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150)名画『モナ・リザ』に描かれた病気【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師この絵をちょっと見てもらえますか?患者ダ・ヴィンチの傑作『モナ・リザ』ですね。医師そうですね、この絵をよく見てください。患者あっ、私と一緒で左目の横に何かある!医師そうです。これがコレステロールの塊で、専門用語で「眼瞼黄色腫」といいます。患者へぇー、そうなんですね。医師それと、目をよく見てください。きらりと光る輪が見えるかもしれません。これが「角膜輪」です。モナ・リザは、コレステロール値が高かったのではないかと推測している人もいます。患者そうなんですか。面白いですね(興味津々)。●ポイント『モナ・リザ』を題材に、眼瞼黄色腫や角膜輪についてわかりやすく説明します●参考資料1)Ose L. Curr Cardiol Rev. 2008;4:60-62.

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日本人統合失調症、外来と入院でメタボ率が高いのは:新潟大

 統合失調症患者は、一般よりも平均余命が有意に短く、肥満やメタボリックシンドロームにつながる可能性のある不健全な生活習慣の問題にしばしば直面する。統合失調症患者におけるメタボリックシンドロームの構成要素である肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を明確にする必要があるが、日本における大規模調査は不十分であったことから、新潟大学の須貝 拓朗氏らが調査を行った。PLOS ONE誌2016年11月17日号の報告。 2012年1月~2013年7月に、日本精神病院協会の外来520施設、入院247施設を対象に、アンケートを用いて、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率を大規模に調査した。統合失調症の外来患者は7,655例、入院患者は1万5,461例であった。 主な結果は以下のとおり。・外来患者は、入院患者と比較し、肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の有病率が有意に高かった。・低HDLコレステロール血症の有病率は、外来患者よりも入院患者で高かった。・年齢別分析では、外来患者の肥満、高血圧、高トリグリセリド血症、高LDLコレステロール血症、糖尿病の罹患率が、入院患者の2~3倍であることが示唆された。・60歳以上の患者では、外来患者の肥満および糖尿病の有病率が、入院患者の約3倍であった。 著者らは「日本人統合失調症の外来患者は、入院患者よりも肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの身体的リスクを有する可能性が高かった。統合失調症患者の身体的リスクは、ケアの種類などの環境パラメータにより影響を受ける可能性があり、より注意する必要がある」としている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学 どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か

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飽和脂肪酸の多量摂取、冠動脈性心疾患リスクを増大/BMJ

 主要な飽和脂肪酸(SFA)の多量摂取は、冠動脈性心疾患リスクを増大することが、大規模コホート試験で確認された。また、摂取SFAのうち大半を占めるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の摂取エネルギーを、不飽和脂肪酸や植物性タンパク質などに置き換えると、同発症リスクは有意に低下し、なかでもパルミチン酸の置き換え低減効果が大きいことも示された。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のGeng Zong氏らが、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)と看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の男女2つの大規模コホートについて分析し明らかにしたもので、これまで大規模コホート試験で、個別の飽和脂肪酸と冠動脈性心疾患の関連を示した研究結果はほとんどなかったという。BMJ誌2016年11月23日号掲載の報告。 米国男女大規模コホート2試験で検証 研究グループは、1984~2012年の看護師健康調査に参加した女性7万3,147例と、1986~2010年の医療従事者追跡調査に参加した男性4万2,635例の2つのコホートについて、前向き縦断コホート試験を行った。被験者は、ベースラインで主な慢性疾患が認められない人とした。 被験者のうち、追跡期間中に冠動脈性心疾患の診断を受けたことを自主申告した7,035例について、診療記録で確認をした。また、関連死については、全米死亡記録(NDI)や近親者、郵便局から裏付けをとった。 4種の飽和脂肪酸摂取量のCHDリスク、最高五分位群 vs.最小五分位群は1.18倍 飽和脂肪酸が追跡期間中の総エネルギー摂取量に占める割合は、9.0~11.3%で、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の4種がその大部分を占めた。これら4種の飽和脂肪酸は、冠動脈性心疾患の発症と強い相関関係があり、スピアマンの順位相関係数は0.38~0.93(すべてp<0.001)だった。 生活習慣要因と総エネルギー摂取量について多変量補正後、それぞれの飽和脂肪酸の摂取量の最高五分位群 vs.最小五分位群のハザード比は、ラウリン酸が1.07(95%信頼区間[CI]:0.99~1.15、傾向p=0.05)、ミリスチン酸が1.13(1.05~1.22、傾向p<0.001)、パルミチン酸が1.18(1.09~1.27、傾向p<0.001)、ステアリン酸が1.18(1.09~1.28、傾向p<0.001)、4種複合飽和脂肪酸で1.18(同:1.09~1.28、傾向p<0.001)だった。 4種の飽和脂肪酸から摂取するエネルギーの1%相当分を、多価不飽和脂肪に置き換えることで、同ハザード比は0.92(p<0.001)に、また1価不飽和脂肪酸に置き換えると0.95(p=0.08)、全粒炭水化物では0.94(p<0.001)、植物性タンパク質では0.93(p=0.001)とリスクは減少することが示された。また、単体ではパルミチン酸を置き換えることによるリスク低下が最も大きく、ハザード比は多価不飽和脂肪に置き換えると0.88(p=0.002)、1価不飽和脂肪酸0.92(p=0.10)、全粒炭水化物0.90(p=0.01)、植物性タンパク質0.89(p=0.01)だった。

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毎食後の歯磨きで糖尿病と脂質異常症リスクが減少

 歯磨き頻度と生活習慣病の関連について調査したところ、毎食後の歯磨きが男性での糖尿病と女性での脂質異常症の発症を有意に抑制することがわかった。聖路加国際病院における5年間の後ろ向きコホート研究の結果を、虎の門病院の桑原 政成氏らが報告した。歯磨きは心血管疾患発症の危険因子を減少させるために有益と考えられる。Journal of cardiology誌オンライン版2016年11月15日号に掲載。 著者らは以前、横断研究で歯磨きと糖尿病と脂質異常症の関連を報告しているが、今回、歯磨き頻度の低さが糖尿病および脂質異常症の独立した危険因子であるかどうかを検討した。 本研究は、2004年と2009年に年次健康診断を受け、2004年時点で30~85歳の人を調査した。歯磨きの頻度が「毎食後」「少なくとも1日1回」「1日1回未満」の3群における2004年から2009年の糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症の累積発症率を比較した。さらに、「毎食後磨く」群と「毎食後は磨かない」群の2群間で、年齢、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症の調整後に、糖尿病と脂質異常症の発症リスクの男女別のオッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・1万3,070人の対象者のうち、2004年に糖尿病(575人)、脂質異常症(5,118人)、高血圧症(2,599人)、高尿酸血症(1,908人)であった人を除外した。・2004年と2009年の間の累積発症率は、糖尿病が318人(2.5%)、脂質異常症が1,454人(18.3%)、高血圧症が1,108人(10.6%)、高尿酸血症が489人(4.4%)であった。・「毎食後磨く」群に比べて、「毎食後は磨かない」群では男性の糖尿病発症(OR:1.43、95%信頼区間[CI]:1.040~1.970)、女性の脂質異常症発症(OR:1.18、95%CI:1.004~1.383)のリスクが有意に高かった。

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家族性高コレステロール血症、親子への検診は有効か/NEJM

