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HbA1cの改善に加え患者QOLも向上―DPP-4阻害薬へのグラルギンの併用エビデンス(ALOHA2)

サノフィ株式会社池田勧夫氏近年DPP-4阻害薬は日本で急速に普及してきたが、DPP-4 阻害薬を含む経口血糖降下薬(OHA)を服用しても良好な血糖コントロールが得られない場合がある。そこで、池田氏らは、DPP-4 阻害薬を含むOHAで血糖コントロールが目標に達していない日本人の2 型糖尿病患者を対象にインスリン グラルギン(以下、グラルギン)を追加し、24週間観察した前向き研究(ALOHA 2)を行った。その結果が国際糖尿病連合の世界糖尿病会議(12月2~6日、メルボルン)で発表され、グラルギンの追加でHbA1cが大きく低下するだけでなく、治療満足度が有意に改善することが明らかとなった。OHA2剤でグラルギンを始めるケースが最も多い本研究の対象となったのは、これまでOHAによる治療を受け、グラルギンを開始する4 週間前のHbA1c が6.5%以上だった20歳以上の2,602例。これまでインスリンによる治療を受けたことがなく、経口薬への追加でグラルギンを開始し、24週まで継続した症例をBOT 群とした。BOT 群は1,629 例。観察期間は24 週間。BOT群のベースラインの患者背景は年齢が61.8 歳、HbA1cは9.58%、FPGは2 0 4.6 mg/dL、2 時間P PGは272.8mg/dL。糖尿病罹患期間は10年未満が3 4.7%、10~15年が19.5%、15年以上が23.9%、併存疾患は糖尿病性神経障害が22.5%、糖尿病性網膜症が14.6%、糖尿病性神経障害が14.9 %、高血圧が47.8%、脂質異常症が51.9% など。またベースラインで使用されていたOHAの数は、1 種類が29.3%、2 種類が34.8%、3 種類が26.9%、4種類が9.1%であり、観察期間中に高頻度に併用されたOH Aはスルホニル尿素薬が71.5%、DPP-4 阻害薬が60.7%、ビグアナイド薬が4 8.6 %などであった(表1)。画像を拡大するHbA1cはベースラインから1.6%低下、空腹時血糖値だけでなく食後血糖値も大きく改善基礎インスリンとDPP-4 阻害薬の併用療法は、2 型糖尿病患者の空腹時血糖値(FPG)と食後血糖値(PPG)の両方を管理し、良好な血糖コントロールが得られる治療法として注目されているが、本研究ではグラルギンの追加によりHbA1cがベースラインから最終評価時までで1.61%有意に低下していた(p

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慢性腎臓病における2つのエンドポイントを予防するために

 わが国の慢性腎臓病(CKD)患者数は2005年に1,330万人に達し、成人の8人に1人がCKDといわれている。CKDは、腎機能が悪化すると透析が必要な末期腎不全に進行するだけではなく、心血管疾患の発症リスクが高まる。そのリスク因子であるリンの管理について、2013年11月19日に都内にてプレスセミナーが開催された(主催・バイエル薬品株式会社)。そのなかで、東京大学医学部附属病院 腎疾患総合医療学講座 特任准教授の花房 規男氏は、CKDという概念が提唱された経緯やCKD治療の目的、リンコントロールを介したCKD-MBD(CKDに伴う骨・ミネラル代謝異常)対策について講演した。CKDの概念とは CKDには糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などさまざまな疾患があるが、どの疾患においても、腎機能の低下は最終的に共通の経路をとる。そのため、CKDとして共通の対策がとられることになる。また、CKDは末期腎不全や心血管合併症という予後に関連する疾患である。CKDの治療目的はこれら2つのエンドポイントの予防であり、早期の対策が望まれる。 CKDは「わかりやすく」をモットーに提唱された概念であり、大きく分けて3つの条件(尿所見をはじめとする腎疾患に関連する異常、eGFR 60mL/min/1.73m2未満、3ヵ月以上継続)を満たす場合に診断される。従来明らかになっていなかった数多くのCKD患者が存在するため、花房氏は「診療は腎臓専門医だけでは難しく、かかりつけ医による診療が重要」と訴えた。CKD対策には生活習慣関連が多い CKDに対する治療介入のなかには、「生活習慣の改善」「食事指導」「高血圧治療」「糖尿病の治療」「脂質異常症の治療」「骨・ミネラル代謝異常に対する治療」「高尿酸血症に対する治療」といった生活習慣に関連する項目が多い。 近年、生活習慣に起因する腎疾患が増加しており、透析患者の原疾患も糖尿病性腎症が増加している。また、BMIが高い患者は末期腎不全に移行しやすいなど、生活習慣とCKDは深く関わっている。そのため、「生活習慣を最初の段階で改善することがポイントである」と花房氏は指摘した。CKD-MBD(CKDに伴う骨・ミネラル代謝異常)という新たな概念が提唱される 骨・ミネラルについても腎臓と深く関連している。CKDで生じるミネラル代謝異常は、骨や副甲状腺の異常のみならず、血管の石灰化を介して、生命予後に大きな影響を与えることが認識され、CKD-Mineral and Bone Disorder(CKD-MBD:CKDに伴う骨・ミネラル代謝異常)という新しい概念が提唱されている。リンの高値が血管の石灰化をもたらし心血管合併症の原因となるため、CKD-MBD対策として、リンをコントロールし、生命予後の改善および末期腎不全への進行を予防することが重要である。リンをコントロールするには CKD患者のリンをコントロールするには、食事中のリンを減らしたり、リン吸着薬で腸からの吸収を減らすことにより、体の中に入ってくるリンを減らすことが重要である。リンはタンパク質を多く含む食物に多いため、タンパク質を制限すればリンも制限されるはずである。しかし、実際には食事制限だけでは十分ではなく、また食事量低下による低栄養のリスクもあるため、必要に応じてリン吸着薬を使用することが有効である。リン吸着薬には、カルシウム含有リン吸着薬(炭酸カルシウム)とカルシウム非含有吸着薬(炭酸ランタン、セベラマー、ビキサロマー)がある。このうち、炭酸カルシウムが以前より使用されているが、花房氏は「持続的なカルシウム負荷は異所性石灰化を生じ、心血管合併症が発症する可能性がある」と指摘し、「保存期の長い過程においては、カルシウム非含有吸着薬が有効なのかもしれない」と述べた。

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わが国のHIVの現状 ~抗HIV療法関連の骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患が問題に~

約30年前は死に至る病と言われていたHIV感染症。現在は、定期的な受診と適切な服薬継続により長期にわたり日常生活を続けることが可能になり、慢性疾患と考えられるようになりつつある。しかしながら、日本では感染者が増加傾向にあり、新たに抗HIV療法に関連した代謝性疾患などが問題となっている。このたび、途上国のエイズ対策を支援する『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』の支持を決定する技術審査委員の1人である、しらかば診療所 院長の井戸田 一朗氏が、ヤンセンファーマHIV/AIDSメディアセミナー(2013年10月29日開催)でHIVの現状や課題を紹介した。性感染症にかかるとHIVにかかりやすい井戸田氏のクリニックは、セクシャル・マイノリティ(同性愛者、バイセクシャル、トランスジェンダーなど)を主な対象として2007年に東京都新宿区に開院した。現在、同クリニックには約400人のHIV陽性者が定期的に通院しているという。井戸田氏が性感染症にかかった男性にHIV検査を勧めて検査した結果(自分で希望した人は除外)、淋菌感染症患者では20%、梅毒患者では13%、尖圭コンジローマ患者では26%がHIV陽性であった。井戸田氏は、「性感染症、とくに淋菌感染症、梅毒、尖圭コンジローマにかかった人は、HIV感染症も検査することが大切」と強調した。男性間の性的接触による感染が増加わが国の性感染症の報告数は全体的に減少傾向にあるが、新規HIV感染者とAIDS患者数は年々増加している。その内訳をみると、異性間性的接触による感染はほとんど変化がないのに比べて、男性間性的接触による感染の増加は著しく、2011年では全体の64%を占めていた。人口当たりのHIV陽性累積数は、都道府県別では、東京、大阪、茨城、長野、山梨の順で多く、HIV感染者とAIDS患者の6割が関東に集中している。男性間性的接触をする男性(MSM:men who have sex with men)の割合については、2005年度国勢調査における対象地域(関東、東海、近畿、九州)の男性では、性交渉の相手が同性のみ、もしくは両性である割合が2.0%(95%CI:1.32~2.66%)と報告されている。井戸田氏は、MSMにおけるHIVや性感染症の流行の背景として、解剖学的差異、性交渉の様式、ハッテン場・インターネットでの出会い、薬物(アルコール含む)、心理的要因を挙げた。HIV陽性者の予後と今後の課題HIV陽性者の予後は、抗HIV療法の登場により、20歳時の平均余命が36.1歳(1996~1999年)から49.4歳(2003~2005年)に延長した。また、抗HIV療法の登場により、カポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫などのエイズ関連悪性腫瘍が減少する一方で、非エイズ関連悪性腫瘍(肛門がん、ホジキンリンパ腫、肝がん、皮膚がん、肺がん、頭頸部がん)が増加してきている。HIV陽性者においては脳心血管イベントの発生率が上昇する。禁煙によりそのリスクを下げることができるが、井戸田氏によると、同院を訪れるHIV陽性MSMでは喫煙者が多く52%に喫煙歴があったという。また、最近、抗HIV療法に関連した骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患(脂質異常症、糖尿病)が問題となっている。井戸田氏は、HIVに直接関係のないこれらの疾患について、「それぞれの分野の先生に診てもらえるとHIV陽性者や拠点病院にとって大きな支えになる」と各領域の医師からの協力を期待した。(ケアネット 金沢 浩子)

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中等度~重度乾癬患者はCKDに注意/BMJ

 米・ペンシルベニア大学のJoy Wan氏らは、英国でコホート内断面研究を行い、乾癬患者の慢性腎臓病(CKD)発症リスクについて調査した。その結果、乾癬の重症度が高いほど、CKD発症リスクが増加することが示された。 これまでの研究で乾癬は、糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患の発症と関連することが報告されていたが、腎臓疾患の発症との関連については検討が十分ではなかった。BMJ誌2013年10月15日掲載報告。 著者らは、英国の電子カルテデータベースを用いて、人口ベースのコホート研究を行った。被験者は18~90歳の乾癬患者14万3,883例で、そのうち軽度は13万6,529例、重度は7,354例であった。対照群は、乾癬罹患の記録がなく、年齢、治療、来院時期で適合させた68万9,702例であった。メインアウトカムは、中等度から高度(ステージ3~5)のCKD発症であった。 その後、コホート内断面研究であるiHOPE試験(Incident Health Outcomes and Psoriasis Events study)を実施した。被験者は25~64歳の乾癬患者8,731例で重症度別に登録され、対照群は乾癬罹患の記録がなく、年齢と治療で適合させた8万7,310例であった。メインアウトカムは、ベースラインでのCKDの有病率であった。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究において、性別、年齢、心血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症、NSAIDsの使用、BMIで補正後、重度乾癬群ではCKD発症リスクが高かった(全患者のハザード比[HR] :1.05、95%信頼区間[CI] :1.02~1.07、軽度乾癬群のHR:0.99、95%CI:0.97~1.02、重度乾癬群のHR:1.93、95%CI:1.79~2.08)。・重度乾癬群を年齢別にみたところ、若年であるほどCKD発症リスクが増加していた(30歳のHR:3.82、95%CI:3.15~4.64、60歳のHR:2.00、95%CI:1.86~2.17)。・iHOPE試験において、性別、年齢、心血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症、NSAIDsの使用、BMI、観察期間で補正後、CKDの発症リスクは乾癬の重症度が高いほど増加していた(軽度乾癬群のオッズ比[OR]:0.89、95%CI:0.72~1.10、中等度乾癬群のOR:1.36、95%CI:1.06~1.74、重度乾癬群のOR:1.58、95%CI:1.07~2.34)。

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最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常

 抗精神薬に関連する代謝系の長期副作用に関するデータは不足している。英国・King's College LondonのRocio Perez-Iglesias氏らは、初回エピソード精神病患者を対象に、抗精神病薬投与後の体重増加および代謝異常の出現状況について検討した。その結果、最初の1年間に著しい体重増加が認められ、代謝に関しては総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリドなどの脂質異常を認めたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬投与後、最初の1年間は体重増加と代謝パラメータの変動に注意を要することが示唆された」と述べ、また「体重増加の経過を明らかにすることは、抗精神病薬に関連する代謝系有害事象の防止または軽減を目的とした研究における有用な情報となるであろう」とまとめている。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 研究グループは、治療歴のない初回エピソード精神病患者を対象とした前向き長期試験は、抗精神病薬投与前の状況を把握でき、かつ交絡因子の影響が少ないという点で貴重な情報といえる、として本検討を行った。試験は、抗精神病薬投与開始後3年間における体重増加の経過および代謝異常の出現頻度を評価することを目的とした。初回エピソード精神病患者170例のコホートを、ハロペリドール群(32%)、オランザピン群(32%)、リスペリドン群(36%)に無作為化し、可変用量を投与した。初期治療は、臨床効果と忍容性を考慮し、必要に応じて変更された。 主な結果は以下のとおり。・3年時点における平均体重増加は12.1kg(SD:10.7)であった。・最初の1年間における体重増加が著しく(平均総体重増加量の85%)、その後は次第に安定した。・総コレステロール、LDL-コレステロールおよびトリグリセリド値は同様の推移を示し、最初の1年間においてのみ有意な増加がみられた。・血糖パラメータの有意な変化は認められなかった。・糖尿病の家族歴を有する2例で、2型糖尿病の発症がみられた。・短期評価において、体重増加と関連する因子は「BMI低値」「男性」「オランザピン投与」であった。・長期評価において、「機能的状態」と「臨床効果」が主要な予測因子であることが示された。関連医療ニュース 抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

