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抗うつ薬と骨量減少との関連~メタ解析

 うつ病や抗うつ薬の使用は、骨粗鬆症のリスク因子の1つであるといわれている。しかし、抗うつ薬の骨への影響やうつ病患者の年齢と骨の健康状態の自然な低下に関する研究では、一貫した結果が得られていない。イタリア・Magna Graecia UniversityのMichele Mercurio氏らは、抗うつ薬と骨密度(BMD)の関連を調査した。その結果、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用がBMD減少と関連している可能性が示唆された。著者らは結果を踏まえ、抗うつ薬の使用と骨の脆弱性との潜在的な関連性に対する医師の意識を高め、骨の健康状態のモニタリング強化を目指すと述べている。Orthopedic Reviews誌2022年10月13日号の報告。 抗うつ薬およびBMDをキーワード(英語のみ)として、2021年6月までに公表された文献をPubMed/Medline、Cochraneデータベース、Scopusライブラリより検索し、PRISMAガイドラインに従ってシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。方法論的質の評価には、ニューカッスル・オタワスケールを用いた。 主な結果は以下のとおり。・定性分析には18件、定量分析には5件の文献を含めた。・さまざまなサブタイプのうつ病患者4万2,656例を対象に分析を行った。・研究の内訳は、SSRIのみを使用した研究が10件、SSRIと三環系抗うつ薬を使用した研究が6件、2種類以上の抗うつ薬を併用した研究が2件であった。・最新カテゴリの抗うつ薬(ボルチオキセチン、esketamineなど)を使用した研究は含まれなかった。・全体として、SSRIによるBMD減少(平均:0.28、95%CI:0.08~0.39)の有意な影響が観察された。

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1日1回投与の新規骨形成促進薬「オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg」【下平博士のDIノート】第110回

1日1回投与の新規骨形成促進薬「オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg」今回は、骨粗鬆症治療薬「アバロパラチド酢酸塩注射剤(商品名:オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg、帝人ファーマ)」を紹介します。本剤は、骨吸収作用に対して骨形成作用がより優位な新規の骨形成促進薬であり、1日1回の皮下投与により、骨量の増加と骨折の抑制が期待されています。<効能・効果>本剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の適応で、2022年8月31日に製造販売承認を取得しました。なお、オスタバロ皮下注3mgが2021年3月に同様の適応で製造販売承認されていますが、3mg製剤は28日投与の製剤であり、新薬の14日処方制限への対応が必要であったため現時点での薬価収載は見送られています。<用法・用量>通常、成人には1日1回アバロパラチドとして80μgを皮下に注射します。本剤の投与期間は18ヵ月間までです。なお、本剤は使用開始前も開始後も冷蔵庫で保管します。<安全性>国内および海外の第III相試験を統合した結果、臨床検査値異常を含む副作用は962例中357例(37.1%)で報告されました。主な副作用は、高カルシウム尿症81例(8.4%)、浮動性めまい55例(5.7%)、悪心52例(5.4%)、頭痛34例(3.5%)、動悸33例(3.4%)などでした。重大な副作用として、アナフィラキシー(頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.本剤は、骨形成を促進して骨量を増やすことで、骨折を予防します。2.投与後30分程度はできる限り安静にして、高所での作業、自動車の運転など危険が伴う作業に従事する場合は注意してください。3.投与後に血圧低下、めまい、立ちくらみ、動悸、気分不良、悪心、顔面蒼白、冷汗などが生じた場合には、症状が治まるまで座ったり横になったりしてください。4.悪心、嘔吐、便秘、食欲減退、腹痛などが生じた場合は受診してください。5.(妊娠可能な女性に対して)本剤の投与期間中は避妊してください。<Shimo's eyes>骨粗鬆症に伴う骨折は、日常生活動作やQOLの低下、生命予後の悪化につながるため、初回骨折の予防に加え、すでに骨折が生じた場合は次の骨折を予防して、骨折の連鎖を起こさないための治療が重要です。本剤はヒト副甲状腺ホルモン関連蛋白質(hPTHrP)のアミノ酸配列の一部を改変したアナログ製剤で、骨代謝に関わるPTH1型受容体のRG型を選択的に刺激するため、骨量の増加と骨折抑制が期待できます。既存の副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)としては、テリパラチド(遺伝子組換え)(商品名:フォルテオ皮下注キット)、テリパラチド酢酸塩(同:テリボン皮下注用、テリボン皮下注オートインジェクター)などが発売されています。また、抗体薬としては、抗ランクル抗体のデノスマブ(遺伝子組換え)(同:プラリア皮下注)、抗スクレロスチン抗体のロモソズマブ(遺伝子組換え)(同:イベニティ皮下注)が発売されており、超高齢社会に対応すべく効果の高い骨粗鬆症治療が近年続々と登場しています。本剤は、海外における骨折の危険性の高い閉経後骨粗鬆患者を対象とした海外第III相試験(BA058-05-003試験、ACTIVE試験)において、プラセボに比べて投与18ヵ月の新規椎体骨折の発生率が低く、最初の非椎体骨折の発生までの期間が有意に延長されました。また、本剤投与終了後のアレンドロネートによる継続治療により、プラセボ投与終了後のアレンドロネート治療群と比較して、ACTIVE試験の開始から投与後25ヵ月および43ヵ月までの新規椎体骨折発生率が有意に低く、最初の非椎体骨発生までの期間に有意な延長が認められました(BA058-05-005試験、ACTIVE延長試験)。本剤の電動式注入器(オスタバロインジェクター)は、製剤カートリッジを14日ごとに交換するよう設計されていて、液晶画面には操作手順、投与履歴、累計投与回数が表示されるとともに、カートリッジの交換や冷所保管忘れの通知機能なども備えられています。診察では、インジェクターに記録された投与履歴や累積回数を確認することができます。なお、本剤の使用にあたっては、インジェクターのほかに製剤カートリッジ、A型専用注射針、消毒用アルコール綿が別途必要となるので、処方の確認が必要です。安全面では、活性型ビタミンD製剤との併用は、血清カルシウム値が上昇する恐れがあるため避けることが望ましいとされています。本剤投与直後から数時間後にかけて、一過性の急激な血圧低下が現れることがあるので注意が必要です。また、一過性の血清カルシウム値上昇がみられることもあり、悪心、嘔吐、便秘、食欲減退、腹痛などが生じた場合は速やかに診察を受けるように患者さんに指導しましょう。