 プライマリケア診療での定期予防接種時に、親子に家族性高コレステロール血症(FH)のスクリーニングを実施することは可能であり、有効であることが、英国・ロンドン大学クィーンメアリー校のDavid S Wald氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年10月27日号に掲載された。遺伝性の若年性心血管疾患の高リスク者を同定するために、親子へのFHのスクリーニングが提唱されているが、有効性に関するデータは少ないという。約1万人の子で、親子スクリーニングの実行可能性を検証 研究グループは、プライマリケア診療における親子へのFHのスクリーニングの有効性と実行可能性を検討した(英国医学研究協議会[MRC]の助成による)。 定期予防接種の受診時に、1~2歳児の末梢血検体を採取し、コレステロール値の測定とFHの発症に関連する遺伝子変異の検査を行った。 子は、コレステロール値が高く、かつFHの遺伝子変異を認めるか、あるいは3ヵ月後の再測定でもコレステロール値が高い場合に、FHスクリーニングが陽性と判定された。 スクリーニング陽性の子の親は、子と同じ遺伝子変異が同定された場合にスクリーニング陽性と判定され、変異がみられない場合は、両親のうちコレステロール値が高い親が陽性と判定された。 コレステロール値のカットオフ値は、メタ解析のデータに基づき事前に、中央値の倍数(MoM)で1.53MoM(99.2パーセンタイルに相当)と規定された。 2012年3月~2015年3月に、英国の92のプライマリケア施設に登録された子1万95人が解析の対象となった。子1,000人のスクリーニングで8人(子4人、親4人)が陽性 ベースラインの子の年齢中央値は12.7ヵ月(IQR:12.4~13.3)、男児が52%で、総コレステロール(T-C)値は152mg/dL、LDL-C値は85mg/dL、HDL-C値は36mg/dL、トリグリセライド値は59mg/dLであった(いずもれも中央値)。両親の年齢中央値は、母親が31歳(IQR:27~35)、父親は34歳(同:30~38)だった。 FHスクリーニング陽性と判定された子は28人(1万95人の0.3%、95%信頼区間[CI]:0.2~0.4)であった。このうち、FHの遺伝子変異の保因者が20人、再測定コレステロール値≧1.53MoMは8人であった。 コレステロール値<1.53MoMの子17人にも、FHの遺伝子変異がみられた。全体の遺伝子変異の保因率は子273人に1人(37/10,095人、95%CI:1/198~1/388人)の割合であった。 初回測定時のコレステロール値のカットオフ値を1.35MoM(95パーセンタイル)とし、かつ遺伝子変異が認められる場合、あるいは測定値が2回とも1.50MoM(99パーセンタイル)以上の場合にスクリーニング陽性とすると、陽性と判定された子は40人(1万95人の0.4%、このうちFHの遺伝子変異ありが32人、なしは8人)であり、親も40人が陽性であった。 著者は、「子1,000人当たり8人(子4人、親4人)の割合で、家族性高コレステロール血症スクリーニングが陽性であり、それゆえ心血管疾患のリスクが高い者が同定された」とまとめ、「家族性高コレステロール血症は、単独の疾患というよりも、早期の心血管疾患リスクの上昇を示すマーカーとみなすほうがよいことが示唆される」と指摘している。

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LDL-C低下に関与する遺伝子変異は2型糖尿病のリスク増加と関連(解説:小川 大輔 氏)-606

 脂質異常症の治療としてスタチン薬が動脈硬化性疾患の予防のために用いられることが多いが、これまでにスタチン薬の使用は体重増加や2型糖尿病の新規発症と関連することが報告されている1)。一方、LDLコレステロールトランスポーターNiemann-Pick C1-Like 1(NPC1L1)の阻害薬であるエゼチミブの糖代謝に対する影響については不明である。今回、LDLコレステロールの低下に関与するNPC1L1遺伝子の変異と2型糖尿病の発症リスク増加との関連が報告された。 この研究は、1991年から2016年にかけて欧州および米国で実施された3つの遺伝子関連研究からデータを収集し、2型糖尿病患者5万775例とその対照群27万269例、冠動脈疾患患者6万801例とその対照群12万3,504例が組み込まれた。そして、LDLコレステロール低下に関連する遺伝子変異と2型糖尿病、冠動脈疾患との関連をメタ解析で検討が行われた。 その結果、NPC1L1遺伝子変異は2型糖尿病と正の相関を示し、冠動脈疾患とは逆相関を示した(LDLコレステロール 1mmol/L[38.7mg/dL]低下当たりのオッズ比はそれぞれ2.42[p<0.001]、0.61[p=0.008])。 また、NPC1L1以外のLDLコレステロール低下と関連するHMGCR、PCSK9、ABCG5/G8、LDLR近傍の対立遺伝子と2型糖尿病や冠動脈疾患についても検討が行われたが、HMGCRおよびPCSK9遺伝子変異は2型糖尿病と正の相関を示した(LDLコレステロール 1mmol/L[38.7mg/dL]低下当たりのオッズ比はそれぞれ1.39[p=0.003])、1.19[p=0.03])。 NPC1L1遺伝子の変異を有する症例は、心血管疾患のリスクが低いことが知られていたが2)、これまで糖尿病の発症リスクとの関連については報告がなかった。今回の研究で初めて、NPC1L1遺伝子変異が2型糖尿病のリスク増加と関連していることが明らかとなった。さらに、LDLコレステロールの低下に関与するHMGCR、PCSK9の遺伝子変異よりもオッズ比が高いことも示された。 エゼチミブは脂質異常症の治療薬として実臨床で使われており、スタチン薬とエゼチミブの併用療法は糖尿病を合併した脂質異常症の心血管イベントを抑制することが報告されている3)。 糖尿病のない脂質異常症の症例に投与してどの程度2型糖尿病の発症が増加するのか、また、すでに糖尿病のある脂質異常症の症例にエゼチミブを投与して血糖コントロールに悪影響を及ぼすかどうかについてはまだ明らかにされておらず、今後の研究が待たれる。

