食性障害は、過食を制御できないという感覚を伴う頻繁な暴食症状を特徴とし、その結果として著しい心理的苦痛を患者に与える。また、過食性障害は肥満そしてうつ病などの精神医学的症状を高頻度に併発し、実質的な役割障害と関連する。 現在、米国FDAにより認可された過食性障害治療薬はない。一方で、動物およびヒトを対象とした研究により、脳の報酬系領域内のドパミン、オピオイド、アセチルコリン、セロトニンが神経回路において調節異常を来している可能性が示唆されており、今日に至るまで、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する複数の神経伝達物質を標的としたさまざまな薬剤の有効性が、過食性障害治療の分野で研究されてきているという。 これまでに得られている主な知見は以下のとおり。・抗うつ薬、抗けいれん薬の中に、過食症状の発生抑制に有効なものがあったが、治療の主要目的である食欲抑制を達成できた患者は限られていた。・臨床的に意味のある体重減少、あるいはプラセボに比べ有意な体重減少の達成に関しても、効果の高いもの(トピラマート)から低いもの(フルボキサミン)まで、ばらつきがあった。・全体的にみて、過食性障害に対する薬理学的アプローチに関する文献は限られており、適切なフォローアップによる多面的検証試験(multiple confirmatory trials)が実施された薬剤は非常に少なく、年齢、性別、多人種の患者集団からなる大規模サンプルを用いて評価された薬剤はほとんどない。・さらに、これまでの研究は、試験デザインや本疾患の患者集団に共通して認められるプラセボに対する高い反応性により、適切に実施されてこなかった。・いくつかの新しい薬剤がさまざな研究段階にあるが、扁桃体と外側視床下部をつなぐグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した最近の動物実験により、新しい研究や薬剤開発の可能性が示唆されている。・新しくFDAに認可された長期肥満治療薬の研究、食欲や気分に影響を与える成分を含有するサプリメントや栄養食補助食品のさらなる開発も、有意義な取り組みになると思われる。関連医療ニュース 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証 情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加:オランザピンのメタ解析  担当者へのご意見箱はこちら

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治療抵抗性の慢性咳嗽に対する新選択肢(AF-219)の有効性について(解説:小林 英夫 氏)-291

