サイト内検索|page:457

検索結果 合計:11814件 表示位置:9121 - 9140

9121.

うつ病患者の疲労感を評価する新ツール

 疲労は、大うつ病性障害(MDD)における最も顕著な症状の1つである。米国・Evidera社のLouis S. Matza氏らは、MDD患者の疲労とその影響を評価する質問票「Fatigue Associated with Depression Questionnaire(FAsD)」およびその改訂版(FAsD-V2)の内容の妥当性を評価するため、検討を行った。その結果、概念を引き出すためのフォーカスグループ法、認知インタビューなどから、FAsDおよび FAsD-V2の内容の妥当性を支持する結果が得られたことを報告した。The Patient誌オンライン版2015年1月23日号の掲載報告。 研究グループは、MDD患者における疲労とその影響を評価するために開発されたFAsDおよびFAsDバージョン2(FAsD-V2)の妥当性について、質的研究を実施した。米国全土のクリニックから登録された患者を対象とした。質的研究は、3期で構成され、第I期では概念を引き出すためフォーカスグループ法を行い、続いて認知インタビューを実施。第II期では、より的を絞った対象で第I期と同様の方法で調査を行った。第III期では、第II期以降に加えられた細かい修正が質問票の包括性に変化をもたらすか否かを調査するため、認知インタビューを行った。概念抽出に際しては、患者の疲労とその影響に対する認識に焦点を当て、認知インタビューでは質問票における理解、明確性、妥当性、包括性に焦点を当てた。データは半構造的ディスカッションガイドを用いて収集。テーマ分析を行い、浸透度を検討した。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者98例を対象とした。・第I期、第II期の概念抽出における患者の発言は、作成された項目とその内容を支持するものであった。・認知インタビューでは、的を絞った集団における質問票の妥当性が支持され、指示、項目、回答の選択肢、想起期間に対する患者の理解が良好であることが示された。・FAsD-V2に対する細かい指示の変更は質問票の解釈に影響しなかった。 ・今回の質的研究では、FAsDおよび FAsD-V2の内容の妥当性を支持する結果が示された。これまでの量的精神測定分析の結果を、さらに強めるものであった。関連医療ニュース うつ寛解のポイントは疲労感 うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上  担当者へのご意見箱はこちら

9122.

腎除神経術は有効か?/Lancet

 これまでの検討で、治療抵抗性高血圧患者に対する腎除神経術の降圧効果は相反する結果が報告されている。フランス・パリ第5大学のMichel Azizi氏らは多施設共同前向き非盲検無作為化対照試験DENERHTNを行い、同患者へは段階的降圧薬治療(SSAHT)単独よりも、腎除神経術を併用したほうが、降圧効果が有意に大きいとの結果が得られたこと(6ヵ月時点の評価)を報告した。しかし著者は、いまだ腎除神経術の有効性、安全性評価の確立や、同手術による降圧の予測因子を明確にする必要があることを指摘し、「腎除神経術による降圧効果が長期に持続することが判明すれば、今回示された降圧効果が心血管罹患率の低減に寄与する可能性はある」と考察している。Lancet誌オンライン版2015年1月25日号掲載の報告より。腎除神経術+SSAHT vs. SSAHT単独で比較 DENERHTNは、フランス国内15ヵ所の3次医療センターで行われた。対象は、18~75歳の治療抵抗性高血圧患者で、無作為化前の4週間、標準的な3剤併用降圧治療(インダパミド1.5mg/日、ラミプリル10mg[またはイルベサルタン300mg]/日、アムロジピン10mg/日)の下でABPM測定を行い(たとえば4剤併用治療中だった患者は同3剤に切り替え)、治療抵抗性が確認された患者を適格とした。 適格患者は1対1の割合で、腎除神経術+SSAHTを受ける群(腎除神経術群)またはSSAHT単独群(対照群)に無作為に割り付けられた。腎除神経術は無作為化後2~4週に米国メドトロニック社製のSymplicityを用いて行われた。各センターでの施術は1~2人の専門医により行われた。 無作為化後のSSAHTは、両群とも血圧値が135/85mmHg以上となった場合、2~5ヵ月の間に順次、スピロノラクトン25mg/日、ビソプロロール10mg/日、プラゾシン5mg/日、リルメニジン1mg/日が追加された。 主要エンドポイントは、ABPM評価による日中の収縮期血圧のベースラインから6ヵ月時の変化の平均値とした。分析は盲検的に行われた。また安全性のアウトカムは、腎除神経術に関する急性有害事象の発生率、およびベースラインから6ヵ月時の推定糸球体濾過量(eGFR)の変化であった。降圧効果は腎除神経術+SSAHT群が有意に大きい 2012年5月22日~2013年10月14日に、1,416例の患者が適格性の有無に関してスクリーニングを受け、そのうち106例が無作為に割り付けられた(各群53例:intention-to-treat集団)。分析は、エンドポイントが得られなかった患者を除く101例で行われた(腎除神経術群48例、対照群53例:修正intention-to-treat集団)。 結果、主要エンドポイントは、腎除神経術群-15.8mmHg(95%信頼区間[CI]:-19.7~-11.9)、対照群-9.9mmHg(同:-13.6~-6.2)、両群差はベースライン補正後-5.9mmHg(同:-11.3~-0.5)で、腎除神経術群のほうが対照群よりも有意に降圧が大きかった(p=0.0329)。 また、6ヵ月時点の両群の降圧薬の剤数(中央値:5、IQR:4~7、p=0.7005)およびアドヒアランス(腎除神経術群74.5%、対照群72.5%、p=0.7704)は、いずれも同等であった。 腎除神経術関連の有害事象は3例示されたが、いずれも軽度であった(腰痛2例、軽度の鼠径部血腫1例)。 ベースラインから6ヵ月時のeGFR値は、両群で同様に軽度な低下が観察された(腎除神経術群-4.0%、対照群-6.2%、p=0.7260)。

9123.

