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米国成人の食習慣、13年間で改善/JAMA

 1999~2012年の米国国民健康栄養調査(NHANES)を分析した米国・モンテフィオーレメディカルセンターのColin D. Rehm氏らは、自己申告による食習慣が改善していることを報告した。ただし、人種・教育・収入による差が持続または悪化していることも示唆されたという。これまで食事に関する研究の多くが、主な多量栄養素またはわずかな食事因子のみを評価したもので、個々の食品・栄養素に関する食事の質や、さまざまな集団での違いなどについては評価していなかった。著者は、「今回の結果は、米国に住んでいる人々の食習慣を改善するための機会、新たな達成、配慮が必要な地域などについて考察を与えるものである」とまとめている。JAMA誌2016年6月21日号掲載の報告。食事パターンの変化を13年間にわたり調査 研究グループは、NHANESに登録された入院歴のない20歳以上の米国成人3万3,932例を対象に、24時間思い出し法を用い1999~2012年の間に7回調査を実施した。各調査における回答数は4,237例から5,762例の範囲であった。 評価項目は、調査で重み付けした補正平均エネルギー消費量、AHA 2020 Strategic Impact Goalsの食事ガイドラインに基づく食事スコアの目標達成割合、食事スコアの構成要素(主要構成要素:果物と野菜類、全粒穀物類、魚貝類、糖添加飲料、食塩/副次構成要素:ナッツ類、種子類、豆類、加工肉類、飽和脂肪酸)、およびその他の個々の食品と栄養素とした。全粒穀物やナッツ類の摂取増加など食事が改善、ただし、人種・教育・収入で差 AHA主要食事スコア(最高50点)は19.0から21.2点へ、副次食事スコア(最高80点)も35.1から38.5点へ、いずれも増加し、食習慣が改善していることが明らかとなった(それぞれ改善率11.6%および9.7%、どちらも傾向p<0.01)。これらの変化は、1999~2000年と2011~2012年の間で全粒穀物が0.43食/日(95%信頼区間[CI]:0.34~0.53食/日)、ナッツ・種子・豆類が0.25食/日(95%CI:0.18~0.34食/日)増加していたことと、糖添加飲料が0.49食/日(95%CI:0.28~0.70食/日)低下していたことに起因していた。魚貝類の摂取量もわずかに増加したが、果物と野菜類・加工肉類・飽和脂肪酸・食塩を含む他の構成要素では有意な傾向は確認されなかった。 栄養の乏しい食事(AHA食事スコアのアドヒアランスが40%未満)をしている米国成人の割合は55.9%から45.6%へ減少し、栄養が中程度の食事(アドヒアランス40~79.9%)の割合は43.5%から52.9%へ増加した。その他の食事の傾向として、果物の摂取増加(0.15食/日、95%CI:0.05~0.26食/日)や、100%フルーツジュースの摂取減少(0.11食/日、95%CI:0.04~0.18食/日)がみられた。 食事の質は、人種・教育・収入レベルによって差異があることが観察された。たとえば、栄養の乏しい食事をしている非ヒスパニック系白人の割合は有意に減少したが(53.9%から42.8%)、非ヒスパニック系黒人またはメキシコ系アメリカ人では改善が確認されなかった。また、調査期間中、これらの差が縮減するとのエビデンスは見当たらず、収入レベルによる悪化が確認された。

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自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

 自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHDは、しばしば併存する神経発達障害である。社会的状況、適応機能、実行機能の処理が欠損しているため、いずれか単独の患者よりも併発している患者ではより重篤な障害がみられる。イタリア・メッシーナ大学のMarco Lamberti氏らは、ASDとADHDを併発する患者に対し、ADHD症状を治療するためのリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性、忍容性を評価し、比較することを目的とした24週間のオープンラベルパイロット試験を行った。Paediatric drugs誌2016年8月号の報告。 対象患者44例を、リスペリドン群22例、アリピプラゾール群22例に無作為に割り付け治療を開始した。小児の評価は、治療開始前(T0)、治療開始12週後(T1)、24週後(T2)に行った。各来院時に、2つの薬剤の有効性を評価するため、特定の精神科臨床スケールを実施した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は、アリピプラゾール群8.4±2.9歳、リスペリドン群7.8±2.3歳であった。・合計37例(男児:29例、女児8例)が試験を完了した(アリピプラゾール群18例、リスペリドン群:19例)。・アリピプラゾールおよびリスペリドンの有効性、忍容性はわずかな違いはあるものの、同様のベネフィットが認められた。・両群ともに、治療24週間後のADHD症状に有意な改善が認められた(ADHD臨床尺度、Conners Parent Rating Scale-Hyperactivity、CGI-S)。・24週時点での各パラメータは、両群間で有意差は認められなかった。・プロラクチンレベルは、アリピプラゾール群で減少していた。・両群ともに、よい忍容性を示し、重篤な有害事象は認められなかった。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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高齢者の「噛む力」と死亡リスク

 70歳時の最大咬合力は、日本人高齢男性における全死因死亡率と独立して関連することが、新潟大学の岩崎 正則氏らによる研究で明らかになった。この研究データは、口腔機能と高齢者の健康との関連についての追加エビデンスになりうる。Journal of oral rehabilitation誌オンライン版2016年4月15日号の報告。 高齢者における口腔機能が死亡率に及ぼす影響に関して、情報は限られている。そこで著者らは、口腔機能、最大咬合力の客観的尺度が高齢者の死亡率と関連しているかどうかを検証するため、13年間追跡する前向きコホート研究を行った。 対象は、ベースライン時に70歳であった日本人559人(男性282人、女性277人)。ベースライン時に健康診断・歯科検診・アンケート調査を行い、電子記録装置(Occlusal Force-Meter GM10)を用いて最大咬合力を測定した。その後、生命状態を確認するために13年間フォローアップ調査を行った。性別で層別化し、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、最大咬合力の三分位間で生存率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・13年間で111人が死亡した(男性82人、女性29人)。・単変量解析の結果、男性において最大咬合力の最低群は、最高群と比較して全死因死亡リスクが増加していた(ハザード比[HR] 1.94、95%CI:1.13~3.34)。この関連は、交絡因子の調整後も有意であった(調整HR 1.84、95%CI:1.07~3.19)。・逆に、女性においては、最大咬合力と全死因死亡率との間に関連は認められなかった。

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統合失調症への抗うつ薬追加は有益なのか

 統合失調症治療において、抗精神病薬に抗うつ薬を追加した際の安全性および有効性をドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のBartosz Helfer氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2015年6月までの複数のデータベースと出版物より、統合失調症に対する抗うつ薬追加とプラセボまたは未治療とを比較したすべての無作為化比較試験を抽出した。抑うつ症状と陰性症状(主要アウトカム)、全体の症状、陽性症状、副作用、精神症状の悪化、レスポンダーレートを調査した。サブグループ分析、メタ回帰分析、感度分析を実施した。また、同様に出版バイアスとバイアスリスクを調査した。 主な結果は以下のとおり。・82件の無作為化比較試験より、3,608例が抽出された。・抗うつ薬の追加は、各症状などに対しより有効であった。  抑うつ症状(SMD:-0.25、95%CI:-0.38~-0.12)  陰性症状(SMD:-0.30、95%CI:-0.44~-0.16)  全体の症状(SMD:-0.24、95%CI:-0.39~-0.09)  陽性症状(SMD:-0.17、95%CI:-0.33~-0.01)  QOL(SMD:-0.32、95%CI:-0.57~-0.06)  レスポンダーレート(RR:1.52[95%CI:1.29~1.78]、NNT:5[95%CI:4~7])・抑うつ症状と陰性症状への影響は、これら症状の最小閾値が包含基準であった際、より堅調にみられた(抑うつ症状[SMD:-0.34、95%CI:-0.58~-0.09]、陰性症状[SMD:-0.58、95%CI:-0.94~-0.21])。・精神症状の悪化、早期中止、少なくとも1つ以上の有害事象を経験した患者数については、抗うつ薬追加と対照群との間に有意な差は認められなかった。・抗うつ薬を追加した多くの患者において、腹痛、便秘、めまい、口渇が認められた。 結果を踏まえ、著者らは「主要アウトカム(抑うつ症状、陰性症状)の分析では、抗うつ薬補助療法の有用な効果は小さかった。抗うつ薬補助療法は、精神症状や副作用の悪化リスクが低いと考えられる。しかし、2次およびサブグループ解析により慎重に検討すべきである」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者への抗うつ薬併用、効果はどの程度か 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは

