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テリパラチド連日投与の市販後調査中間解析結果

 近畿大学医学部 奈良病院 整形外科・リウマチ科の宗圓 聰氏らは、骨折リスクが高い日本人骨粗鬆症患者における、テリパラチド連日投与の有効性および安全性を検討する観察研究Japan fracture observational study(JFOS)について、試験デザイン、患者背景および中間解析結果を報告した。その中で、日常診察下におけるテリパラチドの有効性プロファイルは臨床試験ならびに欧州・米国で行われた観察研究の結果と類似していることを提示した。Current Medical Research & Opinion誌オンライン版2015年7月20日号の掲載報告。 研究グループは、骨折の危険が高い骨粗鬆症患者(男性/女性)に1日1回テリパラチドを投与し、3、6および12ヵ月後に評価した。 本中間解析は、臨床骨折、骨密度(BMD)、I型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)、腰背部痛、健康関連QOL(HRQOL)および有害事象についての予備的報告である。 主な結果は以下のとおり。・1,810例(女性90.1%)が登録された。・本研究の対象は、他の観察研究でテリパラチドが投与された骨粗鬆症患者と比較し、年齢は高いが骨粗鬆症のリスク因子は少なかった。・臨床骨折の発生率は、6ヵ月後2.9%、12ヵ月後3.7%であった。・12ヵ月後の平均BMDは、ベースラインと比較して腰椎で8.9%、大腿骨近位部で0.8%増加した。・6ヵ月後の血清P1NP濃度中央値は、ベースラインと比較して187.7%高値であった。・12ヵ月後の疼痛スコア(視覚アナログスケールによる評価)はベースラインより低下し、HRQOLスコアは上昇した。・新しい有害事象は観察されなかった。

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背骨が曲がる。骨粗鬆症なの?

骨粗鬆症の症状の一例、背骨の場合では健康圧迫骨折が背骨の1つに発生【骨粗鬆症】圧迫骨折が背骨に多発骨折した! 身長が低くなった! 背中が曲がった!に思い当たったら要注意。よく検査してもらいましょう!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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なぜ骨粗鬆症になるのか?

骨粗鬆症の原因となるものは、何ですか?【骨粗鬆症】生活習慣病高血圧心臓病糖尿病薬による続発性骨粗鬆症ステロイド薬●骨粗鬆症の原因(危険因子)として、女性、加齢、喫煙、飲酒、生活習慣病、ステロイド薬使用などがあります!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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リンチ症候群の子宮内膜がんリスク、低下させるのは?/JAMA

 DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子変異キャリアであるリンチ症候群の女性について調べたところ、「初潮年齢が遅い」「生産児あり」「ホルモン避妊薬の1年以上使用」が、いずれも子宮内膜がんリスクの低下と関連することが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSeyedeh Ghazaleh Dashti氏らが、リンチ症候群の女性1,128例について行った後ろ向きコホート試験の結果、報告した。現状では、リンチ症候群の子宮内膜がんリスクを低下する方法としては、子宮摘出術のみが明らかになっている。JAMA誌7月7日号掲載の報告より。初潮、最初と最後の出産、月経閉止年齢、ホルモン避妊薬の使用などを調査 研究グループは、1997~2012年の大腸がん患者の家族レジストリ(Colon Cancer Family Registry)を基に、リンチ症候群の女性1,128例について後ろ向きコホート試験を行い、ホルモン因子と子宮内膜がんとの関連を検証した。被験者は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド在住だった。 被験者について、初潮、最初と最後の出産、月経閉止のそれぞれの年齢、生産児数、ホルモン避妊薬の使用や月経閉止後のホルモン服用の有無について調べた。 主要アウトカムは、自己申告による子宮内膜がんの診断だった。1年以上のホルモン避妊薬の使用でリスクは0.39倍に その結果、被験者のうち子宮内膜がんを発症したのは、133例だった(罹患率:0.29/100人年、95%信頼区間:0.24~0.34)。 初潮年齢が13歳以上、生産児1人以上、1年以上のホルモン避妊薬の使用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクの低下に関連していた(それぞれ、ハザード比:0.70、0.21、0.39)。 一方で、最初と最後の出産年齢や月経閉止の年齢、月経閉止後のホルモン服用は、いずれも子宮内膜がん発症リスクとは関連が認められなかった。

