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日本人統合失調症患者におけるQOLと臨床的要因の関係

 徳島・城南病院のYoshimune Ishii氏らは、統合失調症入院患者におけるQOLと臨床的要因の関係を明らかにするため検討を行った。その結果、抑うつ症状の治療が統合失調症入院患者の主観的QOLの改善に影響を及ぼす可能性が示唆された。The Journal of Medical Investigation誌2022年1.2号の報告。 対象は、統合失調症入院患者50例(平均年齢:56.48±11.93歳)。主観的QOLの評価には、統合失調症QOL尺度日本語版(JSQLS)および主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版-日本語版(SWNS-J)を用い、認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)-日本語版を用いた。うつ症状の重症度、精神症状、薬物誘発性錐体外路症状の評価には、それぞれ、カルガリー統合失調症用抑うつ症状評価尺度日本語版(JCDSS)、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いた。JSQLSおよびSWNS-Jに影響を及ぼす因子を特定するため、段階的回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・うつ症状の重症度を評価するJCDSSは、主観的QOLを評価するJSQLSの2つのスケールの予測因子であり、同じくSWNS-Jの総スコアと2つのサブスケールの予測因子でもあった。・他の臨床的因子では、JSQLSおよびSWNS-Jとの関連は認められなかった。

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オミクロン株優勢下、小児~青少年でも追加接種が必要か/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株が優勢な時期に、年齢5~15歳の小児・青少年では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後の推定有効率は高くなく(約60%)、その後2ヵ月後までに急速な低下が認められたが、12~15歳では3回目の追加接種により上昇に転じたことが、米国・疾病予防管理センター(CDC)のKatherine E. Fleming-Dutra氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年5月13日号で報告された。米国の検査陰性デザインの症例対照研究 研究グループは、オミクロン変異株優勢期の小児および青少年における症候性SARS-CoV-2感染症とBNT162b2ワクチン接種との関連を評価し、当ワクチンの有効率を推定する目的で、検査陰性者を対照とする症例対照研究を行った(米国・CDCの助成を受けた)。 解析には、Increasing Community Access to Testing(ICATT)プラットホームのデータが用いられた。ICATTは米国保健福祉省(HHS)のプログラムで、ドライブスルー形式のSARS-CoV-2検査を全国的に展開する4つの商業的な薬局チェーンが参加しており、今回は、このうち1つのチェーンのデータについて解析が行われた。 対象は、2021年12月26日~2022年2月21日の期間に、SARS-CoV-2の核酸増幅検査(NAAT)を受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)様疾患を呈する小児(5~11歳)および青少年(12~15歳)であった。6,897ヵ所の検査所(ノースダコタ州を除く49州とワシントンDC、プエルトリコ)で行われた12万1,952件(5~11歳:7万4,208件、12~15歳:4万7,744件)の検査が解析に含まれた。 5~11歳では、SARS-CoV-2検査の2週間以上前にBNT162b2ワクチンの2回目接種を受けた集団と未接種の集団、12~15歳(追加接種が推奨された)では、検査の2週間以上前に2回または3回の接種を受けた集団と未接種の集団の比較が行われた。 主要アウトカムは症候性SARS-CoV-2感染症(COVID-19様疾患を呈し、NAATでSARS-CoV-2陽性の場合と定義)とされた。ワクチン接種と症候性SARS-CoV-2感染症の関連の補正後オッズ比(OR)を用いて、推定ワクチン有効率([1-OR]×100%)が算出された。5~11歳で追加接種が必要となる可能性も 年齢5~11歳の7万4,208件のSARS-CoV-2検査のうち、3万999件が陽性(症例)で、4万3,209件は陰性(対照)であった。また、12~15歳の4万7,744件の検査では、2万2,273件が陽性(症例)、2万5,471件は陰性(対照)だった。全体では、症例が5万3,272人(43.7%)、対照は6万8,680人(56.3%)であった。 全体で、検査を受けた集団の年齢中央値は10歳(IQR:7~13)、6万1,189人(50.2%)が女児で、7万5,758人(70.1%)は白人、2万9,034人(25.7%)はヒスパニック系/中南米系であった。5~11歳の7万4,208件の検査のうち、5万8,430件(78.7%)はワクチン未接種者のもので、1万5,778件(21.3%)は2回接種者であった。12~15歳の4万7,744件では、それぞれ2万4,767件(51.9%)および2万2,072件(46.2%)で、残りの905件(1.9%)は3回目の追加接種を受けていた。 2回目接種後2~4週の時点において、5~11歳では、補正後ORが0.40(95%信頼区間[CI]:0.35~0.45)で、推定有効率は60.1%(95%CI:54.7~64.8)であり、12~15歳では、補正ORが0.40(95%CI:0.29~0.56)、推定有効率は59.5%(95%CI:44.3~70.6)と、有効率は高い値ではなかった。 また、2回目接種後2ヵ月の時点では、5~11歳の補正後ORは0.71(95%CI:0.67~0.76)、推定有効率は28.9%(95%CI:24.5~33.1)で、12~15歳はそれぞれ0.83(95% CI:0.76~0.92)および16.6%(95%CI:8.1~24.3)であり、いずれの年齢層でも有効率は急速に低下していた。 2回目接種後1ヵ月までは、5~11歳と12~15歳で推定有効率に有意差はなかったが、2ヵ月後には5~11歳が12~15歳よりも推定有効率が高かった(0ヵ月後p=0.99、1ヵ月後p=0.40、2ヵ月後p=0.01、0~2ヵ月後p=0.06)。 12~15歳のうち追加接種を受けた集団では、3回目接種後2~6.5週の補正後ORは0.29(95%CI:0.24~0.35)、推定有効率は71.1%(95%CI:65.5~75.7)であり、推定有効率の上昇が認められた。 著者は、「これらの知見は、オミクロン変異株が優勢な時期に成人で観察されたパターンと類似する」とし、「成人におけるmRNAワクチン2回接種後や追加接種後の有効率の漸減パターンを考慮すると、12~15歳では追加接種による感染防御の期間の監視が重要であり、5~11歳でも、オミクロン変異株に対する感染防御効果を最適化するために、追加接種が必要となる可能性がある」と指摘している。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップー関連研究レビュー 学術誌、論文、著者の影響力の指標 その3【「実践的」臨床研究入門】第20回

