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服用〇時間以内が勝負、アセトアミノフェン中毒【中毒診療の初期対応】第12回

<今回の症例>年齢・性別18歳・女性患者情報早朝7時、母親が患者を部屋に起こしに行くと、机の上に市販薬(総合感冒薬)の空瓶3本を発見した。患者は呼びかけに覚醒して、市販薬を過量服用したことを認めたため、8時に救急センターに搬送された。初診時は、気道開通、呼吸数20/分、SpO2 99%(室内気)、血圧112/64mmHg、心拍数96bpm、意識レベルJCS 0、瞳孔 左右3.5mm同大、対光反射+、体温36.8℃であった。患者の意思疎通は良好で、嘔気以外の訴えはなかった。患者は「何件かのドラッグストアを回って購入した市販薬を服用して死のうと思って4時ごろにまとめて飲んだ」と話していた。患者の服用した市販薬の空瓶の表示から、患者はアセトアミノフェンを計39g服用したと推定された。なお、患者の体重はおよそ50kgであった。検査値・画像所見末梢血では、WBC 8.40×103/mm3、Hb 14.6g/dL、Ht 44.8%、Plt 183×103/mm3、生化学検査では、TP 7.2g/dL、AST(GOT)20IU/L、ALT(GPT)14IU/L、LDH 122IU/L、CPK 107IU/L、AMY 82IU/L、Glu 98mg/dL、BUN 10.5mg/dL、Cr 0.62mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 102mEq/L、血液凝固検査では、PTT 11.6秒、PT% 98%、PT-INR<1.00、APTT 28.8秒、FIB 408mg/dL、アセトアミノフェンの血中濃度は604.8μg/mLであった。尿中薬物簡易スクリーニングキットではオピオイド類(OPI)およびアンフェタミン類(AMP)が陽性であった。<問題1><解答はこちら>解毒薬の投与入院後の経過アセトアミノフェンの中毒量は150mg/kg以上であるので、体重50kgの患者の中毒量は7.5g以上である。従って、患者は中毒量をはるかに超える量(39g)を服用していた。さらに、血中濃度を図1に示すSmilksteinらのノモグラム(治療線)にプロットしたところ、解毒薬による治療を要すると判断された。ただちにN-アセチルシステイン(NAC、商品名:アセチルシステイン内用液17.6%)40mLを約200mLのジュースで希釈して患者に経口投与した。入院での経過観察とし、さらに4時間後よりNAC 20mLを約100mLのジュースで希釈し、4時間ごとに計17回経口投与した。第5病日にALTは524IU/Lまで上昇したが、その後は速やかに低下し、第14病日に後遺症なく精神科病棟に転棟となった。(図1)Smilksteinらのノモグラム画像を拡大する<問題2><問題3><解答・解説はこちら>問題2:ジヒドロコデイン問題3:dl-メチルエフェドリン市販薬の過量服用患者では、アセトアミノフェン以外にも尿中薬物簡易スクリーニングキットで、鎮咳成分として含有されているジヒドロコデインによりOPIが、dl-メチルエフェドリンによりAMPが陽性になることがあるので、結果の解釈には注意が必要である。中毒のメカニズムと臨床症状アセトアミノフェンには解熱・鎮痛作用があり、処方薬のみならず、総合感冒薬などの市販薬にも含有されている。アセトアミノフェンは消化管より吸収されると、大部分は肝臓でグルクロン酸または硫酸抱合されて尿中に排泄されるが、一部分はCYP2E1などによって代謝されて、中間代謝物であるN-acetyl-p-benzoquinone imine(NAPQI)となり、速やかに肝細胞内のグルタチオンと結合して解毒される。アセトアミノフェンの過量服用では、グルクロン酸抱合および硫酸抱合が飽和してグルクロン酸および硫酸が枯渇するために、CYP2E1などによる代謝に移行してNAPQIの産生が増加する。この結果、グルタチオンの消費が亢進してグルタチオンが枯渇すると、処理しきれなくなったNAPQIが肝細胞蛋白のSH基などに結合して肝細胞壊死などをもたらす。表1に示すように急性アセトアミノフェン中毒では遅発性に肝障害が生じるのが特徴で、症状の経過は4相に分けることができる。(表1)急性アセトアミノフェン中毒の症状の経過画像を拡大する図2に示すように、アセトアミノフェン中毒の解毒薬であるNACは肝臓で代謝されてシステインとなり、細胞内に取り込まれて、グルタチオンの代わりに肝毒性のあるNAPQIと結合してこれを解毒する。また、NACは、システインを含むトリペプチドであるグルタチオンの前駆物質として、グルタチオンの貯蔵を増加させる。アセトアミノフェンの単回の過量服用では、摂取後4時間以降の血中濃度を測定し、Smilksteinらのノモグラム(治療線)より上にあるかを確認する。血中濃度が測定できない場合は、150mg/kg以上の過量服用を確認次第、NACを投与する。NAC療法は服用後8~10時間以内に開始するのが最も有効である。8~10時間以降では有効性は時間とともに低下するため、遅くても24時間以内に開始することが望ましい。(図2)NACによる解毒のメカニズム画像を拡大する初回はNAC140mg/kgを経口投与し、以後は70mg/kgを4時間ごとに計17回(72時間)経口投与する。本症例のように、体重50kgであれば初回は40mL(2A)をジュース類または水で200mL程度に希釈し、以後は20mL(1A)を100mL程度に調整して4時間ごとに17回経口投与する。なお、NAC投与により悪心・嘔吐の副作用がしばしば生じるので、NACを経口投与する際は、メトクロプラミドなどの制吐薬の投与も考慮される。ちなみに、本症例では服用4時間後に搬送されているので、胃洗浄や活性炭の投与などの消化管除染法は有効ではない。また、尿のアルカリ化は、アスピリン吸収後に加水分解されて産生されるサリチル酸などのように、尿中排泄される弱酸性物質には有効な可能性があるが、アセトアミノフェンには有効ではない。このほか、アセトアミノフェン中毒は単回の過量服用ばかりではなく、治療用量を超える量の繰り返し服用でも生じること、服用後何日か経過して肝障害や急性肝不全が生じてから受診する場合はアセトアミノフェンが血中から検出されないことなどにも注意が必要である。 1) 上條 吉人編. 臨床中毒学 第2版. 医学書院. 2023. 2) Rumack BH, et al. Arch Intern Med. 1981;141:380-385. 3) Smilkstein MJ, et al. N Engl J Med. 1988;319:1557-1562.

2.

人工膝関節全置換術でのロボットアーム支援は有益か/Lancet

 人工膝関節全置換術(TKR)の補助として、ロボットシステムの使用が増加しているが、このシステムがTKR後のアウトカムを改善するかは不明とされる。英国・University of WarwickのHelen Parsons氏らは「RACER-Knee試験」において、進行性変形性膝関節症の治療では、ロボットアーム支援型TKR(rTKR)は従来型TKR(cTKR)と比較して費用が高く、臨床的に意義のある有益性をもたらさず、安全性プロファイルは両群でほぼ同様であることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年9月5日号に掲載された。英国の無作為化対照比較優越性試験 RACER-Knee試験は、英国の10の病院(外科医33人)で実施した実践的な参加者・評価者盲検無作為化対照比較優越性試験(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価[HTA]プログラムの助成を受けた)。2021年12月~2023年12月に、年齢18歳以上、TKRが適応の変形性膝関節症で、保存的治療を行っても症状が持続している患者を登録した。 被験者339例(年齢中央値68.8歳[四分位範囲[IQR]:61.3~75.2]、女性167例[49%])を、rTKRを受ける群(168例)またはcTKRを受ける群(171例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無作為化から12ヵ月の時点におけるForgotten Joint Score(FJS)とし、目標値として12点の差を事前に規定した。FJSは、12の質問項目から成る患者報告アウトカムであり、0(最も不良:置換した人工関節をつねに意識する)~100(最も良好:置換した人工関節をまったく意識しない)点で評価した。1年後の平均FJSに有意差はない ベースラインのBMI中央値は、rTKR群が32.0(IQR:28.0~35.2)、cTKR群が31.6(IQR:27.9~35.3)、平均FJSはそれぞれ9.0(SD 10.3)点および9.2(SD 10.8)点であった。12ヵ月時の主要評価項目のデータは312例(92%)から得た。33人の外科医は年間に中央値で69件(範囲:17~256)の膝関節置換術を経験していた(2024年の英国全体の中央値は年間37件)。 12ヵ月の時点で、平均FJSはrTKR群が49.2(SD 28.4)点、cTKR群は50.2(SD 29.9)点であった。補正後平均群間差は-1.5点(95%信頼区間[CI]:-7.5~4.5)と両群間に有意な差はなく(p=0.62)、むしろcTKR群のほうが良好であった。 院外の副次評価項目(3、6ヵ月時のFJS、6週、3、6、12ヵ月時のQOLなど)および院内の副次評価項目(術後1~3日目の患側膝の疼痛、術後1~3日目のオピオイドの総使用量、退院までの時間など)にも、有意差は認められなかった。重篤な有害事象は各群16例で1件 両群とも16例で1件の重篤な有害事象が発現した。このうち6例(rTKR群4例、cTKR群2例)が手術部位の感染症関連であった。rTKR群の21例(13%)およびcTKR群の16例(9%)で、少なくとも1件の有害事象を認めた。 初回入院時の費用は、cTKR群に比べrTKR群で高く(平均群間差:994.55ポンド、95%CI:795.04~1,194.06)、これは主にロボットシステムの費用によるものであった。 また、支払意志額(willingness-to-pay:WTP)の閾値を1QALY獲得当たり1万5,000、2万、3万ポンドに設定した場合に、rTKRが費用効率に優れる確率は、それぞれ0.27%、0.87%、4.2%であり、金銭的な純便益はいずれも損失のほうが大きかった(それぞれ-1,002ポンド、-1,019ポンド、-1,052ポンド)。 著者らは、「FJSの平均差は小さく(-1.5点、cTKRで良好な傾向)、95%CIは目標としたFJSの差である12点を包含していなかったことから、本試験で実施されたrTKRは、cTKRに比べ臨床的に意義のある有益性を持つとのエビデンスは得られなかった」としている。

