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「手術で改善する認知症」を知らない一般人は90%

 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役プレジデント:日色 保、以下J&J)は、特発性正常圧水頭症(Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus、以下iNPH)の疾患認知度および医師の診療経験に関する実態調査の結果を発表した。本調査では、一般人1,000人を対象に認知症や歩行障害、尿失禁を伴う高齢者疾患iNPHの疾患認知度について、また、医師2万288人(34診療科)を対象にiNPHを診療しているかどうかについてインターネット調査を実施し、前年に実施した同内容の調査結果と比較した。 今回の調査によると、一般人の90.1%が、手術により改善する可能性のある認知症、iNPHについて、「知らない」と回答しており、依然としてその認知度が低いことがわかった。また、医師におけるiNPHの診療経験率は脳神経外科で51.9%、神経内科で42.5%と高いことが確認されたものの、精神科でのiNPH診療経験率は6.0%と低いままであることが明らかとなった。 一般人への調査では、「あなたは、身近な人に『認知症』の症状が出たら、まずどうするか?」という質問について、80%の人が認知症の可能性を疑って医療機関を訪れるとしていたが、iNPHの専門家とされる脳神経外科または神経内科を受診する人は45%と、全体の半数以下であることがわかった。詳細はプレスリリースへ。

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妊娠中の抗精神病薬、母親や胎児への影響は?/BMJ

 妊娠中の抗精神病薬の使用が、妊婦や胎児の転帰に及ぼす影響は小さいことが、カナダ・トロント大学のSimone N Vigod氏らによる調査で明らかとなった。その一方で、一般人口に比べると妊娠高血圧や早産などの頻度が高いことから、妊娠中や周産期には注意深い健康評価を要することも示された。抗精神病薬は、妊婦の代謝性合併症(妊娠糖尿病など)や、その結果としての胎児の発育異常などの原因となる可能性が示唆されている。近年、妊婦の抗精神病薬の使用が増加しているが、評価が行われているのは、現在ではあまり使用されていない古い定型抗精神病薬がほとんどだという。BMJ誌オンライン版2015年5月13日掲載の報告より。曝露群と非曝露群を高次元傾向スコアマッチング法で比較 研究グループは、妊娠中の抗精神病薬の使用が妊婦および胎児に及ぼす影響を評価するコホート試験を行った。対象は、2003~2012年にオンタリオ州で単胎児(生児、死産児)を出産し、受胎から分娩までの間に抗精神病薬を2回以上処方され、そのうち少なくとも1回は妊娠27週以前の女性であった。 データの収集には、トロント市のInstitute for Clinical Evaluative Sciences(ICES)に集約された公衆衛生管理関連の複数のデータベースが用いられた。高次元傾向スコア(HDPS)によるマッチング法を用いて、妊娠中に抗精神病薬に曝露した妊婦と非曝露妊婦のベースラインの背景因子をマッチさせ、転帰の比較を行った。  母親の主な医学的転帰は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、静脈血栓塞栓症、主な周産期転帰は早産(<妊娠37週)および不良な出生児体重とし、性別・妊娠期間別の出生時体重が<3パーセンタイルに相当する場合に不当軽量体重(small for gestational age)、>97パーセンタイルの場合に不当重量体重(large for gestational age)と定義した。非定型抗精神病薬に限定しても差はない 背景因子をマッチさせたコホートとして、両群に1,021例ずつが登録された。両群とも、平均年齢は28.8歳、経産回数中央値は1回であった。妊娠前の精神医学的診断名は、精神病性障害が曝露群31.2%、非曝露群15.7%、双極性障害/大うつ病がそれぞれ74.2%、65.9%、アルコール/薬物性障害(喫煙を含む)が44.9%、40.7%、パーソナリティ障害が28.9%、22.6%であった。 妊娠糖尿病の発生率は、曝露群が7.0%、非曝露群は6.1%であった。未補正の相対リスク(RR)は1.15(95%信頼区間[CI]:0.82~1.61)、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、非SSRI、気分安定薬、ベンゾジアゼピンの処方で補正後のRRは1.10(95%CI:0.77~1.57)であり、いずれも有意な差を認めなかった。また、非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン)に限定した解析でも、結果は変わらなかった。 妊娠高血圧(4.7 vs. 4.1%、未補正RR:1.14、95%CI:0.76~1.73、補正RR:1.12、95%CI:0.70~1.78)および静脈血栓塞栓症(1.2 vs. 1.3%、0.92、0.42~2.02、0.95、0.40~2.27)の発生率も同様の結果であり、非定型抗精神病薬のみの結果にも変化はなかった。また、これらの疾患はいずれも一般人口に比べると頻度が高い傾向がみられた。 早産(14.5 vs. 14.3%、未補正RR:1.01、95%CI:0.81~1.27、補正RR:0.99、95%CI:0.78~1.26)の発生率は両群とも一般人口の約2倍に達したが、群間にリスクの差はみられなかった。不当軽量体重(6.1 vs. 5.1%、1.22、0.84~1.77、1.21、0.81~1.82)および不当重量体重(3.6 vs. 2.3%、1.64、0.96~2.78、1.26、0.69~2.29)についても、両群間にリスクの差はなかった。さらに、非定型抗精神病薬のみの解析でも同様の結果であった。

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呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学

 わが国では2002年、統合失調症に対するスティグマを軽減するため、精神分裂病から統合失調症へと呼称変更が行われた。しかし、その長期的な影響はあまり知られていない。東京大学の小池 進介氏らは、呼称変更から12年でどのような影響があったかを調査した。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2015年5月7日号の報告。 20大学、計259人の学生に匿名の自己記入式アンケートを実施した。調査項目は、自身のメンタルヘルス関連の経験、統合失調症、精神分裂病、うつ病、糖尿病の4疾患に対する認識(feasible knowledge)を含むスティグマスケールとネガティブな固定概念であった。また、統合失調症、認知症、10種類の精神または身体的な疾患および状態の新旧名称を選択させた。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、精神分裂病よりも統合失調症に対してのほうが、認識がより高くネガティブな固定概念がより少なかった。しかし、これらはうつ病や糖尿病と比較すると有意に悪いものであった(p<0.01)。・精神衛生上の問題を抱えている人と直接関わった経験を持つ人では、ネガティブな固定概念ではなく、統合失調症の認識との関連が認められた(β=0.13、p=0.020)。・統合失調症の新旧名称の正解率は、認知症よりも有意に低かった(41 vs. 87%、p<0.001)。・メディアによるメンタルヘルス関連の経験が、呼称変更の認識と関連していたが(p=0.008)、このことは新名称である統合失調症のより低い認識と関連していた。 結果を踏まえ、著者らは「呼称変更から12年経過し、統合失調症に対するスティグマは軽減された。より効果的なキャンペーンや教育カリキュラム、政策決定が統合失調症へのスティグマを軽減させるために必要とされている」とまとめている。関連医療ニュース 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大  担当者へのご意見箱はこちら