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関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。診断に有効な武器がない関節症性乾癬 はじめに皮膚科専門医の視点から奥山隆平氏(信州大学医学部皮膚科学教室 教授)が「関節症性乾癬とはどのような疾患か」と題し、早期診療の重要性と生物学的製剤の可能性について講演を行った。 乾癬は、全身に皮疹が散在する慢性的かつ難治性の皮膚疾患であり、わが国の乾癬患者は約56万人と推定されている。治療では、ファーストラインに外用療法が、セカンドラインでは紫外線療法が行われ、治療薬としてエトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサート(保険適用外)、生物学的製剤などが処方される。 なかでも今回のテーマである関節症性乾癬は、乾癬に関節炎が足された病型として知られ、乾癬患者の中でも年々患者数が増えている疾患である。その発症パターンの多くは発疹が先行し、10年近く経過した後に関節炎症状が表れる1)など、罹病期間も長いという。 問題となるのは、現在、本症には診断に有用なバイオマーカーがないため、早期診断が難しいことである。また、患者さんも関節痛の診療の際、皮膚科ではなく、整形外科やリウマチ科を受診するために、疾患の本態がわからないまま診療が続けられ、治療の開始が遅れることであるという。 本症では、指が好発部位であり、また、脊柱が侵害されることもあり、早期診療が重要だが、病態初期はX線では発見できない。骨シンチグラフィーなどが有用とされているが、検査できる医療機関が限られているためになかなか普及しないのが現状である。 治療では生物学的製剤が、2010年から使えるようになり効果を上げているが、副作用とのバランスを見極めながらの治療が必要であり、再発もしやすいという。 おわりに奥山氏は、「今後、さらにリウマチ科や整形外科の先生に本症を知ってもらうことで、速やかな診療ができる体制の構築と乾癬患者さんへは、あらかじめ本症の特徴や病態を伝えておくことで、すぐに専門医へ診療がつながるような仕組みづくりが大事」と課題を提起し、レクチャーを終えた。関節症性乾癬の診断は他診療科とのコラボが大事 続いて、岸本暢将氏(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター 医長)が、「リウマチ医から見たPsA(関節症性乾癬)」をテーマに、他診療科間での連携の重要性と本症の治療を解説した。 関節症性乾癬は、特徴的な所見をリウマチ専門医だけでみつけ、鑑別することは容易ではない。だからこそ、皮膚科専門医とのコラボレーションが重要であり、乾癬患者さんが痛みを訴える場合、リウマチ専門医の診療を受診することは大事だと強調する。 大都市における本症の患者数調査では、乾癬患者全体(n=3,021)の約15%(n=431)に患者が報告され2)、男性に多く、本症の患者さんの多くは皮膚科に通院し、関節痛があっても医師に伝えていないケースも多いという。 本症と関節リウマチとの鑑別診断では、足のかかとや足の裏にケブネル現象がないか、爪に炎症所見がないかの観察とともにCASPAR分類基準3)による診断が行われる。また、関節リウマチでは骨破壊だけが観察されるが、本症では骨新生もある点が鑑別で役に立つという。その他、鑑別疾患として、変形性関節症、肥満者であれば関節破壊や痛風も考えられるほか、感染症ではクラジミア、梅毒などにも注意が必要になる。 治療では、GRAPPA治療推奨4)が使われているが、MDA(中疾患活動性)基準5)も併用されている。最近では、2015年にGRAPPA治療推奨の最新版が提唱された6)。 たとえば末梢関節炎であれば、NSAIDsおよびステロイド関節内注射と併行して第1フェーズでは免疫調整薬(メトトレキサート、スルファサラジンなど)、生物学的製剤TNF阻害薬、PDE-4阻害薬(未承認薬)が推奨され、第2フェーズで生物学的製剤TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-12/23阻害薬またはPDE-4阻害薬が推奨され、第3フェーズでは別の生物学的製剤への変更が推奨されているなど、体軸関節炎、腱付着部炎など病変に応じて、異なった治療推奨がなされている。 また、本症の治療戦略としては治療薬の他に、減量・運動・禁煙などの生活指導、整形外科と連携した身体器具の装着、関節へのピンポイント注射治療のほか、高脂血症、脂肪肝、うつ、線維筋痛症など併発症の治療も重要となる。 最後に岸本氏は「他科連携による的確な診断とタイミングのよい治療が患者さんの機能障害を防ぐ」と述べ、レクチャーを終えた。もっと知って欲しい関節症性乾癬 続いて30年以上乾癬に悩む患者さんが、患者視点から本症の悩みや課題を述べた。当初、乾癬の確定診断がつかず、身体的、精神的につらい時期を送ったこと。その後、本症が発症し、ベストな治療が受けられなかったときに、生物学的製剤の治療のおかげで関節の痛みが軽減、皮膚症状も落ち着いたことなどを述べた。 最後に目前の課題として、「本症では介護保険が使えないことや指定難病への未登録があり、今後も患者会などを通じ、厚生労働省へ働きかけていきたい」と展望を語った。(ケアネット 稲川 進)参考文献 1) Gottlieb AB, et al. J Dermatolog Treat. 2006;17:343-352. 2) Ohara Y, et al. J Rheumatol. 2015;42:1439-1442. 3) Taylor W, et al. Arthritis Rheum. 2006;54:2665-2673. 4) Ritchlin CT, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1387-1394. 5) Coates LC, et al. Ann Rheum Dis. 2010;69:48-53. 6) Coates LC, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:1060-1071.参考サイト 日本乾癬学会 日本乾癬学患者連合会

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LDL-C低下に関与する遺伝子変異、糖尿病リスクと関連/JAMA

 NPC1L1など低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下に関与する遺伝子変異が、2型糖尿病のリスク増加と関連していることが確認された。英国・ケンブリッジ大学のLuca A. Lotta氏らが、脂質低下薬の標的分子であるNPC1L1などの遺伝子変異と、2型糖尿病や冠動脈疾患との関連性を評価するメタ解析を行い報告した。著者は、「所見は、LDL-C低下療法による有害な影響の可能性について洞察を促すものである」と結論している。エゼチミブおよびスタチンの標的分子であるNPC1L1やHMGCR近傍の対立遺伝子はLDL-C低下と関連しており、これら脂質低下薬の有効性の検討で代理指標として用いられている。一方で、臨床試験においてスタチン治療による糖尿病新規発症の頻度増加が示されており、HMGCR近傍の対立遺伝子は2型糖尿病のリスク増加とも関連していることが知られていた。しかし、NPC1L1近傍の対立遺伝子と2型糖尿病との関連は不明であった。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。LDL-C低下に関与する5つの遺伝子変異についてメタ解析で検討 研究グループは、1991~2016年に欧州および米国で実施された3つの遺伝子関連研究、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC-InterAct試験)、UK Biobank試験、DIAbetes Genetics Replication And Meta-analysis(DIAGRAM)からデータを収集し、LDL-C低下に関連する遺伝子変異と、2型糖尿病および冠動脈疾患との関連をメタ解析で調査した。解析には、2型糖尿病患者5万775例とその対照群27万269例、冠動脈疾患患者6万801例とその対照群12万3,504例が組み込まれた。 主要評価項目は、LDL-C低下と関連するNPC1L1、HMGCR、PCSK9、ABCG5/G8、LDLR近傍の対立遺伝子による2型糖尿病および冠動脈疾患に関するオッズ比(OR)であった。NPC1L1遺伝子変異は2型糖尿病と関連あり LDL-C低下に関連するNPC1L1遺伝子変異は、冠動脈疾患と逆相関を示した(遺伝子学的に予測されるLDL-C 1-mmol/L[38.7mg/dL]低下当たりのOR:0.61、95%信頼区間[CI]:0.42~0.88、p=0.008)。一方、2型糖尿病とは正の相関を示した(同OR:2.42、1.70~3.43、p<0.001)。 全体として、LDL-C低下に関連する遺伝子変異は、冠動脈疾患リスクについては、いずれも同程度の減少がみられた(遺伝的関連の異質性I2=0%、p=0.93)。しかしながら、2型糖尿病との関連はばらつきがみられ(I2=77.2%、p=0.002)、LDL-C低下の代謝リスクに関連する特異的な対立遺伝子の存在が示唆された。 PCSK9遺伝子変異の場合、2型糖尿病に関する同ORは1.19であった(95%CI:1.02~1.38、p=0.03)。

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今のところ順調なapo(a)アンチセンス療法(解説:興梠 貴英 氏)-599