 外来診療で、咳止めを処方してくださいという声をしばしば耳にされませんか。そんなときはどう対処されていますか。当然ですが、疾患を問わずすべての咳嗽を抑制できる夢の薬は存在していません。細菌性肺炎に鎮咳薬のみを投与しても効果は期待できないので、まず咳嗽の基盤病態の鑑別が医師の出発点ですが、受診者は余計な検査などせず咳止めを出してくれればそれでけっこうです、と主張することも少なくないと思います。 無理とは思いつつ、幅広い病態に有効な鎮咳処方箋はないかと願うこともあります。 新薬AF-219は、気道の迷走神経に発現し咳嗽感覚の過剰反応に関与するP2X3 受容体に対する低分子拮抗薬で、米国Afferent製薬により治験が進められている。同社ホームページによると、P2X3受容体は無髄の細径C神経線維に特異的で内臓、皮膚、関節にも存在し痛覚や臓器機能に関与している。その機序はATPをリガンドとして活性化されるチャンネルで、痛覚感作経路に発現する。英国で慢性咳嗽への治験(本論文)、米国で変形性関節炎による疼痛治療、さらに膀胱痛への治験中とのことである。本来の役割からも咳嗽よりも鎮痛効果を狙っている印象である。本薬を鎮咳に用いた根拠は、気道の迷走神経C線維にP2X3受容体が存在すること、モルモットではATPやヒスタミン吸入させるとP2X受容体を介した咳嗽反射が強まることなどであった。 本研究は、基礎疾患の明らかでない難治性(治療抵抗性)慢性咳嗽患者を対象とし、第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験、単一医療機関でのクロスオーバー法(2週間服薬、2週間wash out、2週間服薬)で実施された。結果は、咳嗽頻度は75%低下し期待できる鎮咳薬である、となっている。 臨床的に満足できる鎮咳薬が少ない実状を踏まえればAF-219に期待したい一方で、論文を読み込むとまだまだ未解決点がある。評価できる点として、primary endpointである鎮咳効果を音響学的自動咳嗽記録機(VitaloJAK)により計測し客観的量的評価がなされている。同時に主観的なvisual analogue scale (VAS)などもsecondary endpointとしているが、咳嗽回数を記録することの価値は大きい。 マイナス点としては対象集団の曖昧さがある。本論文に限らないが慢性咳嗽の研究では回避できない問題である。エントリー基準は、閉塞性障害、胃食道逆流、喫煙、感染、薬剤性咳嗽などを除外し、明らかな咳嗽の原因疾患を有さず、治療によっても8週間以上咳嗽が継続する症例、が選択されている。本邦で重視されるアトピー咳嗽の概念は導入されていない。また、呼吸機能は施行されているが胸部CTについては記載がなく、英国での試験なので未施行と推測される。さらに平均咳嗽罹病期間は9年間である。どのような病態が混在しているのかが不明瞭であろう。次の問題点は、24例中6例が有害事象により服薬中止となっている。重篤な副反応はみられないものの、全例で味覚障害が出現している点が用量変更で解決できるかどうかが大きな課題であろう。これは舌味蕾にP2X3が存在するためで、減量により味覚障害が回避できる可能性があると考察されている。 抗てんかん薬であるガバペンチン、徐放性モルヒネ、サリドマイド、リドカイン吸入などが最新の咳嗽研究対象薬であるが、いずれも十分な鎮咳効果は得られなかった。鎮咳薬という分野での選択肢が少ない、遅れているという現状からは、P2X3受容体拮抗薬の今後に期待したいが、実臨床への過程には今いっそうの検討を経なければならない。さらに有効疾患の絞り込みも望まれる。なお、本邦の咳嗽診療指針として日本呼吸器学会編集の「咳嗽に関するガイドライン第2版(PDF)」は無料ダウンロード可能なので参照をお薦めしたい。

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統合失調症の陰性症状治療にMAO-B阻害薬は有望

 統合失調症の持続的な陰性症状の治療に、選択的MAO-B阻害薬が有望であることを裏付ける試験結果が示された。米国メリーランド・スクール・オブ・メディスン大学のRobert W. Buchanan氏らが、12週の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年11月2日号の掲載報告。 選択的MAO-B阻害薬ラサギリン(rasagiline)による統合失調症の持続的陰性症状治療の有効性と安全性を検討した。対象は、DSM-IVに基づき統合失調症または統合失調感情障害の診断基準を満たし、経験的な基準により持続的な陰性症状を有する患者60例。被験者は、ラサギリン1mg/日を受ける群(31例)またはプラセボ群(29例)に無作為に割り付けられ、各12週の投与後に評価を受けた。陰性症状の変化については、陰性症状評価尺度(SANS)総スコアで、また認知について、神経心理検査RBANS(Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status)、N-Back検査、確率学習作業、時間的遅延がある作業(delay discounting task)で評価した。 主な結果は以下のとおり。・ミックスモデル共分散分析(MM-ANCOVA)の結果、連続変数としての時間に伴う有意な治療×時間効果が、SANS総スコアによる評価で認められた(F=5.61(df=1, 40.3)、p=0.023)。・また治療×時間相互作用効果についても、SANS avolition(意欲消失)サブスケールスコアによる評価で有意差が認められた(F(1, 40.2)=10.41、p=0.002)。・試験後MM-ANCOVA分析においては、分類変数としての時間に伴う12週時点のSANS総スコア(t(37.3)=2.15、p=0.04、d=-0.41)、およびSANS avolitionサブスケールスコア(t(49.0)=3.06、p=0.004、d=-0.46)による評価でいずれも群間差が有意であった。・SANS avolitionスコアが20%以上減少した参加者の多くで有意差が認められた(χ2(1)=10.94、p=0.0009)。しかしSANS総スコアの評価においては認められなかった(χ2 (1)=1.11、p=0.29)。・RBANS、N-Back、確率学習作業、時間的遅延作業に関する有意な群間差は認められなかった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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ポリフェノールは皮膚疾患の新たな治療選択肢