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食品中の残留PCBは高血圧リスク

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、食物連鎖を通じて生体内に取り込まれて蓄積する、残留性有機汚染物質である。PCBへの曝露が高血圧の発症と関連することが、異なるソースのエビデンスにより示唆されている。しかしながら、成人におけるこの潜在的関連性について検討した前向き研究は、これまでなかった。スペイン・ナバーラ大学のCarolina Donat-Vargas氏らは、PCBの食品由来摂取量と高血圧発症について、大規模な前向きコホート研究を行った。Hypertension誌2015年4月号(オンライン版2015年2月2日号)の掲載報告。 本研究は、スペインの大学卒業者(大半が医療関係者)を対象としたコホート研究Seguimiento Universidad de Navarraプロジェクトの一環である。参加者は登録時に高血圧の既往がなかった1万4,521人で、フォローアップ期間中央値は8.3年。ベースライン時に136項目の半定量的食品摂取頻度質問票への回答を求め、食品由来PCB摂取量の推定には、公表されているPCB濃度(スペインで消費される食品サンプルで計測)を用いた。多変量回帰モデルにより、高血圧発症のハザード比および95%信頼区間を推定した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ中、1,497人が高血圧の医学的診断を受けた。・総エネルギー摂取量、潜在的交絡因子での調整後、PCB摂取量の最高五分位群の最低五分位群に対する高血圧発症リスクの上昇が認められた(HR 1.43、95%CI:1.09~1.88、傾向のp=0.017)。・この地中海コホートにおいて、食品摂取頻度質問票を用いて計測した食品由来PCB摂取量は、フォローアップ期間中の高血圧発症の高リスクと関連していた。しかしながら、さらなる長期的検討により、本結果を確認する必要がある。

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学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か

  うつ病と低学歴の関連には、遺伝的多面発現効果(pleiotropy)の影響は認められないが、社会経済的状況などの環境因子が関わっている可能性が示唆された。Major Depressive Disorder Working Group of the Psychiatric GWAS ConsortiumのW J Peyrot氏らがドイツ人、エストニア人のうつ病患者のデータを解析し報告した。Molecular Psychiatry誌2015年6月号の掲載報告。 低学歴とうつ病リスク増加との関連は、西欧諸国において確認されている。研究グループは、この関連に遺伝的pleiotropyが寄与しているか否かを検討した。ドイツ人およびエストニア人のデータを加えたPsychiatric Genomics Consortiumから、うつ病9,662例と対照1万4,949例(生涯にわたりうつ病の診断歴なし)のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・1万5,138例において、低学歴とうつ病の関連をロジスティック回帰により評価したところ、有意な負の関連が示された。・低学歴のうつ病に対する標準偏差(SD)増加当たりのオッズ比は、0.78(0.75~0.82)であった。・常染色体性の主な一塩基多型(SNP)88万4,105件のデータを用いて、うつ病と低学歴のpleiotropyを、次の3つの方法で検証した。(1)低学歴(メタ解析とは独立した被験者12万例)とうつ病(現在のサンプルについて10分割交差確認法としてleave-one-out法を使用)の集合データに基づく遺伝子プロファイルリスクスコア(GPRS)で検証。→低学歴のGPRSはうつ病の状況を予測せず、またうつ病のGPRSは低学歴を予測しなかった。(2)二変量genomic-relationship-matrix restricted maximum likelihood(GREML)法で検証。→弱い負の遺伝学的関連が認められたが、この関連は一貫して有意ではなかった。(3)SNP effect concordance analysis(SECA)法で検証。→うつ病と低学歴のSNPの影響が一致するというエビデンスは確認されなかった。・以上より、低学歴とうつ病リスクとの関連は認められたものの、これは測定可能な遺伝的多面発現効果によるものではなく、たとえば社会経済的状況といった環境因子が関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり

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REVASCAT試験:脳梗塞の急性期治療に対する血栓回収療法の有効性と安全性が確立(解説:中川原 譲二 氏)-359