 2015年に、心血管イベントおよび石灰化大動脈弁狭窄症のリスク因子であるLp(a)の血中濃度を低下させる、アンチセンス薬(IONIS-APO[a] Rx)の第I相試験の結果が報告された1)。本試験は、その続き(第II相試験)および元の薬剤にリガンドを結合させて特異的に肝細胞に取り込まれるように改変したもの(IONIS-APO[a]-LRx)の第I/IIa相試験の報告である。 ちなみに、リポ蛋白(a)(Lp[a])の構成成分であるアポリポ蛋白(a)は、サル目の進化途上で約4,000万年前にプラスミノーゲン遺伝子のコピーとして生まれたと考えられている。その生理的な役割はよくわかっていないが、プラスミノーゲンのKringleIV類似ドメインを12~50コピー、KringleV類似ドメインと活性を持たないタンパク質分解ドメインをそれぞれ1コピー持ち、さらにapoB100と共有結合してLp(a)となる。こうした構造からプラスミノーゲンを競合的に阻害し、線溶系の活性化を阻害すると考えられており、Lp(a)は心血管イベントおよび石灰化大動脈弁狭窄症のリスク因子であることが疫学研究の結果報告されている2)。 ところで、2015年にはISIS Pharmaceuticalsという会社名で、いわゆるイスラム国と間違えられそうだといらぬ心配をしていたところ、それが原因とは明言しないものの、Ionis Pharmaceuticalsと改名したようである。 さて、IONIS-APO(a) Rxの第II相試験の結果は元記事にあるように、第I相試験と同様に空腹時血漿Lp(a)を十分下げることができ、また安全性にも大きな問題は認められないというものであった。ただし、インフルエンザ様症状の一部を示す被験者が約10%おり、1例の被験者においては注射部において中等度の副作用が出現したため参加を中止した。ところで、第I相試験では47例中女性は1例もおらず、女性に関する情報は得られていなかったが、本試験では61例中28例が女性で、とくに性別による差は報告されていない。 一方、IONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相試験においても用量依存性に空腹時血漿Lp(a)濃度を下げることができたが、特異的に肝細胞に取り込まれるため、より少ない用量でより大きな低下率をもたらすことができるという結果であった。また、IONIS-APO(a)Rxで認められたインフルエンザ様症状の一部は認められず、注射部の大きな問題も認められなかった。 これらの結果は、Ionis社のアンチセンス薬が有効に安全に血漿Lp(a)濃度を下げられることを示しており、このまま問題が起きなければより後期のフェーズの治験へ進んでいくと思われる。しかし、臨床的に重要なのは本当にLp(a)を下げることによって心血管イベントや石灰化大動脈弁狭窄症のリスクを低下させられるか、ということである。そうした結果が出るにはまだかなり時間がかかりそうである。

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アンチセンスオリゴヌクレオチド、リポ蛋白(a)濃度低下を第II相で確認/Lancet

 低比重リポ蛋白(LDL)にアポリポ蛋白(a)(apo[a])が結合したリポ蛋白(a)(Lp[a])の増加は、心血管疾患および石灰化大動脈弁狭窄症の遺伝的リスク因子であることが知られている。現在、apo(a)を標的としたオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)Rxと、肝細胞に高度かつ選択的に取り込まれるようデザインされたリガンド結合アンチセンスオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)-LRxが開発中であるが、とくに後者がLp(a)濃度を低下させる有効かつ忍容性のある新しい治療薬として有望であることが明らかとなった。米国・Ionis PharmaceuticalsのNicholas J Viney氏らが、IONIS-APO(a)Rxの第II相試験とIONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相試験の2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IONIS-APO(a)Rxの健常成人を対象とした第I相試験では、用量依存的に血漿Lp(a)濃度が減少することが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2016年9月21日号掲載の報告。IONIS-APO(a)Rxの100~300mg投与でLp(a)濃度が約70%低下 まずIONIS-APO(a)Rxの第II相試験は、カナダ、オランダ、ドイツ、デンマーク、英国の13施設で実施された。2014年6月25日~2015年11月18日に、Lp(a)濃度が異なる2つのコホート(A[125~437nmol/L]51例、B:[≧438nmol/L]13例)の計64例を、IONIS-APO(a)Rx皮下投与用量漸増群(4週間ごとに週1回100mg、200mg、300mgと増量)またはプラセボ(生理食塩水)投与群(週1回12週間)に、コホートAは1対1、コホートBは4対1の割合で無作為に割り付けた(IONIS-APO(a)Rx群計35例、プラセボ群計29例)。 主要評価項目であるper-protocol集団(6回以上治験薬の投与を受けた被験者)における85日または99日時点での空腹時血漿Lp(a)濃度のベースラインからの平均変化率(平均±標準偏差[SD])は、IONIS-APO(a)Rx群のコホートAで-66.8±20.6%、コホートBで-71.6±13.0%であった(いずれもp<0.0001 vs.プラセボ(コホートA+B)群)。IONIS-APO(a)-LRx 40mg投与でLp(a)濃度が約90%低下 次にIONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相ヒト初回投与試験は、カナダ・トロントのBiopharma Servicesの第I相部門で実施された。2015年4月15日~2016年1月11日に、健常者(Lp[a]≧75nmol/L)58例が登録され、単回投与試験でIONIS-APO(a)LRx皮下投与群(10mg、20mg、40mg、80mg、120mg)またはプラセボ群に3対1の割合で、反復投与試験(第1・3・5・8・15・22日の6回投与)でIONIS-APO(a)LRx皮下投与群(10mg、20mg、40mg)またはプラセボ群に8対2の割合で、それぞれ無作為に割り付けた(単回投与試験計28例:10mg群3例、20mg群3例、40mg群3例、80mg群6例、120mg群6例、プラセボ群7例/反復投与試験計30例:10mg群8例、20mg群8例、40mg群8例、プラセボ群6例)。 主要評価項目の解析対象集団は、無作為化されかつ治験薬の投与を最低1回以上受けた被験者であった。結果、単回投与試験では、IONIS-APO(a)-LRxのすべての用量群で主要評価項目である30日時点の平均Lp(a)濃度の用量依存的な有意な減少が認められた。一方、反復投与試験では、主要評価項目である36日時点での平均Lp(a)濃度のベースラインからの平均変化率が10mg群-66±21.8%、20mg群-80±13.7%、40mg群-92±6.5%であった(p=0.0007、IONIS-APO(a)-LRx全体 vs.プラセボ群)。 安全性については、どちらのアンチセンスオリゴヌクレオチドでも確認された。第II相試験において重篤な有害事象(心筋梗塞)がIONIS-APO(a)Rx群で1例、プラセボ群で1例確認されたが、治験薬に関連するものではないと判断された。注射部位反応がIONIS-APO(a)Rxでは12%に認められたが、IONIS-APO(a)-LRxでは確認されなかった。

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INTERSTROKE研究:脳卒中はどこまで予防できるか?(解説:有馬 久富 氏)-583

 INTERSTROKE研究は、脳卒中の危険因子を検討した大規模国際共同ケース・コントロール研究である。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中東、アフリカの32ヵ国からリクルートされた、発症5日以内の急性期脳卒中患者1万3,447例と性・年齢をマッチしたコントロール1万3,472例を対象として、10の危険因子(高血圧、定期的な運動、アポリポ蛋白B/A1比、食習慣、ウエスト・ヒップ比、心理社会的要因、喫煙、心疾患、飲酒、糖尿病)が脳卒中発症に及ぼす影響を検討した。その結果、これらの危険因子の人口寄与危険割合(PAR)は90.7%であった。つまり、以前から知られている10の古典的危険因子を取り除く、あるいはきちんと治療することにより、現在起こっている脳卒中の約90%を予防できる可能性が示されたわけである。 INTERSTROKE研究は、脳卒中患者1万3,000例以上を対象とした非常に大規模な国際共同研究である。また、すべての国において標準化された方法で危険因子の調査が行われている。しかし、参加施設が脳卒中センターを有する病院に限定されているので、本研究のケースは各国の脳卒中患者を代表していないかもしれない。また、一部の施設でコントロールに入院・外来患者やその家族を用いているので、一般住民との比較とは言い難い。さらに、国ごとの対象者数や危険因子のばらつきが解析において考慮されていない。 前述のようなlimitationはあるものの、大規模な国際共同研究で古典的危険因子が脳卒中発症に及ぼす影響を明らかにした、INTERSTROKE研究の功績は大きい。 INTERSTROKE研究から得られた人口寄与危険割合(PAR)が、そのまま日本に当てはまるかどうかはわからないが、日本においてもすべての危険因子をコントロールすることで、脳卒中は激減するものと期待される。われわれ医療従事者および行政は、これら危険因子の未治療やコントロール不良を減らすよう最大限の努力をすべきであると考える。