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アルコールの入手のしやすさと心疾患発生の関連/BMJ

 法的なアルコール入手環境の違いという観点から心疾患との関連を検討した、米国・カリフォルニア大学のJonathan W Dukes氏らの研究成果が発表された。入手がしやすい地域の住民では心房細動が有意に多く、心筋梗塞およびうっ血性心不全は有意に少なかった。しかし規制が緩和されると短期間でうっ血性心不全のリスクの増大がみられたという。アルコールと心疾患の関連は複雑で相反する結果が報告されている。これまでの関連を検討した観察研究は、アルコール摂取について自己申告に基づいたもので、交絡因子がアウトカムに関連していた可能性があり、研究グループは、1州におけるアルコール販売規制の郡ごとの違いに着目して観察コホート研究を行った。BMJ誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。テキサス州の各群の法規制の違いと心疾患発生との関連を調査 米国テキサス州の病院をベースに、Texas Inpatient Research Data Fileを用いて、2005~10年の間に入院した、法的なアルコール販売規制のない郡と厳しく販売が規制されている郡に住む21歳以上の患者110万6,968例を特定し、心疾患との関連を調べた。 主な心血管アウトカムは、心房細動、急性心筋梗塞、うっ血性心不全であった。検証解析として、アルコール乱用(alcohol misue)、アルコール性肝疾患の有病率(%)と罹患率(1,000人年当たり)についても調べた。規制なし郡住民は心房細動が有意に多い 規制なし郡住民のほうが、アルコール乱用、アルコール性肝疾患はより多くみられた。アルコール乱用の有病率は2.6 vs.2.5%、罹患率は3.6 vs.2.5例であり、アルコール性肝疾患は0.7 vs.0.4%、1.4 vs.0.8例であった。 多変量(年齢、人種、性別等)補正後、心房細動については、規制なし郡住民のほうが有意に多いことが認められた。有病率のオッズ比(OR)は1.05(95%信頼区間[CI]:1.01~1.09、p=0.007)、罹患率のORは1.07(同:1.01~1.13、p=0.014)であった。一方で、心筋梗塞については、規制なし郡住民が有意に少なかった。有病率ORは0.83(同:0.79~0.87、p<0.001)、罹患率ORは0.91(0.87~0.99、p=0.019)。うっ血性心不全も有意に少なく、有病率ORは0.87(0.84~0.90、p<0.001)であった。 また、規制ありから規制なしに変わった郡では、アルコール乱用、アルコール性肝疾患、心房細動、うっ血性心不全の発生が統計的に有意に高率となった。心筋梗塞については差は検出されなかった。転換前後各15ヵ月間の発生を比較したORは、アルコール乱用1.31(95%CI:1.19~1.43、p<0.001)、アルコール性肝疾患1.61(1.35~1.91、p<0.001)、心房細動1.07(1.03~1.12、p=0.001)、うっ血性心不全1.07(1.04~1.11、p<0.001)、心筋梗塞は0.99(0.91~1.07、p=0.746)であった。

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ADHDへの補助療法、有酸素運動が有用

 有酸素運動が、ADHDに対する有用な補助療法であるか、カナダ・マギル大学のSivan Klil-Drori氏らが検討を行った。Journal of attention disorders誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 ADHDに関連する有酸素運動の身体的、認知的、心理社会学的側面についてレビューを行い、評価した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療のための主要な薬物療法である覚醒薬、有酸素運動はどちらもカテコールアミン経路に作用する。・有酸素運動は、ADHD動物モデルである自然発生高血圧ラットの前臨床試験、またADHD児の臨床試験において、薬物療法の補助療法として有用であることが示されている。・運動はさらに、小児および成人の社会機能や神経認知機能に良い影響を及ぼすことが示唆される。・しかしながら、成人ADHDに対する臨床試験は実施されていない。関連医療ニュース 子供はよく遊ばせておいたほうがよい ADHD児に対するスポーツプログラム うつ病患者への運動介入、脱落させないコツは

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てんかん患者の携帯電話使用、発作への影響は

 てんかんは、脳内の異常な神経インパルスによる発作が起こる状態である。発作患者における携帯電話の電磁波の影響は知られていない。インド・グントゥール医科大学のSundarachary Nagarjunakonda氏らは、携帯電話使用の有無による患者の発作プロファイルについて比較を行った。Postgraduate medical journal誌オンライン版2016年6月6日号の報告。 2014年9月~2015年9月までにグントゥール医科大学の神経科外来を受診した患者のうち、1年以上発作障害を有していた16~65歳のてんかん患者178例について、レトロスペクティブコホート研究を行った。患者の携帯電話の所持・使用状況に基づき、no mobile群(NMG)、home mobile群(HMG)、personal mobile群(PMG)の3群に振り分けた。発作頻度のデータ、携帯電話使用状況の詳細、抗てんかん薬(AED)治療に関するデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、NMG107例、HMG3例、PMG68例が含まれた。・前年の発作数は、3群間で有意な差はなかった。・PMGは、NMGと比較し、薬剤抵抗性てんかん患者の割合が有意に低かった(3.7% vs.28.2%)。・薬剤反応性てんかん患者は、性別や職業の違いで調整した後、NMGよりもPMGで7.4倍多く見出される傾向があった(95%CI:1.4~39.9、p=0.01)。・本結果より、携帯電話を使用しているてんかん患者では、薬剤抵抗性けいれんを有する可能性が低いことが示された。関連医療ニュース 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか てんかん重積状態に対するアプローチは てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割