 2015年2月に、米国・ナッシュビルで開催された国際脳卒中学会議(ISC)では、急性期脳梗塞に対する、血栓回収療法の有効性を示す4件(MR-CLEAN、ESCAPE、EXTEND-IA、SWIFT-PRIME)のランダム化比較試験(RCT)の結果が一挙に報告され、脳梗塞の急性期治療は、t-PA静注療法の確立から20年目にして歴史的な転換点を迎えようとしている。 4月17日には、このうちのSWIFT-PRIME試験(メーカー主導試験)の詳細と、英国・グラスゴーで開催された欧州脳卒中機構(ESO)年次集会に合わせて報告された、スペイン・カタロニア地方で行われた新たなRCTであるREVASCAT試験(地域を単位とする医師主導試験)の詳細が、NEJM誌(オンライン版)に掲載された。 急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性は、(1)高い再開通率の得られるステント型リトリーバーデバイスの登場、(2)画像による迅速・的確な患者選択、(3)迅速な搬入と治療の開始、によって達成されたが、t-PA静注療法の確立以来、欧米先進国で取り組まれてきた1次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)や、包括的脳卒中センター(CSC:Comprehensive Stroke Center)の整備による診療インフラの集約化と高度化が、その背景にあることを忘れてはならない。 以下に、SWIFT-PRIME試験とREVASCAT試験の概要を示す。REVASCATの概要 背景:地域脳卒中再灌流療法登録の中に組み込まれたRCTにおいて、脳血栓回収療法の安全性と有効性を評価することが目的。方法:対象は、スペイン・カタロニア地方の4施設で2年間(2012年11月~2014年12月)に、発症後8時間以内にt-PA静注療法を含む内科治療+ステント型リトリーバー(Solitaire)を用いた血栓回収療法か、t-PA静注療法を含む内科治療単独が可能な206例を登録。すべての患者において前方循環の近位部に閉塞が確認され、画像検査で広範な脳梗塞は認められなかった。主要アウトカムは、mRS:modified Rankin Scale(スコア0:症状なし~スコア6:死亡)による90日後の全般的機能障害の重症度とした。同試験では、当初690例の登録を計画したが、血栓回収療法の有効性を示すほかの同様のRCTの報告を受け、早期に中止となった。 結果:血栓回収療法は、mRSの全般的スコア分布に対して、機能障害の重症度を有意に減少させた。1ポイントの改善のために調整オッズ比は1.7(95%信頼区間[CI]:1.05~2.8)であった。90日後にmRSスコア0~2点となった機能的自立患者の割合も内科治療群28.2%に対して、血栓回収療法群は43.7%と高かった。調整オッズ比は2.1(95%CI:1.1~4.0)であった。90日後の症候性頭蓋内出血は両群で1.9%(p=1.00)で、死亡率は内科治療群15.5%に対して、血栓回収療法群は18.4%(p=0.60)で、有意差はなかった。登録データによれば、適格条件に合致した8症例のみが、参加施設において試験外で治療された。 結論:発症後8時間以内に治療ができる前方循環近位部閉塞の患者では、ステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は、脳卒中後の機能障害の重症度を減少させ、機能的自立率を増加させる。SWIFT-PRIMEの概要 背景:前方循環の近位部閉塞による急性脳卒中患者では、t-PA静注療法単独で治療された場合の機能的自立が得られるのは40%以下である。t-PA静注療法に加えてステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は、再灌流率が上昇し、長期の機能的アウトカムを改善させる。方法:t-PA静注療法で治療された適格被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、t-PA静注療法の継続のみを行い(対照群)、もう一方の群にはt-PA静注療法に加え、発症6時間以内にステント型リトリーバーを用いた血栓回収法を行った(介入群)。患者には、前方循環の近位部に閉塞が確認され、広範な脳梗塞コアは認められなかった。主要アウトカムは、90日後の全般的機能障害の重症度とし、mRS(スコア0:症状なし~スコア6:死亡)により評価した。 結果:試験は早期に有効性が確認されたため、予定よりも早く終了した。39ヵ所の医療機関で、196例が無作為化された(各群98例)。介入群では、画像診断評価から施術開始(鼠径部穿刺)までの時間(中央値)は57分、治療終了時点の再灌流率は88%であった。介入群では対照群に比べ、90日後のmRSのすべてのスコアで機能障害の重症度が低下した(p<0.001)。機能的自立率(mRS:0~2)も、対照群35%に対し介入群60%と、有意に高率だった(p<0.001)。90日時点の死亡率については、介入群9%に対し対照群12%(p=0.50)、症候性頭蓋内出血はそれぞれ0%と3%(p=0.12)と、いずれも両群で有意差はなかった。 結論:前方循環の近位部閉塞による急性期脳梗塞に対してt-PA静注療法を受けた患者では、発症6時間以内のステント型リトリーバーを用いた血栓回収療法は90日後の機能的アウトカムを改善させる。1次脳卒中センターや包括的脳卒中センターの整備が課題 t-PA 静注療法ですら、急性期脳梗塞の5~6%(欧州の一部では30%に到達)に留まるわが国では、地域を単位としてt-PA静注療法を24時間提供できる1次脳卒中センター(PSC)や血管内治療を24時間提供できる、包括的脳卒中センター(CSC)の整備を早急に進めることが課題である。脳卒中診療のインフラ改革に取り組まなければ、急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の有効性を、一般診療に等しく汎化することは不可能ともいえる。脳梗塞の急性期治療には、地域や診療施設の総合力が求められるからである。

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持続性心房細動にアブレーションは有効か/NEJM

 持続性心房細動患者にアブレーションを行う場合に、肺静脈隔離術に加えて、コンプレックス細分化電位図を示すアブレーションやリニアアブレーションを行っても、アウトカムの改善にはつながらないことが報告された。カナダ・モントリオール心臓研究所のAtul Verma氏らが、同患者589例について行った無作為化試験で明らかにした。持続性心房細動へのカテーテルアブレーションは、発作性心房細動に比べ成功率が低く、ガイドラインでは補助的な基質の焼灼を示唆している。NEJM誌2015年5月7日号掲載の報告より。18ヵ月追跡し、30秒超の持続性心房細動再発率を比較 研究グループは、持続性心房細動の患者589例を無作為に1対4対4の割合で3群に分け、(1)肺静脈隔離術のみでアブレーション(67例)、(2)肺静脈隔離術と併せてコンプレックス細分化電位図を示すアブレーション(263例)、(3)肺静脈隔離術と併せて左房天蓋部から僧帽弁峡部へのリニアアブレーション(259例)をそれぞれ行った。 追跡期間は18ヵ月で、主要評価項目は1回のアブレーション後、30秒超の持続性心房細動の再発だった。心房細動の無再発割合、5~6割と3群で有意差なし 18ヵ月後、心房細動の再発が認められなかった人の割合は、肺静脈隔離術のみ群で59%、コンプレックス細分化電位図群が49%、リニアアブレーション群が46%と、有意差は認められなかった(p=0.15)。 処置所要時間については、肺静脈隔離術のみ群が他の2群に比べ有意に短かった(p<0.001)。 また副次的評価項目の、2回アブレーション後の心房細動の無再発の割合、心房性不整脈が認められない人の割合、についても3群で同等だった。

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乾癬の生物学的製剤、各製剤の重篤な感染症発生率は?

