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CKD-MBD治療の新たな方向性が議論/日本透析医学会

 日本透析医学会による『慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン』の改訂に向けたポイントについて、2024年6月9日、同学会学術集会・総会のシンポジウム「CKD-MBDガイドライン 新時代」にて発表があった。 講演冒頭に濱野 高行氏(名古屋市立大学病院 腎臓内科・人工透析部)が改訂方針について、「CKD-MBDの個別化医療を目指して、さまざまなデータを解析して検討を積み重ねてきた。新しいガイドラインでは、患者の背景に合わせた診療の実現へつなげるためのユーザーフレンドリーな内容になるよう努めていきたい」とコメント。続いて、6人の医師が今後の改訂のポイントに関して解説した。保存期CKD-MBDにおけるプラクティスポイントとは 保存期CKD-MBDについて、藤崎 毅一郎氏(飯塚病院 腎臓内科)から低カルシウム血症・高リン血症のプラクティスポイントに関する提案があった。低カルシウム血症では、「まずは補正カルシウム値を確認。その後、低カルシウム血症を誘発する薬剤の確認やintact PTH(iPTH)、リン、マグネシウムを測定し、二次性副甲状腺機能亢進症の確認を行ったうえで、カルシウム製剤または活性型ビタミンD製剤の投与を検討すること」とし、高リン血症に関しても補正カルシウム値の確認を行ったうえで、「低い場合にはカルシウム含有リン吸着薬、正常であれば鉄欠乏の有無を考慮したうえで鉄含有、非含有リン吸着薬の投与を検討すること」とコメントした。最後にガイドラインの改訂に向けて、「実臨床に則したプラクティスポイントの作成を目指して検討を続けていく」と述べた。血清カルシウム、リンの管理目標値の上限は、より厳格な管理へ 血液透析患者における血清カルシウム、リンの管理目標値について、後藤 俊介氏(神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 腎・血液浄化センター)から提案があった。理事会へ提出された素案によると、血清カルシウムの下限は8.4mg/dL以上のまま、上限に関しては9.5mg/dL未満、血清リンに関しても下限は3.5mg/dL以上のまま、上限は5.5mg/dL未満が管理目標値として検討されている。同氏は、血清カルシウム、リンの管理について、「カルシミメティクスや骨粗鬆症治療薬によってカルシウムが下がりやすい環境にもあるため、低カルシウム血症には注意すること。血清リンに関しては年齢や栄養状態をよく考慮して検討すること。原疾患が糖尿病、動脈硬化性疾患の既往がある場合には目標値の上限を下げて管理することも検討する必要がある」とコメント。また、「CKD-MBDにそれほど関心がない先生方にとっても、フローチャートなどを使って診療の手助けになるものを示していくことが大切である」と述べた。患者の背景に応じたリン低下薬の選択を 前回のガイドライン以降、多くのリン低下薬が登場し、患者に合わせた薬剤選択の重要性が注目されている。山田 俊輔氏(九州大学病院 腎・高血圧・脳血管内科)からは、患者特性に基づくリン低下薬の選択について提案があった。リン低下薬を選択する際の切り口として、「リン低下だけでなく薬剤による多面的な効果、便秘などの消化器症状、PPIやH2ブロッカーなど胃酸分泌抑制薬による影響、服薬錠数や医療経済など、リン低下薬の特性だけでなく患者背景に合わせて使い分けることが大切である」と改訂に向けたポイントを述べた。プラクティスポイントとして、リン低下薬選択に関するアプローチの仕方を示した「一覧表」の紹介もあった。同氏は一覧表に関して、「基本的には患者と相談してリン低下薬を選択していくことになるが、どうやって患者に合わせて使い分けていくべきか、視覚的にわかりやすいツールがあれば判断しやすいのではないか」とコメントした。PTHの管理・治療の個別化へ向けて 血液透析患者における副甲状腺機能の評価と管理について、駒場 大峰氏(東海大学医学部 腎内分泌代謝内科学)からPTHの管理を中心に提案があった。同氏は、「PTH管理においても治療の個別化が必要である」とし、管理目標値としてiPTH 240pg/mL以下の範囲で症例ごとに個別化すること、とコメントした。具体的には、骨折リスクの高い症例(高齢・女性・低BMI・骨代謝マーカー上昇)では管理目標値を低く設定する、カルシミメティクスを使用する場合にはiPTHの下限値を設けない、活性型ビタミンD製剤を単独で使用する場合は高カルシウム血症を避けるため下限値を60pg/mLとすることなどであった。内科的治療に関しては、PTHが管理目標値より高い場合には、血清カルシウム値や患者背景に基づいて活性型ビタミンD製剤、カルシミメティクスによって管理を検討すること、血清カルシウム値が管理目標値内にあって腫大腺や65歳以上、心血管石灰化、心不全リスク、骨折リスク、高リン血症を有するなど、1つでも該当する場合にはカルシミメティクスの使用や併用をより積極的に考慮することなどを挙げた。また、内科的治療に抵抗する重度の二次性副甲状腺機能亢進症の場合には副甲状腺摘出術の適応となるが、こちらも症例ごとに検討していく必要があると述べた。透析患者における骨折リスクの評価・管理のポイントとは CKD-MBDにおける骨折リスクへの介入について、谷口 正智氏(福岡腎臓内科クリニック)からプラクティスポイントに関する解説があった。評価・管理のポイントとして、「脆弱性骨折の有無や骨密度検査および血清ALP値による骨代謝の評価を行い、骨折リスクが高い場合には、運動、転倒防止、栄養状態の改善、禁煙指導を実施したうえで、カルシミメティクスの投与を優先してPTHを低く管理することが重要である」とコメント。同氏は、それでも骨密度の改善が得られない、または骨代謝マーカーの亢進が認められる場合には、骨粗鬆症治療薬の投与を検討するよう提案した。また、透析・保存期CKD患者に対する骨粗鬆症治療薬の選択に関しては、使用制限や投与における注意点が薬剤別にまとめられた表を作成し、CKD患者においてリスクの高い骨粗鬆症治療薬もあるため、ヒートマップを活用する形で警鐘を鳴らしていくことなども必要であると述べた。腹膜透析におけるCKD-MBDの管理目標値とは 腹膜透析患者におけるMBDについて、長谷川 毅氏(昭和大学 統括研究推進センター研究推進部門/医学部内科学講座腎臓内科学部門)からガイドライン改訂に向けたポイントに関する解説があった。同氏は「リン低下薬に関しては十分なシステマティック・レビュー、メタ解析による報告がないため、血液透析患者での推奨に準拠すること。CKD-MBDの管理目標値に関しては、生命予後の観点から、リン、カルシウムを目標値内でも低めの値、残腎機能保護、血液透析への移行防止のために、リン、PTHを目標値内でも低めの値を目標とすること」と提案。また、プラクティスポイントとして、残腎機能のある症例でカルシミメティクスを使用することでリンの管理が難しくなる可能性があること、腹膜透析液のカルシウム濃度は血清カルシウム値、PTH値をみて選択することを挙げた。