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オピオイド処方率、抜き打ち審査が影響/BMJ

 米国では1996年、「痛みは第5のバイタルサイン」との概念が導入され、それ以降、疼痛を測定・治療するための体系的な取り組みが、オピオイドの処方行動にどの程度の影響を及ぼすかについて議論がなされてきたが、これを実証的に研究することは困難とされる。米国・マサチューセッツ総合病院のDavid C. Cron氏らは、病院医療の質と安全に関する認証機関であるThe Joint Commission(TJC)による、抜き打ち訪問審査の期間中に教育病院に入院した患者では、退院時のオピオイド処方率が、同審査のない期間に比べて高いのに対し、非教育病院ではこのような差は生じないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年8月19日号に掲載された。米国の準実験的解析 研究グループは、TJCが2~3年ごとに予告せずに行う幅広く厳密な訪問審査(入院患者の疼痛管理の実践に関する体系的な評価を含む)と、退院時のオピオイド処方との関連を評価する目的で準実験的解析を実施した(米国医療研究品質庁[AHRQ]の助成を受けた)。 TJCによる訪問審査日に近い時期に入院し、入院前の90日間にメディケア・パートDにオピオイドの支払請求履歴がないメディケア受給者23万3,744件(2,490病院)の入院記録を解析の対象とした。 主要評価項目は、訪問審査期間中のオピオイド処方(入院日から退院後7日目まで)とした。退院時のオピオイド処方率(受給者1例当たりの週ごとの処方)を、審査前後の±3週間の処方率と比較することで、入院患者の疼痛管理の実践が精査される審査週に、退院時のオピオイド処方が増加したか否かを評価した。教育病院のオピオイド処方率、審査週9.6%vs.非審査週8.2%で有意差 2008~18年の、90の教育病院への2万1,156件(審査週3,190件、非審査週1万7,966件)の入院と、2,400の非教育病院への21万2,588件(審査週3万1,118件、非審査週18万1,470件)の入院を分析した。 教育病院の入院患者(平均年齢65.6歳、女性50.1%)では、退院時のオピオイド新規処方率は、審査週のほうが非審査週と比較して高かった(9.6%vs.8.2%、補正後群間差:1.3%、95%信頼区間[CI]:0.3~2.2)。補正後オッズ比(OR)は1.19(95%CI:1.05~1.34)であり、有意差を認めた(p=0.01)。 一方、非教育病院の入院では、退院時のオピオイド新規処方率(7.9%vs.7.7%、補正後群間差:0.1%、95%CI:-0.2~0.4)に有意な差はみられなかった(OR:1.02、95%CI:0.98~1.07、p=0.36)。 また、TJCによる訪問審査の効果は、教育病院のほうが非教育病院よりも有意に大きかった(交互作用の補正後OR:1.18、95%CI:1.03~1.35、p=0.01)。積極的な疼痛治療は、ホーソーン効果による可能性 著者は、「TJCによる審査期間中は、疼痛管理の実践が厳しく精査され、患者の疼痛評価や治療満足度の評価が強化されており、これが教育病院の医師に、通常よりも積極的な疼痛治療を行わせた可能性がある(ホーソーン効果:観察されることで引き起こされる行動の変化)」「他のいくつかの薬剤クラスでは処方量の増加はみられないことから、オピオイド処方の増加は一時的な変化の可能性がある」としている。 また、「教育病院で処方量が増加した理由として、(1)すでに認証を受けている可能性が高く、その教育使命や研修基準、さらに学術的評価を維持したいとの強い意向があり、認証取得と連邦政府からの資金提供との関連もあるため、認証を優先している可能性がある、(2)医療の質の改善への投資が多い、(3)研修医(審査期間中に最良の医療が確実に遂行されるよう病院管理者が講じる措置の影響を受けやすい)の存在などが挙げられる」「審査期間中の処方が過剰な治療であったのか、それとも、これまで治療が不十分だった疼痛への適切に強化した対応であったのかを判断することはできないが、これらの知見は医療機関が疼痛管理を重視することが、オピオイド処方の測定可能な差異につながる可能性を示している」と指摘している。

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鎌状赤血球症へのアルギニン療法、疼痛発作時間を短縮せず/JAMA

 鎌状赤血球症に伴う急性疼痛発作を有する小児および若年成人において、アルギニン療法はプラセボと比較し、疼痛発作消失までの時間を短縮しなかった。米国・エモリー大学のClaudia R. Morris氏らPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)が、同国の小児病院10施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「Sickle Cell Disease Treatment With Arginine Therapy trial:STArT試験」の結果で示された。鎌状赤血球症患者において、急性疼痛発作は救急外来受診や入院の主な原因であるが、米国食品医薬品局(FDA)により承認された治療薬は存在しない。急性疼痛発作中に患者は急性アルギニン欠乏を呈し、発作消失までの時間の延長や非経口オピオイドの総投与量が増加する。単施設で行われた複数の第II相無作為化試験では、アルギニンは安全でオピオイド使用量を減少させ、心肺機能を改善し、入院期間を短縮することが示されていた。JAMA誌オンライン版2026年8月19日号掲載の報告。アルギニンvs.プラセボで疼痛発作消失までの時間を評価 研究グループは、鎌状赤血球症(遺伝子型を問わず)と確定診断され、非経口オピオイドの投与を要する急性疼痛で救急外来を受診した3~21歳の患者を対象とした。 対象患者を、救急外来での初回オピオイド静脈内投与後12時間以内にアルギニン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、初回投与量として200mg/kgを静注後、8時間ごとに100mg/kg静注を最大21回または退院までのいずれか早いほうまで継続した。 主要評価項目は、疼痛発作消失までの時間(試験薬初回投与から非経口オピオイド最終投与までの時間で定義)、副次評価項目は、非経口オピオイドの総投与量(初回投与から最終投与までの期間における静注モルヒネ投与換算量[mg/kg])、疼痛スコアおよび患者報告アウトカムなどであった。両群間で有意差はなく、試験は早期中止に 2021年6月21日~2024年6月13日に、274例が無作為化され、このうち271例が試験薬の投与を受けた(アルギニン群129例、プラセボ群142例)。患者背景は、平均年齢14.3歳(SD 4.3)、51%が男性、92%が黒人であった。 第2回中間解析において、疼痛発作消失までの時間中央値は、アルギニン群60.8時間(四分位範囲[IQR]:34.8~109.0)、プラセボ群65.8時間(IQR:31.1~111.1)で、有意差は認められなかった(絶対群間差:7.2時間、95%信頼区間:-21.6~35.9)。したがって、本試験は無益性のため早期中止となった。 副次評価項目である非経口オピオイド総投与量、疼痛スコアおよび患者報告アウトカム、ならびに安全性のいずれも、両群間で有意差は認められなかった。

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宮崎大学医学部附属病院 臨床腫瘍科【大学医局紹介~がん診療編】

細川 歩 氏(教授)秋月 渓一 氏(助教)田村 穂高 氏(助教)末田 光恵 氏(助教)大槻 佑生子 氏(医員)講座の基本情報当科独自の取り組み・特徴、医師の育成方針宮崎大学医学部附属病院臨床腫瘍科は2018年10月に設立され、悪性腫瘍に対する専門的な薬物療法および緩和ケアを提供するとともに、がん診療を担う人材の育成に取り組んでいます。また、都道府県がん診療連携拠点病院として、宮崎県のがん診療の質の向上に貢献するとともに、がんゲノム医療の推進にも積極的に取り組んでいます。薬物療法では、消化器悪性腫瘍および原発不明がんを中心に診療を行っており、当院におけるがん薬物療法の中核を担っています。また、西日本がん研究機構(WJOG)の特定臨床研究をはじめとする多施設共同研究や治験に積極的に参加し、新たな治療法の開発にも取り組んでいます。さらに、若手医師は消化器悪性腫瘍の診療に必要な内視鏡検査を含めた幅広い診療に携わりながら経験を積むことができ、当科では診断から治療まで一貫して担うことのできる専門医の育成に努めています。力を入れている治療当科では、食道がん・胃がん・大腸がんを中心とした消化器がんの薬物療法を専門的に行っています。分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬など最新の治療を取り入れ、エビデンスに基づく診療を実践しています。また、肉腫や原発不明がんなどの希少がん診療にも積極的に取り組んでおり、幅広い悪性腫瘍の診療経験を積むことができます。当科でのがん診療消化器外科や放射線科など関連診療科と連携し、集学的ながん診療を実践しています。定期的なキャンサーボードでは多職種で症例を検討し、外科治療・放射線治療・薬物療法を組み合わせた最適な治療戦略を学ぶことができます。診断から再発後治療、緩和ケアまで一貫して患者さんに関わることで、総合的ながん診療能力を養えます。医学生・初期研修医へのメッセージがん診療に興味のある方はもちろん、進路を検討中の方にも幅広い学びの機会があります。ぜひ見学にお越しいただき、患者さんに寄り添うがん医療の魅力を体感してください。力を入れている診療テーマ私は初期研修修了後、3年間一般消化器内科を専攻し、その後がん薬物療法に従事して4年目となりました。進行がんの根治が難しい現代においては、今ある医療を最大限に生かして患者さんに届けることと、未来のよりよいがん診療のための治療法の開発の2つの軸が大切だと感じています。当科で力を入れているテーマは、質の高い日常診療と地方から臨床研究に携わることの両立です。当科の魅力中核病院で長く研鑽されてこられた細川教授のがん診療の考え方や技術を間近で勉強しつつ、WJOG、北海道消化器癌化学療法研究会(HGCSG)、富山大学との共同研究などさまざまな多施設共同臨床試験を経験させていただいています。また、薬物療法だけでなく、内視鏡検査や中心静脈ポート造設などの手技、多様な症状に対する他科との連携、また地域連携や緩和医療にも携わります。それぞれの分野に温かく指導してくださるメンターがおり、総合的ながん診療を学べる恵まれた環境だと感じています。当科の雰囲気大所帯ではありませんが、地域のがん治療を支えるという志を共有できる医師、看護師、薬剤師などのメディカルスタッフが在籍しています。私の隣の細川教授の診察室からは、いつも患者さんとの自由な会話や笑い声が聞こえてきます。真剣さの中にも明るく前向きな雰囲気のあるチームです。臨床腫瘍科の中で緩和医療を担当しています。多職種で構成された緩和ケアチームの専任医師として、院内のいろいろな科で治療を受けられている患者さんの身体的苦痛の緩和や、精神的な問題やせん妄への対応、療養場所選定のサポートなどを行っています。大学病院の緩和ケアチームということで、対象の患者さんはベストサポーティブケア(BSC)となった方だけでなく、がんの診断時や治療中の苦痛がある方も対象ですので、オピオイドを中止することができる患者さんの診療に携わることもあります。これは、治療中の患者さんが対象だからこそできる経験ではないでしょうか。また、治療中の患者さんが対象となっていることが多いため、主治医との連携もとても大切で、できるだけ密にコミュニケーションをとるよう心がけています。患者さんや主治医が望んでいる治療が少しでも苦痛なく行えるよう、また、継続できるようしっかりとサポートをしていくことが役割と考えています。緩和医療というと何か特別なもの、というイメージを持つ医師が多いようですが、がん治療の一部でもありますので、少しでも興味を持っていただける医師が増える一助になれるとうれしいです。これまでの経歴宮崎県に生まれ育ち、宮崎大学医学部へ進学、卒業しました。在学中に祖父が胃がんと診断され、家族として治療や意思決定に関わったことをきっかけに、がん診療に興味を抱きました。宮崎大学病院での臨床研修を修了後、消化器内科や臨床腫瘍科での研鑽を開始し、宮崎でも質の高いがん薬物療法を提供できるよう、日々患者さんと向き合っています。現在学んでいること消化器がん領域を中心としたがん薬物療法の知識や技術に加え、内視鏡診療や緩和医療についても学んでいます。がん診療では治療を行うだけでなく、患者さんやご家族の思いに耳を傾けながら、1人ひとりに合った医療を考えることが大切だと感じています。また、学会発表や研究活動にも取り組み、診療で得た経験を学びにつなげることを心がけています。今後のキャリアプラン今後は消化器内科医としての専門性を高めるとともに、がん薬物療法専門医の取得を目指しています。地域においても高度ながん医療を提供できる医師となり、患者さんに寄り添いながら安心して治療を受けられる環境づくりに貢献していきたいと考えています。宮崎大学医学部附属病院 臨床腫瘍科住所〒889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原5200問い合わせ先cancer-center@med.miyazaki-u.ac.jp医局ホームページ宮崎大学医学部附属病院 臨床腫瘍科宮崎大学医学部附属病院 がんセンター所属スタッフが取得している専門医資格日本内科学会 総合内科専門医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本消化器病学会 消化器病専門医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 など研修プログラムの特徴(1)消化器悪性腫瘍を中心に、診断から薬物療法、緩和医療まで一貫した診療を経験することができます。(2)化学療法レジメン、有害事象マネジメント、画像評価など、がん薬物療法に必要な実践的な知識・技術を体系的に身につけることができます。(3)がんゲノム医療や臨床研究に触れ、がん診療に必要な知識や考え方を学ぶことができます。(4)多職種と連携し、患者さん1人ひとりに寄り添った緩和医療を経験することができます。