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肥満治療薬5剤の体重減少効果を比較/JAMA

 米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている5つの肥満治療薬は、いずれも良好な体重減少効果を有し、とくにphentermine-トピラマート配合薬とリラグルチドの効果が高いことが、米国・アイオワ大学のRohan Khera氏らの検討で示された。2014年の報告では、世界には約19億人の成人の過体重者と約6億人の肥満者がおり、長期的に有効な治療戦略の確立がきわめて重要とされる。FDAは、1つ以上の体重関連の併存疾患(2型糖尿病、高血圧、脂質異常症)を有する肥満(BMI≧30)または過体重(BMI≧27)の治療として、5つの肥満治療薬を承認しているが、これらの薬剤を比較した無作為化臨床試験のエビデンスは少ないという。JAMA誌2016年6月14日号掲載の報告。5つの薬剤の体重減少効果と有害事象をネットワークメタ解析で評価 研究グループは、5つの肥満治療薬―orlistat、lorcaserin、naltrexone-bupropion配合薬、フェンテルミン/トピラマート配合薬、リラグルチドの、体重減少効果と有害事象を比較した論文を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(National Library of Medicineなどの助成による)。 2016年3月23日の時点で、MEDLINE、EMBASE、Web of Science、Scopus、Cochrane Centralに登録された文献を検索した。18歳以上の過体重者または肥満者を対象に、FDAの承認を得ている5つの肥満治療薬を他剤またはプラセボと比較した無作為化臨床試験(治療期間1年以上)の論文を選出した。 2人の研究者が、事前に規定されたプロトコルを用いて別個にデータを抽出した。ベイジアンネットワークメタ解析を行い、surface under the cumulative ranking(SUCRA)確率法を用いて薬剤の有効性の相対的な順位を評価した。エビデンスの質の評価にはGRADE基準を用いた。 主要評価項目は、治療1年時の体重減少率5%以上および10%以上を達成した患者の割合、減量の程度、有害事象による治療中止とした。リラグルチドは効果が高いが、有害事象関連の治療中止が多い 1998~2015年に報告された28件の無作為化臨床試験に参加した2万9,018例が解析の対象となった。ベースラインの全体の年齢中央値は46歳、女性が74%含まれ、体重中央値は100.5kg、BMI中央値は36.1だった。 1年時のプラセボ群の体重減少率5%以上の達成率は23%であった。これに対し、フェンテルミン/トピラマート配合薬群は75%(オッズ比[OR]:9.22、95%信用区間[credible interval:CrI]:6.63~12.85、SUCRA:0.95)、リラグルチド群は63%(5.54、4.16~7.78、0.83)、naltrexone-bupropion配合薬群は55%(3.96、3.03~5.11、0.60)、lorcaserin群は49%(3.10、2.38~4.05、0.39)、orlistat群は44%(2.70、2.34~3.09、0.22)であり、いずれも有意に良好であった。 体重減少率10%以上の達成率のORも、プラセボ群に比べ5つの肥満治療薬群が優れた。達成率は、プラセボ群の9%に対し、フェンテルミン/トピラマート配合薬群が54%、リラグルチド群が34%、naltrexone-bupropion配合薬群が30%、lorcaserin群が25%、orlistat群は20%だった。 1年時のプラセボ群と比較した超過体重減少(excess weight loss)は、フェンテルミン/トピラマート配合薬群が8.8kg(95%CrI:-10.20~-7.42)、リラグルチド群が5.3kg(-6.06~-4.52)、naltrexone-bupropion配合薬群が5.0kg(-5.94~-3.96)、lorcaserin群が3.2kg(-3.97~-2.46)、orlistat群は2.6kg(-3.04~-2.16kg)であった。 プラセボ群と比較した5つの肥満治療薬の有害事象関連の治療中止のORは1.34~2.95であった。lorcaserin群が最も低かった(OR:1.34、95%CrI:1.05~1.76、SUCRA:0.61)のに対し、リラグルチド群(2.95、2.11~4.23、0.20)が最も高く、次いでnaltrexone-bupropion配合薬群(2.64、2.10~3.35、0.23)が高かった。 全試験の脱落率は30~45%と高く、バイアスのリスクによりエビデンスの質は低くなった。GRADE基準を適用すると、体重減少5%以上の達成率のORのエビデンスの質は中等度であった。

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CVIT 2016(第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会)会長インタビュー