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骨粗鬆症薬2剤、投与順序で効果に差/Lancet

 閉経後骨粗鬆症の女性に対し、骨粗鬆症治療薬テリパラチド(商品名:フォルテオ)2年投与後にデノスマブ(同:プラリア)を2年投与した場合は、股関節部や大腿骨頚部の骨密度は継続的に増加するのに対し、デノスマブ2年投与後にテリパラチドを2年投与した場合の増加率は低下することが報告された。米国・マサチューセッツ総合病院のBenjamin Z. Leder氏らが、すでに実施したデノスマブとテリパラチドに関する無作為化試験「DATA」試験の、予定されていた延長試験として行った「DATA-Switch」の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2015年7月2日号掲載の報告。2年投与後に切り替えを行い4年時点の前・後脊椎骨の骨密度の変化率を評価 DATA試験では、閉経後骨粗鬆症の女性94例を無作為に3群に分け、1群にはテリパラチド(1日1回20mg)を、別の群にはデノスマブ(6ヵ月に1回60mg)を、もう1つの群にはその両者を、それぞれ24ヵ月間投与した。DATA試験の結果、テリパラチドとデノスマブの併用は、いずれか一方の単独投与に比べ、骨密度が有意に増大することを示した。 同グループは2011年9月27日~2013年1月28日にかけて、DATA-Switch試験を開始した。DATA試験でテリパラチド群だった被験者はデノスマブを、デノスマブ群はテリパラチドを、併用群にはデノスマブを、それぞれ投与した。 主要評価項目は、4年時点の前・後脊椎骨の骨密度の変化率で、修正intention-to-treat解析で評価した。脊椎骨密度変化率に群間差はみられなかったが… その結果、48ヵ月時点の脊椎骨密度の平均変化率は、テリパラチド→デノスマブ群(27例)が18.3%(95%信頼区間:14.9~21.8)、デノスマブ→テリパラチド群(27例)が14.0%(同:10.9~17.2)、併用→デノスマブ群(23例)が16.0%(同:14.0~18.0)と、各群間で有意差はみられなかった(テリパラチド→デノスマブ群 vs.デノスマブ→テリパラチド群のp=0.13、テリパラチド→デノスマブ群 vs.併用群のp=0.30、デノスマブ→テリパラチド群 vs.併用群のp=0.41)。 副次アウトカムの股関節部骨密度変化率は、テリパラチド→デノスマブ群が6.6%、併用→デノスマブ群が8.6%と、デノスマブ→テリパラチド群の2.8%より高率だった(それぞれp=0.0002、p<0.0001、併用→デノスマブ群 vs.テリパラチド→デノスマブ群のp=0.0446)。 同様に大腿骨頚部骨密度変化率についても、テリパラチド→デノスマブ群が8.3%、併用→デノスマブ群が9.1%と、デノスマブ→テリパラチド群の4.9%より高率だった(それぞれp=0.0447、p=0.0336)。なお併用→デノスマブ群 vs.テリパラチド→デノスマブ群の有意差はみられなかった(p=0.67)。 橈骨密度変化率は、テリパラチド→デノスマブ群は0.0%と変わらなかった。デノスマブ→テリパラチド群が-1.8%と減少し、併用→デノスマブ群は2.8%と増加した(テリパラチド→デノスマブ群 vs.併用→デノスマブ群のp=0.0075、デノスマブ→テリパラチド群 vs.併用→デノスマブ群のp=0.0099)。 デノスマブ→テリパラチド群の1例で、治療に関連すると思われた腎結石が認められた。 以上の結果を踏まえて著者は、「閉経後骨粗鬆症患者の導入および継続治療について、これらの結果を考慮するべきだろう」と指摘している。

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脊椎圧迫骨折治療に有望な、新たな椎体形成術

 Kivaシステムは、椎体内にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を素材としたデバイスを埋め込み、その中に骨セメントを充填する椎体形成術(Vertebral Augmentation)である。米国・ウィスコンシン医科大学のSean M Tutton氏らは、安全性、有効性について、有痛性の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者を対象に多施設無作為化比較試験KAST研究を行った。その結果、主要評価項目である疼痛改善、機能の維持・改善および安全性の複合エンドポイントに関してKivaシステムのバルーン椎体形成術(BKP)に対する非劣性が確認されたことを報告した。副次的評価項目においてもKivaシステムで良好な結果が得られたという。Spine誌2015年6月15日号(オンライン版2015年5月27日号)の掲載報告。 試験は、有痛性の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折(1~2椎体)を有する患者300例で、Kiva群(153例)とBKP群(147例)に無作為化して単盲検下にて手術を行い、12ヵ月間追跡した。 主要評価項目は、12ヵ月後における疼痛減少(視覚アナログスケール[VAS]による)、機能の維持または改善(オスウェストリー障害指数[ODI]による)、およびデバイスに関連した重篤な有害事象の複合エンドポイントであった。 主な結果は以下のとおり。・VASスコアはKiva群で70.8ポイント、BKP群で71.8ポイント改善した。・ODIはそれぞれ38.1ポイントおよび42.2ポイント改善した。・デバイスに関連した重篤な有害事象は認められなかった。・主要評価項目においてKivaのBKPに対する非劣性が示された。・副次的評価項目では、骨セメントの使用量および漏出に関してKivaの優位性が認められた。

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骨の強さは何でわかる?

