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乳がんの放射線療法、その後の虚血性心疾患を増大/NEJM

 乳がんの放射線療法は、虚血性心疾患を増大することが、英国・オックスフォード大学のSarah C. Darby氏らによる住民ベースの症例対照研究の結果、報告された。疾患増大は平均照射線量に比例しており、照射曝露後数年以内に増大し始め20年以上続くこと、もともと心臓リスク因子を有する女性の絶対リスクが大きいことも明らかになった。乳がんの放射線療法では、心臓への偶発的な電離放射線曝露の頻度が高い。しかし、曝露による心臓への影響、その後の虚血性心疾患リスクについては確認されていなかった。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告。放射線療法を受けた2,168例の主要冠動脈イベント発生を分析 本研究は、心筋梗塞、冠動脈再建、虚血性心疾患死といった主要冠動脈イベント発生について、1958~2001年に、侵襲性乳がんのため体外照射線療法を受けたデンマークおよびスウェーデンの女性2,168例(主要冠動脈イベント発生群963例、対照群1,205例)を対象に検討が行われた。 被験者情報は病院の診療録から入手した。各被験者の、心臓全体と左冠動脈前下行枝(LAD)への平均照射線量を治療チャートから算出し分析に用いた。照射線量1Gy増大につき主要冠動脈イベント発生率7.4%増大 結果、全被験者における、心臓全体への平均照射線量は4.9Gy(範囲:0.03~27.72)であった。 主要冠動脈イベント発生率は、心臓への平均照射線量と比例しており、照射線量1Gy増大につき7.4%(95%信頼区間:2.9~14.5、p<0.001)の上昇がみられた。明瞭な閾値は示されなかった。 イベント発生の増大は、照射後5年以内に始まり30年間継続した。 照射線量1Gy当たりの主要冠動脈イベント率の増大は、放射線療法時に心臓リスク因子がある女性とない女性で同程度であった。

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レニン・アンジオテンシン系阻害薬の併用は死亡率の低下をもたらさない/BMJ

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)の二重遮断は、心不全を主とする入院を減らし一見ベネフィットがあるように見えるが、死亡率の低下には結びついておらず、有害事象の超過リスクとの関連が認められることが、米国・コロンビア大学付属St Luke's Roosevelt HospitalのHarikrishna Makani氏らによるメタ解析の結果、報告された。RAS二重遮断は、治療抵抗性の心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、蛋白尿症と幅広く用いられているが、有効性と安全性については議論が続いていた。今回の解析で示されたリスク・ベネフィットの結果を踏まえて著者は、「RAS二重遮断のルーチンな使用の反証が示された」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年1月28日号掲載より。RAS二重遮断療法と単独療法を比較した無作為化対照試験をメタ解析 Makani氏らは、RAS二重遮断の長期の有効性と安全性について、単独療法とを比較するシステマティックレビューとメタ解析を行った。文献の検索は、1990年1月~2012年8月に発表されたPubMed、Embase、Cochrane central register of controlled trialsにて行い、RAS二重遮断療法と単独療法を比較した無作為化対照試験で、長期の有効性(1年以上)と安全性(4週以上)を報告しており、被験者数が50例以上であったものを適格とした。 解析は、試験コホートを心不全の有無別で階層化して比較が行われた。全死因死亡について有意な有効性みられず、一方で有害事象の有意な増大 解析には、33の無作為化対照試験、6万8,405例(平均年齢61歳、男性71%)が組み込まれた。試験期間は平均52週であった。 RAS二重遮断は単独療法と比較して、全死因死亡について有意な有効性を示す関連が認められなかった[相対リスク:0.97、95%信頼区間(CI):0.89~1.06、p=0.50]。また、心血管死とも有意な有効性を示す関連は認められなかった(同:0.96、0.88~1.05、p=0.38)。 単独療法と比較してRAS二重遮断は、心不全による入院を有意に18%減少した(同:0.82、0.74~0.92、p=0.0003)。しかし一方で、高カリウム血症リスクを有意に55%増大し(p<0.001)、低血圧症リスクを有意に66%増大し(p<0.001)、腎不全リスクを有意に41%増大した(p=0.01)。有害事象による治療中止リスクも有意に27%増大した(p<0.001)。 有効性と安全性の結果は、患者の心不全の有無別にかかわらず、全死因死亡に関する結果を除きRAS二重遮断と単独療法の比較での結果は一貫していた。全死因死亡については、心不全コホートの検討では有効性は示されず(p=0.15)、非心不全コホートの検討ではむしろ増大が示された(p=0.04)。腎不全のリスクについては、コホート間を比較すると心不全コホートでの有意な増大が示された(p<0.001)。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(57)〕 重ね着にメリットなし、かえって風邪をひくかも-ACE阻害薬とARB併用に効果増強みられず-

 Renin-angiotensine(RA)系抑制薬として、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)そして直接的レニン阻害薬 アリスキレン(商品名:ラジレス)が実用に供されているが、これらのうち2種類の併用を“dual blockade”と称する。最近このdual blockade 治療を検証したONTARGET試験やALTITUDE試験などで、その有用性が相次いで否定されている。 本試験はこれまで発表されたDual Blockade Therapy(DBT)に関する33のランダム化試験約6万8,000人のメタ解析である。その結果は、DBTは単独治療に比べて全死亡を減らすことはなく、高カリウム血症や低血圧、腎不全などの有害事象を増加させたというものである。本試験は、各トライアルの患者の臨床背景が不一致であるというメタ解析一般にみられるlimitationを差し引いても妥当な結果といえよう。 過剰なRA系の抑制は、かえって生体の代償機転を損ねる可能性が示唆されるが、今後保険上の縛りをいれることで、RA系同士の併用が処方されることのないようにわが国の臨床医に啓蒙していく必要があろう。