 米国・カリフォルニア大学デービス校のWilliam Tuong氏らは、皮膚疾患の新たな治療選択肢としてのポリフェノールベース治療について、システマティックレビューによる検討を行った。その結果、特定の皮膚疾患の治療に有効でありうると質的に結論づけられると述べ、臨床医に、エビデンスに基づく知識(有効性、適応症、副作用)が必要であると示唆した。同時に、さらなる厳格な臨床試験を行う必要性、有効性の評価が不可欠であることにも言及した。Journal of Dermatological Treatment誌オンライン版2014年11月26日号の掲載報告。 植物由来のポリフェノール物質は、in vitroおよびin vivoでバイオロジカルな特性があることを示し、特定の皮膚疾患の新たな治療の開発につながっている。本検討で研究グループは、臨床医にポリフェノールベースの治療法の有効性を評価している臨床試験の概要を提供すること、および、新たな治療として、使用を裏づけるエビデンスがあることを強調するのが目的であった。 システマティックレビューは、PubMed、Embaseのデータベースを介して、2014年7月4日時点で文献検索を行った。2人の独立レビュワーが、要約をレビューし包含。関連スタディについて参考文献の検索も手動で行った。 データの抽出は、適格条件を満たした試験から個別に行い、矛盾点についてはコンセンサスによって包含判定を下した。 主な結果は以下のとおり。・検索により、356の特色のある要約が得られた。そのうち17試験が包含および除外基準を満たした。・ポリフェノールは、外用および経口の形態で用いられていた。・緑茶ポリフェノールが肛門性器疣贅の治療に効果がある可能性を示唆する質の高いエビデンスが認められた。・ポリフェノールが脱毛症、にきび、真菌感染症、シミや日焼けした皮膚の治療として効果がある可能性を示唆する、限定的だが有用なエビデンスも認められた。・著者は、「皮膚科領域でのポリフェノールベース治療の臨床使用増大とともに、その有効性、適応症、副作用に関するエビデンスベースの知識が必要となる」と述べている。

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P2X3受容体拮抗薬、咳嗽頻度75%低下/Lancet

 鎮咳薬の新たな選択肢として、P2X3受容体拮抗薬AF-219が有望であることが示された。難治性慢性咳嗽患者を対象とした第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、投与群の咳嗽頻度は有意に75%低下したという。英国・マンチェスター大学のRayid Abdulqawi氏らが報告した。前臨床試験において、P2X3受容体は気道の迷走神経反射時に発現がみられ、慢性咳嗽に結び付く咳嗽反射の過感作に関与していることが示唆されていた。本検討では、その機序を確認するとともに、経口薬として開発された同受容体拮抗薬AF-219が、慢性咳嗽の頻度を低下するかを調べた。Lancet誌オンライン版2014年11月25日号掲載の報告。AF-219について第II相の無作為化プラセボ対照試験 試験は英国の単施設(咳嗽専門クリニック)にて、クロスオーバー法を用いて行われた。 コンピュータシーケンス法で、慢性咳嗽(8週間超)が認められる患者を無作為に1対1の割合で、AF-219を投与する群(600mgを1日2回)またはプラセボを投与する群に割り付け2週間投与。その後、2週間のウォッシュアウト期間を置き、割り付け投与をクロスオーバーして2週間の治療を行った。割り付けについて、患者、治療提供者、研究者ともマスキングされていた。 主要エンドポイントは、ベースライン時、治療2週間後に24時間自動記録計を用いて測定した日中の咳嗽頻度であった。主要解析は、ミックス効果モデルを用いてintention-to-treat解析にて行われた。 なお被験者は、2期(第1期:2011年9月22日、第2期:2012年11月29日)にわたってリクルートされ、34例が試験適格性の評価を受け、24例が無作為化を受けた。ベースライン時37回/時から治療2週間後11回/時に低下 被験者24例は、平均年齢54.5(SD 11.1)歳、女性が75%(18例)、咳嗽期間は9年。ベースラインの日中咳嗽頻度の平均値(極端に頻度の高い1例を除外)は39.1回/時であった。 分析の結果、プラセボ群と比べてAF-219投与群の咳嗽頻度は、2週間の治療後に有意に75%低下していた(p=0.0003)。  日中咳嗽頻度は、AF-219投与群ではベースライン時37(SD 32)回/時から治療2週間後は11(8)回/時に低下していたが、プラセボ群は65(163)回/時から44(51)回/時の低下であった。 また、視覚アナログスケール(VAS)や咳関連QOL質問票(CQLQ)で測定した主観的評価においても、夜間咳嗽頻度の変化に関する評価を除き、AF-219投与群で有意な改善が認められた。 なお試験期間中、6例の患者(全例AF-219投与中)が試験を途中で中断した。理由はいずれも味覚障害を訴えたためであった。 著者は、「客観的および主観的評価いずれにおいても、P2X3受容体拮抗薬と咳嗽改善の明らかな関連が認められた」と述べ、同薬の有効性・安全性の評価を検討する用量反応試験の必要性を提言している。