人間の一生における骨の量の変化最大骨量【骨粗鬆症】高齢になるほど減少閉経骨量0102030405060708090100(年齢)骨量は、20代で1番多くなり、次第に減少していきます。骨の量が減少し、知らないうちにかかる病気が骨粗鬆症です。特に女性で、閉経後の女性は、ホルモンの減少、栄養不足など注意が必要です。監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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骨粗鬆症とはどんな病気?

骨粗鬆症とはどんな病気ですか?【骨粗鬆症骨粗鬆症とは、「骨がもろくなって、骨折しやすくなる病気」のことです骨の中がぎっしり骨の中がスカスカ骨粗鬆症の骨は、骨の中の密度が薄くなり、骨が弱くなっていますので骨折しやすくなります!!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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混合型経口避妊薬、静脈血栓塞栓症リスクが3倍/BMJ

 混合型経口避妊薬の服用は、静脈血栓塞栓症(VTE)発症リスクを3倍近く増大することが明らかにされた。なかでも新世代の避妊薬では約4倍と、第2世代避妊薬に比べ有意に高い。英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らが、2件の大規模なプライマリケアデータベースを用いたコホート内ケース・コントロール試験を行い明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年5月26日号掲載の報告より。 英国一般診療所の2つのデータベースから抽出  研究グループは、2001~2013年にかけて、15~49歳でVTEの初回診断を受けた女性と、年齢などをマッチングしたコントロール群について試験を行い、混合型経口避妊薬とVTEの発症リスクの関連を分析した。 被験者は、英国の一般診療所が加入する、Clinical Practice Research Datalink(CPRD、618診療所が加入)とQResearch primary care database(722診療所が加入)の2つのデータベースから抽出した。服用1万人ごとのVTE追加発症数、デソゲストレルとcyproteroneは各14例 試験期間中にVTEを発症したのは、CPRDコホート5,062例、QResearchコホート5,500例だった。 混合型経口避妊薬の服用者は、前年の同非服用者に比べ、VTE発症リスクがおよそ3倍増大した(補正後オッズ比:2.97、95%信頼区間[CI]:2.78~3.17)。 同オッズ比は、新世代のデソゲストレルでは4.28(95%CI:3.66~5.01)、gestodeneは3.64(同:3.00~4.43)、ドロスピレノンは4.12(同:3.43~4.96)、cyproteroneは4.27(同:3.57~5.11)であり、第2世代避妊薬のレボノルゲストレルの同オッズ比2.38(同:2.18~2.59)、ノルエチステロンの2.56(同:2.15~3.06)、norgestimateの2.53(同:2.17~2.96)に比べ、リスクが顕著に高かった。 服用1万人につきVTE追加発症数は、最少がレボノルゲストレル6例(95%CI:5~7)、norgestimate6例(同:5~8)である一方、最大はデソゲストレル14例(同:11~17)、cyproterone14例(同:11~17)だった。

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事例56 I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)検査の査定【斬らレセプト】

解説事例では、骨粗鬆症の治療方針決定のために実施した B008「20」I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)が、縦覧点検においてD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)により査定となった。同検査の算定留意事項には、「骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択時に1回、その後6月以内の薬剤効果判定時に1回に限り、また薬剤治療方針を変更したときは、変更後6月以内に1回に限り算定できる」とある。また、レセプトの記載要領には、「算定回数が複数月に1回のみとされている検査を実施した場合は、『摘要』欄に前回の実施日(初回の場合は初回である旨)を記載する」とある。事例のレセプトでは、記載要件どおりであり、11月に検査を実施してから6月以内の翌年3月に再検査されたことが読み取れる。しかし、何のために実施されたが記載されていない。そのため、再検査は薬剤効果判定もしくは薬剤変更のコメントがなければ認めないと査定になったものと推測できる。事例のように複数の算定要件が示されている場合には、記載要領にて指示されていなくともいずれの算定要件を満たしているのかが読み取れるように補記することが必要であった。