睡眠指導でADHDの症状が改善/BMJ

 注意欠如・多動症(ADHD)の小児に対する簡易な睡眠衛生指導と行動療法的治療により、ADHDの症状が改善され、QOLや日常機能にも良好な効果がもたらされることが、オーストラリア・メルボルン大学のHarriet Hiscock氏らの検討で示された。ADHDの子供には睡眠行動障害がみられることが多く、その家族への影響が指摘されている。ADHD患児の睡眠への介入が、ADHDの症状や家族に及ぼす影響を無作為化試験で評価した研究はこれまでなかったという。BMJ誌オンライン版2015年1月20日号掲載の報告。症状や睡眠、親の精神的健康に及ぼす影響を評価 研究グループは、子供の睡眠障害に対する行動療法的治療による、ADHD患児の症状、行動、日常機能、作業記憶および保護者の精神的健康などの改善効果を検証する無作為化対照比較試験を実施した(Australian National Health and Medical Research Council[NHMRC]の助成による)。 被験者は、介入群または対照群(通常の治療を行う群)に無作為に割り付けられた。介入群は2週に1回の診察時(計2回)に、臨床心理士あるいは小児科医による睡眠衛生指導と標準化された行動療法的治療が行われた後、電話によるフォローアップが行われた。2010年8月~2012年6月に、ビクトリア州の21の一般小児病院の小児科医50人から、5~12歳の244例のADHD患児が登録された。 割り付け後3ヵ月と6ヵ月時に、ADHDの重症度(主要評価項目、保護者および教師によるADHD評価スケールIV)、睡眠障害、行動、QOL、日常機能、作業記憶および保護者の精神的健康(うつ・不安・ストレス評価スケール[DASS])、就業状況などの評価を行った。プライマリケアでの施行に適するアプローチ 介入群に122例(平均年齢:10.3歳、男児:84%、メチルフェニデート投与:76%)、対照群にも122例(9.9歳、86%、74%)が割り付けられた。3ヵ月時のフォローアップはそれぞれ86例、89例で行われ、6ヵ月時は106例、98例が完遂した。 3ヵ月、6ヵ月の両時点で、介入群は対照群に比べADHDの症状が有意に抑制された。症状の重症度変化の補正後平均差が、3ヵ月時は-2.9(95%信頼区間[CI]:-5.5~-0.3、p=0.03)、6ヵ月時は-3.7(95%CI:-6.1~-1.2、p=0.004)であった。 また、介入群では、不注意も3ヵ月時(p=0.01)、6ヵ月時(p=0.001)共に有意に改善し、多動/衝動的行動は3ヵ月時(p=0.13)には差はなかったものの、6ヵ月時(p=0.04)は有意な改善効果が認められた。 一方、介入群は対照群に比べ、中等度~高度の睡眠障害の頻度が3ヵ月の時点で有意に低く(30 vs. 56%、補正オッズ比[OR]:0.30、95%CI:0.16~0.59、p<0.001)、6ヵ月時も少ない傾向が認められた(34 vs. 46%、補正OR:0.58、95%CI:0.32~1.0、p=0.07)。3ヵ月時の介入群の絶対リスクの減少率は25.7%であり、治療必要数(NNT)は3.9であった。また、6ヵ月時の絶対リスク減少率は12.8%、NNTは7.8だった。 ADHD患児の症状に対する介入のベネフィットのうち、3ヵ月時の約2分の1、6ヵ月時の約3分の1は睡眠障害の改善によってもたらされた。また、介入群では、他のすべての患児のアウトカム、および精神的健康を除く保護者のアウトカムが改善される傾向がみられた。教師による評価では、患児の多動が3ヵ月および6ヵ月共に改善され、3ヵ月時には有意な改善効果が認められた(p=0.02)。 6ヵ月時の作業記憶は、対照群に比べ介入群の患児で良好であった。また、アクチグラフィによる睡眠時間の評価では、3ヵ月(平均差:10.9分、95%CI:-19.0〜40.8)および6ヵ月(平均差:9.9分、-16.3〜36.1)共に介入群で長い傾向がみられたものの有意な差はなく、いずれもサンプル数(3ヵ月時:54例、6ヵ月時:37例)が少なかったため補正解析は行われなかった。 著者は、「睡眠への簡易な行動療法的介入により、その多くが中枢神経刺激薬を処方されているADHD患児の症状が一定程度改善され、睡眠や行動、QOL、日常機能の改善効果も得られた。これらのベネフィットのほとんどは6ヵ月後も保持された」とまとめ、「このような介入法はプライマリケアでの使用に好適な可能性がある」と指摘している。

9124.

重症患者の連日クロルヘキシジン清拭は無効?/JAMA

 連日のクロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)清拭は、重症患者の医療関連感染(health care-associated infection)を予防しないことが、米国・ヴァンダービルト大学のMichael J Noto氏らの検討で確認された。入院中の院内感染(医療関連感染)は、入院期間の延長や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。入院患者の皮膚は病原菌の貯蔵庫であり、医療関連感染の機序には皮膚微生物叢の浸潤が関連すると考えられている。クロルヘキシジンは広域スペクトルの局所抗菌薬であり、清拭に使用すると皮膚の細菌量が減少し、感染が抑制される可能性が示唆されている。AMA誌2015年1月27日号掲載の報告。予防効果をクラスター無作為化クロスオーバー試験で評価 研究グループは、連日クロルヘキシジン清拭による、重症患者における医療関連感染の予防効果を検証するために、実臨床に即したクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。対象は、2012年7月~2013年7月までに、テネシー州ナッシュビル市にある3次医療機関の5つの専門機能別ICU(心血管ICU、メディカルICUなど)に入室した9,340例の患者であった。 5つのICUは、毎日1回、使い捨ての2%クロルヘキシジン含浸タオルを用いて清拭する群(2施設)または抗菌薬を含まないタオルで清拭する群(対照、3施設)に無作為に割り付けられた。これを10週行ったのち、2週の休止期間(この間は抗菌薬非含浸使い捨てタオルで清拭)を置き、含浸タオルと非含浸タオルをクロスオーバーしてさらに10週の清拭治療を実施した。 主要評価項目は、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染の複合エンドポイントとした。副次評価項目には、多剤耐性菌、血液培養、医療関連血流感染の陽性率などが含まれた。医療費の損失や耐性菌の増加を招く可能性も クロルヘキシジン群に4,488例(年齢中央値:56.0歳、男性:57.6%)、対照群には4,852例(57.0歳、57.8%)が割り付けられた。医療関連感染は、クロルヘキシジン清拭期に55例(CLABSI:4例、CAUTI:21例、VAP:17例、C.ディフィシル感染:13例)、抗菌薬非含浸清拭期には60例(4例、32例、8例、16例、)に認められた。 主要評価項目の発生率は、クロルヘキシジン清拭期が1,000人日当たり2.86、抗菌薬非含浸清拭期は同2.90であり、両群間に有意な差は認められなかった(発生率の差:-0.04、95%信頼区間[CI]:-1.10~1.01、p=0.95)。ベースラインの変量で補正後も、主要評価項目に関して両群間に有意差はみられなかった。 また、院内血流感染、血液培養、多剤耐性菌などの副次評価項目の発生率にも、クロルヘキシジン清拭による変化は認めなかった。さらに、事前に規定されたサブグループ解析では、各ICU別の主要評価項目の発生率にも有意な差はなかった。 著者は、「連日クロルヘキシジン清拭は、CLABSI、CAUTI、VAP、C.ディフィシルによる医療関連感染を予防せず、重症患者に対する連日クロルヘキシジン清拭は支持されない」とまとめ、「クロルヘキシジン清拭はいくつかの専門ガイドラインに組み込まれているが、医療費の損失やクロルヘキシジン耐性菌の増加を招いている可能性がある」と指摘している。

9125.

高齢になるほど肺炎既往歴はその後の心血管疾患発症リスクに大きな影響を与える(解説:島田 俊夫 氏)-307

 高齢化の進んだわが国においては、肺炎による死亡が今や死因の第3位を占めるに至っている。周知のごとく、1位は悪性腫瘍、2位は心疾患である。 最近、JAMA誌(2015年1月20日号)に掲載された年齢構成の異なる(高齢と中高年)2地域住民コホートに基づいたカナダ・オタワ大学のVincente F. Corrales-Medina氏による研究成果によると、肺炎罹患入院歴を有する群は肺炎罹患入院歴のない対照群よりも、肺炎罹患後の経過中に高率に心血管疾患を発症すると報告されている。 これまで、一般的に肺炎罹患入院後の心血管疾患発症リスクに関する理解は十分とは言えない。本研究の目的は、肺炎入院歴が心血管疾患発症の短期および長期のリスクを高めるか否かを、平均年齢の異なる2地域住民コホートの観察を通して明らかにすることである。 その対象研究の1つがCardiovascular Health Study(CHS;研究参加者数は5,888人、参加者登録時年齢は65歳以上、動員期間は1989~1994年)と、もう一方がAtherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC;研究参加者数は1万5,792人、参加者登録時年齢は45~64歳、動員期間は1987~1989年)である。 研究参加者は2010年12月31日まで経過観察が行われた。いずれの研究においても、最初の15年間に肺炎で入院した症例ごとに背景のマッチした2人の対照を選択し、対照群を設けた。肺炎症例と対照群をマッチさせた後10年間にわたり、種々の時間間隔で心血管疾患発症に関して経過観察が行われた。人口構成、心血管危険因子、潜在する心血管病、合併症、身体機能状態等を調整後に心血管疾患発症ハザード比を算出した。 本研究での曝露因子は肺炎であり、主要評価項目は心血管疾患イベント(心筋梗塞、脳卒中および致命的冠動脈疾患)である。その結果、CHSの591人の肺炎症例中206人(34.9%)が肺炎で入院後、10年間にわたる経過観察中に心血管疾患に罹患した。対照群と比較すると、肺炎症例での心血管疾患発症リスクは肺炎入院後1年の期間が最も発症リスクが高く、10年間にわたる経過観察期間を通じて対照群よりも有意に高い心血管発症リスクを示した。 もう一方のARIC研究では、680人の肺炎症例中112人(16.5%)が肺炎入院後10年間にわたる経過観察中に心血管イベントを引き起こした。肺炎入院後2年目以降では、肺炎症例の心血管発症リスクは対照群のそれと比較して有意差を認めなかった。高齢群では心血管疾患発症リスクが明らかに高く、影響の持続も長い傾向を認めた。 要するに、高齢者肺炎による入院は短期および長期の心血管発症リスクの増加に関係しており、この事実は肺炎が心血管疾患発症の独立した危険因子であることを示唆する。 この論文は、2つの年齢構成の異なる疫学研究解析情報に基づいて結論が導かれている。原因についてはこの研究デザインのみで明らかにすることは難しいが、肺炎による感染症を契機に、炎症の遷延化、潜在する動脈硬化巣(プラーク)の不安定化、炎症に基づく凝固活性の亢進、加齢等の因子が複雑に交絡することにより心血管疾患発症が易誘発されることを示唆している。 このことを踏まえて、とくに高齢者肺炎罹患後のアフターケアに関して上記のリスク因子の関与軽減に取り組むことで、心血管発症リスク抑制につながる可能性が考えられる。

9126.