かつては、出版した論文(掲載誌)のインパクトファクター(Impact factor:IF)の総計で、研究者個人の研究業績評価がなされている向きがあったかもしれません(もしかしたら、一部では今でも?)。繰り返しになりますが、IFは学術誌の影響力を測るひとつのものさしであり、個々の論文の影響力や、ましてや論文著者の研究業績を評価する指標ではありません(連載第18回、第19回参照)。今回は、研究者(論文著者)の影響力や業績評価の指標について解説します。研究者(論文著者)の影響力の指標 h-index研究者の影響力や業績評価もまた、学術誌や個々の論文の影響力の指標と同じく、被引用回数に基づく指標が用いられています。研究者が出版した論文の被引用回数が多ければ多いほど、それだけその研究者の論文が注目されているということであり、ひいては質の高い業績がある、と評価されます。研究者個人単位での業績評価には近年、h-indexという指標が多く用いられています。h-indexは、「その研究者が出版した論文のうち、被引用回数がh回以上である論文がh本以上であることを満たす最大値h」と定義されています。「ちょっと何言ってるかわからない」ですかね。もし、ある研究者のh-indexが20であったとすると、その研究者は20回以上引用されている論文が20本以上ある、ということです。このように、h-indexは研究者が出版した論文の「被引用回数」と「論文数」という、その研究者の影響力と生産性を同時に示すことができる指標です。h-indexが高いほど、その研究分野への貢献度が高いと評価されます。具体的な-indexの算出方法は下記のとおりになります。1.その研究者が出版した論文を被引用数が多い順(降順)にすべて並べる2.順位の数値が被引用数より高くなった手前の順位の数値が、その研究者のh-indexh-indexは、実際には上記の手順で手計算で算出するのではなく、ScopusやGoogle Scholarなどの検索データベースで簡単に調べることができます。ScopusとGoogle Scholarどちらで調べれば良いかについては、筆者はScopusをおすすめします。その理由は下記のとおりです。ScopusはMEDLINE(PubMed)を100%、EMBASE収録誌のほとんどを網羅しており(連載第17回参照)、これらの電子データベースに収載された論文を1本でも出版したすべての研究者の情報が公開されています。一方、Google Scholarでは、アカウントを登録し自分のプロフィールの公開を許可している研究者の情報しか閲覧できません。また、Google Scholarが収録している文献情報は、学会抄録やMEDLINEやEMBASEに収載されていない(低レベルの)学術誌も含まれており、Scopusよりh-indexが見かけ上高く出る傾向があります。ほとんどの研究教育施設ではScopusを機関契約していると思いますが、h-indexなどの研究者プロフィールは、無料で利用可能なScopus Previewでも調べられます(一部機能制限あり)。著者検索ページにアクセスし、著者の姓、名、および所属機関を英語入力することで、その研究者情報を閲覧できます。それでは、前回もとりあげたコクラン・フル・レビュー論文著者のh-indexをScopusで調べてみましょう。筆頭著者のDeirdre Hahn氏、責任著者のDenis Fouque氏のh-indexを上記の手順で検索すると、連載第20回執筆時点(2022年5月)では、それぞれ10と64と表示されます。おそらくHahn氏は比較的若手の、Fouque氏はシニアの大御所研究者であることが推測されます。このようにh-indexもIFと同様に研究歴の浅い若手には不利な数値となります。そのため直近5年間のh5-indexという指標が使われることもあります。また、これもIFと同じですが、異なる研究分野間での研究者のh-indexの比較も難しいとされています。関連研究レビューの際に、その論文著者の影響力評価のひとつの指標としてh-indexも参考にしてみてください。h-indexはメンター探しのツールとしても有用かもしれません。1)Hirsch JE. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005;102:16569-72. doi: 10.1073/pnas.0507655102.2)Hahn D, et al. Cochrane Database Syst Rev 2020:CD001892.doi: 10.1002/14651858.CD001892.pub4.

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英語で「ゼーゼーする」は?【1分★医療英語】第30回

第30回 英語で「ゼーゼーする」は?Hi doc, he started wheezing last night and did not sleep well.(先生こんにちは、彼が昨夜からゼーゼーしていてよく眠れなかったみたいです)Has he had any wheezing episodes in the past?(過去に喘鳴のエピソードはありますか?)《例文1》I do not hear wheezing now, but he might benefit from an inhaler.(今喘鳴はないようですが、吸入器が有効かもしれませんね)《例文2》Is there an over-the-counter medicine for wheezing?(ゼーゼーに効く市販の薬はないのでしょうか?)《解説》一般小児領域では、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音を主訴に来院される方が多くいらっしゃいます。その表現にぴったり当てはまる言葉が“wheezing”です。英語での定義は“Wheezing is a high-pitched whistling sound during breathing.”(呼吸時の甲高い音)と記載されています。非医療者の方は“wheezing”を日常会話でよく使用するのですが、医療用語としても成立するため、身体所見も“No rales/stridor/wheezing/rhonchi”(ラ音、吸気性喘鳴、喘鳴、いびき音なし)のように記載します。原型は“wheeze”(苦しそうに息をする[動詞]・ゼーゼーいう音[名詞])という単語ですが、ing形で使用されることがほとんどという印象です。余談ですが、《例文2》に出てきた“over-the-counter drug/medicine”は、日本と同じで「処方箋なしで購入できる薬(OTC)」という意味になります。海外でも、一般の方・医療者共によく使用する表現ですので、こちらも併せて覚えておくと便利でしょう。“wheezing”は非常に簡単で使いやすい表現ですので、喘息や心不全等の患者さんを診察する際にぜひ使ってみてください。講師紹介

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第114回 英国のサル痘患者7人の経過や抗ウイルス薬の効果の兆候

サル痘は動物を出どころとするヒト感染症で、天然痘ウイルスと同じ類のオルソポックスウイルスの一種によって生じます。1970年に中央アフリカで初めて見つかり、世界で最も貧しく、見放された地域でこれまで流行していました1)。しかしここにきていまや高所得国を含む少なくとも20ヵ国でいつにないサル痘感染の増加が認められています2)。サル痘の症状は発熱・発疹・リンパ節の腫れを特徴とし、悪くすると間質性肺炎・脳炎・視力を損ないうる角膜炎・細菌二次感染などを合併する恐れがあります。サル痘による死亡率は症例の見立ての偏りの影響が大きく、報告によってかなり異なります。より強毒らしい一派のウイルスが広まるコンゴ盆地でのサル痘死亡率はおよそ1~10%と報告されています3,4)。一方、ナイジェリアで最近流行した西アフリカのウイルス一派の死亡率はおおむね低くておよそ3%未満です4,5)。これまでのサル痘での死亡例のほとんどは幼い子やHIV感染者です。サル痘のヒトからヒトへの感染はよく知られていますが、どう広がっていくかはよく分かっていません。これまでの報告一揃いによると感染者と接触した家族への伝播率はおよそ8%です。サル痘ウイルス血症や皮膚からのウイルス排出の流行に寄与する臨床的な意義はいまだ不確かです。英国では2018年以降に4人が旅行絡みのサル痘に感染し、それら4人から3人への感染の伝播が認められています1)。感染が伝播した3人のうち1人は医療従事者で、院内でサル痘ウイルスに感染しました。他の2人は感染者の子供と母親です。二次感染も含むのべ7人のそれら英国感染者のうち最初の3人には抗ウイルス薬・brincidofovir(ブリンシドフォビル)、別の1人(母親)にはSIGA Technologies社の抗ウイルス薬tecovirimat(テコビリマット;製品名 TPOXX)が経口投与されました。brincidofovirはどうやら肝毒性があり、投与された3人全員が肝酵素上昇によりその投与を中止しています。一方、合併症予防と入院期間の短縮を目指してtecovirimatが2週間投与された1人は有害事象を被ることなく他の6人に比べて早く退院できました。またウイルス排出期間も短くて済んでいました。7人のうち1人は退院から6週後に軽い再発を経験しています。上気道からのウイルス排出は皮膚病変解消後も長く続きうるらしく、3人の患者の上気道のサル痘ウイルスDNA検出は少なくとも3週間認められています。5人はウイルス検出(PCR検査陽性)が長く続いたため隔離を3週間超(最長39日間)続けました。他のヒトへの感染の伝播しやすさのデータは不十分で今後調べる必要があります。また、サル痘への抗ウイルス薬投与の試験が急務です2)。サル痘がまん延する中央アフリカ共和国ではすでにtecovirimatの試験が進行中です6)。その試験ではサル痘入院患者に同剤を広く提供し、将来の同剤使用や臨床開発に役立つ効果や安全性の情報を揃えることを目指しています。SIGA社は同試験でのtecovirimat一通り投与最大500回分を無償で提供することを去年7月に約束しています7)。その取り組みが功を奏し、やがては同剤が最も必要とされる人に使われて重宝されるようになることを中央アフリカ共和国の試験代表者Emmanuel Nakoune氏等は望んでいます8)。参考1)Adler H,et al. Lancet Infect Dis. 2022 May 24:S1473-3099.00228-6. [Epub ahead of print]2)Disease experts call on WHO, governments for more action on monkeypox / Reuters3)Jezek Z,et al. Bull World Health Organ. 1988; 66: 459-464.4)Beer EM, Rao VB. PLoS Negl Trop Dis. 2019; 13.e0007791. 5)Yinka-Ogunleye A,et al. Lancet Infect Dis. 2019; 19: 872-879. 6)Expanded access protocol for the use of tecovirimat for the treatment of monkeypox infection. ISRCTN433079477)SIGA Announces Collaboration with Oxford University to Support Expanded Access Protocol for Use of TPOXX? (Tecovirimat) To Treat Monkeypox in Central African Republic / GlobeNewswire8)Nakoune E, Olliaro P. BMJ. 2022 May 25;377:o1321.