第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT 2016)が本年(2016年)7月7日~9日開催される。今大会の開催への思いと見どころについて、会長である東邦大学医療センター 大橋病院 中村正人氏に聞いた。今回の大会は公募演題を広く集められたそうですね?従来の大会のシンポジウム、パネルディスカッションなどは指定演題がほとんどだったのですが、日常臨床で遭遇する課題を取り上げるため、今回は公募演題を数多く採用しました。それもあって、演題数は当初の予定以上に増え、1,000題以上となりました。最近は循環器系の学会でもインターベンションを取り上げる機会が減っており、インターベンションを専門とする若い医師の発表の場が少なくなってきました。そういうこともあり、今大会は若い先生方がドキドキしながら発表するチャンスをたくさん作っています。大会テーマ「The road to Professional」の意味を教えていただけますか?それぞれの道は違えども、皆さんがプロフェッショナルという同じ目的地を目指してほしい、という思いでこのテーマにしました。ただ技術や知識があるだけではプロフェッショナルとはいえません。知識を持ったうえで、それを上手に活用してこそプロフェッショナルです。そのためには、チームワークや、自分たちができないことをできるようにするものづくりの工夫が必要となります。そのような考えから、今回は特別公演を3名にお願いしています。エディンバラ大学のKeith Fox先生には全般的なエビデンスの話を、早稲田大学で介護ロボットを作っておられる藤江 正克先生には“ものづくり”とイノベーションについて、サッカー日本代表元監督の岡田 武史氏にはチームワーク作りの話をしていただく予定です。●特別講演Unmet need of NOAC7月7日(木)16:00~17:00、第1会場 ホールCチームマネージメント~今治からの挑戦~7月8日(金)10:20~11:20、第1会場 ホールCヘルスケアロボティクスにおけるイノベーション7月9日(土)11:00~12:00、第1会場 ホールC“ものづくり”についてですが、今回の学会では「“ものづくり”のセッション」を設けていらっしゃいますね?この企画は今大会の新しい取り組みの1つで、経済産業省関東経済産業局の後援で開催します。これからは日本のインターベンションも新しいシーズを見つけて形にしていくという考え方が必要になります。そのため、日本での医療機器開発の成功例を講演していただくとともに、医療機器開発の海外との違いを議論したいと思います。また、技術展示ブースに日本のものづくり企業に出展いただき、医療側のニーズを知っていただくとともに、技術相談コーナーで開発アイデアを持つ医師との接点を持っていただければと思います。●医工産連携ものづくり企画シンポジウム「医療機器開発の成功例を知ろう」7月7日(木)13:00~16:00、展示会場(地下2階「展示ホール内」)パネルディスカッション「医療機器開発で、世界の競合に勝てるにはどうしたらよいか?」7月8日(金)9:00~12:30、展示会場(地下2階「展示ホール内」)技術相談コーナー「ホールE」内(地下2階)http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/event.html産官学連携のセッションもあるそうですね?今後多くのデバイスが出てきますが、それらを無制限に使うことは医療費の観点から考えると不可能です。どのように市場に導入していくか検討し工夫していく必要があります。また今後、新規性のあるデバイスを早期に導入しようとすると未知のリスクが伴います。それを踏まえ、アカデミア、関連企業、PMDA、FDAそれぞれのスタンスを明らかにして議論したいと考え、産官学の連携セッションを企画しました。Harmonization by doing(HBD)のセッションでは、米国と日本の共同試験による早期承認の取り組みについての今までの経験を説明します。次に、近々上市が予定される話題の新デバイス生体吸収性ステント(BRS)について取り上げます。BRSは、そのベネフィットとともに血栓症リスクも議論されていますが、データは依然として限られています。このデバイスを日本にどう導入するかを議論します。さらに、CT-FFRについても取り上げます。日本にはEU全土と同じ台数のCTがあります。非侵襲的な検査としての大きなメリットがありますが、すべての施設で使うと大変なことになります。医療経済の点からマッチできるシナリオを議論したいと思います。もう1つ、近年注目されている出血合併症についても取り上げます。とくに、ハイリスクサブセットの定義は論文によってまちまちです。このサブセットの定義をどう考えるか企業とアカデミアの合意を形成していきたいと思います。日米欧 産官学共催セッション:最新テクノロジー(デバイス)の福音とリスク7月7日(木) 13:30~19:00、第14会場 G610Controversyセッションではどのようなテーマを取り上げるのですか?ここでは、DAPTの投与期間、心房細動合併患者の抗血小板薬の扱い、イメージングモダリティ(CT、FFR、OCTなど)をどのように適切に使っていくか、という従来から議論されていたテーマについて取り上げます。また、インターベンションの適切な実施については世界的に議論されており、欧米でもAUC(Appropriate Use Criteria)やハートチームといった取り組みが始まっています。しかし、それをそのまま日本に当てはめることは難しいと思います。どのように日本版のStandardized PCIを作っていくか、学会として取り上げています。Optimal Medication Following PCI Duration of DAPT after DES7月7日(木)10:30~12:00、第3会場 ホールB7-2Optimal Medication Following PCI Patients with Atrial Fibrillation7月8日(金)13:10~14:40、第3会場 ホールB7-2Imaging Appropriate Use of Multimodalities in Ischemic Heart Disease7月7日(木)17:20~18:50、第3会場 ホールB7-2日本におけるPCIの標準的適応7月8日(金)17:30~19:00、第3会場 ホールB7-2今年(2016年)4月に発生した熊本地震についても取り上げていますか?被災地である熊本の済生会熊本病院の中尾 浩一先生に、この地震での循環器医としての体験をお話しいただきます。あまり報道されませんが、この地震では多くの方が肺血栓塞栓症を発症しています。さらに、搬送の途中で亡くなる方も少なくなかったそうです。中尾先生の体験を通し、われわれ医師および医療者は、どういうことを知っておくべきかを学んでいきたいと思います。緊急企画 熊本地震の経験 現況報告7月7日(木) 18:30~19:00、第15会場 ホールE内40歳未満の参加者のための「Under 40」セッションではどのようなことが行われるのですか?このセッションの副題は「10年後のカテーテル治療を語ろう」です。インターベンションの適応はどう変わっていくか? CVITはどう変わっているか? といったテーマを事前に設定し、5名の代表演者に発表いただきます。40代未満の先生に、自分たちが携わっているインターベンションが将来どうなっているか予想していただき、自由闊達に意見交換をしていただきたいと思います。会長企画1 Under 40 ~10年後のカテーテル治療を語ろう7月7日(木)17:00~18:30、ポスター会場 ホールE教育セッションについても工夫されたそうですね?教育セッションは、従来は並列で行われていましたが、見たいものが重複してしまうという声を聞いていました。そこで今回は見たいテーマが重ならないよう、1部屋を教育セッション用に充て、3日間通して開催することにしています。教育セッション7月7日(木)16:00~18:00、第10会場 G4097月8日(金)8:30~18:00、7月9日(土)8:30~14:10、第8会場 G701その他にも興味深い取り組みがあるそうですね?「子ども体験コーナー」を作ります。このコーナーでは、CT、MRI、心電図、血圧計測を子供たちに体験してもらい、医療に興味を持ってもらいたいとの思いで企画しました。子ども体験コーナー7月8日(金)10:00~18:00、7月9日(土)10:00~18:00、地下2F セミナー室1http://www2.convention.co.jp/cvit2016/contents/kodomo.html企業展示については、参加者が楽しめ出展企業にもベネフィットがあるよう工夫しました。各ブースでアンケート調査を用意していただき、スタンプラリーを行います。集まったスタンプの数で賞品をお渡しする仕組みです。参加者の息抜きになりますし、出展企業も使用者の声を聞き、マーケティングに利用していただくことができます。また、展示ブースは格子戸などをアレンジし江戸時代の街並みを演出します。ポスター会場についても、領域ごとに照明を色分けし、わかりやすくしています。こちらは、近代的デザインにして、同じフロアにある江戸時代風の展示会場との対比を楽しんでいただけるようにします。ケアネット会員の方へメッセージをお願いします。これからは日本からエビデンスを発信する時代ですから、若い世代にはリサーチマインドを持ってほしいと思います。そういう意味でも、たくさんの若い先生に参加していただきたいと考えています。今大会は、私が思い描くこと、興味のあることを企画として取り上げました。この大会を通じて皆が同じ方向を向いて歩んでいってほしいと願っています。CVIT 2016 ホームページhttp://www2.convention.co.jp/cvit2016/index.html

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AGA治療前に評価すべき項目

 男性型脱毛症(AGA)の若年男性ではボディイメージの変化が心理社会的な障害となることが多い。ボディイメージへの不満は性機能の問題の増大に関連しているが、これまで心理社会的障害がAGA男性の性機能障害に及ぼす影響についての検討はなかった。スペイン・Hospital TorrecardenasのAlejandro Molina-Leyva氏らは、AGAの若年男性を対象に、抜け毛による心理社会的障害が性機能障害に及ぼす影響を検討した。AGAの主な治療の1つであるフィナステリド(1mg)には、性機能障害の副作用が現れることがある。著者らは「とくにフィナステリド治療を検討する際に、AGA男性では精神的健康状態および性機能の評価が重要といえる」と結論付けている。Acta dermatovenerologica Croatica誌2016年4月号掲載の報告。 横断研究デザイン。対象は、インターネットのオンラインコミュニティで募集したAGAの男性190人(18~40歳)。被験者はSKINDEX-29、Massachusetts General Hospital Sex Functioning Questionnaireから成るオンライン調査に回答した。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度の心理社会的障害のあるAGA男性では、同障害がないもしくは軽度の男性と比較して、性機能障害のリスクが高かった(調整OR 2.1、95%CI:1.2~4.0、p=0.02)。・性欲、性的興奮は性的反応が最も影響する要素だが、勃起不全の増加および全体的な満足度の減少が報告された。・中等度~重度の心理社会的障害を有する18~40歳のAGA男性では、性機能障害のリスク増大が認められた。

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B型肝炎の母子感染予防、テノホビルが有効/NEJM

 B型肝炎e抗原(HBeAg)陽性で、HBV-DNA量20万IU/mL超の妊婦に対し、妊娠30~32週からテノホビル・ジソプロキシル・フマル酸塩(TDF)の経口投与を始めると、母子感染率は低下することが示された。米国・ニューヨーク大学のCalvin Q.Pan氏らが、妊婦200例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2016年6月16日号で発表された。TDFを妊娠30~32週から出産後4週まで投与 研究グループは、HBeAgが陽性でHBV-DNA量が20万IU/mL超の妊娠中の女性200例を対象に試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群には抗ウイルス療法を行わない通常療法を、もう一方の群にはTDF(300mg/日)を妊娠30~32週から出産後4週まで経口投与した。すべての出生児に対して、免疫学的予防を実施。被験者のフォローアップは、分娩後28週まで行った。 主要評価項目は、母子感染率と先天異常の発生率だった。副次的評価項目は、TDFの安全性と、母体の分娩時HBV-DNA量が20万IU/mL未満だった割合、出産後28週時のHBeAgまたはB型肝炎表面抗原の消失や陽転の割合などだった。分娩後28週時の母子感染率、TDF群5%、対照群18% その結果、分娩後28週時の母子感染率は、intention-to-treat解析では対照群が18%(18/100例)に対し、TDF群が5%(5/97例)と有意に低率だった(p=0.007)。per-protocol解析では、対照群7%に対しTDF群は0%だった(p=0.01)。 分娩時のHBV-DNA量が20万IU/mL未満だった母体の割合は、対照群2%に対し、TDF群では68%と有意に高率だった(p<0.001)。 母子の安全性については両群で類似しており、クレアチンキナーゼ値の上昇は、TDF群で高率に認められた(p=0.006)が、先天性異常発生率について、対照群1%、TDF群2%と同等だった(p=1.00)。 また、TDF群では、TDF服用中止後、アラニンアミノトランスフェラーゼ値について正常値を上回る上昇がみられた人の割合が45%と、対照群の30%と比べて有意に多くみられた(p=0.03)。母体のHBV血清学的転帰は、両群で有意な差はみられなかった。