グリベンクラミド、妊娠糖尿病には注意/BMJ

 妊娠糖尿病の短期的治療について、グリベンクラミド(商品名:オイグルコン、ダオニールほか)はインスリンおよびメトホルミン両剤よりも明らかに劣性であり、一方、メトホルミン(+必要に応じてインスリン)がインスリンよりもわずかだが良好であることが示された。スペイン・Mutua de Terrassa大学病院のMontserrat Balsells氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「グリベンクラミドは、メトホルミンやインスリンが使用できるのなら妊娠糖尿病治療には用いるべきでない」と提言している。BMJ誌オンライン版2015年1月21日号掲載の報告より。メタ解析でグリベンクラミドとインスリン、メトホルミンを比較 妊娠糖尿病治療で使用される経口薬が増えており、ガイドラインでも使用を認めているが、安全性に関する情報は限定的である。先行研究では、経口薬に焦点を当てた無作為化試験のメタ解析が複数発表されているが、グリベンクラミドvs. インスリン、メトホルミンvs. インスリン、メトホルミンvs. グリベンクラミドなど総合的な検討は行われていなかった。 研究グループは、それらの比較が行われていた無作為化試験での短期的アウトカムを要約することを目的に、システマティックレビューとメタ解析を行った。 試験適格としたのは、全文を公表しており、薬物療法を必要とした妊娠糖尿病の女性を対象としている、グリベンクラミドvs. インスリン、メトホルミンvs. インスリン、メトホルミンvs. グリベンクラミドを比較検討しているすべての無作為化試験とした。 検索は、2014年5月20日時点でMEDLINE、CENTRAL、Embaseを介して行った。 主要評価項目は、主要アウトカム14(母体6[妊娠末期のHbA1c値、重症低血糖、子癇前症、体重増加など]、胎児8[出産児の在胎月齢、未熟児出産、出生時体重など])、副次アウトカム16(母体5、胎児11)とした。グリベンクラミドはインスリン、メトホルミンより劣性 検索により、15論文、被験者2,509例を解析に組み込んだ。 グリベンクラミドvs. インスリンの主要アウトカムについて、出生時体重(平均差109g、95%信頼区間[CI]:35.9~181g、p=0.003)、巨大児(リスク比:2.62、95%CI:1.35~5.08、p=0.004)、新生児低血糖(同:2.04、1.30~3.20、p=0.002)について有意な差がみられた。 メトホルミンvs. インスリンでは、母体の体重増加(平均差:-1.14kg、95%CI:-2.22~-0.06、p=0.04)、出産児の在胎月齢(同:-0.16週、-0.30~-0.02、p=0.03)、未熟児出産(リスク比:1.50、95%CI:1.04~2.16、p=0.03)で有意差が認められ、新生児低血糖についても差がある傾向が認められた(同:0.78、0.60~1.01、p=0.06)。 メトホルミンvs. グリベンクラミドでは、母体の体重増加(平均差:-2.06kg、95%CI:-3.98~-0.14、p=0.04)、出生時体重(同:-209g、-314~-104、p<0.001)、巨大児(リスク比:0.33、95%CI:0.13~0.81、p=0.02)、在胎不当過大児(同:0.44、0.21~0.92、p=0.03)で有意差が認められた。 副次アウトカムについては、メトホルミンvs. インスリンでは4つがメトホルミンで良好であり、メトホルミンvs. グリベンクラミドではメトホルミンで不良であったのは1つであった。治療不成功は、グリベンクラミドと比べてメトホルミンで高率だった。

9127.

認知症、早期介入は予後改善につながるか

 これまで、アルツハイマー型認知症の進行速度に影響する因子についてほとんど知られていなかった。米国ジョンズ・ホプキンス大学のMatthew E. Peters氏らは、軽度アルツハイマー型認知症にみられる臨床的に重大な神経精神症状が、重度認知症への進行あるいは死亡に及ぼす影響について検討した。その結果、精神病症状、興奮 / 攻撃性、感情障害などが重度認知症への移行または死亡までの期間を早めることが判明したことを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年1月13日号の掲載報告。 研究グループは、Cache County Dementia Progression Studyのデータを用い、軽度アルツハイマー型認知症における臨床的に重大な神経精神症状と重度認知症への進行あるいは死亡との関連について検討した。Cache County Dementia Progression Studyは、新規に診断された症例において認知症の進行を調べる縦断的研究である。生存分析には未補正のKaplan-Meierプロットおよび多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。推定ハザード比は、認知症発症時の年齢、ベースライン時における認知症罹病期間、性別、教育レベル、General Medical Health Rating、アポリポ蛋白Eε4(ApoE-ε4)遺伝子型を考慮して調整した。 主な結果は以下のとおり。・新規にアルツハイマー型認知症と診断された335例を対象とした。・68例(20%)が観察期間中に重度の認知症に至った。・精神病症状(ハザード比[HR]:2.007)、興奮 / 攻撃性(同:2.946)、すべての臨床的に重大な神経精神症状(ドメインスコア4以上、HR:2.682) は、重度認知症への急速な進行と関連していた。・精神病症状(HR:1.537)、感情障害(同:1.510)、 興奮 / 攻撃性(同:1.942)、軽度の神経精神症状(ドメインスコア1~3、HR:1.448)、臨床的に重大な神経精神症状(HR:1.951)は、早期の死亡と関連していた。・特異的な神経精神症状が、軽度アルツハイマー型認知症から重度認知症への進行や死亡に至るまでの期間短縮と関連することが明らかになった。 結果を踏まえて著者は、「重度認知症あるいは死亡までの期間を遅らせる可能性という観点から、軽度アルツハイマー型認知症における特異的な神経精神症状の治療について検討すべきである」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマーの早期発見が可能となるか 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか  担当者へのご意見箱はこちら

9128.

日本人のイソフラボン摂取と胃がんの関係

 大豆イソフラボン摂取による胃がんの進行阻害を示唆する実験的研究がいくつかあるが、先行の疫学的研究ではこれと矛盾する結果が出ている。岐阜大学の和田 恵子氏らは、わが国の集団ベースの前向きコホート研究(高山スタディ)で、塩分摂取量を含むいくつかのライフスタイル因子を考慮したうえで、大豆やイソフラボンの摂取量と胃がん発症率の関連を検討した。その結果、大豆イソフラボン(主に非発酵大豆食品)の高摂取が胃がんの予防につながる可能性が示唆された。International journal of cancer誌オンライン版2015年1月14日号に掲載。 1992年9月時点で35歳以上であった男性1万4,219人、女性1万6,573人について、大豆やイソフラボン摂取量を食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価し、総エネルギー摂取量について調整した。胃がん発症率は、主に地域の集団ベースのがん登録により確認した。 主な結果は以下のとおり。・2008年3月までに男性441人、女性237人が胃がんを発症した。・複数の交絡因子調整後、大豆摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の胃がん相対リスクは有意に低かった。推定ハザード比は、男性で0.71(95%CI:0.53~0.96、傾向のp=0.039)、女性で0.58(95%CI:0.36~0.94、傾向のp=0.003)であった。・女性においては、イソフラボン摂取量と胃がんリスクとの間にも同様の負の相関が認められた。・非発酵大豆食品の摂取量が多いと、胃がんリスクが有意に低いことが認められた(傾向のp値:男性0.022、女性0.005)。一方、発酵大豆食品の摂取量と胃がんリスクとの間に有意な関連は認められなかった。

9129.