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6月5日 ロコモ予防の日【今日は何の日?】

【6月5日 ロコモ予防の日】〔由来〕「ロ(6)コ(5)モ」と「ろ(6)うご(5)」(老後)と読む語呂合わせから、ロコモティブ・シンドロームの認知度を高め、その予防に関する正しい理解を広めることを目的に「ロコモティブ・シンドローム予防推進委員会」が制定。関連コンテンツ“ロコトレ”とは?【患者説明用スライド】7つの“ロコモチェック”【患者説明用スライド】ロコモティブ・シンドローム【診療よろず相談TV】20代より身長4cm以上低下、椎体骨折を疑う/日本整形外科学会終末期の運動機能の低下は死亡と関連するか/BMJ

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第212回 緊急避妊薬が必要な女性に届かず?日薬が販路拡大へ動く

厚生労働省の医薬局医薬品審査管理課の委託調査事業として、昨年11月末から日本薬剤師会(以下、日薬)が『薬局での緊急避妊薬の試験販売』を行っている。これまで47都道府県で145軒の薬局が試験販売に参加してきたが、今年度も試験販売を継続するにあたって、日本薬剤師会は6月下旬までに参加薬局を200~250軒程度まで拡大する計画だ。昨年11月末から今年1月末までの試験販売実績などは、「令和5年度厚生労働省医薬局医薬品審査管理課事業 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業報告書」としてまとめられている。この2ヵ月間での全国での販売実績は2,181件。調査研究事業であるため服用者に事後アンケートを行っており、このうち報告書で解析対象としたのは1,982件。その結果は、「面談した薬剤師の対応」「説明のわかりやすさ」「プライバシーの配慮」に対して、「とても満足」あるいは「概ね満足」と回答した割合は、それぞれ順に98.7%、98.7%、97.2%だった。薬剤師による緊急避妊薬の説明が「よく理解できた」が99.8%、必要時に「医師の診察を受けずに、薬局で薬剤師の面談を受けてから服用したい」が82.2%となっている。薬局での緊急避妊薬の販売は少なくとも服用者からの支持が高いと言ってよいだろう。今回の試験販売参加薬局の増加については、日薬常務理事の長津 雅則氏は「薬局当たりの販売件数は全国的にかなり濃淡がある。とくに女性人口に比して販売実績が少ない地域、薬局当たりの販売件数が全国平均より非常に多い地域はもう少し(軒数を)広げたほうが良いと思う。各都道府県の薬剤師会と連携し、参加薬局の追加を進めている」と定例会見で説明している。前述の報告書の結果を見ても、地域別の販売実態にばらつきが多いのは確かだ。試験販売対象は16歳以上だが、最新の国勢調査からそれ以上でかつ妊孕性があると見込まれる不妊治療の保険適用上限43歳までの女性人口を算出し、報告された都道府県別の販売件数と併せて該当女性人口1万人当たりの販売件数などを試算してみた。まず該当女性人口当たりの販売件数の全国平均は1.3件。都道府県別にすると、最低が北海道の0.2件、最高は高知県の4.4件である。このほかに販売件数が少ないのは山形県と山口県の0.4件、青森県と岐阜県の0.5件などで、逆に多いのは沖縄県の3.6件、富山県の3.2件、大分県の2.9件など。また、1薬局当たりの販売件数の全国平均は15件で、都道府県別では最低の山形県の1.7件に対し、最高の東京都は53.2件。ほかに少ない地域は山口県の2.0件、秋田県と島根県の2.7件、多い地域は沖縄県の40件、神奈川県の38.5件など。販売件数を人口当たりで見ても薬局当たりで見ても、最低値と最高値で20倍以上の開きがある。長津氏は「立地の問題もあったかと思うが、やはり人口の少ない県での販売件数は少ない」と説明したが、前述の試算データを詳細に見ると、どちらかというと立地に左右されていることがうかがえる。たとえば、該当女性人口当たりの販売件数最低の北海道、それに次ぐ山形県、山口県、岐阜県では最大人口となる道県庁所在地に参加薬局は皆無だ。1薬局当たりの販売件数が3番目に多い神奈川県も県庁所在地である横浜市には参加薬局はない。緊急避妊薬を必要とする女性(潜在的に必要とする人も含む)は、本来人口規模が大きくなればなるほど多くなると予想される。ということは、前述した道県の販売実績は少ない場合も多い場合も潜在的な必要性を正確に反映していないと言い切れるだろう。また、該当女性人口当たりの販売件数が最高値の高知県は、その該当女性人口の絶対数が全国で4番目の低値で、都道府県別で高齢化率はトップである。つまりこのような結果になったのは、高知県が特殊なのではなく、本来高知県より数値が高くなるはずの都道府県が前述のように参加薬局の立地や少なさによって、数値が見かけ上は低くなっているに過ぎないと考えるのが自然である。こうしたことを念頭に置けば、今回の日薬が参加薬局数を増やし、その立地・配置も検討するというのはある意味当然と言える。ちなみに全国145軒でこの試験販売が始まった時、前述のような人口規模が多い都道府県庁所在地に参加薬局がないなどの問題は各方面から疑問の声が上がっていた。なぜそうなったかについて、日薬関係者の口はかなり重いが、それでも聞こえてくる話を総合すると、「日本産婦人科医会などに緊急避妊薬の薬局販売に対する慎重論が根強い中、試験販売の失敗は許されず、日薬や都道府県薬剤師会との繋がりが強く信頼できる対応薬局が複数ある地域で、かつこれら薬局と連携ができて販売にも理解がある産婦人科医がいる地域を慎重に選ばねばならなかった」ということらしい。確かに日本産婦人科医会が、2021年8~9月に緊急避妊薬の処方および予期せぬ妊娠に関する診療を行っている産婦人科医を対象に行ったアンケート調査では緊急避妊薬のスイッチOTC化について、「無条件で賛成」が7.8%、「条件付き賛成」が46.9%、「反対」が42.0%で、いまだ反対が4割以上に上る。結局のところ、こうした背景による忖度などが、前述したニーズに対応できていない地域が多数あることを強くうかがわせる結果の一因のようだ。日本産婦人科医会には、なぜ、かくも一定数の根強い反対論があるのか? 同医会が行ったWebアンケートでは、緊急避妊薬のOTC化により懸念される問題はあるかについて、「ある」との回答が92.0%。具体的に懸念される問題(複数回答)については、「転売の可能性」が64.6%、「コンドーム使用率の低下による性感染症リスクの拡大の可能性」が61.1%、「緊急避妊薬服用後の妊娠(異常妊娠含む)への対応が遅れる可能性」が60.2%、「避妊に協力しない男性が増える」が57.5%などとなっている。ここで挙げられた懸念については、私も相当程度は納得する。しかし、実際のところOTC販売にどのような厳格な条件を付けても、これらを完全に防ぐことはできない。そして日本産婦人科医会をはじめとする医師系団体は、どのような条件が満たされれば試験販売からスイッチOTCとしての本格販売への移行を認めるかの出口戦略をほとんど示していない点についても、個人的にはやや首をかしげざるを得ない。確かにスイッチOTC化に一定の懸念はあるが、それは望まない妊娠の可能性に悩む女性たちの保護という眼前の問題を超えてまで語るべきほどの懸念だろうか? このように書くと、「いや、だからそうした女性は産婦人科医が直接診察して…」という声が上がるだろう。しかし、そうした女性の82.2%という大多数はその考えを支持していない。加えて今回の調査結果からは、もう1つ興味深い結果が明らかになっている。服用者に対して3~5週間後に行ったアンケートでは、その後、産婦人科医を受診したかを尋ねている。結果は受診したとの回答が14.4%。受診しなかった服用者の理由の筆頭は「生理が確認できたから」の78.8%で、次いで「受診する時間がなかったから」が21.6%。これについては多少なりとも懸念を示す医師が多いかもしれない。しかし、この調査では参考値として、緊急避妊薬を求めて産婦人科医を受診し、その後、薬局で調剤を受けた事例でも同じ調査を行っている。その結果では3~5週間後の時点で産婦人科医を受診した割合は14.3%。受診しなかった理由はやはり「生理が確認できたから」の62.5%で、「受診する時間がなかったから」が12.5%。薬局での直接販売と違うのは、「特に理由がない」が試験販売では3.3%に対し、産婦人科医から処方を受けた服用者では12.5%となっている点だ。ただ、これは深読みせずとも、この12.5%のかなりの割合が「受診する時間がなかったから」に分類されるのではと解釈するだろう。総合してみれば、緊急避妊薬を求める女性にとって、ファーストコンタクトが医師、薬剤師のいずれでも信頼度は同等と言ってもいいのではないだろうか?昨今でも望まない妊娠の結果とみられる、若い女性による胎児殺害・遺棄事件は断続的に報道されている。こうした現実や今回の結果を目の当たりにするにつけ、私たちの社会は「望まない妊娠の可能性を抱えて不安に苛まれる女性たちには一時的に耐えてもらって、転売や性感染症リスクを徹底的に封じ込める対策が確立されるまで待つ」のか「転売や性感染症拡大のリスクは一定程度目をつぶって、まずは望まない妊娠の不安を解消する」のか? これはあまりにも“究極”過ぎる選択と言えるのではないだろうか。今回の報告書を読んで、改めてこの問題に関しては、お上のお膝元で市民感覚を置き去りにした議論が行われていると思わざるを得ないのである。