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エキスパートに聞く!「COPD」Q&A

認知症や寝たきり患者さんのCOPD診断の方法は?この場合、呼吸機能検査や胸部所見もとれませんので厳しい状態ではありますが、換気不全については呼気CO2アナライザーを用いて確認可能です。換気不全があると呼気中CO2濃度は上昇します。間質性肺疾患など拘束性換気障害ではこのような現象はみられませんので、呼気中CO2濃度の上昇は閉塞性障害がベースにあるという根拠になります。長い喫煙歴がありCOPDの肺所見もあるが、スパイロメトリーは正常な患者に対する対応法は?横隔膜の平低化などの画像所見がある方で、スパイロメトリーが正常だということはまずなく、何か異常があるものです。しかし、閉塞性換気障害が確認できない場合でも、咳や痰などの症状がある場合、旧分類ではステージ0とされ、将来COPDになる可能性が高いため、禁煙が推奨されています。また、こういった方たちの進行をいかにして防ぐかというのは今後の課題でもあります。呼吸器・循環器疾患の既往がなく非喫煙者であるものの、スパイロメトリーが異常な患者に対する対応法は?このケースではさまざまな要素が考えられます。閉塞性換気障害があることを想定すると、まず喘息の鑑別が必要です。また、非喫煙者であっても受動性喫煙についての情報をとることも重要です。さらに、胸郭の変形の確認や、日本人にはほとんどいませんがαアンチトリプシン欠損の除外も必要です。それから、もう1つ重要なことは、再検査によるデータの確認です。患者さんの努力依存性の検査ですから、適切に測定されて得られる結果かどうかの確認はぜひとも必要です。COPDと心不全合併症例における治療方針は?原則としてCOPDについてはCOPDの治療を行いますが、薬物療法とともに低酸素血症への酸素投与が重要です。COPDにより誘導される心不全は、基本的には右心不全であり、利尿薬が選択されます。拡張性心不全に準じて、利尿薬とともに利尿薬によるレニン-アンジオテンシン系の刺激作用を抑制するためにACE阻害薬やARBの併用が勧められています。不整脈などの症状が出たら、それに合わせた対応が必要となります。吸入ステロイドを導入するケースは?吸入ステロイド(以下:ICS)はCOPDそのものに対する有効性はあまり認められていません。しかし、急性増悪の頻度を減らすことが認められています。そのため、ICSは増悪を繰り返す際に安定を得るために投与するのが良いと考えられます。また、現在は長時間作用性β2刺激薬(以下:LABA)との配合剤もあり、選択肢が広がっています。LAMA、LABA/ LAMA配合薬、ICS/LABA配合薬の使い分けについて教えてくださいLAMAおよびLABA/LAMAについては、さまざまな有効性が証明されており、COPDの薬物療法のベースとして考えていただくべきだと思います。ICS/LABA配合薬 については、上記ICSの適応症例に準じて、適用を判断していくべきだと思います。また、テオフィリンのアドオンも良好な効果を示し、ガイドラインで推奨されているオーソドックスな方法であることを忘れてはいけないと思います。*ICS:吸入ステロイド、LABA:長時間作用性β2刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬

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抗精神病薬や気分安定薬を服薬中の女性、妊娠・出産のリスクはどの程度?

 女性に対する抗精神病薬や気分安定薬の処方は、妊娠や出産へのリスクを十分に考慮する必要がある。イタリア・ヴェローナ大学のC Barbui氏らは、抗精神病薬服薬中の妊娠可能年齢女性における、妊娠転帰に関するデータをまとめ、発表した。Epidemiology and psychiatric sciences誌オンライン版2013年2月1日号の報告。 イタリア・ロンバルディア州(人口1,000万人、妊娠可能年齢女性175万2,285人)で、抗精神病薬を投与されている統合失調症および双極性障害を有する妊娠可能年齢の女性の割合を算出し、妊娠転帰に関するデータを調査した。精神科医療、薬物療法、妊娠転帰に関するデータは、12ヵ月の国勢調査によるローカル管理データベースから取得した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬または気分安定薬を投与されていた妊娠可能年齢女性は、統合失調症を有する2,893例(すべての統合失調症を有する女性の74.8%)、双極性障害を有する918例(すべての双極性障害を有する女性の80.1%)であった。・有病率は1,000人の女性あたり、統合失調症で1.65(95%CI:1.59~1.71)、双極性障害で0.52(95%CI:0.49~0.55)であった。・催奇形性のある薬剤の継続的投与を受けていたのは、妊娠可能年齢女性1,000人あたり1人であった。・統合失調症女性における妊娠は57例、そのうち正常分娩は23例(40%)であった。双極性障害女性における妊娠は26例、そのうち正常分娩は10例(38%)であった。関連医療ニュース ・抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 ・双極性障害とADHDは密接に関連 ・妊娠中のSSRI服用と死産、新生児・0歳時死亡には有意な関連みられず

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(53)〕 HOPE試験の再来か?ACE阻害薬が間歇性跛行に”降圧を超えた”有効性