Vol. 3 No. 1 血糖をコントロールすることは、本当に心血管イベント抑制につながるのか? ~ DPP-4阻害薬の大規模臨床試験の結果を踏まえて~

坂口 一彦 氏神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科はじめに国際糖尿病連合のDiabetes Atlas第6版(2013年)1)によれば、世界の糖尿病患者数は3億8,200万人と推定され、そのうちの1億3,800万人が日本を含む西太平洋地区に存在するとされている。世界で糖尿病が理由で亡くなっている人が6秒に1人存在することになり、経済的損失は5,480億ドルにも達するとされている。患者数の増加は2035年には5億9,200万人に達すると予測され、人類にとっての脅威という表現も決して誇張ではない。糖尿病患者は心血管イベントを発生しやすい高リスク集団であることは以前より報告が多く、本邦においても1996年から国内の専門施設に通院する糖尿病患者2,033名を登録して開始されたJapan Diabetes Complications Study(JDCS)の9年次報告2)では、虚血性心疾患の発症率が9.6人/年(男性11.2人/年、女性7.9人/年)と著明に上昇し、脳血管疾患の7.6人/年(男性8.5人/年、女性6.6人/年)を上回っている。それでは、糖尿病患者の血糖をコントロールすることで心血管イベントの抑制につながるのだろうか?糖尿病は何のために治療するのか?という根源的な問題ともいえるこの点について、本稿ではこれまでのエビデンスに基づいて述べる。厳格な血糖コントロールとは何を意味するか?糖尿病の合併症のうち、網膜症・腎症・神経障害など細小血管合併症の発症は、平均血糖の上昇を意味するHbA1cとの間に強い関係があり、さらに1990年代〜2000年に行われたDCCT3)やUKPDS4)などの介入試験において、HbA1cを低下させることで発症・進展阻止が得られることが明らかとなった(図1)。一方で、虚血性心疾患に代表される大血管合併症の発症は、糖尿病患者の血圧や脂質への介入により抑制されることが確認できたが、HbA1cの低下と心血管イベント発症抑制との関連については、それら初期の介入試験では有意な関係を認めることができなかった。2000年代に入りACCORD5)、ADVANCE6)、VADT7)という3つの大規模臨床試験が相次いで発表された。いずれもHbA1cを十分に下げても主要心血管イベントの抑制効果を認めることができず、ACCORD試験に至ってはむしろ強化療法群で死亡率が上昇したという結果で多くの議論を呼ぶこととなった。図1 大規模臨床試験が明らかにした厳格な血糖コントロールがもたらすもの画像を拡大するこれらの試験が私たちに教えたことは、(1)HbA1cの低下は血糖の正常化と同義語ではない、すなわち低血糖を伴わず、血糖変動の小さい日々の血糖状態の結果としての質のよいHbA1cの改善が求められること、(2)年齢、罹病期間、合併症など背景要因を考慮せず一律な治療目標を設定することには問題があること、(3)罹病期間が長い患者に対する治療には限界があり、特に短期間での急速なHbA1cの低下は好ましくないこと、また治療開始の時期がその後の合併症や生命予後に大きく関わることから、糖尿病の発症早期からの治療介入が好ましいこと、などである。その結果、糖尿病の診療は下記のように変化が起きつつある。(1)低血糖の際に交感神経の活性化や凝固系亢進、炎症マーカーの亢進などを介して不整脈や虚血を誘発することが考えられ、低血糖に関する注意が従来以上に強調されることとなった。最近、経口糖尿病治療薬としてDPP-4阻害薬が登場し、現在本邦でも広く使用されているが、これは単独使用では低血糖を起こすことが基本的にはないためと思われる。(2)ADA/ EASDのガイドラインに患者中心アプローチの必要性があらためて記載され、患者ごとの治療目標を設定することが推奨されるようになった8)。(3)その後、厳格な血糖管理の影響は、特に大血管合併症や生命予後に関しては年余を経てからmetabolic memory効果9)やlegacy effect10)が現れることが初期の介入試験の延長試験の結果から明らかとなり、やはり早期からの治療介入の重要性が強調されることとなった。食後高血糖への介入の意義HbA1cがまだ上昇していない境界型のレベルから動脈硬化が進行し、心血管イベントを起こしやすいことはよく知られている。DECODE試験やDECODA試験、本邦におけるFunagata試験が示したことは、経口ブドウ糖負荷試験の空腹時血糖よりも負荷後2時間の血糖値のほうが総死亡や心血管イベントの発症とよく相関するという結果であった。食後高血糖が動脈硬化を促進するメカニズムとして、臍帯血管内皮細胞を正常糖濃度、持続的高濃度、24時間ごとに正常濃度・高濃度を繰り返すという3条件で培養した際、血糖変動を繰り返した細胞で最も多くのアポトーシスを認めたというin vitroの報告や、2型糖尿病患者における血糖変動指標であるMAGEと尿中の酸化ストレスマーカーが相関することなどから、食後高血糖は酸化ストレスや血管内皮障害を介し、大血管合併症につながりうると推測されている。国際糖尿病連合が発行している『食後血糖値の管理に関するガイドライン』では「食後高血糖は有害で、対策を講じる必要がある」とされている。それでは、食後高血糖に介入した臨床試験は期待どおりの結果であったであろうか?STOP-NIDDM試験(Study to prevent Non-Insulin-Dependent Diabetes Mellitus)11)IGT患者1,429名に対して、α-グルコシダーゼ阻害薬であるアカルボースで介入することで2型糖尿病の発症を予防することができるかどうかを1次エンドポイントにしたRCTである。試験期間は3.3年であった。その結果、糖尿病発症は有意に予防でき(ハザード比0.75、p=0.0015)、さらに2次エンドポイントの1つとして検証された心血管イベントの発症も有意に抑制されることが報告された(ハザード比0.51、p=0.03)。しかしアカルボース群は脱落者が比較的多く、得られた結果も1次エンドポイントではないことに注意したい。NAVIGATOR試験(The Nateglinide and Valsartan in Impaired Glucose Tolerance Outcome Research)12)IGT患者9,306名を対象として、血糖介入にはグリニド薬であるナテグリニドを、血圧介入にはARBであるバルサルタンを用いて、2×2のfactorialデザインで実施されたRCTである。1次エンドポイントは糖尿病の発症と心血管イベントの発症で、観察期間の中央値は5年間であった。結果としてナテグリニド群はプラセボ群に比し、糖尿病の発症(プラセボに対するハザード比1.07、p=0.05)、心血管イベントの発症(プラセボに対するハザード比0.94、p=0.43)といずれも予防効果を証明できなかった。本試験ではナテグリニド群において低血糖を増加させていたことや、投薬量が不足していた可能性などの問題が指摘されている。HEART2D試験(Hyperglycemia and Its Effect After Acute Myocardial Infarction on Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus)13)急性心筋梗塞後21日以内の2型糖尿病患者1,115名を対象に、超速効型インスリンを1日3回毎食前に使用して食後血糖を低下させた治療群と、基礎インスリンを使用して空腹時血糖を低下させた治療群を比較したRCTである。平均963日のフォローアップで、同様にHbA1cが低下し、日内の血糖パターンにも変化がついたにもかかわらず、主要心血管イベントの発症には両群で有意差がつかなかった。このように、食後の高血糖が有害であるということを示唆するデータやそれを裏づける基礎的データはあるものの、血糖変動を厳格に管理することで本当に糖尿病患者の心血管イベントが減るのかということに関しては、未だ明らかではないことがわかる。DPP-4阻害薬を使用した大規模臨床試験インクレチン関連薬の登場は、糖尿病治療にパラダイムシフトを起こしたとまでいわれ、低血糖や体重増加が少ないというメリットがあるうえに、日内の血糖変動も小さく、真の意味で厳格な血糖コントロールを目指せる薬剤と期待され広く臨床使用されるようになった。加えてインクレチン関連薬には、血糖コントロール改善効果以外に、臓器保護効果やβ細胞の保護効果を示唆するデータが培養細胞や動物実験において出されつつある。最近、DPP-4阻害薬を用い、心血管イベントを1次エンドポイントとした2つのRCTが発表されたので、次にこれらの試験について述べる。試験が行われた背景ロシグリタゾンは本邦では未発売のPPAR-γ活性化薬の1つである。