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選択的Nav1.8阻害薬LTG-001、術後疼痛を軽減/NEJM

 Nav1.8は末梢神経系に発現している電位依存性ナトリウムチャネルで、疼痛シグナル伝達において重要な役割を果たすという。LTG-001は、オピオイドと同等の鎮痛効果をもたらすように設計された、経口投与が可能な非オピオイド系の選択的Nav1.8阻害薬である。米国・Latigo BiotherapeuticsのNeil Singla氏らは、腹壁形成術後に疼痛を訴える患者において、低・高用量のLTG-001はプラセボと比較して、48時間後の疼痛スコアを有意に改善し、高用量ではオピオイドのレスキュー使用量が少ないことを示した。研究の成果はNEJM誌2026年7月30日号に掲載された。4群を比較する無作為化第IIb相試験 研究グループは、LTG-001の術後の疼痛緩和効果の評価を目的に二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験を実施した(Latigo Biotherapeuticsの助成を受けた)。 2025年7~12月に米国の4施設で参加者を登録した。対象は、年齢18~65歳、腹直筋縫縮術を伴う待機的下腹部腹壁形成術を受け、術後4時間以内の言語的カテゴリー評価尺度(verbal categorical rating scale[VRS]:4段階[疼痛なし~重度疼痛])で中等度または重度の安静時疼痛を示し、数値的疼痛評価尺度(numeric pain rating scale[NPRS]:11段階[0点:疼痛なし~10点:想像しうる最悪の痛み])で安静時に5点以上の患者であった。 被験者343例を、低用量LTG-001(85例)、高用量LTG-001(86例)、酒石酸水素ヒドロコドン-アセトアミノフェン(86例)、プラセボ(86例)を投与する4群に無作為に割り付けた。 低用量LTG-001群は、負荷用量として300mgを、その後は維持用量として150mgを12時間ごとに48時間、経口投与した。高用量LTG-001群は、負荷用量450mg、維持用量300mgを同様に投与した。 主要評価項目は、48時間の治療期間におけるベースラインと各評価時点の疼痛強度の差の時間加重合計(SPID48)とした。SPID48は、NPRSスコアに基づき、数値が高いほどベースラインからの疼痛軽減度が大きいことを示す(急性疼痛における臨床的に意義のある最小差は確立されていない)。低・高用量ともSPID48が有意に改善 全体で患者の95.6%が試験を完了した。ベースラインにおける4群の被験者特性は類似しており、平均年齢は39.9~41.2歳、女性が98~99%であり、VRSで中等度疼痛の患者割合の範囲は43~52%、重度疼痛は42~57%であり、各群の平均NPRSスコアの範囲は7.3~7.5点だった。 最小二乗平均SPID48は、低用量LTG-001群が161.05(95%信頼区間[CI]:142.93~179.16)、高用量LTG-001群が185.30(95%CI:167.26~203.34)、酒石酸水素ヒドロコドン-アセトアミノフェン群が164.08(95%CI:146.02~182.14)、プラセボ群は123.22(95%CI:105.23~141.21)であった。 SPID48の最小二乗平均差は、低用量LTG-001群とプラセボ群が37.82(95%CI:12.62~63.03、p=0.003)、高用量LTG-001群とプラセボ群は62.08(95%CI:36.95~87.21、p<0.001)であり、いずれもLTG-001群で有意に良好であった。 オピオイドの総レスキュー使用量(最小二乗平均)は、プラセボ群(18.35モルヒネ ミリグラム当量[MME])と比較し、高用量LTG-001群(11.00MME)は有意に少なかったが(群間差:-7.35MME、95%CI:-13.12~-1.58、p=0.01)、低用量LTG-001群(12.95MME)では有意差はなかった。 また、オピオイドのレスキュー投与を受けなかった患者の割合は、高用量LTG-001群がプラセボ群に比べ有意に高かった(52%vs.22%、p<0.001)。 意義のある疼痛緩和(NPRSスコアのベースラインから2点以上の低下)が達成されるまでの時間中央値は、低用量LTG-001群が60.0分、高用量LTG-001群は51.7分であり、酒石酸水素ヒドロコドン-アセトアミノフェン群は82.8分、プラセボ群は87.5分であった。高用量LTG-001群は発熱、失神寸前の状態の頻度が高い 有害事象の発生率は高用量LTG-001群で最も低かった(低用量LTG-001群62%、高用量LTG-001群50%、酒石酸水素ヒドロコドン-アセトアミノフェン群63%、プラセボ群65%)。最も頻度の高い有害事象は、悪心、頭痛、めまいであり、これらの多くは軽度または中等度であった。 プラセボ群との比較で高用量LTG-001群は、発熱(7%vs.2%)と失神寸前の状態(6%vs.1%)の頻度が高かった。重篤な有害事象は各群で1例ずつ発生した。LTG-001群とプラセボ群では、試験レジメンの中断や試験中止に至った有害事象、および死亡例は認められなかった。 著者らは、「これらの結果を確認し、他の急性疼痛モデルにおけるLTG-001の有効性および安全性プロファイルを明らかにし、LTG-001の相対的有効性を他のNav1.8阻害薬と比較するために、さらなる検討が必要である」としている。

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カフェインは頭痛を誘発するのか、軽減するのか

 カフェインは、鎮痛作用と頭痛の誘因となる可能性という二面性を有している。エジプト・Beni-Suef UniversityのMona Hussein氏らは、この二面性に焦点を当て、カフェインと頭痛との多面的な関係を検証し、さらにカフェインの鎮痛作用の根底にあるメカニズムを明らかにするため、ナラティブレビューを実施した。Brain and Behavior誌2026年6月号の報告。 本ナラティブレビューでは、カフェインの薬理作用、アデノシン受容体調節への関与、さまざまな頭痛タイプ(片頭痛、睡眠時頭痛、硬膜穿刺後頭痛[PDPH]、薬剤の使用過多による頭痛[MOH]、カフェイン離脱性頭痛など)への影響に関する実験的、臨床的、疫学的な研究のエビデンスを統合し、検討を行った。 主な内容は以下のとおり。・カフェインは、アデノシン受容体拮抗作用、プロスタグランジン産生抑制、GABA-A受容体調節、コリン作動性伝達の促進などを介して鎮痛作用を発揮する。・また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、オピオイドなどの鎮痛薬の有効性を増強することが示唆された。・片頭痛においては二面性を示し、アデノシンを介した血管拡張の抑制や薬剤吸収の改善によって発作を緩和する一方で、過剰摂取や不規則な摂取によるマグネシウム枯渇、利尿作用、睡眠障害などのメカニズムを通じて、発作を誘発する可能性がある。・片頭痛以外では、睡眠時頭痛やPDPHに対して治療的効果を示すが、長期的な使用は神経適応変化を介してMOHの一因となる可能性が示された。・カフェインの急激な中止は、カフェイン離脱性頭痛を頻繁に引き起こす可能性がある。 著者らは「カフェインは、さまざまな頭痛タイプにおいて複雑な役割を担っており、治療薬としても、また頭痛を誘発する因子としても作用する可能性が示唆された。その作用は、摂取量、摂取タイミング、個人の感受性、頭痛のタイプによって異なる。これらのメカニズムを理解することは、臨床的な推奨事項を策定し、頭痛管理におけるカフェイン利用を最適化するうえで不可欠である」と結論付けている。

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メラトニン、慢性筋骨格系疼痛に鎮痛効果の可能性

 メラトニンは、概日リズムを調節し、自然な入眠を促すホルモンで、米国では睡眠補助サプリメントとしても販売されているが、筋肉や関節の慢性的な疼痛にも有効かもしれない。新たな研究で、慢性的な筋骨格系(MSK)疼痛に対するメラトニンの鎮痛効果は、オピオイドやアスピリン、ナプロキセン、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬と同程度である可能性が示唆された。シドニー大学(オーストラリア)のKangchao Wu氏らによるこの研究の詳細は、「Pain」に6月30日掲載された。 Wu氏は、「メラトニンを常備している家庭は少なくない上に、安価で安全性も確認されている。注目すべき点は、メラトニンが慢性疼痛の管理にも役立ち、よりリスクの高い薬剤への依存を減らす可能性を秘めている点である」と述べている。 今回の研究では、世界各国で実施された、慢性的なMSK疼痛または術後MSK疼痛を有する患者2,028人を対象とした23件のランダム化比較試験(RCT)のデータを基に、メラトニンの鎮痛効果を鎮痛薬またはプラセボとの比較で検討した。23件の研究のうち14件は主に関節置換術や脊椎手術などの手術後の疼痛に関するRCTで、残る9件は線維筋痛症や変形性膝関節症、腰痛などの慢性疼痛に関するRCTだった。 解析の結果、慢性的なMSK疼痛においては、メラトニンはプラセボと比較して、疼痛スケール(0〜100点)の平均差が−6.76点(95%信頼区間−15.89~2.36)であったが、統計学的に有意な疼痛軽減効果は認められなかった。一方、従来の鎮痛薬との比較では、有意に高い疼痛軽減効果を示した。バイアスリスクが低い6件のRCTを対象とした感度分析では、プラセボとの比較で統計学的に有意な疼痛軽減が認められた(平均差−10.04、95%信頼区間−17.68~−2.39)。術後MSK疼痛についても、メラトニンはプラセボと比べて有意な疼痛軽減効果を示し、その効果は従来の鎮痛薬などのアクティブコントロールと同程度であった。さらに、メラトニンは、慢性的なMSK疼痛においては睡眠の質の改善とも関連していたが、術後MSK疼痛では睡眠の質の改善とは関連していなかった。 Wu氏は、「多くの患者にとって疼痛は単独で存在するものではなく、睡眠の質の低さと密接に関連している。メラトニンはその両方に作用する可能性があり、慢性疼痛を抱える人々に特に有用である」と指摘している。また、論文の上席著者で、シドニー大学(オーストラリア)運動器研究ハブのディレクターであるPaulo Ferreira氏は、「既存薬を新たな疾患に応用するドラッグ・リポジショニングの一例であり、慢性疼痛という世界的に患者数の多い疾患への応用可能性を探る研究といえる」と述べている。 ただし、今回の研究で対象としたRCTのそれぞれで、メラトニンの投与量や投与タイミングは疾患により異なっていた。慢性疼痛では、1日3〜10mgが一般的であり、最も多く用いられていたのは3mgであった。一方、術後疼痛では1〜10mgの範囲で使用され、5〜6mgが最も多かった。しかし、明確な用量反応関係は確認されなかった。こうしたことを踏まえて研究グループは、「より大規模な研究によって、メラトニンの鎮痛効果を確認する必要がある」と述べている。 さらに研究グループは、メラトニンを鎮痛目的で使用しようとする場合は、必ず医師と相談すべきだとしている。Wu氏は、「メラトニンは鎮痛薬の代替にはならないが、特に睡眠に問題を抱えている患者なら、医師との相談の上で既存治療の補助として使用される可能性はある」と述べている。また同氏は、メラトニンに一部の鎮痛薬と同程度の疼痛軽減効果が認められた点について、「これはメラトニンが、それらの薬の代わりになるという意味ではなく、より広い疼痛管理戦略の中で、安全性の高い追加選択肢となり得ることを示している」と説明している。