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カテーテル関連尿路感染症の予防プログラム(解説:小金丸 博 氏)-555

 カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)は、デバイスに関連して起こる代表的な医療関連感染症の1つである。医療関連感染症を減少させることは非常に重要な課題であり、国を挙げて取り組みが行われている。本論文では、米国において国家的プロジェクトとして行われているCAUTIの予防プログラムが、非ICU患者における尿道カテーテルの使用率およびCAUTIの発生率を有意に低下させることが示された。 本研究には、全米規模で数多くの病院、ユニット(ICU、非ICU)が参加している。ランダム化比較試験ではないこと、プログラムへの参加は自由意思でありすべての病院に一般化できないこと、データ収集が不完全であることなどのlimitationはあるものの、信頼できるデータといえる。 本研究では、CAUTIの予防プログラムによって、ICU患者における尿道カテーテルの使用率とCAUTIの発生率を低下させることはできなかった。ICUには重症患者が多く、細やかな尿量測定のために尿道カテーテルの留置が必要な患者が多い。ICUにおける尿道カテーテル留置は適切と判断されることが多いため、予防プログラムによる啓発では減らすことができず、結果として、CAUTIの発生率も低下させることができなかった可能性が考えられる。 ガイドラインでは、CAUTIの予防のために、尿道カテーテルの適正使用、無菌操作での挿入、適切なメンテナンス、不必要となった尿道カテーテルの抜去を推奨している。尿道カテーテルを留置している患者では、毎日カテーテルの必要性を評価し、抜去や代替療法(コンドームカテーテルの使用や間欠的自己導尿など)への変更を検討することが望ましい。臨床の現場では、不要なカテーテルは留置しないこと、不要となったカテーテルは早期に抜去することを常に意識しておきたい。

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広汎性発達障害に日本で使用されている薬剤は:東北大学

 日本において、広汎性発達障害(PDD)に適応を有する薬剤は、ピモジドだけである。いくつかの抗精神病薬は、日本でも適応外で使用されているが、これら薬剤の処方および使用に関する詳細は不明な点が多い。東北大学の佐藤 倫広氏らは、日本のPDD児における薬物治療の実態を明らかにするため調査を行った。World journal of pediatrics誌オンライン版2016年6月10日号の報告。 2005~10年に新規でPDD(ICD-10:F84)と診断された18歳未満の小児3,276例のデータを、日本医療データセンターの請求データより抽出した。処方率は、それぞれの薬剤が処方されたPDD患者の割合とした。 主な結果は以下のとおり。・2010年以前には、ATC分類で神経系に属する薬剤のうち、非定型抗精神病薬、他の抗精神病薬、精神刺激薬、他のすべての中枢神経系作用薬、抗けいれん薬、非バルビツール酸系薬、パーキンソン病/症候群薬の処方が有意に増加していた(trend p≦0.02)。・リスペリドンの処方率は一貫して増加しており、2010年には6.9%に達していた(trend p<0.0001)。これは、調査対象の抗精神病薬のうち最も高かった。・アリピプラゾールの処方率も増加しており、2010年には1.9%に達していた(trend p<0.0001)。・ピモジドの処方率には変化がなく、2010年は0.4%と低率であった。 著者らは「ピモジドと比較し、リスペリドン、アリピプラゾール、他の向精神薬の処方率が増加している。日本人小児に対するこれら薬物の安全性データは十分でないため、今後の安全性評価が必要とされる」としている。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査 非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

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過去10年で米国女性の肥満率が上昇/JAMA

 米国成人の年齢補正後肥満の有病率は、2013~14年男性35.0%、女性40.4%であり、女性の全肥満(BMI≧30)と3度肥満(BMI≧40)の有病率は2005~2014年の間に有意な右肩上がりの上昇が認められたことを、米国疾病予防管理センター(CDC)のKatherine M. Flegal氏らが報告した。同期間中、男性については有意な傾向はみられなかったという。これまでの調査研究では、1980~2000年の米国成人の肥満の有病率は男女ともに有意な上昇が認められ、その後2003~04年まで、男性については有意な上昇がみられたが女性ではみられなかった。著者は、「さらなる研究を行い、今回の調査で認められた傾向の要因を調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2016年6月7日号掲載の報告。2013~14年および2005~14年の成人男女の肥満の有病率動向を調査 研究グループは、性別、年齢、人種/ヒスパニック系、喫煙状態、教育レベルで補正した肥満の有病率について、2013~14年、および2005~14年の直近10年の傾向を調べた。全米の代表的市民を抽出して体重と身長などを測定して行われた断面調査の米国民健康・栄養調査(NHANES)のデータを用いて分析した。 主要評価項目は、肥満(BMI≧30)と3度肥満(BMI≧40)の有病率であった。直近10年、女性のみ有意に有病率が上昇 分析は、NHANESの直近2年(2013~14年)の男性2,638人(平均年齢46.8歳)と女性2,817人(同48.4歳)のデータと、2005~12年の2万1,013人のデータを基に行われた。 2013~14年の年齢補正後肥満有病率は、全体では37.7%(95%信頼区間[CI]:35.8~39.7)であり、男性では35.0%(同:32.8~37.3)、女性では40.4%(同:37.6~43.3)であった。 3度肥満相当の有病率は、全体で7.7%(95%CI:6.2~9.3)であり、男性では5.5%(同:4.0~7.2)、女性では9.9%(同:7.5~12.3)であった。 2005~14年の直近10年の変化の傾向を分析した結果、年齢・人種/ヒスパニック系・喫煙状態・教育で補正後、女性の全肥満(p=0.004)、3度肥満(p=0.01)で有意な直線的な増大の傾向がみられたが、男性では全肥満(p=0.30)、3度肥満(p=0.14)ともにそのような傾向はみられなかった。

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上海の小児の8.5%がアトピー性皮膚炎、そのリスク因子とは

 中国・上海の3~6歳児のうち、8.5%がアトピー性皮膚炎(AD)を有しており、そのリスク因子として、家の改築/改装、新調した家具や室内のカビ、都心の住宅、遺伝的素因、食物アレルギーが考えられることを、復旦大学のFeng Xu氏らが報告した。アンケート断面調査の結果であるという。上海の就学前小児においてADの頻度が高いことは知られていたが、研究グループは今回、発症のリスク因子を特定することを目的に本調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2016年5月27日号の掲載の報告。 断面調査は2010年4~6月に上海にて行われ、AD児のリスク因子を、住居環境、人口統計学および両親・祖父母のAD歴の観点から調査した。ADの診断は、U.K. Working Party's(UKWP)基準に則った。 6地区(都市2、郊外/地方都市4)で、就学前の小児の両親または保護者にアンケート協力を求め、最終的に、小児6,624例(男児51.3%)のデータを収集。多重ロジスティック回帰法にて、補正後オッズ比(AOR)と95%信頼区間(CI)値を求め分析した。 主な結果は以下のとおり。・ADを有していた小児は、8.5%であった。・約10.2%の母親が、新しく改築/改装した家(NRDH)に、胎生期(妊娠中または妊娠前1年)に住んでいた。また9.5%が同じく胎生期に家具を新調(NHF)していた。・小児にADが多かったのは、母親が胎生期にNRDHに住んでいる(AOR:1.41、95%CI:1.03~1.93)、現在住居に室内カビがある(2.00、1.48~2.70)、両親祖父母がAD(3.85、3.05~4.87)、小児自身に食物アレルギーがある(3.40、2.63~4.40)、小児が都市に住んでいる(1.52、1.18~1.96)であった。・ADとNRDH、NHFおよび室内のカビとの関連は、両親祖父母にAD歴がない場合のみ、有意であった。・両親祖父母のAD歴とNRDHには、交互作用効果が認められた(p<0.05)。