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アルツハイマー病の脆弱性と出生した季節との関係

 愛知・国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、高齢のアルツハイマー病(AD)患者において、患者の出生した季節がADの病理学的脆弱性に及ぼす影響を評価するためPETを用いた検討を行った。その結果、秋冬に出生した人は、春夏に出生した人と比較し、タウ蓄積が少ないことが明らかとなった。これは、秋冬に出生した人のタウ病理に対する脆弱性を示唆しており、寒い季節関連のリスク因子による周産期または出生後の脳損傷が影響している可能性があるという。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年4月26日号の報告。 Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiativeのデータセットを分析した。分析対象は、認知機能正常者234例、軽度認知障害患者(MCI)114例、AD患者38例であった。アミロイドβ(Aβ)/タウ蓄積の指標として18F-AV-45および18F-AV-1451の標準化取込値比(SUVR:standardized uptake value ratios)を用い、共分散分析により春夏の出生と秋冬の出生について群間比較を行った。さらに、出生した季節が18F-AV-45および/または18F-AV-1451のSUVRの予測因子であるかを検証し、その差を明らかにするため、多重線形回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・出生した季節の違いは、18F-AV-1451のSUVRの予測因子であった。・タウ蓄積に影響を及ぼす可能性がある年齢、性別、教育年数、ADAS-cogスコアで調整した後、認知機能正常者およびMCI/AD患者いずれにおいても、秋冬に出生した群は春夏に出生した群よりも、18F-AV-1451のSUVRが低値であった。

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第102回 サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討

<先週の動き>1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省1.サル痘にも有効な「天然痘ワクチン」、国内備蓄の活用を検討欧米を中心に感染報告が相次いでいる感染症「サル痘」について、有効とされる天然痘ワクチンに注目が集まっており、すでに各国が確保に動き出している。後藤 茂之厚生労働相は27日の閣議後の記者会見で、わが国では以前からテロ対策を目的に天然痘ワクチンの生産・備蓄が行われており、政府がワクチンの活用方法について検討を進めていると述べた。世界保健機関(WHO)や国立感染症研究所などによると、サル痘は主にアフリカで流行する感染症で、発疹や発熱などの症状が出る。天然痘ワクチンには、サル痘の発症予防効果が約85%あるとされ、英国では感染が疑われる人への接種が進められている。現時点で国内での感染例はなく、後藤氏は「人から人への感染はまれとされている。国内外の発生動向を監視しつつ、必要な対応を講じる」と話した。(参考)サル痘とは?(ケアネット 患者説明用スライド)天然痘ワクチン「国内で備蓄」 サル痘にも有効―後藤厚労相(時事通信)サル痘に有効とされる天然痘ワクチン 日本も備蓄、活用方法を検討(毎日新聞)2.来年度から「マイナ保険証」義務化、健康保険証は原則廃止/厚労省厚生労働省は25日の社会保障審議会にて、健康保険証を原則廃止とし、2023年度からすべての医療機関・調剤薬局でマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の導入を義務付けることを決定した。政府によれば、オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーの申し込みは約6割(約13万)の施設が済ませているが、運用を開始している施設は19%であり、マイナンバーカードによる資格確認の迅速な導入が求められている。2022年度上半期には導入の加速化が図られるよう集中的な取り組みを行い、未対応の施設は遅くとも9月頃までに顔認証付きカードリーダーの申し込みが必要とし、働きかけを行っていく。(参考)保険証「原則廃止」へ マイナンバーカードに一本化 政府検討(朝日新聞)マイナ保険証、病院に義務化 患者負担軽減も視野 厚労省検討(日経新聞)資料 オンライン資格確認等システムについて(厚労省)3.後期高齢者の所得確認にもマイナ活用、プラットフォーム創設政府が本年6月に取りまとめる経済財政運営方針「骨太の方針」に、75歳以上の後期高齢者の保険料の見直しについて、株式や配当などの金融所得も含めて勘案するため、マイナンバーカードを活用することが盛り込まれる。これによって、後期高齢者の医療費を支える現役世代の負担を軽減できる可能性がある。今後、金融資産がある高齢者の負担は増える見込みだ。このほか、「全国医療情報プラットフォーム」の創設を行い、電子カルテの診療情報やワクチン接種歴などを医療機関や自治体が共有し、患者が最適な治療を受けられるような情報基盤を作ることが決定した。災害時など、かかりつけ外の医療機関でも患者情報を確認し必要な治療の継続が可能になるほか、救急搬送された意識障害患者等の手術や薬剤情報等を確認することで、より適切で迅速な検査、診断、治療等の実施が可能となる。なお医療機関・薬局への情報共有は、個別に同意を得る仕組みを構築した後に運用を開始するとされ、2023年5月が目途。(参考)75歳以上保険料決定に「マイナンバー」活用も ”骨太の方針”原案判明(FNNプライムオンライン)医療情報、デジタル化で共有 プラットフォーム創設 骨太方針に明記(産経新聞)全国の医療機関で診療情報(レセプト・電子カルテ)を共有する仕組み、社保審・医療保険部会でも細部了承(Gem Med)4.サイバー攻撃対策強化、職員向けセキュリティ研修が義務に/厚労省近年、病院への大規模なサイバー攻撃がわが国でも増加していることを踏まえ、厚労省は27日に医療機関でのサイバーセキュリティ対策の方針を明らかにした。平時の医療機関での情報共有基盤として、医療版のISAC(Information Sharing and Analysis Center)を立ち上げてサイバーセキュリティのリスクマネジメントを強化支援する仕組みを確立するほか、脆弱性が指摘されている機器のアップデートや、医療従事者へのセキュリティ対策研修の充実を図る。診療録管理体制加算を算定する400床以上の医療機関には、年1回程度以上の職員向け情報セキュリティ研修の実施が求められる。(参考)医療機関へのサイバー攻撃対策、「ISAC」設立へ 200床未満の施設に「お助け隊」活用促進(CB news)病院に相次ぐサイバー攻撃 遅れる医療の防衛、日経調査 大規模3病院に侵入 3分の2でパスワード漏れも(日経新聞)医療分野のサイバーセキュリティ対策について(厚労省)5.検査キット販売や看護師・薬剤師のタスクシェアなど、規制緩和を検討へ岸田内閣の諮問機関である規制改革推進会議は、27日、政府に答申を提出した。5つの重点分野のうち、医療・介護・感染症対策として、オンライン診療の拡充により、自宅で受診・健康管理から薬剤・医薬品受け取りまでを可能とする方策や、薬剤師による調剤業務の一部外部委託を可能とする検討のほか、薬局での抗原定性検査キット販売の完全解禁などを求めている。また今後、介護需要増加に伴い人手不足が見込まれる介護施設での人員配置基準の緩和や、薬剤師による看護業務のタスクシェアのほか、機械学習を行うプログラム医療機器(SaMD)のアップデート時の審査の省略・簡略化についても検討を求めている。(参考)オンライン診療拡充、抗原キット薬局販売…規制改革推進会議が答申取りまとめ(読売新聞)国承認コロナ検査キット ネットでなぜ買えない? 政府見直し議論へ(朝日新聞)医療改革、スピード不可欠 規制改革会議が答申 看護、薬剤師が分担/介護人員を変更(日経新聞)6.大麻取締法の改正について議論開始、医療ニーズへ対応/厚労省厚労省は、大麻の規制について検討する委員会を25日新たに立ち上げた。2021年6月に出された「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の取りまとめを踏まえ、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法改正に向けて、議論を開始する。米国やG7諸国で承認されている大麻から製造された難治性のてんかん治療薬の事例等を参考に、医療ニーズへの対応や適切な利用を推進するとともに、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加していることを鑑みて大麻使用罪を創設するなど、不適切な大麻利用・乱用に対しても対応していく。(参考)大麻の「使用罪」導入の方向で議論 厚労省の新たな小委員会がスタート(BuzzFeed)第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会大麻規制検討小委員会 資料