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骨折治療の現在地を知る!

外傷・骨折にまつわるホットな疑問に答える!「整形・災害外科」67巻5号(2024年4月臨時増刊号)日進月歩の骨折治療において、良い医療を行うためには骨折治療を迅速に開始する、多職種連携による医療システムの構築・発展が重要となる。また、診断においては人工知能やエコーのさらなる活用も期待される。今後ますます増加することが予想される高齢者の骨折には、手術のみならず骨粗鬆症の治療や二次性骨折・周術期せん妄の予防も非常に重要となる。本特集ではこれらのホットな話題に対する現時点での取り組みや未来に向けた提言を紹介している。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する骨折治療の現在地を知る!定価8,250円(税込)判型B5判頁数276頁発行2024年4月編集渡部 欣忍ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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血液検査で変形性膝関節症を早期発見か

 変形性膝関節症(knee osteoarthritis;以下、膝OA)がX線で確認できる状態になる少なくとも8年前に、血液検査によって医師がその兆候を検出できる可能性のあることが、米デューク大学医学部病理学・整形外科学教授のVirginia Byers Kraus氏らの研究で示された。膝OAと診断された女性100人と膝OAのない女性100人の血液を分析した結果、両者の判別に有用なバイオマーカーが特定されたという。この研究の詳細は、「Science Advances」4月26日号に掲載された。 OAの成人患者数は米国だけで約3500万人に上るが、OAを完治させる治療法は、現時点では存在しない。そのため、新しい治療法の成功は、いかに早期の段階でこの疾患を発見し、進行を遅らせることができるかにかかっている。Kraus氏は、血液検査で膝OAのリスクの高いことが分かれば、減量、運動、健康的な食事といった生活習慣の是正、あるいはステロイド注射を受けるといった対策も可能になると話す。 膝OAの進行を予測する血液検査の開発に関する研究はこれまでにも複数実施されているが、検査に含めるべきバイオマーカーに関しては一貫した結果が得られていない。今回の研究は、そのバイオマーカーを特定するために実施された。 Kraus氏らは、英国の白人女性200人から採取された血清サンプル400点を用いて、質量分析によるタンパク質の定量法であるMRMアッセイにより分析を行い、膝OA発症の予測と関連する血清ペプチドの特定を試みた。これらの女性のうち、100人は10年にわたる追跡期間中にX線で膝OAが確認されていた。残る100人はこれらの女性と年齢およびBMIを一致させた膝OAのない女性であった。血清サンプルは、試験開始から2年後と6年後に採取されていた。その結果、6種類の血清ペプチドにより、膝OAを発症した女性と膝OAのない女性を、最大で発症の8年前までさかのぼって区別できる可能性のあることが示された(AUC 77%)。 こうした結果を受けてKraus氏は、「この血液検査により膝OAのある人を特定できる可能性のあることが示されたが、特に素晴らしいのは、X線で異常が確認される8年前の段階でリスク保有者を特定できたことだ」と言う。 研究グループは、心臓病や骨粗鬆症、アルツハイマー病と同様、膝OAも診断が遅れがちな慢性疾患の一つであることを指摘。早期に発見することで、悪化する前の段階で対処できる可能性があると説明している。Kraus氏は、「このことが極めて重要な理由は、OAはこれまで、X線検査での異常を伴う疾患であると考えられてきたからだ。しかし実際には、それよりも前から多くのことが生じており、より早い段階でそれを発見することで、X線上の異常が確認される患者が経験する障害や痛み、QOLの低下を防ぐことができる」と言う。研究グループはまた、膝OAは患者に痛みをもたらすだけでなく、多くの患者で人工関節置換術が必要となり経済的にも大きな負担となることを強調している。 米ウェイクフォレスト大学の健康運動科学教授のStephen Messier氏も、同様の懸念を抱いている。同氏は、「OAの負担は増大し続けており、医療費の増加や患者の予後不良の要因となっている。膝OAを早期に発見することで、より早い段階で医師が介入し、人工関節置換術が必要な状態になる前に痛みや機能の低下を抑えることができる可能性がある」と話す。 しかし、この血液検査を普及させるには、さらなる研究で検証する必要がある。また、本研究でこの検査が実施されたのは白人女性のみであるため、今後の研究では、より幅広い患者層を対象にする必要もある。

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国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」【最新!DI情報】第15回