 乾癬患者において、高齢、糖尿病、喫煙、感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していたことが、Robert E. Kalb氏らによって明らかにされた。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月13日号の掲載報告。 Kalb氏らは乾癬患者において、重篤な感染症リスクが治療に及ぼす影響について調査を行った。 調査には皮膚科における多施設、縦断的、疾患レジストリのPSOLAR(Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry)が使用された。被験者は成人乾癬患者で、従来の全身的療法または生物学的製剤を投与中/投与可能な患者であった。レジストリは2007年7月20日に運用が開始され、すべてのデータは2013年8月23日まで収集された。 被験者らは標準療法として規定の乾癬治療薬を投与され、最大8年間追跡を受けた。データ収集と重篤な有害事象(重篤な感染症を含む)は定期的に評価された。 コホートの分析はレジストリ開始時の評価に基づいて実施された。重篤な感染症の累積発生率の調査は、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、非生物学的製剤の治療コホートごとに行われた。なお、メソトレキサートの併用有無は問わなかった。 非メソトレキサート/非生物学的製剤群を対照として、最初の重篤な感染症が発現する時期の予測因子を特定するため、コックス比例ハザード回帰モデルを用いた多変量回帰分析が用いられた。 主な結果は以下のとおり。・乾癬患者1万1,466例から分析された(2万2,311患者年)。・生物学的製剤使用群と非メソトレキサート/非生物学的製剤群では、年齢、性別、BMI、疾患特性など、患者特性に違いがみられた。・インフリキシマブ群では乾癬性関節炎の有病率が高いなど、各生物学的製剤群の間でも患者特性に違いがみられた。・重篤な感染症の累積発生率は100患者年当たり1.45であった(計323例)。・生物学的製剤ごとの重篤な感染症の累積発生率は、ウステキヌマブ0.83、エタネルセプト1.47、アダリムマブ1.97、インフリキシマブ2.49であった。・対照群の重篤な感染症の累積発生率は、非メソトレキサート/非生物学的製剤群1.05、メソトレキサート使用/非生物学的製剤群1.28であった。・最も多く報告された重篤な感染症は、肺炎と蜂窩織炎であった。・高齢、糖尿病、喫煙、重大な感染症既往歴、インフリキシマブ投与、アダリムマブ投与が重篤な感染症の増加に関係していた。

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上部消化管出血への輸血戦略、大規模RCTは可能か/Lancet

 論争の的となっている急性上部消化管出血への輸血戦略について、大規模な非盲検集団無作為化試験の実行可能性を探るTRIGGER試験が英国・オックスフォード大学のVipul Jairath氏らにより行われた。その結果、試験は実行可能であることが示され、著者は、「臨床診療ガイドラインで、すべての上部消化管出血患者に対する制限輸血戦略を推奨するよう記述を変える前に、その効果を評価する大規模な集団無作為化試験は実行可能であり、実施が必須である」と指摘した。これまで、同戦略に関する検討は小規模試験3件と単施設試験1件のみである。単施設試験の所見では、制限輸血(限定的な赤血球[RBC]輸血)群で死亡の低下が報告されており、研究グループは、同所見が多施設の集団無作為化試験によって立証されるか否かを検討することを目的とした。Lancet誌オンライン版2015年5月5日号掲載の報告より。英国6つの病院で試験の実行可能性を探る 検討は英国の6つの大学病院で、18歳以上の新規に急性上部消化管出血を発症した全患者を登録して行った。被験者について、併存疾患の有無は問わなかったが、大量出血例は除外した。  研究グループは病院単位で被験者を2群に割り付け、一方の群には制限輸血(ヘモグロビン濃度が80g/L未満で輸血)を、もう一方の群には非制限輸血(同100g/L未満で輸血)を行った。  実行可能性アウトカムは、被験者補充率、輸血戦略に対するアドヒアランス、ヘモグロビン濃度、RBC曝露、選択バイアス、および第III相試験のデザインおよび経済性評価に導くための情報とした。さらに28日時点の出血と死亡を主要な探索的臨床アウトカムとした。集団無作為化デザインでも制限輸血群でRBC輸血低下 2012年9月3日~2013年3月1日に、936例(制限輸血群の3病院で403例、非制限輸血群の3病院で533例)が登録された。  被験者補充率は制限輸血群よりも非制限輸血群で有意に高かった(62% vs. 55%、p=0.04)。  ベースラインでアンバランスな特性項目があったが、Rockallリスクスコア(両群とも2)およびBlatchfordリスクスコア(両群とも6)は両群で同一であった。  輸血戦略へのアドヒアランスは、制限輸血群96%(SD 10)、非制限輸血群83%(25)であった(差:14%、95%信頼区間[CI]:7~21、p=0.005)。  最後に記録された平均ヘモグロビン濃度は、制限輸血群116(SD 24)g/L、非制限輸血群118(20)g/Lであった(差:-2.0、95%CI:-12.0~7.0、p=0.50)。また、RBC輸血を受けたのは非制限輸血群(247例[46%])よりも制限輸血群(133例[33%])が少なかった(差:-12%、95%CI:-35~11、p=0.23)。RBCの平均輸血単位は、制限輸血群1.2(SD 2.1)、非制限輸血群1.9(2.8)であり(差:-0.7、-1.6~0.3、p=0.12)、いずれも有意差はみられなかった。  臨床的アウトカムについても有意な差はみられなかった。  これらを踏まえて著者は、「集団無作為化デザインは、両群で迅速な被験者補充、高いプロトコルアドヒアランス、貧血の解消に結び付き、制限輸血群で有意ではないがRBC輸血の減少に結び付いた」とまとめている。

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喫煙女性の大腿骨近位部骨折リスクが明らかに

 喫煙により、女性の大腿骨骨折リスクは増加するのか。中国・蘇州大学附属第二医院のGuang Si Shen氏らは、その関連性を明らかにするため、10件の前向きコホート試験のメタ解析を行った。その結果、喫煙は女性の大腿骨近位部骨折リスクと関連すること、禁煙後10年以上経つとリスクへの影響は減少することなどが判明した。著者らは、さらなる検討の必要性を示唆している。Injury誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ISI Web of Scienceを検索し関連論文を抽出、10件の試験を基にメタ解析が行われた。ランダム効果モデルおよび固定効果モデルを用い、リスクのプール推定値を求めた。研究間の不均一性および出版バイアスについても評価した。統計解析にはSTATA (version 12.0)ソフトウエアを用いた。 主な結果は以下のとおり。・現在喫煙している女性において、相対リスク(RR)の有意な増加が認められた(pooled RR 1.30、95%CI:1.16~1.45)。この関連性は、1日15本以上喫煙する女性においては有意であったが、1日15本未満の女性においてはそうではなかった。・プール推定値は、単一試験を除外してもほぼ変わらなかった。・過去喫煙者における股関節骨折の相対リスクは発表論文で類似していた(RR 1.02、95%CI:0.93~1.11)。・10年以上前に禁煙した女性では、リスクの影響は有意に減少した。