血糖降下作用に加え、抗炎症作用・臓器保護作用などの報告が多く、大血管イベント抑制効果も期待されていたが、2007年にそれまでの臨床試験の結果を解析すると、逆に急性心筋梗塞が対照群に比べて1.43倍、心血管死亡が1.64倍増加しているという衝撃的な報告がなされた14)。2008年、アメリカ食品医薬品局(FDA)はこれらの報告を受け、新規の糖尿病治療薬については心血管イベントリスクの安全性を証明することを義務づけた。ここで述べる2つのRCTは、このFDAの要請に応えるべく行われた。したがって、プラセボ薬に比し、心血管イベントの発生が非劣性であることを1次エンドポイントとしてデザインされたRCTであり、実薬による介入が対照群に比し優れているかどうかを検証するこれまで述べてきた他の試験とは性質が異なる。EXAMINE試験(Examination of Cardiovascular Outcome with Alogliptin)15)(表1)急性冠動脈症候群を発症した2型糖尿病患者5,380名を、アログリプチン群とプラセボ群に無作為に割り付け、観察期間中央値18か月として、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発症リスクを比較したものである。結果として、プラセボに対する非劣性は証明されたが(プラセボに対するハザード比0.96、p<0.001 for noninferiority)、優越性は証明されなかった。表1 EXAMINE試験とSAVOR-TIMI 53試験の概略画像を拡大するSAVOR-TIMI53試験(Saxagliptin and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus)16)(表1)心血管イベントの既往またはリスクを有する2型糖尿病患者16,492名を無作為にサキサグリプチン群とプラセボ群に割り付け、観察期間を中央値2.1年、主要評価項目を心血管死、心筋梗塞、脳卒中発症の複合エンドポイントとして比較したものである。結果として、プラセボに対する非劣性は証明されたが(プラセボに対するハザード比0.89、p<0.001 for noninferiority)、優越性は証明されなかった(p=0.99 for superiority)。本試験の対象は高リスクで罹病期間の長い中高年者であり、ACCORD試験の対象者に似ていることと介入期間の短さを考えると、介入終了時点でイベント発生の抑制効果が認められないことにそれほどの違和感はない。加えてACCORD試験ほど急速にHbA1cは下がっていない(むしろ介入終了時のプラセボとのHbA1cの差は全区間を通じて有意であったとはいえ、介入終了時点で7.7% vs. 7.9%と極めて小さな差であった)、主要評価項目のイベントを増やすことがなかったという意味では所定の結果は得られたといえる。しかし、解析の中で次の点が明らかになった。単剤で使用される限り低血糖のリスクは少ないDPP-4阻害薬であるが、併用薬を含む本試験においてはサキサグリプチン群のほうが有意に低血糖が多かった。また2次複合エンドポイント(1次複合エンドポイントの項目に加えて狭心症・心不全・血行再建術による入院を含めたもの)も両群で有意差はつかなかったが、その中の1項目である心不全による入院は、サキサグリプチン群がプラセボ群に比してハザード比1.19(p=0.007)と有意に増える結果となった。おわりにこのように、現時点では既述のように発症から比較的早い段階から介入することで、後年の心血管イベントや死亡を減らせることは証明されているものの、発症から年余を経た糖尿病患者に対する介入試験で、1次エンドポイントとしての心血管イベントを抑制することを証明した臨床試験は存在しない。DPP-4阻害薬を用いた2つの臨床試験は、優越性の証明が主目的ではなかったものの、心不全による入院の増加の可能性を示唆するものであった(IDF2013では、EXAMINE試験において心不全は増加傾向で、SAVOR-TIMI53試験とEXAMINE試験の2つの試験のメタ解析の結果でも有意に心不全が増えると報告された)。今後、DPP-4阻害薬を用いた大規模臨床試験の結果が明らかにされる予定であり(表2)、この点も興味が持たれる。表2 DPP-4阻害薬は糖尿病患者の予後を変えることができるか?現在進行中の心血管イベントを1次エンドポイントとした大規模臨床試験画像を拡大する文献1)http://www.idf.org/diabetesatlas2)曽根博仁. JDCS 平成21年度総括研究報告書.3)The DCCT Research Group. The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. N Engl J Med 1993; 329: 977-986.4)Stratton IM et al. Association of glycaemia with macrovascular and microvascular complications of type 2 diabetes (UKPDS 35): prospective observational study. BMJ 2000; 321: 405-412.5)ACCORD Study Group. Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.6)ADVANCE Collaborative Group. Intensive blood glucose control and vascular outcomes in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2560-2572.7)VADT Investigators. Glucose control and vascular complications in veterans with type 2 diabetes. N Engl J Med 2009; 360: 129-139.8)Inzucchi SE et al. Management of hyperglycemia in type 2 diabetes: A patient-centered approach. Diabetes Care 2012; 35: 1364-1379.9)DCCT/EDIC Study Research Group. Intensive diabetes treatment and cardiovascular disease in patients with type 1 diabetes. N Engl J Med 2005; 353: 2643-2653.10)Holman RR et al. 10-year follow-up of intensive glucose control in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 359: 1577-1589.11)STOP-NIDDM Trail Research Group. Acarbose for prevention of type2 diabetes mellitus: the STOPNIDDM randomized trial. Lancet 2002; 359: 2072-2077.12)The NAVIGATOR Study Group. Effect of nateglinide on the incidence of diabetes and cardiovascular events. N Engl J Med 2010; 362: 1463-1476.13)Raz I et al. Effects of prandial versus fasting glycemia on cardiovascular outcomes in type 2 diabetes: the HEART2D trial. Diabetes Care 2009; 32: 381-386.14)Nissen SE and Wolski K. Effect of rosiglitazone on the risk of myocardial infarction and death from cardiovascular causes. N Engl J Med 2007; 356: 2457-2471.15)White WB et al. Alogliptin after acute coronary syndrome in patients with type 2 diabetes. N Engl J Med 2013; 369: 1327-1335.16)Scirica BM et al. Saxagliptin and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med 2013; 369: 1317-1326.