ASOによる間歇性跛行を有する症例に対して、ACE阻害薬ラミプリルの6ヵ月投与は、歩行距離、歩行時間、歩行スピードのいずれも改善し、疼痛の軽減させることでQOL改善をもたらしたという論文である。 しかも、これらの改善に対する血圧低下は収縮期/拡張期血圧各々3.1/4.3mmHgと比較的少なく、また高血圧の有無にかかわらずその改善度は同様であった。このことから著者らは、HOPE試験と同じようにACE阻害薬の「降圧を超えた」血管保護効果があったとしている。この程度の血圧低下を、“降圧”とみなすか“降圧以外”とみなすかは判定が難しいが、HOPE試験では診察室血圧の差は軽微であっても24時間血圧、とくに夜間血圧に大きな差がみとめられていた。 本研究では、921例リクルートされた症例から212例のみが登録されており、大多数が登録基準を満たさず脱落している。患者背景では、高血圧患者は50%前後にすぎず、糖尿病患者も25%しか含まれていない。すなわち、冠動脈疾患、腎疾患など他の心血管合併症を有する例やプラセボ治療に耐えることのできない症例はすべて除外されていることになる。 実臨床の世界では、ASO症例は他の心血管合併症を有していることが多く、本試験の結果が実臨床の世界で通用するか否かは不明である。もう一つ、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)でも同様な結果が得られるか否かについて著者らは言及していないが、ACE阻害薬のブラジキニンによる血管拡張効果をWIQスコアの改善と関連づけていることから、ARBでは同様の改善効果は期待できないであろう。 いずれにしても比較的軽症なASO症例では高血圧の有無にかかわらずACE阻害薬の処方が有用であることを示す一つのエビデンスではあろう。

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日本で行われたARBの大規模試験に関する論文が撤回

 1日、欧州心臓病学会の学会誌であるEuropean Heart Journal誌の編集者らは、KYOTO HEART Studyに関する主要論文を同誌から撤回したと発表した。KYOTO HEART Studyは、日本人のハイリスク高血圧患者を対象にARBバルサルタンの追加投与による心血管イベントに対する有用性を検討した大規模臨床試験。編集者らは撤回理由について「この論文に発表されたデータの一部に重大な問題があった」としている。European Heart Journalhttp://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2013/02/04/eurheartj.eht030.full KYOTO HEART Studyについては、昨年12月にもサブ解析結果に関する論文2報が、日本循環器学会の学会誌であるCirculation Journal誌から撤回されていた。

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糖質制限食に警鐘?-20万人以上のメタアナリシスの結果がPLoS ONE誌に発表-

 血糖を上昇させる主たる栄養素は糖質であることから、糖質制限(低炭水化物)食が流行している。これまで糖質制限食が長期予後に及ぼす影響について不明であったが、糖質制限食が死亡リスクを上昇させる危険性を示唆するメタアナリシスの結果を国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らの研究グループがPLoS ONE誌に発表した。 能登氏らは2012年9月までに発表され、その中から該当した9件をメタアナリシスの対象とした。総死亡、心血管疾患死の解析対象例はそれぞれ227,216人、249,272人。総死亡者数は15,981人であり、糖質制限食により総死亡リスクは31%有意に増加した〔調整リスク比 1.31(95%信頼区間=1.08-1.59)、P=0.007〕心血管疾患死亡者数は3,214人であり、糖質制限群で10%増加したが、統計的有意差は認められなかった〔調整リスク比 1.10(95%信頼区間=0.98-1.24)、P=0.12〕。 世間では「糖質制限食」「糖質オフダイエット」など流行になっているが、本研究は長期的な視点で考えた場合、安易な糖質制限は死亡リスクを高める可能性があるという警鐘を鳴らしている。まずは患者さんの食事内容を把握することが肝要だ。 原著論文は下記よりPDFファイルでダウンロードできる。Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studieshttp://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0055030 論文が掲載される前に著者の能登氏に取材しているので、下記も合わせてご覧頂きたい。[関連コンテンツ]今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?http://www.carenet.com/news/prognosis/carenet/33045

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降圧薬2剤併用にNSAIDsを追加併用、30日間は急性腎不全に注意が必要/BMJ

 利尿薬、ACE阻害薬あるいはARB、NSAIDsの組み合わせによる3剤併用制法は、急性腎不全リスクを増大することが、カナダ・Jewish General HospitalのFrancesco Lapi氏らによるコホート内症例対照研究の結果、報告された。リスクは、治療開始から30日間が最も強かったという。著者は、「降圧薬は心血管系にベネフィットをもたらすが、NSAIDsを同時併用する場合は十分に注意をしなければならない」と結論している。BMJ誌2013年1月12日号(オンライン版2012年12月18日号)掲載報告より。2剤併用とNSAIDsを追加した3剤併用療法の、急性腎不全リスク増大との関連を調査 研究グループは、降圧薬の利尿薬、ACE阻害薬あるいはARBの2剤併用療法に、NSAIDsを追加し3剤併用療法とした場合の、急性腎不全リスク増大との関連について調べた。 コホート内症例対照研究の手法を用いた後ろ向きコホート研究で、UK Clinical Practice Research DatalinkとHospital Episodes Statisticsデータベースから一般診療関連のデータを抽出して行われた。 主要評価項目は、直近の2剤または3剤併用療法との関連でみた急性腎不全の発生率[95%信頼区間(CI)]だった。3剤併用療法、開始後30日間の急性腎不全の補正後発生率比1.82 対象は、降圧薬を服用する48万7,372人であった。 平均追跡期間5.9年(SD 3.4)の間に、急性腎不全の発生が特定されたのは2,215件であった(発生率:7/1万人・年)。 全体として、利尿薬、ACE阻害薬、ARBのいずれかと、NSAIDsとの組み合わせによる2剤併用療法の利用者では、急性腎不全発生の増大はみられなかった。補正後発生率比は、利尿薬+NSAIDsは1.02(95%CI:0.81~1.28)、ACE阻害薬またはARB+NSAIDsは0.89(同:0.69~1.15)だった。 一方で、3剤併用療法の利用者では急性腎不全発生の増大がみられた。補正後発生率比は1.31(95%CI:1.12~1.53)だった。 また2次解析の結果、3剤併用療法で最も高率のリスクがみられたのは、使用開始後30日間だった。同期間の補正後発生率比は1.82(95%CI:1.35~2.46)だった(31~60日:1.63、61~90日:1.56、≧90日:1.01。またNSAIDs半減期別では、<12時間:1.29、≧12時間:1.77)。