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ESMO2022 レポート 乳がん

レポーター紹介今年度のESMOでは、現在の臨床を変えたり、今後の方向性に大きな影響を与えたりする重要な演題が発表されました。その中で、今回、進行乳がんではTROPiCS-02試験のOSの結果、MONARCH-3試験の中間解析でのOSの結果、経口SERDのランダム化比較試験の結果、周術期乳がんではDATA試験の結果を取り上げます。TROPiCS-02試験:sacituzumab govitecanがOSを改善sacituzumab govitecanは、抗Trop-2抗体とSN-38の抗体薬物複合体です。ランダム化比較第III相試験であるASCENT試験1)では、転移・再発ホルモン受容体(HR)陰性HER2陰性乳がん(トリプルネガティブ乳がん:TNBC)に対して2治療以内の化学療法歴がある症例が対象となりました。この結果、sacituzumab govitecanは、医師選択治療と比較して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善を示したため、すでにTNBCに対してFDAから承認されています。今回のTROPiCS-02試験(ClinicalTrials.gov、ID:NCT03901339)は、内分泌療法抵抗性のHR陽性HER2陰性進行乳がん患者において、sacituzumab govitecan(SG群)(n=272)と医師選択治療(TPC群)(n=271)を比較したランダム化比較第III相試験です。タキサン、内分泌療法、およびCDK4/6阻害薬、ならびに転移乳がんに対して2~4種類の化学療法レジメンを受けた患者が適格でした。TPC群の治療選択肢は、カペシタビン、ビノレルビン、ゲムシタビン、またはエリブリンでした。2022年のASCO年次集会では、追跡期間中央値10.2でのPFSの最終解析結果が報告されており、SG群は、TPC群よりもPFSの中央値が良好で、それぞれSG群5.5ヵ月に対してTPC群は4.0ヵ月でした(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.53~0.83、p=0.0003)2)。6ヵ月PFS割合はそれぞれ46%対30%、12ヵ月PFS割合はそれぞれ21%対7%と、いずれもSG群で良好な結果でした。OSについては第1回中間解析で、immatureな状況で、統計学的な有意差は認めませんでした。有害事象は、SG群で好中球減少症が51%、下痢9%といった結果でしたが、治療中断に至る重篤な有害事象はSG群で6%、TPC群で4%と大きな差を認めませんでした。今回、半年と経たず、2回目の中間解析結果として、OSのupdate結果が公表されました。今回のESMOでの発表は、追跡期間の中央値が12.5ヵ月時点で、OSはSG群で有意に良好でした。OSの中央値は、SG群で14.4ヵ月、TPC群で11.2ヵ月でした(HR:0.79、95%CI:0.65~0.96、p=0.020)。また、12ヵ月のOS割合はそれぞれ61%と47%でした。奏効割合はSG群で21%に対してTPC群は14%(p=0.035)と、有意にSG群が良好でした。sacituzumab govitecanは、HR陽性HER2陰性進行乳がんに対して、他の抗がん剤と比較してPFSに加えてOSの改善を示した数少ない薬となりました。これにより、HR陽性HER2陰性進行乳がんに対しても標準治療の一つとして位置付けられることになります。現在、日本においてもギリアド・サイエンシズによる企業治験が実施中ですので、日本での承認が待たれます。また、一部はHER2低発現のHR陽性HER2陰性乳がんで、トラスツズマブデルクステカン(Destiny Breast 04試験3))と症例対象が重なっています。今後、両剤の位置付けについても、検討が進められると考えられます。MONARCH3試験:第2回中間解析では統計学的有意差は検証されなかったがアベマシクリブ群で良好な結果サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬であるアベマシクリブは、プラセボ対照ランダム化比較第III相試験であるMONARCH3試験で、主要評価項目である無増悪生存期間の有意な改善をもとに、HR陽性HER2陰性閉経後進行乳がん患者に対する初回内分泌療法として非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)と組み合わせて承認されています4)。本試験における副次的評価項目であるOSについて、2回目の中間解析結果が公表されました。既にEMAの添付文書に記載されている結果が、明確に発表されたことになります。2回目の中間解析結果は追跡期間の中央値は5.8年時点で解析されました。全体集団(ITT集団)では、アベマシクリブ+NSAIのOS中央値は67.1ヵ月に対して、プラセボ+NSAIは54.5ヵ月でした(ハザード比:0.754、95%CI:0.584~0.974、p=0.0301)。中間解析の事前設定されたp値は下回らず、統計学的な有意差は検証されていません。一方で、内臓転移あり患者のサブグループ(n=263)でも、アベマシクリブ+NSAIのOS中央値が65.1ヵ月であったのに対し、プラセボ+NSAIは48.8ヵ月であり(HR:0.708。95%CI:0.508~0.985、p=0.0392)、予後不良と考えられる内臓転移ありのサブグループでも全体集団のアベマシクリブによるOS改善傾向は維持されていました。まだOSにまで差があるとは言えないものの、最終解析が期待される結果でした。最終OS解析結果は来年発表される予定であり、現時点で臨床でのCDK4/6阻害薬の使い分けは決定的な差がない状況です。ただし、2022年ASCO年次集会で発表され、OSに統計学的有意差を認めなかったPALOMA-2試験の最終OS結果とは、今回の結果は異なっています。サブグループ解析も、内臓転移症例のような予後不良症例においてアベマシクリブの上乗せ効果が際立っており、これまでのPFSやMONARCH2のOS結果の特徴が維持されています。Adjuvantの様々なCDK4/6阻害薬の結果を含め、これまで同等と考えられていたパルボシクリブとアベマシクリブの薬剤の違いについて、より深い考察が求められます。acelERA BC試験とAMEERA-3試験:経口SERD単剤のPhase2試験が複数negative選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD)は、フルベストラントが実臨床で用いられますが、筋注製剤であることが一つのハードルとなっています。また、AI治療中に出現し、AI耐性に関わるESR1遺伝子変異に対する耐性克服としても、経口SERDが期待され、その開発が進んでいます。先行しているelacestrantは、オープンラベルランダム化比較第III相試験において、医師選択の内分泌療法よりもelacestrantによるPFS改善が既に検証されています5)。一方で、複数の製薬企業が経口SERDの開発を進めており、今回は2つの経口SERD単剤のオープンラベルランダム化第II相試験の結果が報告されました。acelERA BC試験では、1-2ラインの治療歴を有するエストロゲン受容体陽性HER2陰性の局所進行または転移乳がんにおいて、経口SERDのgiredestrantが、医師選択の内分泌療法単剤(TPC群)と比較されました。この結果、giredestrantはPFSの有意な改善を示すことはできませんでした。追跡期間中央値は7.89ヵ月で、PFS-INV中央値はgiredestrant群5.6ヵ月、TPC群5.4ヵ月でハザード比は0.81(95%信頼区間:0.60~1.10、p=0.1757)で有意差はありません。6ヵ月PFS率はそれぞれ46.8%、39.6%でgiredestrant群において良好な傾向でした。ESR1遺伝子変異陽性例におけるPFS中央値はgiredestrant群(51例)5.3ヵ月、TPC群(29例)3.5ヵ月で(ハザード比は0.60 95%CI; 0.35-1.03、p=0.0610)で、全集団よりもgiredestrant群で良好な傾向でしたが、有意差を認めませんでした。AMEERA-3試験では、閉経後女性あるいはLHRHアゴニストの投与を受けている閉経前女性または男性のER陽性HER2陰性進行乳がんで、進行乳がんに対する2ライン以下の内分泌療法、1ライン以下の化学療法あるいは1ライン以下の標的治療による前治療歴を有し、ECOG PS 0-1の患者を対象に、amcenestrantと医師選択内分泌療法の有効性と安全性が比較されました。この結果、PFS中央値はamcenestrant 群3.6ヵ月、医師選択内分泌療法群3.7ヵ月(ハザード比 1.051, 95%CI 0.789-1.4、p=0.6437)と、有意差を認めませんでした。さらに、ESR1遺伝子変異陽性例におけるPFSはamcenestrant群においてTPC群よりも良好な傾向で、中央値はそれぞれ3.7ヵ月対2.0ヵ月でハザード比は0.9(95%CI; 0.565-1.435、p=0.6437)でしたが、有意差を認めませんでした。以上をまとめると下記の表のようになります。画像を拡大する経口SERDの開発は、現在よりフロントラインで、初回治療の第III相試験が多数行われていますが、今回の結果で若干の暗雲が立ち込めています。ESR1遺伝子変異症例における経口SERDの有効性は、一貫してありそうと感じられました。ただし、今後も、既存のAIを始めとした内分泌療法やフルベストラントよりも本当に有効なのか、現在行われている第III相比較試験の結果が待たれます。(AMEERA-5試験は既にnegative trialであると発表されています)DATA試験の最終解析結果:一部の症例でExtended ANAの恩恵を受ける可能性DATA試験(ClinicalTrials.gov:NCT00301457)は、オランダで行われたタモキシフェンによる術後内分泌療法2〜3年投与後に再発がなかったHR陽性閉経後乳がん患者における追加AI治療の至適投与期間を調べるべく計画されたオープンラベルランダム化比較第III相試験です。患者は、アナストロゾール3年間の治療またはアナストロゾール6年間の治療のいずれかに無作為に割り付けられました。6年群の827人の患者と3年群の833人の患者が登録されました。この研究の主要評価項目はadapted DFS(aDFS)で、無作為化後3年後以降のDFSとして定義されました。10年aDFS割合はそれぞれ6年治療群69.1%および3年治療群66.0%(HR:0.86、95%CI:0.72~1.01、p=0.073)と、有意差は認めませんでした。同様に、10年型adapted OS(aOS)割合は、6年治療群で80.9%、3年治療群で79.2%(HR:0.93、95%CI:0.75~1.16、p=0.53)と、こちらも有意差を認めませんでした。サブグループ分析において、6年治療群が良い傾向を示したサブグループとして、腫瘍がER陽性およびプロゲステロン受容体(PR)陽性の患者 (HR:0.77、95%CI:0.63~0.93、p=0.018)、リンパ節転移陽性かつER陽性およびPR陽性疾患の患者(HR:0.74、95%CI:0.59~0.93、p=0.011)、腫瘍径2cm以上の腫瘍、かつリンパ節転移陽性、ならびにER陽性およびPR陽性の疾患を有する患者(HR:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.005)といった因子が挙げられました。しかし、これらのサブグループのいずれにおいても、10年間のaOS率に有意な改善は認めませんでした。リンパ節転移陽性かつER陽性およびPR陽性疾患の患者(HR:0.74、95%CI:0.59~0.93、p=0.011)、腫瘍径2cm以上の腫瘍、かつリンパ節転移陽性、ならびにER陽性およびPR陽性の疾患を有する患者(HR:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.005)DATA試験は以前のフォローアップ中央値5年時点の報告ではDFSの有意差が認められなかった6)ところ、今回の最終報告においてもDFSはnegative resultでした。これまで、5年の内分泌療法に対して、AIの5年以降投与(7-8年または10年)の有効性を検討した試験は、AERAS、MA17、NSABP-B33、NSABP-B42、DATA、GIM4、などの大規模ランダム化比較試験が存在します。乳がん学会診療ガイドライン2022年版では、これらの統合解析がなされているように、5年内分泌療法対5年以降にAI投与(extended AI)がなされた場合となると、5年以上の投与によるDFSは改善傾向が認められます。ただし、OSの改善が示されたランダム化比較試験はGIM4のみであり、統合解析でもextended AIは有意ではありませんでした。今回のDATA試験はnegative trialであった一方で、DFSでextended AI群で良好であるというこれまでと一貫した結果であったことから、上記の統合解析も大きな変化がないであろうと想定されます。さらに、extended AIによる骨粗鬆症の悪化や心血管イベントの増加など、有害事象も増えることが分かってきている現状から、ベースラインの再発リスクの見積もり、アロマターゼ阻害薬の忍容性、有害事象の追加といった要素をもとに、総合的にextended AIは検討されるべきと考えられます。一方で、近年は5年以上のアロマターゼ阻害薬投与の有効性を推定する指標が検討されてきました。FFPE検体を用いてRT- PCRから計算するBreast Cancer Index(BCI)、腫瘍径、グレード、年齢、リンパ節転移の個数から再発リスクを算出し、閉経後症例の5年目以降の内分泌療法の追加効果を予測するCTS5などが、晩期再発のリスク見積もりに有用であるとされています7)。日本ではBCIは使用しづらいですが、こういった指標も参考にしつつ、extended AIを検討するべきと考えられます。1)Bardia A, et al. N Engl J Med. 2021;384:1529-1541.2)Rugo HS, et al. J Clin Oncol. 2022 Aug 26. [Epub ahead of print]3)Modi S, et al. N Engl J Med.2022;387:9-20.4)Goetz MP,et al. J Clin Oncol. 2017;35:3638-3646.5)Bidard FC,et al.J Clin Oncol. 2022;40:3246-3256.6)Tjan-Heijnen VCG, et. al. Lancet Oncol.2017;18:1502-1511.7)Andre F,et al. J Clin Oncol 2022; 40:1816-1837.