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食道がんに対するニボルマブ+イピリムマブとニボルマブ+化学療法が承認/小野薬品・BMS

 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2022年5月26日、ニボルマブとイピリムマブについて、根治切除不能な進行・再発の食道がんを対象とした併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。 また小野薬品は、ニボルマブについて、同適応症に対してニボルマブと化学療法との併用療法に係る一部変更承認も取得した。 今回の承認は、治療歴のない切除不能な進行性、再発または転移のある食道扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法を、化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相試験であるCheckMate-648試験の結果に基づいている。 同試験において、あらかじめ計画された中間解析で、ニボルマブによる上記2種類の併用療法が、化学療法と比較して、PD-L1発現率が1%以上の患者および全無作為化患者集団において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。本試験におけるニボルマブとイピリムマブの併用療法およびニボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている各薬剤のものと一貫していた。

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双極I型障害における抗うつ薬治療と躁転リスク

 双極性障害の治療において、症状転換は臨床的な問題になることが多い。実臨床では、双極性うつ病の治療に抗うつ薬が用いられることがあるが、そのベネフィットについては議論の余地が残っている。これまで双極性うつ病の躁転に焦点を当てた遺伝子研究はほとんど行われておらず、ゲノムワイド関連解析(GWAS)はなかった。台湾・Chang Gung Memorial HospitalのChih-Ken Chen氏らは、双極I型障害の躁転リスクに対するゲノム研究と抗うつ薬の影響について調査を行った。その結果、抗うつ薬治療とrs10262219は、複合的に双極性うつ病後の躁転リスクを増加させることを報告した。Journal of Personalized Medicine誌2022年4月11日号の報告。 対象は、抗うつ薬治療とアウトカムの完全なデータがあり、複数のうつ病エピソードを有する双極性障害患者1,004例。躁症状とうつ症状の臨床評価は、訓練を受けた精神科看護師および精神科医がSchedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(SCAN)の中国語版を用いて実施した。双極I型障害の診断はDSM-IV基準に従った。躁転は、急性うつ病エピソードの寛解から8週間以内に認められた躁病エピソードと定義した。対象患者の初回うつ病エピソード発症年齢は30.7±12.5歳であり、全患者の56%は女性であった。GWASは746例で実施し、その後255例の独立したグループで複製を行った。 主な結果は以下のとおり。・GWASにおいて、7番染色体上のrs10262219は、躁転リスクと最も強く関連する対立遺伝子であることが示唆されたが(p=0.000000221)、複製では有意性は認められなかった。・抗うつ薬治療は、躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:1.7、95%CI:1.3~2.2、p<0.001)。・ロジスティック回帰分析では、rs10262219のCC遺伝子型(オッズ比:3.0、95%CI:1.7~5.2)および抗うつ薬治療(オッズ比:2.3、95%CI:1.4~3.7)が、複合的な影響を伴う躁転リスクを有意に増加させた(オッズ比:5.9、95%CI:3.7~9.4)。

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膀胱がん摘除術後の生存・回復、ロボット支援 vs.開腹術/JAMA

 根治的膀胱摘除術を受けた転移のない膀胱がん患者において、体腔内尿路変向術(ICUD)を伴うロボット支援根治的膀胱摘除術(RARC)は開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し、術後90日間の生存および入院不要の院外療養日数を統計学的に有意に増加することが、英国・シェフィールド大学のJames W. F. Catto氏らによる医師主導型多施設共同第III相無作為化非盲検試験「iROC試験」の結果、示された。近年、RARCの実施頻度が増加しているが、ORCと比較して回復を改善するかどうかは不明であった。なお著者は、「今回示された両群の差については、臨床的意義があるかどうかまだ不確かである」と述べている。JAMA誌オンライン版2022年5月15日号掲載の報告。転移のない膀胱がん患者338例をロボット群または開腹群に無作為化 研究グループは、2017年3月~2020年3月の間に、英国内の9施設にて転移のない膀胱がん患者を登録した。適格基準は、転移のない尿路上皮・扁平上皮・腺がんまたは特殊型膀胱がん(≦N1)で、根治的膀胱摘除術の適応となる成人(18歳以上)患者であった。 適格患者338例を、ICUDを伴うRARC(ロボット)群(169例)またはORC(開腹)群(169例)に、尿路変向の種類および施設で層別化して無作為に割り付け、90日後、6ヵ月後および12ヵ月後に追跡調査を実施した(最終追跡調査日:2021年9月23日)。 主要評価項目は術後90日以内の生存および院外療養日数(術後入院期間・再入院・死亡の評価を意味する)、副次評価項目は合併症、有害事象、健康関連QOL、障害、全生存期間等を含む20項目であった。生存・院外療養日数中央値、ロボット群82日、開腹群80日で有意差あり 338例中317例が根治的膀胱摘除術を受けた(ロボット群161例、開腹群156例)。患者背景は平均年齢69歳、女性67例(21%)、術前化学療法歴107例(34%)、回腸導管再建282例(89%)であった。 主要評価項目の解析対象は305例(96%)で、術後90日以内の生存・院外療養日数中央値は、ロボット群82日(IQR:76~84)、開腹群80日(72~83)であった(補正後群間差:2.2日、95%信頼区間[CI]:0.50~3.85、p=0.01)。 血栓塞栓性合併症(1.9% vs.8.3%、群間差:-6.5%[95%CI:-11.4~-1.4])および創傷合併症(5.6% vs.16.0%、-11.7%[-18.6~-4.6])は、ロボット群が開腹群より低頻度であった。 開腹群では、ロボット群より5週後の健康関連QOLが不良であった(平均EQ-5D-5Lスコアの群間差:-0.07、95%CI:-0.11~-0.03、p=0.003)。また、5週後の障害も大きかったが(WHO DAS 2.0スコアの群間差:0.48、95%CI:0.15~0.73、p=0.003)、12週以降には有意差はなくなった(同:0.38、0.09~0.68、p=0.01)。 追跡期間中央値18.4ヵ月(IQR:12.8~21.1)において、ロボット群と開腹群とでがん再発(29/161例[18%]vs.25/156例[16%])および全死因死亡(23/161例[14.3%]vs.23/156例[14.7%])はいずれも有意差は認められなかった。

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小児期の心血管リスク因子、中年期の心血管イベントと関連/NEJM

 心血管リスク因子であるBMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値および若年期喫煙は、とくに幼少期からの組み合わせで、成人期の心血管イベントおよび60歳前の心血管死と関連することが、米国・ミネソタ大学のDavid R. Jacobs Jr氏らによるInternational Childhood Cardiovascular Cohort(i3C)コンソーシアムの前向きコホート研究の結果、示された。小児期の心血管リスク因子は潜在的な成人期の心血管疾患を予測するが、臨床イベントとの関連は明らかになっていなかった。NEJM誌2022年5月19日号掲載の報告。3~19歳の約4万人を平均35年追跡、5つのリスク因子と心血管イベントの関連を解析 研究グループは、1970年代から1990年代にかけてi3Cコンソーシアムの7つの前向きコホートに登録された3~19歳の参加者4万2,324人を対象に、平均35年追跡し、小児期に最もよく評価される5つのリスク因子(BMI、収縮期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値、若年期喫煙)が成人期の心血管イベントに関連しているかを評価した。追跡調査は2015~19年に行われた。 リスク因子は、i3Cコンソーシアム内で正規化された年齢・性特異的zスコア、および5つのリスクzスコアの非加重平均として計算した複合リスクzスコアを用いて解析し、代数的に同等な成人の複合リスクzスコア(心血管イベント発生前)は小児期のリスク因子と同様に解析した。評価項目は、致死的心血管イベント、致死的または非致死的心血管イベントで、多重代入後に比例ハザード回帰分析を行った。 参加者4万2,324人のうち、所在が確認された生存者、原因が確認された死亡者、または死亡登録がなく生存していると推定された者の計3万8,589人が解析対象となった。登録時の背景は、男性49.7%、黒人15.0%、平均(±SD)年齢11.8±3.1歳であった。5つの複合リスクzスコア1単位増加当たり2.71倍 3万8,589人中319人(0.8%)に致死的心血管イベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.0±8.0歳であった。成人期の致死的心血管イベントのハザード比は、各リスク因子zスコアに関しては総コレステロール値zスコアの1単位増加当たり1.30(95%信頼区間[CI]:1.14~1.47)から、若年期喫煙(ありvs.なし)の1.61(95%CI:1.21~2.13)の範囲であり、複合リスクzスコアに関しては1単位増加当たり2.71(95%CI:2.23~3.29)であった。 致死的または非致死的心血管イベントの解析対象は2万656人で、このうち779人(3.8%)にイベントが発生した。イベント発生時の年齢は47.1±7.4歳であった。致死的または非致死的心血管イベントのハザード比および95%CIは、致死的心血管イベントのハザード比および95%CIと類似していた。 成人期(心血管イベント発生前)のリスク因子に関するデータを有する1万3,401人(成人期調査時の年齢31.0±5.6歳)のサブグループでは、115人に致死的心血管イベントが発生し、補正後ハザード比は小児期の複合リスクzスコアに関して1単位増加当たり3.54(95%CI:2.57~4.87)、複合リスクzスコアの小児期から成人期の変化量の1単位増加当たり2.88(95%CI:2.06~4.05)であった。 同サブグループで致死的または非致死的心血管イベントは524人に発生し、補正後ハザード比はそれぞれ3.21(95%CI:2.69~3.85)および2.58(2.15~3.09)であり、致死的心血管イベントと結果は同様であった。