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緩和ケアでパニック症状を見逃さない【非専門医のための緩和ケアTips】第128回

緩和ケアでパニック症状を見逃さない進行がん患者が突然の不安と息苦しさを訴え、「このまま死ぬのではないか」と取り乱す……、緩和ケアの現場では時々経験することです。医療者としては難しい対応を迫られ、緊急性も高いので、私の経験を共有したいと思います。今日の質問先日、訪問診療をしていた肺がん患者さんなのですが、呼吸困難が強くなり、パニック発作のような様子になってしまいました。在宅での対応が困難と判断し、もともと通院していた基幹病院に救急搬送としました。緩和ケアでもパニック発作の対応はあるのでしょうか?前提として、私自身は精神科的なパニック発作の診断には習熟していません。精神科的な診断および治療としての厳密さを欠いた部分もあるかと思いますが、その点をご了承ください。今回は緩和ケアの現場で遭遇する、患者がパニック発作様の苦痛を訴える状況を、便宜的に「パニック発作」として扱います。救急診療でしばしば遭遇するパニック発作では、身体的に重篤な疾患はない患者が多いでしょう。そのため、患者が「このまま死ぬのでは」と取り乱していても、「命に関わる状況ではないので、安心してください。呼吸を整えることで苦しさも和らぎますよ」といった声掛けをして対応すると思います。ただし、緩和ケアの臨床で遭遇するパニック発作は救急搬送におけるパニック発作とは明確に異なります。なぜなら、緩和ケアを提供している時点で身体症状の原因となる身体疾患があるからです。そう考えると、救急で遭遇する典型的なパニック発作と同じ対応のみで済ませるのは危険です。実際に病状が悪化したり、新たな病態が生じたり、症状が悪化したりすることが契機となって起こったパニック発作の可能性が高いためです。緩和ケアにおいてパニック発作を来しやすい状況としては、気道閉塞やがん性リンパ管症など、急に悪化する呼吸困難が生じるものが挙げられます。こうした病態は致命的となることがあり、症状の程度によっては緩和的鎮静を検討することもあります。声掛けやオピオイドの調整だけでは症状が和らがない可能性があることを理解しておきましょう。急激な病状悪化や、時間単位で死亡が予測されるような状況であれば緩和的鎮静の対応になることが多いでしょうが、もう少し軽い症状でもパニック発作を経験する場合があります。たとえば、慢性的な呼吸困難がある中で、体動時の呼吸困難が強いときにはパニック発作のように恐怖感が強くなってしまう、といったイメージです。そうした場合は、予防と発作時の対応法の準備が有効です。予防に関しては、患者と家族に対して「呼吸困難は恐怖感も強くなるので、パニックのようになりやすい症状である」と疾病理解を促し、具体的に対応法を打ち合わせます。たとえば、「呼吸困難が強くなりにくい立ち上がり動作」など、日常生活の中での工夫を指導します。状況に応じて、抗不安作用を有するベンゾジアゼピン系薬を頓用または定期投与で使用することもあります。SSRIなどの抗うつ薬の適応については、必要に応じて精神科専門医への相談を検討します。対応策を多く準備しておくこと自体が患者の安心感につながるため、薬剤とそれ以外の非薬物的なアプローチを関係者と一緒に検討します。今日のTips今日のTips緩和ケアにおけるパニック様症状では、精神症状への対応だけでなく、身体症状の悪化や新たな病態も評価することが大切です。

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がん関連症状:呼吸困難【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第9回

今回はがん患者の呼吸困難についてです。呼吸困難は、がん患者の約35%が経験するという頻度の高い症状です。初診から終末期までの経過を通じて、一度も呼吸困難を経験せずに過ごせる患者さんはわずか11%のみとも報告されています。呼吸困難による患者さんの苦痛や不安が非常に強い一方、その原因や重症度はさまざまであり、外来で対応に迷う場面も少なくありません。今回は、呼吸困難を訴える患者さんについて、症例を通して、鑑別のポイントと外来での対応を解説します。【症例1】74歳、男性主訴労作時呼吸困難病歴進行肺腺がん(StageIV)に対して化学療法後、best supportive careの方針となっている。以前より軽度の呼吸困難はあったが、2週前より徐々に歩行時の息苦しさが増悪し、外来を受診した。診察所見呼吸数22回/分、SpO2 97%(室内気)、体温36.7℃。会話は可能。右下肺野で呼吸音の減弱あり。下腿浮腫なし。【症例2】57歳、女性主訴咳嗽、呼吸困難病歴再発乳がんに対して化学療法施行中。2週間前より免疫チェックポイント阻害薬を含む治療を開始していた。数日前から乾性咳嗽が出現し、本日より労作時呼吸困難と発熱を認めたため受診。診察所見呼吸数30回/分、SpO2 82%(室内気)、体温38.1℃。会話は短文のみ可能。両側肺野にfine cracklesを聴取。ステップ1 呼吸困難のアセスメント呼吸困難は、「呼吸の際に生じる不快な感覚という主観的な経験」と定義されており、SpO2や血液ガス所見が正常で、呼吸不全を伴わない場合でも生じることがあります。呼吸困難を訴える患者さんを診た際には、まず症状の経過や随伴症状、診察所見などから原因をアセスメントする必要があります。下記にがん患者における呼吸困難の主な原因を示します(表1)。表1 呼吸困難の原因(参考文献3より一部筆者改変)画像を拡大する症例1では、SpO2は97%と保たれているものの、ここ1週間で労作時呼吸困難が徐々に増悪しています。また、右下肺野で呼吸音の減弱を認めており、胸水貯留による呼吸困難が考えられます。この症例では、発熱や咳嗽はなく、急激な症状悪化ではないことから、感染症や肺塞栓などの急性疾患の可能性は低いと考えられます。一方、症例2では、免疫チェックポイント阻害薬を含む治療歴があり、数日前からの乾性咳嗽に加えて、発熱と急速に進行する呼吸困難を認めています。さらに、SpO2低下、頻呼吸、両側肺野のfine cracklesを認めることから、まず薬剤性肺障害を疑う状況です。化学療法中の患者さんでは、薬剤性肺障害は急速に重症化することがあり注意が必要です。本症例では、会話も短文のみ可能であり、呼吸状態の急速な悪化を認めていることから、重症度の高い呼吸困難と考えられます。なお、肺炎などの感染症も重要な鑑別疾患となります。このように、呼吸困難ではSpO2のみで重症度を判断するのではなく、症状の経過や随伴症状、身体所見をもとに原因と緊急性をアセスメントすることが重要です。呼吸困難では、原因となる病態ごとに治療が異なり、早期介入を要する緊急性の高い病態も存在するため、外来での適切な評価が求められます。ステップ2 外来での対応上述のように、呼吸困難では原因となる病態ごとに治療方針が大きく異なります(表2)。そのため、外来では原因と重症度を踏まえた対応が重要となります。表2 呼吸困難の治療(参考文献4より一部筆者改変)画像を拡大する症例1は、SpO2は保たれており、会話も可能であることから、まずは外来での症状緩和を検討します。呼吸困難に対しては、体位調整や送風に加えて、少量オピオイド投与が症状緩和に有効な場合があります。また、本症例では胸水貯留が疑われることから、胸水ドレナージの適応評価も含めて、X線/CT検査や胸腔穿刺が可能な施設との連携を検討します。一方、症例2では、低酸素血症に加えて頻呼吸を認め、会話も短文のみ可能であることから、重症度の高い呼吸困難と考えられます。薬剤性肺障害では急速に呼吸状態が悪化することがあり、早期のステロイド導入が必要となる場合もあるため、外来での経過観察ではなく、速やかな病院への相談・紹介が必要です。呼吸困難は、がんそのものだけでなく、治療関連有害事象や併存疾患など、さまざまな病態によって生じます。外来では、原因と重症度を適切にアセスメントしたうえで、必要に応じて治療医や専門医療機関と連携しながら対応していくことが求められます。まとめ呼吸困難は、SpO2などの客観的所見だけでは評価しきれない症状です。そのため、日々患者さんを診ているかかりつけの先生方による症状経過や呼吸状態の細やかな観察が非常に重要となります。そうした情報共有は、病院側にとっても病態把握や早期介入の大きな助けとなります。クリニックと病院がそれぞれの立場から情報を共有しながら、一緒に患者さんの呼吸困難を支えていくことが大切だと考えます。 1) Teunissen SCCM, et al. J Pain Symptom Manage. 2007;34:94-104. 2) Currow DC, et al. J Pain Symptom Manage. 2010;39:680-690. 3) 日本緩和医療学会編. 進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン(2023年版). 金原出版;2023. 4) 余宮 きよみ著. ここが知りたかった緩和ケア 改訂第3版. 南江堂;2023. 講師紹介

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最低賃金を引き上げると自殺リスクは低下するか?

 2014年以降、米国では薬物中毒と自殺による死亡率の上昇に伴い、平均寿命が低下した。米国・ハーバード大学のYuji Mizushima氏らは、米国における近年の大幅な最低賃金の引き上げが、これらの結果に影響を及ぼしたかどうかを評価した。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2026年5月4日号の報告。 2010〜19年のNational Vital Statistics System(NVSS)の死亡データを用いて、25歳以上を対象に、州ごとの最低賃金引き上げの導入状況と教育水準(大学卒以上とそれ以外)による影響の違いを考慮した3重差分分析を行った。最低賃金引き上げの導入状況のばらつきと介入の異質性に対処するため、2段階補完推定法を用いた。中毒、薬物過剰摂取、オピオイド関連過剰摂取、自殺による人口当たりの死亡率を分析した。 主な内容は以下のとおり。・最低賃金引き上げを行った州は26州(ワシントンD.C.を含む)、25州は行っていなかった。・治療前のプラセボ効果推定値からは、結果を混乱させるようなシステマティックな既存傾向を示すエビデンスは、ほとんど認められなかった。・最低賃金引き上げによる治療後の平均死亡率への影響はおおむね小さかった。中毒死は-0.9%(95%信頼区間[CI]:-6.8〜5.0)、自殺は-1.0%(95%CI:-7.5〜5.5)、薬物過剰摂取は+0.5%(95%CI:-5.2〜6.2)、オピオイド関連過剰摂取は-2.8%(95%CI:-10.2〜4.6)であった。・最低賃金引き上げ率が50%以上であった州に限定した場合でも、結論は同様であった。 著者らは「2010〜19年にかけて行われた最低賃金の引き上げは、絶望死に対してわずかな影響しか与えておらず、中期的に薬物過剰摂取や自殺による死亡率を大幅に減少させる可能性は低いと考えられる」としている。

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「神経ブロック」、どう患者に提供するか【非専門医のための緩和ケアTips】第125回