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朝食時刻と乳がんリスクが関連

 1日の食事のサイクルと乳がんの関連が指摘されている。スペイン・Barcelona Institute for Global HealthのAnna Palomar-Cros氏らが朝食時刻および夜間絶食時間と乳がんリスクとの関連について検討したところ、閉経前女性では朝食時刻が遅いほど乳がんリスクが高いことが示唆された。Frontiers in Nutrition誌2022年8月11日号に掲載。 本研究では、2008~13年に実施されたスペインのマルチケースコントロール研究(MCC-Spain)における乳がん症例1,181例と対照1,326例のデータを解析した。中年期の毎日の食事のサイクルは電話インタビューで聴取した。朝食時刻および夜間絶食時間と乳がんリスクとの関連について、ロジスティック回帰を用いてオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。年齢、センター、教育、乳がん家族歴、初経年齢、子供の数、母乳育児、初産年齢、BMI、避妊薬使用、ホルモン補充療法で調整し、閉経状態で層別した。 主な結果は以下のとおり。・朝食時刻が遅くなるほど乳がんリスクが増加したが、有意ではなかった(1時間当たりのOR:1.05、95% CI:0.95~1.16)。・この関連は閉経前女性で強く、朝食時刻が1時間遅くなるごとに乳がんリスクが18%増加した(OR:1.18、95%CI:1.01~1.40)。閉経後女性ではこの関連はみられなかった。・朝食時刻を調整しても、夜間絶食時間と乳がんリスクとの関連はみられなかった。

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ビタミンD補給、中高年において骨折予防効果なし/NEJM

 ビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症を有していない概して健康な中高年以上の集団では、ビタミンD3を摂取してもプラセボと比較し骨折リスクは有意に低下しないことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのMeryl S. LeBoff氏らが行った「VITAL試験」の補助的研究で示された。ビタミンDサプリメントは、一般集団において骨の健康のために広く推奨されている。しかし、骨折予防に関するデータは一貫していなかった。NEJM誌2022年7月28日号掲載の報告。米国人男性50歳以上、女性55歳以上の計2万5,871例で骨折発生をプラセボと比較 VITAL試験は米国の50歳以上の男性と55歳以上の女性を対象に、ビタミンD3(2,000 IU/日)、n-3系脂肪酸(1g/日)、またはその両方の摂取により、がんや心血管疾患を予防できるどうかをプラセボと比較した2×2要因デザインの無作為化比較試験である。選択基準にビタミンD欠乏症、骨量低下、骨粗鬆症は含まれていない。 年1回、質問票によりレジメンの遵守、副作用、他のサプリメント(例:カルシウム、ビタミンD)や薬剤の使用、大きな病気、骨粗鬆症または関連する危険因子、身体活動、転倒、および骨折について調査し、骨折を報告した参加者にはさらに詳細な質問票を送付して調査するとともに、骨折の治療を行った施設から医療記録(股関節または大腿骨骨折の場合は放射線画像を含む)を入手し、中央判定を行った。 主要評価項目は全骨折、非椎体骨折、股関節骨折の初回発生で、intention-to-treat集団を解析対象として比例ハザードモデルを用いて治療効果を推定した。 計2万5,871例(女性50.6%、黒人20.2%)がビタミンD3+n-3系脂肪酸、ビタミンD3+プラセボ、n-3系脂肪酸+プラセボ、プラセボ+プラセボの4群に無作為に割り付けられた。全骨折、非椎体骨折および股関節骨折、いずれもプラセボ群と有意差なし 追跡期間中央値5.3年において、1,551例に1,991件の骨折が確認された。 初発全骨折は、ビタミンD群(ビタミンD3+n-3系脂肪酸群およびビタミンD3+プラセボ群)で1万2,927例中769例、プラセボ群(n-3系脂肪酸+プラセボ群およびプラセボ+プラセボ群)で1万2,944例中782例に認められた(ハザード比[HR]:0.98、95%信頼区間[CI]:0.89~1.08、p=0.70)。同様に非脊椎骨折はそれぞれ721例および744例(0.97、0.87~1.07、p=0.50)、股関節骨折は57例および56例(1.01、0.70~1.47、p=0.96)に認められ、いずれもビタミンD群とプラセボ群で有意差はなかった。 年齢、性別、人種/民族、BMI、血清25-ヒドロキシビタミンD値などベースラインの患者背景は、この結果に影響しなかった。 また有害事象は親試験で評価されたとおり、両群間で差はなかった。 なお、著者は研究の結果は限定的なものであり、骨粗鬆症または骨軟化症患者、高齢の施設入所者には一般化されない可能性があるとしている。

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高齢者の多疾患罹患とうつ病に関する性差

 これまでの研究では、多疾患罹患はうつ病リスクが高いといわれている。しかし、うつ病と多疾患罹患との関連において、性差を調査した研究はほとんどなかった。韓国・乙支大学校のSeoYeon Hwang氏らは、男女間でうつ病と多疾患罹患の関連に違いがあるかを調査した。その結果、韓国の高齢者において、多疾患罹患とうつ病との関連に性差が認められたとし、多疾患罹患の高齢者におけるうつ病の軽減には、性別ごとの適切なケアを提供する必要があることを報告した。Epidemiology and Health誌オンライン版2022年5月24日号の報告。 対象は、韓国の高齢者調査(2011~17年)より得られた65歳以上の3万138例。うつ病の評価には、老年期うつ病評価尺度の韓国語版(GDS-K)を用いた。多疾患罹患患者の定義は、関節炎、糖尿病、心臓病、高血圧、肺疾患、がん、脳卒中、骨粗鬆症のうち2つ以上の慢性疾患を有する患者とした。うつ病と多疾患罹患との関連を分析するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・多疾患罹患患者のうつ病有病率は、男性で22.17%、女性で30.67%であった。・多疾患罹患患者は、そうでない人と比較し、うつ病リスクが高く、男性のリスク差は女性よりも大きかった。・とくに女性において、年齢はモデレーターである可能性が高かった。・統合分析では肺疾患、脳卒中、がんの影響が大きかったが、性差は、心臓病を有する患者の慢性疾患数で認められた。

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第113回 規制改革推進会議答申で気になったこと(後編)PPIもやっとスイッチOTC化?処方薬の市販化促進に向け厚労省に調査指示