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心血管疾患治療のための用量固定配合剤(FDC)投与は治療改善につながるや否や?(コメンテーター:島田 俊夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(139)より-

 本臨床試験で使用された用量固定配合剤(FDC):(アスピリン+スタチン+2種類の降圧剤2剤の組み合わせ)を用いることにより、いかなる利益と問題点が生じたかを読み取ってみたい。 UMPIRE試験はヨーロッパの3国(イギリス、アイルランド、オランダ)と、インドを対象地域とした無作為化オープンラベル盲検エンドポイント試験である。心血管疾患の既往、または5年以内に15%以上の心血管リスクを持つ受診者を対象とした。参加者を無作為に2群に割り付け、FDC群と通常治療群に群別した。FDC群は通常治療群と比較してアドヒアランス(治療遵守)の有意な改善と収縮期血圧・LDLコレステロールのわずかな低下を認めた(統計上有意)。さらに、ベースラインでのアドヒアランスが低いほどメリットが大きいことも判明した。死亡や入院頻度に差を認めなかったのは、追跡期間が短いことが影響していると推測する。 今回の検討から確実に言えることは、既存もしくは疑わしい心血管疾患患者にFDCを投与することは、アドヒアランスを改善するのに有効である。しかし、リスク因子(血圧・LDLコレステロール)に関してはその効果の差は認めるがわずかであり、死亡・入院頻度に関して差を認めなかった点は本試験の弱点となっている。通常治療群で効果が低かった理由は、おそらくアドヒアランスの不良に起因するところが大きい。FDC治療は用量固定配合剤を用いて治療を行うため、薬物選択上妥協を強いられるので、必ずしも参加者個人にとってベストの治療ではない。このようなことが相殺し合い、治療効果の差を僅かなものにした可能性を考える。 しかしながら、本試験からアドヒアランスの悪い患者への投与は治療効果を改善するので、アドヒアランス不良例ではFDCの使用が推奨される。アドヒアランスの改善が死亡・入院頻度の減少に繋がることを実証することが何よりも重要であるが、本研究からのみでは結論を得るに至らない。確実な結論を導くためには今後、もう少し長期のフォローアップが必要ではないだろうか。

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LDL-Cを40%低下させた新しいタイプの薬、RNA干渉薬/Lancet

 低分子RNA干渉薬ALN-PCSによる前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)の合成阻害は、LDLコレステロール(LDL-C)を低下させる安全な作用メカニズムである可能性が、米国・Alnylam Pharmaceuticals社のKevin Fitzgerald氏らの検討で示された。研究の詳細はLancet誌オンライン版2013年10月3日号に掲載された。2006年、セリンプロテアーゼであるPCSK9の機能喪失型遺伝子変異によってLDL-Cが低下し、冠動脈心疾患のリスクが著明に低減することが確認された。それ以降、PCSK9を標的とする新たな脂質低下療法の開発が活発に進められ、これまでに抗PCSK9抗体のLDL-C低下効果が確認されているが、RNA干渉に基づくPCSK9合成阻害に関する報告はないという。健常者における安全性を無作為化第I相試験で評価 研究グループは、健常成人におけるALN-PCSの安全性と有効性を評価する単盲検プラセボ対照無作為化第I相用量漸増試験を実施した。 対象は、年齢18~65歳で、血漿LDL-C値の上昇(≧3.00mmol/L)がみられるが脂質低下療法を受けていない健常者とした。被験者は、ALN-PCSを静脈内単回投与(0.015~0.400mg/kg)する群またはプラセボ群に3対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は安全性および忍容性とし、副次評価項目はALN-PCSの薬物動態(PK)特性およびPCSK9、LDL-Cに及ぼす薬力学(PD)作用とした。被験者には治療割り付け情報がマスクされ、per-protocol解析が行われた。PCSK9が約70%、LDL-Cが約40%低下 2011年9月21日~2012年9月11日までに32人が登録され、ALN-PCS群に24人(年齢中央値51.0歳、男性22人)が、プラセボ群には8人(41.5歳、8人)が割り付けられた。ALN-PCS群の用量別の内訳は、0.015mg/kg群3人、0.045mg/kg群3人、0.090mg/kg群3人、0.150mg/kg群3人、0.250mg/kg群6人、0.400mg/kg群6人であった。 治療関連有害事象の発症率はALN-PCS群が79%(19人)、プラセボ群は88%(7人)と両群で同等であった。ALN-PCSは血漿中に迅速に分布し、注入終了時あるいは終了後まもなくピーク濃度に達した。また、ほぼ用量に比例してピーク濃度および曲線下面積(AUC)が上昇した。 最大用量の0.400mg/kg群では、投与後3日目の空腹時血漿PCSK9のベースラインからの平均変化率が、プラセボ群に比べ69.7%低下した(p<0.0001)。また、0.400mg/kg群では、空腹時血清LDL-Cのベースラインからの平均変化率が、プラセボ群に比べ40.1%低下した(p<0.0001)。 著者は、「LDL-Cが上昇している健常者において、RNA干渉によるPCSK9合成の阻害は、LDL-Cを低下させる安全な作用メカニズムであることが示唆される」とまとめ、「スタチン治療中の患者を含む高コレステロール血症患者において、ALN-PCSのさらなる評価を進めることを支持する知見が得られた。また、RNA干渉薬が、臨床的な妥当性が確認されているエンドポイント(すなわちLDL-C値)に影響を及ぼすことが、ヒトで初めて示された」と指摘している。

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2型糖尿病のCVD予測に、6つのマーカーが有用

2型糖尿病における心血管疾患(CVD)予測因子として、NT-ProBNPを含む6つのバイオマーカーが有用であることが示唆された。関連のあったバイオマーカーは、NT-ProBNP、アポCIII(ApoCIII)、可溶性-RAGE(sRAGE)、高感度トロポニンT、IL-6およびIL-15の6つであった。演者のHelen C. Looker氏は、今回の結果についてIL-15が予測因子となることは新たな発見であり、ApoCIIIとsRAGEにおけるCVD発症との逆相関の関連についても、さらなる研究が必要であると語った。これまでに、2型糖尿病におけるCVD予測因子に有用とされるバイオマーカーは複数報告されている。そこで、CVD予測因子として有用なバイオマーカーを検索するため、5つのコホート研究の調査が実施された。本調査は、SUMMIT(SUrrogate markers for Micro- and Macrovascular hard endpoints for Innovative diabetes Tools)研究の一環である。対象となったコホート研究は、Go-DARTS(n=1,204)、スカニア糖尿病レジストリ(n=666)、MONICA/KORA(n=308)、IMPROVE(n=94)およびストックホルム研究(n=46)である。候補バイオマーカーとしては、糖尿病患者、非糖尿病患者を問わず、これまでの研究でCVDとの関連が報告された42のマーカーが選択された。年齢、性別、糖尿病罹患期間、BMI、血圧、HbA1c、トリグリセリド、LDL-C、HDL-C、eGFR、喫煙、薬物治療(降圧剤、アスピリン、脂質異常症治療薬およびインスリン使用を含む)を共変量として解析が行われた。主な結果は以下のとおり。2型糖尿病におけるCVD予測因子として、6つのバイオマーカー(NT-ProBNP、ApoCIII、sRAGE、高感度トロポニンT、IL-6、IL-15)が強い関連を認めた。●NT-ProBNP(OR = 1.74、95%CI:1.51~2.02)●ApoCIII(OR = 0.81、95%CI:0.73~0.91)●sRAGE(OR = 0.86、95%CI:0.78~0.96)●高感度トロポニンT(OR = 1.28、95%CI:1.12~1.47)●IL-6(OR = 1.19、95%CI:1.07~1.33)●IL-15(OR = 1.16、95%CI:1.05~1.28)NT-proBNPおよび高感度トロポニンTが2型糖尿病におけるCVD発症に関連していることが明らかになった。IL-6は一般的なCVD予測因子としても知られているが、2型糖尿病患者においても同じくCVD予測因子となることが本調査で確認された。IL-15と2型糖尿病におけるCVD発症の関連性が、今回新たに報告された。ApoCIIIとsRAGEにおいてCVD発症と逆相関の関連が示唆された。Looker氏は「2型糖尿病患者におけるCVD予測因子となるマーカーが、今後の研究によって、さらに明確化されることを願っている」と講演を終えた。

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PCIを病院到着から90分以内に施行することで院内死亡率は改善したか?/NEJM

 米国では2005年~2009年の4年間で、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の、病院到着から経皮的冠動脈インターベンション(PCI)開始までの時間(door-to-balloon time)が16分短縮し、90分以内PCI開始率は23.4ポイント上昇した。しかし、院内死亡率は0.1ポイントの低下でほとんど変化していないことが、ミシガン大学のDaniel S. Menees氏らの調査で判明した。現行のACC/AHAガイドラインでは、STEMI患者に対し病院到着から90分以内のプライマリPCI施行開始を強く推奨(Class I)している。door-to-balloon timeは医療施設の評価指標とされ、地域および国による医療の質向上戦略の中心に位置づけられるが、実際にdoor-to-balloon timeの改善が死亡率の低下に結びついているかは、これまで検証されていなかったという。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告。約9万7,000人の患者データを解析 研究グループは、プライマリPCI施行STEMI患者におけるdoor-to-balloon timeの短縮と院内死亡率の変化の関連を明らかにするために、米国のレジストリ・データに基づく解析を行った。 2005年7月~2009年6月までに、515のCathPCIレジストリ参加施設から登録された、プライマリPCI施行STEMI患者9万6,738例のデータを用い、4年間の各年度別解析を行った。 全体の平均年齢は60.8歳、女性が28.0%であった。高血圧が61.0%、糖尿病が18.8%、脂質異常症が59.2%、喫煙が43.3%、慢性肺疾患が11.4%、心筋梗塞の既往が18.5%に認められた。また、PCI歴ありが20.5%、CABG歴ありが5.6%で、平均入院期間は4.3日であった。 血栓除去術が20.5%、ステント留置術が89.3%で行われ、アプローチは大腿動脈が98.5%、橈骨動脈は0.8%であった。標的冠動脈は左主幹動脈が3.0%、左前下行枝が55.4%、左回旋枝が33.0%、右冠動脈は59.7%だった。高リスク群の予後も改善せず 解析の結果、door-to-balloon time中央値は、初年度(2005年7月~2006年6月)の83分から、最終年度(2008年7月~2009年6月)には67分へと有意に低下した(p<0.001)。同様に、door-to-balloon time90分以内の患者の割合は、初年度の59.7%から最終年度には81.3%まで有意に増加した(p<0.001)。 しかし、このようなdoor-to-balloon timeの改善にもかかわらず、全体的な未補正院内死亡率には有意な変化は認めず(初年度:4.8%、最終年度:4.7%、傾向検定p=0.43)、リスク補正院内死亡率(同:5.0%、4.7%、p=0.34)および未補正30日死亡率(同:9.7%、9.8%、p=0.64)にも有意な変化はなかった。 高リスクのサブグループである75歳以上(1万5,121例)、前壁梗塞(1万8,709例)、心原性ショック合併(9,535例)の患者においても、同様にdoor-to-balloon timeは有意に短縮したが、全体の院内死亡率に変化はみられなかった(75歳以上:初年度12.5%、最終年度11.1%、p=0.19/前壁梗塞:7.2%、6.9%、p=0.79/心原性ショック合併:27.4%、27.2%、p=0.60)。 著者は、「STEMI患者の院内死亡率を改善するには、door-to-balloon time以外の戦略が必要である」とし、「医療施設の評価指標や一般向けの報告にdoor-to-balloon timeを使用することには疑問が生じる」と指摘している。

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さすがに4剤を1つの配合剤にすると服薬継続率も良くなるだろう/JAMA