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長期アスピリン常用と加齢黄斑変性リスクとの関連/JAMA

 アスピリンの常用と加齢黄斑変性(AMD)発症との関連について調査した長期試験の結果、服用期間が5年では有意な関連はみられなかったが、10年では、わずかだが統計的に有意な発症遅延リスクの上昇が血管新生型AMDでみられたことを、米国・ウィスコンシン大学医学部眼科部門のBarbara E. K. Klein氏らが報告した。アスピリンは関節炎などの疼痛緩和や心保護効果があるとして広く使用されている。その使用は、眼科医にとっても関心が高いという。JAMA誌2012年12月17日号掲載報告より。5年ごと20年間の眼底検査結果とアスピリン服用有無との関連を評価Klein氏らは、アスピリンの常用とAMD発生との関連を調べる「Beaver Dam Eye Study」を行った。同試験は、ウィスコンシン州住民ベースの長期にわたる加齢性眼疾患について調査したもので、1988~1990年から2008~2010年の20年間に、検査受診が5年ごとに行われた(ベースラインを含め計5回)。 試験には、ベースライン時に43~86歳の4,926例が参加した。被験者は、その後の調査で、アスピリンを週2回以上、3ヵ月以上服用しているかを質問された。 主要評価項目は、AMD発症が早期(ターゲット受診日より6ヵ月以上前)、遅延期(ターゲット受診日後6ヵ月以降)、および遅延期の2タイプの発症(血管新生型AMD、萎縮型AMD)とした。評価は、Wisconsin Age-Related Maculopathy Grading Systemによる眼底検査に基づき行われた。10年常用とわずかだが有意な血管新生型AMD発症とが関連 平均追跡期間は14.8年だった。試験全体で、早期AMD発症は512例(6,243人・受診につき)、遅延期AMD発症は117例(8,621人・受診につき)であった。 眼底検査前のアスピリン常用が10年で、AMDの遅延期発症と有意な関連がみられた[ハザード比(HR):1.63、95%信頼区間(CI):1.01~2.63、p=0.05]。 また、アスピリン10年常用は、AMDのタイプ別にみると、血管新生型AMDとの有意な関連がみられたが(HR:2.20、95%CI:1.20~4.15、p=0.01)、萎縮型との関連はみられなかった(同:0.66、0.25~1.95、p=0.45)。 一方で、アスピリン10年常用と早期AMDとの関連はみられなかった(HR:0.86、95%CI:0.65~1.13、p=0.28)。また早期AMDは、アスピリン5年常用でも関連はみられなかった(同:0.86、0.71~1.05、p=0.13)。アスピリン5年常用は、遅延期AMDとの関連もみられなかった(同:0.91、0.57~1.46、p=0.69)。 上記の結果について著者は、確証のためのさらなる試験が必要だと述べるとともに、「もし、アスピリン常用と血管新生型AMD発症との関連が確認されたら、アスピリンを常用する、とくに心血管疾患を有する人での血管新生型AMDの予防あるいは遅延のために、原因メカニズムを明らかにし、アスピリンの影響を遮断するための手法を開発しなければならない」とまとめている。

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聖路加GENERAL 【腎臓内科】

第1回「CKD」第2回「尿異常の検査方針」第3回「高カリウム血症」第4回「急性腎障害(AKI)」 第1回「CKD」健診で、腎機能低下を指摘され、精査を指示された65歳の女性。糖尿病で通院しているが、今まで腎臓については何も言われたことがありませんでした。検査の結果、Cr値がやや高めである以外は、特に異常はありません。しかし、このCr値を元に推算GFR推算式によってeGFRを求めてみると、意外に腎機能が低下しているらしいということがわかりました。放置すれば、約5年で人工透析という予測結果です。腎疾患の治療の目的は、まず腎機能の低下を抑えることです。腎機能は年齢とともに低下しますし、糖尿病患者では、健常な人の約10倍も低下の速度が高くなります。また、CKDは、腎臓のみならず心血管事故を起こす可能性もあります。特に欧米では、透析適応になるより、その前に心疾患で死亡する方が多いという報告もあります。まずは、自覚症状が少ないため見逃しがちなCKDについて、その診断方法と、適切な治療によって悪化を抑え、腎不全と心血管事故を防ぐための方法をお伝えします。第2回「尿異常の検査方針」健診で尿潜血と尿蛋白を指摘された28歳の男性。健診で見つかる血尿は、尿潜血反応によるもので、実際に血尿があるかどうかは顕微鏡による尿沈査検査によって確認します。実際、健診においては、3〜10%という高率で顕微鏡的血尿が見つかります。これら全員を泌尿器科に送るわけにもいきません。そこで、まず泌尿器悪性腫瘍を除外します。特に、40歳以上の男性、喫煙歴などはリスクファクターになりますので、さらに検査を進めます。そして、さらに尿蛋白も陽性だった場合、IgA腎症などの慢性糸球体腎炎の可能性が高くなります。IgA腎症は、約30%が将来的に腎不全に至ると言われており、早期発見、早期対処が求められます。この他にも、血尿と尿蛋白が出るさまざまな例について解説します。また、尿蛋白を定量するための蛋白クレアチニン比の算出方法についても、具体的な事例を用いて解説します。第3回「高カリウム血症」数日前から感冒、発熱のある65歳の男性。知人からいただいたスイカを2個食べたところ、全身脱力、筋力低下が強まり歩行困難となって受診。実は、昔から腎臓によいとされているスイカは、豊富にカリウムを含んでおり、高カリウム血症の患者にとってはとても危険。それ以外にも、糖尿病性腎症、横紋筋融解症などの既往、ARB、Nsaidsなどの薬剤など、高カリウム血症に悪影響を及ぼす要因はさまざまです。高カリウム血症への対応において、最も重要なのは不整脈を起こさないということです。そのために、積極的に心電図を活用します。治療については、一時的に細胞内へカリウムを移動する方法、体外にカリウムを排泄する方法があります。程度に応じた治療法について、具体的に丁寧に解説します。第4回「急性腎障害(AKI)」痛風、高血圧の既往歴があり、全身倦怠感と嘔気を主訴に来院した55歳男性。血清クレアチニン値が高い場合、最初にやることは、それが慢性腎臓病(CKD)なのか、急性腎障害(AKI)なのかを鑑別することです。ところが、いつからCr値が上がったのか、なかなかわからないことが多いと思います。過去の健診のデータ、前医のカルテなどが入手できればよいですが、それも難しい場合は身体所見と病歴聴取から推測します。AKIの診察のポイントは、腎前性、腎性、腎後性に分けて考えることです。特に、腎前性と腎後性は重症化する場合がありますので、見逃してはいけません。他に気を付けなければならないものとして、造影剤腎症があります。腎機能が低下している患者に造影剤を使ってよいかどうか・・・。そんな現場の悩みにも、小松先生が丁寧に答えてくださいます。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(42)〕 リアルワールドでのRAS阻害薬投与は左室駆出率保持の心不全の予後を改善する可能性