処方薬の市販化促進を進めるため厚労省に調査を指示こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この連載を読んでくれている友人から、「今年はMLBの話題が少ないね」と言われてしまいました。確かに少ないです。理由の一つはご存じのようにロサンゼルス・エンジェルスの絶不調です。約1ヵ月前は今年こそポストシーズンに行けるかもと思い、秋の“米国取材”の準備を始めていました。しかし5月後半から負けが続き、ジョー・マドン監督解任、14連敗とバッド・ニュースが続きました。6月9日(現地時間)は大谷 翔平選手の久しぶり“2刀流”の活躍で、なんとか連敗は止まったものの、その後も勝ったり負けたりとチームの調子は今ひとつです。観戦していると、野手陣の守備や走塁が日本の高校野球以下の時があって気になります(特にジョー・アデル外野手!)。この守りでは、甲子園でも1回戦止まりでしょう・・・。救いは、まだ残り100試合近くあることです。ポストシーズン進出を願って、エンジェルスとダルビッシュ有投手のいるサンディエゴ・パドレスの応援を続けたいと思います。さて、今回も前回に引き続き、規制改革推進会議答申で気になったことについて書いてみたいと思います。今回は、薬関連(処方薬の市販化、SaMD)についてです。欧米と比べ、まったく進んでいない医療用医薬品のOTC化規制改革推進会議は今年の答申、「規制改革推進 に関する答申~コロナ後に向けた成長の「起動」~」1)において、「患者のための医薬品アクセスの円滑化」の項目で、処方薬の市販化促進を進めるため、厚生労働省に次のように調査を指示しました。「厚生労働省は、医療用医薬品から一般用医薬品への転用に関する申請品目(要指導[一般用]新有効成分含有医薬品)について、申請を受理したもののいまだ「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で検討されていないものの有無を確認するとともに、令和2年度以前の申請に対していまだ結論が出されていないものについて、(ア)その件数、(イ)申請ごとに、その理由、(ウ)(イ)のうち厚生労働省及びPMDAの事業者に対する指摘に対して事業者によって適切な対応が行われていないために審査が進まないとするものについては当該指摘の内容、(エ)申請ごとに、当該申請品目の成分に関して、海外主要国における一般用医薬品としての販売・承認状況及び承認年度を調査する。」国はかねてからセルフメディケーションを推進すると言っているのに、緊急避妊薬や抗潰瘍薬など、欧米と比べ医療用医薬品のOTC化がまったく進んでいないことに業を煮やした上での対応と言えます。実際、米国などに旅行に行くと、日本では市販されていない医薬品がOTCとして普通に売られていることに驚くことがあります。だからといって大きな薬害が起こった、という報道は聞いたことがありません。日本の医療用から要指導・一般用への転用が、他国と比べて慎重過ぎて大きく遅れているのは確かなようです。日本OTC医薬品協会が“塩漬け品目”を調査実は、同様の指示は昨年の答申の中の「重点的に取り組んだ事項」で、「一般用医薬品(スイッチOTC)選択肢の拡大」として掲げられていましたが、検討はその後も進んでいませんでした。今回の規制改革推進会議の議論の過程では、2022年4月27日に開かれた「医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」で スイッチOTCの選択肢拡大について議論されています。この場では、日本OTC医薬品協会が、新規性を有する品目における審査状況の調査結果(いわゆる“塩漬け品目”の実態)を報告。それを受け、厚労省による実態調査の早急な実施を22年度の答申に盛り込むことが提案され、今回の答申に至ったのです。同調査は、「スイッチOTC等新規性を有する品目について承認申請を行ったものの審査が開始されていないまたは審査中のまま停止している品目(塩漬け品目)」の実態を明らかにする目的で、同協会加盟者に実施されました。回答した16社から得られた結果によると、スイッチOTC(これまでにない医療用成分を配合する医薬品で厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の審議対象)では10~15年経過が1品目、5~10年経過が4品目、5年以内が1品目あったとのことです。さらに報告では、これまでに評価検討会議でスイッチOTC化を拒否された項目と論点が示され、「いわゆる『塩漬け品目』では、これまでに拒否された理由と共通するような照会事項が多いと推測される」と、通り一遍の否決理由を批判しました2)。4年前にはプロトンポンプ阻害薬を巡り学会と内科医会で意見分かれる塩漬け品目の存在は、厚労省の「意図的な無為」によって生じていると考えられます。理由の一つとして言われるのは、スイッチOTCが増えることで医療機関の患者数が減ることを嫌う、日本医師会や診療所開業医からの反対です。かつてこんなことがありました。2018年3月に開かれた厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、スイッチOTCの候補として要望があった成分のうち、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなどプロトンポンプ阻害薬(PPI)3成分について、日本消化器病学会と日本臨床内科医会で意見が大きく分かれたのです。日本消化器病学会は3成分のOTC化を「可」とし、「14日以内の短期使用であれば特段注意すべき点はなく、OTCとすることに問題はない」としました。一方、日本臨床内科医会は「不可」とし、理由としてPPIの有害事象や重大疾患のマスク作用、薬物相互作用の懸念などを挙げ、「これらの問題点を薬剤師がきちんと理解し販売できるか、購入数の制限がきちんと担保されるか、という第1類医薬品の販売体制も問題」と反対しました。ちなみにこの時、日本医師会常任理事の鈴木 邦彦氏(当時)も、「PPIはあまりに強力な薬。安易にOTC化するべきでない」と強く反対しています。結局、PPIはその後もOTC化されず、先述の日本OTC医薬品協会の塩漬け品目に掲載されるに至ったわけです。開業医や日本医師会の反対は「リフィル処方」に似た構造専門学会等がOKを出しているのに、開業医や日本医師会が「危ない。薬剤師に任せられない」と反論する状況、似たような話を最近どこかで聞きませんでしたか? そうです、2022年診療報酬改定で導入されたリフィル処方を巡る動きです。リフィル処方については、「第105回 進まないリフィル処方に首相も『使用促進』を明言、日医や現場の“抵抗”の行方は?」でも書いたように、現場の開業医たちの反対がことのほか強いようです。そこから透けて見えるのは、患者の再診回数減少に対する危機感です。スイッチOTCはリフィル処方よりも深刻かもしれません。再診どころか初診すら減る可能性があるからです。仮にPPIがスイッチOTC化されれば、消化性潰瘍や逆流性食道炎の初診患者が激減するでしょう。ただ、患者にとっては薬局で薬を買うだけで治るならば、そうしたいのが山々でしょう。国にとってもセルフメディケーションで十分対応できる病気ならば、保険診療の頻度を減らし、医療費を抑えたいというのが本音でしょう。今回の規制改革推進会議の調査指示をきっかけに、厚労省の日本医師会などに対する“忖度”が解消され、医療用医薬品から一般用医薬品への転用が加速するかもしれません。厚労省の調査結果を待ちたいと思います。SaMDは緩く迅速に承認しようという流れ規制改革推進会議の答申で気になった薬関連のもう一つは、SaMD(Software as a Medical Device:プログラム医療機器)についてです。答申では「質の高い医療を支える先端的な医薬品・医療機器の開発の促進」の項で、SaMDの承認審査制度の見直しや、審査手続きの簡素化、SaMDに関する医療機器製造業規制などの見直しを求めています。例えば、機械学習を用いるものは、SaMDアップデート時の審査を省略または簡略できるよう提言、2022年度中の結論を求めています。全体として、「緩く迅速に承認しよう」という方針に見えます。しかし、本連載の「高血圧治療用アプリの薬事承認取得で考えた、『デジタル薬』が効く人・効かない人の微妙な線引き」でも書いたように、こと「治療用」のSaMDについては、拙速で承認を急ぐよりもその効果や有用性の検証をもっと厳密に行い、効く人と効かない人の線引きをきちんとすることのほうが重要ではないでしょうか。ところで、治療用のSaMDは、処方しても通常の薬剤と異なり、薬剤師や薬局の介入は基本的にはありません。患者がアプリをスマートフォンなどにインストールして、プログラムをスタートさせるだけです。ゆえに、リフィル処方やスイッチOTCのような「診察回数が減る」「薬剤師に任せられない」といった問題は起こらないでしょう。その意味では、開業医や日本医師会にとってSaMDはそれほどやっかいな存在ではないはずです。しかし、よくよく考えると、SaMDがどんどん進化していけば「医師もいらない」ということになりかねません。もし、国がそんな未来までを見据えてSaMDに前のめりになっているとしたら、それはそれで恐ろしいことです。参考1)規制改革推進に関する答申 ~コロナ後に向けた成長の「起動」~/規制改革推進会議2)医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用(スイッチOTC化)の促進/日本OTC医薬品協会

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事例050 骨粗鬆症治療のイベニティ皮下注で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説骨粗鬆症の患者にロモソズマブ(商品名:イベニティ皮下注)(以下「同注射薬」)を2筒皮下注射したところ、皮下注射の手技料がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。レセプトには注射部位の記入を求められていません。また、初回の投与であるため、通知にある再投与開始時の理由をコメント記載する場合には該当しませんでした。査定理由を調べるために、カルテを確認しました。前月に同注射薬投与の是非を判定するための検査が行われていました。皮下注射は部位を変えて2ヵ所に注入したことも記載されていました。不備はありません。再度、増減点票を確かめると、他にも同注射薬に皮下注射手技料に査定があることに気付きました。調べてみると同注射薬を投与している患者すべてにおいて、皮下注射手技料が1回に査定となっていました。同注射薬の添付文書をみると、「1回当たり210mgを皮下注射する」とあります。同注射薬1筒105mgを2本使用することになります。総量の指定があるために、「皮下注射手技料は1回しか認めない」と審査基準が変更されたようです。医師と会計担当者には、皮下注射手技は1回のみの算定となったことを伝え、レセプトチェックシステムの改修を行い査定対策としました。

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クッシング症候群の高コルチゾール血症を改善する「イスツリサ錠1mg/5mg」【下平博士のDIノート】第98回