9130.

生きた魚をのどに詰めた男性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第036回

生きた魚をのどに詰めた男性魚を食べて骨がのどに詰まった、なんて経験のある人もいるかもしれません。しかし、今回ご紹介するのは、生きた魚が丸ごとのどに詰まった症例です。 Tang ML, et al.Fish in throat: An Unusual Foreign Body.Med J Malaysia. 2013; 68: 469-470.主人公は19歳の男性です。彼は、およそ12cmの生きている魚を飲み込んでしまった後、強い呼吸困難を訴えました。世界中に数多く存在する“異物論文”を読んでいると、なぜこういった事態になるのか理解できません……。小魚ならともかくとして、12cmですよ。本当に誤って口に入るんでしょうか。彼の咽頭喉頭を軟性鏡で観察すると、大きな生きている魚が喉頭にはまり込んでいるではありませんか。ピチピチ、ピチピチ。鉗子などで無理やり引っ張り出そうと試みましたが、魚が喉頭にガッチリ食い込んで外れません。エイと引っ張ると、魚の尾びれだけがブチっと取れてしまいました。こりゃあ困った、取れないぞ……。

9131.

急性脳卒中への予防的抗菌薬は有用か/Lancet

 急性脳卒中の患者に対し、通常の脳卒中治療に加え第3世代セフトリアキソン(商品名:ロセフィンほか)の予防的投与を行っても、機能的アウトカムの改善にはつながらなかったことが報告された。オランダ・アムステルダム大学のWilleke F. Westendorp氏らが、同患者2,550例について行った多施設共同非盲検無作為化比較試験PASS(Preventive Antibiotics in Stroke Study)の結果、示された。著者は「今回の結果は、成人急性脳卒中患者に対する予防的抗菌薬投与を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月19日号掲載の報告より。セフトリアキソン2gを24時間ごとに4日間投与 研究グループは2010年7月6日~2014年3月23日にかけて、オランダ30ヵ所の医療機関で、急性脳卒中の患者2,550例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には、通常の脳卒中治療に加えセフトリアキソン2gを24時間ごと、4日間にわたり静注投与した。もう一方の群には、通常の脳卒中治療のみを行った。被験者の割り付けは、発症後24時間以内に行われた。 主要エンドポイントは、3ヵ月後の修正Rankinスケールによる機能的アウトカムだった。副次的評価項目は、死亡、感染症、抗菌薬使用の各発生率、入院期間などだった。3ヵ月後の修正Rankin・スケールは同等 無作為化直後に12例が除外となり、2,538例についてintention-to-treat分析を行った(セフトリアキソン群1,268例、対照群は1,270例)。なお3ヵ月のフォローアップを完了したのは2,514例(99%、各群1,257例)だった。 結果、3ヵ月後の修正Rankinスケールは両群において同程度で、セフトリアキソンの予防的投与による機能改善は認められなかった(オッズ比:0.95、95%信頼区間:0.82~1.09、p=0.46)。 また、セフトリアキソン予防的投与による有害事象は認められなかったが、クロストリジウム・ディフィシル菌の過剰繁殖感染が、セフトリアキソン群の2例(1%未満)にのみ認められた(対照群は発生例なし)。

9132.

温泉療法でうつや睡眠も改善

 12日間の温泉治療プログラムにより、健康な高齢者の疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態が有意に改善したことが示された。スペイン・ハエン大学のPedro Angel Latorre-Roman氏らが、52例の高齢者を対象に試験を行った結果、報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2014年12月16日号の掲載報告。 検討は、スペイン国内の複数の地域から高齢者52例を集め、政府機関Elderly and Social Services(IMSERSOとして知られる)が作成した水治療(hydrotherapy)プログラムに参加してもらい評価を行った。参加者に、12日間の温泉治療プログラムを提供し、疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態について評価した。疼痛は視覚的アナログスケールを用いて、気分状態はProfile of Mood Statusを用いて、睡眠はOviedo Sleep Questionnaire、抑うつ状態はGeriatric Depression Scaleを用いて評価した。 温泉治療プログラムは、スペイン・ハエンにある温泉付きホテルBalneario San Andresで行われた。同温泉は、スペインミネラル水ハンドブックによると、低温(20℃以上)に分類され、重炭酸塩、硫酸塩、ナトリウム、マグネシウムを豊富に含む中硬水のアルカリイオン水であった。 主な結果は以下のとおり。・参加者52例の内訳は、男性23例(年齢69.74±5.19歳)、女性29例(同:70.31±6.76歳)であった。・温泉療法は、全被験者のすべての変数(疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態)を有意に改善した(p<0.05)。・疼痛の改善については性差がみられた。治療後、男性では有意な改善(p<0.01)がみられたが、女性ではみられなかった。・気分状態の改善についても性差がみられた。女性では抑うつ症状と疲労感の両者で有意な改善(p<0.05)がみられたが男性ではみられなかった。・12日間の温泉治療プログラムは、健康高齢者の疼痛、気分、睡眠の質、抑うつ状態にポジティブな効果をもたらすことが示唆された。関連医療ニュース うつ病患者で重要な食事指導のポイント うつになったら、休むべきか働き続けるべきか ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか  担当者へのご意見箱はこちら

9133.

ERでの急性心筋梗塞の診断、TnT検査のカットオフ値は/BMJ

 高感度トロポニンT(TnT)アッセイ単回ベースライン時実施時のカットオフ値について、3~5ng/Lといった低値を用いてもルールアウトは可能であることが示された。英国・エクセター大学のZhivko Zhelev氏らが、システマティックレビューとメタ解析を行った結果、報告した。ただし同値での診断について著者は、「あくまで総合的なトリアージ戦略の一部とすべきもので、発症後3時間未満の患者には適しているとは思われない」と指摘している。本検討は、緊急救命室(ER)での急性心筋梗塞の診断について、TnT単回ベースライン実施のサマリー推定精度を明らかにすることを目的に行われた。BMJ誌オンライン版2015年1月15日掲載の報告より。システマティックレビューとメタ解析で、カットオフ値14ng/L、3~5ng/Lを評価 レビューは、Medline、Embaseなどの電子データベースをソースとし、2006年1月~2013年12月に発表された論文を検索して行った。 初めに著者が、すべてのタイトル、要約を検索し、特定した論文を2人のレビュワーが各々、QUADAS-2を用いてテキスト全文、データの抽出法、試験方法の質をスクリーニングした。選出した論文を、階層二変量モデル(hierarchical bivariate model)を用いてメタ解析を行った。 電子的検索により3,071レコードが特定され、最終的に23試験をメタ解析に組み、カットオフ値14ng/Lおよび3~5ng/Lの結果についてそれぞれプールし分析した。見逃しは14ng/Lでは2例、3~5ng/Lでは1例未満 23試験のうち、カットオフ値14ng/Lでの診断精度について報告をしていたのは20試験で、感度は89.5%(95%信頼区間[CI]:86.3~92.1%)、特異度は77.1%(同:68.7~83.7%)であった。3~5ng/Lについては6試験で報告されており、感度97.4%(同:94.9~98.7%)、特異度42.4%(同:31.2~54.5%)であった。 本解析では、23試験のうち急性心筋梗塞であった患者の割合(平均有病率)は21%(連続患者100例のうち21例が急性心筋梗塞)であった。これに基づき試算すると、カットオフ値14ng/Lとした場合は、21例のうち急性心筋梗塞の見逃しは2例(95%CI:2~3例)であり、79例のうち18例(同:13~25例)が急性心筋梗塞でないにもかかわらず陽性(偽陽性)と診断されることを意味するものであった。 一方、カットオフ値3~5ng/Lなら、見逃しは1例未満(95%CI:0~1)、偽陽性は46例(同:36~54例)であった。 これらの結果について著者は、「高感度トロポニンTアッセイ単回実施時にベースライン時実施時のカットオフ値について、3~5ng/Lの低値を用いてもルールアウトは可能であることが示された」と述べつつ、「しかし、このルールは総合的なトリアージ戦略の一部とすべきで、発症後3時間未満の患者には適していないと思われる。また、検査評価が不正確である割合が高く、低トロポニン値を用いることでより効果が大きい被験者について、ばらつきが大きいことから、注意を払うべきである」とまとめている。

9134.

モノクロロ酢酸はいぼ治療の新たな選択肢

 疣贅(いぼ)の治療として凍結療法やサリチル酸が用いられるが、効果が得られないことも多い。オランダ・ライデン大学のSjoerd C Bruggink氏らは、モノクロロ酢酸が凍結療法あるいは凍結療法+サリチル酸併用療法に代わる、痛みのない効果的な治療選択肢となりうることを無作為化試験で示した。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2015年1月13日号の掲載報告。モノクロロ酢酸塗布による尋常性疣贅と足底疣贅の治癒率 オランダのプライマリケア53施設において、1つ以上の新規の尋常性疣贅または足底疣贅を有する4歳以上の連続症例が登録され、尋常性疣贅患者(188例)は外来でのモノクロロ酢酸塗布および液体窒素凍結療法(2週ごと)の2群に、足底疣贅患者(227例)は外来でのモノクロロ酢酸塗布および液体窒素凍結療法+サリチル酸(毎日自己塗布)併用の2群に無作為化された。 主要評価項目は、治療13週後における治癒率(すべての疣贅が治癒した患者の割合)であった。 主な結果は以下のとおり。・尋常性疣贅の治癒率はモノクロロ酢酸群が40/92例43%(95%信頼区間[CI]:34~54)、凍結療法群が50/93例54%(同:44~64%)であった(p=0.16)。・足底疣贅の治癒率は、モノクロロ酢酸群が49/106例46%(同:37~56%)、凍結療法+サリチル酸群が45/115例39%(同:31~48%)であった(p=0.29)。・尋常性疣贅患者において治療後の疼痛は両群で類似していた。

9135.