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真皮縫合、セットバック縫合vs. 垂直マットレス縫合

 セットバック縫合は真皮の剥離面から刺入し剥離面へ刺出する縫合法で、垂直マットレス縫合に代わる真皮縫合となり得ることが示唆されている。米国・カリフォルニア大学デイビス校のAudrey S. Wang氏らは無作為化盲検比較試験を行い、セットバック縫合が埋没垂直マットレス縫合より創縁の外反に優れ、縫合痕も美容的に良好であることを明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年4月号の掲載報告。 対象は、縫合創の長さが3cm以上と予測される楕円形の切開創ができる外科手術例46例である。切開創を半分に分け、一方をセットバック縫合、他方を垂直マットレス縫合にて閉創した。どちら側がどの縫合かは無作為割り付けとし、術者以外(患者および観察者)は盲検化された。 術直後に創縁の最大外反高および幅を測定し、3ヵ月後に観察者2名が各瘢痕を7段階のリッカート瘢痕評価スケールを用いて評価するとともに、患者ならびに観察者が患者および観察者瘢痕評価スケール(POSAS)による評価(スコアは、6が正常な皮膚、60が最悪を表す)を行った。主な結果は以下のとおり。・42例が本研究を完遂した。・創縁の外反は、セットバック縫合が統計学的に有意に高かった。・リッカートスケールでは、セットバック縫合が垂直マットレス縫合より1ポイント高値であった。・POSAS合計スコアは、患者および観察者のいずれもセットバック縫合が垂直マットレス縫合より有意に低かった(平均値は患者が13.0±8.7 vs. 16.2±12.0[p=0.039]、観察者が24.5 ±10.4 vs. 27.7±13.6[p=0.028])。

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認知症への運動療法、効果はあるのか

 最近の複数の研究とシステマティック・レビューにおいて、認知症患者に対する運動の効果について信頼性の高い結果が報告されている。カナダ・アルバータ大学のDorothy Forbes氏らは、認知症高齢者に対する運動の効果について、患者および介護者の両面から明らかにするためメタ解析を行った。その結果、運動プログラムが認知症患者の日常生活動作を改善する可能性、および認知機能、神経精神症状、抑うつに対する運動の効果に関するエビデンスは認められなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 本報告は、2013年に行ったレビューのアップデートであった。「認知症高齢者に対する運動プログラムは認知機能、日常生活動作(ADLs)、神経精神症状、抑うつ、死亡率を改善するか?」の検討を主要目的とした。また、「認知症高齢者に対する運動プログラムは家族介護者の負担、QOL、死亡率に対し間接的に影響を及ぼすか?」、「認知症高齢者に対する運動プログラムは、患者および家族介護者の医療サービス(救急科への来院など)の使用回数を減らすか?」などの検討を副次目的とした。 2011年9月4日、2012年8月13日、2013年10月3日にALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialised Registerの検索を行い、無作為化比較試験を検索した。適格条件は、認知症と診断された高齢者を対象とし、認知機能、ADLs、神経精神症状、抑うつ、死亡率の改善を目的として、運動群と対照群(通常治療あるいは社会的コンタクト/活動)に割り付けて検討しているものとした。副次アウトカムには家族介護者に関連する項目(介護者の負担、QOL、死亡率、医療サービスの使用)とした。 2人以上の評価者が、独立して検索文献の評価を行い、方法論的質の評価を行ったうえで、データの抽出を行った。効果の要約に関するデータを分析し、連続データについては平均差または標準化平均差(SMD)を算出し、試験間に大きな不均一性が認められなければ固定効果モデルを用いて各アウトカムのデータを統合し、それ以外の場合はランダム効果モデルを用いた。認知症の重症度とタイプ、そして運動プログラムの内容・回数・期間に関連した不均一性を調査した。また、有害事象の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1,067例が選択基準に合致した。しかし、3件の試験における必要なデータおよび4件目の試験データには公表されてないものがあり、利用できなかった。・認知症サブタイプと重症度、そして運動の内容、期間、回数などの点において、試験間に顕著な不均一性がみられた。・2件の試験のみが在宅患者を対象としていた。・メタ解析により、運動による認知機能への効果を示す明確なエビデンスは確認されなかった。運動群と対照群における推定標準化平均差は0.43(95%CI:-0.05~0.92、p=0.08、9試験、409例)であった。しかし、きわめて高い不均一性が認められ(I2値80%)、そのほとんどが説明不能であり、エビデンスの質は非常に低かった。・6件の試験の被験者289例において、運動プログラムが認知症患者のADLに効果的に働くことが判明した。運動群と対照群の間の推定標準化平均差は0.68(95%CI:0.08~1.27、p=0.02)であった。しかし、このメタ解析でも、説明できない高い不均一性が認められ(I2値77%)、エビデンスの質は非常に低いと評価された。・さらに詳細な分析において、1件の試験で、自宅で介護を行う家族介護者が認知症家族の運動プログラムへの参加を指導する立場にある場合、介護者としての負担が減少する可能性がみられた。運動群と対照群の間の平均差は-15.30(95%CI:-24.73~-5.87、1試験、40例、p=0.001)であった。同試験において明らかなバイアスリスクは認められなかった。・さらに、運動が神経精神症状(MD:-0.60、95%CI:-4.22~3.02、1試験、110例、p=0.75)あるいは抑うつ(SMD:0.14、95%CI:-0.07~0.36、5試験、341例、p=0.16)に有効であることを示す明らかなエビデンスはみられなかった。その他のアウトカム、QOL、死亡率、医療コストに関しては、適したデータが報告されていなかった、あるいはこれらのアウトカムを扱った試験を検索していなかったかのどちらかの理由により評価できなかった。関連医療ニュース 認知症、早期介入は予後改善につながるか 適切な認知症薬物療法を行うために 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン  担当者へのご意見箱はこちら

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日光角化症の5-FUクリーム、長期の有用性は?