左室駆出率保持の心不全(HFPEF)患者の予後を改善する薬剤は見つかっていない。J-DHF試験はβ遮断薬の有用性を示唆したが、ACE阻害薬のPEP-CHF試験、ARBのCHARM-Preserved試験やI-PRESERVE試験などの無作為化大規模試験で有用性は示されなかった。しかし、臨床試験における患者の年齢や疾患分布がリアルワールドと異なるため、パワー不足となった可能性が示唆されていた。 今回の研究は、大規模前向きコホート研究でRAS阻害薬投与がHFPEF 患者の1年生存率を有意に低下することが示されたという貴重な報告である。 スウェーデンの心不全登録において、EF40%以上で定義したHFPEFの1万6,216例(平均75歳)のうち77%がRAS阻害薬投与を受けていた(ACE阻害薬:ARB=3:1)。Propensity(傾向)スコアをマッチさせたコホートでは、RAS阻害薬治療群で非投与群と比べて9%死亡が有意に低下し、年齢補正のみを行ったコホートでも同様であった。また、目標投与量50%超群でのみ有意な死亡率の低下がみられた。 従来の結果との違いは拡張不全の定義に起因する。収縮機能障害と拡張機能障害は(とくにEF40~49%で)併存するため、HFPEFはEFのみで定義される雑多な病因の集合体である。しかし、HFPEFの試験は割り付けが難しいため弁膜症を除外してきた。本研究は弁膜症を3割程度、虚血性心疾患を45%含んでいた。また、予想通り全体の4~5割を占めるEF40~49%の患者でのみRAS阻害薬投与が有効で、EF50%以上では有効ではなかった。 著者らは同様の手法でARB同士の比較をして物議をかもしたが、患者背景に差はないかが問題となった。Propensityスコア解析でバイアスを完全に除外することは不可能であるため、HFPEFの予後を改善する薬が見つかったと結論付けることはできない。

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ARBの長期使用はがんのリスクを増大させるか?

 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の長期使用とがんとの関連については、ランダム化比較試験や観察研究のメタアナリシスで矛盾した結果が報じられており、物議を醸している。 カナダのLaurent Azoulay氏らは、ARBが4つのがん(肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん)全体のリスク増大に関連するかどうかを判断し、さらにそれぞれのがん種への影響を調べるため、United Kingdom General Practice Research Databaseにおいてコホート内症例対照解析を用いて後ろ向きコホート研究を行った。その結果、ARBの使用は4つのがん全体およびがん種ごとのいずれにおいても、リスクを増大させなかったと報告した。PLoS One 誌オンライン版2012年12月12日号に掲載。 本研究では、1995年(英国において最初のARBであるロサルタンの発売年)から2008年の間に降圧薬を処方された患者コホートを2010年12月31日まで追跡調査した。 症例は、追跡調査中に新たに肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんと診断された患者とした。ARBの使用と利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用とを比較して、条件付きロジスティック回帰分析を行い、がんの調整発生率比(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートには116万5,781人の患者が含まれ、4万1,059人の患者が4つのがん種のうちの1つに診断されていた(554/100,000人年)。・ARBの使用とがんの増加率は、利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用と比較し、4つのがん全体(RR:1.00、95%CI:0.96~1.03)、およびがん種ごとのどちらにおいても関連が認められなかった。・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)とCa拮抗薬(RR:1.19、95%CI:1.12~1.27)の使用が、それぞれ肺がんの増加率と関連していた。 著者は、「ACE阻害薬とCa拮抗薬による肺がんの潜在的なリスクを評価するためにさらなる研究が必要」としている。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(40)〕 RA系抑制薬同士の併用はメリットなく、むしろ有害

レニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬としては、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)および直接的レニン阻害薬(アリスキレン)があるが、これまでONTARGET試験などで、ACE阻害薬とARBの併用は、ACE阻害薬単独に比べて心血管合併症予防効果が認められず、むしろ有害事象が増加するのみという結果が示されている。今回の結果も、RA系抑制薬同士の併用はメリットがなく、有害であることを明瞭に示した点で意義のある試験である。 このトライアルを企画した意図としては、本試験のプロトコールどおり、すでにACE阻害薬あるいはARBを服用している高血圧または高リスク症例に対して、アリスキレンを上乗せすることで、さらなるメリットが得られる可能性を期待していたと思われる。しかし、本試験の結果は直接的レニン阻害薬の存在意義そのものが危うくなる結果であり、期待は大きく崩れた。 対象例のうち、より高リスクの症例では、より多くの降圧薬に加えて抗血小板薬やスタチン薬が処方されている。しかも、対象症例の試験開始時点の収縮期血圧140mmHg以上は40.8%、拡張期血圧85mmHg以上は12.2%にすぎないということは、血圧管理もかなりなされていることになる。さらに、アリスキレン追加群の血圧下降度について、プラセボ群と比べて群間差が収縮期血圧1.3mmHg/拡張期血圧0.6mmHgということから、追加によってもさらなる降圧が見込めるわけではないことも示した。 むしろRA系同士の併用は、高カリウム血症という危険な有害事象を招く可能性があることを教えてくれた貴重なトライアルである。 やはり降圧薬併用の基本は、降圧機序の異なる薬剤同士を少量ずつ組み合わせことである。 今後、この試験の結果はガイドラインでもきちんと活かされ、かつ保険上でも併用禁忌として記載され広く臨床医に周知されるべきである。

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2型糖尿病に対するアリスキレン追加投与/NEJM

 慢性腎臓病もしくは心血管疾患、または両方を有し標準的治療(ACE阻害薬またはARB)を受ける2型糖尿病の患者に対する、直接的レニン阻害薬アリスキレン(商品名:ラジレス)追加投与に関する試験の結果が報告された。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans-Henrik Parving氏らが、8,500人超について行ったプラセボ対照二重盲無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2012年12月6日号(オンライン版2012年11月3日号)で発表された。ACE阻害薬またはARBにアリスキレン1日300mg投与またはプラセボを追加投与 研究グループは2007~2010年にかけて、36ヵ国の医療機関を通じ、2型糖尿病の患者8,561人を無作為に2群に分け、ACE阻害薬またはARBに加えて、一方にはアリスキレン(1日300mg)を、もう一方にはプラセボを併用投与し比較検討した。 主要エンドポイントは以下の複合イベントで、心血管死または初回心停止(その後蘇生)までの期間、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による予定外入院、末期腎不全、腎不全起因の死亡、腎代替療法必要性の発生(透析および移植が不可能または非導入)、血清クレアチニン値のベースラインからの倍増だった。 被験者の平均年齢は64~65歳、女性は31~33%だった。心血管・腎イベント発生率を比較 試験は、第2回中間効果解析後に早期に中止された。追跡期間の中央値は32.9ヵ月で、その間、主要エンドポイントが発生したのは、アリスキレン群783例(18.3%)、プラセボ群732例(17.1%)だった(ハザード比:1.08、95%信頼区間:0.98~1.20、p=0.12)。腎機能に関する副次エンドポイントは、6.0%vs. 5.9%(同:1.03、0.87~1.23、p=0.74)だった。 収縮期・拡張期血圧は追跡期間中に上昇したが、アリスキレン群がプラセボ群より低く、群間格差はそれぞれ1.3mmHgと0.6mmHgだった。平均アルブミン-クレアチニン比の減少幅も、アリスキレン群がプラセボ群より大きく、群間格差は14ポイント(同:11~17)だった。 血清カリウム値が6mmol/L以上となる高カリウム血症は、11.2%vs. 7.2%、低血圧症は12.1%vs. 8.3%だった(p<0.001)。 研究グループは試験結果を受けて、2型糖尿病患者へのアリスキレンの標準的治療への追加投与の有効性は支持されず、むしろ有害の可能性があると結論している。

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左室駆出率保持の心不全へのRAS阻害薬投与は全死因死亡を低下/JAMA

 左室駆出率保持(≧40%)の心不全(HFPEF)患者に対するレニン-アンジオテンシン系(RAS)拮抗薬投与は、全死因死亡率を低下することが明らかにされた。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLars H. Lund氏らが、同国の心不全患者レジストリからHFPEF患者を前向きに追跡し報告した。HFPEFは、左室駆出率低下の心不全(HFREF)と同程度の高い頻度と致死性の可能性を有している。ACE阻害薬またはARB(すなわちRAS阻害薬)の3つの無作為化試験では、主要エンドポイントを達成しなかったが、選択バイアスがかかりパワー不足となった可能性があったことから、研究グループはあらためて、HFPEFの任意抽出集団における前向き研究で、RAS拮抗薬投与により全死因死亡は低下するとの仮説について調べた。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。RAS治療群と非治療群のHFPEF(EF≧40)患者1万6,216例を前向きに検討 前向き研究は、2000~2011年にスウェーデン国内64病院と84の外来クリニックから4万1,791例が参加したSwedish Heart Failure Registryの参加者を対象に行われた。 参加者のうち、HFPEF(EF≧40)の患者(EF保持HFコホート)1万6,216例[平均年齢(SD)75±11歳、女性46%]が、RAS阻害薬投与(1万2,543例)または非投与(3,673例)のいずれかの治療を受けた。 43の変数でRAS阻害薬投与に関する傾向スコアを調べ、主要評価項目の全死因死亡との関連を、年齢、傾向スコア1対1適合コホートで評価した。また、連続共変量の傾向スコアで補正した全コホートにおける評価も行った。 整合性、年齢別、傾向スコア適合評価の解析は、RAS阻害薬投与量に即したものと、同レジストリのHFREF(EF<40%)患者(EF低下HFコホート)2万111例において行った。1年生存率が治療群で有意に低下 EF保持HF適合コホートでは、1年生存率は、治療群77%[95%信頼区間(CI):75~78]、非治療群72%(同:70~73)で、治療群で有意な低下がみられた[ハザード比(HR):0.91、95%CI:0.85~0.98、p=0.008]。 EF保持HF全体コホートでは、1年生存率は、治療群86%(同:86~87)、非治療群69%(同:68~71)で、治療群で有意な低下がみられた(傾向スコア補正HR:0.90、95%CI:0.85~0.96、p=0.001]。 EF保持HFコホートのRAS投与量別解析では、目標投与量50%超群は非投与群と比べて有意な低下がみられた(HR:0.85、95%CI:0.78~0.83、p<0.001)。一方、目標投与量50%未満群は非投与群と比べて有意差はみられなかった(同:0.94、0.87~1.02、p=0.14)。 年齢、傾向スコアを適合させたEF低下HFコホートの解析では、治療群が非治療群と比べて全死因死亡の有意な低下が確認された(同:0.80、0.74~0.86、p<0.001)。