 心血管疾患(CVD)またはその高リスクを有する患者への降圧・脂質低下・抗血小板薬の固定用量配合剤投与(fixed-dose combinations:FDC)治療戦略は通常ケアと比較して、アドヒアランスを有意に改善すること、血圧と脂質の臨床値の改善は有意だがわずかであったことが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSimon Thom氏らによる無作為化試験「UMPIRE」の結果、示された。CVD患者の大半は、推奨薬物療法が長続きしない。FDCによるアドヒアランス改善効果はその他領域で報告されており、心血管系FDCについてはこれまで、プラセボあるいは未治療と比較した短期効果の検討は行われていた。JAMA誌2013年9月4日号掲載の報告より。FDC治療と通常ケアを比較、アドヒアランスと重大リスク因子の改善を評価 UMPIRE試験は、インドおよび欧州で2010年7月~2011年7月にCVD既往またはそのリスクを有する患者2,004例を登録して行われた非盲検無作為化エンドポイント盲検化試験であった。 試験は、長期アドヒアランスの改善についてFDC(アスピリン、スタチン、降圧薬2剤)と通常ケアを比較することを目的とし、治療の改善および2つの重大なCVDリスク因子(収縮期血圧[SBP]、LDLコレステロール[LDL-C])について評価した。 被験者は、無作為に1,002例が(1)アスピリン75mg+シンバスタチン40mg+リシノプリル10mg+アテノロール50mg、または(2)アスピリン75mg+シンバスタチン40mg+リシノプリル10mg+ヒドロクロロチアジド12.5mgのいずれかのFDC群に割り付けられ、残る1,002例は通常ケア群に割り付けられた。 主要評価項目は、自己申告に基づく治療アドヒアランスと、SBPとLDL-Cのベースラインからの変化とした。アドヒアランスは有意に改善、SBPとLDL-Cは有意だがわずかな改善 被験者2,004例のベースライン時の平均血圧値は137/78mmHg、LDL-C値91.5mg/dLで、抗血小板薬、スタチン薬、2剤以上の降圧薬を服用していたのは1,233例(61.5%)だった。 追跡調査は、2012年7月に終了し、平均追跡期間は15ヵ月(範囲:12~18ヵ月)であった。 結果、FDC群は通常ケア群と比較して有意にアドヒアランスが改善した(86%対65%、相対リスク[RR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.26~1.41、p<0.001)。また、試験終了時のSBPの低下(-2.6mmHg、95%CI:-4.0~-1.1mmHg、p<0.001)、LDL-Cの低下(-4.2mg/dL、95%CI:-6.6~-1.9mg/dL、p<0.001)も、わずかだが有意にFDC群のほうが低下していた。 事前に定義したサブグループ(アドヒアランス、性、糖尿病、喫煙の有無別など)でも効果は一致しており、ベースラインでのアドヒアランスが低い患者ほどベネフィットが大きいというエビデンスが得られた。このベースラインでアドヒアランスが低かった患者727例(36%)の試験終了時のアドヒアランスの改善は、FDC群77%対通常ケア群23%で(RR:3.35、95%CI:2.74~4.09、相互作用のp<0.001)、SBPの低下は-4.9mmHg(95%CI:-7.3~-2.6mmHg、相互作用のp=0.01)、LDL-Cの低下は-6.7mg/dL(95%CI:-10.5~-2.8mg/dL、相互作用のp=0.11)だった。 重大有害イベントまたは心血管イベントの発生に有意差はみられなかった。FDC群50例(5%)、通常ケア群35例(3.5%)、RR:1.45(95%CI:0.94~2.24、p=0.09)。 以上を踏まえて著者は、「CVDまたはその高リスクを有する患者において、血圧、コレステロール、血小板コントロールのためのFDC治療戦略は通常ケアと比較して、15ヵ月時点のアドヒアランスを有意に改善した。SBPとLDL-Cは有意だがわずかな改善であった」と結論している。

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クッシング病〔CD : Cushing's disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義クッシング症候群は、副腎からの慢性的高コルチゾール血症に伴い、特異的・非特異的な症候を示す病態である。高コルチゾール血症の原因に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が関与するか否かで、ACTH依存性と非依存性とに大別される。ACTH非依存性クッシング症候群では、ACTHとは無関係に副腎(腺腫、がん、過形成など)からコルチゾールが過剰産生される。ACTH依存性クッシング症候群のうち、異所(非下垂体)性ACTH産生腫瘍(肺小細胞がんやカルチノイドなど)からACTHが過剰分泌されるものを異所性ACTH症候群、ACTH産生下垂体腺腫からACTHが過剰分泌されるものをクッシング病(Cushing's disease:CD)と呼ぶ。■ 疫学わが国のクッシング症候群患者数は1,100~1,400人程度と推定されているが、その中で、CD患者は約40%程度を占めると考えられている。発症年齢は40~50代で、男女比は1:4程度である。■ 病因ACTH産生下垂体腺腫によるが、大部分(90%以上)は腫瘍径1 cm未満の微小腺腫である。ごくまれに、下垂体がんによる場合もある。■ 症状高コルチゾール血症に伴う特異的な症候としては、満月様顔貌、中心性肥満・水牛様脂肪沈着、皮膚線条、皮膚のひ薄化・皮下溢血や近位筋萎縮による筋力低下などがある。非特異的な徴候としては、高血圧、月経異常、ざ瘡(にきび)、多毛、浮腫、耐糖能異常や骨粗鬆症などが挙げられる(表)。一般検査では、好中球増多、リンパ球・好酸球減少、低カリウム血症、代謝性アルカローシス、高カルシウム尿症、高血糖、脂質異常症などを認める。■ 分類概念・定義の項を参照。■ 予後治療の項を参照。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)高コルチゾール血症に伴う主症候が存在し、早朝安静(30分)空腹時採血時の血中コルチゾール(および尿中遊離コルチゾール)が正常~高値を示す際に、クッシング症候群が疑われる。さらに、同時採血時の血中ACTHが正常~高値(おおむね10 pg/mL以上)の場合は、ACTH依存性クッシング症候群が疑われる(表)。次にACTH依存性を証明するためのスクリーニング検査を行う。(1)一晩少量(0.5 mg)デキサメタゾン抑制試験にて翌朝の血中コルチゾール値が5μg/dL以上を示し、さらに、(2)血中コルチゾール日内変動の欠如(深夜睡眠時の血中コルチゾール値が5μg/dL以上)、(3)DDAVP試験に対するACTH反応性(前値の1.5倍以上)の存在(例外:異所性ACTH症候群でも陽性例あり)、(4)深夜唾液中コルチゾール値(わが国ではあまり普及していない)高値(1)は必須で、さらに(2)~(4)のいずれかを満たす場合は、ACTH依存性クッシング症候群と考えられる。ここで、偽性クッシング症候群(うつ病・アルコール多飲)は除外される。次に、CDと異所性ACTH症候群との鑑別のための以下の確定診断検査を行う。(1)CRH試験に対するACTH反応性(前値の1.5倍以上)の存在(例外:下垂体がんや巨大腺腫の場合は反応性欠如例あり、一方、カルチノイドによる異所性ACTH症候群の場合は反応例あり)(2)一晩大量(8mg)デキサメタゾン抑制試験にて、翌朝の血中コルチゾール値の前値との比較で半分以下の抑制(例外:巨大腺腫や著明な高コルチゾール血症の場合は非抑制例あり、一方、カルチノイドによる異所性ACTH症候群の場合は抑制例あり)(3)MRI検査にて下垂体腫瘍の存在以上の3点が満たされれば、ほぼ確実であると診断される。しかしながら、CDは微小腺腫が多いことからMRIにて腫瘍が描出されない症例が少なからず存在する。その一方で、健常者でも約10%で下垂体偶発腫瘍が認められることから、CDの確実な診断のためにさらに次の検査も行う。(4)選択的静脈洞血サンプリング(海綿静脈洞または下錐体静脈洞)を施行する。血中ACTH値の中枢・末梢比が2以上(CRH刺激後は3以上)の場合は、CDと診断される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的療法CD治療の第一選択は、経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術(trans-sphenoidal surgery:TSS)であるが、手術による寛解率は60~90%と報告されている。完全に腫瘍が摘出されれば術後の血中ACTH・コルチゾール値は測定感度以下となり、ヒドロコルチゾンの補充が6ヵ月~2年間必要となる。術後の血中ACTH・コルチゾール値が高値の場合は腫瘍の残存が疑われ、正常範囲内の場合でも再燃する場合が多いために注意が必要である。術後の非寛解例・再発例は、各々10%程度存在すると考えられている。手術不能例や術後の残存腫瘍に対しては、ガンマナイフやサイバーナイフを用いた定位放射線照射を行う。効果発現までには長期間かかるため、薬物療法との併用が必要である。また、従来の通常分割外照射ほどではないが、長期的には下垂体機能低下症のリスクが存在する。■ 薬物療法薬物療法は、下垂体に作用するものと副腎に作用するものに大別される。1)下垂体に作用する薬剤下垂体腺腫に作用してACTH分泌を抑制する薬剤としては、ドパミン受容体作動薬[ブロモクリプチン(商品名:パーロデル)やカベルゴリン(同:カバサール)]、セロトニン受容体拮抗薬[シプロヘプタジン(同:ペリアクチン)]、持続性ソマトスタチンアナログ[オクトレオチド(同:サンドスタチンほか)]やバルプロ酸ナトリウム(同:デパケンほか)などが使用されるが、有効例は20%未満と少ない。2)副腎に作用する薬剤副腎に作用する薬剤としてはメチラポン(同:メトピロン)やミトタン(同:オペプリム)が用いられる。とくに11β‐水酸化酵素阻害薬であるメチラポンは、高コルチゾール血症を短時間で確実に低下させることから、術前例も含めて頻用される。以前、同薬剤は、診断薬としてのみ認可されていたが、2011年からは治療薬としても認可されている。ミトタンは80%以上の有効性が報告されているが、効果発現までの期間が長く、副腎皮質を不可逆的に破壊することから、使用には注意が必要である。初回のTSSで寛解した場合の予後は良好であるが、腫瘍残存例や再発例は、高コルチゾール血症に伴う感染症、高血圧、糖尿病、心血管イベントなどのため、長期予後は不良である。4 今後の展望CD患者の長期予後改善のためには、下垂体に作用する新規薬剤の開発・実用化が急務と考えられる。近年、5型ソマトスタチン受容体に親和性の高い新規ソマトスタチンアナログSOM230(pasireotide)が開発されたが、わが国では治験中であり、まだ使用開始となっていない。また、最近では、レチノイン酸の有効性も報告されており、今後の臨床応用が期待される。5 主たる診療科内分泌代謝内科、脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター クッシング病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)

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統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査

 統合失調症は、重大な併存疾患と死亡を伴う主要な精神病性障害で、2型糖尿病および糖尿病合併症に罹患しやすいとされる。しかし、併存疾患が統合失調症患者の超過死亡につながるという一貫したエビデンスはほとんどない。そこで、ドイツ・ボン大学のDieter Schoepf氏らは、一般病院の入院患者を対象とし、統合失調症の有無により併存疾患による負担や院内死亡率に差異があるかどうかを調べる12年間の追跡研究を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2013年8月13日号の掲載報告。統合失調症の併存疾患の大半は糖尿病合併症またはその他の環境因子に関与 対象は、2000年1月1日から2012年6月末までにマンチェスターにある3つのNHS一般病院に入院した成人統合失調症患者1,418例であった。1%以上の発現がみられたすべての併存疾患について、年齢、性別を適合させたコントロール1万4,180例と比較検討した。多変量ロジスティック回帰解析により、リスク因子(例:院内死亡の予測因子としての併存疾患など)を特定した。 統合失調症の併存疾患を比較検討した主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者はコントロールに比べ緊急入院の割合が高く(69.8 vs. 43.0%)、平均入院期間が長く(8.1 vs. 3.4日)、入院回数が多く(11.5 vs. 6.3回)、生存期間が短く(1,895 vs. 2,161日)、死亡率は約2倍であった(18.0 vs. 9.7%)。 ・統合失調症患者では、うつ病、2型糖尿病、アルコール依存症、喘息、COPDに罹患していることが多く、併存疾患としては23種類も多かった。また、これらの大半は糖尿病合併症またはその他の環境因子に関与していた。・これに対し、高血圧、白内障、狭心症、脂質異常症は統合失調症患者のほうが少なかった。・統合失調症患者の死亡例において、併存疾患として最も多かったのは2型糖尿病で、入院中の死亡の31.4%を占めていた(試験期間中、2型糖尿病を併発している統合失調症患者の生存率はわずか14.4%であった)。・統合失調症患者においては、アルコール性肝疾患(OR:10.3)、パーキンソン病(OR:5.0)、1型糖尿病 (OR:3.8)、非特異的な腎不全(OR:3.5)、虚血性脳卒中(OR:3.3)、肺炎(OR:3.0)、鉄欠乏性貧血(OR:2.8)、COPD(OR:2.8)、気管支炎(OR:2.6)などが院内死亡の予測因子であることが示された。・コントロールとの比較において、統合失調症患者の高い死亡率に関連していた併存疾患はパーキンソン病のみであった。パーキンソン病以外の併存疾患に関しては、統合失調症の有無による死亡への影響に有意差は認められなかった。・統合失調症患者の死亡例255例におけるパーキンソン病の頻度は5.5%、試験期間中に生存していた1,163例におけるパーキンソン病の頻度は0.8%と、統合失調症患者の死亡例で有意に多かった(OR:5.0)。・また、統合失調症死亡例はコントロール死亡例に比べ、錐体外路症状の頻度が有意に高かった(5.5 vs. 1.5%)。・12年間の追跡調査により、統合失調症患者はコントロールに比べて多大な身体的負担を有しており、このことが不良な予後と関連していることが判明した。・以上のことから、統合失調症において、2型糖尿病および呼吸器感染症を伴うCOPDの最適なモニタリングと管理は、鉄欠乏性貧血、糖尿病細小血管障害、糖尿病大血管障害、アルコール性肝疾患、錐体外路症状の的確な発見ならびに管理と同様に細心の注意を払う必要がある。関連医療ニュース 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態 抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響

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オランザピン服用患者の一部で認められる糖尿病などの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

 オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。Cell Structure and Function誌2013年第2号の掲載報告より。オランザピンは一部の患者において糖尿病などの代謝異常を引き起こす 統合失調症患者の症状軽減のためにさまざまな薬物投与が行われるが、いくつかの有効な第2世代(非定型)抗精神病薬、とくにオランザピンは一部の患者において、肥満や脂質異常、糖尿病を引き起こす。一般的にオランザピンは、肥満を誘発し、その後インスリン抵抗性が引き起こされることによって糖尿病発症に関与すると考えられているが、森氏らはインスリン分泌を制御する膵β細胞への直接的な薬物作用を、オランザピンほかリスペリドン、その他の非定型抗精神病薬についてハムスターを用いて調べた。また、その際に細胞への悪影響(ストレス)を生じさせる小胞体(ER)ストレスの喚起が認められるかについて、ERストレスセンサー分子PERKの低活性をエビデンスとして調べた。オランザピンによる膵β細胞の損傷が好ましくない代謝の影響に関与 得られた主な知見は以下のとおり。・オランザピン治療細胞でのみ、アポトーシスの誘発が認められた。・オランザピン治療細胞においては、PERK仲介翻訳減衰が選択的に損傷を受けており、そのためにERストレスの持続がみられた。・インスリン分泌は顕著に阻害されていた。そして、プロインスリンとインスリンがいずれもオランザピン治療細胞に蓄積していた。・蛋白質合成抑制とインスリンmRNAのノックダウンにより、それ以後はオランザピン誘発のアポトーシスは減弱した。・以上から、オランザピンを服用する患者の一部で、体重増加することなく高脂血症と高血糖が臨床的に認められることについて、オランザピン治療による膵β細胞への損傷が好ましくない代謝の影響に関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は? 第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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“喫煙者の採用拒否”もアリな時代、タバコの適正価格はいくら?