国内初の1日1回投与の低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠25mg/50mg」今回は、低亜鉛血症治療薬「ヒスチジン亜鉛水和物(商品名:ジンタス錠25mg/50mg、製造販売元:ノーベルファーマ)」を紹介します。本剤は、1日1回の服用で亜鉛補充ができ、亜鉛欠乏による味覚障害、皮膚炎、脱毛、貧血などのさまざまな症状を改善することが期待されています。<効能・効果>低亜鉛血症の適応で、2024年3月26日に製造販売承認を取得しました。本剤は、食事などによる亜鉛摂取で十分な効果が期待できない患者に使用します。<用法・用量>通常、成人および体重30kg以上の小児では、亜鉛として1回50~100mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与します。なお、血清亜鉛濃度や患者の状態により、1日1回150mgを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>亜鉛投与による重大な副作用に銅欠乏症(頻度不明)があり、銅欠乏まで進展した場合は貧血、白血球減少などを引き起こす恐れがあります。その他の副作用(1%以上)として、消化器症状(下痢、悪心、腹部不快感)、血清膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ)上昇、貧血、浮動性めまいなどがあります。本剤投与中は、定期的(数ヵ月に1回程度)に血清亜鉛、銅、鉄を測定します。<患者さんへの指導例>1.亜鉛不足を改善するには、亜鉛を多く含む食事を積極的に摂取する食事療法が行われますが、不十分な場合には薬で補充します。2.必ず食後に服用してください。3.亜鉛を含むサプリメントや健康食品は摂取しないでください。4.亜鉛により銅の吸収が妨げられ、立ちくらみや歩きにくいなどの副作用が起こることがあります。気になる症状が現れたら、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>亜鉛は300種類以上の酵素の活性化に必要な成分で、主な酵素にはDNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、炭酸脱水酵素、アルカリホスファターゼ、アルコール脱水素酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、オルニチントランスカルバミラーゼなどがあります。亜鉛は細胞分裂や核酸代謝などに関わっており、欠乏するとタンパク合成全般が低下し、皮膚炎、脱毛、貧血、味覚障害、発育障害、性腺機能不全、食欲低下、下痢、骨粗鬆症、創傷治癒遅延、易感染性などさまざまな症状を引き起こします。低亜鉛血症では亜鉛含有量の多い食品を積極的に摂取するよう推奨しますが、血清亜鉛値が低い場合、食事からの亜鉛摂取では不十分で亜鉛補充療法が必要です。補充療法には、酢酸亜鉛(商品名:ノベルジン)が使用されますが、亜鉛イオンによる悪心・嘔吐などの消化器系副作用が問題となっています。副作用により酢酸亜鉛製剤が使用できない場合は、ポラプレジンク(同:プロマックD錠)も使用されますが、亜鉛含有量が少ない上に適応外です。本剤は、ヒスチジン亜鉛水和物の錠剤であり、亜鉛イオンと錯体化することで亜鉛の吸収を向上させています。ヒスチジン亜鉛水和物は比較的安定な錯体構造であるため、消化管で解離する亜鉛イオンは無機亜鉛塩よりも少なく、酢酸亜鉛製剤に比べて悪心・嘔吐などの消化器系副作用が軽減されています。また、酢酸亜鉛製剤は通常、成人で1日2回の投与回数ですが、本剤は1日1回投与であり、服薬アドヒアランスの改善が期待できます。低亜鉛血症患者を対象とした国内第III相臨床試験(実薬対照非盲検試験)において、投与開始24週間後までに目標血清亜鉛濃度を8週間維持できた患者の割合は、本剤群で86.4%、酢酸亜鉛群で80.4%でした。両群の割合の差は6.0%(95%信頼区間:-4.2~16.3)で非劣性マージンの-15%を上回っているので、酢酸亜鉛群に対する本剤群の非劣性が示されました。なお、酢酸亜鉛製剤と異なり、現在の適応症は低亜鉛血症のみで、「ウィルソン病(肝レンズ核変性症)」の適応は有していません。

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5月2日 カルシウムの日【今日は何の日?】

【5月2日 カルシウムの日】〔由来〕丈夫な骨を作るために欠かせない「カルシウム」を摂ることの大切さを多くの人に知ってもらうことを目的に、骨(コ[5]ツ[2])の語呂合わせからワダカルシウム製薬が制定。関連コンテンツ第23回 高齢糖尿病患者の骨折リスク、骨粗鬆症にどう対応する?【高齢者糖尿病診療のコツ】緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】カルシウムってなあに?【患者説明用スライド】カルシウムを含む食材は何【患者説明用スライド】糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

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緑豊かな住環境は骨粗鬆症リスクを下げる

 樹木など植物が茂った場所の近くに住んでいると、骨が丈夫になる可能性のあることが、平均12年間の追跡データに基づく新たな研究で示唆された。中南大学(中国)のZhengxiao Ouyang氏らによるこの研究では、衛星画像で緑地が確認された場所の近くに住んでいる人では、それ以外の場所に住んでいる人に比べて骨密度が高い傾向があることが示されたのだ。研究グループは、「住宅地の植生が骨密度の上昇や骨粗鬆症リスクの低下に関連していることを示す初のエビデンスが得られた」と述べている。詳細は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に3月5日掲載された。 この研究には、UKバイオバンクのデータベースから収集された39万1,298人の英国人(平均年齢56.2歳、女性53.0%)の生活習慣と健康状態に関する追跡データが用いられた。UKバイオバンクには、各参加者の骨密度と骨粗鬆症の遺伝リスクに関するデータのほか、食事や喫煙習慣、収入、運動量などのさまざまなデータが記録されている。 Ouyang氏らは、衛星画像に基づき各参加者の居住地域の「緑化度」の指標となる正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index;NDVI)を算出した。また、別のデータを用いて各地域の大気汚染レベルも調べた。 平均11.77年(中央値12.07年)に及ぶ追跡期間中に9,307人が骨粗鬆症を発症していた。解析の結果、居住地から300mの範囲のNDVIの四分位範囲(IQR)が増加するごとに、居住者の推定骨密度が増加し、骨粗鬆症の有病率が6%、発症リスクが5%低下することが示された。また、居住地域の緑化度が高まるほど骨粗鬆症リスクが低下する可能性が示唆された。 さらに、緑地と骨粗鬆症リスクの関連の媒介因子は、NO2(窒素酸化物)とPM2.5(微小粒子状物質)であることも示された。大気汚染にさらされると、酸化ストレスや炎症、ホルモンバランスの乱れが引き起こされ、これらが骨粗鬆症リスクを高め得ることが複数の研究で示唆されている。こうしたことから研究グループは、最も緑化度の高い地域に住む人では、木や植物が大気中の汚染物質を除去する天然のフィルターとして機能するため、大気汚染によるリスクも低くなるのではないかとの見方を示している。 Ouyang氏らは、「この研究により、骨粗鬆症の発症を予防する上で緑地が有用である可能性についての貴重な知見が得られた。効果的な予防戦略の開発において都市の緑化が重要であることを明示する結果だ」と述べ、大気汚染の軽減が骨に対する緑地の有益性の鍵を握っている可能性があるとの考えを示している。

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3つのプロゲストーゲン、髄膜腫の新たなリスク因子に/BMJ