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CKD患者の血圧管理:ARBで降圧不十分な場合、増量か?併用か?

 CKD患者の血圧管理においてARB単剤で降圧目標130/80mmHg未満に到達することは難しい。今回、熊本大学の光山氏らは、日本人対象の無作為化比較試験のサブ解析の結果、ARB単剤で降圧不十分時にARBを増量するより、Ca拮抗薬を併用したほうが心血管系イベントや死亡といったリスクを回避しやすいことを示唆した(Kidney International誌オンライン版10月10日号掲載報告)。 ARBを低用量から開始し、通常用量まで増量しても降圧目標に達しないケースでは次にどのような一手を打つべきか? さらに増量する方法のほか、Ca拮抗薬など他の降圧薬の追加も選択肢となる(『CKD治療ガイド2012』では尿蛋白を伴わず、糖尿病を合併していない場合は「降圧薬の種類を問わない」とされている)。 サブ解析は、無作為化オープン試験OlmeSartan and Calcium Antagonists Randomized(OSCAR)試験について行われた。OSCAR試験では心血管疾患もしくは2型糖尿病を1つ以上有する日本人の高齢者(65~85歳)高血圧患者1,164例を対象とし、ARB増量群(オルメサルタン40mg/日)あるいはARB+Ca拮抗薬併用群(オルメサルタン20mg/日+Ca拮抗薬)に無作為化された。今回のサブグループ解析の対象は、事前に設定されていたCKD患者(eGFR 60 mL/min/1.73 m2 未満)である。 主要評価項目は「心血管系イベント」および「非心血管疾患死」。心血管系イベントは「脳血管障害」「冠動脈疾患」「心不全」「その他動脈硬化性疾患」「糖尿病性合併症」「腎機能の悪化」と定義された。なお、本試験については、すでに2009年に小川氏(熊本大学)らによって主要結果が発表されている(Hypertens Res. 2009;32:575-580.)。 主な結果は下記のとおり。・血圧は併用群で増量群に比べ、有意に低下。・主要評価項目の発生率は併用群(16例)で増量群(30例)より少なかった(ハザード比 2.25)。・脳血管障害および心不全イベントが増量群でより多く発生した。

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歩行補助器具の使用は変形性膝関節症に影響を与えるか

 高齢になると男女ともに歩行補助器具を使用する頻度が高く、使用開始の有意な理由は膝の痛みとバランスの問題であることが、米国・退役軍人医療センターのCarbone LD氏らによる「Health ABCスタディ」の前向きコホート研究から明らかとなった。本検討では、歩行補助器具と膝の痛みスコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連は認められなかったが、著者はさらなる研究で、変形性膝関節症の進行と歩行補助器具使用との関連について調べる必要があると述べている。Arch Phys Med Rehabil誌オンライン版2012年10月4日号の掲載報告。 歩行補助器具(AWD)の使用発生を予測する因子を特定すること、AWD使用が変形性膝関節症の変化と関連しているかを調べることを目的とした。 Health ABC(Aging and Body Composition)スタディに参加した2,639例の高齢者を対象とし、AWD使用開始について追跡した。対象のうち、いわゆる膝痛がある人(サブセット)は874例だった。 主要評価項目は、追跡3年間における、AWD使用開始、疼痛スコアWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)の平均値、X線で認められた膝関節腔の狭小化の頻度だった。 主な結果は以下のとおり。・AWD使用開始は、Health ABC全コホートで9%、膝痛サブセットで12%であった。・両グループにおいて使用開始が予想された因子は、年齢が73歳超[全コホートOR:2.07(95%CI:1.43~3.01)、膝痛サブセットOR:1.87(95%CI:1.16~3.03)]、黒人[各々OR:2.95(2.09~4.16)、OR:3.21(2.01~5.11)]、バランス機能が低率[各々OR:3.18(2.21~4.59)、OR:3.77(2.34~6.07)]だった。・平均WOMAC疼痛スコアは、AWD使用群とAWD非使用群いずれにおいても、時間とともにわずかに低下した。・AWD使用群28%、AWD非使用群20%で、少なくとも片膝における脛骨大腿関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・AWD使用群12%、AWD非使用群14%で、少なくとも片膝における膝蓋大腿骨関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・探索的解析において、AWDとWOMAC疼痛スコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連性は認められなかった。