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脂質異常症に対するPCSK9阻害薬の費用対効果/JAMA

 ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(FH)またはアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の患者に対し、スタチンに追加しPCSK9阻害薬を投与することで、ヘテロ接合性FHは約32万例、ASCVDは約430万例の主要有害心血管イベント(MACE)をそれぞれ予防可能であることが示された。一方で、それに伴う薬剤コストの上昇のため、2015年の薬価では、QALY当たりコストは年間40万ドル超を要することも示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のDhruv S. Kazi氏らが、冠動脈疾患政策モデルを用いて行ったシミュレーションの結果、示したもので、JAMA誌2016年8月16日号で発表した。35~94歳の米国人を対象にシミュレーション 研究グループは、35~94歳の米国人を対象に、ヘテロ接合性FHとASCVDに対するスタチン+PCSK9阻害薬投与について、冠動脈疾患政策モデルを用い、スタチン+エゼチミブ投与の場合と比較した費用対効果のシミュレーションを行った。 シミュレーション・モデルでは、2015年のPCSK9阻害薬の年間コスト1万4,350ドルを適用し、生存期間中治療を継続すると仮定。また確率的感度分析により、不確実性(UI)を探求した。 主要評価項目は、生涯MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、脳卒中)、QALY当たりの増加コスト、5年間の全米総医療費への影響だった。PCSK9阻害薬年間コストが4,536ドル以下なら、QALY当たりコスト増は10万ドル その結果、ヘテロ接合性FHに対して、スタチン+PCSK9阻害薬は、スタチン+エゼチミブと比べて、推定で31万6,300例のMACEを回避可能であったが、QALY当たりコスト増は50万3,000ドル(80%UI:49万3,000~173万7,000)だった。 ASCVDについても、PCSK9阻害薬追加群は、エゼチミブ追加群に比べ、推定430万例のMACEを予防可能で、QALY当たりコスト増は41万4,000ドル(80%UI:27万7,000~153万9,000)だった。 患者1人当たりのPCSK9阻害薬年間コストが4,536ドル以下に抑えられれば、QALY当たりコスト増は10万ドル未満に抑えられると推算された。 2015年時点のPCSK9阻害薬価格では、適応患者すべてに投与された場合、5年間で290億ドルの心血管疾患治療費の削減になるものの、薬剤費については推定5,920億ドル、対2015年で38%の処方薬コストの増大が見込まれた。 一方、ハイリスクグループでスタチン忍容性がある現在スタチン非投与患者に対し、スタチン投与を始めることで、120億ドルの治療費削減が見込まれた。

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新薬と医療経済―PCSK9は安いか?高いか?(解説:平山 篤志 氏)-582

 スタチンに併用することで、LDLコレステロールをさらに低下させるPCSK9阻害薬が発売され、次の点から注目されている。 1つは、スタチン使用下で70%以上LDL-コレステロールを低下させるという驚異的な効果、次に、PCSK9阻害薬(レパーサ皮下注140mgシリンジ)の薬価が 2万2,948円(1ヵ月4万5,896円、年間約55万円)と高価なことである。 コレステロール低下薬であるが、効果としては心血管事故の予防目的であることから、直接的な治療薬でなく、かつ長期間使用される薬剤であるため、これまでの抗がん剤や抗リウマチ薬とは違う意味を持つ生物製剤である。そのため、薬価としては高いのか?安いのか?が医療経済の面から評価される必要があった。 本論文では、米国で発売されている抗PCSK9抗体薬の価格が年間1万4,350ドルで、35歳から74歳までの家族性高コレステロール血症(FH:familial hypercholesterolemia)のヘテロ接合体患者(hFH)と、ハイリスクの心血管疾患患者(ASCVD:atherosclerotic cardiovascular disease)すべてに投与した場合、心血管イベントを予防する効果とそれに伴って節約できる価格を比較している。 hFHでは、1クエリ50万3,000ドル、ASCVDでは41万4,000ドルで、通常米国で受け入れられる1クエリ10万ドルをはるかに超えることになる。さらに、hFHでLDLコレステロール値の高値の患者、あるいは急性冠症候群発症患者のみに限定してもコストには見合わないとし、少なくとも3分の2以上の価格の低減が必要であると結論している。 わが国で発売された本剤は、ちょうど本論文の提示する価格ではある。ただ、わが国のイベント発生頻度を考慮すると、やはり現状では経済効果があるとは考えにくい。この薬剤を活かすには、よりハイリスクの患者を見出す工夫が必要であろう。ただ、この論文で記載されているように、抗PCSK9抗体の効果については、まだ十分なデータが出ているわけではない。今後発表されるFOURIER試験やODESSAY outcomes試験の結果での有効性、さらに長期的な安全性が示されることが必須である。今後明らかにされるCRTの結果で、真にこの薬剤のベネフィットのある患者さんを選別することができるかどうかで、薬価の結論を導き出せるかもしれない。

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脳卒中の原因の9割を占める、10のリスク因子とは/Lancet