「神経ブロック」、どう患者に提供するか局所麻酔薬や抗炎症薬を注射し、痛みの伝達を遮断する「神経ブロック」。緩和ケア領域でも注目されている治療法ですが、専門とする医師は非常に少なく、地域によってはなかなかアクセスできない症状緩和の方法かもしれません。私の施設では神経ブロックの提供体制を構築してきたので、その経験も含めてお話ししたいと思います。今日の質問私の外来に通っているがん患者さん、がん疼痛が強くなってきました。膵臓がんで、ガイドラインには「神経ブロックが有効」と書かれています。神経ブロック目的で紹介したいのですが、地域の基幹病院では実施されていないようです。神経ブロックの提供体制などを教えてもらえますか?神経ブロックは、疼痛コントロールを改善し、鎮痛薬の副作用や生活機能低下を減らせる可能性があります。その一方で、「どこに頼めばよいかわからない」「適応の見極めが難しい」「紹介手順が整っていない」といったさまざまな要因から、アクセスが難しい地域もある状況です。最初に私の経験を共有します。私が所属する施設は、地域の高度急性期病院・地域がん診療連携拠点病院です。多くのがん患者が集約しており、がん治療および緩和ケアを提供する役割を担っています。しかし、神経ブロックは対応ができず、どうしても必要な患者は他院に紹介したり、対応可能な先生に外部から来てもらったりしていました。ハイボリュームながん拠点病院ですので、神経ブロックを提供する体制が必要だと考えていました。ちょうど、麻酔科出身の医師が緩和ケア病棟の配属になったため、神経ブロックの手技習得を目的に国内留学をしてもらいました。留学後、その医師が中心となり神経ブロックの提供体制が構築されました。さらにペインクリニック科も創設され、現在は神経ブロックを学びたい医師の研修体制を整備する段階になっています。このように、ゼロから体制を構築したわけですが、同様に、神経ブロックの提供には体制構築から始める必要がある施設・地域は多いでしょう。これはややハードルが高いため、ここからは地域の基幹病院が神経ブロックを提供している、という前提で連携の在り方についてお話ししたいと思います。連携に当たり、私が最も重要だと考えるのは、神経ブロックの適応を自分だけで見立てようとせず、早め早めに連携先に相談する、という点です。この理由は「神経ブロックは全身状態が悪化すると実施が難しくなってしまう」ためです。よくあるパターンが「痛みのコントロールがうまくいかず、オピオイドを増量したり鎮痛補助薬を追加したりしている間に全身状態が悪化してしまう」というものです。そして、「確実に適応があるケースを厳選しなければ」「どういった神経ブロックをしてほしいかを明確にしなければ」と考え、紹介元が選別し過ぎることもあります。そもそも非常に専門性が高い治療なので、「まずは相談」が良いと思います。以上を踏まえて、神経ブロックは提供体制と手技を実施できる医師が必要であり、基幹病院を中心に行われる医療なので、自施設で実施が難しい場合は、普段から連携体制をつくることが重要です。神経ブロックを実施する医師へのお願いとしては、「電話での気軽な相談をOKにしてほしい」かつ「相談窓口を明確にしてほしい」という2点です。私も訪問診療をしていたころ、基幹病院へのアクセスの難しさをよく経験しました。これは、病院にいる側にはわかりにくいものです。神経ブロックは難治性がん疼痛で悩む多くのがん患者に重要な手段です。ぜひ、1人でも多くの方に届くよう、提供体制の構築に取り組んでください。今日のTips今日のTipsがん疼痛に有効な神経ブロック、自分の地域の提供体制を確認しよう。

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ガバペンチノイドと併用薬で薬物中毒リスクが上昇か

 ガバペンチノイド系鎮痛薬(以下、ガバペンチノイド)を他の薬剤と併用すると、薬物中毒のリスクが上昇する可能性が、新たな研究で示された。ガバペンチノイドとオピオイド系鎮痛薬(以下、オピオイド)やベンゾジアゼピン系薬剤(以下、ベンゾジアゼピン)の併用はこのリスクを高め、特に治療初期には顕著なリスク上昇が認められたという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の薬剤疫学者であるKenneth Man氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に4月16日掲載された。 Man氏らは、「今回の結果は、ガバペンチノイドが安全ではない、あるいは処方すべきではないことを示すものではない。ただ、特に他の薬剤を使用中の患者に処方する際には注意が必要であり、臨床医は患者を慎重にモニタリングする必要がある」とニュースリリースで述べている。 ガバペンチノイドは、主にガバペンチンやプレガバリン、ミロガバリンを含む薬剤群の総称であり、てんかん、神経痛、不安などの治療に広く用いられている。近年、ガバペンチノイドは、オピオイドの代替として鎮痛目的での使用が増加しており、現在では米国では7番目に多く処方される薬となっている。世界的に見ても、その使用量は2008年から2018年の間に4倍以上に増加している。 今回の研究では、2010年1月1日から2020年12月31日の間にガバペンチノイドを処方され、薬物中毒で入院した経験がある英国の18歳以上の患者1万6,827人(女性53.5%)を対象に、ガバペンチノイドによる治療と薬物中毒との関連が検討された。解析は自己対照ケースシリーズ(SCCS)デザインを用い、同一患者内で治療開始の90日前、治療開始後0~28日、29~56日、57~84日、およびそれ以降の治療期間に分けて、期間ごとの薬物中毒リスクを比較した。薬物中毒の症状は、意識消失、呼吸困難、けいれんなどである。観察期間中のいずれかの時点で、対象者の約9割がガバペンチノイドとオピオイドを、半数以上がベンゾジアゼピンを併用していた。 その結果、薬物中毒のリスクは、ガバペンチノイド非使用期間(対照期間)と比較して、治療開始の90日前にすでに約2倍に上昇していることが示された(調整発生率比2.09、P<0.001)。治療開始後0~28日間でもリスクは約1.8倍(同1.81、P<0.001)と高く、その後は徐々に低下したものの、それ以降の治療期間でも軽度の上昇が持続した(同1.11、P<0.001)。このことは、薬物中毒のリスクを軽減するためにガバペンチノイドを使用しても、その効果は限定的である可能性を示唆している。さらに、オピオイドやベンゾジアゼピンの併用によりリスクはさらに上昇し、治療開始後0~28日間では、オピオイド併用で約2倍、ベンゾジアゼピン併用で約4倍に達した。 薬物中毒リスクが最も高かったのがガバペンチノイドによる治療開始前90日間であったことは、オピオイドやベンゾジアゼピンなどの使用に対する懸念を背景に、医師がガバペンチノイドを処方した可能性を示唆している。論文の筆頭著者であるUCLのAndrew Yuen氏は、「臨床医がガバペンチノイドを処方する判断は、オピオイドなど他の薬剤に関連した薬物中毒リスクを減らす試みである場合がある」と述べている。同氏はまた、「ガバペンチノイドによる治療開始後に薬物中毒リスクはやや低下したものの、それでもなおリスクは高い状態が続いていた。この結果は、臨床医が治療期間を通じて継続的に薬物中毒リスクへ注意を払う必要があることを示唆している」と指摘している。 なお、ガバペンチノイドが直接的に薬物中毒を引き起こすかどうかは依然として不明である。ただし、これらの薬剤がオピオイドやベンゾジアゼピンなど他の薬の鎮静作用を増強する可能性があることを示すエビデンスは存在しているという。

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血培で「マジックマッシュルーム」が陽性【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第306回

血培で「マジックマッシュルーム」が陽性「マジックマッシュルーム」と聞くと、なんとなく危ない薬物、というイメージはあるかもしれません。幻覚作用をもつ成分を含むキノコの俗称で、知覚の変化や幻覚、多幸感、不安、混乱などを引き起こします。つまり、いわゆる“毒キノコ”のように食べたらすぐ重い臓器障害を起こすタイプとは少し違い、主に中枢神経系に作用するキノコです。Giancola NB, et al. A "Trip" to the Intensive Care Unit: An Intravenous Injection of Psilocybin. J Acad Consult Liaison Psychiatry. 2021 May-Jun;62(3):370-371.主人公は30歳男性。背景には双極性障害と静注薬物使用歴があり、処方されていた薬もきちんと飲めていませんでした。本人はオピオイド依存や抑うつを自分で何とかしようとしており、ネット上で見つけた情報をもとに、自己流の“治療”としてマジックマッシュルームを使って「ある方法」を試したようです。ある方法というのは、マジックマッシュルームを「飲んだ」ことではなく、「煮出したキノコ液をそのまま静脈に入れた」ことです。ひぃぃぃぃぃ!!!患者さんはその後、傾眠、黄疸、下痢、悪心、吐血を来し、救急外来を受診した時点で血圧は75/47mmHgまで低下していました。検査では血小板減少、電解質異常、急性腎障害、急性肝障害がみられ、多臓器不全として集中治療室に入室しました。敗血症性ショック、急性呼吸不全、播種性血管内凝固まで合併し、挿管や血漿交換を要しました。血液培養では、細菌だけでなく真菌も検出され、その真菌はPsilocybe cubensis、つまり本人が注射したマジックマッシュルームそのものと同定されました。怖すぎる…。皆さんも、マジックマッシュルームを静注しないように気を付けてください!

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がん薬物療法における皮下注射剤の可能性/日本臨床腫瘍学会