大手リゾート、製薬、IT、広告代理店など“喫煙者は採用いたしません”と明言する企業が増えていること、ご存知ですか?映画やドラマの喫煙シーンも減らすべきだという声すら上がり、嫌煙モードは高まる一方の今のご時世。2010年10月以降大きく下がった喫煙率、喫煙への抑止力として働いたタバコ価格を医師はどう見ているのか?そもそも医師の喫煙率はどうなのか?「医師なのにタバコを吸うなんてもってのほか」「脳梗塞でも喫煙する患者に辟易」「もっと値上げしたら自分もやめられるかも」などなど、“タバコと喫煙者の負担”について言いたいことを吐き出していただきました!コメントはこちら結果概要60代以上の医師の約半数が禁煙に成功、30代以下の約8割は喫煙経験なし現在喫煙している人の割合は回答者全体で8.7%(国民全体では21.1%:JT実施「2012年全国たばこ喫煙者率調査」より)。世代別に見ると最も高い40代で10.2%、最も低い30代以下では6.6%であり、大幅な差は見られなかった。しかし喫煙経験の有無では大きく異なり、30代以下の約8割は喫煙経験自体がないのに対し、60代以上の約半数が『禁煙成功を経ての非喫煙者』という結果となった。「自分が吸っていては患者に対して説得力がないから」といった声が多く見られた。“喫煙者の負担増”6割が賛成、「明らかに悪影響を及ぼす疾患は医療費の負担率上げるべき」“喫煙は医療費増につながるため、喫煙者の保険料や医療費などの負担額を上げるべき”との考え方に対する賛否を尋ねたところ、全体の61.1%が賛成と回答。「理屈はわかるが実際の運用は困難では」との声がある一方で、「脳梗塞、COPD、心疾患ほか喫煙が悪影響を及ぼすとのエビデンスがある疾患は自己負担率増に」といった意見も複数寄せられた。医師の8割以上がいっそうの値上げ支持、過半数は“1,000円以上が適正”適正だと感じる一箱あたりの価格について尋ねたところ、最も多かった回答は『1,000~1,400円程度』で33.6%。次いで『1,500円以上』『800円程度(100%値上げ)』がそれぞれ19.5%となり「若年層が手を出しにくい価格にすることが大切」との意見が見られた。喫煙者でも3人に1人は値上げすべきと考えており、「いっそ1,000円以上になれば自分もやめられるのでは」といった声も挙がった。喫煙をめぐる環境、“全館禁煙”で院外にあふれる患者や職員に苦言、表現活動をめぐっては賛否が病院機能評価の項目に“全館禁煙の徹底”が含まれることもあって「敷地の一歩外の歩道上で入院患者が集団で喫煙し、かえって見苦しい」「職員が隠れて吸っている」など、病院周辺の喫煙状況を問題視する医師が多く、「病院こそ最も喫煙者の採用を拒否すべき職場だ」との声も挙がった。表現活動については「喫煙シーンは極力減らすべき」「映画などの規制はやり過ぎでは」と賛否が見られた。設問詳細タバコについてお尋ねします。JTが2013年5月に実施した「全国たばこ喫煙者率調査」によると、全国の喫煙者率は20.9%(前年比-0.2ポイント)、男女別では男性が32.2%(前年比-0.5ポイント)、女性は10.5%(前年比+0.1ポイント)という結果となりました。2010年10月の増税・定価改定による値上げ直後に比較すると減少傾向は緩やかになりつつあるものの、喫煙者の採用拒否を明言する企業も出てくるなど社会全体での嫌煙モードは高まっています。また政府は2012年6月に新たな「がん対策推進基本計画」を閣議決定し、2010年時点で19.5%の喫煙率を、2022年度までに12%に引き下げるとの考えを示しています。一方、禁煙運動を推進するNPO法人がアニメ映画内での喫煙シーンについて問題視した要望書を提出したことで議論が起こるなど、物理的環境の制限のみならず表現活動にも踏み込む向きについては、行き過ぎであるとして疑問視する声も挙がっています。そこで先生にお尋ねします。Q1.先生は喫煙されていますか。喫煙している以前喫煙していた喫煙したことがないQ2.「喫煙は医療費増につながっているため、喫煙者は保険料や医療費などの負担額を上げるべき」という考え方がありますが、いかがお考えですか。賛成反対どちらともいえないQ3.タバコの価格はどの程度が適正だとお考えになりますか。400円程度(現状維持)600円程度(50%値上げ)800円程度(100%値上げ)1,000~1,400円程度1,500円以上Q4.コメントをお願いします。2013年8月16日(金)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員の医師コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「禁煙の最も有効な手段の一つは、徐々にではなく急激なたばこ価格の上昇と思う。またJTによる健康被害に対する訴訟も必要だろう」(呼吸器内科,70代以上,男性)「ヨーロッパやオーストラリアと同程度にするべきです。特に医療関係者は無条件で禁煙にするべきです」(神経内科,40代,男性)「喫煙は百害あって一利なしであり、医療者が就職する際、喫煙習慣の有無をチェックし、喫煙習慣があるヒトに対して、一定期間での禁煙を課すべきと考えます」(小児科,50代,男性)「喫煙で得られるものは何もない。迷惑千万であり税金、医療費等、もっともっと高くするべき。タバコ吸って肺がんになって助けてと言われても助ける気にならないので、成人の診察は絶対したくない」(小児科,40代,男性)「生活保護を受けている心筋梗塞の患者さんに煙草をやめるように促したところ逆切れされました。その後まもなくその患者さんは脳梗塞を併発し、寝たきりとなりました。医療に対して真摯でない人に医療費が無料というのはいまだに納得できない状況です」(救急科,40代,男性)「喫煙者と非喫煙者の保険料負担は差があってしかるべきだと思います」(循環器内科,40代,男性)「血管障害の治療を受けている生活保護受給者が医師の禁煙指導に従わない場合、何らかの対策が必要と思われます」(脳神経外科,50代,男性)「大学入学後18歳から喫煙していたが、運動部で走りへの影響があり、20歳で禁煙。病院は敷地内禁煙だが、院長、副院長が喫煙者なため、職員の敷地内喫煙がしばしば見られ、禁煙対策が徹底していない。院長の喫煙の有無で敷地内禁煙の徹底が分かれてしまうように思う」(小児科,50代,男性)「循環器を専門としていますが、家族を持ってからは怖くて吸えなくなったというのが正直なところです。これが合法的なものであることすら疑問です。危険性を啓蒙することも必要ですが、ほとんどの喫煙者には現実的に受け止められないため、積極的に吸いたくても吸えない環境を整備してあげるべきです」(循環器内科,40代,男性)「根本的には、喫煙者の自覚と意志によるところが大きいとつくづく思います」(内科,50代,男性)「喫煙者の医療負担額を上げるのは,現実的には困難。たばこ税として徴収した中から医療費に回すべき」(血液内科,40代,男性)「自分自身は喫煙経験が全くないし、経営しているクリニックは全館禁煙で、職員も喫煙者は採用しない方針を採っているが、他人の喫煙にはとやかく言うつもりは無い」(精神科,40代,男性)「病院評価機構の認定基準?で、院内が全面禁煙となり(喫煙室も作れない)、入院患者がすぐ隣の公園や道ばたで座り込んで喫煙している状態が日常化しておりみっともない状態です」(小児科,30代,男性)「日本はまだ喫煙者に甘い。非喫煙者が過半数を超えた今、飲食店での全面禁煙等を早く導入すべき」(外科,40代,男性)「きちんと分煙されれば、吸おうが吸うまいが構いません」(小児科,40代,男性)「タバコは1本100円以上が適正価格。さらに自動販売機での販売を禁止すべき」(小児科,40代,男性)「たばこだけを悪者にするのは不公平。車の排気ガス、食品添加物、ファーストフード、甘い炭酸飲料など他にも色々あるでしょう」(麻酔科,50代,男性)「たばこが健康状況に悪影響があるとわかっていても禁煙できない医療関係者をみると、禁煙治療の難しさを感じる」(産婦人科,40代,女性)「少なくとも自身や家族の喫煙には絶対反対ですが、喫煙者の存在を否定するつもりはありません。飲食店などではもう少し厳密に禁煙スペースと喫煙スペースを区切ってもらえればと」(総合診療科,20代,男性)「喫煙は体に有害だとは思うが、喫煙者に肩身の狭い状況を次々と作っていくようなやり方は、ちょっとどうかと思う」(小児科,50代,男性)「若いうちは格好つけてタバコを吸っていました。40過ぎて、格好悪い、体に気をつけなければと思い止めました。患者さんにも『タバコは高校生が格好つけて吸うもの、この年になっても吸っているのは格好悪いでしょ』と指導しています」(脳神経外科,40代,男性)「医療関係者の喫煙はなくなるべきだと思いますが、職員の禁煙もなかなか進みません。生命保険料などに差をつけるのは賛成です」(内科,50代,男性)「私は職業柄、禁煙に成功したが、なかなかそうはいかない方も多いでしょう。人に迷惑をかける観点からすれば、酒のほうがよっぽど社会悪だと思います。あまり極端な締め付けは新たな問題を引き起こします。」(形成外科,40代,男性)「疾患の誘因になる上、においがつくので嫌いです。次回の値上げは、一本1円でもいいので、医療費に回してもらいたいです」(内科,50代,男性)「受動喫煙の問題もあるが、麻薬として禁止されていないのだから吸いたい人は吸えばよい」(内科,60代,男性)「子供の出生と同時に喫煙はやめました.さまざまな病気の発症(特に悪性疾患)との関連が指摘されており,抗癌剤治療等の高額医療を削減するためにはたばこの価格をもっと上げれば良いと思います」(消化器外科,50代,男性)「私も15年前に禁煙しましたが、禁煙までに苦労しました。たばこの値段を上げるのには賛成ですが、保険料や医療費まで上げることにはちょっと抵抗があります」(外科,60代,男性)「周りで吸われると臭くて汚いうえに受動喫煙による被害を被る。本人は癌やCOPDなどで医療費を食い、やめようとしても禁煙薬は保険適応となっており医療費を使う。タバコの価格は1箱5000円以上が適正」(内科,50代,男性)「喫煙者はたばこを吸う事が自他に亘って健康及び環境に対して害を与えることを十分理解しているのか調査して、理解していなければ十分啓蒙し、なおも喫煙を続けようというのなら、それ相応の対価を支払わせるのは至極当然のことと考える」(その他,50代,男性)「大人っぽく見せるために喫煙していたが、健康のため禁煙をした。それから葉タバコの臭いが大嫌いになりました。非喫煙者には大迷惑ということがよくわかった。また、排水溝のゴミにも吸い殻は大量に含まれその除去費用も、街の清掃業務にもたくさんの税金がかかっています。税金を高くするのは当然です」(整形外科,50代,男性)「健康被害や依存性が明らかな喫煙…、煙草の販売そのものをやめてほしいと思います(まあ、もろもろの事情で難しいのはわかりますが・・)」(内科,40代,女性)「症状は無かったが冠動脈に動脈硬化がわかり禁煙しました。肺がんは関係ないとの意見もありますが、口腔、食道がんやCOPDを考えると患者さんもしかり、周りの方もつらい思いをする。そのような不幸な方が少しでも減ればと思う」(整形外科,40代,男性)「禁煙外来を担当しておりますが、禁煙治療の保険適応に対する過剰な規制が気になります。ニコチン依存症の診断基準としてブリンクマン指数(1日喫煙本数×年数)があるため、若年者では診断基準を満たさず、最も対策が必要であろう中高生や20代の禁煙治療が保険で行えないことや、禁煙治療の期間が12週間と規定されており、それを過ぎると保険を使えないこと、入院患者に対しては禁煙治療を開始できないことなどです。こうした規制をはやく取り払って欲しいものです」(その他,30代,男性)「JTは『マナー問題』にすることでプロパガンダに成功している」(内科,40代,男性)「子供たちに健康上悪影響を与えるとの思いから禁煙したが、子供たちは喫煙しており、割り切れない思い」(その他,60代,男性)「20年前に禁煙した。診療所内は禁煙、患者さんにはやめるよう毎回指示している。1箱の値段が1000円を超えれば、喫煙者は相当減るのではないか」(内科,70代以上,男性)「健康政策で最も効果的なのは,喫煙者を減らすこと。しかも,徐々に(たばこ農家や零細なたばこ屋さんへの対策を行いながら)値段を上げるだけで良いのだから,極めて簡単。税収減を心配する意見もあるが,長期的には医療費削減効果が大きいので,むしろ国の収支は改善されるともされており,早急にたばこを値上げすべし」(内科,60代,男性)「喫煙に関連が深い疾病では、喫煙者の保険医療支払いを高くできないのか?」(皮膚科,50代,男性)「当院は禁煙外来をしており、病院評価も受けているため敷地内禁煙となっている。しかし、一歩敷地外では入院患者の喫煙光景がみられ敷地外に吸殻が捨てられていたり、中にはまだくすぶっている吸殻もみられ非常に危険。といって敷地外に吸い殻入れを置くのもおかしい。喫煙自体は勧められたことではないが、病院内すべてを禁煙にするのではなく空港ロビーのように換気扇のついた喫煙室の設置を義務付けてはいかがか?入院患者に禁煙していただきたいのは山々であるが100%禁煙なんて無理。厚労省の役人だってどこかで吸っているのでしょう!こんな馬鹿馬鹿しい規制はやめてほしい」(消化器内科,60代,男性)「喫煙が自分の体に良くないことは自覚した上での喫煙はやむをえないと思います。自分も以前していたので、気持ちはわかります。ただ周囲の人への受動喫煙は避けるべきと考え、喫煙場所を今後も限定していくべきと思います。禁煙できず状態が悪化した場合は、家族ともどもいっさい医療側に苦情を言わないことも条件と考えます」(脳神経外科,50代,男性)「喫煙は百害あって一利なし。わかった上でなお喫煙をやめない方は、喫煙が悪影響を及ぼすとエビデンスのある疾患に関しては医療費の全額自己負担が妥当と考えます。そもそも確実に体に悪いのだから法律で全面禁止にしたら良い。税収の減少は医療費の削減で相殺可能でしょう。また現時点で喫煙している方から特別税を徴取し、一時的な財源に充てればいいと思います」(臨床研修医,20代,男性)「可処分所得が少ない若年層が、タバコに手を出せない環境を作るのが大事」(泌尿器科,50代,男性)「喫煙はがんを増加させるだけでなく、動脈硬化を著しく促進してしまいます。高血圧症や腎疾患を診療している医師としては、病気を進行させないためなんとしても説得して禁煙して頂いております」(腎臓内科,50代,男性)「喫煙が医療費を上げるという説に根拠はあるのか。喫煙で寿命が短くなればその分医療費も減るのでは」(内科,50代,男性)「喘息の子たちが苦しそうにしてるのが見ていられないのに、平気で近くで吸う人たちが許せない」(小児科,40代,女性)「タバコの依存性を考えると麻薬よりもたちが悪い面もあると聞く。2,000円くらいでも吸うヒトはいると思うのでどんどん釣り上げればよいという立場です。自分はneversmokerです」(泌尿器科,30代,男性)「施設内全面禁煙ですが、屋外の建物の陰で医療従事者が喫煙しているところが病棟から丸見え。患者さんも雨のなかでも傘さして外で喫煙してます。どうしようもないかも…」(整形外科,50代,男性)「煙草ばかりやり玉にあげられていることに違和感をおぼえます。お酒についてももっと厳密な論議をすべき」(精神科,40代,男性)「嗜好品なので、社会保険料や医療費の負担額を上げるべきではないが、税金を増やすことはいいと思います」(内科,50代,女性)「当地の某県立病院内は全面禁煙。