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Vol. 3 No. 3 大動脈弁狭窄症患者の特徴

有田 武史 氏九州大学病院ハートセンター内科はじめに大動脈弁狭窄症(AS)患者が増えている。大動脈弁狭窄はリウマチ性のものと加齢変性によるものの2つの原因によるものがほとんどである。リウマチ性弁膜症の新規発症症例は激減しており、大部分は加齢変性によるものである。加えて近年の診断技術の評価、ならびに診断基準の変化(進化)が新規ASの診断数を増やしている。本稿では近年の日本におけるAS患者の特徴につき概説を行う。AS患者の背景ASは加齢とともに増加し、平均年齢は明らかに他の弁膜症よりも高齢である。75歳以上の患者9,723人をメタ解析した報告によれば、75歳以上の3.4%に重症ASが認められた1)。また解析数は少ないが、日本からの報告では、重症ASの平均年齢は78.4歳であり、85 歳以上が10%に認められた2)。大動脈弁閉鎖不全や僧房弁閉鎖不全は弁尖の逸脱や弁尖変性などが原因のほとんどであるのに対して、加齢変性によるASは弁の基部から石灰化を中心とした弁変性が進行し弁全体の硬化につながるのが特徴的である。弁交連部が癒合しあたかも二尖弁のように見えることもあるが、基本的には先天性二尖弁のrapheと異なり交連癒合そのものはそれほど強くない。弁の硬化のメカニズムについては、従来より骨代謝の観点、動脈硬化の観点、炎症の観点などから研究されてきた。確かに大動脈弁の大動脈側は血管内皮に被覆されており、高齢者に多く認められる病態であることから、大動脈弁狭窄は動脈硬化または血行動態的に負荷を受け続けた“なれの果て”のようにいわれることもある。しかしながら近年の報告では、大動脈弁硬化症から狭窄症への進展には石灰化と骨化のメカニズムが深く関与しており、能動的な炎症のプロセスが関与していることがわかってきている3)。骨粗鬆症、大動脈弁狭窄、動脈硬化は、脂肪沈着をはじめ多くの共通のプロセスをもつ(本誌p.9図1を参照)4)。しかしながら、動脈硬化を進展抑制または退行させることが証明されているスタチン製剤やアンギオテンシン阻害薬は、大動脈弁狭窄の進行を抑制することはできなかったことがいくつかの研究より明らかになっている。同様に、骨粗鬆症の薬もASの進行を抑制するまでには至らなかった。近年、骨化のメカニズムに炎症が関与しているとの研究が多くなされ、抗炎症薬(例えば低用量メトトレキサート)のASの進行抑制に対する効果を検証する研究も行われている5)。透析患者においてASは高率に認められる。透析患者においては副甲状腺機能亢進症を続発的に認めることが多く、カルシウムおよびリンの代謝の変調が弁硬化/弁狭窄をもたらすことは容易に理解できる。しかしながら、続発性副甲状腺機能亢進症の治療薬で透析患者におけるASの進展を抑制したというエビデンスはない。このように硬化性ASの病態は炎症・動脈硬化・石灰化・骨化のメカニズムが複合的に関与している。単純に“動脈硬化のなれの果て”ではないことをよく理解し、診療にあたることが肝要である。心エコーによる診断ASの診断は、いまではもっぱらドプラーエコーを用いた連続の式により弁口面積ならびに弁前後の圧較差を求めることで診断する。面積では弁口面積1.0cm2以下または体表面積補正弁口面積0.6cm/m2以下を重症とし、圧較差では平均圧較差で40mmHg以上を重症とする。重症度という意味ではこの二変数のみで評価することは可能であるが、弁の形態・機能、左室の形態・機能という観点からはいくらかの多様性がある。1. 弁硬化のパターン通常、硬化性ASの大動脈弁の病変は交連部ではなく弁尖の基部または底部から始まる。NCCには冠動脈開口部がなく、そのためNCCにはよりずり応力がかかることから石灰化が進みやすいとされる4)。一般的にはリウマチ性ASでは交連部癒着が高度であり、硬化性ASでは交連部は変性がみられるのみで癒合に乏しい(本誌p.10図2を参照)6)。後天性二尖弁と俗に呼ばれる交連部が癒着した三尖大動脈弁狭窄も散見されるが、rapheの高さによって先天性二尖弁とは区別される(先天性は弁尖縁の高さよりもrapheが低い)7)。後天性二尖弁の原因は以前はリウマチ性が多いとされてきたが、硬化性ASにおいても可動性がほとんどないために癒合しているように見えるものもあり注意が必要である。2. 左室の形態・機能大動脈弁位で圧較差があるため、左室にとっての後負荷は甚大なものとなり、通常左室は求心性左室肥大を呈することが多い。しかしながらMRIを用いたDweckらの報告によれば、ASを有する左室では左室肥大を呈さないまま左室内腔の狭小化した、いわゆる求心性リモデリングした左室もしばしば認められる。Dweckらによれば、左室肥大の程度は大動脈弁弁口面積とは関係なく、求心性肥大のほかにも正常形態(12%)、求心性リモデリング(12%)、非代償化(11%)などが認められたという(本誌p.11図3を参照)8)。重症ASでなぜ左室肥大が起こらないのか、機序についてはまだ確立したものはないが、左室重量は大動脈弁狭窄の重症度とは関係がなく、むしろ性別や高血圧の程度、その他の弁機能異常などと関係が強く、また症状との関係が強いことが他の研究でも示唆されている。正常の重症ASに関しては、左室重量が治療法選択の面でも注意が必要である。low gradient ASはASなのか?Doppler法による弁口面積測定が一般的になるにつれ面積としては十分に狭いが圧較差がそれほどでもないという症例をしばしば経験するようになった。近年では重症AS(AVAi<0.6cm2/m2)をflowとpressure gradientの2変数によって4群に分けることで層別化を図ろうとする考えがある。Lance-llottiらは、無症候性重症ASを4群に分けてフォローし、low flow, low gradient ASが最も予後が悪く、次にいずれかのhigh gradient ASがつづき、normal flow, low gradient ASは比較的予後がよいという報告を行った(本誌p.12 図4を参照)9)。