クッシング症候群の高コルチゾール血症を改善する「イスツリサ錠1mg/5mg」今回は、副腎皮質ホルモン合成阻害剤「オシロドロスタットリン酸塩(商品名:イスツリサ錠1mg/5mg、製造販売元:レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン)」を紹介します。本剤は、副腎でのコルチゾール生合成を抑制し、高コルチゾール血症を是正することでクッシング症候群の症状を改善します。<効能・効果>本剤は、クッシング症候群(外科的処置で効果が不十分または施行が困難な場合)の適応で、2021年3月23日に承認され、同年6月30日に発売されました。<用法・用量>通常、成人にはオシロドロスタットとして1回1mgを1日2回経口投与から開始し、その後は患者の状態に応じて最高用量1回30mg(1日2回)を超えない範囲で適宜調節します。なお、用量を漸増する場合は1~2週間に1回、増量幅は1回1~2mgを目安とします。中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類クラスB)では1回1mgを1日1回、重度(Child-Pugh分類クラスC)では1回1mgを2日に1回を目安に投与を開始し、服用タイミングは夕方とすることが望ましいとされます。<安全性>国内外の臨床試験では、主な副作用として疲労(30%以上)、低カリウム血症、食欲減退、浮動性めまい、頭痛、低血圧、悪心、嘔吐、下痢、男性型多毛症、ざ瘡、血中コルチコトロピン増加、血中テストステロン増加、浮腫、倦怠感(5~30%未満)が報告されています。なお、重大な副作用として低コルチゾール血症(53.9%)、QT延長(3.6%)が現れる可能性があります。<患者さんへの指導例>1.体内で過剰に分泌されている副腎からのコルチゾール合成を抑えて、高コルチゾール血症を改善する薬です。2.悪心、嘔吐、疲労、腹痛、食欲不振、めまいなどが認められた場合には、体内のコルチゾール濃度が低下し過ぎている恐れがあるので、すぐに主治医に連絡してください。3.この薬の服用により低カリウム血症になる可能性があります。体の力が抜ける感じ、手足のだるさ、こわばり、筋肉痛、呼吸困難、むくみ、高血圧などが現れた場合には医師に連絡してください。4.(妊娠する可能性がある人の場合)この薬の使用期間中および使用中止後1週間は適切な避妊をしてください。妊婦または妊娠している可能性のある方は服用できません。5.(授乳中の方に対して)薬剤が乳汁中へ移行する可能性があるため、本剤を服用中は授乳しないでください。<Shimo's eyes>クッシング症候群は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)による刺激または副腎皮質の機能亢進により、副腎皮質からコルチゾールが過剰分泌されることで、慢性的に高コルチゾール血症を呈する疾患です。治療しない場合、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などの合併症や、免疫力の低下により易感染状態をまねきます。治療の第一選択は、国内外ともに原因となる病変の外科的切除であり、手術できない場合や切除後に寛解に至らなかった場合には、薬物療法および放射線療法が選択されます。また、速やかな高コルチゾール血症の是正が必要な場合にも薬物療法が適応となります1)。本剤は、クッシング症候群の原因となるコルチゾールの生合成の最終段階である11-デオキシコルチゾールからコルチゾールへの変換を担う11β-水酸化酵素の阻害剤です。この機序により原疾患によらず、すべての内因性クッシング症候群患者において本剤の有効性が期待されます。血中濃度を安定させるため、本剤を1日2回で服用する場合は12時間間隔で、なるべく毎日同じ時間帯に服用する必要があります。服用し忘れた場合は、1回飛ばして次の回から服用を再開するように伝えましょう。重大な副作用として低コルチゾール血症が現れることがあり、副腎皮質機能不全に至る恐れがあります。そのため、定期的に血中・尿中コルチゾール値の測定が求められています。また、QT延長が現れることがあるので、投与開始前および投与開始後1週間以内、または増量時など、必要に応じた心電図検査が行われます。とくに高ストレス状態ではコルチゾール需要が増加するため、副腎不全症候群を発症する可能性があります。服薬フォローの際には、全身倦怠感、食欲不振、脱力などの症状が現れていないか聞き取ることが大切です。1)クッシング症候群診療マニュアル 改訂第2版. 診断と治療社;2015.(J Clin Endocrinol Metab. 2015;100:2807-2831.)参考1)PMDA 添付文書 イスツリサ錠1mg/イスツリサ錠5mg

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高カルシウムだったら疑いたいMAH【知って得する!?医療略語】第11回

第11回 高カルシウムだったら疑いたいMAH高カルシウム(Ca)血症に遭遇した時に注意することを教えてください高Ca血症を見かけたら、悪性疾患も鑑別に想定します。悪性疾患に伴う高Ca血症と言っても、鑑別すべき病態は複数あるので注意が必要です。≪医療略語アプリ「ポケットブレイン」より≫【略語】MAH【日本語】悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症・悪性腫瘍随伴高カルシウム血症【英字】malignancy-associated hypercalcemia【分野】腫瘍関連【診療科】全診療科【関連】局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)PTH非依存性活動性ビタミンD産生腫瘍(悪性リンパ腫)異所性PTH産生腫瘍実際のアプリの検索画面はこちら※「ポケットブレイン」は医療略語を読み解くためのもので、略語の使用を促すものではありません。最近、ハッとしたことがありました。高Ca血症の鑑別を考えたとき、悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAH:malignancy-associated hypercalcemia)について、筆者自身が悪性疾患を念頭に置いてどれくらい血清Ca値に注意を払えていただろうか、という振り返る機会があったからです。高Ca血症の鑑別は多岐に及びますが、悪性腫瘍に関連する高Ca血症の病態だけでも、以下のように複数挙げられます。悪性腫瘍に関連した高カルシウム血症腫瘍随伴体液性高Ca血症(HHM:humoral hypercalcemia of malignancy)(腫瘍細胞からのPTHrP過剰産生に基づく全身性液性機序)局所骨溶解性高Ca血症(LOH:local osteolytic hypercalcemia)(多発性骨髄腫・悪性疾患骨転移)悪性リンパ腫による活性型ビタミンD過剰産生異所性PTH産生腫瘍ただ、臨床現場では、血清Ca値の結果報告は、未補正値のみが表示されることが多く、意識してアルブミン値で補正しないと、軽度の高Ca血症は見落としてしまう可能性があります。また、血清Ca値が正常範囲内でも、過去のデータと見比べると上昇傾向になっている場合もあります。このため、過去のデータとの比較が重要となってきます。また、薬剤が血清Ca値を修飾する場合があります。高齢女性では骨粗鬆症の治療薬を使用している場合も多く、たとえばビスホスホネート製剤はその血中Ca濃度の低下作用から、血清Ca値の上昇をマスクしてしまう可能性も否定できません。血清Ca値を悪性疾患の早期発見やスクリーンニングという観点で利用することは難しいです。しかし、血清Caに異常を認めたときは悪性疾患をしっかり想定する必要があり、未診断の悪性疾患が潜んでいる可能性をきちんと想起したいものです。しばらく経ってから悪性疾患が見つかるという事態は極力避けたい状況であり、日常臨床で当たり前に検査している血清Caの解釈には、より一層の注意を払いたいと感じます。1)井上 大輔. 日内会誌. 2020;109:740-745.2)福原 傑. 日腎会誌. 2017;59:598-605.

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事例049 骨粗鬆症治療のプラリア皮下注で査定【斬らレセプト シーズン2】

解説骨粗鬆症の患者に行ったデノスマブ(商品名:プラリア皮下注)60mg(以下「同注射」)が、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて査定となりました。1筒当たりの薬価が高額のためにカルテを確認しました。カルテの前回受診日には、「次回来院予定は、6ヵ月後」と患者に説明したことが記載されていました。今回は、そろそろ6ヵ月となるからと来院された模様です。医師は、「実際には5ヵ月と少しの来院であるが、おおむね6ヵ月となるために注射は可能」と判断して実施されていました。レセプトには、前回と今回の注射施行日が記載されています。その他のコメントは記載がありませんでした。同注射の添付文書には、「骨粗鬆症の患者には60mg1筒を6ヵ月に1回、皮下注射する」と記載されています。審査支払機関では期間制限のある投与に対しては厳密に審査がなされます。このような事例では、計算時やレセプト点検時における対応ができません。大きな金額の査定につながることになります。査定対策として医師には、投与期間に期限のある薬剤に対しては患者に再度の来院を依頼していただき、医学的にやむを得ず期限を外れて必要と判断された場合には、カルテとレセプトにその旨を記載していただくことをお願いしました。