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2018年西日本豪雨がベンゾジアゼピン使用に及ぼした影響

 自然災害は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼす。2018年7月の西日本豪雨は、日本で発生した最大級の洪水災害の1つである。広島大学の岡崎 悠治氏らは、災害前後のベンゾジアゼピン処方の変化について評価を行った。その結果、被災者における災害後のベンゾジアゼピン処方率が上昇し、その影響は1年以上継続していたことを報告した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2022年4月26日号の報告。 西日本豪雨による洪水被災地における、2017年7月~2019年6月のレセプト情報データベースに基づき、レトロスペクティブコホート研究を実施した。被災地域住民を、地方自治体の認定により被災者と非被災者に分類した。次に、災害前のベンゾジアゼピン使用状況に基づき、非使用者、頓服使用者、継続使用者の3群に分類した。災害前後のベンゾジアゼピン処方状況を比較し、被災地域住民における災害の影響を推定するため、ロジスティック回帰モデルを用いた差分の差分法(DID)分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・被災地域住民500万129人中、3万1,235人が被災者であった。・災害前後のベンゾジアゼピン平均処方率は、被災者で11.3%から11.8%へ上昇し、非被災者では8.3%から7.9%に低下した。・DID分析では、被災者のベンゾジアゼピン処方は、災害直後から有意な上昇が認められ(調整オッズ比:1.07、95%CI:1.05~1.11)、その影響は災害後1年間継続していた(同:1.20、95%CI:1.16~1.24)。

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エスプレッソコーヒー、男性が飲むとコレステロール値が上がる?

 「コーヒーは身体に良い」という論文報告が散見されるも、コーヒー豆に含まれるジテルペン(とくにカフェストール、カーウェオール)が血清コレステロールを上昇させてしまうという報告1)もある。だが、このジテルペンの影響はコーヒーの抽出方法によって異なるようだ。そこで今回、ノルウェー・トロムソ大学のAsne Lirhus Svatun氏らがコーヒーの抽出方法、なかでも研究数の少ないエスプレッソコーヒー(短時間で高圧抽出)と血清総コレステロール(S-TC:serum cholesterol)との関連性を調査した。その結果、エスプレッソコーヒーの消費量は、血清総コレステロールの増加と関連しており、女性と比較して男性のほうが有意に強い関連が示された。また、ボイルド(サイフォン式など)/プランジャーコーヒー(フレンチプレスなど)を摂取したの場合は男女ともに血清総コレステロールが増加し以前の研究で示された結果と同様だったが、フィルターろ過コーヒーに至っては女性で血清総コレステロールがわずかに増加したことが示された。Open Heart誌4月号掲載の報告。エスプレッソコーヒーを毎日カップ3~5杯飲む人は血清総コレステロール増 研究者らは、ノルウェー北部で行われた横断研究であるトロムソ研究第7回調査(n=2万1,083、40歳以上[平均年齢:56.4歳])の人口データを使用。多変量線形回帰モデルを使用して、エスプレッソコーヒーの消費量と血清総コレステロールの関連を調査し、性別とコーヒー消費量の関連などを評価した。質問ではコーヒーの抽出方法を「フィルターコーヒー」「ボイルド/フレンチプランジャーコーヒー(粗挽きコーヒー)」「インスタントコーヒー」「エスプレッソベースのコーヒー(コーヒーマシン、カプセルなど)」の4種類とし、1日の消費量に応じて、対象者をカップ0杯、1〜2杯、3〜5杯、6杯以上にグループ分けした。 エスプレッソコーヒーと血清総コレステロールとの関連性を調査した主な結果は以下のとおり。・エスプレッソコーヒーの摂取量が1日あたりカップ0杯の参加者と比較して、毎日カップ3~5杯飲む人は、血清総コレステロール増加と有意に関連しており、女性で0.09mmol/L(95%信頼区間[CI]:0.01~0.17)、男性で0.16mmol/L(95%CI:0.07~0.24)だった。 ・ボイルド/プランジャーコーヒーについても1日あたりカップ0杯の人と比較して、毎日カップ6杯以上飲んだ場合は、血清総コレステロールが増加し、女性で0.30mmol/L(95%CI:0.13~0.48)、男性で0.23mmol/L(95%CI:0.08~0.38)だった。・フィルターろ過のコーヒーを毎日カップ6杯以上の飲んだ場合の血清総コレステロールは、女性で0.11mmol/L(95%CI:0.03~0.19)高くなるのに対し、男性では関連性がみられなかった。・インスタントコーヒーの消費量に有意な線形傾向があったが、飲んでいない参加者を除外した場合、用量反応関係は示されなかった。・ボイルドまたはプランジャーコーヒーを除くすべてのコーヒー抽出型で性差が有意にみられた。 なお、エスプレッソコーヒーのようにノンフィルターコーヒーではLDLコレステロールを含む成分なども取り除かれていないことから、1日あたりカップ9杯以上を摂取すると心血管疾患(CVD)による死亡リスクが最大25%増加すると、他研究2)より報告されている。

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高リスクIgA腎症への経口ステロイドで転帰改善、用量は?/JAMA