 フルオロウラシルクリーム5%(5-FUクリーム)による日光角化症の治療は、2年以上にわたり有用で、病変数や追加初回治療を減少させることが、米国・ブラウン大学のHyemin Pomerantz氏らにより報告された。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 フルオロウラシルクリームによる日光角化症治療が、病変数の減少に有用であることはこれまでも報告されていたが、長期的な効果を観察したランダム化試験はなかった。そこでPomerantz氏らは、フルオロウラシルクリーム5%単剤投与の長期的な有用性を観察するため、二重盲検プラセボ対照試験のThe Veterans Affairs Keratinocyte Carcinoma Chemoprevention(VAKCC)trialを実施した。 試験は、過去5年以内に2部位以上の皮膚角化細胞がんを有した退役軍人を対象として行われた。2009年から2011年に12ヵ所の退役軍人医療センターの皮膚科で登録され、2013年まで追跡された。フルオロウラシル群、プラセボ群ともに平均追跡期間は2.6年であった。 合計932例が登録され、無作為にフルオロウラシル群(468例)、プラセボ群(464例)に割り付けられた。両群とも顔と耳に1日2回、4週間塗布された。日光角化症の病変数と治療内容の確認は、皮膚科医によって登録時および6ヵ月ごとに行われた。顔、耳の日光角化症病変部位での追加治療を要した病変数は、半年ごとに記録された。 主な結果は以下のとおり。・割り付け時の両群の顔と耳の病変数に差はみられなかった(フルオロウラシル群11.1、プラセボ群10.6、p<0.10)。・無作為化後6ヵ月時点において、フルオロウラシル群ではプラセボ群よりも病変数が減少していた(フルオロウラシル群3.0、プラセボ群8.1、p<0.001)。この結果は、全期間を通して同様であった(p<0.001)。・フルオロウラシル群では6ヵ月時点の病変の完全消退率が高く(フルオロウラシル群38%、プラセボ群17%)、全期間を通じてフルオロウラシル群では追加治療を要した割合が少なかった(p<0.01)。・フルオロウラシル群では、初回追加治療を要するまでの期間が長かった(フルオロウラシル群6.2ヵ月、プラセボ群6.0ヵ月、ハザード比 0.69、95%信頼区間:0.60~0.79)。・肥大した病変数は、6ヵ月時点ではフルオロウラシル群で少なかった(フルオロウラシル群0.23、プラセボ群0.41、p<0.05)が、最終的には差はみられなかった(p=0.60)。

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脊椎疾患の待機的手術、患者満足度が有効性を正確に表す?

 患者満足度調査は、医療の質と診療報酬の償還を決める要素として生み出されたもので、満足度を改善する要因を特定することは非常に重要である。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSilky Chotai氏らは、脊椎変性疾患に対する待機的手術時に行った患者満足度調査から、アウトカムに対する患者の満足度は、脊椎外科的治療の有効性を正確に表すことが可能で、術後1年間における疼痛や機能障害の改善で示されることを報告した。ただし、だからといって満足度が治療の全体の質や有効性に依存するわけではないこと、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位および手術前の疼痛や機能障害が関与することも示唆されたと述べている。Neurosurgery誌オンライン版2015年4月23日号の掲載報告。 研究グループは、術前の患者背景や患者報告アウトカムが脊椎手術後の患者の不満を予測できるかどうかを検討する目的で、腰椎・頚椎変性疾患の待機的手術を受ける患者を対象に、2年間にわたり前向き登録研究を行った。  手術前および手術12ヵ月後に、患者報告アウトカム、腰痛/頚痛による機能障害指数(Oswestry Disability Index[ODI]/Neck Disability Index[NDI])、腰痛/頚痛および下肢痛/上肢痛(数値的評価スケールによる疼痛スコア)を記録した。  以前の報告に基づきODIは14.9%、NDIは17.3%、腰痛/頚痛は2.1/2.6、下肢痛/上肢痛は2.8/4.1を臨床的に重要な最小差とし、患者満足度は北米脊椎学会の患者満足度質問票(North American Spine Society Satisfaction Questionnaire)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象症例は1,645例であった(男性811例、年齢57±13歳)。・12ヵ月後のアウトカムに満足であると報告した患者の割合は83%(1,362例)であった。・多変量解析の結果、12ヵ月後の患者が不満であることの独立した予測因子は、ODI/NDI(オッズ比[OR]:4.215、95%信頼区間[CI]:2.7~6.5、p<0.001)、腰痛/頚部痛(同:3.1、2.188~4.43、p<0.001)、ならびに下肢痛/上肢痛(同:2.6、1.8~3.6、p<0.001)であった。また、患者特異的因子で調整後は臨床的に重要な最小差を達成できなかったが、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位(同:1.39、1.01~1.93、p=0.04)および手術前のODI/NDIスコア高値(同:1.11、1.04~1.19、p=0.002)ならびに腰痛/頚痛スコア高値(同:1.03、1.01~1.06、p=0.002)が予測因子として示された。

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統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

 未治療の統合失調症では多くの場合、周囲の人たちは、患者の精神症状や自殺企図の可能性を認識できていない。東邦大学の山口 大樹氏らは、致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者において、主観的な経験と観察された行動との間に矛盾があるかを質的パイロット研究により調査した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 自殺企図時の主観的経験を検討するために、直近に致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者7例を対象に半構造化インタビューを行った。また、患者家族に対して、患者の精神症状や自殺念慮を認識していたかを評価するため、インタビューを実施した。インタビューデータは質的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・6例の被験者は、自殺関連の念慮を示す際、精神症状の悪化を経験した。・1例は、自殺を試みる前に、長期の抑うつ状態になっていた。・すべての患者が、精神症状や抑うつ気分による重度な苦痛を経験していたが、助けを求める行動は、低レベルまたはまったくない状況であった。・7家族中6家族は、患者の精神状態の変化を認識していなかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症患者の助けを求める行動が見過ごされないように、疾患に関する適切な情報が一般に提供されるべきであり、精神疾患のための利用しやすい早期介入サービスの確立が求められる」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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下大静脈フィルター併用、肺塞栓症の再発リスク低下せず/JAMA