 高用量プロゲストーゲン(nomegestrol acetate、クロルマジノン、cyproterone acetate)は、頭蓋内髄膜腫のリスク因子として知られているが、他の多くのプロゲストーゲンのリスクの評価はなされていなかった。French National HealthのNoemie Roland氏らは、今回、新たにmedrogestone、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、promegestoneの長期使用が髄膜腫の過剰なリスクと関連し、プロゲステロン、ジドロゲステロン、子宮内レボノルゲストレル放出システムにはリスクの上昇はみられず安全であることを示した。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号に掲載された。フランス在住女性の症例対照研究 研究グループは、フランスにおける8種のプロゲストーゲンの使用に関連した頭蓋内髄膜腫のリスクを評価する目的で、全国的な症例対照研究を行った(French National Health Insurance Fund[Cnam]などの助成を受けた)。 症例は、2009年1月1日~2018年12月31日に髄膜腫に対する頭蓋内手術を受けたフランス在住の女性1万8,061例であった。各症例と出生年および居住地域をマッチさせた女性5例ずつを対照とした(合計9万305例)。 全体の平均年齢は57.6(SD 12.8)歳、最も多い年齢層は45~54歳(26.7%)で、次いで55~64歳(26.4%)、65~74歳(21.5%)の順であった。短期使用では差がない medrogestone(5mg、経口薬)の現使用者は、非使用者に比べ髄膜腫の発生率が高かった(症例群0.2% vs.対照群0.1%、オッズ比[OR]:3.49、95%信頼区間[CI]:2.38~5.10)。また、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(150mg、注射薬)(0.05% vs.0.01%、5.55、2.27~13.56)、およびpromegestone(0.125/0.5mg、経口薬)(0.5% vs.0.2%、2.39、1.85~3.09)の現使用者も、髄膜腫のリスクが増加していた。 これら3剤による髄膜腫のリスク上昇は、いずれも長期(1年以上)の使用によるものであり、短期使用では両群に差を認めなかった。 一方、プロゲステロン(皮下)(症例群0.5% vs.対照群0.6%、OR:1.11、95%CI:0.89~1.40)、ジドロゲステロン(0.9% vs.1.1%、0.96、0.81~1.14)、子宮内レボノルゲストレル放出システム(52mg:3.7% vs.5.1%[OR:0.94、95%CI:0.86~1.04]、13.5mg:0.2% vs.0.2%[1.39、0.70~2.77])の3剤については、髄膜腫のリスク上昇はないことを確認した。陽性対照の3剤は高度なリスク上昇 ジエノゲストとヒドロキシプロゲステロンは、これらの投与を受けた人数が少なかったため、結論は得られなかった。 陽性対照としたcyproterone acetate(症例群4.9% vs.対照群 0.3%、OR:19.21、95%CI:16.61~22.22)、nomegestrol acetate(5.1% vs.1.2%、4.93、4.50~5.41)、酢酸クロルマジノン(3.5% vs.1.0%、3.87、3.48~4.30)は、いずれも髄膜腫の高度なリスク上昇を示した。 著者は、「とくに、広く使用されている避妊薬であるメドロキシプロゲステロン酢酸エステル注射薬の使用に関連したリスクの増加と、子宮内レボノルゲストレル放出システムの安全性を確認したことは、重要な新知見である」としている。

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カフェインは片頭痛を引き起こすのか

 カフェイン摂取は、片頭痛の要因であると考えられており、臨床医は、片頭痛患者に対しカフェイン摂取を避けるよう指導することがある。しかし、この関連性を評価した研究は、これまでほとんどなかった。習慣的なカフェイン摂取と頭痛の頻度、持続時間、強さとの関係を調査するため、米国・Albany Medical CollegeのMaggie R. Mittleman氏らは、発作性片頭痛成人患者を対象としたプロスペクティブコホート研究を実施した。Headache誌オンライン版2024年2月6日号の報告。 2016年3月~2017年8月に発作性片頭痛と診断された成人患者101例を対象に、カフェイン入り飲料の摂取に関する情報を含むベースラインアンケートを実施した。対象患者は、頭痛の発症、持続時間、痛みの強さ(スケール:0~100)に関する情報を1日2回、6週間、電子的日誌で報告した。年齢、性別、経口避妊薬の使用で調整した後、ベースライン時の習慣的なカフェイン摂取と6週間の頭痛との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・データ収集が完了した対象患者は97例。・調整後の平均頭痛日数は、習慣的なカフェイン摂取のない患者20例、カフェイン摂取1~2回/日の患者65例、カフェイン摂取3~4回/日の患者12例で同様であった。【習慣的なカフェイン摂取のない患者】7.1日、95%信頼区間(CI):5.1~9.2【カフェイン摂取1~2回/日の患者】7.4日、95%CI:6.1~8.7【カフェイン摂取3~4回/日の患者】5.9日、95%CI:3.3~8.4・推定値は不正確であったものの、平均頭痛継続時間、痛みの強さにおいても、カフェイン摂取レベルによる差は認められなかった。●平均頭痛継続時間【習慣的なカフェイン摂取のない患者】8.6時間、95%CI:3.8~13.3【カフェイン摂取1~2回/日の患者】8.5時間、95%CI:5.5~11.5【カフェイン摂取3~4回/日の患者】8.8時間、95%CI:2.3~14.9●痛みの強さ【習慣的なカフェイン摂取のない患者】43.8:95%CI、37.0~50.5【カフェイン摂取1~2回/日の患者】43.1:95%CI、38.9~47.4【カフェイン摂取3~4回/日の患者】46.5:95%CI、37.8~55.3 著者らは「本研究では、習慣的なカフェイン摂取と頭痛の頻度、持続時間、痛みの強さとの関連は認められなかったことから、発作性片頭痛患者に対するカフェイン摂取制限は推奨されない」としながらも、「通常のカフェイン摂取量から逸脱した場合、片頭痛発作が引き起こされるかどうかを明らかにするためにも、さらなる研究が求められる」としている。

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やはり高頻度だったデノスマブの透析高齢女性への投与における重症低Ca血症(解説:浦信行氏)

 デノスマブは、破骨細胞の活性化に関与すると考えられているNF-κB活性化受容体リガンド(Receptor activator of nuclear factor-κB ligand:RANKL)と結合することによって、骨破壊に起因する病的骨折等の骨関連事象の発現を抑制する、ヒト型モノクローナル抗体である。 腎不全の病態では腸管からのCa吸収が低下するため、そのCaの濃度を維持しようとして、二次性副甲状腺機能亢進を来した状態である。そのような高回転骨の状態にデノスマブを使用すると、破骨細胞性骨吸収が抑制されるが、その一方で類骨での一次石灰化は続くため、細胞外液から骨にCaが一方的に流入し、高度の低Ca血症が引き起こされると考えられる。腎不全の高齢女性の場合は、その発現頻度増加と程度が重症となる可能性が早くから指摘されていた。 米国・食品医薬品局(FDA)では、昨年11月22日にFDA主導の別の予備研究からも入院や死亡リスクが高まることを指摘していた。このたびの試験は、後ろ向き研究ではあるが1,523例を対象とし、1,281例の経口ビスホスホネート製剤群を対照に置き、頻度と重症度を比較したこれまでにない大規模研究である。 結果の詳細は2024年2月26日公開のジャーナル四天王(透析高齢女性へのデノスマブ、重度低Ca血症が大幅に増加/JAMA)をご覧いただきたいが、頻度はデノスマブ群で40%前後と著明な高値で、対照群の20倍程度多かった。また、重度低Ca血症発症から30日以内のデノスマブ群の発症者の5.4%が、痙攣や心室性不整脈と診断され、1.3%が死亡していた。デノスマブ群1,523例中、重篤な副作用は13例、死亡3例となる。ちなみに対照群では、このような転帰は皆無であった。 これまでも同様の研究がいくつか行われているが、いずれも少数例の試験であるため、発現頻度に関しては報告間で大きな差がある。また、わが国の各種の医薬品安全性情報を見ても、このような症例での報告はいずれも数十例を対象とした報告であり、透析高齢女性を対象とした報告は、少数例の成績も見当たらない。このような重要な情報は早期に提示する必要があると考える。

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薬歴からサルファ剤アレルギー患者の過敏症を回避【うまくいく!処方提案プラクティス】第58回