 近年、がん薬物療法領域での皮下注射剤の活用が広がっている。2026年度診療報酬改定では外来腫瘍化学療法診療料への皮下注製剤の算定も認められる見通しとなった。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、腫瘍内科医、薬剤師、緩和ケア医、看護師、制度申請者の立場から、皮下注射の現状と課題が多角的に論じられた。がん治療の時間毒性を改善できる皮下注射 大阪大学の吉波 哲大氏は、腫瘍内科医の立場からがん薬物療法における「時間毒性」の概念を提示した。がん薬物療法においては、骨髄抑制や悪心などの薬剤毒性に加え、近年は経済毒性が注目されている。もう1つの側面として、吉波氏は時間毒性の重要性を訴える。 時間毒性は経済毒性とも無関係ではない。たとえば、通院により仕事を休むことで、給与に影響が出る。このように、時間毒性は深刻化すると経済毒性につながる。「医療者は時間毒性に対する取り組みを強く認識しなければならない」と吉波氏は説明した。 吉波氏が専門とする乳がん領域でも皮下注射は活用されている。HER2陽性乳がんでは、トラスツズマブとペルツズマブの併用療法が用いられるが、近年トラスツズマブとペルツズマブの配合皮下注製剤(商品名:フェスゴ)が登場した。フェスゴは2剤併用と同等の血中濃度と有効性を示す。投与時間に関しては、従来の2剤投与の90分超に対し、フェスゴでは最短5分と、1時間以上短縮ができる。患者に2剤投与とフェスゴ投与のどちらを選ぶかを聞いたところ、85%がフェスゴと回答している。その理由の多くは「診療における所要時間の短さ」であった。 皮下注製剤について吉波氏は「がん治療の時間毒性を軽減する可能性を十分に秘めている」と結論付ける。製剤技術の進化が皮下注射の可能性を広げる 小牧市民病院の山本 泰大氏は、薬剤師の観点から皮下注製剤の特性と今後の展開を論じた。従来、皮下投与可能な薬液量は2mLが目安とされてきたが、ヒアルロン酸を配合することで皮下組織にスペースが確保される。そのため、薬液量が増えても投与が可能になった。同院では現時点で外来化学療法患者の約20%が皮下注射を受けている。「今後もさらに増えていくであろう」と山本氏は述べた。 国内で承認されている皮下注射抗がん剤として、前述のフェスゴに加えてダラツズマブ、アミバンタマブ、モスネツズマブなどがある。海外でもいくつかの薬剤で臨床試験が進んでいるという。 「皮下注射抗がん剤は、今後もさらに広がっていくことが予想され、医療コストや患者負担軽減につながることは間違いない。これからは臨床現場での運用や副作用のエビデンスを蓄積していくべき」と山本氏は述べる。緩和ケア領域における皮下注射のメリット 広島市立広島市民病院の余宮 きのみ氏は、緩和ケアにおける皮下注射の臨床的意義を紹介した。緩和ケア領域において持続皮下注はその簡便性と安全性から世界的に普及している。日本緩和医療学会の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」でも、経口困難な患者に対するオピオイドの持続皮下注が推奨される。 緩和ケアにおける皮下注射の利点として余宮氏は、ルート確保の容易さ、シリンジポンプを小さくできる可能性、経口剤に比べた鎮痛達成の早さといった点などを挙げた。 「皮下注射は緩和領域においても重要な選択肢になるであろう」と余宮氏は述べる。安全な皮下注射投与のために 国立がん研究センター東病院の市川 智里氏は、看護師の立場から発言。皮下注射は簡便ではあるものの必ずしも安全というわけではないと指摘した。抗体薬、G-CSF製剤、ホルモン薬と多岐にわたる薬剤が皮下注射として使用されており、薬剤ごとの特性と注意事項を把握しておくことの重要性を強調する。 具体的には、6R(Right Patients・Right Drug・Right Dose・Right Time・Right Route・Right Purpose)と全身状態評価の徹底を挙げた。投与部位、硬結・疼痛予防、放射線照射部位・瘢痕部位の回避といった基本を押さえるとともに、皮下脂肪層が薄い高齢者や低栄養患者に対する工夫も重要だという。 同院では薬剤別の早見表(投与間隔、使用針ゲージ、投与部位、投与前チェック項目など)を化学療法室に掲示し、スタッフが入れ替わっても一定の質を保てるよう工夫している。市川氏はまた、「投与観察時間を患者とのコミュニケーション機会として活用し、副作用や生活上の意見を聞き取ることで治療継続を支援していきたい」と話す。外来腫瘍化学療法診療料への皮下注射の算定 国立がん研究センター中央病院の下井 辰徳氏は、2026年度診療報酬改定における「外来腫瘍化学療法診療料」への皮下注射剤算定について解説した。従来、点滴・静注は外来腫瘍化学療法診療料として算定されるが、皮下注製剤は算定対象外とされていた。 算定対象外であるため、医療機関は皮下注射を積極的に選択しにくいのが現状だ。フェスゴを例にとると、外来腫瘍化学療法診療料が算定できないという理由で、4割以上の患者で使用されていないという。 こうした状況を受け、日本臨床腫瘍学会をはじめとする団体が合同で医療技術評価分科会に要望を提出した。要望で示したのは、皮下注も点滴と同様に専門的なケアと安全管理を伴う医療行為であること、算定されない現状が患者の時間毒性軽減という利益を阻害していること、財政影響が限定的であるといった点である。 中医協での審議の結果、点数は点滴・静注よりも少ないが、2026年6月から皮下注製剤に対しても算定が認められる見通しだ。「次回診療報酬改定までの2年間で、算定の活用状況、点数設計などが検討されていくと予想される」と下井氏は述べる。

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緩和ケア:オピオイド過量徴候【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第8回

「緩和ケア」はがん診療を行う上で重要な役割を担っています。とくにがん患者の約70%が痛みを経験するといわれており、がん疼痛管理においてオピオイドは欠かせない薬剤です。しかし、治療経過の中で痛みの原因そのものが軽減した場合や、全身状態の変化により薬剤の代謝や排泄が変化した場合には、オピオイドが過量となることがあります。オピオイド使用中の患者さんやご家族から、「眠気が強い」「様子がいつもと違う」といった相談が、かかりつけ医に寄せられることも少なくありません。このような場面で、「外来での対応にとどめてよいのか」「病院への相談や紹介が必要なのか」と判断に迷うことも多いと思います。今回は、オピオイド過量が疑われる場面における評価のポイントと対応について、症例を通して整理します。【症例1】70歳、男性主訴悪心、嘔吐、眠気病歴進行胃がん(StageIV)に対して緩和的化学療法を実施中。初診時より心窩部痛を自覚しており、オキシコドンを使用していた。1ヵ月前のCTで原発巣の縮小を指摘されていた。1週前から日中も寝て過ごすことが多くなり、悪心のため食事摂取量も低下していた。昨日より嘔吐も出現したため、家族に連れられてかかvりつけ医(クリニック)を受診。診察所見呼吸数12回/分、瞳孔2.5mm/2.5mm、眠気が強い様子ではあるが、意思疎通は問題なく可能。発熱なし、腹部圧痛なし、心窩部の持続痛なし、腸蠕動音正常、食事摂取割合3割程度。排便は毎日あり、普通便。内服ロキソプロフェン60mg 3錠 分3、アセトアミノフェン500mg 3錠 分3、オキシコドン徐放錠60mg/日、オキシコドン散10mg/回(最近は使用せず)【症例2】58歳、女性主訴尿量減少、傾眠病歴進行直腸がん術後再発に対して緩和的化学療法を実施中。以前から骨盤内病変による臀部痛、肛門部痛があり、モルヒネ製剤を使用していた。3日前からストマ排泄量が増加し、口渇感と尿量減少を自覚していた。本日朝より傾眠傾向となり、「声をかけたら返答はあるがすぐに寝入ってしまう」と家族がかかりつけ医(クリニック)に相談。診察所見話しかけると覚醒し、短文での簡単なコミュニケーションは可能だが、刺激がなくなるとすぐに入眠する。呼吸数8回/分、瞳孔1.5mm/1.5mm。抗がん剤10日前にイリノテカンを含む治療を実施。内服ロキソプロフェン60mg 3錠 分3、モルヒネ徐放性剤120mg/日、モルヒネ速放性製剤ステップ1 オピオイド過量徴候の評価オピオイド過量となりやすい状況オピオイド過量は、必ずしも増量時に起こるわけではありません。外来で評価する際には、まず過量となりやすい背景がないかを整理しておくことが重要です。不適切なベース設定疼痛評価が十分でないまま増量が続いている場合全身状態の変化脱水、肝機能障害、腎機能障害により、オピオイドの代謝・排泄が低下している場合痛みの大きな変化がん治療や神経ブロックなどにより、痛みが大幅に軽減した場合代謝産物の蓄積腎機能障害がある、または急激に進行した場合(オピオイド代謝産物が蓄積しやすい)このような状況がある場合には、「投与量が変わっていない」ことだけで過量を否定しないことが重要です。必ず確認したい3つのポイントオピオイド過量を疑う際には、以下の3点を必ず確認します。(1)眠気(傾眠)眠気が強くなっていないか、呼びかけへの反応が鈍くなっていないかを確認します。刺激がなくなるとすぐに入眠してしまう場合は注意が必要です。家族からの「最近よく寝ている」「反応が遅い」といった訴えは重要なサインになります。(2)呼吸抑制呼吸数は必ず実測します。呼吸数の低下は、オピオイド過量を示唆する最も重要な所見の1つです。短時間でも数えて確認することが望まれます。(3)縮瞳縮瞳はオピオイド過量の典型的な所見です。他の症状と併せて評価することで、判断の助けになります。上記に加えて、他のオピオイド関連副作用(悪心・嘔吐、便秘、せん妄など)が悪化していないかも確認します。これらの副作用が目立ってきている場合も、過量を疑うきっかけとなります。ステップ2 対応は?では、冒頭の患者さんの対応を考えてみましょう。症例1の場合、画像上で原発巣の縮小が確認されており、レスキュー薬の使用もないことから、痛みの原因そのものが軽減している可能性があり、相対的オピオイド過量が疑われます。眠気や悪心といった所見はみられるものの、意思疎通は可能で呼吸数も保たれており、急速な悪化は認められていません。このような場合には、外来での対応が可能です。対応としては、オピオイドの漸減を行います(表1)。表1 オピオイドの減量方法画像を拡大するオピオイド退薬症候(表2)の出現を避けるため、急激な減量は避け、症状を確認しながら慎重に調整することが重要です。減量後は、数日以内の再診や電話でのフォローを行い、痛みの再燃や副作用、退薬徴候の出現がないかを確認します。経過の中で判断に迷う場合には、病院側と情報を共有しながら対応することで、安全に調整を進めることができます。表2 オピオイド退薬症候画像を拡大する症例2の場合、傾眠の進行と呼吸数の低下が認められ、オピオイド過量による中枢神経抑制が強く疑われます。加えて、下痢による脱水や尿量減少を背景に、腎機能障害が急速に進行している可能性があり、短時間で状態が悪化するリスクが高い状況です。このような場合には、外来での減量や経過観察にとどまらず、速やかに病院へ相談・紹介することが適切です。呼吸抑制や意識障害が進行している可能性があるため、ナロキソンによる拮抗や注射製剤への切り替えを含めた速やかなオピオイド用量調整が必要となることがあり、病院での対応が望まれます。外来では、オピオイドを大きく調整する判断は避け、呼吸数や意識状態、脱水や尿量減少といった背景因子を整理したうえで、病院側に情報を共有します。早期に連携することで、重篤化を防ぐことが重要です。まとめオピオイド過量は、増量時だけでなく、痛みの軽減や全身状態の変化をきっかけに生じることがあります。外来では、まず眠気(傾眠)、呼吸数、縮瞳の3点を確認し、急な変化がないかを評価することが重要です。状態が安定している場合には、かかりつけ医での慎重な減量や経過観察が可能な一方、呼吸抑制や意識障害を伴う場合には、外来で完結させず速やかに病院へ相談する判断が求められます。日常診療での気付きを共有しながら連携して対応することが、安全ながん疼痛管理につながります。1)Isaac T, et al. Pain Res Manag. 2012;17:347-352.2)Snijders RAH, et al. Cancers(Basel). 2023;15:591.3)World Health Organization. WHO guidelines for the pharmacological and radiotherapeutic management of cancer pain in adults and adolescents. Geneva: World Health Organization;2018.4)日本緩和医療学会編. がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版. 金原出版;2020.講師紹介

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第290回 はしか急増、3月末で全国に197人 接種歴確認と2回接種が急務/厚労省

