サイト内検索|page:25

検索結果 合計:842件 表示位置:481 - 500

481.

重度の精神疾患患者における脂質異常症と抗精神病薬に関するメタ解析

 重度の精神疾患患者は、抗精神病薬の悪影響に関連している可能性のある代謝系の問題への罹患率やそれに伴う死亡率の上昇を来す。第2世代抗精神病薬(SGA)は、第1世代抗精神病薬(FGA)と比較し、脂質代謝異常とより関連が強いと考えられているが、このことに対するエビデンスは、システマティックレビューされていなかった。英国・East London NHS Foundation TrustのKurt Buhagiar氏らは、重度の精神疾患患者における脂質異常症リスクについて、SGAとFGAの評価を行った。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2019年1月24日号の報告。 主要な電子データベースより2018年11月までの研究を検索した。対象研究は、重度の精神疾患患者に対するSGAとFGAを直接比較し、脂質代謝異常を主要アウトカムまたは第2次アウトカムとして評価した横断研究、コホート研究、症例対照研究、介入研究のいずれかとした。エビデンスは、PRISMA(システマティックレビューおよびメタ解析のための優先的報告項目)ガイドラインに従ってレビュー、評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・18件の研究が抽出された。・SGAとFGAにおける脂質異常症の報告は矛盾しており、研究間のばらつきが大きく、完全な定性的合成のみが実行可能であった。・クロザピン、オランザピン、リスペリドンについては、限られたメタ解析を実施するに十分なデータがあった。各薬剤ともに、FGAと比較し、脂質異常症の事例性(caseness)との関連が少し高かったが、異質性の高さが認められた(すべてI2>50%、p<0.05)。 ●クロザピン(オッズ比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.16~1.38) ●オランザピン(オッズ比:1.29、95%CI:0.89~1.87) ●リスペリドン(オッズ比:1.05、95%CI:0.80~1.37)・クロザピンは、トリグリセリド増加とも関連が認められたが(標準平均差:0.51、95%CI:0.21~0.81、I2>=5.74%)、コレステロールとの関連は認められなかった。・オランザピンとリスペリドンは、ハロペリドールと比較し、コレステロールまたはトリグリセリドの統計学的に有意な増加との関連が認められなかった。 著者らは「研究デザインや方法論には、かなりの違いが認められた。抗精神病薬による脂質代謝異常への影響におけるSGAとFGAの相対リスクを決定するには、薬剤ごとにさまざまな悪影響を引き起こす可能性があるため、臨床的に明らかにすることは難しい可能性がある。したがって、SGAかFGAかの焦点を当てるよりも、特定の抗精神病薬の脂質代謝リスクを考慮することが重要である」としている。■関連記事非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析

483.

第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

484.

TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA

 アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。63研究のメンデル無作為化解析でCHDリスクを評価 研究グループは、リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子のTG低下バリアントおよびLDL受容体(LDLR)遺伝子のLDL-C低下バリアントと、アポBの単位変化当たりの心血管疾患リスクとの関連を評価する目的で、メンデル無作為化解析を実施した(英国国立健康研究所[NIHR]などの助成による)。 解析には、1948~2017年の期間に北米および欧州で行われた63件のコホート研究および症例対照研究に参加した患者のデータを用いた。LPLおよびLDLRの遺伝子スコアと関連する血漿TG値、LDL-C値、アポB値の評価を行った。 主要アウトカムは、アポB含有リポ蛋白の10mg/dL低下当たりの冠動脈性心疾患(CHD:冠動脈死、心筋梗塞、冠動脈血行再建)のオッズ比(OR)とした。個々のアポB含有リポ蛋白のリスクへの影響は同程度 65万4,783例(平均年齢62.7[SD 8.1]歳、51.4%が女性)が解析に含まれ、このうち9万1,129例がベースライン時にCHDに罹患していた。 アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのLPL遺伝子スコアは、TG値の69.9mg/dL(95%信頼区間[CI]:68.1~71.6、p=7.1×10-1363)の低下およびLDL-C値の0.7mg/dL(0.03~1.4、p=0.04)の上昇と関連した。これに対し、アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのLDLR遺伝子スコアは、LDL-C値の14.2mg/dL(13.6~14.8、p=1.4×10-465)の低下およびTG値の1.9mg/dL(0.1~3.9、p=0.04)の低下と関連を示した。 このようにTG値およびLDL-C値の変動には違いがみられたが、LPL遺伝子スコアおよびLDLR遺伝子スコアと、アポB含有リポ蛋白10mg/dL低下当たりのCHDリスクの低下との関連はほぼ同じであった(LPL遺伝子スコア OR:0.771、95%CI:0.741~0.802、p=3.9×10-38、LDLR遺伝子スコア:0.773、0.747~0.801、p=1.1×10-46)。 多変量メンデル無作為化解析では、アポB値の差で補正すると、TG値およびLDL-C値とCHDリスクとの関連はなくなったが、アポB値とCHDリスクの関連は維持されていた(TG値 OR:1.014、95%CI:0.965~1.065、p=0.19、LDL-C値:1.010、0.967~1.055、p=0.19、アポB値:0.761、0.723~0.798、p=7.51×10-20)。 著者は、「すべてのアポB含有リポ蛋白粒子(TG rich VLDL粒子、その代謝物であるレムナント、LDL粒子)は、ほぼ同程度の心血管疾患リスクへの作用を有し、結果として、TG値やLDL-C値、これら双方の低下の臨床的有益性は、実際のTG値やLDL-C値の変化にかかわらず、アポB含有リポ蛋白の変化の絶対値と比例する可能性がある」としている。

485.

タバコの害を知っていても禁煙を渋る患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第26回

■外来NGワード「タバコは百害あって一利なし。すぐにやめないと!」(わかり切っていること)「まだ、禁煙できていないんですか! ちゃんと禁煙しないと」(毎回同じ指導内容)■解説 禁煙指導には、短時間支援のABR方式(Ask、Brief advice、Refer)と標準的支援のABC方式(Ask、Brief advice、Cessation support)が用いられています。身体によくないとわかっていても、頑固に禁煙を渋る患者さんが多いのも事実。そういった患者さんに「タバコは百害あって一利なし。すぐにやめないと!」などと言って医師が説得したところで、禁煙に進める人は少数です。喫煙者の中には、タバコの害は熟知していても、「禁煙したらストレスがたまる」などを理由にタバコをやめる自信がないタイプの人もいれば、禁煙する自信はあっても「もう歳だから、今さら禁煙しても…」など禁煙へのモチベーションが低いタイプの人もいます。動機付け面接では、禁煙の重要性と自信を高めることで禁煙への動機付けを図ります。ところが、「まだ、禁煙できていないんですか! ちゃんと禁煙しないと…」などと毎回同じ指導を繰り返していても、患者さんのモチベーションは上がりません。禁煙の重要性を感じてはいるが、禁煙する自信がない人には、少しずつ自信を高めてもらうためのアプローチを行うと効果的です。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師血糖コントロールはよさそうですね。患者よかったです。涼しくなったので、通勤のときに一駅前で降りて、歩くようにしています。医師それはいいですね。歩くようになって体力も付いてきたんじゃないですか?患者はい! 前を歩いている人を追い抜けるように、少し速足で歩いています。医師それはいいですね。運動を続けると体力だけでなく、心肺持久力も付いてきますからね。患者そうなるといいです。医師ところで、禁煙の準備は進んでいますか?患者ハハハ…。禁煙したいと思ってはいるんですが、なかなか…。医師ダイエットと同じで「痩せたい」と思っているだけでは、なかなか痩せないですからね。患者確かに。何から始めたらいいでしょうか。医師そうですね。まずは、いつから禁煙するか、始める日を決めることです。患者なるほど。医師次は、それに向けて具体的な準備を進めることです。患者というと…。(禁煙準備の話に展開する)■医師へのお勧めの言葉「禁煙の準備は進んでいますか?」