 世界の地域や人種、性別にかかわらず、全脳卒中発症の原因の約90%に関与する、10項目のリスク因子が明らかになった。たとえば、高血圧症または収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg以上だと、脳卒中発症リスクは約3倍、人口寄与危険度割合(PAR)は約48%に上るなどである。カナダ・マックマスター大学のMartin J. O’Donnell氏らが、32ヵ国142ヵ所の医療機関を通じて行った、標準化国際ケースコントロール試験「INTERSTROKE」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年7月15日号で発表した。急性脳卒中患者とその対照症例、それぞれ約1万3,000例を分析 検討は、世界各地域において、またはキー集団および脳卒中原発性病理のサブタイプにおける、重大かつ修正可能な脳卒中リスク因子を定量化することを目的とした。2007年1月~2015年8月にかけて、アジア、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、中東、アフリカでケースコントロール試験を行い、急性脳卒中のリスク因子について評価した。 被験者は、発症5日以内で入院72時間以内の急性脳卒中患者1万3,447例(虚血性脳卒中1万388例、脳内出血3,059例)と、入院中または地域居住の対照症例1万3,472例だった。PARでみた上位3項目は、高血圧症、定期的運動、アポリポ蛋白B/A1比 結果、全脳卒中発症と関連した因子のうち、PAR値が高いほうから順に上位5項目は、(1)高血圧症または収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg以上(オッズ比[OR]:2.98、PAR:47.9%)、(2)定期的運動(0.60、35.8%)、(3)アポリポ蛋白B/A1比(最高三分位[T3]の最低三分位[T1]に対するOR:1.84、上位2三分位[T2+T3]のT1に対するPAR:26.8%)、(4)食事(修正代替健康食指数[mAHEI]T3のT1に対するOR:0.60、同T1+T2のT3に対するPAR:23.2%)、(5)ウエスト・ヒップ比(T3のT1に対するOR:1.44、T2+T3のT1に対するPAR:18.6%)だった。 続いてPARが高い5項目は、(6)日常生活、ライフイベント、うつ状態を含む精神的ストレス(OR:2.20、PAR:17.4%)、(7)喫煙(同:1.67、同:12.4%)、(8)心臓起因のもの(同:3.17、同:9.1%)、(9)アルコール摂取(高頻度または1回の摂取量が多い人の非摂取・元摂取者に対するOR:2.09、現摂取者の非摂取・元摂取者に対するPAR:5.8%)、(10)糖尿病(同:1.16、同:3.9%)、だった。 これら10項目のリスク因子を総合したPARは、世界における全脳卒中の90.7%だった(虚血性脳卒中91.5%、脳内出血87.1%)。また地域間で大きな差はなく(最も低いアフリカ地域で82.7%、最も高い東南アジアで97.4%)、性別間(男女ともに90.6%)、年齢群間(55歳以下92.2%、55歳超90.0%)でも、ばらつきはみられなかった。 一方で、個々のリスク因子の重要性について地域差があることが観察されている。それらは、ORの大きさの差や、リスク因子の占める割合の地域差に関与していた。また、高血圧症は脳内出血リスクに、一方で喫煙、糖尿病、アポリポ蛋白、心因子は虚血性脳卒中リスクに、それぞれ関連が大きかった(p<0.0001)。 以上を踏まえて著者は、「潜在的に修正可能な脳卒中の10のリスク因子が確認された。それらで世界の主要地域、多人種、男女および全年齢を含む脳卒中のPARの約90%と関連していた。一方で、個々のリスク因子については重大な地域差も認め、それらが、脳卒中の頻度や症例の世界的ばらつきに関連していることが示唆された」とまとめ、「これらの分析結果は、世界的および地域別の脳卒中予防プログラムの両方の作成を支持するものである」と述べている。

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わが国のLDL-C目標値達成とスタチン処方の実態は?

 わが国のリアルワールドでの心血管高リスク患者の集団における調査から、日本動脈硬化学会(JAS)ガイドラインが推奨しているLDLコレステロール(LDL-C)目標値の達成率は低く、スタチンや他の脂質修飾薬の処方率も低いことが、帝京大学臨床研究センターの寺本 民生氏らの研究で明らかになった。Atherosclerosis誌オンライン版2016年7月4日号に掲載。 LDL-Cは、心血管疾患発症においてキーとなる修正可能な危険因子である。JASが2012年に発行したガイドラインでは、心血管イベントリスクが高い患者ではLDL-Cを低下させるための薬物治療の第1選択薬として、スタチンを推奨している。本研究では、国内の心血管高リスク集団において、推奨されたLDL-C管理目標値の達成と脂質修飾薬(LMT)の使用について調査した。 本研究の対象は、わが国の病院ベースの請求データベースであるメディカル・データ・ビジョン(MDV)データベースから、以下の選択基準を満たした患者とした。[2013年にLDL-Cを測定、20歳以上、データベースに2年以上表出、心血管高リスクの状態(最近発症した急性冠症候群(ACS)、他の冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患(PAD)、糖尿病)] LDL-C目標の達成は、JASガイドラインにおけるLDL-C目標値に基づいて評価した。 主な結果は以下のとおり。・3万3,325例の心血管高リスク患者が選択基準を満たした。・全体として、コホートの68%がガイドライン推奨のLDL-C目標を達成し、スタチン治療を受けていたのは42%にとどまった。・LDL-C目標の達成率は、ACS患者で68%、CHD患者で55%、虚血性脳卒中、PAD、糖尿病の患者でそれぞれ80%であった。・非スタチン系の脂質修飾薬の併用率は低かった。

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予後が改善されつつある難病LAL-D

 アレクシオンファーマ合同会社は、6月23日都内において、5月25日に発売されたライソゾーム酸性リパーゼ欠損症治療薬「カヌマ点滴静注液20mg」[一般名:セベリパーゼ アルファ(遺伝子組み換え)]に関するプレスセミナーを開催した。「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症」(以下「LAL-D」と略す)は、遺伝子変異が原因でライソゾーム酸性リパーゼという酵素活性が低下または欠損することで発症するまれな代謝性疾患であり、患者の多くが肝硬変から肝不全、死亡へと至る予後不良の希少疾患である。セミナーでは、本症の最新知見について2人の研究者が講演を行った。「ちょっと気になる脂肪肝」への意識が大事 はじめに、「LAL-Dの疾患概要と自験例紹介」というテーマで、村上 潤氏(鳥取大学医学部附属病院 小児科 講師)が、診断の視点から自験例を交え、レクチャーを行った。 通常「脂肪肝」は、栄養性、薬剤性、先天代謝異常症などが原因で起こり、腹部エコーやCT、MRI、肝生検などで詳しく診断が行われる。しかし、小児の脂肪肝では、一定頻度で先天性代謝異常が存在し、注意が必要であるという。たとえば、小児で肥満がなく、肝腫大の程度が強く、体重増加不良、低血糖、発達遅滞などの症状や、乳酸、アンモニア高値などを伴う脂肪肝を見かけたら、先天代謝異常症を疑う必要がある。 この先天代謝異常症の一つにLAL-Dがあり、LAL-DにはLAL活性が完全欠損している乳児型のWolman病(WD)と、部分欠損している遅発型のコレステロールエステル蓄積症(CESD)の2つの表現型がある。 WDでは、顕著な肝・脾腫大や肝不全を観察し、持続性の嘔吐・下痢、腹部膨満、腸管の吸収不良、胆汁うっ滞などの症状があり、急速進行性で致死的である。一方、CESDでは、同じく肝・脾腫大が観察され、一般に肥満はないとされる。臨床所見では、ALT>正常上限の1.5倍以上、LDL-C≧182mg/dL、HDL-C<50mg/dLなどが見られ、肝生検では、小滴性脂肪沈着も観察される。患者の89%が12歳未満で発症、50%が21歳未満で死亡している。 LAL-Dの正確な罹患率は、疫学調査が行われていないため不明であるが、2013年までに全国でWDが12例、CESDが13例報告されている。 自験例として、11歳・男児について、小学校の健診で高脂血症を指摘されたことで精査へとつながり、LAL-Dと診断された例を紹介した。一見、一般的な脂肪肝と見なしがちで、臨床検査や画像診断ではなかなか見分けがつきにくいところが、本症の診断の難しい点であるという。 本症のスクリーニングについては、肝臓関連所見では持続性肝腫大、原因不明のトランスアミナーゼ値上昇、顕著な小滴性脂肪沈着、潜在性肝硬変、インスリン耐性がないメタボリックシンドロームと思われる患者が挙げられ、脂質関連所見では、高LDL-C値および/または低HDL-C値、家族歴不明の家族性高コレステロール血症(FH)疑い、LDLR、APO BおよびPCSK9をコードする遺伝子の検査結果陰性のFH疑いが挙げられる。 確定診断は、非侵襲的で簡便な方法である血中酵素活性測定によって診断される。 補充療法が予後を改善 続いて、「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の臨床像と治療」と題して、天野 克之氏(東京慈恵会医科大学附属病院 消化器肝臓内科 診療医長)が、治療の視点から本症と新治療薬について解説を行った。 従来、LAL-Dは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などと同じ治療法で、支持療法が行われてきた。また、臓器移植を行ってもその治療効果は弱いものであったという。 今回、本症の治療薬として発売されたセベリパーゼ アルファ(商品名:カヌマ)は、遺伝子組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼ製剤であり、細胞内に取り込まれた後、ライソゾームに運ばれ、コレステロールエステル(CE)およびトリグリセリド(TG)を加水分解する作用を持つ。これにより脂肪量の減少、LDL-CやTGの低下、HDL-Cの上昇、脂質減少による成長障害の改善が期待されている。 臨床試験は、2歳未満の小児(n=9)と4歳以上の小児/成人(n=66)に分かれて実施され、報告された。 2歳未満の小児では、カヌマを週1回、最大5mg/kgまでを最長208週間投与した結果、生後12ヵ月で9例中6例が生存していたほか、ALT/ASTの顕著な減少、体重増加、リンパ節腫脹、血清アルブミン値の改善が認められた(II/III相試験)。 4歳以上の小児/成人では、30例をプラセボに、36例をカヌマ(1mg/kg、2週に1回投与)に割り付けて、20週の効果を比較した。その結果、ALTの正常化が認められた患者がプラセボ7%に対し、カヌマでは31%、同様にASTでプラセボ3%に対し、カヌマでは42%だった。また、肝脂肪量の減少(ベースラインからの平均変化率)では、プラセボ-4%に対し、カヌマでは-32%だったほか、LDL-C低下、脂質プロファイルの改善なども見られた(III相試験/20週後はオープンラベルで実施)。ALTのベースラインからの平均変化率推移では、投与後4週までに急激に下がり、肝機能が改善されることで以後はフラットに維持される。報告された有害事象は、尿路感染症、アナフィラキシー反応、不安症などで、いずれも重篤なものではないが、投与1年後までみられる場合があるという。 自験例として21歳・女性の例を紹介し、13歳でLAL-Dと診断されて以降、高脂血症などの対症療法が行われてきたが、カヌマによる治療で速やかに肝機能、脂質異常が改善し、対症療法の常用薬の中止も検討されていることを報告し、レクチャーを終えた。関連コンテンツ待望の治療薬登場、希少疾患に福音新薬情報:カヌマ点滴静注液20mg