 重症急性肺塞栓症入院患者において、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置を行っても、3ヵ月時点の症候性肺塞栓症の再発リスクは抗凝固療法単独と比べて減少しなかったことが示された。フランス・サンテティエンヌ大学中央病院のPatrick Mismetti氏らが無作為化試験の結果、報告した。回収可能型下大静脈フィルターは、急性静脈血栓塞栓症患者において抗凝固療法と併用して行われる頻度が高いが、そのリスク-ベネフィットについては不明であった。今回の結果について著者は、「抗凝固療法治療が可能な患者に対する同タイプフィルターの使用を支持しないという所見が示された」とまとめている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置vs. 抗凝固療法単独 検討はPREPIC2と称され、非盲検だがエンドポイント盲検の無作為化試験にて、2006年8月~2013年1月にフォローアップ6ヵ月間を設定して行われた。  適格被験者は、急性の症候性肺塞栓症入院患者で下肢静脈血栓症を有しており、1以上の重症度判定基準を有していた。  被験者を、抗凝固療法+回収可能型下大静脈フィルター留置群(フィルター群)と、抗凝固療法単独群(対照群)に割り付け、外来でフォローアップした。なお初回入院の発生場所は、フランスにある17の医療センターだった。  全患者に6ヵ月以上のfull-doseの抗凝固療法が行われ、フィルター群に割り付けられた患者のフィルター回収は、留置後3ヵ月時とされた。  主要有効性アウトカムは、3ヵ月時点での症候性肺塞栓症の再発とし、副次アウトカムには、6ヵ月時点の肺塞栓症の再発、症候性深部静脈血栓症、重大出血、死亡で3ヵ月、6ヵ月時点で評価した。またフィルター関連合併症も評価に含まれた。3ヵ月時点、有意差はないがフィルター群の相対リスク2.00 フィルター群に200例が、対照群には199例が割り付けられた。 フィルター群のフィルター留置の成功例は193例。フィルター回収が予定どおり行われたのは、回収が試みられた164例中153例であった。  結果、3ヵ月時点での、肺塞栓症再発発生例はフィルター群6例(3.0%、すべて致死例)、対照群は3例(1.5%、2例が致死例)で、フィルター群の相対リスク(RR)は2.00(95%信頼区間[CI]:0.51~7.89、p=0.50)であった。6ヵ月時点の結果も同様であった(RR:1.75、95%CI:0.52~5.88、p=0.54)。  その他のアウトカムについても、2群間の差は観察されなかった。深部静脈血栓症の再発は3ヵ月時点のRRは1.00(p>0.99)、6ヵ月時点0.50(p>0.99)、重大出血は0.80(p=0.63)と0.87(p=0.69)、死亡は1.25(p=0.55)と1.40(p=0.29)であった。死亡の主原因は両群ともがんであった。  なお、フィルター塞栓症は3例で報告されている。

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Borrelia miyamotoiに気を付けろッ! その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。読者の皆さまは今年のゴールデンウイークをどのようにお過ごしになられたでしょうか? 私はゴールデンウイークの後半である現在、この原稿を書いて過ごしています(例によって締め切りを過ぎているのですッ!)。さて、この連載は「新興再興感染症の気をつけ方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。前回はSFTSの気を付け方について学んだわけですが、今回は一気にグッとマニアック度を増してBorrelia miyamotoiについて考えたいと思います。Borrelia miyamotoiとは?Borrelia miyamotoiはボレリア属の細菌です。ボレリアは、スピロヘータの一種であり、ちぢれ毛のような形態をしております(図1)。画像を拡大するボレリア属は大きく分けると、ライム病の原因となるグループと回帰熱の原因となるグループの2つに分かれます。Borrelia miyamotoiは、このうち回帰熱ボレリアに属する細菌になります。これらの2つのグループは、それぞれ異なる種類のマダニに媒介されることが知られています(例外的にシラミによって媒介される回帰熱もあります)。しかし、このBorrelia miyamotoiだけは回帰熱グループのボレリアであるにもかかわらず、ライム病グループのマダニに媒介されるという面白い特徴を持つことがわかっています。一般的な回帰熱のイメージ=中島みゆき皆さんは、回帰熱というと1989年にリリースされた中島みゆきの17作目のアルバム『回帰熱』(図2)を想起される方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言う回帰熱は感染症の回帰熱です。中島みゆき17作目のアルバム『回帰熱』。忽那は未聴ですが、国立国際医療研究センター 総合診療科 國松淳和医師いわく、名作とのことです。なお図はイメージです(編集部注)その名のとおり、無熱期と発熱期を繰り返す、特徴的な熱型の感染症です。輸入感染症としての回帰熱は、日本ではこれまでに2例が報告されています1、2)が、どちらも不肖忽那が診断したものです(捏造ではありません!)。そう、これまで日本で回帰熱といえば輸入感染症と相場が決まっていたのです。しかし……しかし、このBorrelia miyamotoiはこれまでのボレリアとは異なり、日本にいるボレリアなのです。つまり日本でもBorrelia miyamotoiに感染するかもしれないのですッ! 回帰熱が輸入モノの時代は終わったッ! 今は国内の回帰熱が熱いんですッ!おっと……少し興奮しすぎました……。気を取り直してBorrelia miyamotoiの解説を次に続けたいと思います。病原体の由縁このBorrelia miyamotoiという名前をみて「ミヤモトイ? 宮本?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうなんです、このBorrelia miyamotoiの名前は、日本人の宮本健司先生のお名前に由来しており、日本で発見された病原体なのであります。発見された当時はヒトへの病原性はないのではないかと考えられていたそうです。しかし、ロシアで46例のBorrelia miyamotoi感染症の症例が報告され3)、がぜん注目を集め始めました。また、2013年は米国、欧州でも症例が報告され始め、“New England Journal of Medicine”4)や“Lancet”5)といったメジャー医学誌に、免疫不全者の慢性髄膜炎というプレゼンテーションで、受診し、診断に至ったBorrelia miyamotoi感染症の症例報告が掲載されたのは記憶に新しいところです。そして、ついには病原体が発見された地である日本でもBorrelia miyamotoi感染症が報告されるに至ったのです!!盛り上がってきたところで、次回はBorrelia miyamotoi感染症の日本国内の疫学、臨床像や治療に迫りますッ!1)Kutsuna S, et al. Am J Trop Med Hyg. 2013;89:460-461.2)忽那賢志ほか. 感染症誌. 2014;88:713-714.3)Platonov AE, et al. Emerg Infect Dis. 2011;17:1816-1823.4)Gugliotta JL, et al. N Engl J Med. 2013;368:240-245.5)Hovius JW, et al. Lancet. 2013;382:658.