<先週の動き> 1.はしか急増、3月末で全国に197人 接種歴確認と2回接種が急務/厚労省 2.中東情勢悪化で医療現場に不安 EMIS活用して在庫把握へ/厚労省 3.医師偏在に現場が危機感、4割が開業規制支持 地域格差是正へ/日経新聞 4.オンライン診療を医療法に明記 96項目の遵守事項で安全確保/厚労省 5.OTC類似薬に25%負担 医療保険改革が審議入り、応能負担強化へ/政府 6.看護専門学校の定員割れ深刻化 2040年見据えた人材確保策を議論/厚労省 1.はしか急増、3月末で全国に197人 接種歴確認と2回接種が急務/厚労省麻疹(はしか)の感染拡大が続いている。国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、2026年第13週までの全国累計患者数は197人に達し、前年同時期の3倍超と、2020年以降で最も速いペースで増加している。東京都48人、鹿児島県24人、愛知県23人が多く、海外流行地からの持ち込みを起点に国内感染が広がった可能性が高い。麻疹は空気感染し、免疫のない人は同じ空間にいるだけで感染し得るうえ、肺炎や脳炎など重い合併症を招くこともあるが、特効薬はない。唯一有効な予防策はワクチン接種で、MRワクチン2回接種が基本となる。日本感染症学会も、流行防止には2回接種率95%以上が必要だと注意喚起をしている。東京都では4月10日時点の患者数が速報値で97人に達し、昨年同時期の10倍超となった。10~30代が約9割を占め、接種歴が1回のみ、あるいは不明な若年成人の脆弱性が浮き彫りになっている。千葉県では今年22例目が確認され、昨年通年に並んだほか、川崎市でも4月だけで複数例が報告された。厚生労働省は、発熱や発疹がある場合は事前に医療機関へ連絡し、公共交通機関を避けて受診するよう求めている。接種歴の確認と未完了者への追加接種が急務となる。 参考 1) 感染症発生動向調査(IDWR)2026年第13週(国立健康危機管理機構) 2) 麻しん(はしか)が世界・国内で増加しています(日本感染症学会) 3) 空気感染するはしか、増加続く 厚労省が接種徹底と注意呼びかけ(Science Portal) 4) はしか患者3月までに197人、コロナ禍後最多だった前年同時期の3倍以上…子どものワクチン接種呼びかけ(読売新聞) 5) はしかの全国感染者数 1週間の新たな感染者30人 感染者数高止まり(日テレNEWS) 2.中東情勢悪化で医療現場に不安 EMIS活用して在庫把握へ/厚労省中東情勢の悪化を受け、石油由来原料を使う医薬品、医療機器、医療物資の供給不安が医療現場で強まっている。厚生労働省と経済産業省の対策本部によると、4月8日時点で医療機関やメーカー・卸業者からの相談は計543件に上り、このうち16件が安定供給に影響ありと判断された。透析回路や医療用手袋など10件はなお対応検討中であり、政府は流通段階の「目詰まり」解消を急ぐとしている。政府は現時点で「直ちに供給が滞る状況ではない」と説明する一方で、医療7団体は買い占めや過剰発注が連鎖すれば、供給不足や価格上昇を招きかねないと懸念を表明した。上野 賢一郎厚生労働大臣との意見交換では、需給見通しの正確な情報発信や、必要量に見合った発注の徹底、医療機関同士で物資を融通できる体制整備を求める声が相次いだ。とくに医療用手袋など日常的に消費する物資への警戒感が強い。厚労省は10日から、災害時に使う広域災害救急医療情報システム(EMIS)を活用し、全国約1万3,000の病院などから在庫や受け入れ状況をオンラインで把握する体制を開始した。今後は定点観測や相談窓口、EMISによる情報収集を通じて需給逼迫の兆候を早期に捉え、厚労・経産両省と医療団体が連携して、安定供給を維持する構え。焦点は、実際の不足が起きる前に冷静な発注行動と情報共有で市場不安を抑え込めるかにある。 参考 1) EMISポータルサイト(厚労省) 2) 医師会ら “医療用物資の需給情報発信し安定的な確保”要請(NHK) 3) 厚労省 医療用物資の調達 災害時にシステム活用で経産省と連携(同) 4) 医療機関1.3万ヵ所から物資の供給状況把握へ 厚労省 災害時システムで10日から情報収集(CB news) 5) 医療物資の供給把握 厚労省、システム運用 全国1.3万の病院(日経新聞) 3.医師偏在に現場が危機感、4割が開業規制支持 地域格差是正へ/日経新聞医師の地域偏在・診療科偏在が深刻化する中、医師自身の間でも自由開業の規制を求める声が強まっている。日本経済新聞と日経メディカルの共同調査では、「開業規制が必要」との回答は42%で、「必要ない」の21%を大きく上回った。地域偏在を深刻とみる回答は46%、診療科偏在も47%に達し、現場の危機感が明確となった。偏在の認識は地域で差が大きく、東京23区では29%にとどまる一方、町村では65%に達する。人口10万人当たり医師数などを基にした偏在指標でも、東京都と岩手県で約2倍の格差があり、西日本に多く東日本に少ない「西高東低」の傾向も続く。勤務医ほど規制支持が強く、病院勤務医では46%が必要と回答したのに対し、開業医では賛否が拮抗した。こうした背景には、現行の自由開業制の下で都市部・人気診療科への集中が進み、地域医療の持続性が揺らいでいる現状がある。厚生労働省の医師確保計画見直しでは、医師偏在は「地域」と「診療科」の二重構造で進行し、とくに外来中心の診療所医師が都市部に偏在している点が課題とされている。政府は改正医療法に基づき、2026年4月から「外来医師過多区域」を設定し、新規開業者に対し在宅医療や夜間対応、医師不足地域での診療などを要請できる制度を開始した。応じない場合には保険医療機関の指定期間短縮というディスインセンティブも設けたが、あくまで要請ベースにとどまる。その一方で、厚労省の資料では、医師確保は単なる配置の問題にとどまらず、勤務環境やキャリアパス、地域医療構想との整合的な政策が不可欠とされる。そのため、単純な規制だけではなく、地域勤務へのインセンティブやタスクシフト、医療提供体制の再編といった総合的な対策が求められている。先述のアンケートの自由回答でも「自由開業制を続ける限り偏在は解消しない」との声がある一方で、「過疎地への誘導策が重要」との指摘も多い。規制と誘導の最適な組み合わせが、今後の医師偏在対策の焦点となる。 参考 1) 野放図な開業を医師も危惧、4割「規制を」 大都市・診療科の偏り加速(日経新聞) 2) 医師の42%が「開業規制が必要」と回答、「不必要」にダブルスコア(日経メディカル) 3) 外来医師過多区域に係る候補区域の公表について(厚労省) 4) 医師確保計画の見直し等に向けたとりまとめ(同) 5) 医師偏在解消に向け、2026年4月から外来医師過多区域・重点医師偏在対策支援区域を設定し対応を強化-地域医療構想・医療計画検討会(Gem Med) 4.オンライン診療を医療法に明記 96項目の遵守事項で安全確保/厚労省2026年4月1日、改正医療法に基づくオンライン診療の関連規定が施行され、これまで通知や指針を中心に運用されてきたオンライン診療が、医療法上明確に位置付けられた。厚生労働省は施行に先立ち、医療機関向けチェックリストを通知し、計96項目の遵守事項と14項目の推奨事項を整理。オンライン診療の提供面では34項目、提供体制では62項目を求め、安全性と適正実施の徹底を図る。新ルールでは、オンライン診療は対面診療の代替ではなく補完とされ、医師は診療の都度、医学的観点から実施の可否を判断し、不適切な場合は速やかに対面診療へ切り替える必要がある。患者への事前説明と同意取得も必須で、触診ができず得られる情報が限られること、対面診療を組み合わせる必要があること、診療計画や急変時対応などを説明しなければならない。初診からのオンライン診療は原則として「かかりつけ医」が行うが、休日夜間やかかりつけ医不在時など例外的に他医師が行う場合は、診療前相談を経た上で、対面診療へ確実につなぐ体制整備が求められる。処方では初診時の麻薬・向精神薬投与や長期処方を制限し、メールやチャットのみで完結する診療も認めない。加えて、通信環境やセキュリティ対策も厳格化され、システムの安全性確認やアクセス管理、情報漏洩対策などが医療機関の責務として明確化された。今回の法改正では、患者がオンライン診療を受ける場所として「オンライン診療受診施設」も制度化された。公共施設などを活用した受診環境整備が可能となる一方で、広告規制も拡大され、受診施設に関する表示も新たな規制対象となる。こうした制度整備の背景には、医療アクセス改善への期待がある。日経新聞・日経メディカルの調査では、医師の51%が「オンライン診療は地域偏在の緩和に寄与する」と回答した。ただ、届け出医療機関はなお限定的で、導入コストや対面より低い診療報酬が普及の壁として残っている。今後は安全確保と普及促進をどう両立させるかが焦点となる。 参考 1) (医療機関向け)基準等遵守の確認をするためのチェックリスト(厚労省) 2) オンライン診療の実施に際し患者に対して説明すべき内容のチェックリスト(同) 3) オンライン診療の基準、厚労省がチェックリスト 順守事項に計96項目挙げる(CB news) 4) 医師の51%が遠隔診療に期待 地域偏在対策、普及へ報酬増求める声(日経新聞) 5) 改正医療法によるオンライン診療規制に伴う医療広告規制の変容~その1 医療広告規制と「オンライン診療受診施設に関する広告」規制~(のぞみ総合法律事務所) 5.OTC類似薬に25%負担 医療保険改革が審議入り、応能負担強化へ/政府4月9日、政府が国会に提出した健康保険法等改正案が衆議院本会議で審議入りした。今回の改革は、増大する社会保障費と現役世代の保険料負担の抑制を背景に、「給付と負担の見直し」と「制度の持続可能性確保」を柱とするものである。最大の焦点は、市販薬と同等の効能を持つ「OTC類似薬」に対する新たな患者負担の導入だ。対象は解熱鎮痛薬や抗アレルギー薬など約77成分・1,100品目に及び、薬剤費の4分の1を保険給付から外し、追加負担として患者に求める仕組みを創設する。これは「一部保険外療養」として制度化され、現役世代の保険料負担を年間2,600億円程度軽減する効果が見込まれている。その一方で、がんや難病患者、小児、長期使用が必要な患者などには負担を課さない方向で検討が進められている。また、後期高齢者医療制度では、株式配当などの金融所得を保険料や窓口負担に反映させる仕組みを強化する。現行制度では申告方法により負担に差が生じる問題があり、金融機関からのデータ提出を義務化することで「応能負担」の徹底を図る。さらに、出産費用については、全国一律の基本単価を設定し、保険で全額給付する仕組みへの転換を進める。従来の出産育児一時金では費用上昇に追いつかず自己負担が残る課題があり、現物給付化と情報の見える化により負担軽減と選択の透明性向上を目指す。このほか、高額療養費制度では長期療養者への影響配慮を明文化し、医療機関の業務効率化や勤務環境改善を支援する新たな基金事業も創設される。DXや生成AI活用などによる効率化も政策的に後押しされる点が特徴となっている。政府は「世代間・世代内の公平性確保」と「限られた財源の効率的活用」を強調する一方で、野党からは「患者負担増による受診控え」や「治療遅延のリスク」が指摘されており、制度設計の妥当性が今後の審議の焦点となる。 参考 1) 健康保険法等の一部を改正する法律案について(厚労省) 2) 健保法等改正案が衆院で審議入り 高市首相「不断の改革に取り組む」 上野厚労相「負担の公平性確保」(ミクスオンライン) 3) OTC類似薬の追加負担「がんや入院中の患者には求めず」 上野厚労相(日経新聞) 6.看護専門学校の定員割れ深刻化 2040年見据えた人材確保策を議論/厚労省厚生労働省は4月10日、「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の初会合を開き、2040年ごろの看護職員の需給を都道府県別に推計する方針を示した。新たな地域医療構想の実現に向け、看護人材の確保と資質向上は不可欠であり、秋ごろまでに養成・確保策と推計方法を議論し、冬ごろに取りまとめる見通し。背景には、看護人材確保を巡る状況の悪化がある。厚労省の調査では、3年制看護専門学校の2025年度入学者は2万868人で、定員充足率は79.5%と初めて8割を下回った。2017年度をピークに減少傾向が続いており、大学入学者は増えているものの、専門学校と大学を合わせた入学者総数も5年連続で減少している。専門学校卒業生は地元就職率が高いとされ、地方の看護師確保への影響が懸念されている。実際、地域では養成基盤の縮小が進む。埼玉県では看護専門学校44校のうち少なくとも7校が募集停止を表明し、少子化や志願者減、4年制大学志向の強まりが経営難に拍車をかけている。人口10万人当たり看護師数が全国最下位の同県では、地域医療への影響に強い危機感が広がる。秩父地域では唯一の看護師養成校の存続も不透明となっている。厚労省の検討会では、若年人口減少に加え、現在の就業者の多くを占める45歳以上が2040年には高齢化することを踏まえ、退職増や高年齢者就業も見込んだ推計を行う。加えて、訪問看護の深刻な人手不足や領域偏在、ICT活用による業務効率化、育児・介護との両立支援、ハラスメント対策など勤務環境の改善も主要な論点となる。看護師不足は、単なる人数の問題ではなく、地域偏在、領域偏在、養成基盤の弱体化が重なった構造的な問題として対策が求められている。 参考 1) 第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会:資料(厚労省) 2) 看護専門学校の入学者、定員比で初めて8割下回る…学生離れ進み地方で不足との指摘も(読売新聞) 3) 看護職員の40年ごろの需給を地域別に推計へ 厚労省、養成・確保対策の検討会が初会合(CB news) 4) 埼玉県内の看護専門学校 本年度以降、7校が学生募集停止 志願者減少で経営難(東京新聞)