486.

高尿酸血症の治療失敗に肥満が関連か~日本人男性

 高尿酸血症または痛風の日本人男性の治療目標達成率と治療成功に影響する因子について、順天堂大学の片山 暁子氏らが検討した結果、肥満と治療失敗との関連が示唆された。また、血清尿酸(SUA)管理の一部として脂質プロファイルを維持する重要性が強調された。著者らは「肥満と脂質異常症の両方をうまく管理し、健康的なSUA値を得ることで、心血管疾患を予防できるかもしれない」としている。Internal Medicine(Japan)誌オンライン版2019年1月10日号に掲載。 本研究は、2012年1~12月に実施した横断研究で、職場の健康診断に参加した13万6,770人のうち高尿酸血症または痛風の男性2,103人のSUA値および臨床的特徴を調べた。成功(SUA≦6.0mg/dLと定義)率を算出し、多変量解析を用いて「治療失敗」(目標SUA値に到達しない)に関連する因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・目標SUA値の達成率は37.5%であった。・BMIは治療失敗と有意に関連していた(カテゴリ[C]1<25.0と比較し、25.0≦C2<27.5の調整オッズ比[AOR]=1.35、27.5≦C3<30.0のAOR=1.69、C4≧30.0のAOR=1.94)。・腹囲(WC)と治療失敗との間にも有意な正の相関が観察された(C1<85.0cmと比較し、85≦C2<90のOR=1.29、90≦C3<95のOR=1.41、95≦C4のOR=2.28)。 ・BMIまたはWCの値の大きい人は小さい人よりも有意にSUA値が高い傾向があった。・治療失敗に対する予防因子として、脂質異常症治療薬の継続的服用が特定された。

487.

メトトレキサート少量投与が心臓血管イベントを抑制しうるか?(解説:今井靖氏)-997

オリジナルニュース低用量メトトレキサートは冠動脈疾患例のMACEを抑制せず:CIRT/AHA(2018/11/20掲載) IL-1βを標的とした抗体医薬であるカナキヌマブ投与により心血管イベントおよび一部の悪性腫瘍発生を抑制したというCANTOS研究の成果が記憶に新しいが、より簡便な内服薬としてメトトレキサート(MTX)投与により炎症性サイトカインが抑制されることで心血管イベントが抑制されるか否かを検討したのがこの報告である(CIRT研究)。 この論文によれば心筋梗塞既往があるか多枝冠動脈病変を有し2型糖尿病またはメタボリック症候群を有する4,786症例を(1)週当たり15~20mgを目標用量とする低用量メトトレキサート療法および(2)プラセボ投与の2群に1:1に割り付ける二重盲検比較試験を行っている。なお導入期において非盲検でMTXを5、10、15mgと漸増させ葉酸欠乏を回避するために毎日葉酸を1mg補充しており、その後、盲検化し2群に割付し追跡している。主要エンドポイントは非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中あるいは心臓血管死のいずれかの複合を当初予定していたが、盲検化する前に、入院を要する不安定狭心症も上記エンドポイントの1つとして加えられている。 この研究は中間値2.3年で中止された。残念ながらMTX投与群においてプラセボ群に比較して有意なIL-1β、IL-6、CRPの低下が得られず、また主要エンドポイントについてもMTX群で201例、プラセボ群において207例(イベント発生率:4.13 vs.4.31[100人年当たり]、ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.79~1.16)であった。MTX群においては肝逸脱酵素の上昇、白血球数減少、ヘマトクリット値減少および非基底細胞性の皮膚がん発症に関連していた。結論として、安定した動脈硬化性疾患患者において低用量MTXが炎症マーカーを抑制することは無く、また心臓血管イベントを抑制することも無かった。 私見を述べさせていただくが、膠原病、悪性腫瘍など適応がある疾患についてのMTX療法の有用性・妥当性は明確であるが、この研究成果からはMTXを動脈硬化性疾患治療としての投与は断じて避けるべきである。またMTXは週当たり20mgを超えると重篤な副作用が増加することが文献的に知られており、本研究の用量設定の目標15mgというものに循環器内科医として抵抗感を覚えるとともに、一般診療においてMTX投与時に葉酸補充を行うが、たとえば重篤な合併症として知られる間質性肺炎は葉酸投与では回避できないということは周知の事実であり、そのような重大な副作用のことも十分に考慮したうえでの薬物療法であるべきと思われる。また葉酸は補充されているものの、葉酸代謝に関連することが知られる血中ホモシステイン濃度が冠動脈疾患のリスクになることは歴史的に良く知られており(たとえば代謝酵素のMTHFRは葉酸依存性である)、そのような因子の関与、たとえばそれらの血中濃度についてのデータも評価すべきであったかと考える次第である。

488.