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肥満治療薬5剤の体重減少効果を比較/JAMA

 米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている5つの肥満治療薬は、いずれも良好な体重減少効果を有し、とくにphentermine-トピラマート配合薬とリラグルチドの効果が高いことが、米国・アイオワ大学のRohan Khera氏らの検討で示された。2014年の報告では、世界には約19億人の成人の過体重者と約6億人の肥満者がおり、長期的に有効な治療戦略の確立がきわめて重要とされる。FDAは、1つ以上の体重関連の併存疾患(2型糖尿病、高血圧、脂質異常症)を有する肥満(BMI≧30)または過体重(BMI≧27)の治療として、5つの肥満治療薬を承認しているが、これらの薬剤を比較した無作為化臨床試験のエビデンスは少ないという。JAMA誌2016年6月14日号掲載の報告。5つの薬剤の体重減少効果と有害事象をネットワークメタ解析で評価 研究グループは、5つの肥満治療薬―orlistat、lorcaserin、naltrexone-bupropion配合薬、フェンテルミン/トピラマート配合薬、リラグルチドの、体重減少効果と有害事象を比較した論文を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(National Library of Medicineなどの助成による)。 2016年3月23日の時点で、MEDLINE、EMBASE、Web of Science、Scopus、Cochrane Centralに登録された文献を検索した。18歳以上の過体重者または肥満者を対象に、FDAの承認を得ている5つの肥満治療薬を他剤またはプラセボと比較した無作為化臨床試験(治療期間1年以上)の論文を選出した。 2人の研究者が、事前に規定されたプロトコルを用いて別個にデータを抽出した。ベイジアンネットワークメタ解析を行い、surface under the cumulative ranking(SUCRA)確率法を用いて薬剤の有効性の相対的な順位を評価した。エビデンスの質の評価にはGRADE基準を用いた。 主要評価項目は、治療1年時の体重減少率5%以上および10%以上を達成した患者の割合、減量の程度、有害事象による治療中止とした。リラグルチドは効果が高いが、有害事象関連の治療中止が多い 1998~2015年に報告された28件の無作為化臨床試験に参加した2万9,018例が解析の対象となった。ベースラインの全体の年齢中央値は46歳、女性が74%含まれ、体重中央値は100.5kg、BMI中央値は36.1だった。 1年時のプラセボ群の体重減少率5%以上の達成率は23%であった。これに対し、フェンテルミン/トピラマート配合薬群は75%(オッズ比[OR]:9.22、95%信用区間[credible interval:CrI]:6.63~12.85、SUCRA:0.95)、リラグルチド群は63%(5.54、4.16~7.78、0.83)、naltrexone-bupropion配合薬群は55%(3.96、3.03~5.11、0.60)、lorcaserin群は49%(3.10、2.38~4.05、0.39)、orlistat群は44%(2.70、2.34~3.09、0.22)であり、いずれも有意に良好であった。 体重減少率10%以上の達成率のORも、プラセボ群に比べ5つの肥満治療薬群が優れた。達成率は、プラセボ群の9%に対し、フェンテルミン/トピラマート配合薬群が54%、リラグルチド群が34%、naltrexone-bupropion配合薬群が30%、lorcaserin群が25%、orlistat群は20%だった。 1年時のプラセボ群と比較した超過体重減少(excess weight loss)は、フェンテルミン/トピラマート配合薬群が8.8kg(95%CrI:-10.20~-7.42)、リラグルチド群が5.3kg(-6.06~-4.52)、naltrexone-bupropion配合薬群が5.0kg(-5.94~-3.96)、lorcaserin群が3.2kg(-3.97~-2.46)、orlistat群は2.6kg(-3.04~-2.16kg)であった。 プラセボ群と比較した5つの肥満治療薬の有害事象関連の治療中止のORは1.34~2.95であった。lorcaserin群が最も低かった(OR:1.34、95%CrI:1.05~1.76、SUCRA:0.61)のに対し、リラグルチド群(2.95、2.11~4.23、0.20)が最も高く、次いでnaltrexone-bupropion配合薬群(2.64、2.10~3.35、0.23)が高かった。 全試験の脱落率は30~45%と高く、バイアスのリスクによりエビデンスの質は低くなった。GRADE基準を適用すると、体重減少5%以上の達成率のORのエビデンスの質は中等度であった。

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日本人の死因の約6割を占めるNCD関連疾患、改善のカギは…