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BMJは権威ある“一流”雑誌?〜大規模試験の意義を考える〜(解説:西垣 和彦 氏)-553

BMJは? 『ありがとう、センテンス・スプリング…』。今年前半にはやった“ゲスの極み”と化した大衆雑誌に掲載された記事であるが、これが信じられないほど売れた。この記事からは、何ら自身の生産性を上げるものでも、何ら知識欲を満たすものでもなく、単に時間を浪費させるだけのものに過ぎないことは明白であるが、現実として、とにもかくにもこの雑誌の当該号は売れたのである。以後、ゴシップネタはエスカレートし、ついに他誌でも都知事を辞任まで追い込み、“sekoi”という英単語を創作するまでに至った。この偏狭な営利主義とも思えることが、残念なことではあるが医学雑誌にも持ち込まれているのが現実である。 ご存じのように、BMJ誌はイギリス医師会雑誌であり、British Medical Associationが監修し、BMJ Groupから発行されている。国際的にも権威が高く、いわゆる“一流”雑誌といわれ、世界五大医学雑誌の1つなどとも呼ばれている。BMJ誌の特徴として、根拠に基づく医療(EBM)を推進していることが挙げられるが、多分に論説は英国医師会の立場を堅持した“sekoi”ものであり、アンチ製薬会社の立場から新規薬剤に対する非情なまでの批判論説が多いといわざるを得ない。 そうかと思うと、年末特集号ではイギリス的な皮肉を込めたジョーク論文を何本か載せるのが恒例であり、小学生レベルの日常ネタや夫婦生活に関するどうでも良い“ゲス”なネタなど、まさに完全に“娯楽化した雑誌”といわざるを得ない号もある。 本論文は、心房細動患者に対するダビガトランとワルファリンの無作為ランダム化比較試験を用いて新たなリスクモデルを開発し、当該薬剤の重大リスクの発生を正確に補足できるかを評価したものであるが、この論文に賛同できた人がどれだけいるのかまったく疑わしく、“またBMJか…”といったため息しか聞こえてこない。その理由を、大規模試験の意義を含めて概説する。本論文のポイントは? ダビガトランのような直接的な経口抗凝固薬(DOAC)は、ワルファリンと比較して心房細動患者の死亡率を低下させ、ワルファリンと少なくとも遜色なく安全であることが、これまでの大規模試験で示されてきた。 本論文では、試験データによって予測されるリスクが、医療で実際に観察されるリスクと類似しているかどうかを比較検討するために、市販ヘルスケア請求データベースより、心房細動のためダビガトランまたはワルファリンを処方された2万1,934例の患者の血栓症と出血のベースライン・リスクを算出した。その結果、血栓塞栓症推定発症率は、予測モデルとRCTでほぼ同等であったが、大出血の推定発症率は大規模試験では過小評価されていた。HAS-BLEDスコア高値のワルファリン服用例ではとくに顕著であり、過小評価分は最大4.0/100人年にも達するものであったと結論している。大規模試験の意義と読み方 医師個人で経験できる症例数は限られている。したがって、治療薬や治療法を選択する際には、多くの症例が組み込まれた大規模試験から得られた結果を参考にする。つまり、大規模試験の結果あるいは解釈は、医師個人で行われたわずかな症例から得られたものより尊重されるべきである。これが、根拠に基づく医療(EBM)であり、この点で大規模試験には大きな意義があるが、大規模試験のピットフォールをよく理解していないと、この論文のように誤認することがある。 大規模試験のピットフォールで最も気をつけたいことは、対象は、数々の除外項目で除かれた対象群であるということである。除外項目は、年齢制限だけでなく、基礎疾患や合併症、他の治療の有無など細かく設定されており、これら多くの除外項目で除かれたほんのわずかな、非常に特殊な症例から得られた結果であるという認識が必要となる。 したがって、大規模試験に登録された症例は、実臨床での患者母集団とまったく異なる“特別な母集団”であり、適応条件を満たす最も軽症な患者で、除外項目に引っかからない最も純粋な症例群である。このことは暗黙の了解であるが、本論文が指摘している、“実際の出血と比較し、出血の頻度を過小評価している”との結論に関しては、14日以内の脳卒中または6ヵ月以内の重症脳卒中、出血リスク上昇、クレアチニンクリアランス<30mL/分、活動性肝疾患など出血性因子の高い患者を登録時から除外している以上、当然といえば当然の結論ではないだろうか。 ダビガトラン群、ワルファリン群ともに同じ除外条件で選抜された対象群であることから、実地臨床を行っている臨床医においては、大規模試験から得られた結果を評価したうえで、実臨床にどの程度反映できるものかを吟味することが当然求められる。結論として 最近のBMJ誌を読むたびに、何か商業主義に席巻された医学雑誌という残念な印象を拭い去ることはできず、誠に遺憾である。衝撃的な、扇動的な巻頭表紙の挿絵程度ならまだしも、その本文までもとなるならば、没落の一途は否めないであろう。権威ある“一流”雑誌への復活を願うばかりである。

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慢性リンパ性白血病〔CLL : chronic lymphocytic leukemia〕