出張で食生活が乱れがちな患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第25回

■外来NGワード「出張中も食事に気を付けなさい!」(あいまいな注意)「出張中はバランスの取れた定食を食べるようにしなさい!」(原因を考えない指導)■解説 出張以外の日は体重管理ができていても、出張中に体重が増えるという患者さんがいます。そういった患者さんは、普段は体重管理ができる食事環境(たとえば、朝・夕食は自宅、昼は社食を利用など)ですが、出張となると、食生活が乱れてしまうパターンが多いです。会社の接待などでやむを得ず外食が続くケースもありますが、出張中に羽目を外して食べ過ぎ・飲み過ぎている可能性もあります。まずは、患者さんのやる気を再確認して、体重管理を阻害する原因を明らかにしましょう。外来では、以下のロールプレイを参考に、患者さんが出張中の食事をどうしているのか聞いてみましょう。原因が明らかになれば、事前に対策を考えることができますね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師最近、体重管理はいかがですか?患者家にいるときは大丈夫なのですが、出張中に体重が増えてしまって…。医師家では体重が管理できているんですね。(できていることをまず褒める)患者そうなんです。朝と晩は妻が健康的な食事を作ってくれますし、昼は社食でヘルシーな定食を頼むようにしています。けど、出張中はそうもいかなくて。医師なるほど。体重が増える原因は何でしょうか?患者一緒に出張した人と飲みに行くことですかね。医師なるほど。他に思い当たることはありますか?患者お昼も外食になるので、食事のカロリーが高くなっているのかも…。医師普段食べないものを食べたりして?患者そうなんです。出張に行くと、今日はいいかなって思ってしまって。医師そうですね、その気持ちのゆるみが、体重が増えてしまう本当の原因かもしれませんね。患者うーん、そうか。困ったな…。医師出張によく行く方でも、上手に体重管理されている人がいますよ!患者え、その方はどうしているんですか?(興味津々)医師今回のように、体重が増える原因を明らかにして、事前に対策を立てておられました。Aさんの場合なら、カロリーを摂りがちなお昼に何を食べるかとか、誰かと飲みに行っても太らない食べ方・飲み方を考えることが大切ですね。患者確かに。それと、気持ちのゆるみ対策ですね。(うれしそうな顔)■医師へのお勧めの言葉「出張によく行く方でも、上手に体重管理されている人がいますよ!」

489.

自分の動脈硬化病変を見せられると生活習慣病が改善する(解説:佐田政隆氏)-994

 急性心筋梗塞は、狭心症を生じるような高度の冠動脈の動脈硬化病変が進行して完全閉塞することで生じると従来考えられていた。しかし、最近の研究によると、6~7割の急性心筋梗塞の原因は、軽度な内腔の狭窄しか来さない動脈硬化病変の破裂やびらんに起因する急性血栓性閉塞であるとされている。急性心筋梗塞は発症してしまうと突然死につながる怖い病気であるが、その多くは前兆がなく、発症を予知することは困難である。 ヒトの動脈硬化は、従来考えられていたよりかなり早期に子供の頃から始まり、生活習慣病のコントロールが悪いと無症状のうちに進行して、突然心血管イベントを誘発することが多くの研究で示されている。そこで、将来の心筋梗塞の発症を防ぐためには、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病のコントロールや禁煙といった1次予防が重要である。しかし、多くの人は、食事などの生活指導、運動指導、場合によっては薬物療法を行っても、現在は痛くも痒くもないため、アドヒアランスは悪く改善に結びつかない。 そこで、現場の先生方にお尋ねすると、発症してしまうと突然死になることを話したり、実際の頸動脈エコーでプラークの存在を見せるなど、工夫を凝らしておられる経験をお聞きする。しかし、どのような生活指導、服薬指導が効果的であるのか、エビデンスがないのが現状であった。 このスウェーデンで約3,500例を対象に1年追った、オープンラベルの無作為化比較試験では、介入群では、頸動脈の中膜複合体や無症候性のプラークといった頸動脈エコー所見を、血管年齢を色分けするわかりやすい図を用いて説明して、看護師が電話で理解していることを確認した。一方、対照群では通常の方法で生活指導、服薬指導をした。1年後のフラミンガム・リスクスコア(FRS)と、欧州のSCORE(systematic coronary risk evaluation)は、介入群で有意に改善していた。生活習慣の改善もあったと思われるし、服薬のアドヒアランスも向上したと思われる。 やはり、無症状でも自分の動脈硬化が思いのほか進行しているのを見せつけられると、生活習慣病治療へのモチベーションが上がると思われる。日本では、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40~74歳までの人を対象に特定健診が行われて、特定保健指導が行われている。しかし、必ずしも効果を上げているとは言えない。生活習慣病に有効に介入することで、心筋梗塞の発症はもっと低下させることができるはずである。今回の研究などが積み重なって、有効な1次予防の方法が確立することを期待する。

490.

加齢黄斑変性、酸化LDLと関連なし

 血清中の酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は、加齢黄斑変性(AMD)の発症または悪化において統計学的に有意な関連は認められないことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRonald Klein氏らが、ビーバーダム眼研究(BDES:Beaver Dam Eye Study)のデータを解析、報告した。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月17日号掲載の報告。 BDESは、1988年にウィスコンシン州ビーバーダム市在住の43~84歳の住民を対象とする前向き観察研究として開始された。研究グループは、血清中の酸化LDLとAMDとの関連を調べる目的で、BDESにおいて1988~2016年に約5年間隔で行われた6回の調査期のうち1回以上の調査期に診察を受けた4,972例から、50%(2,468例)を無作為に抽出し、各調査期に保管された凍結検体についてELISA法を用いて酸化LDLを測定した。1人が複数回の調査期に診察を受けているため、合計6,586件の結果が含まれている。 AMDはWisconsin Age-related Maculopathy Grading Systemにより評価し、重症度を5段階に分類して調査した。あらゆるAMDや後期AMDの発生率、および25年にわたるAMDの悪化・改善など、AMDの推移と酸化LDLとの関連を、Multi-State Markov(MSM)modelを用いて同時解析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおける酸化LDL値(平均±SD)は、75.3±23.1U/Lであった。・年齢、性別、ARMS2と補体H因子(CFH)の対立遺伝子、および調査期で補正すると、調査期間初期の酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率において統計学的に有意な関連は認められなかった(酸化LDL 10U/L当たりのハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.98~1.09)。・酸化LDLは単独で、AMD重症度の悪化や、後期AMDの発生率とも関連を認めなかった。・スタチン使用歴、喫煙状況、BMIおよび心血管疾患既往歴に関して補正後も、酸化LDLは、あらゆるAMDの発生率あるいはAMDの悪化と関連を認めないままだった。

491.

高齢者の肥満診療はどうすべきか

 2018年12月18日に一般社団法人 日本老年医学会(理事長:楽木 宏実氏)は、同会のホームページにおいて『高齢者肥満症診療ガイドライン2018』(作成委員長:荒木 厚氏)を公開した。 本ガイドラインは、同会が作成方針を打ち出している「高齢者生活習慣病管理ガイドライン」、すなわち 「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「肥満症」のガイドラインの第4弾にあたり、日本肥満学会の協力を得て作成されたものである。作成では既刊の『肥満症診療ガイドライン2016年版』を参考に、認知症・ADL低下の観点から新たにクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、システマティックレビューを実施したものとなっている。 17のCQで肥満症診療に指針 ガイドラインでは、「肥満または肥満症の診断」「肥満症の影響」「肥満症の治療」と全体を3つに分け、各項目でCQを設定している。とくに「肥満症の影響」は厚く記載され、肥満と認知症リスク、運動機能低下、循環器疾患との関係が記されている。 具体的に「肥満または肥満症の診断」では、肥満症の特徴について「高齢者ではBMIが体脂肪量を正確に反映しないことが少なくないこと」「BMIよりもウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比が死亡リスクの指標となること」「内臓脂肪が加齢と共に増加すること」などが記されている。 「肥満症の影響」では、「高齢期の認知症のリスク」について、「中年期の肥満は高齢期の認知症発症のリスクであるので注意(推奨グレードA)」とする一方、「高齢者の肥満は認知症発症リスクとはならず、認知症発症リスクの低下と関連する」としている。また、「サルコペニア肥満は単なる肥満と比べ、ADL低下・転倒・骨折、死亡のリスクとなるか」では、「サルコペニア肥満は単なる肥満と比べてよりADL低下・転倒・骨折、死亡をきたしやすいので注意する必要がある(推奨グレードA)」とし注意を促している。 「肥満症の治療」では、「生活習慣の改善で体重、BMIを是正することでADLや疼痛、QOLは改善するか」について、「ADL低下、疼痛、QOLを改善することができる(推奨グレードB)」としているほか、「肥満症を治療すると認知機能は改善するか」では、「認知機能は改善する可能性がある(推奨グレードB)」などが記されている。 本ガイドラインの詳細については、同会のホームページで公開されているので参照にしていただきたい。