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関節リウマチの予後・治療反応と関連する遺伝子/JAMA

 関節リウマチ(RA)患者では、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子が疾患感受性と関連しており、放射線学的重症度、死亡、治療反応とも関連していることが明らかにされた。関連が認められたのは、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子座の11にアミノ酸バリンが認められるタイプであった。英国・マンチェスター大学のSebastien Viatte氏らが、RA患者の複数のコホートを基に分析し報告した。なお今回の結果について著者は、他コホートで同様の所見がみられれば、次のステップとしてRA治療におけるHLA-DRB1ハプロタイプの位置付けを評価すべきと述べている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。HLA-DRB1ハプロタイプと放射線学的重症度などを分析 研究グループは、Norfolk Arthritis Register(NOAR)などRA患者の4つのコホート(被験者数:1,691例、421例、2,432例、1,846例)を基に、HLA-DRB1ハプロタイプと、放射線学的重症度、死亡率、TNF阻害薬への反応性の関連を検討した。 検討は、縦断的統計モデルを用いて、患者単位で画像診断記録を統合して行った。すべての患者は英国生まれの白人(自己申告)だった。 HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子は、遺伝子座11、71、74のアミノ酸バリンで16タイプを特定。主要評価項目は、Larsenスコア(範囲:0~200、スコア高値ほど関節破壊が重度)を用いた放射線学的アウトカムと画像所見上での手足機能低下、全死因死亡、28関節に基づく疾患活動性スコア(DAS 28)、およびEuropean League Against Rheumatism(EULAR)反応とした。炎症性多発性関節炎では死亡率が1.16倍に RA患者で、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる人は、放射線学的損傷と強い関連が認められた(オッズ比:1.75、95%信頼区間:1.51~2.05)。 5年間で手足機能低下が認められた患者は、同所見が認められなかった人(ノンキャリア)では48%だったが、ヘテロ接合体キャリア患者では61%、ホモ接合体キャリア患者では74%だった。 また、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる炎症性多発性関節炎患者では、全死因死亡増大との関連がみられた(ハザード比:1.16、同:1.03~1.31、p=0.01)。年間死亡率はノンキャリアは1.9%に対しキャリアは2.5%だった。 さらに、EULAR基準に基づくTNF阻害薬に対する治療反応性を増大することも認められた(オッズ比:1.14、同:1.01~1.30、p=0.04)。ノンキャリア78%に対し、ヘテロ接合体キャリアは81%、ホモ接合体キャリアは86%だった。 HLA-DRB1ハプロタイプによって定義したリスク階層は、疾患感受性、重症度、死亡率と相関していた。しかし、TNF阻害薬治療反応とは逆相関の関連が認められた。

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SSRI抵抗性、脳内ヒスタミンが関与か

 治療抵抗性うつ病の背景に存在する神経生物学的変化については、不明な部分が多い。一方で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)不応については、ヒスタミンなどのセロトニン作動性神経を活性化する神経伝達物質システムの異常に起因している可能性がある。イタリア・フィレンツェ大学のLeonardo Munari氏らは、ヒスタミン合成不能マウスモデルを用いて、抗うつ薬抵抗性のメカニズムについて検討を行った。その結果、ヒスタミン合成不能マウスにおいて、レボキセチンやイミプラミンは抗うつ効果を発揮することが示唆された一方、SSRIはセロトニン作動性神経系が機能している場合でも効果が認められなかった。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年4月21日号の掲載報告。  研究グループは、ヒスタミン合成不能マウスを用い、行動的(尾懸垂試験)および神経化学的(in-vivoマイクロダイアリシス法、ウエスタンブロット解析)アプローチによる検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・検討により、SSRI(シタロプラムまたはパロキセチン)の抗うつ効果は、ヒスチジン脱炭素酵素遺伝子(HDC, -/-)の標的破壊、あるいはこの酵素の自殺阻害剤であるα-フルオロメチルヒスチジン(α-FMHis)の注入により阻害されることが確認された。・尾懸垂試験では、検討したすべての種類の抗うつ薬において、対照群と比べ無動時間の短縮が認められた。・ヒスタミン合成不能マウスにおいて、レボキセチンまたはイミプラミンの全身投与は無動時間を短縮させたが、SSRIsはセロトニン作動性神経系が機能している場合でも効果が認められなかった。・in-vivo マイクロダイアリシスの実験において、シタロプラムは、自由行動下マウスの大脳皮質における神経外ヒスタミン濃度を有意に増加させ、メチセルジド、5-HT1/5-HT2受容体アンタゴニストはこの効果を阻害した。これは、内因性セロトニンの関与を示唆するものであった。・ヒスタミン欠損マウスにシタロプラムを投与したところ、抗うつ薬の分子レベルでのメカニズムに関連するCREBのリン酸化が阻害された。 ・8-Br-cAMPの投与によりCREB経路のリン酸化が亢進したため、HDC-/-マウスではCREB経路に障害はなかった。・また、尾懸垂試験では、いずれの遺伝子タイプのマウスにおいても、無動時間が有意に減少した。・以上の結果から、SSRIsがその前臨床反応を引き出すためには、脳内ヒスタミン系が完全に機能していることの必要性が示唆された。 結果を踏まえて、著者らは「とくにSSRIでは、脳内ヒスタミンによる神経伝達物質経路の異常が治療抵抗性の一因となっている可能性が示唆された」と報告している。関連医療ニュース 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う 難治性うつ病発症に肥満が関連か  担当者へのご意見箱はこちら

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慢性心不全に適度なワイン

 日常的に適度なワインを飲むことは、心血管イベントリスクの低下と関連するが、慢性心不全患者におけるデータは不足している。GISSI-HF試験の研究グループは、イタリア人慢性心不全患者の大規模コホートを対象とした多施設臨床研究により、ワイン摂取と健康状態、バイオマーカー、臨床アウトカムとの関連性を評価した。著者らは「本研究は、慢性心不全患者の大規模コホートにおいて、適度なワインがより良い主観的/客観的健康状態、低い抑うつ傾向、血管炎症の少なさと関連することを示した、初の研究である。ただし、より良好な4年後臨床アウトカムとの関連性は認められなかった」とした。Circulation: Heart failure誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。 GISSI(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Insufficienza cardiaca)-HF試験に参加した6,973例を対象に、ベースライン時に生活習慣に関する簡易アンケートを行った。ワイン摂取と致死的/非致死的臨床イベント、QOL、うつ症状、心機能・炎症性バイオマーカー(一部の患者において検査)との関連について、単変量解析および多変量解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の約56%が「1日1杯以上ワインを飲む」と報告していた。・調整後、臨床アウトカムはワインの摂取量で分けた患者4グループにおいて、有意な違いは認められなかった。・しかし、潜在的交絡因子の調整後、ワインの摂取量が多い患者ほど、より良い健康状態を認識しており(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire [KCCQ]スコアによる自己評価、p<0.0001)、抑うつ症状が少なく(The Geriatric Depression Scale [GDS]:高齢者うつ病評価尺度)、血管炎症性バイオマーカー値が低い(osteoprotegerin、C-terminal pro-endothelin-1;共に調整後p<0.0001、pentraxin-3;p=0.01)ことが示された。

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