境界の歩道上で患者さんがたむろして喫煙しているのが早朝の風景。当然職員はそれを毎日見ているが改善されたとは思えない。嗜好であるから難しいし、モラルの問題になるのだと思う。価格を吊り上げれば多少の抑制はかかるかもしれないが、無くなることもないと考える」(産婦人科,50代,男性)「病院も全館禁煙にしたいところですが、職員の喫煙者も多くなかなか賛同が得られません」(精神科,40代,女性)「当院も敷地内禁煙のはずなんですが、タバコ臭い職員がいるんですよね。病院なんて喫煙者の採用拒否を一番にしていい職場だと思うんですが」(小児科,40代,男性)「喫煙者は保険料や医療費などの負担増であるなら、飲酒者、肥満者、高血圧者、糖尿病者、その他リスクを持つ全ての者に対して負担増を強いるべきである」(リハビリテーション科,40代,男性)「嗜好品が将来的な病気のリスクを高め、その病気を社会全体で支えることが非喫煙者の理解を得ているとは思えません。値上げのみで解決できる問題ではないが、抑止力の一つとして考慮されるべき。現時点での税収減少を心配するのではなく、若年人口が減少し社会的に高齢者を支えることが不十分になっている今だからこそ将来のことをきちんと考えるべき」(消化器外科,50代,男性)「缶コーヒー1本とタバコ1本と同等くらいがいいんじゃないかと思います。が、他国とつり合いがとれないくらいの価格だと、差益を狙った組織が暗躍するのではと危惧されます」(泌尿器科,40代,男性)「生活保護の母子家庭の母親に喫煙者が多い。値段を上げても、子供の特別手当や手帳からくる公費を使って買っているのが実情なので、喫煙が減るとは思えない。子供が犠牲になるだけ。また禁煙外来も、自己負担なしなのであまり成功していない。困っています」(小児科,60代,女性)「1000円以上でも止められない方は多いと思います。呼吸器内科部長がヘビースモーカーで、禁煙外来を行っていながら休憩時間には吸っていましたね。依存の問題は難しいです」(消化器内科,50代,女性)「喉頭がんになってもまだやめない人がいる。こんな人に医療費を使うのはどうかと思う」(消化器内科,50代,女性)「全てを吸い込むのなら(副流煙もなく、吐き出しもない)許さなくもない」(小児科,40代,男性)「全面的に煙草を違法なものとして禁止してもいいのでは?吸わない人間からするとただただ迷惑なだけ。タバコ以外の嗜好品もあるのだから、タバコがなくても生きていけないわけではない」(内科,40代,女性)「禁煙外来へ紹介しているが、成功率は半分くらいで、最終的には本人の意志による」(内科,40代,男性)「被ばくより発がんリスクが高いことをなぜ伝えないのでしょう?値段は段階的に1500円以上にすべき」(消化器外科,40代,男性)「ヒステリックに騒ぎ過ぎかと思います」(泌尿器科,40代,男性)「学位論文のストレスで一時喫煙したが、運動が身体的に明らかに辛かった為禁煙した。また喫煙依存者に肺気腫等が多く、高齢になって症状に苦しむ姿を多くみて禁煙を広めるべきと感じ、抑止力として高額化することはかなり有効と感じる」(外科,50代,女性)「禁煙外来はやってませんが、よく勧めます。やってみて成功する人は少ないし、それよりも他人事と思って問題視しない人の方が多いですね。タバコの値段を引き上げれば絶対喫煙者は減ります。あとは健康というよりは政治の問題と言うしかないでしょう。前回の値上げの時に、3倍の1000円にするべきでした。400円で喫煙者数の現状維持を成功させましたね!総務省・財務省の勝ちで厚労省はいつも負けますね。もし1000円になれば1/3が禁煙、1/3が減煙、値上げ分で税金、生産者・JTの減収分は確保されて、結果的には喫煙者が減り、タバコの弊害が減って医療費分は浮くのではと予測してましたが」(精神科,50代,男性)「購入することにちょっと躊躇するような値段にすべきです」(腎臓内科,40代,男性)「たばこは嫌いですが、法律で禁止されているわけでもないのに、ここまで喫煙者が差別されるのもおかしな話だと思います。完全分煙、医療費負担増で自己責任でよいと思います」(心臓血管外科,40代,男性)「禁煙して『吸えないストレス』から解放されて、とても楽になりました」(消化器内科,40代,男性)「喫煙による被害の啓蒙VTRを小学生の頃から奨励したり、基本的にたばこ会社を撤退させたらどうか」(循環器内科,40代,女性)「喫煙者があまりにも迫害されているような気がします」(整形外科,50代,男性)「今年の世界禁煙デーの標語で厚生労働省の弱腰が明らか。WHOは『Bantobaccoadvertising,promotionandsponsorship』(タバコの宣伝、販売促進活動、スポンサー活動を禁止しよう)、対して厚生労働省の標語は『たばこによる健康影響を正しく理解しよう』。日本政府は本当に禁煙を推進する覚悟があるのか!」(循環器内科,50代,男性)「わかっちゃいるけど・・・と思っている方も多いと思うので、もっと容易に禁煙外来にかかれる(例えば小児の様に公費負担にするとか)体制を作るべきと思う」(内科,70代以上,男性)「敷地内禁煙にしていても抜け道はいくらでもあり、当院でも受動喫煙対策にかなり悩まされています。生活保護費を受給している膀胱がん患者が、ぬけぬけとタバコがやめられないとおっしゃるのが許せません」(泌尿器科,40代,男性)「過度の禁煙押し付けでうつ状態になった患者を診察したことがある。喫煙をやめさせようとする余り他の病気を発症させては本末転倒では。また、低所得層・過酷勤務層ほど喫煙率が高いことがわかっている。単にたばこの価格を上げるだけでは低所得者層への逆進課税になってしまう。販売禁止のほうが理に適っているのではないか」(内科,40代,男性)「禁煙したいと以前から思っておりますが、無理でした。値段を上げることが喫煙者を減らす第一歩ではないかと思います」(腎臓内科,40代,男性)「自分は吸わないが、安定税収入のために国民をニコチン中毒にしておいて今更医療費抑制のためにタバコの価格を上げるのはおかしいと思う」(循環器内科,60代,男性)「禁煙をした医師として『禁煙支援外来』に携わっている。吸ったことのない先生よりは適切な指導が出来ると自負している」(循環器内科,60代,男性)「病院のみならず、人格形成に大きく関わる小中学校教員自身の禁煙を徹底させる。校内禁煙は当然であるが校門近くでたばこを吸っている、あるいは駐車場の車内で吸っている教師を児童が見かけたという話をよく聞く」(消化器外科,50代,男性)「25年前結婚を機に、一つぐらい体に良いことをと思いたばこをやめました。やめてから良いことばかりです。患者への教育のためにも、少なくとも医師が率先して禁煙すべき」(外科,50代,男性)「禁煙歴27年。患者さんに禁煙を勧める時に自分が吸っていたのでは迫力ないし、自分の体験を話しながら説明しやすい」(精神科,60代,男性)「19歳頃から60歳まで吸いました。診察中にCOPDの患者さんが多くおられ、それが怖くて禁煙し13年。医療費が掛かるからと値段を上げるのは賛成できませんが、COPD等で苦しまれていることを知らせることが必要と考えます」(外科,70代以上,男性)「実の父が脳梗塞を患い、それでもタバコを吸って、再アタックが起きて寝たきりになり、ぼろぼろになって行くのを目の当たりにして禁煙した」(内科,50代,男性)「『風立ちぬ』で喫煙シーンが多かったが、監督自身がヘビースモーカーなので作品の製作にあたり何も考慮しないと思われる。映画やドラマでも喫煙の場面を極力減らしてほしい」(消化器内科,50代,男性)「早く禁煙しなければと思いながらきっかけが持てずにいます。いっそ1000円以上になればやめると思う」(内科,40代,女性)「価格を上げることが一番禁煙に繋がる早道と思う」(内科,70代以上,男性)「(呼吸器学会など)専門医取得に禁煙証明が必要となるといった動きは非常に良いと思う。医師が率先して禁煙し、患者への啓蒙活動に取り組むべき」(糖尿病・代謝・内分泌内科,30代,女性)「精神科ではたばこを必要とする患者さんがいるのは事実ですが,そういう方は一部に減りました。禁煙ってできるんだなあという印象をもちました」(精神科,40代,女性)「高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病、心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症、悪性腫瘍、肺疾患などの病名での治療では、喫煙患者の医療費自己負担率を8割位に上げるのが、禁煙促進に有効と考えます」(心臓血管外科,60代,女性)「10年以上前から間接喫煙の弊害を病院管理者に訴えましたが何も聞いてもらえませんでした。病院機能評価などで世間体が気になって初めて対策が取られました。情けないの一言です」(小児科,50代,男性)「アニメや映画での自粛や規制はやりすぎ」(小児科,40代,男性)「患者さんから『たばこ臭い人(助手)がいてリハビリを受けたくない』と苦情あり」(整形外科,50代,男性)「400円への値上げを契機に喫煙を止めた。値上げが無ければ喫煙を続けていた。経済的な理由ではなかったけれど…」(内科,60代,男性)「自分自身もなかなかやめられず、患者さんにダメですという時に心が痛い」(循環器内科,20代,男性)「広く禁煙運動が叫ばれ始めた頃に職業柄模範を示す必要があると考え半年間くらいかけて禁煙に成功。1日6-7本程度で50年くらい続けたが、結構苦労した思いがある」(その他,70代以上,男性)「喫煙者の『他人には迷惑かけてない』という妄言にはウンザリ。健康保険から金を取り、火事の原因や受動喫煙、路上喫煙で小児に火傷など、他人に直接的にも迷惑をかけているのに。大幅値上げ、健康保険からの排除などすべき」(耳鼻咽喉科,40代,男性)「喫煙本数と疾患には明確な関係があります。価格を上げ若年者には手に入りにくいところ(例えば1箱10000円)まで値上げすべきでしょう」(呼吸器内科,50代,男性)「1本100円程度にして、喫煙でリスクの上がるがん治療にJTから寄付してもらう」(皮膚科,40代,男性)「禁煙の推進や分煙には賛成するが、喫煙者の人格や喫煙行為そのものを害とみなすようなスタンス(今回の『風立ちぬ』に対する日本禁煙学会の意見など)は、原理主義的で違和感を感じる」(小児科,30代,男性)「喫煙者の患者の声として、今度値上げするなら禁煙するという声が多い。小刻みな値上げより、思い切った値上げが効果的なのではと考える」(皮膚科,30代,女性)「生活環境の変化に伴い自然にやめました。表現については、じゃあ過去の映画やドラマ等放送しないのか?レンタル等しないのか?どこまでが許容されて、どこからが問題かは、製作者が判断することと思います」(呼吸器内科,20代,女性)「煙草による経済振興と経済的損失を適正に数値表示してもらえれば功罪がわかり易くなるでしょう」(内科,60代,男性)「15年くらい吸っていたが、家族のために健康でいなければという意識からニコチンガム発売をきっかけに19年前に禁煙しました。大掃除の時、壁をふくと雑巾が真っ黒になりこれだけのタールが体内に入っていたのかと驚いた記憶がある」(内科,50代,男性)「タバコについては税金が課されているが、喫煙による疾病の医療費をまかなうほどではない事も事実。その辺の矛盾も検討すべき」(外科,30代,男性)「若いときから自動的に喫煙を始めてしまった。これからの若い人には喫煙を始めないように勧めるべきだ。医師の喫煙者は多いと思う」(産婦人科,70代以上,男性)「敷地内での禁煙で喫煙出来なくなった職員や入院患者が病院の正門で喫煙している。敷地外なので積極的に注意出来ない状況。病院のイメージが悪化しないか心配。」(臨床研修医,20代,男性)「喫煙者は、自分が中毒患者であるということを自覚すべき。患者は健康な人と同じに生命保険に入ることが難しいのは、ほかの慢性的で治療困難な疾患と同じですので、容易に理解できるはず。たばこが原因ということが明らかな癌は、保険診療を受ける権利はないと思います」(腫瘍科,40代,女性)「喫煙が健康被害があることがはっきりしているのだから、たばこの価格を上げその分を医療費に回せばよいと思う。不満なら吸わなければいい」(呼吸器内科,30代,男性)「禁煙出来ない患者は大勢いるため、タバコの値段を上げる以外にも保険料や医療負担額を上げる等の措置が必要であると思われる」(腎臓内科,30代,男性)「日本の法律上「20歳以上が許可」されているが、20歳にもなって「さあ吸おうか」などという馬鹿なことを考える人はいないでしょう。未成年で吸い始める人がほとんどでは。そういう観点で言えば「喫煙者はすべからく違法」と言っても過言ではないのでは」(循環器内科,40代,男性)「小児アレルギーを専門としています。子供が喘息で加療しているにもかかわらず、禁煙しない父親、祖父がいて困っています。日本では受動喫煙の害に対する意識が乏しいと思います」(小児科,50代,女性)「医師である限り、解剖のときに見たあの喫煙者の肺所見を知っていながら、よく自分が喫煙する気になると思う」(皮膚科,60代,男性)「喫煙者の話を聴くと、値段が1,000円以上になればやめる、という人が多いので、それくらいには値上げしても良いと思う」(膠原病・リウマチ科,50代,女性)「たばこを吸う人が減って、医療費が抑制できたらいいと思っています。私の家族もスモーカーでしたが、全然やめてくれず、最終的に脳梗塞になりました」(小児科,40代,女性)「生活保護の患者さんにヘビースモーカーが多い。禁煙指導しても聞く耳を持たない」(精神科,50代,女性)「喫煙者の保険料や医療費を上げるという意見は、理解出来るが非現実的。喫煙者の定義が困難であるし、抵抗も大きいと予想される。それよりも喫煙者の医療費に見合うだけタバコを値上げすべきであり、そうすれば喫煙の抑制にもなる」(麻酔科,50代,男性)「耳鼻咽喉科医ですが、タバコ関連癌が多いことがこの科の癌の特徴の一つです。タバコは心疾患や肺疾患の原因でもあり、「タバコは百害あって一利なし」だと思います。タバコ農家にはお気の毒ですが、JTもずいぶんタバコ以外の製品に移行できたでしょうから、容易に購買できない価格にして、喫煙をやめる人を増やすようにしていただきたい」(耳鼻咽喉科,50代,男性)「禁煙外来をしています。禁煙中にあっても再喫煙をなってしまうきっかけのほとんどは、飲み会です。会場内禁煙でありさえすれば、再喫煙の誘惑に負けてしまう確率はきわめて低くなります。喫煙シーンなど刺激を避けることが不可欠となります。また、禁煙中のがんばっている患者さんの中には、街で見える所で売って欲しくないと言っています。また、今回の一連の騒動ですが、作者自身がヘビースモーカーであり、自身の喫煙環境を満たすため(日本の社会の禁煙推進に反対するため)、作品を通して、訴えている側面がとても感じられ、危険であると感じます。反対意見を言われる方は、タバコがいかに依存性があって、反社会的な薬物であるという事が認識されていないかと思われます。」(内科,50代,男性)「日本のタバコは安すぎます。海外ではタバコに『killyou』とまで書いてあり、その上、1000円くらいです」(泌尿器科,40代,男性)「自身が喫煙しており、依存症であると認識している。麻薬や覚醒剤のように、非合法なものとして取り扱ってくれればさすがに禁煙すると思う」(内科,30代,男性)「主人は結婚を機に禁煙しました。そのときにはかなり喫煙と健康被害についてレクチャーをしましたが…」(産婦人科,40代,女性)