492.

第8回 冬の救急編:心筋梗塞はいつ疑う!?【救急診療の基礎知識】

12月も終盤。最近では都内も一気に冷え込んできました。毎朝布団から出るのが億劫になってきた今日この頃です。救急外来では急性冠症候群や脳卒中の患者数が上昇しているのではないでしょうか?ということで、今回は冬に多い疾患にフォーカスを当てようと思います。脳卒中は第5回までの症例で述べたため、今回は急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)に関して、初療の時点でいかにして疑うかを中心に考えていきましょう。●今回のPoint1)胸痛を認めないからといって、安易に否定してはいけない!?2)急性冠症候群?と思ったら、常に大動脈解離の可能性も意識して対応を!?3)帯状疱疹を見逃すな! 必ず病変部を目視し、背部の観察も忘れるな!?はじめに急性冠症候群は、冠動脈粥腫の破綻、血栓形成を基盤として心筋虚血を呈する症候群であり、典型例は胸痛で発症し、心電図においてST上昇を認めます(ST-elevation myocardial infarction:STEMI)。典型例であれば誰もが疑い、診断は容易ですが、そればかりではないのが現実です。高感度トロポニンなどのバイオマーカーの上昇を認めるものの、ST変化が認められない非ST上昇型心筋梗塞(non-ST elevation myocardial infarction:NSTEMI)、バイオマーカーの上昇も伴わない不安定狭心症(unstable angina pectoris:UAP)の診断を限られた時間内で行うことは難しいものです。さらに、胸痛が主訴であれば誰もがACSを疑うとは思いますが、そうではない主訴であった場合には、みなさんは疑うことができるでしょうか。STEMI患者であれば、発症から再灌流までの時間を可能な限り短くする必要があります。そのためには、より早期に疑い対応できるか、具体的にはいかにして疑い心電図をとることができるかがポイントとなります。今回はその辺を中心に一緒に考えていきましょう。急性冠症候群はいつ疑うべきなのか?胸痛を認める場合「胸痛を認めていれば10分以内に心電図を確認する」。これは救急外来など初療に携わる人にとって今や常識ですね。痛みの程度がたいしたことがなくても、「ACSっぽくないなぁ」と思っても、まずは1枚心電図検査を施行することをお勧めします。何でもかんでもというのは、かっこ悪いかもしれませんが、非侵襲的かつ短時間で終わる検査でもあり、行うことのメリットが大きいと考えます。胸痛を認めACSを疑う患者においては、やはり大動脈解離か否かの鑑別は非常に重要となります。頻度は圧倒的にACSの方が多いですが、忘れた頃に解離はやってきます。まずはシンプルに理解しておきましょう。突然発症(sudden onset)であった場合には、大動脈解離をまず考えておいたほうがよいでしょう。ACSも急性の胸痛を自覚することが多いですが、大動脈解離はそれ以上に瞬間的に痛みがピークに達するのが一般的です。数秒内か数分内かといった感じです。「なんだか痛いな、いよいよ痛いな」というのがACS、「うわぁ!痛い!」というのが解離、そんな感じでしょうか。皮膚所見は必ず確認ACSを数時間の診療内にカテーテル検査を行わずに否定することは意外と難しく、HEART score(表1)1)などリスクを見積もるスコアリングシステムは存在しますが、低リスクであってもどうしても数%の患者を拾いあげることは難しいのが現状です。しかし、胸痛の原因となる疾患がACS以外に確定できれば、過度にACSを心配する必要はありません。画像を拡大する画像を拡大する高齢者の胸痛の原因として比較的頻度が高く、発症時に見逃されやすい疾患が帯状疱疹です。帯状疱疹は年齢と共に増加し、高齢者では非常に頻度の高い疾患です。痛みと皮疹のタイムラグが数日存在(長ければ1週間程度)するため、発症時には皮疹を認めないことも多く診断では悩まされます。胸痛患者では心電図は必須であるため、胸部誘導のV6あたりまでは皮膚所見が勝手に目に入ってくるとは思いますが、背部の観察もきちんと行っているでしょうか。観察を怠り、ACSの可能性を考えカテーテル検査が行われた症例を実際に耳にします。皮疹がまったくない状態でリスクが高い症例であれば、カテーテル検査を行う状況もあるかもしれませんが、明らかな皮疹が支配領域に認められれば、帯状疱疹を積極的に疑い、無駄な検査や患者の不安は回避できますよね。疼痛部位に加えて、神経支配領域(胸痛であれば背部、腹痛であれば背部に加え臀部)は必ず確認する癖をもっておくとよいでしょう。胸痛を認めない場合ACSを疑うことができなければ、心電図をオーダーしないでしょう。いくら高感度トロポニンなど有効なバイオマーカーが存在していても、フットワークが軽い循環器医がいても、残念ながら目の前の患者さんを適切にマネジメントできないのです。胸痛を認めない患者とは(1)高齢、(2)女性、(3)糖尿病、これが胸痛を認めない心筋梗塞患者の3つの代表的な要素です。2型糖尿病治療中の80歳女性の約半数は痛みを認めないのです2,3)。これがわずか数%であれば、胸痛がないことを理由にACSを否定することが可能かもしれませんが、2人に1人となればそうはいきません。3大要素以外には、心不全や脳卒中の既往症がある場合には、痛みを認めないことが多いですが、これらは普段のADLの低下や訴えが乏しいことが理由でしょう。既往症から心血管系イベントのリスクが高い患者ということが認識できれば、虚血性病変を疑い対応することが必要になります。胸痛以外の症状無痛性心筋梗塞患者の入口はどのようなものでしょうか。言い換えれば、胸痛以外のどのような症状を患者が訴えていたら疑うべきなのでしょうか。代表的な症状は表2のとおりです。これらの症状を訴えて来院した患者において、症状を説明しうる原因が同定できない場合には、ACSを考え対応する必要があります。65歳以上の高齢者では後述するcoronary risk factorが存在しなくても心筋梗塞は起こりえます。年齢が最大のリスクであり、高齢者ではとくに注意するようにしましょう。画像を拡大するたとえば、80歳の女性が嘔気・嘔吐を主訴に来院したとしましょう。バイタルサインは意識も清明でおおむね安定しています。高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症の指摘を受け内服加療中です。さぁどのように対応するべきでしょうか。そうです、病歴や身体所見はもちろんとりますが、それと同時に心電図は一度確認しておきましょう。症状が数日持続している、食欲は通常どおりあるなど、ACSらしくないなと思ってもまずは1枚心電図を確認しておくのです。入口を広げると、胸痛ではなく失神や脱力、冷や汗などを認める患者においても「ACSかも!?」と思えるようになり、「胸痛はありませんか?」とこちらから問診できるようになります。患者は最もつらい症状を訴えるのです。胸痛よりも嘔気・嘔吐、脱力や倦怠感が強ければ、聞かなければ胸痛を訴えないものなのです。Coronary risk factorACSを疑った際にリスクを見積もる必要があります。冠動脈疾患の家族歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者、慢性腎臓病などはリスクであり、必ず確認すると思いますが、これらをすべて満たさない場合にはACSは否定してよいのでしょうか。答えは「No」です。 年齢が最大のリスクであり、65歳以上の高齢者では、前述したリスクファクターのどれも該当しなくても否定してはいけません。逆に40~50代で該当しなければ、可能性はきわめて低くなります。ちなみに家族歴はどのように確認していますか? 「ご家族の中で心筋梗塞や狭心症などを患った方はいますか?」と聞いてはいませんか。この問いに対して、「私の父が80歳で心筋梗塞にかかった」という返答があった場合に、それは意味があるでしょうか。わが国における心筋梗塞の平均発症年齢は、男性65歳、女性75歳程度です。ですから年齢を考慮すると心筋梗塞にかかってもおかしくはないなという、少なくともそれによって診療の方針が変わるような答えは得られませんね。ポイントは「若くして」です。先ほどの問いに対して「私の父は50歳で心臓の病気で亡くなりました」や、「私の兄弟が43歳で数年前に突然死して、不整脈が原因と言われました」といった返答があれば、今目の前にいる患者さんがたとえ若くても、家族歴ありと判断し、慎重に対応する必要があるのです。さいごに胸痛を認めればACSを疑い、対応することは誰もができるでしょう。しかし、そもそも疑うことができず、診断が遅れてしまうことも一定数存在するはずです。高齢者では(とくに女性、糖尿病あり)、入口を広げること、そして帯状疱疹に代表される心筋梗塞以外の胸痛疾患もきちんと鑑別に挙げ、対応することを意識してください。次回は、意識障害のピットフォールに戻り、アルコールによる典型的な意識障害のケースを学びましょう。1)Poldervaart JM, et al. Ann Intern Med. 2017;166:689-697.2)Canto JG, et al. JAMA. 2000;283:3223-3229.3)Bayer AJ, et al. J Am Geriatr Soc.1986;34:263-266.