Flowはvelocity x areaであり、gradientとvelocityは二乗比例の関係にある。よってflowとgradientが乖離するような症例はareaが小さい、すなわち左室流出路が小さい症例ということになる。おそらくはそのような症例はS字状中隔の症例が多く、体格が小さく、弁輪部の石灰化も高度で測定の誤差もあるのかもしれないが、現象論としてnormal flow, low gradientのASは全例が予後不良ではないかもしれない、という認識をもつことが重要である。超高齢者のASの問題点:Frailtyの評価と老年医学的評価の重要性近年、TAVIを治療法の1つとして日常的に検討するようになり、超高齢者(85歳以上)を診察治療することが多くなってきた。上述のように弁口面積や左室機能形態を評価することはもちろん重要であるが高齢者はさまざまな身体的問題を抱えているのが普通である。認知機能障害、ふらつき、運動機能障害、栄養障害など、それらを総称して老年症候群と呼ぶが、老年症候群の1つとしてfrailty(虚弱、フレイル)が年齢とは独立した予後規定因子として近年広く認識されるようになった。Frailtyの特徴は(1)力が弱くなること、(2)倦怠感や日常動作がおっくうになること、(3)活動性が低下すること、(4)歩くのが遅くなること、(5)体重が減少すること、の5つに集約され、このうち3つ以上該当すればfrailtyありと考える10)。日本の介護保険制度との関連で考えると、frailtyありの状態(“フレイルの状態”)は要介護の前段階であり、この兆候を早期に診断し、介入することは極めて重要であると思われる。残念ながら、多くの病院勤務循環器内科医は専門医に過ぎず、治療適応外と判断された多くの高齢者に対して、人生の終わりまで寄り添うような診療はできていないのが実情であると思われる。または、外科手術の適応と判断したときから心臓外科にすべてを委ねてはいなかったか。今後TAVIが日常的な医療行為になるにつれ、循環器病棟は高齢者で溢れてくることが容易に予想される。平均寿命を優に超えてしまった患者に対して行う医療は、何を目的とすべきだろうか。予後の改善であろうか、QOLの改善であろうか。大動脈弁狭窄を解除することだけが治療の目的でないことは明白である。TAVIを施行するにあたっては、弁の状態、心血管機能の評価、他臓器の評価、老年医学的全身評価の4段階にわたる評価が重要である。そのうえで、TAVIの目的をどこに置くかということに関しては個々の症例により判断が異なるため、多職種から構成されるハートチームでの議論が必要不可欠である。文献1)Osnabrugge RL et al. Aortic stenosis in the elderly: disease prevalence and number of candidates for transcatheter aortic valve replacement: a meta-analysis and modeling study. J Am Coll Cardiol 2013; 62: 1002-1012.2)Ohno M et al. Current state of symptomatic aortic valve stenosis in the Japanese elderly. Circ J 2011; 75: 2474-2481.3)Lindman BR et al. Current management of calcific aortic stenosis. Circ Res 2013; 113: 223-237.4)Dweck MR et al. Calcific aortic stenosis: a disease of the valve and the myocardium. J Am Coll Cardiol 2012; 60: 1854-1863.5)Everett BM et al. Rationale and design of the Cardiovascular Inflammation Reduction Trial: a test of the inflammatory hypothesis of atherothrombosis. Am Heart J 2013; 166: 199-207 e15.6)Baumgartner H et al. Echocardiographic assessment of valve stenosis: EAE/ASE recommendations for clinical practice. J Am Soc Echocardiogr 2009; 22: 1-23; quiz 101-102.7)Cardella JF et al. Association of the acquired bicuspid aortic valve with rheumatic disease of atrioventricular valves. Am J Cardiol 1989; 63: 876-877.8)Dweck MR et al. Left ventricular remodeling and hypertrophy in patients with aortic stenosis: insights from cardiovascular magnetic resonance. J Cardiovasc Magn Reson 2012; 14: 50.9)Lancellotti P et al. Clinical outcome in asymptomatic severe aortic stenosis: insights from the new proposed aortic stenosis grading classification. J Am Coll Cardiol 2012; 59: 235-243.10)Fried LP et al. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001; 56: M146-156.