食道がんリスクが高い職業

 食道がんに、職業リスクは関係するのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCatarina Jansson氏らは、長期フォローアップによる大規模コホート研究であるthe Nordic Occupational Cancer Study(職業がん研究プロジェクト)を基に、その関連性を検討した。その結果、男女共、ウエーターと食品業従事者でリスクが高く、教師でリスクが低いことを報告した。International journal of cancer. Journal international du cancer誌オンライン版2014年12月29日号の掲載報告。 同コホート研究には、1960~1990年におけるフィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの成人(30~64歳)、1,290万人が参加している。著者らは、参加者を54の職業カテゴリーに分類し、2005年までの全国的ながんレジストリのフォローアップにより食道がん罹患者を特定した。 主な結果は以下のとおり。・国別の標準化罹患比(SIRs)および95%信頼区間(CI)を特定した。・フォローアップ期間中、腺がん4,722例、扁平上皮がん1万4,496例が発生した。・男性において、腺がんと扁平上皮がんのリスクが高かったのは以下の職業であった。・食道がんのリスクが低かったのは、技術者、医師、教師、宗教家、造園業者であった。・6つの職業カテゴリーにおいて、腺がんと扁平上皮がんの間にSIRの有意な差が認められた。・女性において、食品業従事者とウエーターでリスク増加が、教師でリスク低下が認められた。看護師と看護助手では扁平上皮がんのリスクのみ認められた。・男女共、ウエーターと食品業従事者でリスク増加が、教師でリスク低下が認められた。・本大規模コホート研究は、職業により食道がんリスクが異なることを示したが、ほとんどの職業カテゴリーにおいて、食道がんの組織型によるリスクの違いはみられなかった。

9136.

いま一度、ハロペリドールを評価する

 ハロペリドールは世界中で最も高頻度に使用されている抗精神病薬の1つである。過去の解説的(narrative)非システマティックレビューにより、さまざまな第一世代(従来型、定型)抗精神病薬との間に有効性の差がないと報告され、それに基づき「各種第一世代抗精神病薬の有効性は同等である」という根拠のない精神薬理学的な仮説が確立され、テキストや治療ガイドラインに組み込まれている。しかし一方で、仮説は臨床で受ける印象と相反する面があり、質の高いシステマティックレビューの実施が強く求められていた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMarkus Dold氏らは、ハロペリドールの有効性、受容性、忍容性を他の第一世代抗精神病薬と比較するため、メタ解析を実施した。その結果、ハロペリドールにおいてアカシジアの発現が少なかったことを除き、統計学的な有意差は確認されなかった。ただし、「解析対象となった臨床試験はサンプルサイズが小さく、方法論的に質が低いものであった。明確な結論を得るには質の高い臨床試験が必要である」と指摘している。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2015年1月16日号の掲載報告。 本検討では、2011年10月、2012年7月に、CINAHL、BIOSIS、AMED、EMBASE、PubMed、MEDLINE、PsycINFOなどの標準的なデータベースに基づいてCochrane Schizophrenia Group's Trials Registerおよび臨床試験登録を検索。より関連の深い出版物を特定するため、該当する全試験の参考文献を選別し、ハロペリドールを販売している製薬会社に問い合わせ、より関連の深い試験や特定された研究における欠測データに関する情報を取得した。さらに、欠測データを調べるため全対象試験の筆頭著者に連絡を取った。検索対象は、統合失調症および統合失調症様精神病に対し、経口ハロペリドールと他の経口第一世代抗精神病薬(低力価の抗精神病薬、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペラジン、プロクロルプロマジン、チオリダジンを除く)を比較したすべての無作為化対照試験(RCT)とした。主要アウトカムは、治療に対する臨床的に重要な反応とした。副次的アウトカムは全身状態、精神状態、行動、全体的受容性(理由を問わず、早期に試験を脱落した被験者の人数により判定)、全体的有効性(治療無効による症例減少で判定)、全体的忍容性(有害事象による症例減少で判定)、特異的な有害事象とした。 主な結果は以下の通り。・63件のRCT、被験者3,675例がシステマティックレビューに組み込まれた。・ハロペリドールの比較薬として多かったのは、ブロムペリドール(9例)、ロキサピン(7例)、トリフロペラジン(6例)であった。・対象となった試験は1962~1993年に公表されたもので、サンプルサイズが小さく(平均被験者数58例、範囲:18~206例)、事前に規定されたアウトカムの報告が不完全なものが多数あった。・主要アウトカムの結果はすべて、質が非常に低い、あるいは質の低いデータに基づくものであった。・多くの試験において、ランダム化、割り付け、盲検化の手順が報告されていなかった。・短期試験(12週以内)において、ハロペリドールと他の第一世代抗精神病薬群との間に、主要アウトカム(治療に対する臨床的に重要な反応)に関する差は認められなかった(40件、2,132例、RR:0.93、CI:0.87~1.00)。・中期試験において、ハロペリドールの有効性は他の第一世代抗精神病薬群に比べ小さいものであったが、このエビデンスは1件の試験に基づくものであった(1件、80例、RR:0.51、CI:0.37~0.69)。・エビデンスは限られていたが、ハロペリドールは他の抗精神病薬に比べ陽性症状を軽減した。・全身状態、他の精神状態アウトカム、行動、理由を問わない試験からの早期脱落、無効による早期脱落、有害事象による早期脱落において群間差は認められなかった。・唯一認められた統計学的有意差は特異的な副作用で、ハロペリドールは中期試験においてアカシジアの発現が少なかった。・メタ解析による結果は、第一世代抗精神病薬と同等の有効性を示唆してきた過去の解説的な非システマティックレビューの見解を支持するものであった。・有効性関連のアウトカムにおいて、ハロペリドールと他の効果の高い第一世代抗精神病薬との間の差異を示す明らかなエビデンスはなかった。・ハロペリドールのリスクプロファイルは他の第一世代抗精神病薬と同様であった。関連医療ニュース 鎮静目的のハロペリドール単独使用のエビデンスは蓄積されたのか 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は ブロナンセリンの薬理学的メカニズムを再考する  担当者へのご意見箱はこちら

9137.

ポリマーや材質の異なる第3世代ステント、有用性を比較/Lancet

 耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントは、生分解性ポリマー・バイオリムス溶出ステントに対し非劣性であることが、デンマーク・オールボー大学のBent Raungaard氏らによる無作為化試験「SORT OUT VI」の結果、示された。新世代の薬剤溶出ステントは、とくに複雑疾患や病変を有する患者における冠動脈イベントリスクを低減するが、ステント材質の違い、ポリマーおよび抗増殖性の薬剤であることがアウトカムに影響を及ぼすかについては明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン2015年1月15日号掲載の報告より。耐久性ポリマー・ゾタロリムスvs. 生分解性ポリマー・バイオリムス SORT OUT(Scandinavian Organization for Randomized Trials with Clinical Outcome)VIは非盲検無作為化の多施設非劣性試験で、西デンマークの3つの大学病院で2011年3月~2012年8月にわたって行われた。安定性冠動脈疾患または急性冠症候群で、1枝以上の冠動脈病変(狭窄50%超)を有する患者を被験者適格とした。 研究グループは、第3世代のステントの安全性と有効性を調べるため、適格患者を、耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントまたは生分解性ポリマー・バイオリムス溶出ステントを受ける群に無作為に割り付けて、追跡評価した。 主要エンドポイントは、12ヵ月時点で評価した安全性(標的病変に起因していることが明らかな心臓死および心筋梗塞で評価)と有効性(標的病変の再血行再建術で評価)の複合とし、事前規定の非劣性マージンは0.025であった。安全性、有効性についてステント間に有意差なし 試験は7,103例がスクリーニングを受け、ゾタロリムス群に1,502例(病変1,883枝)が、バイオリムス群に1,497例(1,791枝)が無作為に割り付けられた。 結果、主要エンドポイント達成は、ゾタロリムス群79例(5.3%)、バイオリムス群75例(5.0%)で、絶対リスク差0.0025、95%信頼区間(CI)上限値は0.016%であり、耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントの生分解性ポリマー・バイオリムス溶出ステントに対する非劣性が示された(p=0.004)。 なお主要エンドポイントの安全性、有効性の各評価項目についても、ステント間で有意差は認められなかった。

9138.