493.

野菜不足の患者さんにひと言【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第24回

■外来NGワード「もっと野菜を食べるようにしないと!」(あいまいな食事指導)「1日に野菜を350g以上食べるようにしなさい!」(わかりにくい食事療法を提示)「野菜ジュースを飲むようにしなさい!」(野菜の代わりになると勘違い)■解説 野菜にはビタミン・ミネラルや食物繊維が豊富に含まれており、国が推進する「健康日本21」では、がんと生活習慣病の予防や健康づくりの観点から、1日に350g以上摂ることが推奨されています1)。しかし、「1日350g」と言ってもわかりにくいので、野菜70gを1皿とカウントして「1日に5皿以上摂ることを目指してください」と説明すると、理解が深まります。また、手を使った方法で、生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が1皿の目安となります。漬物や汁物は1人前が0.5皿分、野菜サラダ、ホウレン草のおひたし、きんぴらごぼうは1人前が1皿分となり、野菜炒めなどの大皿料理、野菜たっぷりカレー、筑前煮などは1人前を2皿分とカウントできます。平成29年度「国民健康・栄養調査2)」によると、20歳以上で1日に野菜を350g以上食べている人の割合は30%程度です。とくに、20~30代の野菜摂取量が少ないことが問題となっています。しかし、野菜を摂る習慣がない人に「1日5皿を食べましょう!」と理想を提示しても、そんなのは無理だと思われてしまいます。そこで、以下のように説明してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師普段、1日にどのくらい野菜を食べていますか?患者食べないといけないのはわかっているんですが、なかなか毎食とはいかなくて…。医師そうですか。では、健康のためには1日にどのくらいの野菜を食べればいいか知っていますか?患者いえ、知りません。医師ちょっと、手でおわんを作ってもらえますか。患者こうですか?(両方の手のひらを上に向けて、おわんの形にする)医師生野菜なら両手で軽く1杯、温野菜なら片手で1杯が、だいたい70gになるので、これを野菜1皿分とします。患者はい。医師がんや糖尿病、生活習慣病などを予防するためには、1日に野菜を350g、つまり5皿分摂ることが推奨されています。患者えっ、そんなに食べないといけないんですか!?(驚きの表情)医師それが最終目標になりますが、今は1日に何皿ぐらい食べておられますか?患者そうですね…。2皿か、3皿くらいでしょうか。医師なるほど。気を付けておられますね。それでは、野菜をもう1皿増やすためには、どうしたらいいと思いますか?患者えーと…(野菜摂取のアイデアの話が続く)。■医師へのお勧めの言葉「野菜をもう1皿増やすとしたら、どうしたらいいと思いますか?」1)Nakamura S, et al. BMC Public Health. 2017;17:74.2)厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」結果の概要

494.