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テリパラチドは椎体圧潰を予防する?

 椎体骨折はしばしば骨粗鬆症患者に認められる。骨粗鬆症薬テリパラチド(商品名:フォルテオほか)は骨癒合促進作用も期待されていることから、中通総合病院(秋田県秋田市)の土江 博幸氏らは、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折に対するテリパラチドの椎体圧潰予防効果について検討した。その結果、テリパラチド20μg/日連日投与はリセドロネート(商品名:アクトネルほか)17.5mg/週投与に比べ、腰痛、椎体圧潰率、局所後弯角ならびにクレフト発生率が有意に低かった。結果を踏まえて著者は「テリパラチドは、脊椎骨折の後弯脊椎圧潰進行予防効果が示唆される」と述べている。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2015年3月14日号の掲載報告。  検討は、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折34例48椎体を対象に行われた。 テリパラチド20μg/日(連日投与群)、テリパラチド56.5μg/週(週1回投与群)またはリセドロネート17.5mg/週(RIS群)を投与した(それぞれ10例20椎体、11例15椎体および13例14椎体)。 評価項目は、腰痛(視覚アナログスケール[VAS])、骨折椎体圧潰率、局所後弯角および骨折椎体内のクレフト発生率で、骨粗鬆症治療薬を服用していない22例の椎体骨折患者を対照として評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療開始時は、あらゆる評価項目について、有意差はみられなかった。・初回受診後8週後および12週後において、VASが、テリパラチド連日投与群ならびに週1回群がRIS群より有意に低かった(p<0.05)。・圧潰率および局所後弯角は、8週後および12週後において、テリパラチド連日投与群が、RIS群ならびに対照群より有意に低く(それぞれp<0.01およびp<0.05)、またテリパラチド週1回群は対照群より有意に低かった(p<0.05)。・クレフト発生率について、テリパラチド連日投与群はRIS群より有意に低かった(p<0.05)。

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【日本発】FRAXの骨折予測精度を高める方法

 骨折リスク評価ツールFRAXは骨折リスクの評価に利用されているが、その精度は十分とはいえず、改善が望まれている。 そこで近畿大学の伊木 雅之氏らは、12の地域に住む65歳以上の高齢日本人男性2,000人を対象に、FRAXを補完する手段として海綿骨スコア(TBS)が有用であるかどうかの調査を行った。 その結果、TBSはFRAXと組み合わせることで予測精度を向上させる可能性が示唆された。Osteoporos Int誌 オンライン版2015年3月10日掲載の報告。FRAXにTBSを組み合わせることにより予測精度に有意な改善 FRAXを補完する手段としてTBSが有用であるかどうかの調査の、主な結果は以下のとおり。・追跡可能な1,872人のうち22例に骨粗鬆症性骨折が認められた。・骨粗鬆症性骨折がある群は、骨折がない群と比較して、有意にTBSが低く(p=0.0015)FRAXスコアが高かった(p=0.0089)。・統合判別改善度(IDI)、総再分類改善度(NRI)において、FRAXにTBSを組み合わせることにより予測精度に有意な改善がみられた。(IDI:0.006[p=0.0362]、NRI:0.452[p=0.0351])

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骨粗鬆症」予防にはリスク認識が有効

 骨粗鬆症は日本において公衆衛生上の大きな問題となっている疾患である。しかし、そのリスクは過小評価され、患者はきちんとした治療を受けていない場合も多い。 骨粗鬆症を予防するためには、骨粗鬆症に対するリスクをしっかりと認識する必要がある。日本イーライリリーの佐藤氏らは、骨折の既往歴と、“自分が骨粗鬆症になる危険性がある”という認識(リスク認識)との関係を明らかにするため、日本の50歳以上の女性を対象に大規模年次調査を行った。その結果、想定されていたよりもリスク認識が低いことがわかった。Archives of osteoporosis誌2014年12月号(オンライン版2014年11月13日号)の掲載報告。 本研究は、日本のNational Health and Wellness Survey(NHWS)のデータを基に解析した。対象は骨粗鬆症と診断されていない50歳以上の女性で、50歳までの骨折歴と骨粗鬆症のリスク認識の有無で4つの群に分類された。社会人口学的特性と健康状態特性の群間比較には二変量解析が用いられ、健康アウトカムは一般化線形モデルで比較された。 主な結果は、以下のとおり。・調査には1万6,801人の女性(50~93歳)が参加し、平均年齢60歳であった。・参加者の大半(76.2%、n=1万2,798)は、骨折歴がなく、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。・12.9%(n=2,170)は骨折歴がないが、骨粗鬆症のリスクがあると感じていた。・8.7%(n=1,455)は骨折歴があったが、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。・2.2%(n=378)は骨折歴があり、骨粗鬆症のリスクがあると自覚していた。・リスク認識は、骨折歴がある人でわずかに高かった(骨折歴あり:20.6%、なし:14.5%、p<0.001)。・骨粗鬆症の家族歴がある人ほど、リスク認識が高かった。 今回の調査から、50歳以上の日本人女性の約15%が将来、自身が骨粗鬆症になるリスクを認識していることがわかったが、この数字は疫学研究者の想定よりもはるかに低い数字であった。さらに、このリスク認識と疫学的リスクである骨折との関連性は弱いものでしかなく、患者教育の必要性が示唆された。