 高リスクIgA腎症患者において、経口メチルプレドニゾロンによる6~9ヵ月の治療は、プラセボと比較して、腎機能低下・腎不全・腎疾患死亡の複合アウトカムのリスクを有意に低下させた。ただし、経口メチルプレドニゾロンの高用量投与では、重篤な有害事象の発現率が増加した。中国・北京大学第一医院のJicheng Lv氏らが、オーストラリア、カナダ、中国、インド、マレーシアの67施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検比較試験「Therapeutic Effects of Steroids in IgA Nephropathy Global study:TESTING試験」の結果を報告した。本試験は、重篤な感染症が多発したため中止となったが、その後、プロトコルが修正され再開されていた。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。メチルプレドニゾロンの用量を0.6~0.8mg/kg/日から0.4mg/kg/日に減量し、試験を再開 研究グループは、2012年5月~2019年11月の期間に、適切な基礎治療を3ヵ月以上行っても蛋白尿1g/日以上、推定糸球体濾過量(eGFR)20~120mL/分/1.73m2のIgA腎症患者503例を、メチルプレドニゾロン群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付けた。 メチルプレドニゾロン群は、当初、0.6~0.8mg/kg/日(最大48mg/日)を2ヵ月間投与、その後4~6ヵ月で減量・離脱(8mg/日/月で減量)するレジメンであったが、メチルプレドニゾロン群に136例、プラセボ群に126例、計262例が無作為化された時点で重篤な感染症の過剰発生が認められたため、2015年11月13日に中止となった。その後、プロトコルを修正し、メチルプレドニゾロン群は、0.4mg/kg/日(最大32mg/日)を2ヵ月間投与、その後4~7ヵ月で減量・離脱(4mg/日/月で減量)するレジメンに変更するとともに、ニューモシスチス肺炎に対する抗菌薬の予防的投与を治療期間の最初の12週間に追加した。 2017年3月21日に修正プロトコルで試験が再開され、2019年11月までに241例(メチルプレドニゾロン群121例、プラセボ群120例)が登録された。 主要評価項目はeGFR40%低下・腎不全(透析、腎移植)・腎疾患死亡の複合で、副次評価項目は腎不全などの11項目とし、2021年6月まで追跡調査した。メチルプレドニゾロン群で複合アウトカムが有意に減少、高用量では有害事象が増加 無作為化された503例(平均年齢:38歳、女性:198例[39%]、平均eGFR:61.5mL/分/1.73m2、平均蛋白尿:2.46g/日)のうち、493例(98%)が試験を完遂した。 平均追跡期間4.2年において、主要評価項目のイベントはメチルプレドニゾロン群で74例(28.8%)、プラセボ群で106例(43.1%)に認められた。ハザード比(HR)は0.53(95%信頼区間[CI]:0.39~0.72、p<0.001)、年間イベント率絶対群間差は-4.8%/年(95%CI:-8.0~-1.6)であった。 メチルプレドニゾロン群の各用量について、それぞれのプラセボ群と比較して主要評価項目に対する有効性が確認された(異質性のp=0.11、HRは高用量群0.58[95%CI:0.41~0.81]、減量群0.27[95%CI:0.11~0.65])。 事前に規定された11項目の副次評価項目のうち、腎不全(メチルプレドニゾロン群50例[19.5%]vs.プラセボ群67例[27.2%]、HR:0.59[95%CI:0.40~0.87]、p=0.008、年間イベント率群間差:-2.9%/年[95%CI:-5.4~-0.3])などを含む9項目で、メチルプレドニゾロン群が有意に好ましい結果であった。 重篤な有害事象の発現は、メチルプレドニゾロン群がプラセボ群より多く(28例[10.9%]vs.7例[2.8%])、とくに高用量群で高頻度であった(22例[16.2%]vs.4例[3.2%])。

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RCTでの有害事象の可視化、どんなグラフが有効か/BMJ

 臨床試験の有害事象の伝達において、グラフ化(可視化)は強力なツールであり従来の頻度表に代わる他の視点を提供し、臨床試験の報告書で有害事象の可視化の使用が増加することよって、明確な情報の提示とより有益な解釈が可能となる。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのRachel Phillips氏らが、有害事象を視覚的に提示するための推奨事項を作成するコンセンサス研究の結果を報告した。有害事象のデータは複雑であるが、可視化は安全性プロファイルを明確にし、潜在的な副作用の特定に役立つ可能性がある。著者は、「デシジョンツリーは可視化の選択を補助するが、最終的には統計学者および臨床試験チームがそのデータと目的に最適な可視化を決定しなければならない」と述べている。BMJ誌2022年5月16日号掲載の報告。治験に携わる統計学者、医療経済学者、グラフィックデザイナーらでコンセンサス会議 コンセンサスグループは、UK Clinical Research Collaborationに登録されている15の臨床試験ユニットから統計学者20人と、学術的な公衆衛生部門に所属する医療経済学者1人、業界の統計学者1人、BMJ誌のマルチメディアチームの一員であるデータグラフィックデザイナー1人、医師2人から構成された。 統計手法の方法論的なレビューにより、コンセンサスグループメンバーが推奨する可視化法を特定し、3回にわたる会議で可視化の推奨に関するコンセンサス(有効投票数の60%以上)が得られた。 メンバーは、合意された枠組みに対する候補となる可視化を再検討し、また批評的に評価して、それぞれの可視化を承認するかどうか投票した。スコアが閾値をわずかに下回った場合(50~60%)は、さらなる議論のため再考され、コンセンサスが得られるまで再投票が行われた。推奨されるグラフ化は10種類、アウトカムの種類や状況に応じて選択 28種類の可視化法が検討され、そのうち10種類が、研究者が主要な研究結果を発表する際に検討するよう推奨された。 提示する可視化法の選択は、アウトカムの種類(たとえば、頭痛の発生の有無など追跡期間中に経験したイベントの発生数[2値変数]、治療開始から頭痛発生までの時間[time-to-event]、血球数の個々の結果[連続変数]など)や、状況(有害事象のプロファイル全体を評価するか、特定のイベントまたは関心のあるイベントに関する直接的なメッセージを伝えるか)に依存する。すなわち、有害事象のプロファイルを示す場合は、アウトカムの種類が2値変数ではドットプロット、積み上げ棒グラフ、カウントでは棒グラフ、連続変数では散布図マトリックスが推奨され、time-to-eventでは推奨される方法なし。1つのイベントについて示す場合は、アウトカムの種類がtime-to-eventではKaplan-Meierプロット、生存率(Survival ratio)プロット、平均累積関数プロットが、連続変数では折れ線グラフ、バイオリンプロットおよびカーネル密度プロットが推奨された。 また、どの可視化法を使用するかの決定に役立つデシジョンツリーが提示され、各可視化法については、プロットの説明、解釈、潜在的な限界、標準的な統計ソフトで実施可能なコード等がまとめられている。

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甲状腺クリーゼ〔Thyrotoxic storm or crisis〕