低用量メトトレキサートは冠動脈疾患例のMACEを抑制せず:CIRT/AHA

 LDLコレステロール(LDL-C)を低下させることなくアテローム性動脈硬化性イベントを抑制したCANTOS試験は、心血管系(CV)イベント抑制における抗炎症療法の重要性を強く示唆した。メトトレキサート(MTX)も、機序は必ずしも明らかでないが抗炎症作用が知られている。また関節リウマチ例を対象とした観察研究や非ランダム化試験では、低用量MTXによるCVイベント抑制作用が報告されている。ではMTXも、アテローム性動脈硬化性イベントを減少させるだろうか? ランダム化試験"CIRT"の結果、その可能性は否定された。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、11月10日、CANTOS試験の報告者でもある米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul Ridker氏が報告した。対象は炎症亢進例に限定せず CIRT試験の対象は、スタチンやレニン・アンジオテンシン系阻害薬などの標準的治療下にあった、安定冠動脈疾患4,786例である。平均年齢は66歳、20%弱が女性だった。61%が心筋梗塞既往例で、残りは糖尿病/メタボリックシンドローム合併多枝病変1次予防例である。CANTOS試験とは異なり、「高感度C反応性蛋白(hs-CRP)高値」は導入条件となっていない。 これら4,786例は全例が葉酸1mg/日を服用の上、低用量(15~20mg/週)MTX群(2,391例)とプラセボ群(2,395例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された(早期中止)。MTXの用量は、臨床検査値と症状に基づいて、詳細なアルゴリズムに従い、必要があれば2ヵ月ごとに変更された。1次エンドポイントはプラセボと有意差なし、皮膚がんは有意増加 その結果、2.3年間(中央値)の追跡期間後、当初の1次エンドポイントであるMACE(心血管系[CV]死亡・心筋梗塞・脳卒中)のリスクは両群間に有意差を認めなかった(MTX群:3.46%/年、プラセボ群:3.43%/年、p=0.91)。盲検解除前に追加されたもう1つの1次エンドポイント「MACE・緊急血行再建が必要となる不安定狭心症」でも、同様だった(MTX群:4.13%/年、プラセボ群:4.31%/年、p=0.91)。 一方、肝機能異常、白血球減少症の発現はMTX群で有意に多く、基底細胞がん以外の皮膚がんが有意に増えていた(33例 vs.12例、p=0.0026)。炎症性サイトカインも減少せず Ridker氏が強調したのは、炎症性サイトカインの変化が、CANTOS試験と異なっていた点である。すなわち、インターロイキン-1β(IL-1β)抗体を用いたCANTOSではIL-1βはもとより、IL-6、hs-CRPも減少していたが、CIRTではいずれのマーカーの低下も認めなかった。このためCVイベント抑制には、IL-1βからCRP産生に至る経路の遮断が重要と考えられた。Ridker氏は、NLRP3インフラマソームやIL-6をターゲットにした治療による、CVイベント抑制の可能性を指摘した。 本試験は米国NHLBIからの資金提供を受けて行われた。また発表と同時に、NEJM誌にオンライン掲載された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページへのリンクはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。■関連記事メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

495.

TG低下療法によるCVイベント抑制作用が示される:REDUCE-IT/AHA

 スタチン服用下でトリグリセライド(TG)高値を呈する例への介入は、今日に至るまで、明確な心血管系(CV)イベント抑制作用を示せていない。そのような状況を一変させうるランダム化試験がREDUCE-IT試験である。その結果が、米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の11月10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションで報告された。精製イコサペンタエン酸エチル(EPA-E)を用いた服用で、プラセボに比べ、CVイベントリスクは、相対的に25%の有意減少を認めた。スタチン服用下で高TGを呈するCV高リスク例が対象 REDUCE-IT試験の対象は、スタチン服用下でTG「150~499mg/dL」の、1)CV疾患既往例(2次予防:5,785例)、2)CVリスクを有する糖尿病例(高リスク1次予防:2,394例)である。LDLコレステロール(LDL-C)「≦40mg/dL」と「>100mg/dL」例、魚類に対する過敏症例などは除外されている。 平均年齢は64歳、30%弱が女性だった。試験開始時のTG値の平均は216mg/dL、全体の60%が「TG≧200mg/dL」だった。 これら8,179例はEPA-E群とプラセボ群にランダム化され、二重盲検法で4.9年間(中央値)追跡された。EPA-EでTGは低下、HDL-Cは増加せず まず脂質代謝の変化を見ると、試験開始1年後、EPA-E群のTG値は175mg/dLへ有意に低下し(p<0.001)、プラセボ群では逆に221mg/dLへ上昇していた(p<0.001)。またHDLコレステロール(HDL-C)は、EPA-E群で39mg/dLへの有意低下と、プラセボ群における42mg/dLへの有意上昇を認めた(いずれもp<0.001)。CVイベント4.9年間NNTは21例 その結果、プライマリーエンドポイントである「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中・冠血行再建術・不安定狭心症」の発生率は、EPA-E群で17.2%、プラセボ群で22.0%となり、EPA-E群における有意なリスク低下が認められた(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.68~0.83)。21例でプラセボをEPA-Eに切り替えれば、4.9年間(中央値)に1例でプライマリーエンドポイントを回避できる計算になる。 EPA-E群におけるプライマリーエンドポイント抑制作用は、「2次予防と1次予防」や治療前TG値「200mg/dLの上下」「150mg/dLの上下」、「糖尿病合併の有無」など、さまざまなサブグループで検討しても一貫していた。 有害事象は、EPA-E群で「末梢浮腫」が有意に多く(6.5% vs.5.0%、p=0.002)、同様に「便秘」(5.4% vs.3.6%、p<0.001)、「心房細動」(5.3% vs.3.9%、p=0.003)の発現も、EPA-E群で有意に多かった。一方、「下痢」(9.0% vs.11.1%、p=0.002)と「貧血」(4.7% vs.5.8%、p=0.03)の発現は、EPA-E群で有意に少なかった。 その結果、試験薬服用中止に至った有害事象発現率は、EPA-E群(7.9%)とプラセボ群(8.2%)の間に有意差を認めなかった(p=0.60)。重篤な出血も、EPA-E群2.7%、プラセボ群2.1%で、有意差はなかった(p=0.06)。 本試験はAmarin Pharmaの資金提供を受けて実施された。また発表と同時に、NEJM誌オンライン版で公開された。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

496.