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検証!向精神薬とワルファリンの相互作用

ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用について、米国・ボストン大学医療センターのNadkarni A氏らが最新の文献レビューを行い、「特定の症例では、服用する向精神薬によって抗凝固療法を変更しなければならない可能性がある」ことを報告した。承認される向精神薬が増加し、ワルファリン療法を受けている患者が同時服用する可能性が増えている。しかし、ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用に関する直近の文献レビューは10年以上前のものしかなかった。Pharmacotherapy誌2012年10月号の報告。 ワルファリンは肝代謝を受けタンパク質との結合が高く、そのためとくに薬物相互作用を受けやすい。加えて、投与される患者は出血や血栓性合併症のリスクがあるなど他の治療と比べて狭い領域をターゲットにしている。そこで、ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用について記述された文献のシステマティックレビュー(MEDLINEを使用)は、チトクロームP450代謝システムと蛋白結合を介して伝達される相互作用に焦点を合て検証した。主な結果は以下のとおり。・ワルファリンと向精神薬の間には重大な相互作用があるが、過小評価されている傾向が示唆された。・これらの相互作用は、安全性と服薬コンプライアンスの両方に対して顕著な影響を及ぼしていた。・ワルファリン療法を受けている患者に特定の向精神薬が投与開始もしくは中止されるとき、あるいは向精神薬の安定投与を受けている患者にワルファリン療法が導入されるとき、臨床医は患者の国際標準比(INR)をモニタリングする必要がある。・ワルファリンとの併用でINRが増大する特定のリスクを引き起こす向精神薬は、フルオキセチン、フルボキサミン、クエチアピン、バルプロ酸などであった。・ワルファリンとの併用でINRを有意に減少させる可能性がある向精神薬としては、トラゾドン、セイヨウオトギリソウ、カルバマゼピンなどがあった。・タバコ成分中の多環芳香族炭素(polycyclic aromatic carbons)もINRを有意に減少させる可能性があった(ただし、ニコチン自体がニコチン置換療法のように、ワルファリンの抗凝固効果を変化させることは知られていない)。関連医療ニュース ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか?

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(24)〕 安定狭心症に対する最適治療法の決定に冠血流予備量比(FFR)は有用な検査法である

経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が、急性冠症候群の予後改善に有効な治療法であることについては異論のないところである。しかしながら、安定狭心症に対するPCIの適用に関しては未解決な問題が多い。歴史的には選択的冠動脈造影手技が確立されたことにより、冠動脈疾患の診断・治療が長足の進歩を遂げたことは周知の事実である。しかし、冠動脈造影では、X線シネ血管撮影装置と造影剤を使用してイメージインテンシファイアー上に冠動脈イメージを映し出し、狭窄の程度を判読している。それゆえ、狭窄の程度を正確に評価するうえで、冠動脈造影だけでは必ずしも十分でない症例も存在する。 FFR測定は、冠動脈狭窄病変が心筋虚血を引き起こすか否かを機能的に評価することを可能にした有用な検査である。心筋虚血を生じない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施することの有害性を十分に認識することは、治療方針を正しく決定するために必要である。本研究では、安定狭心症で冠動脈造影所見からPCI治療が適用であると判断された患者について、FFR値が少なくとも1つの狭窄病変において0.80以下であれば無作為に対象症例を2群[薬物治療群(最適薬物療法のみ)、PCI群(PCI+最適薬物療法)]に振り分けた。すべての狭窄を有する冠動脈病変のFFR値が0.80を超えている症例については、PCIを実施せず最適薬物療法のみを行い、試験に登録のうえ、その50%が無作為に抽出された2群と同様にフォローアップされた。 倫理的理由により追跡期間が短いのが気になるが、この期間での一次複合エンドポイント発生率(死亡率、非致死性心筋梗塞発症、2年以内に起こる予期せぬ緊急血行再建のための入院)は薬物治療群で12.7%、PCI群で4.3%であり、PCI群で有意に低かった。とりわけ、緊急血行再建術実施率がPCI群で有意に低率であった(薬物治療群 11.1% vs PCI群 1.6%)。FFR値が0.80を超えていた群での複合イベント発生率は3.0%と最も低値であったが、PCI群との間には有意差はなかった。 短期のフォローアップのみの成績であるために、長期的PCI治療の成績を保証するデータでないことを考慮することも重要である。また、FFR値が0.80超の狭窄病変に対して、最適薬物療法のみで治療した群で複合イベント発生率が低かった事実は大きな意味を持つ。つまり、心筋虚血を引き起こさない程度の狭窄病変に対して、むやみやたらにPCIを実施すべきではないことを肝に銘じるべきである。本研究は、少なくとも1ヵ所以上の主冠動脈狭窄病変でFFR値が0.80以下である場合について、PCI施行後とりわけ8日以降から追跡終了までの期間で一次複合エンドポイント(とくに緊急血行再建)に関して、PCI+最適薬物療法の併用が最適薬物療法単独よりも優れているとの結果であった。安定狭心症では無用なPCIを行わないよう心がけることを頭に叩き込んでおいてほしい。メモ1.PCIには第2世代の薬物溶出ステントが使用された。2.最適薬物療法は、アスピリン、β遮断薬(メトプロロールほか)、Ca拮抗薬/長時間作用型亜硝酸製剤、RA系阻害薬(リシノプリルほかACE阻害薬、副作用があればARB)、スタチン(アトルバスタチン)、エゼチミブの多剤併用投与を意味していると理解できる。3.クロピドグレルはステントを植え込み群でのみ使用された。4.本研究では最適薬物療法の中に看護ケア、生活習慣の改善は含まれていなかった。5.すべての群で喫煙者は至適禁煙指導を受け、糖尿病を有する患者は専門的至適治療が行われた。

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