1 疾患概要■ 概念・定義甲状腺クリーゼ(Thyrotoxic storm or crisis)とは、甲状腺中毒症の原因となる未治療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレスが加わったときに、甲状腺ホルモン作用過剰に対する生体の代償機構の破綻により複数臓器が機能不全に陥った結果、生命の危機に直面した緊急治療を要する病態をいう。■ 疫学甲状腺クリーゼはまれな病態で、入院した甲状腺中毒症の1~2%を超えないと言われている。日本甲状腺学会と日本内分泌学会の共同委員会(赤水班)による2009年の全国調査では、わが国での発生率は入院患者10万人あたり0.2人であり、推計患者数は確実例が約150人/年、疑い例が約40人/年と算出された。致死率は約11%である。■ 病因病因は不明であり、クリーゼの発症は必ずしも甲状腺ホルモンの血中濃度によらない。急激な甲状腺ホルモンの放出や、交感神経系の活性化、重症疾患でみられる甲状腺ホルモンの感受性上昇や蛋白結合能の低下などの関与が考えられている。甲状腺疾患としてバセドウ病が最も頻度が高いが、機能性甲状腺腫瘍、アイソトープ治療、甲状腺手術、破壊性甲状腺疾患などでも報告されている。甲状腺外の誘因としては、感染症、外傷、妊娠・分娩、副腎皮質機能不全、糖尿病ケトアシドーシス、虚血性心疾患、ヨード系造影剤の投与、強いストレスなど多岐にわたる。■ 症状甲状腺クリーゼでは複数臓器の機能不全が起きるが、代表的な症状は以下の通りである。1)甲状腺腫バセドウ病ではびまん性腫大を示すことが多く、結節性の甲状腺機能亢進症では、結節を触知することがある。亜急性甲状腺炎では局所の圧痛を示す。2)中枢神経症状甲状腺クリーゼの中心的な症状であり、意識障害、不穏、譫妄、精神異常、傾眠、痙攣、昏睡がある。3)発熱基礎代謝亢進にともない、発熱(38℃以上)とともに多汗を生じる。4)循環器症状高度の頻脈、心房細動、心不全症状、ショックを起こすことがある。5)消化器症状腸管蠕動運動亢進による下痢、嘔気・嘔吐、肝障害に伴う黄疸を示すことがある。また、肝機能不全による肝障害・黄疸を呈することがある。■ 予後現在においても致死率は高く、10~75%と言われていたが、わが国での全国疫学調査の結果では致死率10%以上であった。死因は、多臓器不全、腎不全、呼吸不全などで、また不可逆的な神経学的障害が残存することもある。予後規定因子として、ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全があり、入院時に重症度に応じて予後が不良となる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)甲状腺クリーゼの診断には、古くからのBurch-Wartofskyの診断スコアが使用されてきたが、必ずしも科学的エビデンスに裏付けされたものではなかった。より一層科学的根拠に基づく診断基準を求めて、わが国では、赤水らによる甲状腺クリーゼの診断基準が策定された。必須項目は甲状腺中毒症の存在であり、(1)中枢神経症状、(2)発熱、(3)頻脈、(4)心不全症状、(5)消化器症状の5項目が主要な症状・症候として選択された(表1)。表1 甲状腺クリーゼの診断基準画像を拡大する甲状腺中毒症の存在下に、「中枢神経症状+他の症状項目が1つ以上あるもの」か、「中枢神経症状以外の症状項目が3つ以上あるもの」を、甲状腺クリーゼ確実例とする。中枢神経症状以外の症状項目2つ、または夜間・休日など甲状腺中毒症が確認できない状況下で、甲状腺疾患の既往、眼球突出、甲状腺腫の存在があり、確実例の条件を示す者を疑い例とする。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)診断基準の確定の後、甲状腺クリーゼの予後改善を目指して、診療ガイドライン2017年版が作成された。甲状腺クリーゼと診断された場合、二次ABCDE評価(Airway, Breathing, Circulation, Dysfunction of central nervous system, and Exposure & environmental control)を行ない、Acute Physiologic Assessment and Chronic Health Evaluation(APACHE)IIスコアに基づき集中治療の要否を判断する。冷却・解熱剤の投与とともに抗甲状腺薬、無機ヨードならびに副腎皮質ステロイドを開始する(図)。また、APACHEIIスコア9以上では集中治療室(ICU)での管理が勧められる。図 甲状腺クリーゼ治療のアルゴリズム画像を拡大する甲状腺クリーゼに至った誘因の除去を行い、感染症などの合併に関しては個別に治療を行なう。中枢神経症状に対する治療は精神科救急医療ガイドラインなどに準じて行うが、器質的疾患(脳血管障害・髄膜炎・代謝異常・中毒など)がクリーゼの誘因となりうるので鑑別診断を必ず行う。心拍数150/分以上の洞性頻脈や頻拍性心房細動を認める場合、β1選択性短時間作動型β遮断薬やジギタリス製剤で心拍数を管理し、必要に応じて電気的除細動も考慮する(表2)。表2 甲状腺クリーゼの各々の病態に対する治療の概要画像を拡大するその他、うっ血性心不全、急性肝不全、播種性血管内凝固症候群(DIC)、急性腎不全、横紋筋融解症、成人型呼吸促拍症候群(ARDS)などがみられる場合があり、予後不良となるので、各々の病態に応じた集学的治療が必要とされる。甲状腺クリーゼにおける治療的血漿交換の絶対的適応は、急性肝不全合併例で、相対的適応はクリーゼに対する治療開始24~48時間後においてもコントロール不能の甲状腺中毒症である。APACHEIIスコアならびにSOFA(Sepsis-related Organ Failure Assessment)スコアが予後と関連する。4 今後の展望今回のガイドライン作成にあたり、国内の多くの施設に症例報告収集の支援をいただいたが、ガイドライン発行後、治療の方法ならびに生存率なども変化しているため、現在日本甲状腺学会により前向きの全国調査が行われている。5 主たる診療科内分泌・代謝内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本内分泌学会 甲状腺クリーゼ(一般利用者向けのまとまった情報)難病情報センター 甲状腺中毒クリーゼ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本甲状腺学会 甲状腺クリーゼの診断基準(第2版)(医療従事者向けのまとまった情報)日本甲状腺学会 甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017年版Digest版(医療従事者向けのまとまった情報)1)Akamizu T, et al. Thyroid. 2012;22:661-679.2)Burch HB, et al. Endocrinol Metab Clin North Am. 1993;22:263-277.3)Isozaki O, et al. Clin Endocrinol(Oxf). 2016;84: 912-918.4)Satoh T, et al. Endocr J. 2016;63:1025-1064.5)日本甲状腺学会・日本内分泌学会. 甲状腺クリーゼガイドライン2017.南江堂,2017.公開履歴初回2022年5月26日

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抗原検査、感度のピークはいつ?再検査のタイミングは?

 抗原検査の感度は発症4日後にピークを迎え、陰性の場合は1~2日後の再検査で感度が向上することが、米国疾病予防管理センター(CDC)のVictoria T. Chu氏らによる前向きコホート研究で示唆された。新型コロナウイルス感染症の感染経過における家庭での抗原検査とRT-PCRおよびウイルス培養の比較検討結果が、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2022年4月29日号に報告された。抗原検査の頻度とタイミング、発症後3日間は2日間隔で2回が感度に影響 本研究は、2021年1~5月にカリフォルニア州とコロラド州で実施された。RT-PCRで感染が確認された成人と小児のうち、自己採取の家庭用抗原検査および、RT-PCR、ウイルス培養検査のための鼻咽頭スワブを少なくとも1回提供した人が対象。家庭用抗原検査は2021年3月31日に米国食品医薬品局から緊急使用許可を取得したラテラルフロー検査キット(QuickVue At-Home OTC COVID-19 Test)を使用した。 主要アウトカムは、RT-PCR により確定診断された症例を検出するための抗原検査の1日当たりの感度。副次アウトカムは、抗原検査、RT-PCR、およびウイルス培養の日ごとの陽性率、RT-PCR およびウイルス培養に対する抗原検査の感度とされた。その他、連続抗原検査が感度向上につながるかどうかを判断するため、3つの抗原検査プロトコルの感度を比較した:1回の検査(プロトコル1)、連続した日に2回の検査(プロトコル2)、2日間隔で2回の検査(プロトコル3)。 抗原検査とRT-PCRおよびウイルス培養を比較検討した主な結果は以下の通り。・RT-PCRにより感染が確認された225人(年齢中央値[範囲]:29[1~83]歳、女性:52%、有症状:91%)を登録し、3,044件の抗原検査テストが実施され、642件の鼻咽頭スワブが採取された。対象者は中央値で15回(四分位範囲:14~15回、範囲:1~17回)の家庭用抗原検査を実施した。・主要アウトカムであるRT-PCR陽性例に対する抗原検査の全体的な感度は50%(95%信頼区間[CI]:45~55%)であり、特異度は97%(95%CI:95~98%)だった。・同日採取検体のRT-PCRに対する抗原検査の感度は64%(95%CI:56~70%)、ウイルス培養に対しては84%(95%CI:75~90%)だった。・各検査の感度のピークは、RT-PCRで95%(発症3日後)、抗原検査で77%(発症4日後)、ウイルス培養で64%(発症2日後)だった。・発症から6日後の抗原検査の感度は61%だった。・自宅での抗原検査の頻度とタイミングは、症例検出の感度に影響を与えた。発症後3日間は、2日間隔で2回の抗原検査を実施する(プロトコル3)ほうが、連日2回の検査(プロトコル2)や1回の検査(プロトコル1)よりも感度が高かった。連続検査プロトコル(プロトコル2および3)は、発症後14日間を通して1回の検査(プロトコル1)よりも感度が高く、発症後3日間でその差が最も大きくなった。ピーク時の感度は、プロトコル2(81%)、プロトコル1(77%)と比較して、プロトコル3が最も高かった(85%)。 著者らは、家庭用抗原検査の感度はRT-PCRと比較して中程度、ウイルス培養と比較して高いことが示唆されたとし、結果が初回陰性の有症者は、感度が発症数日後にピークに達し、検査の繰り返しにより改善することから、1~2日後に再度検査することが望ましいとしている。

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虚弱高齢者への運動+栄養介入、運動障害の発生を約2割減/BMJ