 今回は、化学構造式のスルホンアミド構造に目を向けて、類似構造を有する薬剤の薬剤過敏症を未然に回避した事例を紹介します。サルファ剤はスルホンアミド構造をもつ薬剤の総称1)ですが、意外な薬剤がこの構造を有していることがあります。副作用やアレルギーの記録を活用し、どのような有害エピソードがあったのかを聴取してみましょう。患者情報70歳 女性(外来)基礎疾患高血圧症、骨粗鬆症副作用歴「サルファ剤」とだけ薬歴に記載処方内容1.アムロジピンOD錠5mg 1錠 分1 朝食後2.カルベジロール錠10mg 1錠 分1 朝食後3.エルデカルシトールカプセル0.75μg 1カプセル 分1 朝食後4.アレンドロン酸35mg 1錠 起床時 毎週月曜日服用【新規処方】1.セレコキシブ錠100mg 2錠 分2 朝夕食後2.レバミピド錠100mg 2錠 分2 朝夕食後本症例のポイントこの患者さんは、基本動作はすべて自立していましたが、今回腰を痛めて整形外科を受診しました。そこで鎮痛薬を希望し、セレコキシブとレバミピドが処方されました。当薬局で処方箋を受け付け、鑑査のタイミングで薬歴を確認したところ、サルファ剤のアレルギーが登録されていることに気がつきました。そこで患者さんに、感染症治療の抗菌薬で副作用が出たことがあったかどうか確認しました。すると、過去に尿路感染症治療で服用したスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合錠で全身に発疹と呼吸困難感が生じたと話してくれました。今回の処方薬をそのまま服用した場合、構造活性相関としてセレコキシブのスルホンアミド構造によりサルファ剤アレルギーが生じる可能性が高いため、医師に処方変更を提案することにしました。スルホンアミド骨格(セレコキシブ添付文書より)処方提案と経過医師に電話で、患者にサルファ剤によるアレルギー症状の既往があり、発疹と呼吸困難感が生じていたことを報告しました。今回処方となったセレコキシブもスルホンアミド構造を有していて、過敏症による有害反応の可能性があることを伝えました。医師より代替薬はどうしたらよいか相談があったので、安全面などを考慮してアセトアミノフェン500mg 3錠 分3 毎食後を提案し、了承を得ました。患者は、アセトアミノフェンを7日間内服して腰痛も改善し、その後はアセトアミノフェンも終了となりました。1)岡田 正人ほか. 薬局. 薬剤過敏症歴がある患者の薬物治療. 2018;69:63.2)セレコックス錠 添付文書

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透析高齢女性へのデノスマブ、重度低Ca血症が大幅に増加/JAMA

 65歳以上の透析女性患者において、デノスマブは経口ビスホスホネート製剤と比べて、重度~きわめて重度の低カルシウム血症の発現率がきわめて高率であることが、米国・食品医薬品局(FDA)のSteven T. Bird氏らによる検討で示された。透析患者は骨折を引き起こす割合が高いが、エビデンスのある最適な治療戦略はない。今回の結果を踏まえて著者は、「透析患者にきわめて一般的に存在する骨病態生理の診断の複雑さや、重度の低カルシウム血症のモニタリングおよび治療に複雑な戦略を要することを踏まえたうえで、デノスマブは、慎重に患者を選択し、十分なモニタリング計画を立てたうえで投与すべきである」と述べている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。デノスマブvs.経口ビスホスホネートのリスクを評価 研究グループは、骨粗鬆症治療を受ける透析患者における重度の低カルシウム血症の発現率とリスクを調べるため、デノスマブと経口ビスホスホネート製剤を比較する後ろ向きコホート研究を行った。対象は、2013~20年にデノスマブ(60mg)または経口ビスホスホネート製剤による治療を開始したメディケアに加入している65歳以上の透析女性患者とした。 毎月の血清カルシウム値を含む臨床パフォーマンスの指標を、透析や腎移植を受ける末期腎臓病患者に関するデータを集めたConsolidated Renal Operations in a Web-Enabled Network(CROWN)データベースを介して入手。 重度の低カルシウム血症は、アルブミン値補正後の総血清カルシウム値が7.5mg/dL(1.88mmol/L)未満、または一次病院や救急部門での低カルシウム血症診断(緊急治療)と定義し、きわめて重度の低カルシウム血症(血清カルシウム値が6.5mg/dL[1.63mmol/L]未満または緊急治療)とともに、骨粗鬆症治療の開始後12週間における逆確率治療重み付け(IPTW)累積発現率、重み付けリスク差、重み付けリスク比を算出し評価した。重度の低カルシウム血症、デノスマブ群は経口ビスホスホネート群の20.7倍 非重み付けコホートにおいて、重度の低カルシウム血症の発現は、デノスマブ治療群1,523例中607例、経口ビスホスホネート治療群1,281例中23例で認められた。 重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群41.1% vs.経口ビスホスホネート群2.0%だった(重み付けリスク差:39.1%[95%信頼区間[CI]:36.3~41.9]、重み付けリスク比:20.7[13.2~41.2])。 きわめて重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群10.9% vs.経口ビスホスホネート群0.4%だった(重み付けリスク差:10.5%[95%CI:8.8~12.0]、重み付けリスク比:26.4[9.7~449.5])。

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低炭水化物ダイエット、肉食だと効果が続かない?

 低炭水化物ダイエットの体重に対する影響は一律ではないことが報告された。炭水化物を減らした分のエネルギーを植物性食品主体に置き換えて摂取した場合は減量効果が長期間続く一方、動物性食品に置き換えて摂取した場合は時間の経過とともに体重が増加に転じやすいという。米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に12月27日掲載された。論文の筆頭著者であるLiu氏は、「われわれの研究では、炭水化物を摂取すべきか摂取すべきでないかという単純な疑問の範囲を超え、食事の内容の違いが数週間や数カ月ではなく数年間にわたって、健康にどのような影響を与える可能性があるかを検討した」と述べている。 この研究は、米国で医療従事者を対象に現在も行われている、3件の大規模前向きコホート研究のデータを用いて行われた。一つは30~55歳の看護師を対象とする「Nurses' Health Study;NHS」で、別の一つは25~42歳の看護師対象の「NHS II」であり、残りの一つは男性医療従事者対象の「Health Professionals Follow-up Study;HPFS」。65歳以上や糖尿病などの慢性疾患罹患者を除外し、計12万3,332人(平均年齢45.0±9.7歳、女性83.8%)を解析対象とした。 食習慣は後述の5種類の指標で評価した。研究参加者は4年ごとにこれらのスコアが評価され、そのスコアと4年間での体重変化との関連が検討された。解析に際しては、結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧・高コレステロール血症の既往、摂取エネルギー量、糖尿病の家族歴、経口避妊薬の使用、閉経後のホルモン療法の施行など)を調整した。 全体的な炭水化物摂取量が少ないことを表すスコア(total low-carbohydrate diet)のプラスの変化(炭水化物摂取量がより少なくなること)は、体重の増加と関連していた(傾向性P<0.0001)。動物性食品からのタンパク質や脂質が多いことを表すスコア(animal-based LCD)のプラスの変化も体重の増加と関連していた(傾向性P<0.0001)。植物性食品からのタンパク質や脂質が多いことを表すスコア(vegetable-based LCD)の変化と体重変化との関連は非有意だった(傾向性P=0.16)。炭水化物は精製度の低いものとして、植物性食品からのタンパク質や健康的な脂質が多いことを表すスコア(healthy LCD)のプラスの変化は、体重の減少と関連していた(傾向性P<0.0001)。全粒穀物などの健康的な炭水化物の摂取が少なく、動物性食品からのタンパク質や脂質が多いことを表すスコア(unhealthy LCD)のプラスの変化は、体重の増加と関連していた(傾向性P<0.0001)。 サブグループ解析からは、これらの関連性は、過体重や肥満者、55歳未満、身体活動量が少ない群で、より強く認められた。論文の上席著者である同大学院のQi Sun氏は、「われわれの研究結果は、低炭水化物ダイエットをひと括りにしていたこれまでの捉え方の変更につながる知見と言えるのではないか。また、全粒穀物、果物、野菜、低脂肪乳製品などの摂取を推奨する公衆衛生対策を、より強く推進していく必要があると考えられる」と述べている。