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CKD患者の高K血症に新規K吸着薬が有効/NEJM

 RAAS阻害薬服用中の慢性腎臓病(CKD)患者で高カリウム血症を呈した患者について、新規開発経口薬のカリウム吸着薬パチロマー(patiromer)はプラセボと比較して、血清カリウム(K)値を低下し、再発頻度も低下することが示された。米国・メリーランド大学医学部のMatthew R. Weir氏らが国際共同単盲検前向き試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年11月21日号掲載の報告より。RAAS阻害薬服用中CKD・高K血症患者を対象に有効性、安全性を検討 試験は、RAAS阻害薬服用中CKD患者で、高カリウム血症(5.1~6.5mmol/L未満)を呈した患者243例を対象に、2相にわたって行われた。1相は単群の盲検試験(4週間)、2相は無作為化プラセボ対照試験(8週間)であった。 被験者243例は、1相試験でパチロマーを1日2回4.2gまたは8.4gを受け、血清K値(平均値)のベースラインから治療4週時点の変化について評価(1相主要有効性エンドポイント)を受けた。次に、1相試験で血清K値がベースライン時5.5~6.5mmol/L未満から4週時点3.8~5.1mmol/L未満に低下した患者を2相に組み入れて、パチロマー継続投与群(55例)またはプラセボに切替投与群(52例)に無作為に割り付けて8週間治療した。2相主要有効性エンドポイントは、同相初期4週間の血清K値変化(中央値)の両群間の差とした。4週時点で76%が3.8~5.1mmol/L未満に低下 1相試験の被験者243例は、東欧24施設、EU21施設、米国14施設で登録された。男性が多く(58%)、平均年齢は64.2±10.5歳、CKDステージ3が46%、ステージ4が約45%であった。 同試験期間中、血清K値の測定は5回行われた(3日目、1、2、3、4週時)。そのうち3日目およびその後に1回以上測定を受けた237例について分析した。 結果、ベースラインから4週時の血清K値の変化中央値は-1.01±0.03mmol/Lで、有意な変化が認められた(p<0.001)。2相試験組み込みへの適格条件(3.8~5.1mmol/L未満に低下)に達した患者は76%(95%信頼区間[CI]:70~81%)であった。 2相試験の開始時の各群の血清K値は、継続群4.49mmol/L、プラセボ群4.45 mmol/Lであった。開始後最初の4週間で、継続群では変化がみられなかったが、プラセボ群は0.72mmol/L上昇し、両群間で有意差が認められた(p<0.001)。 8週間の試験期間中、5.5mmol/L以上に少なくとも1回以上の高カリウム血症の再発を認めた患者は、プラセボ群60%、継続群15%で、プラセボ群の有意な増大が示された(p<0.001)。 1相・2相試験を通じて、有害事象を経験した患者は114例(47%)。最も頻度が高かったのは、軽度~中等度の便秘で26/114例(11%)であった。低カリウム血症の発生は8/114例(3%)だった。