 身体的フレイルおよびサルコペニアが認められるShort Physical Performance Battery(SPPB)スコアが3~9の70歳以上に対し、中等度身体的アクティビティ指導(対面週2回、家庭で週4回以下)と個別栄養カウンセリングを実施することで、運動障害の発生が減少したことが示された。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCSのRoberto Bernabei氏らが、技術的サポートと栄養カウンセリングによる身体活動ベースの多面的介入が、身体的フレイルとサルコペニアが認められる高齢者の運動障害を予防するかを確認するため検討した無作為化試験「SPRINTT project」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「身体的フレイルとサルコペニアは、虚弱高齢者の可動性を維持するターゲットになりうることが示された」とまとめている。BMJ誌2022年5月11日号掲載の報告。SPPBスコア3~9、400m自力歩行可能な70歳以上を対象に試験 研究グループは2016年1月~2019年10月31日に、欧州11ヵ国、16ヵ所の医療機関を通じて、身体的フレイルとサルコペニアを有し、SPPBスコアが3~9、除脂肪体重が低く、400mの自力歩行が可能で、地域に居住する70歳以上の男女1,519例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方(介入群)には中等度身体アクティビティを試験センターで週2回、家庭で週4回まで実施。身体アクティビティは、アクチメトリ(活動量)データを用いて個別に調節した。また、個別に栄養カウンセリングも行った。もう一方(対照群)には、月1回、健康的なエイジングに関する教育を行った。介入と追跡は最長36ヵ月にわたった。 主要アウトカムは運動障害で、15分未満での400m自力歩行不可で定義された。事前に規定した副次アウトカムは、運動障害の持続(400m自力歩行が2回連続で不可)、ベースラインから24ヵ月および36ヵ月時点の身体機能・筋力・除脂肪体重の変化などだった。 主要比較は、ベースラインSPPBスコアが3~7の1,205例を対象に行い、SPPBスコアが8/9の被験者314例については探索的目的で別に解析を行った。運動障害発生率は介入群46.8%、対照群52.7%でハザード比0.78 被験者1,519例(うち女性1,088例)の平均年齢は78.9歳(SD 5.8)、平均追跡期間は26.4ヵ月(9.5)だった。 SPPBスコア3~7の被験者における運動障害の発生は、介入群283/605例(46.8%)、対照群316/600例(52.7%)だった(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.67~0.92、p=0.005)。運動障害の持続が認められたのは、介入群127/605例(21.0%)、対照群150/600例(25.0%)だった(HR:0.79、95%CI:0.62~1.01、p=0.06)。 24ヵ月時点および36ヵ月時点でのSPPBスコアの群間差も、それぞれ0.8ポイント(95%CI:0.5~1.1、p<0.001)、1.0ポイント(0.5~1.6、p<0.001)といずれも介入群を支持する結果が示された。 24ヵ月時点の握力低下は、介入群の女性で対照群よりも有意に小さいことが示された(0.9kg、95%CI:0.1~1.6、p=0.028)。 除脂肪体重の減少は、24ヵ月時点で介入群が対照群よりも0.24kg少なく(95%CI:0.10~0.39、p<0.001)、36ヵ月時点では0.49kg少なかった(0.26~0.73、p<0.001)。 重篤な有害事象は、介入群237/605例(39.2%)、対照群216/600例(36.0%)報告された(リスク比:1.09、95%CI:0.94~1.26)。 なお、SPPBスコア8/9の被験者では、運動障害の発生は介入群46/155例(29.7%)、対照群38/159例(23.9%)だった(HR:1.25、95%CI:0.79~1.95、p=0.34)。

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乾癬治療、中止後再発までの期間はIL-23阻害薬が最も長い

 乾癬における全身性治療薬の、投与中止後の再発までの期間について、フランス・CHU PoitiersのMarie Masson Regnault氏らがシステマティックレビューの結果、生物学製剤は経口全身性薬剤よりも、中止後の再発までの期間が長いこと、生物学的製剤の中ではIL-23阻害薬が再発までの期間が最も長かったことを明らかにした。乾癬では寛解達成後、どのタイミングで全身性治療を中止するかの決定が重要な問題となっている。著者は、「今回の所見は、間欠的な治療が必要な場合の全身性治療薬の選択について、臨床的な影響を与えることになるだろう」とまとめている。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2022年4月30日号掲載の報告。IL-23阻害薬vs.IL-17阻害薬で治療中止後の再発までの期間延長を観察 研究グループはシステマティックレビューにて、乾癬患者の全身性治療中止後の再発までの期間を評価した。PubMed、Cochrane Library、Embaseのデータベースを系統的に検索し、乾癬患者への全身性治療中止後の再発までの期間を報告している無作為化試験を特定し、さらに著者は製薬会社に問い合わせ、特定公表論文の欠落データについて提供を受けた。各公表論文では、乾癬再発までの期間と投与中止のタイミングが慎重に評価されていた。検討では、投与中止時の乾癬コントロールのレベルと乾癬再発の定義が考慮された。 乾癬患者の全身性治療中止後の再発までの期間を評価した主な結果は以下の通り。・システマティックレビューには、2021年4月以前に公表された30本の論文が含まれた。・メトトレキサートおよび/またはシクロスポリンの従来薬による全身性治療に焦点を当てた論文が4本、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬に焦点を当てた論文が9本、IL-17阻害薬に焦点を当てた論文が8本、IL-12/23またはIL-23阻害薬に焦点を当てた論文が8本、トファシチニブとアプレミラストに焦点を当てたものが1本であった。・投与中止時の乾癬治療成功の評価については、さまざまな定義が使用されていた。同様に、乾癬再発の定義に使用された基準もばらつきが認められた。薬物間の比較は、ほとんどの薬物が間接的な評価(すなわち試験全体での評価)であった。・最大PASI改善の50%が失われる期間を考慮すると、乾癬再発までの期間中央値は、生物学的製剤(12~34週間)よりも従来の全身性治療薬(~4週間)が短かった。・PASI 90の消失など厳格な再発基準を使用した場合、IL-23阻害薬(21~42週間)vs.IL-17阻害薬(7~24週間)で、治療中止後の再発までの期間延長が観察された。

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自閉スペクトラム症の感情調整や過敏性に対する薬理学的介入の有効性~メタ解析

 感情調節不全や過敏性は、自閉スペクトラム症(ASD)でよくみられる症状である。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのGonzalo Salazar de Pablo氏らは、ASDの感情調節不全や過敏性に対する薬理学的介入の有効性および治療反応の予測因子を評価する、初めてのメタ解析を実施した。その結果、いくつかの薬理学的介入(とくにアリピプラゾールとリスペリドン)は、ASD患者の感情調節不全や過敏性の短期的治療に有効であることが証明されており、忍容性プロファイルと家族の考えなども考慮し、複数の形式による治療を計画するうえで検討すべきであると報告した。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌オンライン版2022年4月22日号の報告。 プロトコルに従い、複数のデータベースより2021年1月1日までの研究をシステマティックに検索した。プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を抽出し、感情調節不全や過敏性に対する薬理学的介入の有効性および治療反応の予測因子を評価した。Q検定を用いた不均一性および出版バイアスを評価した。主要エフェクトサイズは、標準化平均差(SMD)とした。研究の質の評価には、コクランのバイアスリスクツール(RoB2)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・ASD患者2,856例を含む45件の研究が分析に含まれた。26.7%のRCTは、バイアスリスクが高かった。・抗精神病薬(SMD:1.028、95%CI:0.824~1.232)およびADHDに適応を有する薬物療法(SMD:0.471、95%CI:0.061~0.881)は、プラセボと比較し、感情調節不全や過敏性に対し有意な改善が認められたが、他の薬剤クラスでは認められなかった(p>0.05)。・各薬剤についての評価では、アリピプラゾール(SMD:1.179、95%CI:0.838~1.520)とリスペリドン(SMD:1.074、95%CI:0.818~1.331)の有効性が示唆された。・てんかん発症率の増加(β=-0.049、p=0.026)は、有効性の低下と関連していた。

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