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第28回 原因は1つとは限らない【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)検査で異常値をみつけたからといって今回の原因とは限らない。2)検査で異常が認められないからといって異常なしとは限らない。3)症状を説明し得るか、結論付ける前に再考を!【症例】81歳男性。意識障害自宅で反応が乏しいところを仕事から帰宅した息子が発見し救急要請。●受診時のバイタルサイン意識20/JCS血圧148/81mmHg脈拍92回/分(整)呼吸18回/分SpO295%(RA)体温36.1℃瞳孔4/3.5 +/+既往歴認知症、高血圧、脂質異常症、便秘、不眠内服薬ドネペジル塩酸塩、トリクロルメチアジド、アトルバスタチンカルシウム水和物、酸化マグネシウム、ゾルピデム酒石酸塩所見顔面の麻痺ははっきりしないが、左上肢の運動障害あり検査の異常が今回の原因とは限らない採血、心電図、X線、CTなどの検査を行い異常がみつかることは、よくあります。特に高齢者の場合にはその頻度は高く、むしろまったく検査に異常が認められないことの方が多いでしょう。しかし、異常を認めるからといって今回の主訴の要因かというとそんなことはありません。腎機能障害、肝機能障害、貧血、電解質異常、中には急を要する場合もありますが、症状とは関係なく検査の異常が認められることはよくあるものです。そのため、検査結果は常に病歴や身体所見、バイタルサインを考慮した結果の解釈が重要です。以前から数値や所見が変わっていなければ、基本的には今回の症状とは関係ないことが多いですよね。慢性腎臓病患者のCr、Hb、心筋梗塞の既往のある患者の心電図など、けっして正常値でありません。急性の変化か否かが、1つのポイントとなりますので、以前の検査結果と比較することを徹底しましょう。検査で異常が認められないから原因ではないとは限らないコロナ禍となり早2年が経過しました。抗原検査、PCRなど何回施行したか覚えていないほど、皆さんも検査の機会があったと思います。抗原陰性だからコロナではない、PCR陰性だからコロナではない、そんなことないことは皆さんもよく理解していると思います。頭痛患者で頭部CTが陰性だからクモ膜下出血ではない、肺炎疑い患者でX線所見陰性だから肺炎ではない、CRPが陰性だから重篤な病気は否定的、CO中毒疑い患者の一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb)が正常値だからCO中毒ではないなど、例を挙げたらきりがありません。皆さんも自身で施行した検査結果で異常の1つや2つ、経験ありますよね?!原因が1つとは限らない今回の症例の原因、皆さんは何だと思いますか? もちろんこれだけでは原因の特定は難しいかもしれませんが、高齢男性の急性経過の意識障害で麻痺もあるとなると脳梗塞や脳出血などの脳卒中が考えやすいと思います。低血糖や大動脈解離、痙攣なども“stroke mimics”の代表であるため考えますが、例えばMRI検査を実施し、画像所見が光っていたらどうでしょうか? MRIで高信号な部分があるのであれば、「原因は脳梗塞で決まり」。それでよいのでしょうか?脳梗塞の病巣から症状が完全に説明できる場合にはOKですが、「この病巣で意識障害来すかな…」「こんな症状でるのかなぁ…」こんなことってありますよね。このような場合には必ず「こんなこともあるのだろう」と思考停止するのではなく、他に症状を説明し得る原因があるのではないかと再考する必要があります。この患者さんの場合には、脳梗塞に加え低栄養状態に伴うビタミン欠乏、ゾルピデム酒石酸塩による薬剤性などの影響も考えられました。ビタミンB1欠乏に伴うウェルニッケ脳症は他疾患に合併することはけっして珍しくありません1)。また、高齢者の場合には「くすりもりすく」と考え、常に薬剤の影響を考える必要があります。きちんと薬は飲んでいるのに…患者さんが訴える症状が、内服している薬剤によるものであると疑うのは、どんなときでしょうか?新規の薬剤が導入され、その後からの症状であれば疑うことは簡単です。また、用法、用量を誤って内服してしまった場合なども、その情報が得られれば薬剤性を疑うのは容易ですよね。意外と見落とされがちなのが、腎機能や肝機能の悪化に伴う薬効の増強や電解質異常などです。フレイルの高齢者は大抵の場合、食事摂取量が減少しています。数日の単位では大きな変化はなくても、数ヵ月の単位でみると体重も減少し、食事だけでなく水分の摂取も減少していることがほとんどです。そのような場合に、「ご飯は食べてますか?」と聞くだけでは不十分で、具体的に「何をどれだけ食べているのか」「数ヵ月、半年前と比較してどの程度食事摂取量や体重が変化したか」を確認するとよいでしょう。「ご飯は食べてます」という本人や家族の返答をそのまま鵜呑みにするのではなく、具体的に確認することをお勧めします。骨粗鬆症に対するビタミンD製剤による高Ca血症、利尿薬内服に伴う脚気心、眠剤など、ありとあらゆる薬の血中濃度が増加することに伴う、さまざまな症状が引き起こされかねません。薬の変更、追加がなくても「くすりもりすく」を常に意識しておきましょう。最後に高齢者は複数の基礎疾患を併せ持ち、多数の薬剤を内服しています。そのような患者が急性疾患に罹患すると検査の異常は複数存在するでしょう。時には検査が優先される場面もあるとは思いますが、常にその変化がいつからのものなのか、症状を説明しうるものなのか、いちいち考え検査結果を解釈するようにしましょう。1)Leon G. Clinicians Who Miss Wernicke Encephalopathy Are Frequently Called Defendants. Toxicology Rounds. Emergency Medicine News. 2019;41:p.14.

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コロナ禍の運動不足や孤独対策、どうするか【コロナ時代の認知症診療】第14回

“couch potato”な生活スタイルが高齢者にも?わが国ではCOVID-19(コロナ)が流行り始めた2020年の春頃から、自粛が進んだ。当初から高齢者では運動不足や活動範囲の制限による心身機能低下のへの注意が喚起されてきた。そして世界中での遷延化とともに、高齢者における活動量や身体機能をコロナ前後で比較し、その低下を報告した研究が相次いでいる。そして最近では、こうした研究のレビュー報告もでてきている。それらのレビューは当然ながら、いずれも運動量、活動範囲、消費エネルギーの低下などを報告している。このような低下が、下肢筋力の減少や、運動能力あるいは心肺機能さらにはバランスにまで影響することは、言うまでもない。新しい観点として、座りがちな生活(sedentary lifestyle)が指摘されている。数十年前から有名になったcouch potatoという英語俗語があった。これはカウチ(寝椅子)にくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごす自分の殻にこもった生活スタイルを意味する。このような状態は本来、青年や中年層のライフスタイルと思われたが、最近ではこれが高齢者でもみられるようだ(というよりカウチ青・中年が老年に至ったのか?)。実際、私の外来に来られる高齢患者のご家族がそうした指摘をされる。意外にローテクな方法が効果的な場合も?高齢者の運動不足解消また、階段の昇降段数も減っている。階段の上りの重要性はともかく、下りも大切だ。降ろした足が下のステップに着く際に、踵に重力がかかることで骨粗鬆症防御の役割も果たすのだそうだ。運動量や身体機能が下がっているのは当然としても、知的機能低下や社会交流の減少も同時に進行している。それだけに、この時代において、いかにして運動量やその関連要因の低下がもたらす弊害に対処するかの策が問題になる。多くの医学関連雑誌や行政から、コロナ禍で身体活動量を増やすことだけでなく、メンタルヘルスや社会交流の促しも視野に入れて具体的な提言などもなされている。現実的には、高齢者のITリテラシーを考慮するならローテクであろうか? たとえば週1回の電話利用、あるいは家庭訪問である。運動の分野ではこうした活動によって運動の実践を促し、転倒の危険性を少なくするように推奨されている。またハイテクならWeb利用だが、ノルウェーから自治体主催の包括的ITサービスの実例なども報告されている1,2)。PCやタブレットを用いて双方向性にコミュニケーションができるシステムである。実はこうしたサービスをわが国でもコロナ以前から実践してきた自治体もある3)。この実装のポイントは、面倒な契約などなく、クラウドや通信をひっくるめたインフラ込みの提供にあると思う。具体的には民生委員が関わるような事柄、たとえば見守りとか緊急連絡などに代表される高齢者への包括的なサービスを行ってきたようだ。世界初「孤独担当大臣」を置く英国での孤独対策コロナ禍により、飛沫感染を避けるためディスタンスは当たり前になった。そしてマスク、フェイスシールドを介してのコミュニケーションとなり、会話しながらの食事はもってのほかとなった。筆者は、見知らぬもの同士がすぐに仲良くなれる秘訣は、飲食を共にすることだと思う。その逆で、「孤食の害」はわかっていてもそうならざるを得ないのが現状である。諸悪の根源は「孤独」にあるとも言える。つまり老年心理学の観点に立つなら、「孤独」とは自分が他者から必要とされているとは思えない状態だと筆者は考えるからである。ところで英国は2018年「孤独担当大臣」を世界で初めて設けた。孤独は、肥満や1日15本の喫煙以上に体に悪く、孤独な人は、そうでない人に比べ、天寿を全うできないリスクが1.5倍に上がるとされる。そして孤独で生じる経済的損失は、約4.8兆円(日本の年間予算100兆円強)に達するとされている。そこで全国各地には、孤独対策に取り組む無数の草の根活動的な慈善団体があって、読書、音楽、スポーツなどのグループを作っている。男性の孤独解消に効果が高いと注目されるものに、mens’shed(メンズ・シェッド:男たちの集い処)がある。ここでは主に定年退職した男性が定期的に集まって、大工仕事などを一緒に行う。たとえばテーブルやベンチを作って公園に置いたり、学校に手作りの遊具を寄付したりする。皆で一緒にものを作ることで一体感が生まれ、そこからコミュニティとの絆が生まれる。さらに感謝の言葉もかけられれば、他者から自分は必要とされていると思え、生き甲斐に通じるのだそうだ。それなら確かに孤独解消につながるだろうと思われる。孤独を和らげ、身体活動や社会交流を促すためのポイントとして、屋内は駄目でも、屋外ならいいのではと考えている。というのは、コロナ禍の今でも大勢の人が集まる場所としてはゴルフ場がある。最近は市場空前の大盛況だと聞く。広々としたグリーンなら、少々喋っても構わないということである。地域でのゲートボールやグランドゴルフはこれに準ずるだろう。古典的ながら根強いのが、ラジオ体操である。基本は朝の6時頃に一定の公園など戸外に集い短時間の運動をしてあいさつ程度の言葉を交わすだけだ。けれども往復のウォーキングも加えると、コロナの時代に最低限の運動量は確保される。太極拳や自彊術であっても同様。小規模ながら、注目すべきものに老人会が主催するような公園等の清掃や環境整備が、また小学生の集団登校の見守り等もある。いずれも戸外で、マスクはしても比較的遠慮なくしゃべれる。また社会的な交流ができる。さらには自分のした仕事に対して、感謝や労いの言葉が向けられるところが重要である。お金ではない、こうした報酬が運動量を促すかもしれない。参考1)Sogstad M, et al.Health Serv Insights. 2020 Jun 8;13:1178632920922221.2)Rostad HM,et al.J Med Internet Res. 2021 Aug 16;23:e22316.3)アイラ株式会社プレスリリース