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難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か

 英国の国立医療技術評価機構(NICE)の強迫性障害ガイドライン2006では、SSRI治療抵抗性の強迫性障害(OCD)に対し、抗精神病薬が推奨されている。英国のキングス・カレッジ・ロンドン、サウスロンドン&モーズリーNHSトラストのDavid Veale氏らは、体系的な検討を目的に、OCDに対するSSRI治療の増強療法としての非定型抗精神病薬の臨床的な有用性についてメタ解析を行った。BMC psychiatry誌オンライン版2014年11月29日号の報告。 研究グループは、成人OCDを対象とした最低4週間のプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験を抽出した。主要評価項目は、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)スコア。包含基準は、Y-BOCSスコア16点以上、少なくとも1剤の適切なSSRIまたはクロミプラミン投与(ランダム化前少なくとも8週間)とした。データソースには、2013年9月までのMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、システマティックレビューのコクランデータベース(CDSR)、トライアルレジストリ、医薬品データベース、メーカーデータベースを用いた。フォレストプロットでは、薬剤とプラセボ間のY-BOCSの差を示した。 主な結果は以下のとおり。・2つの研究から、アリピプラゾール治療は短期的に効果があることが示された。・リスペリドンや一般的な抗精神病薬における短期的な効果は、少しだけ認められた。・クエチアピンまたはオランザピンは、プラセボと比較して有用であるとのエビデンスは認められなかった。 以上の結果より著者らは、「SSRIや認知行動療法に反応しないOCD患者に対する増強療法としては、アリピプラゾールまたはリスペリドンを低用量で慎重に使用すべきである。また、有効性の評価のためには、4週間観察する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は  担当者へのご意見箱はこちら

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正常体重者も非アルコール性脂肪肝に注意!

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含む生活習慣病における介入は、過体重および肥満者にフォーカスしていたため、正常体重者のNAFLD発症における成人期の体重増加の影響は明らかになっていない。 聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センターの木村 武志氏らによる横断的研究の結果、NAFLDが20歳以降の体重変化と強く関連し、この影響は正常体重の人でとくに大きかったことが報告された。この結果から、正常体重の健康な人でも早期および長期的な体重モニタリングが重要であることが示唆された。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2014年12月3日号に掲載。 著者らは、健康診断を受けた参加者からデータを収集し、超音波診断によるNAFLD有病率を、20歳以降の体重変化1kg刻みで調査した。相対リスク(RR)は、現在の体重(正常、過体重、肥満)によって層別化し、男女別に算出した。ロジスティック回帰を用いて、潜在的な交絡因子を調整したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2万1,496人の参加者のうち、NAFLDが3,498例(16.3%)にみられた。・20歳以降の体重増加に伴いNAFLDの有病率が増加した。10.1~11.0kg増加した群では、男性で41.6%、女性で24.8%がNAFLDであった。・四分位による多変量解析により、体重増加が男性および女性のNAFLDリスクと有意に関連していることが示された。・体重変化(10kg増ごと)に伴うNAFLDのリスクは、過体重および肥満の参加者に比べて、正常体重の参加者で有意に高かった。正常体重 男性:OR 7.53(95%CI 4.99~11.36)     女性:OR 12.20(95%CI 7.45~19.98)過体重  男性:OR 1.61(95%CI 0.91~2.85)     女性:OR 2.90(95%CI 0.99~8.54)肥満   男性:OR 4.0(95%CI 2.97~5.39)     女性:OR 2.68(95%CI 2.00~3.60)

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