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【日本発】ピロリ菌保菌者は骨粗鬆症に注意

 ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が骨に与える影響について、海外ではいくつかの報告があるものの日本ではほとんど報告がない。 そこで、神戸薬科大学の水野 成人氏らは、50~60代の男性230人を対象とし、ピロリ菌感染や萎縮性胃炎が骨の状態を測るバイオマーカーとして有用かどうかを調べた。 その結果、ピロリ菌感染や萎縮性胃炎の血清学的診断は、骨粗鬆症のリスクアセスメントに有用であることがわかった。Digestive diseases and sciences誌オンライン版2015年2月8日の報告。 主な結果は以下の通り・ピロリ菌は有意に海綿骨密度低下のリスクを増加させた。(オッズ比:1.83、95%CI:1.04~3.21、p=0.03)・萎縮性胃炎は有意に海綿骨密度低下のリスクを増加させた。(同:2.22、1.17~4.22、0.01)・ピロリ菌抗体陽性かつ萎縮性胃炎ありの被験者では、そうでない被験者と比較して、有意に海綿骨密度低下のリスクが高かった。(同:2.65、1.27~5.55、0.01)

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経口避妊薬を使うとリウマチを予防できる?

 経口避妊薬と関節リウマチ(RA)との関連について、多数の疫学調査で相反する結果が示されている。中国・China-Japan Union HospitalのShuang Qi氏らは、この関連性を検討するためメタ解析を行ったが、「経口避妊薬が女性のRA発症を予防する効果がある」という仮説を証明することはできなかった。Therapeutics and Clinical Risk Management誌2014年11月4日号の掲載報告。 本研究では、PubMedとEMBASEを検索し、経口避妊薬のRA発症リスクとの関連を検討した試験を収集し、それを基にメタ解析を行った。ランダム効果モデルを用いて、相対リスク(RR)および95%信頼区間(95%CI)を算出した。主な結果は以下のとおり。・メタ解析に組み込まれたのは、1982年から2010年に行われた17試験(12件のケースコントロール試験、5件のコホート試験)であった。・経口避妊薬とRA発症リスクとの間に有意な関連は認められなかった(RR 0.88、95%CI:0.75~1.03)。・地域別にみたサブグループ解析によると、欧州の調査では、経口避妊薬の使用とRAの発生リスク低下との関連は有意傾向であった(RR 0.79、95%信頼区間:0.62~1.01)。・北米の調査では、この関連は認められなかった(RR 0.99、95%CI:0.81~1.21)。・本試験の出版バイアスはみられなかった(Egger’s testにおけるp=0.231)。

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ESORT研究:疾病負担度に応じた研究投資が必要な時代(解説:折笠 秀樹 氏)-310

 本研究では疾病負担度(Disease burden)と研究投資の関係について、疾病別および国別に調査しています。疾病負担度という聞き慣れない概念が出てきますが、ある疾病で負担になっている程度を示します。それを障害調整生存年数(DALY)で測定しています。 それは生存年数、つまり寿命のことなのですが、障害を持って生存していることを考慮している指標です。たとえば、寿命は80年でも、最後の10年間は障害があったとします。仮に障害を半分で調整すれば5年となり、障害調整生存年数は75年になります。 研究投資については、ランダム化比較試験の件数で測定しています。世界各国で問題になっている疾病の負担度に応じて、それ相応の研究費が投じられているかを調査したものです。結論としては、先進国では疾病負担度に応じて適切な研究費が投じられていることがわかったものの、発展途上国ではそうではなかったのです。 糖尿病の疾病負担度は46.9 [×106 DALY]と高く、研究投資も61試験と高い結果でした。研究投資は妥当だと判断されます。骨粗鬆症、脳卒中なども両指標は強く相関しており、研究投資は適切になされていると思われます。一方、COPDの疾病負担度は76.7(単位省略)と糖尿病より高いものの、研究投資は12試験と低い結果でした。COPDは大変重要な疾病なのに、そのための臨床試験はあまり行われていなかったのです。逆に、女性不妊症の疾病負担度(約0.15)は当然低いわけですが、研究投資として18件もの臨床試験が実施されていました。一方、発展途上国で問題となる乳幼児敗血症という疾病については、疾病負担度は44.2と高いものの、研究投資としての臨床試験はたった1件のみでした。 このように、先進国では疾病負担度に応じた研究投資がなされていましたが、発展途上国では疾病負担度と研究投資にはほとんど関連が見られませんでした。発展途上国で臨床試験を実施することなど無理なわけですから、先進国が発展途上国で問題となっている疾病に対する臨床試験をもっと手がけるべきでしょう。これは、いわゆる医療の格差問題でもあります。先進国は発展途上国に対して技術・財政支援を行っていることは周知のとおりですが、発展途上国の疾病対策となる臨床試験を実施するという支援は少な過ぎます。もっと臨床試験を通しての支援が期待されるところでしょう。 研究資金の配分を考える際に、わが国では死亡率や罹患数をベースにしていたと思います。そうではなく、これからは疾病負担度という指標で見直すことが必要なのではないでしょうか。とりわけ介護が重視される中、障害調整生存年数はその意義を増すことでしょう。