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大うつ病患者のGERD有病率は高い

 大うつ病(MDD)患者における胃食道逆流症(GERD)の有病率は、健常人と比較して有意に高いことが台中ベテランズ総合病院のPo-Han Chou氏らの研究により明らかになった。精神科医は大うつ病患者を診る際、日常診療において、胸焼けや嚥下障害など、逆流性食道炎の症状がないか注意を払い、症状を認めた場合は専門医に相談すべきである。Psychosomatics誌オンライン版2013年8月13日号の報告。 GERDは、精神疾患の患者において一般的な疾患である。本研究では、GERD有病率とリスクを調査するために、台湾の国民健康保険の研究データベースを用いて横断的研究を行った。 調査対象は2005年にMDDと診断された4,790人(MDD群)と健常人72万8,749人(対照群)。GERD有病率は、カイ2乗検定を用いて、年齢、性別、所得、居住地域、他疾患の合併(糖尿病、高血圧症、腎疾患、高脂血症、虚血性心疾患などの治療中)ごとに比較した。また、GERDとMDDとの関連は、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・GERDの年間有病率は、MDD群で3.75%、対照群で1.05%であった。・MDD群のGERDの有病率は、すべての年齢、性別、保険金額、居住地域、都市在住サブグループにおいて、対照群よりも有意に高かった(すべてp<0.001)。・GERDの増加率は、対照群のそれと比較し、MDD群で有意に高かった(オッズ比:3.16、95%CI:2.71~3.68、p<0.001)。・以上の結果より、MDD患者のGERD有病率は健常人と比較して有意に高いことが明らかとなった。

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エキスパートに聞く!「認知症診療」Q&A 2013 Part2

CareNet.comでは認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生方から認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、大阪大学 数井裕光先生にご回答いただきました。今回は、抗認知症薬の投与をやめる時期、症状による抗認知症薬の使い分け、独居患者や認認介護の場合の服薬指導方法、レビー小体型認知症に対する治療薬、開発中の抗認知症薬についての質問です。Part1(Q1~Q5)はこちら6 抗認知症薬の投与をやめる時期について教えてください。これは多くの先生方が悩む難しい問題です。現在の抗認知症薬は根本治療薬ではありませんので、これらの薬を投与する目的は、症状の進行抑制によって患者さんの生活の質を少しでもよい状態に維持することです。したがって、生活の質がよくなる可能性が非常に低い状態なら中止を検討します。たとえば、非常に進行して、自発運動や発語がなく、食事やアイコンタクトもとれない状態です。実臨床場面において、薬の中止を提案するのは、ご家族からであることがほとんどだと思います。したがって、私たち医師は、そのときの患者さんの状態を見て、薬が有用かどうかを考えます。それと同時に、ご家族がどうしてそのように思ったのか、ご家族は薬の中止について実際はどう思っているのか、ご家族の中で意見が分かれてはいないか、経済的な問題があるのかなどについて確認します。これらの情報も勘案して中止するか否かを決めます。また実際に中止するときには、まず2~3週間中止し様子を見て、もしも悪くなれば再投与するという方法もあります。この方法はご家族にも安心感を持っていただきやすいです。薬の中止の話題が出るときは、進行期であることが多く、ご家族は薬の中止以外にも、どんな準備をしておけばよいのか、どんなことに気を付けなければいけないのか、などについて悩んでいることが多いです。したがって、このような進行期の患者さんに対するご家族の心情、悩みなどを受け止めてあげることも重要です。また逆に、医師の側から食事がとれなくなった場合に胃瘻をどうするのか、もしも命が危うくなったときにどこまで治療をするのか、たとえば人工呼吸器の使用を希望するのか、などについてご家族で相談し始めておいてはどうかと提案することも大切だと思います。このような場面は、私たち専門医よりもかかりつけ医の先生の方が遭遇しやすいので、かかりつけ医の先生からお話しいただけたらと思います。7 症状による抗認知症薬の使い分けを教えてください。現在のところ、コリンエステラーゼ阻害薬3種類の認知機能低下の進行抑制効果については差がないとされています。したがって、これらの薬の使い分けは、服用回数、合併症、剤形、価格、行動・心理症状(Behavioral and Psychological symptoms of dementia: BPSD)などで決めることが多いと思います。さて、アルツハイマー病治療薬にはアルツハイマー病のBPSDに対する効果も報告されています。それぞれの薬剤のメタアナリシスによると、ドネペジルは抑うつ、不安、アパシーを軽減し、リバスチグミンは、幻覚と興奮を軽減します。ガランタミンは不安を軽減し、脱抑制の悪化を抑制します。メマンチンは妄想、興奮を軽減し、易刺激性の悪化を抑制します。Part1のQ3で説明したように、どの薬剤でも著効したときに目立つ症状は意欲や活動性、注意・集中力の改善です。すなわち精神機能が賦活される方向です。この賦活が焦燥や興奮という症状として現れる可能性もあります。したがって、焦燥や興奮が出現した患者さんは薬剤が大きく作用したと考えることもできますので、中止や減量をした後に、投薬量を調整したり環境を調整したりして治療薬の再投与ができないかと模索することも必要だと思います。8 独居患者や認認介護の場合の服薬指導方法について教えてください。近年、独居の認知症患者さんや認認介護の患者さんが増えてきました。認知症患者さんの多くは、軽症でも物忘れのために毎日正しく薬を服用することが困難になります。そのため、患者さん本人に対する服薬指導は非常に制限されます。たとえば、十分な病識のない患者さんに対しては、「ご本人さんは感じておられないかもしれませんが、少し物忘れがあるようです。そのために薬を飲みましょう」「物忘れがひどくならないように薬を飲みましょう」「ご家族も心配されていますので、薬に関してはご家族の手助けを借りましょう」などと診察のたびに繰り返しお願いする程度でしょうか。それよりは、服薬を支援してくれる人を設定することが重要です。たとえば、同居していなくても近くにご家族が住んでいれば、ご家族に支援してもらえないか検討します。また、介護保険サービスを利用してヘルパーさんに自宅に来てもらったり、デイケア中に職員から手渡しでもらったりできないか検討します。一方、医師としては、可能な限り、薬の量、種類、服薬回数、服薬方法、服薬のタイミング(食後服用、食間服用など)を減らしたり単純化したりするよう心がけます。このとき、ご家族やケア職員の都合に合わせて服薬のタイミングを工夫できないかも検討します。そして、たとえば、月・水・金曜日はデイケアに行き、昼食後に職員から薬を手渡してもらう、火・木曜日は昼食時にヘルパーさんに来ていただき、服薬を支援してもらう、土・日曜日はご家族が手渡す、というような予定を立てていただきます(ケアマネジャーが立ててくれることもあります)。内服時に毎回、誰かが付き添わなくても、朝に誰かが薬をセッティングすれば翌日までは間違えずに服用できるレベルの患者さんの場合は、たとえば、朝・昼・夜・寝る前それぞれの薬を入れる4つの箱からなるピルケースを用いて対応します。またカレンダーに1週間分、あるいは1ヵ月分の薬を貼っておけば、間違いなく服用できる患者さんの場合は、適当な間隔で誰かがチェックすることで対応できるかもしれません。抗認知症薬の中では、リバスチグミン貼付薬は、独居や認認介護の患者さんに使いやすいかもしれません。あらかじめ支援者が薬に日付を書いたり、正しく貼付するための指示をしたりすることは必要ですが、貼られている間は薬を服用しているということになり、確認がしやすいからです。9 レビー小体型認知症に対する治療薬の選択について教えてください。レビー小体型認知症(DLB)はアルツハイマー病、血管性認知症に次いで頻度の多い疾患であること、さまざまなBPSDを高頻度に呈すること、介護負担が大きいことなどから重要な疾患ですが、現時点では、保険適用のある治療薬はありません。しかし、ドネペジル、リバスチグミン、メマンチンには、DLB患者さんの認知機能、とくに注意機能に対する改善効果が示されています。これらの薬はDLB患者さんのBPSDに対しても有効で、コリンエステラーゼ阻害薬には、幻覚、妄想、アパシー、抑うつ、認知機能の変動に対する効果が報告されています。メマンチンには、幻覚、妄想、睡眠障害、食行動異常に対する効果が報告されています。わが国では、DLB患者さんに対しては、まずコリンエステラーゼ阻害薬を使用し、次にメマンチンの使用を検討することが多いと思います。しかし、これらの抗認知症薬では改善しなかったり、一時的に改善しても、疾患の進行に伴い再度悪化したりすることがあります。このような場合は抗精神病薬や漢方薬などを使用します。たとえば、非定型抗精神病薬であるクエチアピンには興奮、幻覚、妄想に対する効果が、オランザピンには幻覚、妄想に対する効果が、リスペリドンには興奮、妄想、猜疑心、幻覚に対する効果が示されています。抑肝散にも幻覚を軽減する効果が報告されています。また、レム睡眠行動障害にはクロナゼパムの眠前投与がしばしば有効です。DLBのパーキンソニズムに対してはレボドパが推奨されています。ただし、レボドパの反応はパーキンソン病と比較すると劣ります。また、レボドパで精神症状が出現したり悪化したりする可能性があります。以上の薬の投与は、少量から開始し、有害事象が生じていないかどうかをご家族に十分観察していただきながらゆっくり増量し、必要最低限の量を心がけます。抗コリン薬は認知機能を悪化させる可能性があるため、使用を避けるのが一般的です。10 認知症予防の薬剤を含めて、現在、開発中の抗認知症薬について教えてください。2013年1月のNATURE REVIEWS DRUG DISCOVERY誌によると、現在、102のアルツハイマー病治療薬の臨床研究が行われています。内訳は、第1相試験が43、第2相試験が52、第3相試験が7です。これらの新しい薬剤は作用機序によっていくつかに分類されますが、その一つは、現在使用可能な薬剤と同様の神経伝達物質に作用する治療薬です。これにはニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、5-HT4受容体作動薬、5-HT6受容体拮抗薬、ムスカリン受容体作動薬、ヒスタミン受容体拮抗薬が含まれます。タウ蛋白凝集阻害薬も第3相試験が開始されています。アミロイドβ(Aβ)をターゲットとした薬剤については31の試験が行われています。その中の9個はアミロイド前駆体蛋白(amyloid precursor protein:APP)をターゲットにしたαセクレターゼ促進薬、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬または調整薬です。また能動免疫や受動免疫を利用してAβの重合、凝集を阻害したり、排泄を促進したりする免疫療法の試験も行われています。Aβ能動免疫療法としてはAβワクチンが、受動免疫療法としては、ヒトAβ抗体治療があります。しかし、現在までのところ、Aβをターゲットとした治療薬の中で認知機能や生活機能に対する効果が認められた薬はありません。この結果を受けて、アルツハイマー病の臨床症状が明らかになる前の早期の段階に髄液バイオマーカーやアミロイドPETを用いて診断し、これらの薬を投与する必要があるのではないかと考えられ始めています。アルツハイマー病以外の認知症に対する薬については、レビー小体型認知症に対するドネペジルの第3相試験が最近、わが国で行われました。結果についてはまだ報告されていませんが、ドネペジルがレビー小体型認知症に対して保険適用となる可能性があります。また、中年期の高血圧、糖尿病、脂質異常症は、血管性認知症、アルツハイマー病の危険因子です。したがって、これらの疾患を有する患者さんにとっては、これらの治療薬も認知症予防薬と呼べるでしょう。※2012年10月の認知症特集におけるQ&Aも併せてご覧ください。認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part1)認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part2)