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物質使用障害(SUD)のリスク低減にGLP-1受容体作動薬は有効か(解説:小川大輔氏)

 物質使用障害(SUD:Substance Use Disorder)は、特定の物質の使用を制御できなくなり、健康上の問題や社会生活への支障があっても使用を続けてしまう慢性・再発性の疾患である。アルコール(お酒)やタバコ(ニコチン)のほか、処方薬(睡眠導入剤、鎮痛剤など)、覚醒剤、大麻、コカイン、オピオイドなど、脳に作用するさまざまな物質によって引き起こされる。 今回、GLP-1受容体作動薬と米国退役軍人の糖尿病患者におけるSUDリスクの関係を調査した研究結果が発表された1)。電子カルテのデータを用いて、各種SUDの新規発症と、既存SUD患者の臨床アウトカム(救急外来、入院、死亡、過量摂取、自殺念慮・試み)を調査したところ、GLP-1受容体作動薬の使用は新規および既存のSUDのリスク低減に関連している可能性が報告された。 この研究により、GLP-1受容体作動薬はSUDの予防と治療の両面で有望な役割を果たす可能性が示唆された。しかし、対象が米国退役軍人という特定集団に限定されるため一般化には注意しなければならない。またSGLT2阻害薬を比較薬とした観察研究であるため、今後さらなる臨床試験が必要である。 SUDの治療は、単に物質の使用をやめるだけでなく、心身の健康や社会生活の回復を目指す多角的なアプローチが必要である2)。それはSUDが「意志の弱さ」から生じるものではなく、脳の機能が変化した疾患であるからである。SUDは専門的な治療と継続的なサポートが不可欠な疾患であり、GLP-1受容体作動薬はその治療の一助になるかもしれない。

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nalbuphine:IPFに伴う慢性咳嗽に対する新しいアプローチ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 本研究は、IPFに伴う慢性咳嗽に対する「ナルブフィン(nalbuphine)」の有効性と安全性を評価した第IIb相国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。nalbuphineは、オピオイドκ受容体作動薬かつμ受容体拮抗薬という今までにないユニークな機序を持つ薬剤であり、2026年3月現在、本邦未承認のオピオイドである。その鎮痛活性はモルヒネと同等とされている。8週間以上持続する咳嗽を有するIPF患者165例を、nalbuphine徐放剤27mg、54mg、108mg、またはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付け、6週間観察した。結果として、主要評価項目である「24時間客観的咳頻度」は、プラセボ群の16.9%低下に対し、27mg群で47.9%、54mg群で53.4%、108mg群で60.2%低下と、用量依存的かつ統計学的に有意な改善を示した。また、高用量群(54mg・108mg)では、患者報告による主観的な咳の頻度、重症度、およびQOLスコアも有意に改善した。 本研究から得られる、実臨床に直結する重要な知見としては、(1)客観的・主観的な咳嗽の改善効果(2)安全性プロファイルと初期の副作用マネジメント(3)既存の抗線維化薬との併用が可能といったところが挙げられる。 まず効果に関するところであるが、IPF患者の最大で80%が咳嗽に苦しみ、これが疾患の進行や予後不良と関連することが知られている。既存の抗線維化薬では咳を十分に制御することができないこともよく知られている。本試験では最高用量(108mg)で客観的な咳の回数を約60%も減少させ、さらに患者自身の「咳が減った」「生活の質が上がった」という主観的評価(PRO)の改善も伴っていた。この客観的指標・主観的指標における改善効果が示されたことはIPFの対症療法としてきわめて強力な武器になると考えられる。 nalbuphineはμ受容体に対して「拮抗的」に作用するため、従来のモルヒネやコデインなどのμ受容体作動薬で懸念される呼吸抑制、多幸感、依存性のリスクが低いという利点がある。とくに高度の拘束性換気障害を持つ重症の間質性肺炎症例では呼吸抑制は注意すべき副作用であるが、そのようなリスクがないことは重要である。実際、本試験でも致死的な有害事象は認められなかった。一方、悪心(33.6%)、嘔吐(21.0%)、便秘(20.0%)といった消化器症状がプラセボ群(悪心5.0%、嘔吐・便秘0%)より高頻度で認められた。しかし、これらは用量を漸増する際に発現しやすく、悪心の持続期間の中央値は6日、嘔吐は2日と、継続によって耐性ができ消失する傾向があった。このような有害事象が判明しているので、実臨床で使用する際は、「導入初期の制吐剤・下剤の併用」と「低用量からのゆっくりとした漸増」といった上手な副作用対策で乗り切ることができるだろう。 本研究では対象症例の約77%がすでにニンテダニブやピルフェニドンといった抗線維化薬が導入されていた。抗線維化薬によるベースライン治療に上乗せする形で強力な鎮咳効果を発揮した点は、実臨床セッティングに非常に合致している。 有効性に関しては素晴らしい結果である一方、観察期間の短さは際立つ。対象患者の平均咳嗽期間が3.0〜5.4年であったように、IPFは慢性疾患であり、IPFによる咳嗽も慢性的な症状である。本試験の投与期間はわずか6週間であり、nalbuphineの効果が数ヵ月、数年単位で維持されるのか、薬剤耐性はどうか、また長期投与によって新たな有害事象が顕在化しないかは、現時点では不明なので今後の検証が望まれる。 本試験では持続的な酸素療法が必要な症例や、最近呼吸器感染症を起こした患者、すでにオピオイドやベンゾジアゼピンを使用している患者は除外されている。実際のIPF診療では、呼吸機能障害が高度で、在宅酸素が導入されている方や、心身の苦痛から睡眠薬・抗不安薬を併用している高齢患者が一定数存在する。こうした「よりフレイルで重症なリアルワールドの患者群」に対する有効性と安全性は明らかではない。 ただnalbuphineは、IPFによる難治性咳嗽という実臨床でも対応が困難なアンメットニーズに対し画期的な薬剤と考える。中枢性と末梢性の両面から咳反射を抑えつつ、呼吸抑制リスクを回避した点は高く評価できるといえよう。今後の症例の集積や長期データには注目したい。

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GLP-1受容体作動薬、物質使用障害の予防や治療に有効か/BMJ

 GLP-1受容体作動薬の使用は、さまざまな物質使用障害(SUD)の発症リスク低下と一貫して関連し、複数の物質タイプにわたる幅広い予防効果があること、また、SUD既往患者においても有害な臨床アウトカムのリスク低下に関連していることが、米国退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのMiao Cai氏らによる観察研究の結果で示された。GLP-1受容体作動薬の使用がアルコール、タバコ、大麻使用障害の発症および再発リスクを低下させることが示されていたが、他の物質に関するエビデンスや、SUD既往患者の臨床アウトカムの改善に有効かどうかを評価する大規模研究は不足していた。著者は、「今回のデータは、GLP-1受容体作動薬がさまざまなSUDの予防と治療の両方において潜在的な役割を果たす可能性を示唆しており、さらなる評価が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年3月4日号掲載の報告。退役軍人の医療記録を用いて8件の実薬対照比較試験をエミュレーション 研究グループは、米国退役軍人省の電子医療記録を用いて新規投与開始者に関する8件の実薬対照標的試験エミュレーション(target trial emulation)を行った。内訳は、SUD既往のない患者における新規SUD発症に関する7試験(プロトコール1)と、SUD既往患者における有害アウトカムに関する1試験(プロトコール2)であった。 2型糖尿病を有する米国退役軍人60万6,434例をベース集団とし、患者を2つのプロトコールのいずれかに割り付け、最大3年間追跡した。 プロトコール1(主要試験)では、GLP-1受容体作動薬新規投与開始者12万4,001例およびSGLT2阻害薬新規投与開始者40万816例の計52万4,817例が、プロトコール2では、それぞれ1万6,768例および6万4,849例の計8万1,617例が対象となった。 主要アウトカムは、アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイドの使用障害、その他のSUD発症、およびこれらの複合アウトカムとした。SUD既往患者における有害アウトカムには、SUD関連の救急外来受診、SUD関連入院、SUD関連死、薬物過剰摂取、自殺念慮または自殺企図などが含まれた。 ハザード比(HR)および3年間の純リスク差(NRD、1,000人当たり)を、逆確率重み付けを用いた原因特異的Cox生存モデルに基づいて報告した。アルコール、大麻、コカイン、ニコチン、オピオイド、他のSUD発症リスクの低下と関連 SGLT2阻害薬の開始と比較し、GLP-1受容体作動薬の開始は以下の使用障害のリスク低下と関連していた。・アルコール(HR:0.82[95%信頼区間[CI]:0.78~0.85]、NRD:-5.57[95%CI:-6.61~-4.53])・大麻(0.86[0.81~0.90]、-2.25[-3.00~-1.50])・コカイン(0.80[0.72~0.88]、-0.97[-1.37~-0.57])・ニコチン(0.80[0.74~0.87]、-1.64[-2.19~-1.09])・オピオイド(0.75[0.67~0.85]、-0.86[-1.19~-0.52]) また、主要アウトカムとした、その他のSUD発症(0.87[0.81~0.94]、-1.12[-1.68~-0.55])、複合アウトカム(0.86[0.83~0.88]、-6.61[-7.95~-5.26])のリスク低下も認められた。 SUD既往患者では、GLP-1受容体作動薬の投与開始は、次のリスク低下と関連していた。・SUD関連救急外来受診(HR:0.69[95%CI:0.61~0.78]、NRD:-8.92[-11.59~-6.25])・SUD関連入院(0.74[0.65~0.85]、-6.23[-8.73~-3.74])・SUD関連死(0.50[0.32~0.79]、-1.52[-2.32~-0.72])・薬物過剰摂取(0.61[0.42~0.88]、-1.49[-2.43~-0.55])・自殺念慮または自殺企図(0.75[0.67~0.83]、-9.95[-13.14~-6.77]) 治療アドヒアランスに基づく解析でも、新規SUD発症およびSUD既往患者における有害アウトカムの両方について、治療開始に基づく解析と一貫した結果が示された。

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