CV高リスク・高LDL-C血症の日本人高齢者に対するLDL-C低下療法の有用性は?:EWTOPIA/AHA

 高齢の高コレステロール血症例を対象としたコレステロール低下療法のランダム化試験としては、“PROSPER”がよく知られている(Shepherd J, et al. Lancet. 2002;360:1623-1630.)。しかし同試験には多くの心血管系(CV)2次予防例が含まれており、さらに「82歳」という年齢上限も設けられていた。 そこで、わが国の高LDLコレステロール(LDL-C)血症を呈するCV1次予防高齢者を対象に、LDL-C低下療法の有用性が検討された。ランダム化試験“EWTOPIA75”である。その結果、エゼチミブを用いたLDL-C低下療法で、食事指導のみの対照群に比べ、「脳・心イベント」リスクは相対的に34%有意に低下した。米国・シカゴにて開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の11月10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、大内 尉義氏(虎の門病院 院長)が報告した。わが国のCV高リスク「LDL-C≧140mg/dL」高齢者を、「食事指導」と「食事指導+エゼチミブ」にランダム化 EWTOPIA75試験の対象は、75歳以上、冠動脈疾患の既往はないもののCVリスク因子は有し、スタチンを含む脂質低下薬非服用下で「LDL-C≧140mg/dL」だった3,796例である。 平均年齢は81歳、女性が74%を占めた。LDL-C平均値は約160mg/dL。90%近くが高血圧、約25%が糖尿病を合併し、15%強がメタボリックシンドロームを呈していた。 これら3,796例は食事指導のみを行う「対照」群(1,898例)と、食事指導に加えエゼチミブ10mg/日を服用する「エゼチミブ」群(1,898例)にランダム化され、イベント判定者にのみ割付群が遮蔽されるPROBE法で追跡された。また原則として、エゼチミブ以外の脂質低下薬は使用しないこととされた。「脳・心イベント」が相対的に34%の有意減少 5年間の観察期間終了時、LDL-C値は、エゼチミブ群で120.1mg/L、対照群でも131.4mgまで低下した。 その結果、1次評価項目である「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術、脳卒中」のハザード比(HR)は、エゼチミブ群で0.66(95%信頼区間[CI]:0.50~0.86)と、有意に低値となった。 両群のカプランマイヤー曲線は、試験開始後1年を待たず乖離を始め、5年間の追跡期間中、差はわずかながら広がり続けた。有意減少は「心イベント」、脳血管障害と総死亡には有意差認めず 2次評価項目を見ると、エゼチミブ群で有意にリスクが減少していたのは、「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術」から成る「心イベント」である(HR:0.60、95%CI:0.37~0.98)。脳血管障害(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11)と総死亡(HR:1.09、95%CI:0.89~1.34)のリスクに、両群間で有意差はなかった。なお、本試験はPROBE法であり、盲検化はされていない。 また、これらのイベント中、最も発生率が高かったのは「総死亡」で約15%、次いで「脳血管障害」の約5%、「心イベント」の発生率はおよそ2~3%だった。 指定討論者として登壇したJennifer Robinson氏(米国・アイオワ大学)は、本試験における「LDL-C低下幅に対するイベント減少率」が、これまでのLDL-C低下ランダム化試験に比べ著明に高いと指摘していた。 本研究は、公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターから資金提供を受け行われた。(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))「速報!AHA2018」ページはこちら【J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)とは】J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、わが国の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しています。

497.

「血圧の薬は一生飲み続ける」と思い込む患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第23回

■外来NGワード「飲まないとあとあと大変なことになりますよ!」「治療のガイドラインでは薬が推奨されています」「倒れたら、誰があなたの面倒を見るんですか?」■解説 血圧が高いのに医療機関を受診せず、薬を飲むのを嫌う患者さんがいます。その理由の1つとして「血圧の薬を飲み始めると、一生飲み続けなければいけない」と思い込んでいることが挙げられます。しかし、血圧コントロールが良好な患者さんでは、降圧薬を中止しても血圧が正常範囲に保たれる割合が40%程度存在したとの報告があります1)。こういった患者さんには、もともと軽症の高血圧(I度高血圧)だった、減塩・減量などで生活習慣を改善できた、1種類の降圧薬で良好な血圧コントロールができた若年者などのパターンがあると考えられます。また、血圧には季節変動があることが知られており、夏季に血圧が低下する患者さんでは、一時的に降圧薬の減量あるいは休薬を考慮してもよいです。一方、冬季には血圧が上昇して増量や追加が必要になることも少なくありません。患者さん一人ひとりの血圧変動に合わせた服薬調整が大切です。血圧を良好に保つことが将来的な動脈硬化を防ぎ、脳血管疾患、心血管疾患、認知症などの予防につながることを強調して説明してみてはいかがでしょうか。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今まで、血圧の薬を飲んだことはありますか?(服薬歴の確認)患者ありません。血圧の薬を飲み始めると、一生やめることができないんでしょう?医師そんなことはありませんよ。薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付けて、血圧が落ち着いたら薬の量を減らすことや、お休みすることもできます。患者えっ、そうなんですか?医師それに、血圧の薬を飲むことは血圧を下げるためだけでなく、動脈硬化を予防するためでもあるんです。患者動脈硬化を予防するということは…?医師動脈硬化の予防は、脳卒中や心筋梗塞、そして認知症の予防にもつながりますよ。患者なるほど…。医師ただし、薬ですから、副作用が起こることもあります。血圧の薬はたくさんありますから、自分に合った薬を見つけることが大切です。患者そうなんですよね。副作用が心配で、なかなか気が進まなくて…。医師それでは、血圧の薬について、どういう種類があるか説明させてもらいますね。患者はい。よろしくお願いします。■医師へのお勧めの言葉「血圧の薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付ければ、薬の量を減らせたり、お休みできたりする人もいます」「血圧を正常範囲に保つことは、動脈硬化の予防になります。脳卒中や心筋梗塞、さらには認知症の予防にもつながりますよ」1)Nelson M, et al. Am J Hypertens. 2001;14:98-105.

498.