 不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒…。これらは、さまざまな疾患の入り口になりうる悪しき生活習慣だが、その改善により予防可能な疾患の総称であるNCD(non-communicable diseases、WHOの定義では「非感染性疾患」)への関心が世界的に高まっている。5月31日、NCD関連疾患の啓発や情報提供を行っている塩野義製薬株式会社が、国内のNCD関連疾患患者を対象にした実態調査の結果をまとめた。同日のセミナーに登壇した寺本 民生氏(帝京大学臨床研究センター)は、患者自身の疾患や治療に関するリテラシーの低さを指摘し、「前向きな治療意識と生活満足度が疾患コントロール意識と密接につながっている。医療従事者や家族、地域コミュニティの関わりなども含めたトータルケアが重要」と述べた。 NCDとは、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病を中心とした継続的な治療が必要な慢性疾患の総称である。厚生労働省の調査によれば、近年このNCDに関連した疾患は、日本人の死因の約6割、国民医療費の約3割を占めている。 塩野義製薬は今年3月、国内の20~60代のNCD関連疾患患者を対象にインターネット調査「T-CARE NCD Survey」を実施(n=3,031)。そこから、NCD関連疾患特有の患者像が浮かび上がってきた。現在抱えている病気の治療について尋ねた項目では、「治療を継続しなければならない」(77.2%)「前向きに治療に取り組んでいる」(58.1%)など、半数以上が高い意識で治療に臨んでいることをうかがわせたが、「自分なりの治療目標がきちんとある」と答えた人は27.8%にとどまっていた。さらに、「定期的に通院する」(87.1%)、「定期的に薬を服用する」(71.6%)など、治療への取り組みはきわめて真面目な人が多い一方、「自分の治療方法については、医師の判断に任せる」(66.1%)、「自分の治療方法は、自分で決めたい」(38.6%)など、受け身の姿勢で臨んでいる人が多いこともわかった。 では、こうしたNCD関連疾患患者に対して必要な施策とは一体何か。寺本氏は3つの意識を高めることが重要であると述べる。すなわち、「前向きな治療意識」「疾患コントロール意識」「生活満足度」、である。これらは、「前向きな治療意識」と「生活満足度」の高さが、相乗効果的に「疾患コントロール意識」を高めるという関係性にある。「前向きな治療意識」に影響を与えるのは、(1)薬への信頼・期待、(2)病状理解、(3)治療効果の理解、(4)医療従事者の患者視点に立った診療、(5)内科・専門内科の個人病院やクリニックにおける患者視点の診療および親しみやすさ、(6)内科・専門内科の総合病院や大学病院などの大規模病院における患者視点の診療および治療解説、の6項目である。一方、「生活満足度」には(1)治療の見通し、(2)心配事の解消、(3)家族との関係、自己開示および尊重、(4)職場や学校でのコミュニケーション、の4項目が影響するという。こうした意識をバランスよく、高く維持するには、患者の頑張りだけ、あるいは医師の一方的な働きかけだけでは不十分である。 寺本氏は、「NCDの治療は、他の疾患以上に患者自身が主体的に病気と向き合わなければならない。診療の場面で医師は、患者との“共同作業”において治療方針を考え、時には患者自身による決定を促すことが重要だ」と述べた。

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飲酒量と高血圧の関連、フラッシングと関係なし~NIPPON DATA2010

 高血圧における飲酒の影響はフラッシング反応の有無により異なる可能性があるが、確認されていない。今回、大規模コホートNIPPON DATA2010のデータを用いた研究で、日本人男性ではフラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧が正相関することを、東北大学の小暮 真奈氏らが報告した。Hypertension research誌オンライン版2016年5月12日号に掲載。 著者らは、日本人集団の代表的なサンプルにおいて飲酒量と高血圧との関係を、フラッシング反応に応じて調査した。NIPPON DATA2010のベースライン調査への参加を依頼された、2010年国民健康・栄養調査の参加者のデータを用いて、フラッシング反応に応じた飲酒量と高血圧との関係を検討した。年齢、BMI、喫煙状態、糖尿病の有無、脂質異常症の有無の調整後、多重ロジスティック回帰モデルを用いて横断的に統計解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・男性1,139人、女性1,263人のうち、それぞれ659人、463人が高血圧であった。・男性では、フラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧に正の相関がみられた(線形傾向のp<0.05)。この相関は、降圧薬使用の有無にかかわらず認められた。フラッシング反応による交互作用は認められなかった(交互作用のp=0.360)。・女性では、フラッシング反応が見られる人と見られない人で傾向が異なるが、フラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧との相関は有意ではなかった。

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飽和脂肪酸をω6-リノール酸で置換する食事療法はコレステロールを低下させるが冠動脈疾患イベントや死亡を改善せず、むしろ悪化させる可能性がある!(解説:島田 俊夫 氏)-532

 Anitschkowがウサギにコレステロールと飽和脂肪酸を食べさせることで大動脈に脂肪蓄積を誘導して以来、アテローム硬化発生への食事の役割は1世紀余りにわたり研究されてきた。血清コレステロールの増加と冠動脈疾患の関係について詳細に研究されたが、冠動脈疾患予防・治療に関する伝統的食事―心臓仮説(The traditional diet-heart hypothesis)の真偽に関してはいまだ結論に至らず、議論の多いところでもある1)。 食事で飽和脂肪酸をω6-リノール酸に置換することで、血清コレステロール、LDLリポタンパクが低下することは周知の事実であるが、冠動脈疾患イベント、死亡も減少すると短絡的に捉えることには問題がある2)。観察研究レベルのエビデンスはあっても、冠動脈疾患イベント、死亡の減少を肯定した無作為化比較対照試験による強固なエビデンスはない。 最近発表された、NIHのRamsden氏らのBMJ誌オンライン版2016年4月12日号掲載論文は、Minnesota Coronary Experiment(MCE)研究の未発表文書および生データの回復データに基づく再解析と、同種の無作為化比較対照試験を選択吟味し、システマティックレビューとメタ解析を行ったうえで作成された論文である。この論文は、飽和脂肪酸を食事によりリノール酸で置換する治療が、真に冠動脈疾患イベント、死亡を減らすか否かの真偽に一石を投じた意義深い論文である。施設設定 米国ミネソタ州の老人保健施設:1施設、州立精神病院:6施設参加者および関連データ 年齢20~97歳、男女9,423例を無作為に抽出したコホート集団に対して行われた解析からなる未発表文書、1年以上にわたり研究食を食べた2,355例の血清コレステロールに関する時間経過に従ったデータ149例の剖検実施ファイルに基づいて再解析が行われた。研究食 介入食は、飽和脂肪酸をリノール酸で置換する血清コレステロール低下食(コーンオイルとコーンオイル多価不飽和脂肪酸マーガリン由来)であり、コントロール食は動物脂肪、通常マーガリンおよびショートニングによる飽和脂肪酸の高い食事が使われた。主要評価尺度 総死亡、血清コレステロールの変化と死亡の関連および剖検で見つかったアテローム硬化と心筋梗塞とした。結果 介入群はコントロール群と比較して、血清コレステロールが有意に減少した(ベースラインからの平均変化-13.8% vs.-1.0%;p<0.001)。カプラン・マイヤー生存分析結果は、全無作為化抽出コホートでの介入群または事前に指定されたサブグループの死亡改善に無効であった。共変量調整Cox回帰モデル(ハザード比[HR] 1.22、95%信頼区間1.14~1.32;p<0.001)で、血清コレステロール30mg/dL(0.78mmol/L)の低下で、むしろ死亡リスクが22%上昇した。 冠動脈硬化、心筋梗塞に対して介入群にメリットを認めず、システマティックレビューに同種の無作為化比較対照試験(n=10,808)を選択吟味のうえでメタ解析を実施した結果についても、コレステロール低下介入は冠疾患死亡(HR 1.13、95%CI:0.83~1.54)または総死亡(HR 1.07、95%CI:0.90~1.27)の改善につながらなかったと報告した。 本論文は、リノール酸置換食事療法により、総コレステロール、悪玉コレステロールが低下すれば冠動脈疾患死やイベントが低下するとの短絡的な考えに疑念を示し、背景にある機序の多様性重視を示唆している。

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