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緊急避妊薬の市販化に伴い女性の救急外来受診が激減

 米食品医薬品局(FDA)が緊急避妊薬を処方箋なしで購入できる市販薬として承認したことが、米国の病院に予期せぬ好ましい「副作用」をもたらしたことが、新たな研究で報告された。緊急避妊薬の市販化により、女性の緊急避妊に関連した救急外来(ED)受診が96%も減少し、それに伴い医療費も大幅に削減されたことが明らかになったのだ。米ミシガン大学医学部産婦人科教授のErica Marsh氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に1月26日掲載された。 24時間受診可能で高度な医療を提供するEDは、緊急避妊を必要とする女性に対し重要な役割を果たしている。米国では、緊急避妊薬は1998年に初めてFDAにより承認され、翌年には二つ目の緊急避妊薬であるPlan B(一般名レボノルゲストレル)が承認された。その後、2006年には単回投与版のレボノルゲストレル(Plan B One-Step)が承認されるとともに、18歳以上の成人向けにPlan Bの市販が、2013年にはPlan B One-Stepの未成年に対する市販が承認された。さらに、2012年には、アフォーダブルケア法(患者保護及び医療費負担適正化法、通称オバマケア)により、緊急避妊薬を保険適用とすることが義務付けられた。 この研究では、ED受診に関する2006年から2020年の全国データを用いて、15歳から44歳の女性による緊急避妊に関連したED受診が、上述のFDAの承認に伴いどのように変化したかが調査された。 その結果、この期間に総計4万7,858件の緊急避妊関連のED受診が発生していたが、受診件数は年を追うごとに減少する傾向にあることが明らかになった。具体的には、緊急避妊関連のED受診件数は、2006年には1万7,019件だったのが2020年には659件と96%も減少していた。このようなED受診件数の減少に伴い、緊急避妊関連の医療費も、2006年の720万ドル(1ドル146円換算で10兆5120万円)から2020年には38万5,946ドル(同5634万8,116円)へと95%削減されていた。 また、米国北東部の病院では、緊急避妊関連以外のED受診については米国全体での受診の17.1〜19.1%を占める程度だったが、緊急避妊関連のED受診については米国全体での受診の43.9〜58.6%を占めていた。一方、南部の病院では、前者が41.0〜42.6%を占めていたのに対して、後者はわずか4.5〜17.4%を占めるに過ぎなかった。 さらに、緊急避妊関連でEDを受診した女性には、年齢が若い、黒人またはヒスパニック系、メディケイド加入者などの特徴があることも判明した。Marsh氏は、「緊急避妊のためにEDを受診する人は、特定の人口統計学的属性を有する人に偏っていることが明らかになった」と指摘。「これは、一部の人では、緊急避妊薬を入手する上で障壁が依然として存在することや、性的暴行などの理由によるED受診が増加していることを示唆した、外来患者を対象にした過去の調査結果と一致している」と話す。 Marsh氏は、「われわれが得た分析結果は、市販の緊急避妊薬の入手に格差が存在することを示唆するものだ。一部の人々の前に立ちはだかる障壁を取り除き、安全な緊急避妊薬を全ての人が手頃な価格で入手できるようにする政策を講じる必要がある」と述べている。

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米国皮膚科学会がにきび治療ガイドラインを改訂

 米国皮膚科学会(AAD)が、2016年以来、改訂されていなかった尋常性ざ瘡(にきび)の治療ガイドラインを改訂し、「Journal of the American Academy of Dermatology(JAAD)」1月号に公表した。本ガイドラインの上席著者で、AADの尋常性ざ瘡ガイドラインワークグループの共同議長を務める米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院皮膚科のJohn Barbieri氏は、「今回のガイドラインには、新しい外用治療薬と経口治療薬に関する内容が含まれている」と述べている。 このガイドラインは、新たに実施したシステマティックレビューの結果を踏まえて2016年のガイドラインを改訂したもの。その主な内容として、エビデンスに基づく18項目の推奨事項と、にきびの管理に有益と考えられる実践(グッドプラクティス)に関する5つの声明が提示されている。 18項目の推奨事項のうち、「強い推奨」とされたのは7項目あり、その内容は以下の4点にまとめられる。・皮膚上のアクネ菌を抑制する効果がある外用過酸化ベンゾイルの使用。・毛穴の詰まりを改善し、炎症を軽減するためのアダパレン、トレチノイン、タザロテン、トリファロテンなどの外用レチノイドの使用。・細菌と炎症レベル低減のための外用抗菌薬、またはドキシサイクリンなどの経口抗菌薬の使用。・上記の全ての薬剤を必要に応じて併用すること。 また、グッドプラクティスに関する5つの声明は、以下の通りである。・にきびの管理には、それぞれの薬剤の作用機序を考慮した併用療法が推奨される。・経口抗菌薬の使い過ぎは薬剤耐性菌の出現や抗菌薬関連の合併症発生につながり得るため、限定的な使用にとどめるべきである。・経口抗菌薬は、過酸化ベンゾイルなどの他の局所療法薬と併用することで薬剤耐性菌出現のリスクを低減させることができる。・大きいにきびや結節がある患者に対しては、炎症と痛みを早く和らげるためにコルチコステロイドの注射療法が勧められる。・上記の外用薬や経口薬が奏効しない重症患者に対しては、イソトレチノインによる治療を検討する。 最後に、AADが「条件付き」とし、ケースバイケースで医師の判断に委ねた推奨事項として、以下のものがある。・治療薬の候補には、にきびを誘発している可能性があるホルモンを標的とするクラスコテロンクリームもある。また、経口避妊薬やスピロノラクトンなどのホルモン治療薬もホルモンバランスを原因とするにきびの治療に役立つ可能性がある。・サリチル酸クリームは毛穴の詰まりを解消し、皮膚の角質を除去する効果がある。・アゼライン酸クリームは、毛穴の詰まりを解消し、細菌を死滅させ、にきび跡のシミを薄くする効果が期待できる。・経口のミノサイクリンまたはサレサイクリンは、にきびに関連する皮膚の細菌と戦い、炎症を和らげる効果が期待できる。 このほかAADは、ケミカルピーリング、レーザー、光治療器、マイクロニードルなどによるにきび治療を推奨するには、裏付けとなるエビデンスが少な過ぎると述べている。また、食習慣の改善、ビタミンや植物性製品などの代替療法を支持するエビデンスも不足しているとしている。さらに、ブロードバンド光治療、強力パルス光治療、アダパレン0.3%ゲルの使用は非推奨とされた。 Barbieri氏はAADのニュースリリースの中で、「われわれは、にきび患者の抱える懸念に取り組み、最善の治療法を決めるために努力を重ねてきた結果、これまで以上に多くの選択肢を患者に提供することができた。これと同じくらい重要なこととして、皮膚科医は、これらの治療選択肢の全てにアクセスできるようにしておくべきだ」と述べている。