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女性のHIV感染予防にcabotegravirが有益/Lancet

 女性のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染予防において、長時間作用型注射剤cabotegravirは、1日1回経口投与のテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン(TDF-FTC)と安全性・忍容性・有効性は同等であることが、南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のSinead Delany-Moretlwe氏らによる「HPTN 084試験」の結果、示された。サハラ以南のアフリカ諸国を含む70ヵ国以上で経口避妊薬は導入されているが、スティグマや批判の声、暴力を振るわれる恐れといった日々の服用に対する高い障壁が存在することから、長時間作用型製剤が求められていた。結果を踏まえて著者は、「女性のHIV予防のための効果的な選択肢の拡充が、とくに必要性が最も高い状況にある女性にとって喫緊に求められていることから、今回のデータは、cabotegravirを選択肢に加えることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年4月1日号掲載の報告。8週ごと注射投与のcabotegravirと1日1回経口投与のTDF-FTCを比較 HPTN 084試験は、第III相の無作為化二重盲検ダブルダミー活性対照の優越性検証試験で、サハラ以南アフリカの7ヵ国20地点で行われた。参加者は18~45歳の生誕時女性で、過去30日間で2回以上の膣性交エピソードを報告し、HIVリスクスコアに基づくHIV感染リスクがあり、長時間作用型の可逆的避妊法の使用に同意した者を適格とした。 参加者は無作為に1対1の割合で、cabotegravirとプラセボTDF-FTCの投与を受ける群(cabotegravir群)またはTDF-FTCとプラセボcabotegravirの投与を受ける群(TDF-FTC群)に割り付けられた。試験薬を準備した試験地の薬剤師を除く試験スタッフおよび参加者は割り付けをマスキングされた。 参加者は、最初の経口薬導入フェーズ(ステップ1:1~4週)で、経口薬による連日投与を受けた(cabotegravir群には経口薬のcabotegravir(30mg)とプラセボTDF-FTCが、TDF-FTC群には経口薬のTDF(300mg)-FTC(200mg)とプラセボcabotegravirを投与)。続いてステップ2(5~185週)で、cabotegravir群には長期作用型注射剤cabotegravir(600mg)の8週ごと投与+プラセボ経口TDF-FTCの連日投与が、TDF-FTC群には経口TDF(300mg)-FTC(200mg)の連日投与+プラセボ注射剤cabotegravirの8週ごと投与が処方された。また、注射剤投与が中断となった参加者は、48週間にわたる非盲検下での経口TDF-FTCの連日投与が処方された。 試験の主要エンドポイントは、intention-to-treat集団におけるHIV感染の発生と、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての女性におけるGrade2以上の臨床的および検査で確認されたイベントとした。cabotegravir群のHIV感染リスクが88%低下 2017年11月27日~2020年11月4日に、参加者3,224例(cabotegravir群1,614例、TDF-FTC群1,610例)が登録された。年齢中央値は25歳(IQR:22~30)、前月に2人以上のパートナーがいた参加者は1,755/3,209例(54.7%)であった。 感染発生は3,898人年で40例観察された(HIV発生率1.0%[95%信頼区間[CI]:0.73~1.40])。cabotegravir群は4例(HIV発生率は100人年当たり0.2例[0.06~0.52])、TDF-FTC群は36例(100人年当たり1.85例[1.3~2.57])で、cabotegravir群のHIV感染リスクはTDF-FTC群より88%低かった(ハザード比:0.12[95%C:0.05~0.31]、p<0.0001)。また、両群間の絶対リスク差は-2%(-1.3~-2.7)であった。 無作為抽出のTDF-FTC群405例のサブグループ解析において、毎日の使用を示すテノホビル濃度を有する血漿サンプル例は、812/1,929例(42.1%)であった。 注射の適用者は、全被験者(人年総計)の93%にわたっていた。 有害事象の発現頻度は、注射部位反応を除いて両群で同程度あった。注射部位反応は、cabotegravir群がTDF-FTC群に比べて頻度が高かったが(577/1,519例[38.0%]vs.162/1,516例[10.7%])、注射剤投与中断には至っていなかった。妊娠が確認されたのは100人年当たり1.3例(95%CI:0.9~1.7)、先天異常の出生児は報告されなかった。

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コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著/国立成育医療研究センター

 日々の生活でビタミンDが不足すると免疫力を低下させる可能性があり、長期間の屋内生活での運動不足(骨刺激不足)では骨粗鬆症への影響も懸念される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する環境下で、医療従事者の長期間の屋内生活での影響はどのようなものがあるだろうか。 国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐 隆氏)の「ナショナルセンター職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」グループは、感染者の易感染性や重症化要因を評価する目的で、COVID-19患者受け入れ病院である同センターのハイリスク医療従事者361人(男性87人、女性274人)を対象に、2021年3月1日~5日に調査を行い、その結果を発表した。 調査の結果、対象者にはビタミンDの欠乏が顕著にみられた。そのため医療従事者だけでなく、長期間の屋内生活をしている方には、適度な日光浴もしくはビタミンDの補充(食事、サプリメント、薬剤)が重要である可能性が示唆された。屋内生活が長いときに意識したいビタミンDの摂取【背景・目的】 COVID-19の最大の特徴は、ウイルス側の感染性および病原性の変化に加え、感染者(ホスト側)の年齢や基礎疾患などによる病状の多様性にある。この点に着目し、ホスト側の易感染性もしくは重症化要因を評価するために、感染防御能力低下、動脈硬化、耐糖能異常、肝・腎機能障害、栄養低下、骨髄機能低下のスクリーニング調査を行った。【結果概要】 ・本調査で顕著に異常を認めたのはビタミンDであり、性別、年齢を問わず多くの研究参加者で不足していた。・COVID-19の防御対策や、医療従事による長期間の室内生活が紫外線吸収の低下を招いたことが原因の1つとして考えられる。・ビタミンDには多様な生理作用があり、細胞の分化・増殖や免疫機構、骨代謝と深くかかわっている。・ビタミンD不足においては、感染防御能力の低下に加え、骨代謝の低下と運動不足(骨刺激不足)による骨粗鬆症や、それに起因する骨折への注意が必要。【今後の展望・発表者のコメント】 ビタミンDを補充する方法はまちまちだが、日光(紫外線)曝露、経口摂取とそれに加え薬剤(活性型ビタミンD3製剤)の補充により免疫能力の改善、骨粗鬆症の予防が期待される。この調査は医療従事者を対象とした調査結果だが、コロナ禍で長期間の屋内生活をしている方は、適度の日光浴やビタミンDの補充を行い、ビタミンD不足を起因とする感染防御能力の低下、骨代謝の低下と運動不足による骨粗鬆症や、骨折への注意が必要と警鐘を鳴らしている。

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セレブな高血圧老婦人 彼女に利尿薬が出た理由【スーパー服薬指導(4)】

スーパー服薬指導(4)セレブな高血圧老婦人 彼女に利尿薬が出た理由講師:近藤 剛弘氏 / 元 ファイン総合研究所 専務取締役動画解説骨粗鬆症の治療を受けている患者に、降圧薬が処方された。徐々に血圧が高くなったことを聞き出した薬剤師は、処方薬の作用機序などを一通り説明。その後患者は、飲み合わせについて質問を始め…

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ホルモン薬避妊は子供の中枢神経系腫瘍リスクと関連?/JAMA

 ホルモン薬による避妊を行った母親の子供における中枢神経系の腫瘍のリスクは、ホルモン薬避妊法の経験のない母親の子供と比較して増加せず、ホルモン薬の種類ごとのリスクにも差はないことが、デンマーク・Cancer Society Research CenterのMarie Hargreave氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年1月4日号に掲載された。デンマークの全国的なコホート研究 研究グループは、デンマークにおける母親のホルモン薬避妊法の使用と子供の中枢神経系腫瘍の関連を評価する目的で、全国的なコホート研究を行った(Danish Cancer Research Foundationなどの助成を受けた)。 解析には、デンマークの人口ベースの登録データが用いられた。1996年1月1日~2014年12月31日の期間にデンマークで出生した子供が、中枢神経系腫瘍の診断に関して追跡された(最終追跡日2018年12月31日)。 ホルモン薬避妊は、レジメン(エストロゲン・プロゲスチン混合型、プロゲスチン単独型)と投与経路(経口、非経口)で分けられ、最近の使用(妊娠の過去3ヵ月以内または妊娠中)、以前の使用(妊娠の3ヵ月以上前)、非使用に分類された。注射薬、インプラント、子宮内避妊具は、使用時期に応じて分類が適切に変更された。 主要アウトカムは、20歳までに診断された中枢神経系腫瘍のハザード比(HR)および罹患率差(IRD)とされた。10万人年当たりの罹患率:最近使用5.0人、以前使用4.5人、非使用5.3人 118万5,063人の子供が解析に含まれた。1,533万5,990人年の追跡期間(平均12.9年)に725人が中枢神経系腫瘍と診断された。内訳は、ホルモン薬避妊法を最近使用した母親の子供が84人、以前に使用した母親の子供が421人、非使用の母親の子供は220人であった。診断時の子供の平均年齢は7歳で、342人(47.2%)が女児だった。 中枢神経系腫瘍の10万人年当たりの補正後罹患率は、ホルモン薬避妊法を最近使用した母親(13万6,022人)の子供が5.0人、以前使用した母親(77万8,843人)の子供が4.5人、非使用の母親(27万198人)の子供は5.3人であった。 非使用の母親の子供と比較した中枢神経系腫瘍の発生のHRは、最近使用した母親の子供が0.95(95%信頼区間[CI]:0.74~1.23、IRD:-0.3[95%CI:-1.6~1.0])、以前使用した母親の子供は0.86(0.72~1.02、-0.8[-1.7~0.0])であり、いずれも有意な差は認められなかった。 また、経口混合型、非経口混合型、経口プロゲスチン単独型、非経口薬に分けて解析しても、非使用の母親に比べ最近使用および以前使用の母親で、子供の中枢神経系腫瘍の発生に統計学的に有意な差はなかった。 著者は、「ホルモン薬避妊と子供の中枢神経系腫瘍の関連には相反する報告があるが、経口避妊薬のホルモン含有量は時とともに変動しており(たとえば、高用量から低用量へ)、本研究は以前の研究よりも最近のデータに基づくため、今回の結果も別のものとなる可能性がある」としている。