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Vol. 1 No. 2 糖尿病と心血管イベントの関係

横井 宏佳 氏小倉記念病院循環器内科はじめに糖尿病患者の心血管イベント(CV)予防とは、最終的には心筋梗塞、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症といったアテローム性動脈硬化症(ATS)の発症をいかに予防するか、ということになる。そのためには、糖尿病患者の動脈硬化の発生機序を理解して治療戦略を立てることが必要となる。糖尿病において見られるアテローム血栓性動脈硬化症の促進には慢性的高血糖、食後高血糖、脂質異常症、インスリン抵抗性を含むいくつかの代謝異常が関連しており、通常状態や血管再生の状態でのCVを起こすような脆弱性を与える。また、代謝異常に加えて、糖尿病は内皮細胞・平滑筋細胞・血小板といった複数の細胞の配列を変える。糖尿病が関連するATSのいくつかの特徴の記述があるにもかかわらず、ATS形成過程の始まりと進行の確定的なメカニズムはわからないままであるが、実臨床における治療戦略としてはATSに関わる複数の因子に対して薬物治療を行うことが必要になる。インスリン抵抗性脂質代謝異常、高血圧、肥満、インスリン抵抗性はすべて、メタボリックシンドロームのカギとなる特徴であり、引き続いて2型糖尿病に進行する危険性の高い患者の最初の測定可能な代謝異常でもある。インスリン抵抗性は、インスリンの作用に対する体の組織の感度が低下することであり、これは筋肉や脂肪でのグルコース処理や肝臓でのグルコース産出でのインスリン抑制に影響する。結果的に、より高濃度のインスリンが、末梢でのグルコース処理を刺激したり、2型糖尿病患者では糖尿病でない患者よりも肝臓でのグルコース産出を抑制したりするのに必要である。生物学的なレベルでは、インスリン抵抗性は凝固、炎症促進状態、内皮細胞機能障害、その他の病態の促進に関連している。インスリン抵抗性の患者では、内皮細胞依存性血管拡張は減少しており、機能障害の重症度はインスリン抵抗性の程度と相互に関係している。インスリン抵抗性状態での内皮細胞依存性血管拡張異常は、一酸化窒素(NO)の産生を減少させる細胞内シグナルの変化によって説明できる。つまり、インスリン抵抗性は、遊離脂肪酸値の上昇と関連しており、それがNO合成酵素の活性を減少させ、インスリン抵抗性状態においてNOの産生を減らす。臨床的には、インスリン抵抗性はCVリスクを増加させることに関連している。当院の2006年の急性心筋梗塞患者連続137例の検討では、本邦のメタボリックシンドロームの診断基準を満たす患者は49%を占めており、久山町研究の男性29%、女性21%よりも高率であった。この傾向は1990年前半に行われた米国の全国国民栄養調査の成績と同様であった。また、当院で施行した糖尿病と診断されていない患者への糖負荷試験と冠動脈CTの臨床研究でも、インスリン抵抗性と冠動脈CT上の不安定プラークの存在(代償性拡大、低CT値、限局性石灰化)との間に有意な相関を認めた。インスリン抵抗性を改善する薬物にはビグアナイド薬(BIG)とチアゾリジン薬(TZD)が存在するが、ATSの進展抑制の観点からはTZDがより効果的である。TZD(PPARγアゴニスト)は、血中インスリン濃度を高めることなく血糖を低下させる効果を有し、インスリン抵抗性改善作用はBIGよりも強力である。また、糖代謝のみならず、BIGにはないTG低下、HDL増加といった脂質改善作用、内皮機能改善による血圧降下作用、アディポネクチンを直接増加させる作用を有し、抗動脈硬化作用が期待される。さらに、造影剤使用時の乳酸アシドーシスのリスクはなく、PCIを施行する患者には安心して使用できる利点がある。このほかに、血管壁やマクロファージに直接作用して抗炎症、抗増殖、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1( PAI-1)減少作用を有することが知られている。この血管壁に対する直接作用はATS進展抑制作用が期待され、CVイベント抑制に繋がる可能性が示唆される。実際、臨床のエビデンスとしては、PROactive試験のサブ解析における心筋梗塞既往患者2,445例を抽出した検討で、ピオグリタゾン内服患者が非内服患者に比較して、心筋梗塞、急性冠症候群(ACS)などの不安定プラーク破裂により生じる心血管イベントは有意に低率であることが示されている。またPERISCOPE試験では、糖尿病を有する狭心症患者におけるIVUSを用いた検討において、SU剤に比較してピオグリタゾンは18か月間の冠動脈プラークの進行を抑制し、退縮の方向に転換させたことが明らかとなり、CV抑制の病態機序が明らかとなった。また、ロシグリタゾンではLDL上昇作用によりCVイベントを増加させるが、ピオグリタゾンのメタ解析ではCVイベントを有意に抑制することが報告されている。ピオグリタゾンは、腎臓におけるNa吸収促進による循環血液量の増大による浮腫、体重増加、心不全の悪化、骨折、膀胱癌などの副作用が指摘されているが、CVイベント発症時の致死率を考えるとrisk/benefitのバランスからは、高リスク糖尿病患者には血糖管理とは別に少なくとも15mgは投与することが望ましいと思われる。内皮細胞機能障害糖尿病血管疾患は内皮細胞機能障害によって特徴づけられ、それは、高血糖、遊離脂肪酸産生の増加、内皮細胞由来のNOの生物学的利用率の減少、終末糖化産物(AGE)の形成、リポ蛋白質の変化、そして前述のインスリン抵抗性と関係する生物学的異常である。内皮細胞由来のNOの生物学的利用率の減少は、後に内皮細胞依存性の血管拡張障害を伴うが、検出可能なATS形成が進行するよりもずっと前に糖尿病患者において観察される。NOは潜在的な血管拡張因子であり、内皮細胞が介在して制御する血管弛緩のメカニズムのカギとなる物質である。加えて、NOは血小板の活性を抑え、白血球が内皮細胞と接着したり血管壁に移動したりするのを減少することによって炎症を制限し、血管平滑筋細胞の増殖と移動を減らす。結果として、正常な場合、血管壁におけるNO代謝は、ATS形成阻害という保護効果を持つ。AGEの形成は、グルコースについているアミノ基の酸化の結果である。増大するAGE生成物によって誘発される追加の過程は、内皮下細胞の増殖、マトリックス発現、サイトカイン放出、マクロファージ活性化、接着分子の発現を含んでいる。慢性的高血糖、食後高血糖による酸化ストレスが、糖尿病合併症の病因として重要な役割を果たしているのだろうと推測されている。高血糖は、グルコース代謝を通して直接的にも、AGEの形成とAGE受容体の結合という間接的な形でも、ミトコンドリア中の活性酸素種の産生を誘発する。臨床的には内皮細胞機能障害がATSの進行を助長するのみならず、冠動脈プラーク破裂の外的要因である冠スパスムも助長することになる。急性心筋梗塞患者の20%は冠動脈に有意狭窄はなく、薬物負荷試験で冠スパスムが誘発される。高血圧患者に対して施行されたVALUE試験では、スパスムを予防できるカルシウム拮抗薬(CCB)が有意にアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)よりも心筋梗塞の発症を予防すること、またBPLTTCのメタ解析では、NO産生を促すACE阻害薬がARBよりも冠動脈疾患の発生が少ないことなどが明らかにされ、これらの結果は、心筋梗塞の発生に内皮細胞機能障害によるスパスムが関与していることを示唆している。従って糖尿病患者においては内皮細胞機能障害を念頭に、特にスパスムの多いわが国においては、降圧薬としてはHOPE試験でエビデンスのあるRA系阻害薬に追加してCCBの投与を考慮すべきではないかと思われる。また、グルコーススパイクが内皮細胞のアポトーシスを促進させることが知られている。自験例の検討でも、食後高血糖がPCI施行後のCVイベント発症を増加させることが判明しており、STOP-NIDDM試験、MeRIA-7試験のエビデンスと合わせて、内皮機能障害改善のためにα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の投与も考慮すべきであると思われる。血栓形成促進性状態糖尿病患者が凝固性亢進状態にあるという知見は、血栓形成イベントのリスク増加と凝固系検査値の異常が基となっている。ACS患者の血管内視鏡による検討では、プラーク潰瘍および冠内血栓は、糖尿病患者においてそうでない患者よりも頻繁に見られることが明らかにされている。同様に、血栓の発生率は、糖尿病患者から取った粥腫切除標本の方が、そうでない患者から取ったそれよりも高いこともわかった。糖尿病患者では、ずり応力(シェアストレス)に対して、血小板の作用と凝集が亢進し、血小板を刺激する。加えて、血小板表面上の糖タンパク質GP-Ib受容体やGPⅡb/Ⅲaの発現が増加するといわれている。その上、抗凝集作用を持つNOやプロスタサイクリンの内皮細胞からの産生が減少するのに加え、フィブリノゲン、組織因子、von Willebrand因子、血小板因子4、因子Ⅶなどの凝血原の値が増加し、プロテインC、抗トロンビンⅢなどの内因性抗凝血物質の濃度が低下することが報告されている。さらにPAI-1が内在性組織のプラスミノーゲンアクチベーター仲介性線溶を障害する。つまり、糖尿病は、内因性血小板作用亢進、血小板作用の内在性阻害機構の抑制、内在性線溶の障害による血液凝固の亢進によって特徴づけられる。臨床的には、CVイベント予防のために高リスク糖尿病患者へのアスピリン単剤投与がADAのガイドラインでも推奨されている。クロピドグレルの併用は、出血のリスクとのバランスの中で症例個々に検討していく必要があると思われる。GPⅡb/Ⅲa受容体拮抗薬は、糖尿病患者のPCIの予後を改善することが報告されているが、本邦では未承認である。炎症状態炎症は、急性CVイベントだけでなくATS形成の開始と進行にも関係がある。糖尿病を含むいくつかのCVリスクファクターは炎症状態の引き金となるだろう。白血球は一般的には炎症の主要なメディエーターと考えられているが、近年では、炎症における血小板がカギとなる役割を果たすことが報告されている。この病態と関連する代謝障害が血管炎症の引き金となるということはもっともなことだが、その逆もまた正しいのかもしれない。従って、C反応性タンパク質(CRP)が進行する2型糖尿病のリスクを非依存的に予測するものとして示されてきた。糖尿病や明らかな糖尿病が見られない状態でのインスリン抵抗性状態において上昇する炎症パラメーターには、高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、循環性(可溶性)CD40リガンド(sCD40L)がある。さらに内皮細胞(E)-セレクチン、血管細胞接着分子1(VCAM-1)、細胞内接着分子1(ICAM-1)などの接着分子の発現が増加することもわかっている。血管炎症作用亢進状態での形態学的な基質は、ACS患者の粥腫切除標本の分析から得たものである。糖尿病患者の組織は、非糖尿病患者の組織と比較して、脂質優位の粥腫がより大部分を占めており、より明らかなマクロファージ浸潤が見られる。特に糖尿病患者においては、冠血管のATS形成過程を促進することでAGE受容体(RAGE)が炎症過程や内皮細胞作用に重要な役割を果たすかもしれない。近年では、ATS形成が見られる患者における炎症促進のカギとなるサイトカインであるCRPが、内皮細胞でのRAGE発現をアップレギュレートすることが報告されている。これらの知見は、炎症、内皮細胞機能障害、ATS形成における糖尿病の機構的な関連を強化している。臨床的にCVイベントの発生に炎症が関与しており、その介入治療としてスタチンが効果的であることがJUPITER試験より明らかとなった。CARDS試験ではストロングスタチンが糖尿病患者のCVイベント抑制に効果的であることが報告されたが、この効果はLDL低下作用とCRP低下作用の強力な群でより顕著であった。2010年、ADAでは糖尿病患者のLDL管理目標値は1次予防で100mg/dL、2次予防で70mg/dLとより厳格な脂質管理を求めているが、脂質改善のみならず、抗炎症効果を期待したものでもあると思われる。プラーク不安定性と血管修復障害ATS形成の促進に加えて、糖尿病ではプラーク不安定性も起きる。糖尿病患者での粥状動脈硬化症病変は、非糖尿病患者に比して、血管平滑筋細胞が少ないことが示されている。コラーゲン源として血管平滑筋細胞は粥腫を強化し、それを壊れにくくする。加えて、糖尿病の内皮細胞は、血管平滑筋細胞によるコラーゲンの新たな合成を減少させる過剰量のサイトカインを産生する。そして最後に、糖尿病はコラーゲンの分解につながるマトリックスのメタロプロテイナーゼの産生を高め、プラークの線維性キャップの機械的安定性を減少させる。つまり、糖尿病はATS病変の形成、プラーク不安定性、臨床的イベントによって血管平滑筋細胞の機能を変える。糖尿病患者では非糖尿病患者より、壊れやすい脂質優位のプラークの量が多いことが報告されてきた。その上、糖尿病患者では、血管修復に重要な制御因子であると考えられているヒト内皮前駆細胞の増殖、接着、血管構造への取り込みが障害されていることが近年の知見で示唆されている。前述の機能障害に加えて、年齢と性をマッチさせ調整した対照群と比較して、培養液中の糖尿病患者から取った内皮前駆細胞の数が減っていることがわかり、その減少は逆にHbA1c値と関係していた。別の調査では、末梢動脈疾患を持つ糖尿病患者では、内皮前駆細胞値が特に低いことが報告されており、この株化細胞の枯渇が、末梢血管の糖尿病合併症の病変形成に関わっているのではないかと推測されている。ピオグリタゾンは糖尿病患者の内皮前駆細胞を増加させることが知られている。まとめ以上のごとく、糖尿病患者のCVイベント予防のためにはHbA1cの管理に加えて、ATS発症に影響を及ぼす多様な因子に対して集学的アプローチが重要となる。Steno-2試験では糖尿病患者に対して血糖のみならず、脂質、高血圧管理を同時に厳格に行うことでCVイベントを抑制した。血糖管理に加えて、スタチン、アスピリン、RA系阻害薬、CCB、TZD、α-GIによる血管管理がCVイベント抑制に効果的であると思われる。また、今後EPA製剤による脂肪酸バランスの是正、DPP-4やGLP-1などのインクレチン製剤による心血管保護も、糖尿病患者のCVイベント抑制に寄与することが期待される。今後は、糖尿病患者ごとにCVイベントリスクを評価し、薬物介入のベネフィットとリスクとコストのバランスを考慮して最適な薬物治療を検討していくことが重要になると思われる。このような観点から、今後登場する各種合剤は、この治療戦略を実行する上で患者服薬コンプライアンスを高め、助けになると思われる。