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女性診療の疾患と薬がよくわかる ウィメンズヘルスケアのための薬の使い方

女性診療の知りたかった知識が満載!「月刊薬事」66巻2号(2024年1月臨時増刊号)女性診療では、女性特有の生理やホルモンの変化と症状に合わせたホルモン剤の使い方や、妊娠中や授乳中の薬の影響など特別な知識が必要なため、「むずかしそう」というイメージが強いのではないでしょうか。本書では、近年注目が高まっているウィメンズヘルスケアの視点から、外来治療を行う婦人科疾患から救急・入院治療が必要な疾患、さらに妊娠・授乳中の薬物療法、不妊治療の薬における注意点などについて、薬物治療とセルフケアを中心に解説します。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する 女性診療の疾患と薬がよくわかる ウィメンズヘルスケアのための薬の使い方定価4,400円(税込)判型B5判頁数316頁発行2024年1月編集柴田 綾子ご購入はこちらご購入はこちら

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早期閉経やホルモン補充療法は関節リウマチのリスク増加と関連

 女性は50歳未満での関節リウマチ(RA)の発症リスクが男性よりも4〜5倍高いが、この原因として、いくつかのホルモン因子が関与している可能性が新たな研究で示唆された。ホルモンや生殖に関わる因子とRAリスクとの関連を検討したところ、45歳前の早期閉経やホルモン補充療法(HRT)を受けていること、4人以上の子どもがいることなどがリスク上昇と関連していることが示されたという。安徽医科大学(中国)公共衛生学院のHai-Feng Pan氏らによるこの研究の詳細は、「RMD Open」に1月9日掲載された。 RAは、体の免疫系が関節を含む自分の組織を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患であり、ダメージが他の臓器に及ぶこともある。RAリスクは男性よりも女性で高いことが以前から知られており、女性でのリスクは、50歳未満では男性の4〜5倍、60〜70歳では男性の2倍と推定されている。さらに、女性の方が男性よりもRAの進行速度が早く、疾患活動性も高いことも知られている。 先行研究では、このような女性でのRAリスクの増加には、女性ホルモンや、妊娠や閉経などの生殖機能に関わる因子が影響している可能性が示唆されている。しかし、具体的にどの要因がRAリスクに特に強い影響を及ぼすのかについては、明らかになっていない。 Pan氏らは、UKバイオバンク参加者の中から女性22万3,526人のホルモンや生殖に関わる因子に関するデータを抽出して、それらとRAリスクとの関連を検討した。ホルモンや生殖に関わる因子には、初経年齢、妊娠歴、子どもの数、更年期、閉経年齢、生殖期間、子宮摘出歴、卵管摘出歴、避妊薬の使用歴と使用期間、HRT歴とその治療期間を含めた。 中央値で12.39年にわたる追跡期間中に3,313人(1.5%)がRAを発症していた。交絡因子を調整して解析した結果、初経年齢が14歳超の女性は初経年齢が13歳の女性と比べてRAリスクが13%有意に高いことが明らかになった(ハザード比1.13、95%信頼区間1.02〜1.26、P=0.025)。また、閉経年齢が45歳未満の女性でも閉経年齢が50〜51歳の女性と比べてRAリスクが46%高かった(同1.46、1.27〜1.67、P<0.001)。さらに、生殖期間が33年未満の女性では38〜39年の女性と比べてRAリスクが39%高かった(同1.39、1.21〜1.59、P<0.001)。この他、RAリスクは、子どもの数が2人の女性に比べて4人以上の女性では18%、子宮摘出術や卵管摘出術を受けた女性では受けていない女性に比べてそれぞれ40%と21%高かった。また、HRTの使用歴がある女性では使用歴のない女性に比べてRAリスクが46%高いことや、HRTの使用期間が1年増えるごとにRAリスクが2%上昇することも示された。 このようにいくつかの女性ホルモンや生殖に関わる因子とRAリスクとの間に関連が認められたものの、Pan氏らは、これらの結果が因果関係を示したものではないことを強調している。それでも研究グループは、「本研究で得られた知見は重要であり、女性におけるRAリスクを抑制するためのターゲットを絞った介入策を開発するための基礎となる可能性がある」と述べている。

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糖尿病患者、カルシウムサプリ常用でCVDリスク増

 カルシウムは、骨の組成に重要であり、カルシウム補助食品やサプリメントは骨粗鬆症性骨折予防などに広く用いられている。一方で、カルシウムサプリ摂取が血中カルシウム濃度を急激に上昇させ、心血管系に有害となる可能性がある。とくに心血管疾患(CVD)のリスクが高く、カルシウム代謝が低下していることが多い糖尿病患者における安全性の懸念が提起されている。中国・武漢のTongji Medical CollegeのZixin Qiu氏らによる、糖尿病患者におけるカルシウムサプリ摂取の安全性をみた研究結果がDiabetes Care誌2024年2月号に掲載された。 研究者らはUKバイオバンクに登録された43万4,374人(うち糖尿病患者2万1,676例)を主要解析対象とし、カルシウムサプリの使用と糖尿病の状態との相互作用を検証した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・43万4,374人中2万9,360人(6.8%)がベースライン時に習慣的なカルシウムサプリ使用を報告した。糖尿病患者と非患者でサプリの使用率に有意差はなかった。・追跡期間中央値8.1年および11.2年の間に、それぞれ2万6,374件のCVDイベントおよび2万526件の死亡(うち4,007件がCVD)が記録された。・多変量調整後、糖尿病患者においては、習慣的なカルシウムサプリの使用はCVD発症(HR:1.34、95%CI:1.14~1.57)、CVD死亡(HR:1.67、95%CI:1.19~2.33)、全死亡(HR:1.44、95%CI:1.20~1.72)の高リスクと有意に関連していた。一方、糖尿病のない参加者では有意な関連はみられなかった。・CVDイベントおよび死亡のリスクに関して、習慣的なカルシウムサプリの使用と糖尿病の状態との間には有意な乗法的、相加的な相互作用が認められた。一方、食事または血清カルシウムと糖尿病の状態との間には有意な相互作用はみられなかった。 研究者らは、カルシウムサプリの習慣的使用は、糖尿病患者におけるCVDイベントおよび死亡の高リスクと有意に関連していた。糖尿病患者においては、カルシウムサプリの潜在的な有害作用と考えられる有益性とのバランスをとるためにさらなる研究が必要である、としている。

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2月1日 フレイルの日【今日は何の日?】

【2月1日 フレイルの日】〔由来〕フレイルの概念、予防の重要性を多くの人に認識してもらい、健康長寿社会の実現を図ることを目的に、2月1日を「フ(2)レ(0)イ(1)ル」と読む語呂合わせから、スマートウエルネスコミュニティ協議会、日本老年学会、日本老年医学会、日本サルコペニア・フレイル学会の4団体が共同で制定した。関連コンテンツフレイルを考える【Dr.中島の新・徒然草】フレイルってなに?―栄養不足や偏りに気をつけて―運動は効果あるの?【患者説明スライド】歩行しづらいときの症状チェック【患者説明スライド】20代より身長4cm以上低下、椎体骨折を疑う/日本整形外科学会

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