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骨粗鬆症骨折の治療だけで終わらせないロコモ対策

 1月20日、日本イーライリリー株式会社は、「“いつのまにか骨折”のサインを見逃すな ロコモから紐解く骨粗鬆症の予防と治療」と題して、プレスセミナーを開催した。■患者の2人に1人は骨折に気付かず はじめに同社の榎本 宏之氏(臨床開発医師/メディカルアドバイザー)が、「骨粗鬆症に関する意識・実態調査」の概要を報告した。 本調査は、2014年に医療施設を受診し、骨粗鬆症と診断された60歳以上の女性515人へのインターネットアンケート調査をまとめたもので、その結果から患者の骨粗鬆症への認識不足などが明らかとなった。 「骨折で寝たきりになることへの不安感」では75.9%が不安を感じており、「骨粗鬆症への気付き」については、自分で意識して医療機関を受診した人はわずか14.2%しかいなかった。「骨粗鬆症による骨折経験」では、23.8%と約4人に1人が経験し、また70歳以上では28.6%と、その経験値は年齢とともに上昇する傾向が報告された。さらに骨折経験のある122人への調査では「骨折への気付き」については、56.6%と約2人に1人が骨折と気付いていなかったことが報告された。 骨粗鬆症のサインである「腰の痛み」を感じて整形外科などの専門医を受診したかどうかの問いには、313人のうち49.1%が受診をしていないと回答し、骨粗鬆症への意識の低さをうかがわせた。 最後に榎本氏は、「潜在患者の多い骨粗鬆症について、疾患の認識を持ってもらうことで、適切な治療を享受できる確率を高め、健康寿命延伸に貢献するためのさまざまな疾病啓発活動を行っていきたい」と述べた。■骨折の治療がゴールではない!その先の予防へ 続いて大江 隆史氏(名戸ヶ谷病院 院長)が、「骨脆弱性骨折の意味に気づく –ロコモティブシンドローム予防の観点から- 」をテーマに、骨粗鬆症による骨脆弱性骨折とロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」と略す)への取り組みについて、レクチャーを行った。 はじめに骨脆弱性骨折について説明。X線所見で、骨粗鬆症による脊椎椎体骨折などの3つのパターンを例示した。最近ではこうした骨脆弱性骨折の患者が、女性の高齢者を中心に増加している。とくに大腿骨近位部骨折は80歳代後半の患者に多くみられ、骨折した場合、手術も大がかりなものとなり血流障害もみられるために、骨折の治療も治療後のリハビリテーションも難しいなど、臨床上の問題点を語った。また、通常骨粗鬆症の診断では骨密度の測定が必要なところ、現在では脆弱性骨折が確認されれば、それで骨粗鬆症と診断していることが説明された。 次にロコモティブシンドローム、すなわち「加齢による運動器障害(骨粗鬆症、変形性関節症、神経障害など)のため、移動機能の低下を来した状態」で「進行すると要介護状態を招く」とされる疾患への予防とその取り組みについて解説した。 現在、「要支援・要介護の原因」の第1位は「運動器の障害」となっている。整形外科で入院手術を受けた患者の年齢別割合では70歳代が最も多く、圧倒的に骨折によるものが多いことが報告された。そして、現在研究中の“ROAD study”よりロコモの原因となるコモン・ディジーズの有病率では、骨粗鬆症の有病率が60歳以上の女性で多くみられ(たとえば大腿骨頸部骨折で20%以上)、ロコモの予防では骨粗鬆症をいかに治療するかが重要となると指摘した。 ロコモの視点からみた骨脆弱性骨折の治療で大事なことは、「(1)従来の骨折治療、(2)骨折原因となった骨粗鬆症への治療、(3)骨折で移動能力が低下している患者の機能をさらに低下させない治療であるが、今後はとくに(2)と(3)が重要になる。目の前の骨折の治療で終わらせるだけでなく、その原因である骨粗鬆症の治療も進め、骨粗鬆症で1度骨折した患者がさらに2度目、3度目の骨折をしないようにすることが、ロコモの予防につながる」とレクチャーを終えた。日本イーライリリー 骨そしょう症のコーナー

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