膝OAに陸上運動療法は有効

 オーストラリア・シドニー大学のMarlene Fransen氏らによるシステマティックレビューの結果、陸上での運動療法は変形性膝関節症(膝OA)の疼痛軽減および身体機能改善に有用であり、その効果は治療終了時だけではなく、終了後2~6ヵ月まで持続することが示唆された。膝OAの治療において、運動療法は主要な非薬理学的介入の1つであり国際的なガイドラインで推奨されている。レビューの結果を踏まえて著者は、「陸上での運動療法の治療効果は中等度で比較的短期であるが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に関して報告されている結果と同程度と思われる」と結論付けた。なお「本レビューの知見が今後の研究で変わることはないと確信しているため、盲検試験は多くないがエビデンスの質は低いとはしなかった」と補足している。Cochrane Database of Systematic Reviews誌オンライン版2015年1月9日号の掲載報告。 研究グループは、5つのデータベースを用いて2013年5月までの論文などを検索し、膝OA患者において、水中ではなく陸上で行われる運動療法と非運動療法または非治療を比較したすべての無作為化試験(RCT)を選択した。 評価項目は膝痛、身体機能およびQOLで、2人のレビュアーからなる3つのチームが独立してデータの抽出、バイアスリスクの評価、エビデンスの質(GRADE)の評価を行った。 主な結果は以下の通り。・レビューには54試験が組み込まれた。・全体としてバイアスリスクは低いと思われたが、患者も盲検化されたRCTは4件のみで、多くのRCTは評価者盲検であったにもかかわらず、疼痛、身体機能およびQOLは患者の自己申告であった。・陸上運動療法は、治療終了時に疼痛を軽減することが認められた(標準化平均差[SMD]:-0.49、95%信頼区間[CI]:-0.39~-0.59)(RCT:44件、3,537例、エビデンスの質:高)。疼痛スコア(0[疼痛なし]~100ポイント)の推定値は対照群が44ポイントで、陸上運動療法群は12ポイント(95%CI:10~15)低かった。・陸上運動療法は、治療終了時に身体機能を改善することが認められた(SMD:-0.52、95%CI:-0.39~-0.64)(RCT:44件、3,913例、エビデンスの質:中)。身体機能スコア(0[機能消失なし]~100ポイント)の推定値は対照群が38ポイントで、陸上運動療法群は10ポイント(95%CI:8~13)低く改善が認められた。・陸上運動療法は、治療終了時にQOLを改善することも認められた(SMD:0.28、95%CI 0.15~0.40)(RCT:13件、1,073例、エビデンスの質:高)。QOLスコア(0~100[最良])の推定値は対照群が43ポイントで、陸上運動療法群は4ポイント(95%CI:2~5)の改善が認められた。・治療の脱落は、両群とも同程度であった(RCT:45件、4,607例、エビデンスの質:高)。脱落率は対照群15%、陸上運動療法群14%で有意差はなかった(オッズ比:0.93、95%CI:0.75~1.15)。・治療終了2~6ヵ月後のデータが、膝痛に関して12件(1,468例)、身体機能に関して10件(1,279例)あり、持続的な治療効果が示された。・疼痛は6ポイント低減(SMD:-0.24、95%CI:-0.35~-0.14)、身体機能は3ポイント改善(同:-0.15、-0.26~-0.04)であった。・個別の運動プログラム提供のほうが、グループ運動や在宅運動より、疼痛軽減および身体機能改善が大きい傾向がみられた。

9139.

アリピプラゾール持効性注射薬の安全性は

 米国・大塚製薬のArash Raoufinia氏らは、統合失調症患者に対するアリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射薬400mg:AOM400)の導入について、薬物動態学的(PK)データ、PKシミュレーションおよび臨床試験を概説し発表した。すべてのデータ所見は、統合失調症患者へのAOM導入時の投与量は400mgとすることを支持するものであり、すでに経口アリピプラゾールを服用し症状が安定している患者への導入の有効性、安全性、忍容性が確認されていることなどを報告した。Current Medical Research & Opinion誌オンライン版2015年1月14日号の掲載報告。 概説は、薬物動態学的(PK)試験データ、PKシミュレーションデータ、対照臨床試験および自然主義的研究のデータを対象としたものであった。 主な結果は以下の通り。・PKデータは、AOMの開始および維持用量について400mgを支持するものであった。・AOM400開始後のアリピプラゾールの血中濃度プロファイルは、経口アリピプラゾール10~30mg/日投与と一致していた。・PKシミュレーションおよび単剤投与臨床試験は、AOM400導入後7日間でアリピプラゾールの血中濃度が治療域に達することを示した。・患者間にばらつきがあったが、経口アリピプラゾールまたはその他抗精神病薬を服用時は、確実に治療域に達するのに必要と思われた重複期間は14日間であった。・臨床試験において、AOM400導入患者が経口アリピプラゾール(10~15mg/日で安定)を併用している場合、またはその他の抗精神病薬の継続服用が14日以内の場合は、4週間後に(平均血中濃度93~112ng/mL)、規定されているアリピプラゾールの治療濃度域(94.0~534.0ng/mL)に達した。・同じく臨床試験において、AOMの開始用量は400mgが有効であり忍容性が良好であった。・期間やデザインが異なる試験を包含して分析した結果、1,296/1,439例(90.1%)の患者がAOM400で開始し、用量の変更を必要としていなかった。・また同分析で、効果が認められず試験を中断したAOM400治療患者の割合は低かった(範囲:2.3~10.0%)。・自然主義的研究の事後解析では、AOM400開始前にその他経口抗精神病薬から経口アリピプラゾールに切り替える(cross-titration)場合、1週間超~4週間の期間が、1週間以内よりも忍容性が良好であった。このことは、切り替え期間中の有害事象発生による中断率の割合が低い(2.7%[7/239例] vs. 10.4%[5/48例])というエビデンスで支持されるものであった。・主要な維持療法試験におけるAOM400開始月の有効性および安全性は、経口アリピプラゾール10または30mg服用の患者集団と類似したものであった。・以上のように、PKデータ、PKシミュレーション、臨床試験からの所見はすべて、統合失調症患者への適切なAOM導入用量は400mgであることを示していた。・AOM導入前に経口アリピプラゾールに切り替える際、経口アリピプラゾール用量を漸増(目標用量10~30mg/日)する一方でそれまでの経口抗精神病薬を漸減するにあたっては、期間を1週間超~4週間とするのが有効な戦略と思われた。・AOM400の有効性、安全性、忍容性は、患者がすでに経口アリピプラゾール10または30mg/日服用もしくはその他の抗精神病治療で安定していたか否かにかかわらず、また同一の経口抗精神病薬をAOM400導入後14日間継続していた場合でも、類似したものであった。関連医療ニュース アリピプラゾール注射剤、維持療法の効果は アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

9140.

75)1分間でできるゲームで認知症のチェック【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者最近、物忘れが多くて、認知症が心配で・・・。 医師それは心配ですね。確かに糖尿病の人は、健康な人と比べると、認知症に2倍くらいなりやすいですからね。 患者えっ、そんなになりやすいんですか!? 医師それでは、認知症になっていないかどうか、簡単なゲームをやってみましょう。 患者えっ!どんなゲームですか?難しいのは嫌ですよ。 医師そんなに難しくはありませんよ。1分間に動物の名前がいくついえるかという簡単なゲームです。ただし、干支を順番にいうのは禁止ですよ。それでは、スタート(ストップウォッチを押す)。 患者えっと、イヌ、ネコ、ウマ、ゾウ・・・(考えながら順に動物の名前をいう)。 医師はい、1分です。18個、いえましたね。優秀です。14個以上いえれば一安心です。 患者ちょっと緊張しました。時々、こうやって頭を使わないとだめですね。●ポイント1分間ゲームを楽しく行うことで、簡単な認知症のスクリーニングできます 1) Ohara T, et al. Neurology. 2011; 77: 1126-1134. 2) Hanyu H, et al. J Am Geriatr Soc. 2009; 57: 1130-1131. *カットオフ値13で、アルツハイマー病がスクリーニングできる(感度91%、特異度81%)

検索結果 合計:11814件 表示位置:9121 - 9140