第8回 管理栄養士がおすすめするおやつとは?【実践型!食事指導スライド】

第8回 管理栄養士がおすすめするおやつとは?医療者向けワンポイント解説「おやつを食べたい」、「間食がやめられない」という相談は、日常で多く寄せられます。また、カロリー制限や脂質制限を必要とする患者さんにとって、『食べてはいけない』という言葉が、日常の大きなストレスになっていることもよくあります。そこで今回は、糖尿病や脂質異常症などの患者さん向けに、管理栄養士がおすすめする“おやつ”を紹介したいと思います。“おやつ”という言葉を聞くと、一般的に、嗜好品や甘いものを連想する方が多くいます。しかし、おやつを食べる意味合いを患者さんに伺うと、「小腹が空いたから」、「なんとなく食べたい」という発言をよく耳にします。つまり、特定のおやつを食べたいのではなく、満足感を得られるかどうかが大切であると言えます。おやつがやめられない患者さんに、「おやつはダメです」と否定するのではなく、「おやつは、甘いものだけではありませんよ。おやつを食べる時は、カラダに不足している栄養素を摂れるものを意識すると効果的ですよ」とお伝えしましょう。そうすることで、ストレスが軽減され、おやつについて見直してもらう良い機会ができます。そこで、具体例をご紹介しましょう。1)昆布のお菓子昆布を加工し、味をつけた商品です。昆布は、水溶性食物繊維が豊富で、糖や脂質の吸収を緩やかにするほか、腸内環境を整える働き、便通の改善にも効果が期待できます。また、低カロリーな点も安心です。ただし、塩分量の多いものがあるので、大量摂取は控えましょう。少しずつ口に入れ、ゆっくりしっかり噛み、水分を一緒に飲むと、満足度を高められます。2)ナッツ類アーモンドはビタミンE、くるみはオメガ3、カシューナッツは亜鉛を多く含むため、不足しがちな栄養素を補うことができます。また、脂質も多く含むため、腹持ちの良さが特徴です。ただし、カロリーが高く、約10〜15粒で、おにぎり1個分ほどのカロリーがあるので、食べる量には注意が必要です。さらに、素焼きで塩をつけていないものを選ぶことも大切です。3)海苔のお菓子海苔にごまや梅などをつけた商品には、「味付けのり」、「海苔の加工品」と記載がされています。海苔は低カロリーながら、食物繊維やカリウムなどのミネラルが補給できます。ただし、塩分量については注意が必要です。4)納豆のお菓子納豆の風味やほのかな粘りを感じながら、手を汚さずに食べることができます。大豆を使ったおやつなので、少量ですがたんぱく質も摂取できます。甘いものよりも、納豆の旨味で満足度を高めることができます。5)するめ・あたりめいか加工品には、いかと塩だけの「あたりめ」と、砂糖や食塩を合わせて作っている「さきいか」などがあります。低カロリーながら、たんぱく質を補給することができお腹にたまる商品です。できれば、硬い「あたりめ」を口の中でゆっくりと噛みながら食べてみましょう。満足感が得られます。6)おやつ煮干し乾物コーナーでも売っている煮干しは、たんぱく質やカルシウム、ビタミンDなどさまざまな栄養素を摂取することができる優れものです。小さめの煮干し20尾ほどで、1日の1/4のカルシウムを摂ることができます。購入の際は、塩分不使用の商品を選ぶことをおすすめします。7)鶏・うずらの玉子(加工された卵)うずらの卵のおやつは、塩や醤油の味がついたものが、小分けパックなどでも販売されています。うずらの卵は、栄養価が高く、鉄分のみならず、ビタミンB1、B2、葉酸も鶏卵の2倍含まれているので、少量でも栄養価を効率的に摂ることができます。こちらも、塩分量については注意が必要です。8)チーズ6Pチーズ、さけるチーズなど、手軽に食べられるチーズが多く販売されています。不足しがちなカルシウムなどのミネラル、たんぱく質などを含みます。乳脂肪成分のおかげで、お腹にもたまりやすく満足感が持続します。「おやつが食べたい」と思った時に、糖分や脂肪を多く含む嗜好食品を選ぶよりも、たんぱく質やビタミン、ミネラルを含むおやつを適量選んでもらうことが、間食を減らす一つの方法です。この方法は、栄養バランスを整え、物足りなさや食べ過ぎを抑えるきっかけづくりにもつながります。

499.

肥満手術後の体重増、アウトカムと関連する尺度は/JAMA

 腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス(RYGB)術を受けた後の、体重再増加と臨床アウトカムとの関連は、体重再増加を最大体重減少量の%値でみた場合に最も強く認められることが示された。米国・ピッツバーグ大学のWendy C. King氏らによる、RYGB術を受けた約1,400例を5年以上追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年10月16日号で発表された。RYGB術後の体重再増加には、大きなばらつきがある。研究グループは、RYGB術後の体重減少が最大に達した後に増加に転じる様子を描出し、体重再増加とアウトカムとの関連を調べた。術後の体重再増加に関する5種類の連続測定値と、アウトカムとの関連を評価 研究グループは、米国6都市10ヵ所の医療機関で、2006年3月~2009年4月にかけて、肥満外科手術を受けた成人2,458例のうち、RYGBを受け(1,703例)、最低体重の測定記録があり5年以上の追跡を受けた1,406例(83%)を対象に分析を行った。 被験者に対する評価は、術前30日以内と術後6ヵ月、それ以降は年1回行い、2015年1月まで継続した。術後の体重再増加について、kg、BMI、術前体重に対する割合(%)、最低体重に対する割合(%)、最大体重減少量に対する割合(%)の5種類の連続測定値および、閾値を設定した8種の体重再増加指標と臨床アウトカムとの関連(統計的有意差、関連の大きさ、モデル適合)を検証した。対最大体重減少量比、高脂血症以外の臨床アウトカムと強い関連 被験者1,406例の年齢中央値は47歳(25~75パーセンタイル:38~55)で、術前BMI中央値は46.3(同:42.3~51.8)。女性の割合は80.3%と大部分を占め、また白人は85.6%だった。追跡期間中央値は、6.6年(同:5.9~7.0)だった。 最大体重減少量の術前体重に対する割合中央値は37.4%(同:31.6~43.3)で、同発生までの期間中央値は術後2.0年(同:1.0~3.2)だった。 体重再増加率は、最低体重に達した後の1年以内が最大で、その後追跡5年時点まで増加し続けた。体重増加中央値は、最大体重減少量の9.5%(25~75パーセンタイル:4.7~17.2)から26.8%(同:16.7~41.5)へ変化した。 体重再増加者の割合は、閾値に依存していた。たとえば最低体重に達した後の5年間で、BMIが5ポイント以上増加した人の割合は43.6%、体重再増加が最低体重の15%以上だった人は50.2%、最大体重減少量の20%以上だった人は67.3%などだった。 体重再増加の連続測定値のうち、高脂血症を除く臨床アウトカムについて最も関連が強かったのは、最大体重減少量の割合でみた場合だった。高脂血症については、BMIとの関連がやや強くみられた。 体重再増加指標のうち、最大体重減少量20%以上が、ほとんどのアウトカムについて連続測定値よりも良好もしくは同程度に関連性を示した。2番目に良好な指標は、高脂血症(10kg以上の体重増加)と、高血圧症(最大体重減少量が10%以上)についてだった。

500.

高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

 今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。 本論文もその1つで、スペインの電子カルテからのデータを基に、75歳以上の高齢者でコレステロール低下目的にスタチンを投与することの有用性が検討された。電子カルテのレコードから75歳以上で初めてスタチンを投与された患者と、さまざまな背景因子を合わせた患者(プロペンシティーマッチした)を比較したものである。結果は興味深く、75歳以上ではスタチンの投与は心血管イベント低下効果がないとするものである。ただ、糖尿病患者では有用性があることも示されたが、この効果も85歳以上では効果が消失するようである。ガイドラインでは1次予防としてもスタチンの投与の有用性は広く示されているため、75歳以下だけでなく、高齢者でも有用なのではと推測されていたが、本論文では安易なスタチンの投与はすべきでないとしている。結論を出すには2022年ごろに発表される高齢者を対象としたRCTの結果(STAREE試験)を待たなければならないが、本論文の結果は安易にガイドラインを高齢者に適応すべきではないという示唆でもある。 ただ、(1)これまでスタチンを投与してきた患者を75歳で中止すべきなのか? (2)75歳以上の高齢者では各個人間での相違(合併症、虚弱度、食事など)を考慮すべきではないか? (3)スペインと他の地域での高齢者は同じなのか? など、年齢だけでは規定できない多くの要素があり、Real World Evidenceだからといって、普遍化はできない。高齢者では、RCTやReal World Evidenceにも多くのバイアスがあるので、これまでのEBMに基づいた治療ではなく、一人ひとりの背景因子をしっかり把握して個人に合ったエビデンスの適応を考慮しなければならないであろう。

検索結果 合計:842件 表示位置:481 - 500