1 疾患概要■ 定義慢性の小型成熟Bリンパ球の単クローン性の腫瘍であり、末梢血、骨髄、リンパ節で増殖する。リンパ節外の病変はなく、末梢血では5,000/mm3以上の腫瘍細胞が観察される。通常腫瘍細胞はCD5とCD23との両者を発現する。■ 疫学欧米の成人の白血病のなかでは最も多く、10万人当たり3.9人の発症率であるが、東アジアでは少なく、日本では、およそ0.48人とする報告がある1)。欧米のアジア系移民でも少ないので、遺伝的素因が考えられている。■ 病因他の白血病、リンパ性腫瘍と同様、ゲノム異常によると考えられている。第13番染色体のmiR 15、16の欠失によるBCL2の活性化を始めとして、NOTCH1、MYD88、TP53、ATM、SF3B1などの遺伝子異常が複数関与している2)。■ 症状多くはまったく無症状であり、血液検査による異常値で発見される。一部、リンパ節腫脹、肝脾腫、体重減少、発熱、全身倦怠感、貧血症状を呈する例や繰り返す感染症から発見される例がある。また頻度は低いが、自己免疫性溶血性貧血、赤芽球癆、自己免疫性血小板減少症、無顆粒球症、低γグロブリン血症を合併することが知られている。■ 分類近縁疾患に、単クローン性B細胞リンパ球増加症(monoclonal B-cell lymphocytosis: MBL)と小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma : SLL)がある。MBLは、健常人に認められるモノクローナルなBリンパ球の増殖である。臨床症状はなく、Bリンパ球は、CLLと同様の細胞表面抗原を呈していることが多いが、5,000/μL以下であるのでCLLの定義は満たさない。CLLへ進行することが知られている。SLLは、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の腫瘍と考えられ病期や治療は低悪性度B細胞リンパ腫として扱われる。■ 予後一般に緩徐な経過をたどることが知られているが、初回診断時からの生存期間は症例により2~20年と大きなばらつきがあり、生存期間中央値は約10年といわれている。そのため治療開始時期の決断が困難であり、病勢を評価し、予後を予測するための臨床病期分類がいくつか報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準末梢血中のリンパ球絶対数が3ヵ月以上にわたって、継続的に5,000/mm3を超えている。末梢血塗抹標本では、細胞質をほとんど持たない成熟小型リンパ球が一様に増加しており、フローサイトメトリーで、Bリンパ球がモノクローナルに増殖している。細胞表面抗原は、Tリンパ球抗原であるCD5およびBリンパ球抗原であるCD19、CD20、CD23が発現している。細胞表面免疫グロブリンやCD20の発現レベルは、正常Bリンパ球に比べて低いことが多い。免疫グロブリン軽鎖はκ型またはλ型のいずれかのみを発現している。■ 鑑別診断リンパ球数が増加する他の疾患との鑑別が問題となる。結核、梅毒、伝染性単核球症、百日咳、トキソプラズマ症などの感染症では、リンパ球増多を呈するが、いずれも反応性であり数週間で正常化する。CLL以外のリンパ増殖性疾患との鑑別も重要であり、hairy cell leukemia、prolymphocytic leukemia、large granular cell lymphocyte leukemia、mantle cell lymphomaを代表とする、リンパ腫の白血化などがある。■ 病期分類現在広く使われている病期分類には2種類ある。Rai分類(表1)は米国で、Binet分類(表2)は欧州で用いられており、リンパ節病変数および貧血、血小板減少の有無により分類する。画像を拡大する画像を拡大する■ その他の予後予測因子RaiおよびBinet分類により予後分類を行うが、low risk群に分類された症例のなかでも急速に進行する例がある。そのため、分子生物学的研究により、新たな予後因子も近年では提唱されている。(1)短いLymphocyte doubling time(LDT)(2)高い血清マーカー(LDH、β2 microglobulin、β2M)(3)免疫グロブリン重鎖変異(IgVH mutation)がない(4)CD38陽性(5)ZAP70(Zeta chain associated protein 70)が発現している(6)細胞遺伝学的検査での11q欠失・17p欠失が予後不良とされる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療開始時期Rai分類low risk群およびBinet分類A群の症例では、診断早期の治療が推奨されない。Rai分類intermediate・high risk群およびBinet分類B・C群の症例で治療開始が勧められる。ただし、intermediate risk群・B群においては、症状の出現まで経過観察が一般的である。一方で、リヒター症候群と呼ばれるトランスフォームを起こし、急速にリンパ節腫大を生じ、予後不良となることがある。無治療経過観察中に一転して、治療が無効となるので、患者説明の際に留意する。■ 治療薬剤現状ではCLLに対する標準治療は確立されていない。治療の選択肢が広がり、アルキル化剤に加えプリンアナログ、モノクローナル抗体が登場している。1)アルキル化剤クロラムブチルは、わが国では本疾患には未承認である。単剤治療について奏効率は40~60%で、完全寛解(complete response:CR)は4~10%であった3)。わが国では、シクロホスファミド(商品名: エンドキサン)が使用される。差違はほとんどないとされており、伝統的に併用療法中で用いられることが多いが、アントラサイクリンを加えるメリットはない4)。2)プリンアナログフルダラビンは(同: フルダラ)、わが国では静注薬に加え経口薬も承認されており、同等の効果が知られている。北米のintergroup studyでの、未治療CLLに対するフルダラビン単剤治療の第III相比較試験の結果5)では、奏効率60~70%であり、CR率も20~40%と良好なものであった。奏効率は有意差をもってクロラムブチルに優っており、無増悪生存期間(PFS)も有意に延長していた。しかし、クロスオーバーデザインであったためか、生存率の有意差は得られていない。3)モノクローナル抗体CD20に対する抗体のリツキシマブ(同: リツキサン)は、CLLに対しては単剤では奏効率10~15%と結果は乏しい6)。毒性として輸注関連反応が強く出現する可能性がある。オファツムマブ(同: アーゼラ)は、再発・難治性の場合に使用される。リツキシマブに比べてCD20エピトープに高い親和性で結合することと、結合後の解離速度が遅いことが特徴である7)。CD52に対するモノクローナル抗体であるアレムツズマブ(同:マブキャンパス)も再発・難治性の場合に用いられる。クロラムブチルとの第III相比較試験が行われ、奏効率83%、CR率24%でより高かったが、T細胞も抑制するためサイトメガロウイルスを始めとするウイルス感染の管理が重要である8)。4)併用療法フルダラビンとシクロホスファミドとの併用(FC療法)は、奏効率80~90%、CR率30~40%とフルダラビン単剤と比較して有効性が高い。PFSも有意に延長していたが、全生存期間(OS)については、観察期間が短い影響か、有意差は認められていない9)。フルダラビンとリツキシマブの併用(FR療法)も同様にフルダラビン単剤と比較して優れていることが示されている。リツキシマブとフルダラビンの同時投与法と連続的投与法の比較では、前者で奏効率90%(CR率47%)、後者で77%(CR率28%)であり、同時投与法が有意に優れていた10)。さらにフルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブの3剤併用(FCR療法)は、FC療法と比較され、CR率、OSで有意に優れていた11)。5)新規抗がん剤ベンダムスチン(同:トレアキシン)は、アルキル化剤とプリンアナログの両者の作用特徴を有する静注薬である。悪性リンパ腫に対する有効性が報告されているが、CLLに対しても第III相比較試験にてクロラムブチルよりも優れた有効性を示している12)。わが国でも、再発例に対して承認申請され認可待ちである(平成28年5月末現在)。BTKシグナルの抑制薬であるイブルチニブ(同:インブルビカ)が欧米だけではなく、わが国でも再発・難治例に対して承認され、米国ではPI3Kδを抑える idelalisibが認可されている。いずれも経口薬である。イブルチニブ13)は、オファツムマブに対して第III相比較試験で有効性のため中途終了、 idelalisibはリツキシマブ単独に比べて14)リツキシマブとの併用療法でPFSで優っていた。さらに高齢化などのために全身状態の悪い症例でchlorambucilとの併用で、あらたなCD20抗体であるobinutuzumab(GA101)は、リツキシマブよりPFSで有意に優っており15)、米国で承認されている。6)造血幹細胞移植若年者を主体に治癒を目指して同種造血幹細胞移植が行われ、40~50%の長期生存が報告されている。リツキシマブ、フルダラビン、ベンダムスチンを用いた骨髄非破壊的前処置を用いた移植成績は、第II相比較試験の結果ではきわめて良好であった16)。■ 合併症治療CLL患者では、正常リンパ球が低下しており、免疫不全状態にあることが多く、感染症の合併には常に注意を払う必要がある。P. jiroveciによるニューモシスチス肺炎、CMV感染、帯状疱疹を発症する危険性が高く、ST合剤や抗ウイルス薬の予防内服を検討する。4 今後の展望わが国でも米国発の経口薬である新薬が、使用できるように期待したい。5 主たる診療科血液内科、血液腫瘍科、血液・腫瘍科、造血器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)アメリカ国立がん研究所のCLLの総合情報のページ(医療従事者向けの情報)1)Tamura K, et al. Eur J Haematol.2001;67:152-157.2)Puente XS, et al. Nature.2011;475:101-105.3)Dighiero G, et al. N Engl J Med.1998;338:1506-1514.4)CLL Trialists' Collaborative Group. J Natl Cancer Inst.1999;91:861-868.5)Rai KR, et al. N Engl J Med.2000;343:1750-1757.6)O'Brien SM, et al. J Clin Oncol.2001;19:2165-2170.7)Cheson BD. J Clin Oncol.2010;28:3525-3530.8)Lemery SJ, et al. Clin Cancer Res.2010;16:4331-4338.9)Flinn IW, et al. J Clin Oncol.2007;25:793-798.10)Byrd JC, et al. Blood.2005;105:49-53.11)Tam CS, et al. Blood.2008;112:975-980.12)Hillmen P, et al. J Clin Oncol.2007;25:5616-5623.13)Byrd JC, et al. N Engl J Med.2013;369:32-42.14)Furman RR, et al. N Engl J Med.2014;370:997-1007.15)Goede V, et al. N Engl J Med.2014;370:1101-1110.16)Kahr WH, et al. Blood.2013;122:3349-3358.公開履歴初回2014年07月01日更新2016年06月21日