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複数の心血管危険因子を有する患者に対するn-3 系脂肪酸の有用性(コメンテーター:三浦 伸一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(107)より-

n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の投与は、心筋梗塞後の患者を対象としたGISSI-Prevenzioneや、心不全患者を対象としたGISSI-HFといった臨床試験において有用性が報告されている。 しかしこの臨床試験の結果は「n-3 PUFAの投与は心血管疾患の罹患や死亡を減少させない」というものであった。たしかに、この試験は二重盲検プラセボ対照臨床試験として実施されており、信頼性は高い。しかし、これまでの試験とはいくつかの点で異なっている。 対象者は二次予防患者ではなく、複数の心血管リスクを有する一次予防患者である。また日本において実施された、高脂血症患者を対象としたJELIS試験では、n-3 PUFAとしてイコサペンタエン酸(EPA)のみの投与であったが、この試験では、EPAとドコサヘキサエン酸(DHA)の両者を投与している。EPAもDHAもn-3 PUFAであるが、抗動脈硬化作用に対してちがいもある。さらに投与量も 1 g/日(EPA+DHA)と、JELIS試験のEPA投与(1.8 g/日)の約半分量であり、投与されたn-3 PUFAの種類や量は、各試験により異なっている。 そのほか、この試験で熟考すべき点は、プラセボ投与群にオリーブオイルを使用していることである。最近、オリーブオイルを追加した地中海食の有用性を検討した臨床試験で、主要心血管イベントの発生率低下も報告されているため(Estruch R, et al. N Engl J Med. 2013; 368: 1279-1290.)この試験でn-3 PUFA投与との有意な効果のちがいを見出せなかった可能性もある。 また、当初の主要エンドポイントは、死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の累積発生率であったが、1年後にイベント発生率が予測よりも低率であったため、主要エンドポイントを変更している(フォローアップ期間5年)。エンドポイントとして発生が低率の項目を用いる場合は、さらなる症例数や期間の延長なども考慮しなければならない。 いずれにしても、臨床研究ごとに対象患者の背景、n-3 PUFAの種類、投与量、投与期間、エンドポイントが異なっており、一概にn-3 PUFAの投与が有効、無効とは言うことはできず、さらなる臨床研究の積み重ねが必要と思われる。

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「脳卒中再発予防のためには収縮期血圧130mmHg未満」を支持する結果(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(105)より-

脳卒中既往歴のある症例の降圧目標値に関して、欧州のガイドラインは130/80mmHgとしている。これは、脳卒中再発予防におけるACE阻害薬ペリンドプリルの有用性を検討したPROGRESS試験の結果を参考にしている。一方、わが国のガイドライン2009年版では140/90mmHgとしているが、これに関しては反論も多い。脳卒中初発および再発の、最大のリスク因子は高血圧であることに議論の余地はなく、これまでの介入試験でも”The lower the better”を証明してきた。 本試験SPS3(Secondary Prevention of Small Subcortical Stroke)trialは、NIHの公的支援によっておこなわれた臨床試験である。約3,000人のラクナ梗塞患者を収縮期血圧130~149mmHg目標群と130mmHg未満を目標とする群にランダマイズして、平均3.7年間追跡された。全脳卒中、致死的脳卒中、心筋梗塞複合などにおいていずれも有意は差はみられなかったものの、厳格目標群の方が発症率が低い傾向が認められた。頭蓋内出血は厳格降圧群の方が有意に発症率が低いという結果だった。この結果は、従来の「脳卒中再発抑制のためには収縮期血圧130mmHg未満のより厳格な降圧が望ましい」というコンセンサスを支持する結果といえる。 本試験では、試験開始直後から両群間の血圧値に大きな差がみられ、その差が継続していることが大きな特徴である。3,000人規模の参加者にもかかわらず有意差がつかなかった最大の理由はやはり、イベント発症数が少なかったことによる。 医療現場では、再発予防のために抗血小板薬は必須となっており、また高脂血症があればスタチン薬を処方する時代になったため、脳卒中再発が発生しにくい状況にあることを反映しているともいえよう。

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乳がん予防にSERMは有効か?(コメンテーター:勝俣 範之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(103)より-

女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏は、骨粗鬆症や高脂血症の原因となる。また、エストロゲン補充療法は、これらの症状を改善させる作用を持つが、乳がんのリスクを増加させることが問題となる。SERMとは、選択的エストロゲン受容体モジュレーターのことであり、エストロゲン受容体に相互作用を示すことにより、臓器特異的に、アゴニスト作用あるいは、アンタゴニスト作用を有する治療薬として期待がされている。 第1世代のSERMであるタモキシフェンは、乳がんの治療薬としても有名であるが、化学予防薬として、乳がんの高リスク女性に対して予防効果を示し(NSABP-P-1試験)、世界で初めて、がん予防薬としてFDAで承認された(1998年)薬剤である。タモキシフェンの1つの問題点は、子宮内膜がん・血栓塞栓症を増加させることであった。第2世代のラロキシフェンは、骨組織およびコレステロール代謝に対してアゴニスト作用を示すとともに、乳腺組織および子宮に対してアンタゴニスト作用を有しており、その効果が期待され、乳がん予防をエンドポイントに、タモキシフェンとラロキシフェンのランダム化比較試験が行われた(STAR試験) 結果は、ラロキシフェンはタモキシフェンと同様に乳がん発症を抑える一方で、血栓塞栓症・子宮内膜がん発症をタモキシフェンと比べ低下させたが、子宮体がん発症に関しては、統計学的有意差は無かった。また、非浸潤性乳がんの予防効果は、タモキシフェンの方が優れていた。その後、STAR試験の結果と、これまでに行われたRUTH、CORE/MORE試験と合わせて、2007年にラロキシフェンは乳がん予防薬としてFDAで承認されている。Lasofoxifene、Arzoxifenは新しいSERMであり、今後の期待がなされるところである。 今回のLancetに掲載されたメタアナリシスは、これらSERMの乳がん予防に関するメタアナリシスであるが、結果としては、SERMはER陽性乳がん発症を予防するが、その効果は最初の5年間くらいであり、5年以上になると効果が減弱する、また、椎体骨折を減らすが血栓塞栓症を増やす、というものであった。SERMは、乳がん発症を予防し骨合併症を減らすという、女性にとっては有望な薬剤として期待がある一方、血栓塞栓症の増加というリスクもあり、現時点では、ベネフィットがリスクを大きく上回るものではないため、安易に処方されるべき薬剤ではないと考えられる。 日本では、本論文中の薬剤のうち、タモキシフェンは乳がん治療薬として承認されているが、乳がん予防薬としての適応はない。ラロキシフェン(商品名:エビスタ)は、骨粗鬆症の治療薬として承認されているが、乳がん予防薬としての適応はない。日本人の乳がん発症率が低いことを考えると、絶対リスクの低下は欧米人と比べると小さいことが推察されるため、やはり乳がん予防を目的に安易に処方されることは慎まれるべきである。 今後もSERMの開発は、世界中でなされていくと思われるが、乳がん予防薬としても期待されている薬剤であるため、日本人でのエビデンスにも期待したい。勝俣 範之先生のブログはこちら

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