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うつ病患者にみられる併存疾患~ネットワークメタ解析

 うつ病患者は、他の併存疾患を有する可能性が高いといわれているが、これまでの併存疾患に関する研究は、主に特定の一般的な疾患に焦点が当てられており、また自己申告のデータに依存していた。中国・電子科技大学のHang Qiu氏らは、全範囲の慢性疾患を対象とし、うつ病患者における併存疾患の調査を行うため、ネットワークメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2022年1月1日号の報告。 本レトロスペクティブ研究では、うつ病入院患者2万2,872例とこれに1:1でマッチした対照群の登録を行った。併存疾患を測定するために、退院記録を集計し、有病率1%以上の患者について、さらなる分析を行った。共起頻度に基づいて、うつ病患者の性別および年齢別の併存疾患ネットワークを構築し、その結果を対照群と比較した。高度に相互リンクされたコミュニティを検出するため、Louvainアルゴリズムを用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病患者は、平均4つの併存疾患を有しており、84.4%で1つ以上の併存疾患が認められた。・うつ病を対象とした併存疾患ネットワークは、対照群よりも複雑であった(839 vs. 369)。・うつ病患者の併存疾患ネットワーク内には、複雑ではあるが明確なコミュニティが発見された。その最大のコミュニティは、脳血管疾患、慢性虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化症、骨粗鬆症が含まれた。・性別特有の疾患は、中枢神経性疾患であった。また、男女ともに心血管疾患が主要な中枢性疾患であった。・併存疾患ネットワークの主要な疾患は、うつ病患者が高齢になるほど、疾患重症度が高まった。・なお、観察された相互関連の因果関係は特定できなかった。 著者らは「併存疾患のパターンを評価するための縦断的な医療データセットへのネットワーク解析の適用は、従来の臨床研究のアプローチを補完するうえで役立つであろう。本調査結果により、うつ病関連の併存疾患についての理解が向上し、うつ病の統合管理が強化されることが望まれる」としている。

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第85回 インフルワクチン・後発薬の供給不足招いた薬剤費削減政策のツケ

新型コロナウイルスの新規感染者数は急減しているが、喜んでばかりもいられない状況になっている。インフルエンザワクチンでは製造で使う部品が新型コロナ用に回されて確保が難しくなっている上、ジェネリック医薬品も供給停止・出荷調整問題や新型コロナ感染症による需要の変化が影響し、供給不足に拍車が掛かっている。ジェネリック医薬品の使用率は2020年9月時点で78.3%と大きく、医療現場にも影響を及ぼしている。このような状況下、大阪府保険医協会は現状を把握するため、会員を対象にアンケートを実施し、11月18日に結果を公表した。厚生労働省にも実態を伝え、12月に要望書を提出する予定だ。アンケートは11月8日に会員4,407件にファクスを送信し、15日までに470件の回答を得た。主に院内処方は156件、院外処方は286件だった。インフルワクチン納入、8割超が「減った」まず、インフルエンザワクチンの当初入荷量について、397件(84.5%)が「昨年より少ない」と回答。そのうち、一番多かったのは「昨年比70%」だった。現在の入荷状況については「既に入荷」が171件、「12月までに入荷予定」が147件、「入荷数が減り目途が立たない」が144件だった(「12月まで」「目途が立たない」の重複回答が若干あり)。11月上旬時点では不安定な入荷状況が伺える。現在のインフルエンザワクチンの接種対応は「予約制」が270件、「ワクチンがあれば接種」が201件。一方で、「今季は終了した」も7件あった。また、ジェネリック医薬品については「納入がなくなった」「薬局に在庫がないと言われた」は374件(79.6%)に上った。具体的な医薬品名として175品目が挙げられ、なかでも骨粗鬆症に関わる医薬品が上位を占めた。次いで抗アレルギー薬、高血圧や消化器系の医薬品が多かった。後発薬不足による薬剤変更で副作用・症状悪化も医薬品の供給不足による影響は、「薬剤への切り替えに手間がかかる」(214件)、「他剤に切り替えたことへの弊害」(104件)、「休薬せざるを得なかった」(130件)などが挙がった。薬剤の形状や色が変わることや、医薬品不足でたびたび薬剤を変更することへの不安などから患者に対する説明が増え、薬局からの問い合わせ、代替薬の検討などの業務が診療にも影響を与えている状況が伺えた。また、頭痛・めまい・不眠などの副作用、中には圧迫骨折や発作の再発など深刻な症状悪化の報告もあった。このほか「患者負担が増えた」との報告も少なくなかった。安定供給への国の支援求める一方、政策に疑問の声一連の問題に対して国・厚生労働省が取るべき対応については、「単にメーカーの問題とせず安定供給への国の支援」(280件)がトップに挙げられた。次いで「医薬品供給状況の迅速な情報開示」(194件)、「ジェネリック医薬品の品質管理に対する規制強化」(191件)などが挙がった。会員からは、これまでの国のワクチン行政やジェネリック医薬品誘導政策への疑問の声も上がった。「毎年10月1日から全国の自治体でワクチン接種が始まることが決まっているのに、なぜ毎年、入荷が遅れたり、ワクチンが不足したりするのか」「ジェネリック医薬品の過度な誘導が今回の結果を招いている」などだ。菅 義偉政権が2年に一度だった薬価改定を毎年実施(事実上の引き下げ)に転換するなど、国の薬価切り下げ政策が医薬品メーカーの開発力や品質、安定供給体制などを低下させてはいないか。医療を巡る緊縮財政策が国民の安心安全を脅かしてはいけない。

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ビソプロロール錠0.625mg供給不足に伴う対応/日本心不全学会

 16日、ビソプロロール錠の供給が多くの地域で不足する事態となっていることを受け、日本心不全学会が提言を公表した。本剤は、左室駆出率が低下した心不全の標準治療薬として重要な役割を果たすものであり、供給が安定するまでの間の対応策として以下が提案された。 (1)供給不足に伴いβ遮断薬の投薬を中止することは避ける。(2)ビソプロロール錠0.625mgを処方する場合、できる限り長期処方を避ける。(3)ビソプロロール錠2.5mgの供給がある場合は、用量に応じて0.25錠(0.625mg)あるいは0.5錠(1.25mg)として同用量を継続する。(4)投与継続が困難な場合、以下を参考にカルベジロール錠へ切り替える。 ただし、下記の対比を参考に気管支喘息/肝障害の合併等の有無には注意を要する。・選択性:ビソプロロールはβ1選択性(β1:β2=75:1)、カルベジロールはαβ(β:非選択性)・陰性変力作用:ビソプロロール>カルベジロール※β1選択性および inverse agonism 作用の相違による・陰性変時作用:ビソプロロール>カルベジロール・気管支喘息:ビソプロロールは慎重投与、カルベジロールは禁忌・重度末梢循環障害:ビソプロロールは禁忌、カルベジロールは慎重投与・排泄:ビソプロロールは腎排泄(中等度以上の腎機能障害で血中濃度上昇あり)、カルベジロールは胆汁排泄型(腎機能障害の影響が少ない)・最大用量:ビソプロロールは5mg/日、カルベジロールは20mg/日・用量対比:ビソプロロール0.625mg/日⇔カルベジロール2.5mg/日・半減期(健康成人):ビソプロロールは8.6時間(5mg単回投与)、カルベジロールは7.72時間(20mg単回投与)(5)ビソノテープへの切り替えにおいては、心不全には適応がなく、本態性高血圧および頻脈性心房細動のみの適応であり、心不全治療薬としてそのまま切り替えることは推奨できない。 ただし、適応があり切り替える場合の用量の対比は以下のとおり。・ビソプロロール錠0.625mg/日⇒ビソノテープ1mg/日・ビソプロロール錠1.25mg/日⇒ビソノテープ2mg/日・ビソプロロール錠2.5mg/日⇒ビソノテープ4mg/日・ビソプロロール錠5mg/日⇒ビソノテープ8mg/日 なお、7月には日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会から、エルデカルシトールおよびアルファカルシドール供給不足に伴う骨粗鬆症患者への対応に関して、同様の提言が発出されている。

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