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中枢神経系作用薬による高齢者入院リスクは

 認知障害に対する中枢神経系(CNS)作用薬の効果を評価したほとんどの研究は、個々の薬剤使用に焦点を当ててきた。他のCNS作用薬を追加した際の認知機能への影響は、よくわかっていない。南オーストラリア大学のLisa M Kalisch Ellett氏らは、CNS作用薬の併用薬剤数および標準用量(1日用量)の増加と高齢患者における錯乱、せん妄、認知症による入院リスクとの関連を検討した。Journal of the American Medical Directors Association誌2016年6月1日号の報告。 2011年7月~2012年6月までのhealth claimsデータを用いた、後ろ向きコホート研究。対象は、試験開始前に少なくとも年1回はCNS作用薬を使用した、65歳以上のオーストラリア住民7万4,321例。錯乱、せん妄、認知症、緩和ケアを受けるための入院歴のある患者は除外された。主要アウトカムは、錯乱、せん妄、認知症による入院とした。 主な結果は以下のとおり。・1年間の研究期間中、401例が錯乱、せん妄、認知症のために入院した。・調整後の分析による入院リスクは、CNS作用薬未使用患者と比較し、2剤使用していた患者では、2.4倍(発生率比[IRR]:2.39、95%CI:1.79~3.19、p<0.001)、5剤以上使用していた患者で19倍以上(IRR:19.35、95%CI:11.10~33.72、p<0.001)であった。・同様に、入院リスクは、未使用患者と比較し、標準1日用量が1.0~1.9(IRR:2.64、95%CI:1.99~3.50、p<0.001)および2.0~2.9(IRR:3.43、95%CI:2.07~5.69、p<0.001)で有意に増加していた。 著者らは「CNS作用薬の多剤併用または高用量での使用は、錯乱、せん妄、認知症による入院リスク増加と関連していた。専門医は、錯乱やせん妄を呈した患者におけるCNS作用薬の影響を考慮し、治療負担を軽減しうる治療戦略を検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース せん妄治療への抗精神病薬投与のメタ解析:藤田保健衛生大 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 注意が必要、高齢者への抗コリン作用

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ESS留置後のDAPT、6ヵ月と12ヵ月の比較

 薬剤溶出ステント(DES)留置後は、ステント血栓症を防ぐため、12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が推奨されている。近年の無作為化試験では、新世代のDES留置後のDAPTの3~6ヵ月投与は12ヵ月投与と同等の成績が得られることが報告されており、また新世代DESの死亡、心筋梗塞、ステント血栓症のリスクがベアメタルステントや第1世代のDESと比べて低いことも示唆されている。しかし、新世代のエベロリムス溶出ステント留置後のDAPTの最適な投与期間について、適切に計画、実施された試験は少ない。 今回、韓国の20施設で、エベロリムス溶出ステント(商品名:Xience Prime)留置後のDAPT 6ヵ月投与を12ヵ月投与と比較する医師主導型の前向き無作為化試験が実施され、JACC Cardiovascular Interventions誌オンライン版2016年5月11日号に発表された。主要評価項目に有意差なし 本試験では、2010年10月~2014年7月の間に、エベロリムス溶出ステントを留置した1,400例(平均ステント長45mm超)のうち、699例をDAPT(アスピリン100mg/日とクロピドグレル75mg/日)6ヵ月投与群に、701例を12ヵ月投与群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は1年後の心臓関連死亡、心筋梗塞、脳卒中、およびTIMI基準による大出血の複合とし、intention-to-treatを用いて解析を行った。 主要評価項目の発生は、6ヵ月群で15例(2.2%)、12ヵ月群で14例(2.1%)であった(HR:1.07、p=0.854)。definiteもしくはprobableのステント血栓症は6ヵ月群で2例(0.3%)、12ヵ月群でも2例(0.3%)発症した(HR:1.00、p=0.999)。686例の急性冠動脈症候群の患者(両群とも2.4%、HR:1.00、p=0.994)と糖尿病を有する506例(6ヵ月群 2.2% vs. 12ヵ月群 3.3%、HR:0.64、p=0.428)の間で、主要評価項目の有意な差は認められなかった。 2014年にThe New England Journal of Medicine誌に発表された大規模無作為化試験であるDAPT試験では、新世代のDES後でも12ヵ月を超えるDAPTの有用性が示されており、DAPTの最適な使用期間については答えが出ていない。報告者らは、今後、大規模な無作為化試験での1年超の追跡が必要であると結論付けている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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各種非定型抗精神病薬、プロラクチンへの影響を比較

 非定型抗精神病薬がマクロプロラクチンとプロラクチンの血清レベルを上昇させるか、またマクロプロラクチンレベルは非定型抗精神病薬の種類により異なるのかを、韓国・仁済大学のYoung-Min Park氏らが検討を行った。Psychiatry research誌2016年5月30日号の報告。 6病院より、連続登録方式で合計245例が抽出された。血清プロラクチンおよびマクロプロラクチンレベルは、抗精神病薬単独療法の単一ポイントで測定した。 主な結果は以下のとおり。・マクロプロラクチンレベルを含めた平均総血清プロラクチン値は、アリピプラゾール11.91ng/mL、ブロナンセリン20.73 ng/mL、オランザピン16.41 ng/mL、パリペリドン50.83 ng/mL、クエチアピン12.84 ng/mL、リスペリドン59.1 ng/mLであった。・マクロプロラクチンは、アリピプラゾール1.71ng/mL、ブロナンセリン3.86 ng/mL、オランザピン3.73 ng/mL、パリペリドン7.28 ng/mL、クエチアピン2.77 ng/mL、リスペリドン8.0 ng/mLであった。・パリペリドンおよびリスペリドンの総プロラクチン、マクロプロラクチンレベルは、他の抗精神病薬の中央値と比較し、有意に高かった(p<0.01)。・プロラクチンとマクロプロラクチンの血清レベルとの間に強い正の相関が認められた。・性機能不全は、全体の35.5%(87/245例)で認められた。・しかし、総プロラクチンレベルは、女性化乳房を除く性機能不全の有無との間に有意な差はなかった。関連医療ニュース リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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